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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】二輪車用前照灯
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/026 20200101AFI20241028BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20241028BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20241028BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20241028BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20241028BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241028BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241028BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20241028BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241028BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20241028BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20241028BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241028BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20241028BHJP
【FI】
B62J6/026
F21S41/29
F21S41/143
F21S45/47
F21S43/20
F21V23/00 160
F21V29/503
F21V29/76
F21Y115:10
F21W102:00
F21W102:13
F21W103:10
F21W105:00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021567258
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2020046404
(87)【国際公開番号】W WO2021131820
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2019233914
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019233915
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019233916
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】田中 均
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 習
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/158867(WO,A1)
【文献】特開2017-183009(JP,A)
【文献】特開2015-173024(JP,A)
【文献】特開2018-152306(JP,A)
【文献】特開2017-79116(JP,A)
【文献】特開2016-150668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/026
F21S 41/29
F21S 41/143
F21S 45/47
F21S 43/20
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/76
F21Y 115/10
F21W 102/00
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車用前照灯の灯室内で、背面を後方に向け、前面を前方に向けて配置される配線基板と、
前記配線基板を支持する支持部材と、
前記配線基板に接続され、前記灯室内に配索されるコードと、
前記支持部材に設けられ、前記配線基板の背面から前面へと突き抜けるように配置され、前記配線基板の前面側で前記コードを保持するコード保持構造と、を備えることを特徴とする二輪車用前照灯。
【請求項2】
前記配線基板に対して前方に配置される放熱部材と、
前記放熱部材の前面に配置される発光素子搭載基板と、をさらに備え、
前記発光素子搭載基板と前記放熱部材には、前記放熱部材の背面から前記発光素子搭載基板の前面へと貫通した開口部が形成されており、
前記コードは、前記放熱部材と前記配線基板との間で前記コード保持構造に保持され、前記開口部を通じて前記発光素子搭載基板に接続されることを特徴とする請求項1に記載の二輪車用前照灯。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記発光素子搭載基板が配置される本体と、前記本体の背面に形成される複数の放熱フィンと、を備え、
前記複数の放熱フィンは、前記コード保持構造から前記開口部への前記コードの経路を避けて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の二輪車用前照灯。
【請求項4】
前記コード保持構造によって前記コードが保持される前記配線基板の前面からの高さは、前記配線基板の前面に搭載される電子部品の高さよりも高いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項5】
車両に設けられるランプハウジングに装着可能なアウターレンズと、
前記アウターレンズに取り付けられ、前記アウターレンズとの間に前記灯室を形成するランプボディと、をさらに備え、
前記アウターレンズが前記ランプハウジングに装着された状態で、前記アウターレンズが前記二輪車用前照灯の正面視における意匠の外径を定めるとともに、前記ランプボディが前記ランプハウジングに収納されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項6】
レンズ保持部材と、
それぞれが出射面を前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置され、前記レンズ保持部材の前面に溶着されている複数の投影レンズと、をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項7】
各投影レンズが、前記出射面を有するレンズ部と、前記レンズ部の外周に設けられたフランジ部と、を備え、前記フランジ部が前記レンズ保持部材の前面に溶着されていることを特徴とする請求項6に記載の二輪車用前照灯。
【請求項8】
それぞれが、対応する投影レンズの入射面に対向して配置される複数の発光素子をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の二輪車用前照灯。
【請求項9】
前記複数の投影レンズのうち少なくとも1つは、ロービームを照射するための投影レンズとして設けられ、前記複数の投影レンズのうち他の少なくとも1つは、ハイビームを照射するための投影レンズとして設けられていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項10】
前記ランプボディが前記レンズ保持部材を支持することを特徴とする請求項5を直接または間接的に引用する請求項6から9のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項11】
透光性材料で構成される透光性本体と、前記透光性本体を被覆する遮光性被膜と、を備えるエクステンション部材をさらに備え、
前記二輪車用前照灯には、ポジションランプが組み込まれており、前記ポジションランプ用のインナーレンズ部が、前記遮光性被膜の一部の欠落によって前記透光性本体に形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項12】
前記透光性本体は、前記ポジションランプの配光を制御するための光学形状を前記インナーレンズ部の前面に有することを特徴とする請求項11に記載の二輪車用前照灯。
【請求項13】
前記ポジションランプ用の発光素子をさらに備え、前記発光素子は、光が前記インナーレンズ部に直接入射するように配置されることを特徴とする請求項11または12に記載の二輪車用前照灯。
【請求項14】
前記透光性本体は、前記ポジションランプ用の発光素子に対向する入光部を前記インナーレンズ部の背面に有し、
前記インナーレンズ部の背面において前記入光部から外れた領域には、目隠し用の形状が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の二輪車用前照灯。
【請求項15】
前記ランプボディが前記エクステンション部材を支持することを特徴とする請求項5を直接または間接的に引用する請求項11から14のいずれかに記載の二輪車用前照灯。
【請求項16】
レンズ保持部材と、
それぞれが出射面を前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置され、前記レンズ保持部材の前面に溶着されている複数の投影レンズと、
車両に設けられるランプハウジングに装着可能なアウターレンズと、
前記アウターレンズに取り付けられ、前記レンズ保持部材を支持するランプボディと、を備え
前記アウターレンズが前記ランプハウジングに装着された状態で、前記アウターレンズが二輪車用前照灯の正面視における意匠の外径を定めるとともに、前記ランプボディが前記ランプハウジングに収納されていることを特徴とする二輪車用前照灯。
【請求項17】
ポジションランプを組み込んだ二輪車用前照灯であって、
透光性材料で構成される透光性本体と、前記透光性本体を被覆する遮光性被膜と、を備えるエクステンション部材を備え、
前記ポジションランプ用のインナーレンズ部が、前記遮光性被膜の一部の欠落によって前記透光性本体に形成されていることを特徴とする二輪車用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二輪車用前照灯には、カウルに装着されるタイプがあり、その場合、灯具の一部分がカウルの背後に隠れるように配置されることがある。例えば、特許文献1に開示される二輪車用前照灯では、透光カバーの一部分だけがカウルの開口部に配置され、そこから光が前方に照射され、透光カバーの残りの部分はカウル開口部の外側へと広がり、カウルの背後に隠される。このようにして外から見えなくなる灯具の部位は、ダミー部とも呼ばれる。
【0003】
例えば特許文献2に開示されるように、従来、第1光源および第2光源と、これら光源の後方に配置された楕円反射面をもつリフレクタとを備える二輪車用前照灯が知られている。この二輪車用前照灯では、第1光源からの光をリフレクタの第1部分で反射してロービーム配光パターンが形成され、第2光源からの光をリフレクタの第2部分で反射してハイビーム配光パターンが形成される。
【0004】
例えば特許文献3に開示されるように、ポジションランプを内蔵した二輪車用前照灯が知られている。この灯具には、内部構造を覆い隠すために、不透明材料で形成されたエクステンションが設けられている。ポジションランプの光を透過させる透明材料で形成された光透過部材が、エクステンションとは別の部品として用意され、エクステンションに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-49771号公報
【文献】特開2012-164617号公報
【文献】特開2006-82657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようなカウルに組み込まれるタイプの二輪車用前照灯では、ダミー部を比較的広くとりやすい。ダミー部は、点灯回路やこれに付属するコード類など非光学部品、その他の構成部品を収納するスペースとして利用することができる。また、ダミー部は、灯具の製造にあたり作業者にとって部品の組み付け作業を容易にするための灯具内の作業スペースとしても有用である。
【0007】
ところが、二輪車用前照灯のなかには、所望の外観意匠を灯具に実現するため、またはその他の設計条件に応じて、ダミー部を広くとるには空間的な余裕が乏しいタイプもある。たとえばいわゆる砲弾型の二輪車用前照灯では、ダミー部が狭くなりがちである。このような場合、灯具内の作業スペースが制約され、作業者は組み付け作業をしにくくなる。コードの配回しも難しくなり、その結果として、もしコードの固定が不十分となれば、車両走行中に灯具内部でコードがばたつくかもしれない。コードのばたつきは、コードの損傷や異音の原因となりうるので、望まれない。
【0008】
本発明のある態様はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、二輪車用前照灯に収納されたコードのばたつきを低減することにある。
【0009】
上述のように二輪車用前照灯のなかには、所望の外観意匠を灯具に実現するため、または配光要件など様々な設計条件に応じて、たとえばいわゆる砲弾型の二輪車用前照灯など、内部スペースを広くとりにくいタイプがある。特許文献2のように光源に対して後方にリフレクタを配置する設計は灯具の奥行寸法が大きくなりがちであり、許容される奥行寸法に収まらないかもしれない。別の設計として、正面から見ていくつかの投影レンズを並べて配置する構成も考えられるが、この場合には、灯具の径方向寸法が大きくなることが懸念される。
【0010】
本発明のある態様はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、複数の投影レンズが省スペースで固定された二輪車用前照灯を提供することにある。
【0011】
特許文献3の二輪車用前照灯のポジションランプでは、光透過部材のエクステンションへの組み付け精度が、ポジションランプの配光性能に影響しうる。もし、組み付け誤差が大きければ、ポジションランプは、要求される配光要件を満たさないことになるかもしれない。
【0012】
本発明のある態様はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、二輪車用前照灯に組み込まれるポジションランプに関して、部品組み付け誤差による配光性能への影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様の二輪車用前照灯は、二輪車用前照灯の灯室内で、背面を後方に向け、前面を前方に向けて配置される配線基板と、配線基板を支持する支持部材と、配線基板に接続され、灯室内に配索されるコードと、支持部材に設けられ、配線基板の背面から前面へと突き抜けるように配置され、配線基板の前面側でコードを保持するコード保持構造と、を備える。
【0014】
この態様によると、コード保持構造がコードを保持するので、コードのばたつきが低減される。また、たとえばランプボディなどの支持部材から配線基板を突き抜けるようにコード保持構造が配置される設計は、典型的な設計でダミー部が設けられることが多い灯室内の外周部に空きスペースが少ない場合であっても、コード保持構造の設置を容易にする。さらに、コード保持構造が配線基板の前面側でコードを保持するので、組み付け作業において作業者がコードを保持構造に取り付けるとき手が届きやすく、作業性がよい。
【0015】
二輪車用前照灯は、配線基板に対して前方に配置される放熱部材と、放熱部材の前面に配置される発光素子搭載基板と、をさらに備えてもよい。発光素子搭載基板と放熱部材には、放熱部材の背面から発光素子搭載基板の前面へと貫通した開口部が形成されてもよい。コードは、放熱部材と配線基板との間でコード保持構造に保持され、開口部を通じて発光素子搭載基板に接続されてもよい。このようにして、コードを保持するために放熱部材と配線基板の間のスペースを利用することができる。また、灯室内で配線基板よりも外周側に空きスペースが少ない場合であっても、開口部を通じて配線基板から発光素子搭載基板へとコードを容易に配索することができる。
【0016】
放熱部材は、発光素子搭載基板が配置される本体と、本体の背面に形成される複数の放熱フィンと、を備えてもよい。複数の放熱フィンは、コード保持構造から開口部へのコードの経路を避けて配置されていてもよい。このようにして、コードと放熱フィンとの干渉を抑制することができる。
【0017】
コード保持構造によってコードが保持される配線基板の前面からの高さは、配線基板の前面に搭載される電子部品の高さよりも高くてもよい。このようにして、コードと配線基板上の電子部品との干渉を抑制することができる。
【0018】
二輪車用前照灯は、車両に設けられるランプハウジングに装着可能なアウターレンズと、アウターレンズに取り付けられ、アウターレンズとの間に灯室を形成するランプボディと、をさらに備えてもよい。アウターレンズがランプハウジングに装着された状態で、アウターレンズが二輪車用前照灯の正面視における意匠の外径を定めるとともに、ランプボディがランプハウジングに収納されていてもよい。
【0019】
二輪車用前照灯は、レンズ保持部材と、それぞれが出射面を前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置され、レンズ保持部材の前面に溶着されている複数の投影レンズと、をさらに備えてもよい。
【0020】
この態様によると、複数の投影レンズがレンズ保持部材の前面に溶着されているので、締結を利用したレンズ固定に比べて、複数の投影レンズを省スペースで固定することができる。
【0021】
各投影レンズが、出射面を有するレンズ部と、レンズ部の外周に設けられたフランジ部と、を備え、フランジ部がレンズ保持部材の前面に溶着されていてもよい。これにより、締結を利用したレンズ固定に比べて、幅の狭いフランジ部であっても十分な固定が可能となる。
【0022】
二輪車用前照灯は、それぞれが、対応する投影レンズの入射面に対向して配置される複数の発光素子をさらに備えてもよい。このようにして、灯具の奥行寸法を比較的小さく設計することが容易となる。
【0023】
複数の投影レンズのうち少なくとも1つは、ロービームを照射するための投影レンズとして設けられ、複数の投影レンズのうち他の少なくとも1つは、ハイビームを照射するための投影レンズとして設けられていてもよい。このようにして、二輪車用前照灯は、ハイビームとロービームの両方を提供することができる。
【0024】
ランプボディがレンズ保持部材を支持してもよい。
【0025】
二輪車用前照灯は、透光性材料で構成される透光性本体と、透光性本体を被覆する遮光性被膜と、を備えるエクステンション部材をさらに備えてもよい。二輪車用前照灯には、ポジションランプが組み込まれていてもよい。ポジションランプ用のインナーレンズ部が、遮光性被膜の一部の欠落によって透光性本体に形成されていてもよい。
【0026】
この態様によると、二輪車用前照灯のエクステンション部材にポジションランプ用のインナーレンズ部が一体成形されている。よって、インナーレンズ部をエクステンション部材に組み付ける作業はもはや必要なく、そのような組み付け作業に起因する悪影響もなくなる。二輪車用前照灯に組み込まれるポジションランプに関して、部品組み付け誤差による配光性能への影響は低減される。
【0027】
透光性本体は、ポジションランプの配光を制御するための光学形状をインナーレンズ部の前面に有してもよい。このようにすれば、ポジションランプに望まれる配光要件を満たすことが容易になる。
【0028】
二輪車用前照灯は、ポジションランプ用の発光素子をさらに備え、発光素子は、光がインナーレンズ部に直接入射するように配置されてもよい。このようにすれば、ポジションランプ用の発光素子からインナーレンズ部に光が直に入射するので、光をより確実にインナーレンズ部に入射させることができる。
【0029】
透光性本体は、ポジションランプ用の発光素子に対向する入光部をインナーレンズ部の背面に有してもよい。インナーレンズ部の背面において入光部から外れた領域には、目隠し用の形状が形成されていてもよい。このようにすれば、ポジションランプの構成部品または二輪車用前照灯10の内部構造をインナーレンズ部52を通じて灯具外から視認されにくくすることができる。
【0030】
ランプボディがエクステンション部材を支持してもよい。
【0031】
本発明のある態様の二輪車用前照灯は、レンズ保持部材と、それぞれが出射面を前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置され、レンズ保持部材の前面に溶着されている複数の投影レンズと、を備える。
【0032】
各投影レンズが、出射面を有するレンズ部と、レンズ部の外周に設けられたフランジ部と、を備え、フランジ部がレンズ保持部材の前面に溶着されていてもよい。
【0033】
二輪車用前照灯は、それぞれが、対応する投影レンズの入射面に対向して配置される複数の発光素子をさらに備えてもよい。
【0034】
複数の投影レンズのうち少なくとも1つは、ロービームを照射するための投影レンズとして設けられ、複数の投影レンズのうち他の少なくとも1つは、ハイビームを照射するための投影レンズとして設けられていてもよい。
【0035】
二輪車用前照灯は、車両に設けられるランプハウジングに装着可能なアウターレンズと、アウターレンズに取り付けられ、レンズ保持部材を支持するランプボディと、をさらに備えてもよい。アウターレンズがランプハウジングに装着された状態で、アウターレンズが二輪車用前照灯の正面視における意匠の外径を定めるとともに、ランプボディがランプハウジングに収納されていてもよい。
【0036】
本発明のある態様の二輪車用前照灯は、ポジションランプを組み込んだ二輪車用前照灯であって、透光性材料で構成される透光性本体と、透光性本体を被覆する遮光性被膜と、を備えるエクステンション部材を備える。ポジションランプ用のインナーレンズ部が、遮光性被膜の一部の欠落によって透光性本体に形成されている。
【0037】
透光性本体は、ポジションランプの配光を制御するための光学形状をインナーレンズ部の前面に有してもよい。
【0038】
二輪車用前照灯は、ポジションランプ用の発光素子をさらに備え、発光素子は、光がインナーレンズ部に直接入射するように配置されてもよい。
【0039】
透光性本体は、ポジションランプ用の発光素子に対向する入光部をインナーレンズ部の背面に有してもよい。
【0040】
インナーレンズ部の背面において入光部から外れた領域には、目隠し用の形状が形成されていてもよい。
【0041】
二輪車用前照灯は、車両に設けられるランプハウジングに装着可能なアウターレンズと、アウターレンズに取り付けられ、エクステンション部材を支持するランプボディと、をさらに備えてもよい。アウターレンズがランプハウジングに装着された状態で、アウターレンズが二輪車用前照灯の正面視における意匠の外径を定めるとともに、ランプボディがランプハウジングに収納されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明のある態様によれば、二輪車用前照灯に収納されたコードのばたつきを低減することができる。本発明のある態様によれば、複数の投影レンズが省スペースで固定された二輪車用前照灯を提供することができる。本発明のある態様によれば、二輪車用前照灯に組み込まれるポジションランプに関して、部品組み付け誤差による配光性能への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施の形態に係る二輪車用前照灯の概略正面図である。
図2図1に示される二輪車用前照灯のA-A線断面を概略的に示す図である。
図3図1および図2に示される二輪車用前照灯の概略分解斜視図である。
図4】実施の形態に係り、コードの経路を示す模式図である。
図5】実施の形態に係り、コードの経路を示す模式図である。
図6】実施の形態に係り、コードの経路を示す模式図である。
図7】実施の形態に係り、インナーレンズの固定を示す概略正面図である。
図8】実施の形態に係る二輪車用前照灯の概略正面図である。
図9図8に示される二輪車用前照灯のC断面を概略的に示す部分断面図である。
図10図8に示される二輪車用前照灯のE断面を概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0045】
図1は、実施の形態に係る二輪車用前照灯の概略正面図である。図2は、図1に示される二輪車用前照灯のA-A線断面を概略的に示す図である。図3は、図1および図2に示される二輪車用前照灯の概略分解斜視図である。
【0046】
二輪車用前照灯10は、カウル無しの自動二輪車に搭載される。二輪車用前照灯10は、車両前部のたとえば中央で前輪の上方に設置される。二輪車用前照灯10を取り付けるために、車両には、ランプハウジング11(図2参照)が設けられる。ランプハウジング11は、たとえばフロントフォークなど車体の構成部品にブラケットなどの取付部材を用いて固定されうる。
【0047】
二輪車用前照灯10は、ランプハウジング11に装着可能なアウターレンズ12を備える。ランプハウジング11は、前側に開口部を有し、この開口部を塞ぐようにアウターレンズ12の外周部がランプハウジング11に取り付けられる。アウターレンズ12は、例えば透明樹脂やガラス等、透光性を有する材料で形成される。いわゆる砲弾型のヘッドランプは一般に円錐状の外観を有するが、この実施の形態の二輪車用前照灯10は、前後方向の寸法(奥行)が比較的小さく、そのため、ランプハウジング11は、円錐状というよりも、ドーム状または半球状の形状をもつ。
【0048】
アウターレンズ12とランプハウジング11によって、二輪車用前照灯10の外観意匠が構成される。二輪車用前照灯10は、この実施の形態では、正面から見て、丸形で四眼の意匠を有する。アウターレンズ12がランプハウジング11に装着された状態で、アウターレンズ12は、二輪車用前照灯10の正面視における意匠の外径Dを定める。ランプハウジング11は、アウターレンズ12の背後に収まっていて、正面からは見えない。アウターレンズ12の後方には4つのインナーレンズ32が見られる。
【0049】
複数の発光素子29がそれぞれ、対応するインナーレンズ32の入射面に対向して配置されている。したがって、発光素子29が発光するとき、光は、対応するインナーレンズ32、さらにはアウターレンズ12を通じて二輪車用前照灯10の外部へと出射する。
【0050】
また、図2および図3に示されるように、二輪車用前照灯10は、アウターレンズ12に取り付けられるランプボディ14を備える。ランプボディ14は、たとえばポリカーボネートなど適宜の汎用樹脂で形成される。アウターレンズ12とランプボディ14との間に灯室18が形成される。アウターレンズ12とランプボディ14は通例、シール材を介して結合され、灯室18の気密性が確保される。なお、ランプボディ14には、呼吸穴とも呼ばれる通気口が設けられてもよく、二輪車用前照灯10は、呼吸穴を塞ぐキャップ37を有してもよい。
【0051】
アウターレンズ12がランプハウジング11に装着された状態で、ランプボディ14は、ランプハウジング11に収納される。ランプボディ14は、前側に開口部を有し、この開口部を塞ぐようにアウターレンズ12の外周部がランプボディ14に取り付けられる。ランプボディ14は、ランプハウジング11のすぐ内側に配置され、ランプハウジング11よりも若干小さいドーム状または半球状の形状をもつ。ランプボディ14は、アウターレンズ12とランプハウジング11の間に配置され、外部に露出されていない。
【0052】
図1に示されるように、二輪車用前照灯10には、オプションとして、ポジションランプ50が組み込まれてもよい。一例として、ポジションランプ50は、アウターレンズ12の内側でアウターレンズ12の縁に沿ってインナーレンズ32よりも下側に配置されてもよい。
【0053】
詳細は後述するが、ランプボディ14には、コード保持構造20が設けられている。この実施の形態では、図1に破線で示すように、コード保持構造20は、4つのインナーレンズ32のうち下側の2つのインナーレンズ32の間に配置されるが、とくにこの配置に限定されるわけではない。図2には、コード保持構造20を含む水平面による断面が示される。
【0054】
図2および図3に示されるように、二輪車用前照灯10は、配線基板22、コード24、放熱部材26、発光素子搭載基板28、リフレクタ30、複数のインナーレンズ32、エクステンション部材34をさらに備える。
【0055】
これらの構成部品は、二輪車用前照灯10の組み付け作業において、後方の部品から前方の部品へと積み重ねるようにして順番にランプボディ14に組み付けられる。各部品は、ねじ止めまたはそのほか適宜の接合手段を用いて、ランプボディ14、または当該部品の後方に隣接して配置される部品に取り付けられる。その後、ランプボディ14の開口部に蓋をするようにアウターレンズ12がランプボディ14と結合され、灯室18内に各部品が収められる。
【0056】
図2に示されるように、コード保持構造20は、配線基板22を貫通するように配置され、配線基板22の前面側でコード24を保持する。コード保持構造20は、ランプボディ14から前方に向けて突出しており、ランプボディ14と一体成形されている。ただし、コード保持構造20は、ランプボディ14とは別部品として用意され、ランプボディ14に装着されてもよい。配線基板22よりも前方に位置するコード保持構造20の先端部は、放熱部材26よりも後方に位置する。コード保持構造20の先端部は、放熱部材26の背面に近接しているが、接触していない。
【0057】
コード保持構造20は、その先端部でコード24を両側から保持する。この実施の形態では、コード24がコード保持構造20の位置で上下方向(図2において紙面に垂直な方向)に延びているので、コード保持構造20は、左右から挟み込むようにしてコード24を保持する。
【0058】
コード保持構造20は、コード受入スリット20aを有するコード保持リブとして構成される。コード受入スリット20aは、コード保持構造20の先端部に形成され、コード24の断面形状に合わせて例えばU字状とされている。コード24をコード受入スリット20aに嵌め込むことによって、コード24は左右両側および後側でコード保持構造20と接触し、保持される。
【0059】
配線基板22は、灯室18内で、背面を後方に向け、前面を前方に向けて配置される。つまり、配線基板22の背面はランプボディ14側を向き、前面はアウターレンズ12側を向く。図示の例では、配線基板22は、八角形状の平面形状を有するが、矩形またはその他の形状でもよい。
【0060】
配線基板22は、その背面でランプボディ14の基板支持部14aと接触し、ランプボディ14に支持されている。その状態で、配線基板22は、ランプボディ14にねじで固定される。一例として、配線基板22およびランプボディ14の外周部には正三角形状に配置される3箇所のねじ穴が設けられており、各ねじ穴に前側からねじが挿入される。
【0061】
配線基板22は、コード保持構造20が挿し通される挿通孔22aを有する。この挿通孔22aを通じて、コード保持構造20は、配線基板22の背面から前面へと突き抜けて配置される。挿通孔22aは、コード保持構造20の断面に対応する形状および寸法を有する。たとえば、コード保持リブが左右方向に長く上下方向に厚みの小さい細長矩形状の断面を有する場合、挿通孔22aはそれより若干大きい寸法をもつ左右方向に細長いスリットとして形成される。
【0062】
配線基板22の前面には、コネクタ22bが設置されている。一例として、図3に示されるように、コネクタ22bは、配線基板22の前面の外周部、たとえば正面から見て中央右側の端に配置されている。コネクタ22bには、二輪車用前照灯10を車両と接続するための外部接続配線36が接続される。外部接続配線36は、コネクタ22bから配線基板22の背面側を通って、ランプボディ14を貫通して二輪車用前照灯10の外へと配索される。また、配線基板22の前面には、図2および図3には明示されないが、多数の電子部品が搭載されている。配線基板22は、典型的にはリジッド基板であるが、フレキシブル基板であってもよい。
【0063】
コード24は、配線基板22に接続され、灯室18内に配索される。コード24の一端は配線基板22に例えばハンダ付けにより直に接続され、コード24の他端は発光素子搭載基板28にコネクタ接続される。コード24は、配線基板22の例えば前面最下部に接続されている。コード24は、複数本のケーブルがチューブで覆われる形式のワイヤーハーネスであってもよい。なお、コード24は、両端でコネクタ接続されてもよい。あるいは、コード24は、発光素子搭載基板28に直に接続され、配線基板22にコネクタ接続されてもよい。
【0064】
放熱部材26は、配線基板22に対して前方に配置される。放熱部材26は、発光素子搭載基板28が配置される本体26aと、本体26aの背面に形成される複数の放熱フィン26bと、を備える。放熱部材26は、本体26aを前方に向け、放熱フィン26bを後方に向けて灯室18内に配置される。本体26aは、板状に形成され、本体26aの前面が発光素子搭載基板28の背面と接触する。放熱フィン26bは、本体26aの背面で上下方向に延びている。本体26aと放熱フィン26bは、一体成形され、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属材料、またはそのほかの高熱伝導材料で形成されている。
【0065】
放熱部材26は、ランプボディ14にねじで固定される。一例として、放熱部材26およびランプボディ14の外周部には正三角形状に配置される3箇所のねじ穴が設けられており、各ねじ穴に前側からねじが挿入される。本体26aは、板状に形成され、正面から見て若干横長形状とされ、左右の輪郭はランプボディ14の内周に合わせた円弧状とされ、上下は直線状となっている。放熱部材26は、上側の直線部の両端でねじ止めされるとともに、下側の直線部の中央でねじ止めされる。
【0066】
発光素子搭載基板28は、配線基板22と同様に、灯室18内で、背面を後方に向け、前面を前方に向けて配置される。発光素子搭載基板28は、矩形状の形状を有し、その上下辺は放熱部材26の上下の直線部に沿っている。発光素子搭載基板28は、放熱部材26にねじで固定される。発光素子搭載基板28には上下左右にねじ穴が設けられており、各ねじ穴に前側からねじが挿入される。
【0067】
発光素子搭載基板28と放熱部材26には、放熱部材26の背面から発光素子搭載基板28の前面へと貫通した開口部38が形成されている。コード24は、放熱部材26と配線基板22との間でコード保持構造20に保持され、開口部38を通じて発光素子搭載基板28に接続される。開口部38は、放熱部材26および発光素子搭載基板28の中心部に開口している。開口部38は、たとえば正方形状とされるが、他の形状でもよい。発光素子搭載基板28の前面で開口部38の下側には、コード24が接続されるコネクタ28aが設けられている。
【0068】
また、発光素子搭載基板28の前面には、複数の発光素子29が実装されている。この実施の形態では、4つの発光素子29が4つのインナーレンズ32に対応した配置で設けられる。発光素子29は、この実施の形態では、発光ダイオード(LED)であるが、とくに限定されず、他の半導体発光素子またはそのほか任意の発光素子でもよい。発光素子搭載基板28は、コード24、配線基板22、外部接続配線36を介して外部電源(図示せず)に接続されることができる。よって、発光素子29は、外部電源から給電され、発光することができる。
【0069】
リフレクタ30は、発光素子搭載基板28に対して前方に配置される。リフレクタ30は、各発光素子29が発する光を前方に通すための光透過孔と、この光透過孔のまわりに配置される反射面とを有する。各発光素子29が発する光の一部は光透過孔を通過して対応するインナーレンズ32に直接入射し、発光素子29からの光の他の一部は反射面で反射されインナーレンズ32に向けられる。リフレクタ30は、ランプボディ14に支持される。たとえば、リフレクタ30は、外周部の複数箇所で放熱部材26またはランプボディ14にねじ止めされる。ポジションランプ50用の発光素子搭載基板50aが、リフレクタ30にねじ止めされてもよい。なお発光素子搭載基板50aは、コード24とは別のコード25により配線基板22にコネクタ接続されてもよい。
【0070】
複数のインナーレンズ32は、それぞれが出射面33oを前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置され、リフレクタ30の前面に保持されている。リフレクタ30は、インナーレンズ32を保持するレンズ保持部材として用いられる。インナーレンズ32は、たとえばアクリル樹脂、またはポリカーボネートなど透明樹脂材料で形成される。レンズの材料は、とくに限定されず、その他の透明樹脂、ガラス等、透光性を有する適宜の材料で形成されてもよい。
【0071】
この実施の形態では、一つ一つのインナーレンズ32が個別の部品として設けられている。各インナーレンズ32は、レンズ部32aと、レンズ部32aの外周に設けられたフランジ部32bとを備える。各インナーレンズ32のレンズ部32aとフランジ部32bは一体成形されている。レンズ部32aは、入射面33iおよび出射面33oを有する。入射面33iは発光素子搭載基板28側を向き、出射面33oはアウターレンズ12側を向く。レンズ部32aは、発光素子29からの入射光に所望の制御を施して、アウターレンズ12に向かう出射光を得るように光学的に設計されている。レンズ部32aは、一例として、入射面33iと出射面33oがそれぞれ異なる凸面とされた両凸非球面レンズである。
【0072】
フランジ部32bがリフレクタ30の前面に溶着され、それにより、インナーレンズ32がリフレクタ30に固定される。この実施の形態では、固定にレーザー溶着が使用される。適用可能であれば、その他の溶着手段、または締結など機械的接合手段を用いて、インナーレンズ32がリフレクタ30に固定されてもよい。
【0073】
上述のように、この実施の形態では、二輪車用前照灯10は、四眼式の意匠を有し、4つのインナーレンズ32が設けられている。4つのインナーレンズ32は、灯具の中心を囲むようにして正方形状に配置され、2つのインナーレンズ32が灯具の上部で左右に並び、残りの2つのインナーレンズ32が灯具の下部で左右に並んでいる。
【0074】
複数のインナーレンズ32は、灯具前方に配光パターンを投影するための投影レンズとして設けられている。複数のインナーレンズ32のうち少なくとも1つが、複数のインナーレンズ32のうち他の少なくとも1つとは、異なる配光パターンを形成するための投影レンズとして設けられてもよい。
【0075】
この実施の形態では、複数のインナーレンズ32のうち少なくとも1つは、ロービームを照射するための投影レンズとして設けられ、複数のインナーレンズ32のうち他の少なくとも1つは、ハイビームを照射するための投影レンズとして設けられている。より具体的には、上部に位置する2つのインナーレンズ32がロービーム用の投影レンズとして設けられ、下部に位置する2つのインナーレンズ32がハイビーム用の投影レンズとして設けられている。
【0076】
エクステンション部材34は、アウターレンズ12の後方で、リフレクタ30の前方に配置される。エクステンション部材34は、リフレクタ30や放熱部材26など、インナーレンズ32を除く灯室18内の構成部品を覆い隠すように構成される。エクステンション部材34には、インナーレンズ32からアウターレンズ12に向かう光を通すための開口が設けられている。エクステンション部材34は、外周部の複数箇所でランプボディ14にねじ止めされる。
【0077】
なお、アウターレンズ12、インナーレンズ32、リフレクタ30など各種の光学部品のサイズ、形状、設置される位置および姿勢は、とくに限定されず、例えば、二輪車用前照灯10に望まれる灯具意匠、配光要件、またはその他の条件に応じて、適宜設定されうる。
【0078】
図4から図6は、実施の形態に係り、コード24の経路を示す模式図である。図4には、ランプボディ14に取り付けられた放熱部材26および発光素子搭載基板28を正面から見た様子が模式的に示される。図5には、図4に示されるB断面を模式的に示す。図6には、放熱部材26の背面が模式的に示される。
【0079】
上述のように、発光素子搭載基板28と放熱部材26には、放熱部材26の背面から発光素子搭載基板28の前面へと貫通した開口部38が形成されている。コード24は、放熱部材26と配線基板22との間でコード保持構造20に保持され、開口部38を通じて発光素子搭載基板28に接続される。
【0080】
コード24は、配線基板22からランプボディ14の外周部に向けて延び、そこから上方へと湾曲されて、コード保持構造20で保持される。例えば、コード24は、配線基板22のたとえば前面最下部に接続され、そこからランプボディ14の外周部に向けて下方に一旦延び、反対向きに湾曲する。コード24はこの湾曲部で、ランプボディ14の外周部に設けられた爪状のコードクランプ14bで保持されてもよい。コード24は、コードクランプ14bから上方に延び、コード保持構造20で保持される。コード24はさらに、コード保持構造20から二輪車用前照灯10の中心軸付近まで上方に延び、開口部38に向けて前方へと湾曲する。そして、コード24は、開口部38を通って発光素子搭載基板28の前面に至り、発光素子搭載基板28のコネクタ28aに接続される。
【0081】
図5に示されるように、コード保持構造20によってコード24が保持される配線基板22の前面からの高さH1は、配線基板22の前面に搭載される電子部品40の高さH2よりも高くなっている。コード24と電子部品40が同じ高さに配置される場合に比べて、コード24を電子部品40から遠距離に配置することができる。走行中の振動によりコード24が電子部品40の角部にあたってこすれる等、コード24と電子部品40との干渉を抑制することができる。
【0082】
また、コード24と配線基板22上の電子部品40の配置高さを異ならせることに代えて、またはそれとともに、コード24の経路と電子部品40の配置が二輪車用前照灯10の正面から見て異なってもよい。たとえば、図5に示されるように、二輪車用前照灯10の中心部(たとえば開口部38)に対して片側(たとえば下側)にコード24が配置され、反対側(たとえば上側)に電子部品40が配置されてもよい。このようにしても、コード24と電子部品40との干渉を抑制することができる。
【0083】
図6に示されるように、放熱部材26の複数の放熱フィン26bは、コード保持構造20から開口部38へのコード24の経路を避けて配置されている。放熱部材26の背面には、開口部38から最下部へと凹部42が形成されている。この凹部42の幅W1は、たとえば、放熱フィン26bの間隔W2よりも広い。このようにして、走行中の振動によりコード24が放熱フィン26bにあたってこすれる等、コード24と放熱フィン26bとの干渉を抑制することができる。
【0084】
本実施の形態では、アウターレンズ12が二輪車用前照灯10の正面視における意匠の外径Dを定めるという外観意匠上の要件を満たすことが求められる。そのため、ランプハウジング11を正面から見てアウターレンズ12から外側に広げる設計とすることは許容されず、図1から図3を参照して説明したように、ランプハウジング11は、アウターレンズ12の背後に収められている。このようにして正面視において比較的小さい外形寸法に制限されたランプハウジング11のなかにランプボディ14が収納されるので、灯室18も狭くなる。また、灯室18内のスペースの大部分は、様々な灯具構成部品で占められている。二輪車用前照灯10には、ダミー部を設ける空間的な余裕がほとんどない。
【0085】
しかしながら、本実施の形態では、コード保持構造20は、ランプボディ14から配線基板22を突き抜けるように配置される。したがって、灯室18内の外周部に十分なスペースがなくダミー部を設けられない場合であっても、二輪車用前照灯10の灯室18内にコード保持構造20を設置することができる。コード保持構造20がコード24を保持するので、コード24のばたつきが低減される。また、コード保持構造20が配線基板22の前面側でコード24を保持するので、組み付け作業において作業者がコード24をコード保持構造20に取り付けるとき手が届きやすく、作業性がよい。
【0086】
また、本実施の形態では、コード24は、放熱部材26と配線基板22との間でコード保持構造20に保持される。放熱部材26と配線基板22の間のスペースがコード24を収容するために利用される。また、コード24は、開口部38を通じて発光素子搭載基板28に接続される。コード24を通す経路として、放熱部材26および発光素子搭載基板28の中心部を利用することができる。これにより、灯室18内で配線基板22よりも外周側に空きスペースが少ない場合であってもコード24を配線基板22から発光素子搭載基板28へと配索することができる。
【0087】
図7は、実施の形態に係り、インナーレンズ32の固定を示す概略正面図である。図7には、リフレクタ30およびインナーレンズ32を正面から見た様子が模式的に示される。
【0088】
上述のように、複数のインナーレンズ32が一つのレンズ保持部材としてのリフレクタ30に固定される。各インナーレンズ32のフランジ部32bがレーザー溶着を用いてリフレクタ30の前面に溶着される。各フランジ部32bには、複数の溶着部44が形成される。インナーレンズ32は透明部材であり、リフレクタ30は有色部材である。そのため、溶着部44は、レーザー光の照射によりリフレクタ30の表面が溶けフランジ部32bと接合されることで形成される。溶着部44は、各レンズに均等に配置される。一例として、溶着部44は、レンズごとに3箇所が等角度間隔(すなわち正三角形状)に設けられる。
【0089】
フランジ部32bは、レンズ部32aの全周に設けられてもよいが、溶着部44を確保できれば、レンズ部32aの周の一部から欠落してもよい。図示されるように、上側の2つのインナーレンズ32についてはレンズ部32aの最下部でフランジ部32bが無く、下側の2つのインナーレンズ32についてはレンズ部32aの最上部でフランジ部32bが無い。フランジ部32bを部分的に無くすことによって、2つのレンズをより近づけて配置することが可能になる。
【0090】
フランジ部32bには、位置決め部46が設けられてもよい。たとえば、位置決め部46は、レンズ部32aの両側に位置するようにフランジ部32bの2ヶ所に設けられている。位置決め部46は、フランジ部32bの背面に形成された位置決め穴であってもよい。リフレクタ30の前面には、この位置決め穴に対応する位置決めピンが形成されている。フランジ部32bをリフレクタ30に装着するとき位置決めピンが位置決め穴に嵌り、インナーレンズ32が所定の場所に位置決めされてもよい。この状態で、前方からレーザー光が照射され、溶着部44が形成され、インナーレンズ32がリフレクタ30に固定されてもよい。
【0091】
なお、位置決め部46は、様々な配置および形状をとりうる。この実施の形態では、位置決め部46は、レンズ部32aの左右に位置するが、フランジ部32bの背面上で他の場所に形成されてもよい。位置決め部46は、たとえば円柱状の位置決め穴であるが、他の形状をもつ凹部、または凹部と嵌合する凸部、またはその他の位置決め構造であってもよい。
【0092】
本実施の形態では、アウターレンズ12が二輪車用前照灯10の正面視における意匠の外径Dを定めるという外観意匠上の要件を満たすことが求められる。そのため、ランプハウジング11を正面から見てアウターレンズ12から外側に広げる設計とすることは許容されず、図1から図3を参照して説明したように、ランプハウジング11は、アウターレンズ12の背後に収められている。このようにして正面視において比較的小さい外形寸法に制限されたランプハウジング11のなかにランプボディ14が収納されるので、灯室18も狭くなる。
【0093】
限られたスペースに四眼式の意匠を収めるべく、個々のインナーレンズ32が互いに近接して配置されることになる。一方で、配光性能上、各インナーレンズ32のレンズ部32aは比較的大きなサイズとすることが求められる。その結果、フランジ部32bの配置のために残された場所は少なくなる。典型的な設計では、インナーレンズ32が締結など機械的接合によりリフレクタ30に固定されうるが、フランジ部32bの幅が狭ければ、十分な機械強度を持つ締結構造をフランジ部32bに設置することが困難となる。
【0094】
しかしながら、本実施の形態では、複数のインナーレンズ32はそれぞれが出射面33oを前方に向け、正面視において互いに異なる位置に配置されるというレンズ配置のもとで、複数のインナーレンズ32がリフレクタ30の前面に溶着されている。これにより、締結を利用したレンズ固定に比べて、複数のインナーレンズ32を省スペースで固定することができる。
【0095】
また、フランジ部32bがリフレクタ30の前面に溶着されている。締結を利用したレンズ固定に比べて、幅の狭いフランジ部32bであっても十分な固定が可能となる。
【0096】
溶着手段としてレーザー溶着が使用される。ランプボディ14にリフレクタ30を取り付けた状態で、アウターレンズ12およびエクステンション部材34を取り付ける前に、前方からレーザー光を照射して溶着部44を形成することができる。二輪車用前照灯10の組み付け作業において比較的容易に施工することができる。
【0097】
図8は、実施の形態に係る二輪車用前照灯の概略正面図である。図8では、二輪車用前照灯10に組み込まれたポジションランプ50が図1よりも詳細に示されている。図9は、図8に示される二輪車用前照灯のC断面を概略的に示す部分断面図である。図10は、図8に示される二輪車用前照灯のE断面を概略的に示す部分断面図である。
【0098】
次に、図3図8図9および図10を主に参照して、実施の形態に係るポジションランプ50を説明する。図9には、ポジションランプ50用の発光素子51およびインナーレンズ部52の光学形状53を通る鉛直面による断面が示され、図10には、これらを通る水平面による断面が示される。
【0099】
ポジションランプ50は、二輪車用前照灯10の各構成部品と同様に、灯室18内に配置される。ただし、灯室18の大半のスペースは、インナーレンズ32やリフレクタ30をはじめとして二輪車用前照灯10の構成部品で占められているので、ポジションランプ50は、灯室18内でこれら構成部品よりも外周寄りに配置される。上述のように、この実施の形態では、ポジションランプ50は、アウターレンズ12の内側でアウターレンズ12の縁に沿ってインナーレンズ32よりも下側に配置されている。
【0100】
ポジションランプ50用の発光素子51は、発光素子搭載基板50aに実装されている。発光素子51は、たとえば発光ダイオード(LED)であるが、とくに限定されず、他の半導体発光素子またはそのほか任意の発光素子でもよい。発光素子搭載基板50aは、コード25、配線基板22、外部接続配線36を介して外部電源(図示せず)に接続されることができる(図3参照)。よって、発光素子51は、外部電源から給電され、発光することができる。上述のように、この実施の形態では、発光素子搭載基板50aは、リフレクタ30に固定されているが、灯室18に配置される他の灯具構成部品(たとえば放熱部材26、またはその他のブラケットなど)に固定されてもよい。
【0101】
発光素子51は、光がインナーレンズ部52に直接入射するように配置される。また、発光素子51は、インナーレンズ部52の光学形状53に対応して配置され、一例として、4つの発光素子51が4つの光学ステップに対応した配置で設けられる。これら複数の発光素子51および光学形状53は、二輪車用前照灯10の周方向において概ね等間隔に配置される。
【0102】
ポジションランプ50用のインナーレンズ部52は、エクステンション部材34に一体成形されている。エクステンション部材34は、透光性材料で構成される透光性本体54と、透光性本体54を被覆する遮光性被膜56と、を備え、ポジションランプ50用のインナーレンズ部52が、遮光性被膜56の一部の欠落によって透光性本体54に形成されている。インナーレンズ部52は、エクステンション部材34の外周部で、発光素子51と対向する場所に形成される。インナーレンズ部52は、たとえば図8に示されるように、円弧状の形状を有してもよい。
【0103】
透光性本体54は、たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはその他の透明樹脂材料で形成される。透光性本体54は、例えば上述した樹脂材料を射出成形することで形成される。したがって、インナーレンズ部52を含めて透光性本体54は、発光素子51が発する光に対して透明である。なお、透光性本体54は、たとえばガラス等、他の透光性材料で形成されてもよい。
【0104】
図9に示されるように、遮光性被膜56は、灯室18内の構成部品を灯具外から見えにくくするために、透光性本体54の表面に設けられる。遮光性被膜56は、エクステンション部材34の前面においてインナーレンズ部52を除く領域に設けられる。遮光性被膜56は、エクステンション部材34の背面にも設けられてもよく、この場合も、インナーレンズ部52を除く領域に設けられる。遮光性被膜56は、一例として、黒色塗装であり、インナーレンズ部52をマスクして行うマスク塗装によって形成される。なお、遮光性被膜56は、他の色の遮光性塗料で透光性本体54に形成されてもよいし、あるいは、アルミニウム等の金属層をたとえば蒸着など適切な手法で透光性本体54に成膜することで形成されてもよい。
【0105】
また、透光性本体54は、ポジションランプ50の配光を制御するための光学形状53をインナーレンズ部52の前面に有する。この実施の形態では、光学形状53は、インナーレンズ部52の前面から前方に突出して設けられている。複数の光学形状53が複数の発光素子51に対応して設けられている。図10に示されるように、各光学形状53は、前面53aおよび左右両側の側面53b、53cを有する三角形状の光学ステップとして形成されている。
【0106】
さらに、透光性本体54は、ポジションランプ50用の発光素子51に対向する入光部58をインナーレンズ部52の背面に有する。複数の発光素子51に対応して複数の入光部58が設けられる。入光部58は、インナーレンズ部52の背面から、対応する発光素子51に向けて後方に突出して設けられている。また、入光部58は、光学形状53へと連続するように光学形状53の背後に位置する。そのため、インナーレンズ部52は、発光素子51から入光部58に入射する光を光学形状53へと効率的に導光することができる。
【0107】
インナーレンズ部52の背面において入光部58から外れた領域には、目隠し用の形状60が形成されている。入光部58は発光素子51の正面に配置されるので、目隠し用の形状60は、インナーレンズ部52の背面において発光素子51の正面から外れた場所に設けられる。目隠し用の形状60は、左右に隣り合う2つの入光部58の間に設けられ、目隠し用の形状60と入光部58は交互に並ぶことになる。目隠し用の形状60は、一例として、シボ加工により形成されるシボ面である。あるいは、目隠し用の形状60は、発光素子51および発光素子搭載基板50aなどのポジションランプ50の構成部品、または二輪車用前照灯10の内部構造をインナーレンズ部52を通じて灯具外から見えにくくするためにインナーレンズ部52に形成されるその他の凹凸形状であってもよい。
【0108】
図9および図10を参照して、ポジションランプ50の発光動作を述べる。発光素子51が発光するとき、光は、インナーレンズ部52の背面の入光部58に入射する。発光素子51から入光部58に光が直に入射するので、発光素子51の光をより確実にインナーレンズ部52に入射させることができる。
【0109】
光学形状53が入光部58から連続的に設けられているので、入光部58に入射した光は、光学形状53へと進む。インナーレンズ部52は、光学形状53の前面53aを通じて光を前方に出射することができる(図9に示される光L1)。それとともに、インナーレンズ部52は、光学形状53の一方の側面53bでの内部反射を利用して、反対側の側面53cを通じて側方に光を出射することができる(図10に示される光L2)。同様に、インナーレンズ部52は、光学形状53の側面53cでの内部反射を利用して、反対側の側面53bを通じて側方に光を出射することができる。
【0110】
このような光学形状53を有することにより、インナーレンズ部52は、発光素子51からの光を前方に出射するだけでなく(図9に示される光L1)、側方に光を出射することができる(図10に示される光L2)。通例、ポジションランプ50には、法規上求められる配光要件の1つとして、所定の左右角度範囲にわたって規定の光度値を上回ることが要請される。側面53b、53cを有する光学形状53をインナーレンズ部52の前面に設けることにより、こうした配光要件を満たすことが容易になる。このようにしてインナーレンズ部52を出る光は、さらにアウターレンズ12を通じて二輪車用前照灯10の外部へと出射する。
【0111】
本実施の形態では、アウターレンズ12が二輪車用前照灯10の正面視における意匠の外径Dを定めるという外観意匠上の要件を満たすことが求められる。そのため、ランプハウジング11を正面から見てアウターレンズ12から外側に広げる設計とすることは許容されず、図1から図3を参照して説明したように、ランプハウジング11は、アウターレンズ12の背後に収められている。このようにして正面視において比較的小さい外形寸法に制限されたランプハウジング11のなかにランプボディ14が収納されるので、灯室18も狭くなる。また、灯室18内のスペースの大部分は、様々な灯具構成部品で占められている。二輪車用前照灯10には、ポジションランプ50を配置する空間的な余裕がほとんどない。
【0112】
従来、エクステンション部材にインナーレンズが取り付けられた構造を得る場合、インナーレンズを嵌め込むための開口部を有するエクステンション部材と、インナーレンズとを別々に成形した後、エクステンション部材の開口部にインナーレンズを嵌め込むという設計が典型的である。
【0113】
これに対し、本実施の形態では、遮光性被膜56を透光性本体54上に部分的に設けないことによって、ポジションランプ50用のインナーレンズ部52がエクステンション部材34に形成される。したがって、二輪車用前照灯10の製造工程において、インナーレンズ部52をエクステンション部材34に組み付ける作業はもはや必要なく、そのような組み付け作業の結果として生じうる組み付け誤差も発生しない。また、ポジションランプ50に割り当てられる灯室18内のスペースが限られている場合であっても、ポジションランプ50用のインナーレンズ部52を配置し、ポジションランプ50に所望の光学制御を実現することが可能となる。こうして、上述の外観意匠と配光要件の両立を可能とする二輪車用前照灯10用のポジションランプ50の構造が提供される。
【0114】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0115】
上述の実施の形態では、コード保持構造20がスリット付きのコード保持リブとして構成される場合を例として説明したが、コード24を保持する構造は、それに限られない。コード保持構造20は、コード保持リブに設けられた貫通穴、コードクランプ、または、コード24との係合によりコード24を保持するその他の形状または構造を有してもよい。
【0116】
また、上述の実施の形態では、コード保持構造20が一つのコード保持リブで構成されるが、複数のコード保持リブが設けられてもよい。たとえば、ランプボディ14または支持部材には、複数のスリット付きコード保持リブが互いに異なる場所に設けられ、これらコード保持リブでコード24が保持されてもよい。コード24をその長手方向に複数の位置で保持することによって、コード24が比較的長い場合にもコード24を良好に固定できる。
【0117】
上述の実施の形態では、配線基板22がランプボディ14の基板支持部14aに支持されるが、二輪車用前照灯10は、配線基板22を支持するための、ランプボディ14とは別の支持部材を備えてもよい。こうした支持部材は、ランプボディ14と配線基板22の間に配置され、ランプボディ14に支持され、配線基板22を支持してもよい。
【0118】
上述の実施の形態では、レンズ保持部材としてリフレクタ30が使用される場合を例として説明しているが、二輪車用前照灯10は、別のレンズ保持部材を備えてもよく、このレンズ保持部材に複数のインナーレンズ32が溶着されていてもよい。
【0119】
上述の実施の形態では、一つ一つのインナーレンズ32が個別の部品として設けられているが、2以上のインナーレンズ32が単一の部品として設けられてもよい。たとえば、複数のインナーレンズ32のうち一部のインナーレンズ32(たとえば、隣接する2つのインナーレンズ32)が一体成形されてもよい。あるいは、すべてのインナーレンズ32が一体成形されてもよい。
【0120】
上述の実施の形態では、ポジションランプ50の配光制御用の光学形状53は、三角形状の光学ステップを例として説明したが、望まれる配光要件、灯具意匠、またはその他の条件に応じて、適宜設定されうる。光学形状53は、視認角を左右に拡げるものには限られない。それに代えて、またはそれとともに、光学形状53は、視認角を上下に拡げるように構成されてもよい。光学形状53は、発光素子51からの光に所望の光学制御を提供するものであってもよい。必要とされる場合には、光学形状53は、インナーレンズ部52の前面に代えて、または前面に加えて、インナーレンズ部52の背面に設けられてもよい。
【0121】
上述の実施の形態では、二輪車用前照灯10は、丸形の意匠を有するが、角形またはその他の意匠を有してもよい。その場合、正面視における「外径」は、上下の高さ及び/または左右の幅とみなされうる。また、二輪車用前照灯10は、四眼式に限られず、その他の多眼式または複眼式でもよい。実施の形態に係るコード保持構造20は、単眼式にも適用しうる。
【0122】
上述の実施の形態では、二輪車用前照灯10は、カウル無しの自動二輪車に搭載されるが、それに限られない。二輪車用前照灯10は、カウルを備える自動二輪車においてカウルに装着されてもよい。
【0123】
本書における「二輪車」との用語は、三輪車、とくに、自動二輪車に法規上区分される自動三輪車を含みうる。
【0124】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、二輪車用前照灯に利用できる。
【符号の説明】
【0126】
10 二輪車用前照灯、 11 ランプハウジング、 12 アウターレンズ、 14 ランプボディ、 18 灯室、 20 コード保持構造、 22 配線基板、 24 コード、 26 放熱部材、 26a 本体、 26b 放熱フィン、 28 発光素子搭載基板、 29 発光素子、 30 リフレクタ、 32 インナーレンズ、 32a レンズ部、 32b フランジ部、 33i 入射面、 33o 出射面、 34 エクステンション部材、 38 開口部、 50 ポジションランプ、 51 発光素子、 52 インナーレンズ部、 53 光学形状、 53a 前面、 54 透光性本体、 56 遮光性被膜、 58 入光部、 60 目隠し用の形状。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10