(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】樹脂シート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20241028BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241028BHJP
C08K 7/00 20060101ALI20241028BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
C08L101/00
C08K7/00
H01L23/36 D
(21)【出願番号】P 2021565552
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2020046334
(87)【国際公開番号】W WO2021125092
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019227265
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【氏名又は名称】伊藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100154391
【氏名又は名称】鈴木 康義
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 建治
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 道治
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073409(JP,A)
【文献】国際公開第2021/059806(WO,A1)
【文献】特開2018-052782(JP,A)
【文献】特開2003-060134(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235918(WO,A1)
【文献】特開2016-155937(JP,A)
【文献】特開2018-030942(JP,A)
【文献】特開2017-082091(JP,A)
【文献】国際公開第2020/196643(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/196679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00-5/02、5/12-5/22、
C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14
H01L23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B、及び樹脂を混合して樹脂組成物を得る工程と、
前記樹脂組成物をシート状に成形し、シート状に成形した前記樹脂組成物を加圧する工程と、を備え、
前記窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さが0.7μm以下であり、
前記窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さが1μm以上であり、
前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径が30μm以上であり、
前記塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径が、前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径より小さく、
前記塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度に対する前記塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の比が1.2以上であ
り、
前記樹脂が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、及びAES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記シート状に成形した前記樹脂組成物を加圧する工程は、前記塊状窒化ホウ素粒子Bにおける前記窒化ホウ素一次粒子bの凝集が解かれる、樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径に対する前記塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径の比が0.7以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂組成物中の前記塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量が、前記塊状窒化ホウ素粒子A及び前記塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して50体積部以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂組成物中の前記塊状窒化ホウ素粒子Bの含有量が、前記塊状窒化ホウ素粒子A及び前記塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して5体積部以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂シートが放熱シートとして用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
樹脂と、
鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子Aと、
前記塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に配置された、塊状窒化ホウ素粒子を形成していない鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bと、を含有し、
前記窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さが0.7μm以下であり、
前記窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さが1μm以上であり、
前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径が30μm以上であ
り、
前記樹脂が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、及びAES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、樹脂シート。
【請求項7】
前記塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量が、前記塊状窒化ホウ素粒子A及び前記窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して50体積部以上である、請求項6に記載の樹脂シート。
【請求項8】
前記窒化ホウ素一次粒子bの含有量が、前記塊状窒化ホウ素粒子A及び前記窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して5体積部以上である、請求項6又は7に記載の樹脂シート。
【請求項9】
放熱シートとして用いられる、請求項6~8のいずれか一項に記載の樹脂シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の電子部品においては、使用時に発生する熱を効率的に放熱することが課題となっている。この課題に対して、従来、電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層の高熱伝導化や、電子部品又はプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材を介してヒートシンクに取り付けることが行われてきた。このような絶縁層及び熱インターフェース材としては、例えば、樹脂及び熱伝導性フィラーを含有する樹脂シート(熱伝導シート)が用いられる。
【0003】
熱伝導性フィラーとしては、高熱伝導率、高絶縁性、低比誘電率等の特性を有している窒化ホウ素粒子が注目されている。例えば特許文献1には、フッ素樹脂と、窒化ホウ素粒子を含有する熱伝導性フィラーと、を含み、0.05MPa加圧下での熱抵抗値が0.90℃/W以下である、熱伝導シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子部品内の回路の高速化及び高集積化や、電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、放熱の重要性が更に高まっている。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有する樹脂シートが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、樹脂シートの熱伝導率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B、及び樹脂を混合して樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物をシート状に成形し、シート状に成形した前記樹脂組成物を加圧する工程と、を備え、前記窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さが0.7μm以下であり、前記窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さが1μm以上であり、前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径が30μm以上であり、前記塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径が、前記塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径より小さく、前記塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度に対する前記塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の比が1.2以上である、樹脂シートの製造方法である。
【0008】
上記の側面において、塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径に対する塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径の比は、0.7以下であってよい。樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して50体積部以上であってよい。樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Bの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して5体積部以上であってよい。
【0009】
本発明の他の一側面は、樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子Aと、塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に配置された、塊状窒化ホウ素粒子を形成していない鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bと、を含有し、窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さが0.7μm以下であり、窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さが1μm以上であり、塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径が30μm以上である、樹脂シートである。
【0010】
上記の他の一側面において、塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して50体積部以上であってよい。窒化ホウ素一次粒子bの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して5体積部以上であってよい。
【0011】
上記の各側面において、樹脂シートは、放熱シートとして用いられてよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂シートの熱伝導率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で得られた樹脂シートの断面のSEM像である。
【
図2】比較例1で得られた樹脂シートの断面のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施形態は、塊状窒化ホウ素粒子A、塊状窒化ホウ素粒子B、及び樹脂を混合して樹脂組成物を得る工程(混合工程)と、樹脂組成物をシート状に成形し、シート状に成形した前記樹脂組成物を加圧する工程(成形工程)と、を備える樹脂シートの製造方法である。
【0016】
まず、混合工程について説明する。塊状窒化ホウ素粒子Aは、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる粒子である。窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さは、0.7μm以下である。窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さが0.7μmよりも大きいと、塊状窒化ホウ素粒子A中の空隙が増え、樹脂シートの熱伝導率が低下する場合がある。また、塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度が低下する場合がある。塊状窒化ホウ素粒子Bは、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bが凝集してなる粒子である。窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さは、1μm以上である。窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さが1μm未満であると、塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度が高くなり、塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度に対する塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の比を1.2以上とすることが難しくなる場合がある。このように、塊状窒化ホウ素粒子Aと塊状窒化ホウ素粒子Bとは、互いに異なる粒子である。
【0017】
鱗片状の窒化ホウ素一次粒子a及びbの短手方向の長さは、当該鱗片状の一次粒子の厚みということもできる。窒化ホウ素一次粒子a及びbの短手方向の長さは、当該一次粒子のSEM像において、50個の一次粒子の短手方向の長さの平均値として測定される。また、後述する窒化ホウ素一次粒子a及びbの長手方向の長さも同様にして測定される。
【0018】
塊状窒化ホウ素粒子A中の空隙及び塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の観点から、窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さは、好ましくは0.65μm以下であり、より好ましくは0.60μm以下である。また、窒化ホウ素一次粒子aの短手方向の長さの範囲の下限値は、特に限定されないが、例えば0.3μm以上であり、好ましくは0.4μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上である。窒化ホウ素一次粒子aの長手方向の長さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上であってよく、10μm以下であってよい。
【0019】
塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度の観点から、窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さは、好ましくは1.1μm以上であり、より好ましくは1.2μm以上であり、さらに好ましくは1.3μm以上である。窒化ホウ素一次粒子bの短手方向の長さの範囲の上限値は、特に限定されないが、例えば2μm以下であり、好ましくは1.8μm以下であり、さらに好ましくは1.6μm以下である。窒化ホウ素一次粒子bの長手方向の長さは、特に限定されないが、例えば、2.5μm以上であってよく、15μm以下であってよい。
【0020】
塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径は、樹脂シート中の塊状窒化ホウ素粒子同士の界面の数を低減し、樹脂シートの熱伝導率を向上させる観点から、30μm以上であり、当該効果が更に得られやすくなる観点から、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは60μm以上、特に好ましくは70μm以上である。塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径は、例えば、150μm以下、120μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0021】
塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径は、塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径より小さくなっている。これにより、塊状窒化ホウ素粒子Aの間の空隙に塊状窒化ホウ素粒子Bが入り、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させることができる。具体的には、塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径に対する塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径の比(塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径/塊状窒化ホウ素粒子Aの平均粒径)は、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下である。当該平均粒径の比の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1以上、0.2以上、又は0.25以上であってもよい。塊状窒化ホウ素粒子A及びBの平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される体積平均粒径を意味する。
【0022】
塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径は、上記の平均粒径の比を満たすように選択されることが好ましい。塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径は、例えば50μm以下であり、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。塊状窒化ホウ素粒子Bの平均粒径の範囲の下限値は特に限定されないが、例えば、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよい。
【0023】
塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度は、塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度よりも大きくなっている。これにより、後述の成形工程において、塊状窒化ホウ素粒子Aにおける窒化ホウ素一次粒子aの凝集を維持しつつ、塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集のみを解くことができるように、樹脂組成物に対して圧力を加えることができる。そして、塊状窒化ホウ素粒子A間の空隙を、塊状窒化ホウ素粒子Bの凝集が解かれることによって生じたる窒化ホウ素一次粒子bにより充填することができる。具体的には、塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度に対する塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の比(塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度/塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度)は、後述の成形工程において、塊状窒化ホウ素粒子Aにおける窒化ホウ素一次粒子aの凝集を維持しつつ、塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集のみを好適に解くことができれば特に限定されないが、例えば、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、1.2以上であり、当該効果が更に得られやすくなる観点から、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.6以上である。当該圧壊強度の比の範囲の上限値は特に限定されないが、例えば、4以下、3以下、又は2以下であってもよい。
【0024】
塊状窒化ホウ素粒子A及びBの圧壊強度は、JIS R1639-5:2007に従って測定された値である。測定装置としては、微小圧縮試験器(例えば、商品名「MCT-W500」、株式会社島津製作所製)を用いることができる。圧壊強度(σ、単位:MPa)は、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48、単位なし)と圧壊試験力(P、単位:N)と粒径(d、単位:μm)とから、σ=α×P/(π×d2)の式を用いて算出される。
【0025】
塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度は、上記の圧壊強度の比を満たすように選択されることが好ましい。塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度は、例えば4MPa以上であり、後述の成形工程において、塊状窒化ホウ素粒子Aにおける窒化ホウ素一次粒子aの凝集をより好適に維持できる観点から、好ましくは5MPa以上、より好ましくは6MPa以上である。塊状窒化ホウ素粒子Aの圧壊強度の範囲の上限値は特に限定されないが、例えば、15MPa以下、12MPa以下、又は10MPa以下であってよい。
【0026】
塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度も、上記の圧壊強度の比を満たすように選択されることが好ましい。塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度は、例えば8MPa以下であり、後述の成形工程において、塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集をより好適に解くことができる観点から、好ましくは7MPa以下、より好ましくは6MPa以下である。塊状窒化ホウ素粒子Bの圧壊強度は、後述の混合工程において塊状窒化ホウ素粒子Bの凝集が解かれなければ特に限定されないが、例えば、2MPa以上、3MPa以上、又は4MPa以上であってよい。
【0027】
樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、樹脂シートの熱伝導率の向上の観点から、樹脂組成物の全体積を基準として、例えば、25体積%以上、好ましくは30体積%以上、より好ましくは35体積%以上である。また、樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、樹脂シート中にボイドが発生することを防止する観点から、例えば、60体積%以下、好ましくは57.5体積%以下、より好ましくは55体積%以下である。
【0028】
樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して、例えば、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは50体積部以上、より好ましくは55体積部以上、更に好ましくは60体積部以上であり、好ましくは95体積部以下、より好ましくは90体積部以下、更に好ましくは85体積部以下、特に好ましくは70体積部以下である。
【0029】
樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Bの含有量は、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、樹脂組成物の全体積を基準として、例えば、5体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上であり、例えば、25体積%以下、好ましくは22.5体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。
【0030】
樹脂組成物中の塊状窒化ホウ素粒子Bの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び塊状窒化ホウ素粒子Bの合計量100体積部に対して、例えば、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは5体積部以上、より好ましくは10体積部以上、更に好ましくは15体積部以上、特に好ましくは30体積部以上であり、好ましくは50体積部以下、より好ましくは45体積部以下、更に好ましくは40体積部以下である。
【0031】
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、及びAES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂が挙げられる。
【0032】
樹脂組成物中の樹脂の含有量は、樹脂シートの熱伝導率を向上させる観点から、樹脂組成物の全体積を基準として、例えば、40体積%以上、好ましくは42.5体積%以上、より好ましくは45体積%以上であり、樹脂シート中にボイドが発生することを防止する観点から、例えば、60体積%以下、好ましくは57.5体積%以下、より好ましくは55体積%以下である。
【0033】
混合工程では、塊状窒化ホウ素粒子A、塊状窒化ホウ素粒子B及び樹脂に加えて、その他の成分を更に混合してもよい。その他の成分は、例えば硬化剤であってよい。硬化剤は、樹脂の種類によって適宜選択される。例えば、樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、フェノールノボラック化合物、酸無水物、アミノ化合物、及びイミダゾール化合物が挙げられる。硬化剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、1質量部以上、5質量部以上、又は8質量部以上であってよく、15質量部以下、12質量部以下、又は10質量部以下であってよい。
【0034】
混合工程に続く成形工程は、例えば、混合工程で得られた樹脂組成物を塗工する工程(塗工工程)と、塗工された樹脂組成物を加圧する工程(加圧工程)とを備えている。これにより、シート状に成形された樹脂組成物(樹脂シート)が得られる。
【0035】
塗工工程では、例えばフィルムアプリケーターを用いて、基材(例えば、PETフィルムなどのポリマーフィルム)上に、樹脂組成物を塗工する。塗工された樹脂組成物の厚みは、例えば、0.05mm以上、0.1mm以上、又は0.5mm以上であってよく、2mm以下、1.5mm以下、又は1.2mm以下であってよい。塗工工程では、樹脂組成物を基材上に塗工した後に、例えば減圧下で樹脂組成物を脱泡してもよい。
【0036】
加圧工程では、樹脂組成物に対して圧力を加える。圧力は、塊状窒化ホウ素粒子Aにおける窒化ホウ素一次粒子aの凝集を維持しつつ、塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集のみを解くことができるように、塊状窒化ホウ素粒子A及びBのそれぞれの圧壊強度に応じて適切に選択される。圧力は、例えば、2MPa以上、3MPa以上、又は4MPa以上であってよく、15MPa以下、14MPa以下、又は13MPa以下であってよい。
【0037】
加圧工程では、加圧時に樹脂組成物の加熱を併せて行ってもよい。加熱温度は、例えば、100℃以上、120℃以上、又は150℃以上であってよく、250℃以下、230℃以下、又は200℃以下であってよい。これにより、例えば、樹脂組成物(樹脂)を半硬化又は完全硬化させることができる。
【0038】
加圧工程における加圧(必要に応じて加熱)を行う時間は、例えば、10分間以上、30分間以上、又は50分間以上であってよく、6時間以下、4時間以下、又は2時間以下であってよい。
【0039】
以上説明した樹脂シートの製造方法では、上述したとおり、平均粒径及び圧壊強度の点で互いに異なる塊状窒化ホウ素粒子A及び塊状窒化ホウ素粒子Bを用いており、塊状窒化ホウ素粒子Aは、塊状窒化ホウ素粒子Bよりも大きな平均粒径及び圧壊強度を有している。そのため、成形工程において、樹脂組成物をシート状に成形し、シート状に成形した前記樹脂組成物を加圧する際に、圧壊強度の大きな塊状窒化ホウ素粒子Aにおける窒化ホウ素一次粒子aの凝集を維持する一方で、圧壊強度の小さな塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集を解くことができる。このとき、窒化ホウ素一次粒子aが0.7μm以下の短手方向の長さを有していることにより、窒化ホウ素一次粒子a同士の結合箇所が増加し、窒化ホウ素一次粒子aの凝集が維持されやすくなっている。その結果、得られる樹脂シートにおいては、平均粒径が大きく、熱伝導の経路を形成しやすい(熱伝導率の向上に寄与しやすい)塊状窒化ホウ素粒子Aが存在すると共に、従来の樹脂シートでは熱伝導しにくい塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に、凝集が解かれた窒化ホウ素一次粒子bが存在することができる。このとき、窒化ホウ素一次粒子bは、1μm以上の短手方向の長さを有しているため、樹脂シートの熱伝導率の向上に寄与しやすい。したがって、この製造方法により得られる樹脂シートは、例えば樹脂中に塊状窒化ホウ素粒子のみが存在するような従来の樹脂シートに比べて、樹脂シート全体にわたって効果的に熱を伝導させることができるため、優れた熱伝導率を発揮する。
【0040】
また、塊状窒化ホウ素粒子Bは、加圧工程の前までは、凝集が解かれていないので、塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に対応する位置に塊状窒化ホウ素粒子Bを配置することが容易になる。そして、加圧工程により、塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に対応する位置に配置された塊状窒化ホウ素粒子Bの凝集が解かれるので、塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間を窒化ホウ素一次粒子bによって十分に充填することができる。これにより、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させることができる。一方、塊状窒化ホウ素粒子Bの代わりに凝集していない窒化ホウ素一次粒子bを用いると、樹脂組成物の成形性が悪くなったり、樹脂シート中に窒化ホウ素一次粒子bを分散させることが難しくなったりする場合がある。このため、窒化ホウ素一次粒子bによる塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間の充填が不十分になり、樹脂シートの熱伝導率を向上させることができない場合がある。
【0041】
本発明の他の一実施形態は、樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子aが凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子Aと、塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に配置された、塊状窒化ホウ素粒子を形成していない鱗片状の窒化ホウ素一次粒子bと、を含有する樹脂シートである。
【0042】
樹脂の詳細は、上述したとおりである。樹脂シートにおける樹脂は、例えば半硬化した状態(Bステージともいう)であってよい。樹脂が半硬化した状態であることは、例えば、示差走査熱量計によって確認することができる。樹脂シートは、更に硬化処理が施されることによって完全硬化(Cステージともいう)の状態になり得る。
【0043】
樹脂シート中の樹脂の含有量は、樹脂シート中にボイドが発生することを防止する観点から、樹脂シートの全体積を基準として、例えば、40体積%以上、好ましくは42.5体積%以上、より好ましくは45体積%以上であり、例えば、60体積%以下、好ましくは57.5体積%以下、より好ましくは55体積%以下である。
【0044】
窒化ホウ素一次粒子a、塊状窒化ホウ素粒子A、及び窒化ホウ素一次粒子bの詳細は、上述したとおりである。
【0045】
樹脂シート中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、樹脂シートの熱伝導率の向上の観点から、樹脂シートの全体積を基準として、例えば、25体積%以上、好ましくは30体積%以上、より好ましくは35体積%以上である。また、樹脂シート中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、樹脂シート中にボイドが発生することを防止する観点から、例えば、60体積%以下、好ましくは57.5体積%以下、より好ましくは55体積%以下である。
【0046】
樹脂シート中の窒化ホウ素一次粒子bの含有量は、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、樹脂シートの全体積を基準として、例えば、5体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上であり、例えば、25体積%以下、好ましくは22.5体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。
【0047】
樹脂シート中の塊状窒化ホウ素粒子Aの含有量は、塊状窒化ホウ素粒子A及び窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して、例えば、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは50体積部以上、より好ましくは55体積部以上、更に好ましくは60体積部以上であり、好ましくは95体積部以下、より好ましくは90体積部以下、更に好ましくは85体積部以下、特に好ましくは70体積部以下である。
【0048】
樹脂シート中の窒化ホウ素一次粒子bの含有量は、窒化ホウ素一次粒子A及び窒化ホウ素一次粒子bの合計量100体積部に対して、例えば、樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、好ましくは5体積部以上、より好ましくは10体積部以上、更に好ましくは15体積部以上、特に好ましくは30体積部以上であり、好ましくは50体積部以下、より好ましくは45体積部以下、更に好ましくは40体積部以下である。
【0049】
樹脂シートの厚みは、例えば、樹脂シートの密着性の観点から、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.3mm以上であり、樹脂シートの熱伝導性の観点から、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.7mm以下である。
【0050】
樹脂シートは、上述したとおり、凝集した窒化ホウ素一次粒子a(塊状窒化ホウ素粒子A)を含有するものであるが、樹脂シート中の一部の窒化ホウ素一次粒子aは、塊状窒化ホウ素粒子を形成していなくてもよい(凝集していなくてもよい)。塊状窒化ホウ素粒子を形成していない窒化ホウ素一次粒子aも塊状窒化ホウ素粒子Aの間の隙間を充填する。樹脂シート中の窒化ホウ素の充填率を更に高めて、樹脂シートの熱伝導率を更に向上させる観点から、樹脂シートにおいて、塊状窒化ホウ素粒子を形成していない(凝集していない)窒化ホウ素一次粒子aの含有量は、樹脂シートの全体積を基準として、例えば、1体積%以上、好ましくは3体積%以上、より好ましくは5体積%以上であり、例えば、20体積%以下、好ましくは15体積%以下、より好ましくは10体積%以下である。
【0051】
樹脂シートは、例えば上述した製造方法により得られる。この場合、樹脂シート中の塊状窒化ホウ素粒子を形成していない窒化ホウ素一次粒子bは、塊状窒化ホウ素粒子Bにおける窒化ホウ素一次粒子bの凝集が解けた結果生じたもの(塊状窒化ホウ素粒子Bの崩壊生成物)である。
【0052】
以上説明した樹脂シートでは、熱伝導の経路を形成しやすい(熱伝導率の向上に寄与しやすい)平均粒径を有する塊状窒化ホウ素粒子Aが存在すると共に、従来の樹脂シートでは熱伝導しにくい塊状窒化ホウ素粒子A同士の隙間に、窒化ホウ素一次粒子bが存在している。したがって、この樹脂シートは、例えば樹脂中に塊状窒化ホウ素粒子のみが存在するような従来の樹脂シートに比べて、樹脂シート全体にわたって効果的に熱を伝導させることができるため、優れた熱伝導率を発揮する。そのため、樹脂シートは、例えば、放熱シート(放熱部材)として好適に用いられる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0054】
<実施例1>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「HP4032」)100質量部と、硬化剤としてイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、商品名「2E4MZ-CN」)10質量部との混合物に対し、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子a1(短手方向の長さ:0.57μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A1(平均粒子径:83.3μm、圧壊強度:9MPa)と、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子b1(短手方向の長さ:1.40μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B1(平均粒子径:25.8μm、圧壊強度:5MPa)とを、合計で50体積%となるように混合して樹脂組成物を得た。このとき、塊状窒化ホウ素粒子A1と塊状窒化ホウ素粒子B1との混合比(体積比)は、A1:B1=65:35とした。
【0055】
この樹脂組成物を、PETフィルム上に厚みが1mmになるように塗布した後、500Paの減圧脱泡を10分間行った。その後、温度150℃、10MPaの条件で60分間の加熱及び加圧を行って、厚み0.5mmの樹脂シートを作製した。得られた樹脂シートの断面のSEM像を
図1に示す。
【0056】
<比較例1>
塊状窒化ホウ素粒子B1に代えて、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子b2(短手方向の長さ:0.55μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B2(平均粒子径:22.3μm、圧壊強度:8MPa)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。得られた樹脂シートの断面のSEM像を
図2に示す。
【0057】
【0058】
図1から分かるとおり、実施例1の樹脂シートは、窒化ホウ素一次粒子a1が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A1と、塊状窒化ホウ素粒子A1同士の隙間に配置された、塊状窒化ホウ素粒子を形成していない窒化ホウ素一次粒子b1とを含んでいる。一方、比較例1の樹脂シートは、窒化ホウ素一次粒子a1が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A1と、窒化ホウ素一次粒子b2が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B2とを含んでいる(いずれの塊状窒化ホウ素粒子も塊状が保たれたままである)。
【0059】
<実施例2~5>
塊状窒化ホウ素粒子の配合を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
【0060】
<比較例2,3>
塊状窒化ホウ素粒子の配合を表2に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作製した。
【0061】
<実施例6>
塊状窒化ホウ素粒子B1に代えて、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子b3(短手方向の長さ:1.20μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B3(平均粒子径:43.0μm、圧壊強度:6MPa)を用いた以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
【0062】
<実施例7>
塊状窒化ホウ素粒子B1に代えて、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子b4(短手方向の長さ:1.10μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B4(平均粒子径:65.3μm、圧壊強度:3MPa)を用いた以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
【0063】
<比較例4>
塊状窒化ホウ素粒子B1に代えて、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子b5(短手方向の長さ:0.80μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子B4(平均粒子径:18.5μm、圧壊強度:9MPa)を用いた以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
【0064】
<比較例5>
塊状窒化ホウ素粒子A1に代えて、鱗片状の窒化ホウ素一次粒子a2(短手方向の長さ:0.70μm)が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子A2(平均粒子径:88.0μm、圧壊強度:6MPa)を用いた以外は、比較例2と同様にして樹脂シートを作製した。
【0065】
(熱伝導率の測定)
実施例及び比較例で得られた樹脂シートそれぞれから、10mm×10mmの大きさの測定用試料を切り出し、キセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製、商品名「LFA447NanoFlash」)を用いたレーザーフラッシュ法により、測定用試料の熱拡散率A(m2/秒)を測定した。また、測定用試料の比重B(kg/m3)をアルキメデス法により測定した。また、測定用試料の比熱容量C(J/(kg・K))を、示差走査熱量計(DSC;リガク株式会社製、商品名「ThermoPlusEvo DSC8230」)を用いて測定した。これらの測定値を用いて、熱伝導率H(W/(m・K))=A×B×Cの式から、各樹脂シートの熱伝導率を算出した。結果を表2に示す。
【0066】