(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241028BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20241028BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20241028BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L25/04 C
(21)【出願番号】P 2021573030
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2020048436
(87)【国際公開番号】W WO2021149452
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020007272
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】神田 沢水
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0240731(US,A1)
【文献】特開2016-039206(JP,A)
【文献】特開2013-179229(JP,A)
【文献】特開2014-204006(JP,A)
【文献】特開2015-170605(JP,A)
【文献】特開2004-303900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
H02M 7/42 - 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面および第1絶縁裏面を有しており、前記第1絶縁裏面が露出した第1絶縁部材と、
前記第1絶縁主面上に設けられた第1駆動導電層と、
前記第1駆動導電層に搭載された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面および第2絶縁裏面を有しており、前記第2絶縁裏面が露出し、前記第2絶縁主面が前記第1絶縁主面と前記厚さ方向において対向するように前記第1絶縁部材に対して前記厚さ方向に離間して配置された第2絶縁部材と、
前記第2絶縁主面上に設けられた第2駆動導電層と、
前記第2駆動導電層に搭載された第2半導体素子と、
前記第1絶縁部材および前記第1駆動導電層のうちの少なくとも一方と、前記第2絶縁部材および前記第2駆動導電層のうちの少なくとも一方との間に伝熱経路を形成する接続部材と、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記接続部材の熱伝導率は、前記封止樹脂の熱伝導率よりも高
く、
前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第1素子主面および第1素子裏面を有しており、前記第1素子裏面が前記第1駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第1素子裏面には、第1裏面側駆動電極が設けられており、
前記第1素子主面には、第1主面側駆動電極が設けられており、
前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2素子主面および第2素子裏面を有しており、前記第2素子裏面が前記第2駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第2素子裏面には、第2裏面側駆動電極が設けられており、
前記第2素子主面には、第2主面側駆動電極が設けられており、
前記第1駆動導電層は、第1駆動配線および第2駆動配線を有しており、
前記第1半導体素子は、前記第1裏面側駆動電極が前記第1駆動配線に電気的に接続されるように前記第1駆動配線に搭載されており、
前記接続部材は、電気絶縁性を有する材料からなり、前記第1駆動導電層と前記第2駆動導電層とを接続している
半導体装置。
【請求項2】
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第1半導体素子よりも前記第2半導体素子の近くに配置されている
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体素子は、前記第2裏面側駆動電極が前記第2駆動導電層に電気的に接続されるように前記第2駆動導電層に搭載されており、
前記厚さ方向において前記第2半導体素子と前記第2駆動配線とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第2半導体素子と前記第2駆動配線との間には、前記第2主面側駆動電極と前記第2駆動配線とを電気的に接続する第2接続層が設けられている
請求項
1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記厚さ方向において前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層との間には、前記第1主面側駆動電極と前記第2駆動導電層とを電気的に接続する第1接続層が設けられている
請求項
3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子はそれぞれ、複数個設けられており、
前記厚さ方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の第1半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに離間して配置されており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2方向に向けて延びている
請求項
1~
4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続部材は、前記第1方向から視て、前記複数の第2半導体素子の全てと重なるように配置されている
請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接続部材は、前記第1方向において前記複数の第2半導体素子の全てと隣り合うように配置されている
請求項
6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1方向における前記接続部材の大きさは、前記第1方向における前記第2半導体素子の大きさよりも小さい
請求項
5~
7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
厚さ方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面および第1絶縁裏面を有しており、前記第1絶縁裏面が露出した第1絶縁部材と、
前記第1絶縁主面上に設けられた第1駆動導電層と、
前記第1駆動導電層に搭載された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面および第2絶縁裏面を有しており、前記第2絶縁裏面が露出し、前記第2絶縁主面が前記第1絶縁主面と前記厚さ方向において対向するように前記第1絶縁部材に対して前記厚さ方向に離間して配置された第2絶縁部材と、
前記第2絶縁主面上に設けられた第2駆動導電層と、
前記第2駆動導電層に搭載された第2半導体素子と、
前記第1絶縁部材および前記第1駆動導電層のうちの少なくとも一方と、前記第2絶縁部材および前記第2駆動導電層のうちの少なくとも一方との間に伝熱経路を形成する接続部材と、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記接続部材の熱伝導率は、前記封止樹脂の熱伝導率よりも高く、
前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第1素子主面および第1素子裏面を有しており、前記第1素子裏面が前記第1駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第1素子裏面には、第1裏面側駆動電極が設けられており、
前記第1素子主面には、第1主面側駆動電極が設けられており、
前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2素子主面および第2素子裏面を有しており、前記第2素子裏面が前記第2駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第2素子裏面には、第2裏面側駆動電極が設けられており、
前記第2素子主面には、第2主面側駆動電極が設けられており、
前記第1駆動導電層は、第1駆動配線および第2駆動配線を有しており、
前記第1半導体素子は、前記第1裏面側駆動電極が前記第1駆動配線に電気的に接続されるように前記第1駆動配線に搭載されており、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子はそれぞれ、複数個設けられており、
前記厚さ方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の第1半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに離間して配置されており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2方向に向けて延びており、
前記接続部材は、前記複数の第2半導体素子のうち前記第2方向の両端の第2半導体素子の一方を前記第2方向から取り囲む部分を有している
半導体装置。
【請求項10】
厚さ方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面および第1絶縁裏面を有しており、前記第1絶縁裏面が露出した第1絶縁部材と、
前記第1絶縁主面上に設けられた第1駆動導電層と、
前記第1駆動導電層に搭載された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面および第2絶縁裏面を有しており、前記第2絶縁裏面が露出し、前記第2絶縁主面が前記第1絶縁主面と前記厚さ方向において対向するように前記第1絶縁部材に対して前記厚さ方向に離間して配置された第2絶縁部材と、
前記第2絶縁主面上に設けられた第2駆動導電層と、
前記第2駆動導電層に搭載された第2半導体素子と、
前記第1絶縁部材および前記第1駆動導電層のうちの少なくとも一方と、前記第2絶縁部材および前記第2駆動導電層のうちの少なくとも一方との間に伝熱経路を形成する接続部材と、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記接続部材の熱伝導率は、前記封止樹脂の熱伝導率よりも高く、
前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第1素子主面および第1素子裏面を有しており、前記第1素子裏面が前記第1駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第1素子裏面には、第1裏面側駆動電極が設けられており、
前記第1素子主面には、第1主面側駆動電極が設けられており、
前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2素子主面および第2素子裏面を有しており、前記第2素子裏面が前記第2駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第2素子裏面には、第2裏面側駆動電極が設けられており、
前記第2素子主面には、第2主面側駆動電極が設けられており、
前記第1駆動導電層は、第1駆動配線および第2駆動配線を有しており、
前記第1半導体素子は、前記第1裏面側駆動電極が前記第1駆動配線に電気的に接続されるように前記第1駆動配線に搭載されており、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子はそれぞれ、複数個設けられており、
前記厚さ方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の第1半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに離間して配置されており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2方向に向けて延びており、
前記接続部材は、前記複数の第2半導体素子のうち前記第2方向において隣り合う第2半導体素子の間に位置する部分を有している
半導体装置。
【請求項11】
前記接続部材は、前記複数の第2半導体素子のうち前記第2方向の両端の第2半導体素子の一方を前記第2方向から取り囲む部分を有している
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記接続部材は、前記第2駆動導電層と接続している
請求項9~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第1半導体素子よりも前記第2半導体素子の近くに配置されている
請求項9~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2半導体素子は、前記第2裏面側駆動電極が前記第2駆動導電層に電気的に接続されるように前記第2駆動導電層に搭載されており、
前記厚さ方向において前記第2半導体素子と前記第2駆動配線とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第2半導体素子と前記第2駆動配線との間には、前記第2主面側駆動電極と前記第2駆動配線とを電気的に接続する第2接続層が設けられている
請求項9~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記厚さ方向において前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層との間には、前記第1主面側駆動電極と前記第2駆動導電層とを電気的に接続する第1接続層が設けられている
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記接続部材は、電気絶縁性を有する材料からなり、前記第1駆動導電層と前記第2駆動導電層とを接続している
請求項9~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記接続部材は、前記第1方向から視て、前記複数の第2半導体素子の全てと重なるように配置されている
請求項9~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記接続部材は、前記第1方向において前記複数の第2半導体素子の全てと隣り合うように配置されている
請求項9~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1方向における前記接続部材の大きさは、前記第1方向における前記第2半導体素子の大きさよりも小さい
請求項9~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記接続部材は、スプリング材を含む
請求項1~
8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記接続部材は、1または複数の柱状のスプリングプローブを含む
請求項1~
8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第2絶縁主面上に設けられた制御導電層を有しており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2半導体素子に対して前記制御導電層とは反対側に配置されている
請求項1~
21のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材はそれぞれ、セラミックスからなる
請求項1~
22のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一例として、第1絶縁部材上に設けられた第1半導体素子と、第1半導体素子よりも上方に配置された第2絶縁部材と、第2絶縁部材上に設けられた第2半導体素子と、を備えた両面放熱構造の半導体装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。この半導体装置は、第1絶縁部材に第1冷却器が取り付けられており、第2絶縁部材に第2冷却器が取り付けられた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搭載場所の状態によっては、上記半導体装置は、第1冷却器と第2冷却器のいずれか一方、たとえば第2冷却器が省略された状態で使用される場合がある。この場合、第1半導体素子から第1冷却器までの熱抵抗と、第2半導体素子から第1冷却器までの熱抵抗との差が大きくなる。その結果、半導体装置の駆動時において第1半導体素子および第2半導体素子のうち熱抵抗が高い方の温度が高くなるため、半導体装置の性能を十分に発揮できないおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、第1半導体素子から冷却器までの熱抵抗と第2半導体素子から冷却器までの熱抵抗との差の増加を抑制できる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面および第1絶縁裏面を有しており、前記第1絶縁裏面が露出した第1絶縁部材と、前記第1絶縁主面上に設けられた第1駆動導電層と、前記第1駆動導電層に搭載された第1半導体素子と、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面および第2絶縁裏面を有しており、前記第2絶縁裏面が露出し、前記第2絶縁主面が前記第1絶縁主面と前記厚さ方向において対向するように前記第1絶縁部材に対して前記厚さ方向に離間して配置された第2絶縁部材と、前記第2絶縁主面上に設けられた第2駆動導電層と、前記第2駆動導電層に搭載された第2半導体素子と、前記第1絶縁部材および前記第1駆動導電層のうちの少なくとも一方と、前記第2絶縁部材および前記第2駆動導電層のうちの少なくとも一方との間に伝熱経路を形成する接続部材と、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、前記接続部材の熱伝導率は、前記封止樹脂の熱伝導率よりも高い。
【0007】
この構成によれば、接続部材を介して第2半導体素子から冷却器までの伝熱経路が形成されるため、第2半導体素子が搭載される第2絶縁部材に冷却器が取り付けられていない場合に第1半導体素子から冷却器までの熱抵抗と第2半導体素子から冷却器までの熱抵抗との差の増加を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
上記半導体装置によれば、第1半導体素子から冷却器までの熱抵抗と第2半導体素子から冷却器までの熱抵抗との差の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図3とは異なる方向から視た
図1の半導体装置の側面図。
【
図6】本実施形態の半導体装置の第1半導体ユニットの平面図。
【
図7】本実施形態の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図12】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図13】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図14】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図15】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図16】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図17】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【
図22】変更例の半導体装置の第1半導体ユニットの平面図。
【
図24】変更例の半導体装置の第2半導体ユニットの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、半導体装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであり、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。また、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また断面図では、理解を容易にするために一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0011】
図1~
図9を参照して、本実施形態の半導体装置1の構成について説明する。なお、便宜上、
図6において、後述する冷却器200を省略して示している。また便宜上、
図6および
図7において、後述する封止樹脂70を省略して示している。
【0012】
また、以降の説明において、半導体装置1の平面視において、互いに直交する2方向をそれぞれx方向およびy方向とし、x方向およびy方向と直交する方向をz方向とする。ここで、z方向は厚さ方向の一例であり、y方向は第1方向の一例であり、x方向は第2方向の一例である。
【0013】
図1~
図8に示すように、半導体装置1は、複数(本実施形態では4個)の第1半導体素子50Aおよび複数(本実施形態では4個)の第2半導体素子50Bを封止樹脂70によって封止した構成である。
図1~
図5に示すように、半導体装置1が冷却器200に取り付けられることによって各第1半導体素子50A(
図6参照)および各第2半導体素子50B(
図7参照)のそれぞれの熱が冷却器200に移動する。
【0014】
封止樹脂70は、電気絶縁性を有する樹脂材料からなり、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。封止樹脂70は、直方体状であり、樹脂側面71~74と、第1樹脂主面75Aおよび第2樹脂主面75Bと、を有している。
【0015】
樹脂側面71および樹脂側面72は、y方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、樹脂側面71,72はそれぞれ、x方向に沿って延びている。樹脂側面73および樹脂側面74は、x方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、樹脂側面73,74はそれぞれ、y方向に沿って延びている。第1樹脂主面75Aおよび第2樹脂主面75Bは、z方向において互いに反対側を向いている。本実施形態では、第1樹脂主面75Aには、冷却器200が取り付けられている。このため、第2樹脂主面75Bは、z方向において冷却器200とは反対側の面となる。
【0016】
図1~
図5に示すように、半導体装置1は、封止樹脂70から突出する複数の端子80を備えている。複数の端子80は、それぞれ金属板からなり、たとえばCu(銅)からなる。複数の端子80は、第1入力端子81、第2入力端子82、出力端子83、第1制御用端子84A、第1検出用端子85A、第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bを有している。第1入力端子81、第2入力端子82および出力端子83はそれぞれ、樹脂側面71からy方向に向けて突出している。第1制御用端子84A、第1検出用端子85A、第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bはそれぞれ、樹脂側面72からy方向に向けて突出している。換言すると、第1入力端子81、第2入力端子82および出力端子83と、第1制御用端子84A、第1検出用端子85A、第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bとは、y方向において封止樹脂70の互いに反対側から突出している。
【0017】
第1入力端子81、第2入力端子82および出力端子83は、z方向において互いに同じ位置でx方向において互いに離間して配列されている。各端子81~83は、z方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。
【0018】
第1制御用端子84A、第1検出用端子85A、第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bは、z方向において互いに同じ位置でx方向において互いに離間して配列されている。第1制御用端子84Aおよび第1検出用端子85Aは、z方向から視て、樹脂側面74寄りに配置されている。第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bは、z方向から視て、樹脂側面73寄りに配置されている。各端子84A,84B,85A,85Bは、y方向に延びる四角柱状に形成されている。
【0019】
図8に示すように、半導体装置1は、第1半導体ユニット1Aおよび第2半導体ユニット1Bを備えている。半導体装置1は、第1半導体ユニット1Aと第2半導体ユニット1Bとがz方向において対向する構成である。封止樹脂70は、z方向において第1半導体ユニット1Aと第2半導体ユニット1Bとの間に充填されており、第1半導体ユニット1Aおよび第2半導体ユニット1Bをx方向およびy方向から取り囲むように構成されている。つまり、第1半導体ユニット1Aの一部および第2半導体ユニット1Bの一部はそれぞれ、封止樹脂70からz方向において露出している。
【0020】
図6および
図8に示すように、第1半導体ユニット1Aは、第1絶縁部材10A、第1駆動導電層20A、制御導電層40A、複数(本実施形態では4個)の第1半導体素子50Aを備えている。第1半導体ユニット1Aは、封止樹脂70のz方向の両端部のうち第1樹脂主面75Aに近い方の端部に配置されている。つまり、z方向において、第1半導体ユニット1Aは、第2半導体ユニット1Bよりも冷却器200の近くに配置されている。
【0021】
第1絶縁部材10Aは、z方向を厚さ方向とする平板状に形成された電気絶縁性を有する基板である。z方向から視た第1絶縁部材10Aの形状は、矩形状である。第1絶縁部材10Aは、z方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面10Asおよび第1絶縁裏面10Arを有している。第1絶縁主面10Asは、z方向において冷却器200とは反対側を向いている。すなわち第1絶縁主面10Asは、封止樹脂70の第2樹脂主面75Bと同じ側を向いている。第1絶縁裏面10Arは、z方向において冷却器200に向いている。すなわち第1絶縁裏面10Arは、封止樹脂70の第1樹脂主面75Aと同じ側を向いている。
図8に示すように、第1半導体ユニット1Aの第1絶縁部材10Aの第1絶縁裏面10Arは、封止樹脂70の第1樹脂主面75Aからz方向において露出している。本実施形態では、第1絶縁裏面10Arは、第1樹脂主面75Aと面一である。第1絶縁裏面10Arには、冷却器200が取り付けられている。
【0022】
なお、第1樹脂主面75Aに対する第1絶縁裏面10Arのz方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第1絶縁裏面10Arは、第1樹脂主面75Aよりもz方向に突出するように設けられてもよい。この場合、冷却器200は、第1絶縁裏面10Arに取り付けられる。すなわち、冷却器200と第1樹脂主面75Aとのz方向の間には空隙が形成される。
【0023】
図6に示すように、第1絶縁部材10Aは、絶縁側面11A~14Aを有している。絶縁側面11Aおよび絶縁側面12Aは、y方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、絶縁側面11A,12Aはそれぞれ、x方向に延びている。絶縁側面11Aは封止樹脂70の樹脂側面71と同じ側を向いており、絶縁側面12Aは封止樹脂70の樹脂側面72と同じ側を向いている。絶縁側面13Aおよび絶縁側面14Aは、x方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、絶縁側面13A,14Aはそれぞれ、y方向に延びている。絶縁側面13Aは封止樹脂70の樹脂側面73と同じ側を向いており、絶縁側面14Aは封止樹脂70の樹脂側面74と同じ側を向いている。
【0024】
第1駆動導電層20Aおよび制御導電層40Aはそれぞれ、第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10As上に形成されている。各導電層20A,40Aは、たとえばCuからなる。第1駆動導電層20Aおよび制御導電層40Bは、第1絶縁主面10Asにおいて互いに離間して配置されている。
【0025】
第1駆動導電層20Aは、第1駆動配線21および第2駆動配線22を有している。第1駆動配線21および第2駆動配線22は、第1絶縁主面10Asにおいて互いに離間して配置されている。
【0026】
第1駆動配線21は、第1絶縁主面10Asのうちy方向において絶縁側面11Aの近く、かつx方向において絶縁側面14Aの近くに配置されている。z方向から視た第1駆動導電層20Aの形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。
【0027】
第1駆動配線21には、第1入力端子81が接続されている。より詳細には、第1駆動配線21上には、はんだやAgペースト等の第1導電性接合材(図示略)が形成されている。第1導電性接合材上には、導電性の接続層(図示略)が搭載されている。接続層上には、はんだやAgペースト等の第2導電性接合材(図示略)が形成されている。第2導電性接合材上には、第1入力端子81が搭載されている。このように、第1入力端子81は、各導電性接合材および接続層を介して第1駆動導電層20Aと電気的に接続されている。ここで、接続層は、たとえば金属材料からなり、本実施形態では、Cuからなる。接続層の一例は、柱状に形成されている。接続層は、たとえば四角柱である。なお、接続層の形状はこれに限られず、円柱、三角柱等の四角柱以外の多角柱であってもよい。
【0028】
また、第1駆動配線21には、複数の第1半導体素子50Aが搭載されている。複数の第1半導体素子50Aは、y方向において互いに同じ位置でx方向において互いに離間して配列されている。ここで、複数の第1半導体素子50Aのy方向のずれ量の最大値が第1半導体素子50Aのy方向の寸法の10%以内であれば、複数の第1半導体素子50Aは、y方向において互いに同じ位置にあるといえる。
【0029】
本実施形態では、各第1半導体素子50Aは、第1駆動配線21のy方向の中央に配置されている。なお、第1駆動配線21における各第1半導体素子50Aの配置位置は任意に変更可能である。一例では、各第1半導体素子50Aは、第1駆動配線21のy方向の中央よりも絶縁側面12A寄りに配置されていてもよい。
【0030】
各第1半導体素子50Aは、スイッチング素子であり、たとえば、Si(ケイ素)、SiC(炭化ケイ素)、または、GaN(窒化ガリウム)やGaAs(ヒ化ガリウム)、あるいはGa2O3(酸化ガリウム)などからなるトランジスタが用いられる。各第1半導体素子50AがSiCからなる場合、スイッチングの高速化に適している。本実施形態では、各第1半導体素子50Aは、SiCからなるNチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられている。なお、各第1半導体素子50Aは、MOSFETに限定されず、MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor FET)を含む電界効果トランジスタ、または、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含むバイポーラトランジスタなどのトランジスタであってもよい。各第1半導体素子50Aは、Nチャネル型のMOSFETに代えて、Pチャネル型のMOSFETとしてもよい。
【0031】
図8に示すように、第1半導体素子50Aは、z方向において第2半導体素子50Bよりも第1絶縁部材10A寄りに配置されている。換言すると、第1半導体素子50Aは、第1絶縁部材10Aと第2絶縁部材10Bとのz方向の間のうち第2絶縁部材10Bよりも第1絶縁部材10Aの近くに配置されている。第1半導体素子50Aは、z方向において互いに反対側を向く第1素子主面50Asおよび第1素子裏面50Arを有している。第1素子主面50Asは、第1絶縁主面10Asと同じ側を向いている。換言すると、第1素子主面50Asは、第2樹脂主面75Bと同じ側を向いている。第1素子裏面50Arは、第1絶縁裏面10Arと同じ側を向いている。換言すると、第1素子裏面50Arは、第1樹脂主面75Aと同じ側を向いている。第1絶縁裏面10Arには、第1裏面側駆動電極の一例であるドレイン電極51Aが形成されている。第1素子主面50Asには、第1主面側駆動電極の一例であるソース電極52Aと、ゲート電極53Aとが形成されている。各第1半導体素子50Aの第1素子裏面50Arは、はんだやAgペースト等の導電性接合材JAによって第1駆動導電層20Aに接合されている。これにより、各第1半導体素子50Aのドレイン電極51Aは、第1駆動導電層20Aと電気的に接続されている。
【0032】
第2駆動配線22は、第1駆動配線21を絶縁側面13Aの近くおよび絶縁側面12Aの近くから取り囲むように形成されている。z方向から視た第2駆動配線22の形状は、L字状である。第2駆動配線22は、x方向に延びる主配線部22aと、主配線部22aからy方向に延びる接続配線部22bと、を有している。本実施形態では、主配線部22aおよび接続配線部22bは、一体的に形成された単一部材である。
【0033】
主配線部22aは、y方向において第1駆動配線21よりも絶縁側面12Aの近くに配置されている。z方向から視た主配線部22aの形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。主配線部22aは、y方向から視て、第1駆動配線21と重なる部分を有している。一方、主配線部22aおよび第1駆動配線21は、x方向において互いにずれている。より詳細には、主配線部22aは、x方向において第1駆動配線21よりも絶縁側面13A寄りにはみ出す部分を有している。第1駆動配線21は、x方向において主配線部22aよりも絶縁側面14A寄りにはみ出す部分を有している。
【0034】
接続配線部22bは、主配線部22aのx方向の両端部のうち絶縁側面13Aの近くの端部から絶縁側面11Aに向けて延びている。z方向から視た接続配線部22bの形状は、y方向が長辺方向となり、x方向が短辺方向となる矩形状である。接続配線部22bは、第1駆動配線21よりも絶縁側面14Aの近くに配置されており、x方向から視て第1駆動配線21と重なるように配置されている。
【0035】
接続配線部22bには、第2入力端子82が接続されている。図示されていないが、接続配線部22bと第2入力端子82との接続構造は、第1駆動導電層20Aと第1入力端子81との接続構造と同じである。
【0036】
制御導電層40Aは、制御用配線41Aおよび検出用配線42Aを有している。制御用配線41Aおよび検出用配線42Aは、第1絶縁主面10Asにおいて互いに離間して配置されている。制御用配線41Aおよび検出用配線42Aはそれぞれ、第2駆動配線22の主配線部22aを絶縁側面11A、絶縁側面14Aおよび絶縁側面12Aから取り囲むように形成されている。z方向から視た制御用配線41Aおよび検出用配線42Aのそれぞれの形状は、略U字状である。検出用配線42Aは、制御用配線41Aよりも第2駆動配線22の主配線部22aの近くに配置されている。換言すると、制御用配線41Aは、検出用配線42Aを絶縁側面11A、絶縁側面14Aおよび絶縁側面12Aから取り囲むように形成されている。
【0037】
制御用配線41Aには、第1制御用端子84Aが接続されている。検出用配線42Aには、第1検出用端子85Aが接続されている。図示されていないが、制御用配線41Aと第1制御用端子84Aとの接合構造、および、検出用配線42Aと第1検出用端子85Aとの接合構造はそれぞれ、第1駆動導電層20Aと第1入力端子81との接続構造と同じである。z方向から視て、第1制御用端子84Aは、第1検出用端子85Aよりも絶縁側面14Aの近くに配置されている。なお、z方向から視た第1制御用端子84Aおよび第1検出用端子85Aの配置位置は任意に変更可能である。一例では、z方向から視て、第1検出用端子85Aは、第1制御用端子84Aよりも絶縁側面14Aの近くに配置されていてもよい。
【0038】
図6に示すように、第1半導体ユニット1Aは、各第1半導体素子50Aのソース電極52Aと検出用配線42Aとを接続するワイヤW1と、各第1半導体素子50Aのゲート電極53Aと制御用配線41Aとを接続するワイヤW2と、を有している。ワイヤW1,W2はそれぞれ、たとえばAu(金)からなる。なお、ワイヤW1,W2はそれぞれ、CuまたはAl(アルミニウム)からなる構成であってもよい。これにより、各第1半導体素子50Aのソース電極52Aと検出用配線42AとがワイヤW2を介して電気的に接続されている。各第1半導体素子50Aのゲート電極53Aと制御用配線41AとがワイヤW1を介して電気的に接続されている。
【0039】
図7および
図8に示すように、第2半導体ユニット1Bは、第2絶縁部材10B、第2駆動導電層20B、制御導電層40B、複数(本実施形態では4個)の第2半導体素子50Bおよび第2接続層60Bを備えている。第2半導体ユニット1Bは、封止樹脂70のz方向の両端部のうち第2樹脂主面75Bに近い方の端部に配置されている。つまり、第2半導体ユニット1Bは、冷却器200から遠い位置に配置されている。
【0040】
第2絶縁部材10Bは、z方向を厚さ方向とする平板状に形成された電気絶縁性を有する基板である。第2絶縁部材10Bは、z方向において第1絶縁部材10Aと離間した状態でz方向において第1絶縁部材10Aと対向するように配置されている。z方向から視た第2絶縁部材10Bの形状は、矩形状である。第2絶縁部材10Bは、z方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面10Bsおよび第2絶縁裏面10Brを有している。第2絶縁裏面10Brは、z方向において冷却器200とは反対側を向いている。すなわち第2絶縁裏面10Brは、封止樹脂70の第2樹脂主面75Bと同じ側を向いている。
図8に示すように、第2半導体ユニット1Bの第2絶縁部材10Bの第2絶縁裏面10Brは、封止樹脂70の第2樹脂主面75Bからz方向において露出している。本実施形態では、第2絶縁裏面10Brは、第2樹脂主面75Bと面一である。第2絶縁主面10Bsは、z方向において冷却器200に向いている。すなわち第2絶縁主面10Bsは、封止樹脂70の第1樹脂主面75Aと同じ側を向いている。また、第2絶縁主面10Bsは、第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asとz方向に対向するように配置されているともいえる。
【0041】
なお、第2樹脂主面75Bに対する第2絶縁裏面10Brのz方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第2絶縁裏面10Brは、第2樹脂主面75Bからz方向に突出するように設けられてもよい。
【0042】
また、第2絶縁部材10Bは、絶縁側面11B~14Bを有している。絶縁側面11Bおよび絶縁側面12Bは、y方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、絶縁側面11B,12Bはそれぞれ、x方向に延びている。絶縁側面11Bは封止樹脂70の樹脂側面71と同じ側を向いており、絶縁側面12Bは封止樹脂70の樹脂側面72と同じ側を向いている。このため、絶縁側面11Bは第1絶縁部材10Aの絶縁側面11Aと同じ側を向いており、絶縁側面12Bは第1絶縁部材10Aの絶縁側面12Aと同じ側を向いている。絶縁側面13Bおよび絶縁側面14Bは、x方向において互いに反対側を向いている。z方向から視て、絶縁側面13B,14Bはそれぞれ、y方向に延びている。絶縁側面13Bは封止樹脂70の樹脂側面73と同じ側を向いており、絶縁側面14Bは封止樹脂70の樹脂側面74と同じ側を向いている。このため、絶縁側面13Bは第1絶縁部材10Aの絶縁側面13Aと同じ側を向いており、絶縁側面14Bは第1絶縁部材10Aの絶縁側面14Aと同じ側を向いている。
【0043】
第2駆動導電層20Bおよび制御導電層40Bはそれぞれ、第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bs上に形成されている。各導電層20B,40Bは、たとえばCuからなる。第2駆動導電層20Bおよび制御導電層40Bは、第2絶縁主面10Bsにおいて互いに離間して配置されている。
【0044】
第2駆動導電層20Bは、第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsのうちy方向における絶縁側面11B寄りに配置されている。第2駆動導電層20Bは、第2絶縁主面10Bsのうち大部分にわたり形成されている。z方向から視た第2駆動導電層20Bの形状は、矩形状である。
【0045】
第2駆動導電層20Bには、出力端子83が接続されている。第2駆動導電層20Bと出力端子83との接続構造は、第1駆動導電層20Aと第1入力端子81との接続構造と同じである。すなわち、
図8に示すように、第2駆動導電層20B上には、はんだやAgペースト等の第1導電性接合材JE1が形成されている。第1導電性接合材JE1上には、導電性の接続層30が搭載されている。接続層30上には、はんだやAgペースト等の第2導電性接合材JE2が形成されている。第2導電性接合材JE2上には、出力端子83が搭載されている。このように、出力端子83は、各導電性接合材JE1,JE2および接続層30を介して第2駆動導電層20Bと電気的に接続されている。ここで、接続層30は、たとえば金属材料からなり、本実施形態では、Cuからなる。接続層30の一例は、柱状に形成されている。接続層30は、たとえば四角柱である。なお、接続層30の形状はこれに限られず、円柱、三角柱等の四角柱以外の多角柱であってもよい。
【0046】
図7に示すように、第2駆動導電層20Bには、複数の第2半導体素子50Bが搭載されている。本実施形態では、各第2半導体素子50Bは、第2駆動導電層20Bのうち絶縁側面12B寄りかつ絶縁側面13B寄りに配置されている。具体的には、各第2半導体素子50Bは、第2駆動導電層20Bのうちz方向において第1半導体ユニット1Aの第2駆動配線22の主配線部22aと対向する領域R内に配置されている。
【0047】
複数の第2半導体素子50Bは、y方向において互いに同じ位置でx方向において互いに離間して配列されている。ここで、複数の第2半導体素子50Bのy方向のずれ量の最大値が第2半導体素子50Bのy方向の寸法の10%以内であれば、複数の第2半導体素子50Bは、y方向において互いに同じ位置にあるといえる。
図6~
図8に示すように、第2半導体素子50Bは、y方向において第1半導体素子50Aと離間して配置されている。z方向から視て、複数の第1半導体素子50Aと複数の第2半導体素子50Bとはx方向において互いにずれている。複数の第1半導体素子50Aは、複数の第2半導体素子50Bに対して樹脂側面74寄りにずれて配置されている。y方向からみて、各第1半導体素子50Aと各第2半導体素子50Bとは、一部が重なるように配置されている。
【0048】
各第2半導体素子50Bは、たとえば、Si、SiC、または、GaNやGaAs、あるいはGa2O3などからなるトランジスタが用いられる。各第2半導体素子50BがSiCからなる場合、スイッチングの高速化に適している。本実施形態では、各第2半導体素子50Bは、SiCからなるNチャネル型のMOSFETが用いられている。なお、各第2半導体素子50Bは、MOSFETに限定されず、MISFETを含む電界効果トランジスタ、または、IGBTを含むバイポーラトランジスタなどのトランジスタであってもよい。各第2半導体素子50Bは、Nチャネル型のMOSFETに代えて、Pチャネル型のMOSFETとしてもよい。
【0049】
図8に示すように、第2半導体素子50Bは、z方向において第1半導体素子50Aよりも第2絶縁部材10B寄りに配置されている。換言すると、第2半導体素子50Bは、第1絶縁部材10Aと第2絶縁部材10Bとのz方向の間のうち第1絶縁部材10Aよりも第2絶縁部材10Bの近くに配置されている。第2半導体素子50Bは、z方向において互いに反対側を向く第2素子主面50Bsおよび第2素子裏面50Brを有している。第2素子主面50Bsは、第2絶縁主面10Bsと同じ側を向いている。換言すると、第2素子主面50Bsは、第1樹脂主面75Aと同じ側を向いている。第2素子裏面50Brは、第2絶縁裏面10Brと同じ側を向いている。換言すると、第2素子裏面50Brは、第2樹脂主面75Bと同じ側を向いている。
図8に示すとおり、z方向において第2半導体素子50Bの配置方向は、第1半導体素子50Aの配置方向と逆向きとなる。第2絶縁裏面10Brには、第2裏面側駆動電極の一例であるドレイン電極51Bが形成されている。第2素子主面50Bsには、第2主面側駆動電極の一例であるソース電極52Bと、ゲート電極53Bとが形成されている。各第2半導体素子50Bの第2素子裏面50Brは、はんだやAgペースト等の導電性接合材JBによって第2駆動導電層20Bに接合されている。これにより、各第2半導体素子50Bのドレイン電極51Bは、第2駆動導電層20Bと電気的に接続されている。
【0050】
図7に示すように、制御導電層40Bは、第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsのうちy方向における第2駆動導電層20Bと絶縁側面12Bとの間に配置されている。制御導電層40Bは、制御用配線41Bおよび検出用配線42Bを有している。z方向から視た制御用配線41Bおよび検出用配線42Bの形状はそれぞれ、x方向に延びる細帯状である。制御用配線41Bおよび検出用配線42Bは、x方向において互いに同じ位置でy方向において互いに離間して配列されている。制御用配線41Bは、検出用配線42Bよりも第2駆動導電層20Bの近くに配置されている。
【0051】
制御用配線41Bには、第2制御用端子84Bが接続されている。検出用配線42Bには、第2検出用端子85Bが接続されている。図示されていないが、制御用配線41Bと第2制御用端子84Bとの接合構造、および、検出用配線42Bと第2検出用端子85Bとの接合構造はそれぞれ、第1駆動導電層20Aと第1入力端子81との接続構造と同じである。z方向から視て、第2検出用端子85Bは、第2制御用端子84Bよりも絶縁側面13Aの近くに配置されている。なお、z方向から視て、第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bの配置位置は任意に変更可能である。一例では、z方向から視て、第2制御用端子84Bは、第2検出用端子85Bよりも絶縁側面13Aの近くに配置されていてもよい。
【0052】
図7に示すように、第2半導体ユニット1Bは、各第2半導体素子50Bのソース電極52Bと検出用配線42Bとを接続するワイヤW3と、各第2半導体素子50Bのゲート電極53Bと制御用配線41Bとを接続するワイヤW4と、を有している。ワイヤW3,W4はそれぞれ、たとえばAuからなる。なお、ワイヤW3,W4はそれぞれ、CuまたはAlからなる構成であってもよい。これにより、各第2半導体素子50Bのソース電極52Bと検出用配線42Bとが電気的に接続されている。各第2半導体素子50Bのゲート電極53Bと制御用配線41Bとが電気的に接続されている。
【0053】
図8に示すように、複数の第1半導体素子50Aのソース電極52Aはそれぞれ、第2半導体ユニット1Bの第2駆動導電層20Bと電気的に接続されている。より詳細には、ソース電極52A上には、はんだやAgペースト等の第1導電性接合材JA1が配置されている。第1導電性接合材JA1上には、導電性の第1接続層60Aが載置されている。第2駆動配線22において第1接続層60Aとz方向に対向する部分には、はんだやAgペースト等の第2導電性接合材JA2が配置されている。第2導電性接合材JA2は、第1接続層60Aと接触している。すなわち、第1接続層60Aは、各導電性接合材JA1,JA2によってソース電極52Aと第2駆動導電層20Bとに接合されている。このように、ソース電極52Aと第2駆動導電層20Bとは、各導電性接合材JA1,JA2および第1接続層60Aを介して電気的に接続されている。
【0054】
第1接続層60Aは、たとえば金属材料からなり、本実施形態ではCuからなる。第1接続層60Aの一例は、柱状に形成されている。第1接続層60Aは、たとえば四角柱である。なお、第1接続層60Aの形状はこれに限られず、円柱、三角柱等の四角柱以外の多角柱であってもよい。
図8に示すとおり、本実施形態では、第1接続層60Aの厚さ(第1接続層60Aのz方向の寸法)は、第1半導体素子50Aの厚さ(第1半導体素子50Aのz方向の寸法)よりも厚い。
【0055】
図8に示すように、複数の第2半導体素子50Bのソース電極52Bはそれぞれ、第1半導体ユニット1Aの第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22と電気的に接続されている。より詳細には、ソース電極52B上には、はんだやAgペースト等の第1導電性接合材JB1が配置されている。第1導電性接合材JB1上には、導電性の第2接続層60Bが載置されている。第2駆動配線22において第2接続層60Bとz方向に対向する部分には、はんだやAgペースト等の第2導電性接合材JB2が配置されている。第2導電性接合材JB2は、第2接続層60Bと接触している。すなわち、第2接続層60Bは、各導電性接合材JB1,JB2によってソース電極52Bと第2駆動配線22とに接合されている。このように、ソース電極52Bと第2駆動配線22とは、各導電性接合材JB1,JB2および第2接続層60Bを介して電気的に接続されている。
【0056】
第2接続層60Bは、たとえば金属材料からなり、本実施形態ではCuからなる。第2接続層60Bの一例は、柱状に形成されている。第2接続層60Bは、たとえば四角柱である。なお、第2接続層60Bの形状はこれに限られず、円柱、三角柱等の四角柱以外の多角柱であってもよい。
図8に示すとおり、本実施形態では、第2接続層60Bの厚さ(第2接続層60Bのz方向の寸法)は、第2半導体素子50Bの厚さ(第2半導体素子50Bのz方向の寸法)よりも厚い。
【0057】
なお、第1接続層60Aおよび第2接続層60Bの厚さはそれぞれ任意に変更可能である。一例では、第1接続層60Aの厚さは、第1半導体素子50Aの厚さ以下であってもよい。第2接続層60Bの厚さは、第2半導体素子50Bの厚さ以下であってもよい。
【0058】
このような構成の半導体装置1の回路構成は、互いに並列接続された4個の第1半導体素子50Aと、互いに並列接続された4個の第2半導体素子50Bとが直列接続されたハーフブリッジ型のインバータ回路である。
図9は、半導体装置1のインバータ回路の一例を示している。
図9では、便宜上、互いに並列接続された4個の第1半導体素子50Aを1つの第1半導体素子50Aとして示し、互いに並列接続された4個の第2半導体素子50Bを1つの第2半導体素子50Bとして示している。
【0059】
図9に示すように、第1半導体素子50Aのドレイン電極51Aは、第1入力端子81に電気的に接続されている。第1半導体素子50Aのソース電極52Aは、第2半導体素子50Bのドレイン電極51Bと電気的に接続されている。第1半導体素子50Aのソース電極52Aと第2半導体素子50Bのドレイン電極51BとのノードNには、出力端子83が接続されている。第2半導体素子50Bのソース電極52Bは、第2入力端子82に電気的に接続されている。
【0060】
第1半導体素子50Aのゲート電極53Aは、第1制御用端子84Aに接続されている。第2半導体素子50Bのゲート電極53Bは、第2制御用端子84Bに接続されている。第1半導体素子50Aのソース電極52AとノードNとの間のノードNAには、第1検出用端子85Aが接続されている。第2半導体素子50Bのソース電極52Bと第2入力端子82との間のノードNBには、第2検出用端子85Bが接続されている。
【0061】
次に、
図7および
図8を参照して、半導体装置1の放熱構造について説明する。
【0062】
図8に示すように、半導体装置1は、第1駆動導電層20Aと第2駆動導電層20Bとを接続する接続部材90を備えている。本実施形態では、接続部材90は、たとえば接着剤(図示略)によって第1駆動導電層20Aと第2駆動導電層20Bとのそれぞれに接合されている。
【0063】
接続部材90の熱伝導率は、封止樹脂70の熱伝導率よりも高い。また接続部材90の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い。接続部材90の熱伝導率は、10W/mK以上であることが好ましい。接続部材90は、電気絶縁性を有する材料からなり、たとえばSi、またはアルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックスのような放熱性に優れた材料からなる。本実施形態では、接続部材90は、セラミックスからなる。接続部材90は、冷却器200が取り付けられていない半導体ユニットの半導体素子(本実施形態では、第2半導体ユニット1Bの各第2半導体素子50B)の放熱を補助するための部材である。本実施形態では、接続部材90は、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22と、第2駆動導電層20Bとの間に伝熱経路を形成している。
【0064】
接続部材90は、y方向において第2半導体素子50Bに対して制御導電層40Bとは反対側に配置されている。本実施形態では、接続部材90は、y方向において第1半導体素子50Aと第2半導体素子50Bとの間に配置されている。より詳細には、接続部材90は、y方向において第1半導体素子50Aよりも第2半導体素子50Bの近くに配置されている。接続部材90は、y方向において第2半導体素子50Bと隣り合う位置に配置されている。
図7に示すように、接続部材90は、領域R内に配置されている。
【0065】
図7に示すように、接続部材90は、全ての第2半導体素子50Bとy方向に対向するようにx方向に延びている。つまり、接続部材90は、y方向において全ての第2半導体素子50Bと隣り合うように配置されている。z方向から視た接続部材90の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。接続部材90のy方向の大きさは、第2半導体素子50Bのy方向の大きさよりも小さい。
図7および
図8に示すように、本実施形態の接続部材90は、y方向を厚さ方向とする平板状のブロックからなる。
【0066】
図8および
図10を参照して、本実施形態の作用について説明する。
【0067】
図10は、比較例の半導体装置1Xの断面構造を示している。比較例の半導体装置1Xは、本実施形態の半導体装置1から接続部材90を省略した構成である。このため、比較例の半導体装置1Xにおいて、半導体装置1と共通する構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
半導体装置1Xにおいて各第1半導体素子50Aおよび各第2半導体素子50Bが駆動する場合、各第1半導体素子50Aおよび各第2半導体素子50Bは発熱する。第1半導体ユニット1Aの第1絶縁部材10Aには冷却器200が取り付けられているため、各第1半導体素子50Aの熱は、
図10の矢印YX1に示すとおり、導電性接合材JA、第1駆動導電層20Aの第1駆動配線21および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。また、第2半導体ユニット1Bの第2絶縁部材10Bに冷却器200が取り付けられていないため、各第2半導体素子50Bの熱は、
図10の矢印YX2に示すとおり、第1導電性接合材JB1、第2接続層60B、第2導電性接合材JB2、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。このように、各第2半導体素子50Bから冷却器200までの熱抵抗は、各第1半導体素子50Aから冷却器200までの熱抵抗よりも高くなる。その結果、各第2半導体素子50Bは、各第1半導体素子50Aよりも放熱しにくくなり、各第1半導体素子50Aよりも温度が高くなりやすい。
【0069】
一方、本実施形態の半導体装置1において各第1半導体素子50Aおよび各第2半導体素子50Bが駆動する場合、各第1半導体素子50Aの熱は、
図8の矢印Y1に示すとおり、導電性接合材JA、第1駆動導電層20Aの第1駆動配線21および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。
【0070】
また、各第2半導体素子50Bの熱は、2つの伝熱経路を介して冷却器200に移動する。より詳細には、各第2半導体素子50Bの熱は、
図8の矢印Y2に示すとおり、第1導電性接合材JB1、第2接続層60B、第2導電性接合材JB2、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。また各第2半導体素子50Bの熱は、
図8の矢印Y3に示すとおり、導電性接合材JB、第2駆動導電層20B、接続部材90、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。このように、各第2半導体素子50Bの熱が矢印Y2の伝熱経路および矢印Y3の伝熱経路の2つの経路を介して冷却器200に移動するため、各第2半導体素子50Bから冷却器200までの熱抵抗と、各第1半導体素子50Aから冷却器200までの熱抵抗との差の増加を抑制できる。これにより、各第2半導体素子50Bは、各第1半導体素子50Aと同様の放熱性能を有し、各第1半導体素子50Aよりも温度が高くなりやすくなることを抑制できる。
【0071】
本実施形態の半導体装置1によれば、以下の効果が得られる。
【0072】
(1)半導体装置1は、第1駆動導電層20Aと第2駆動導電層20Bとを接続している接続部材90と、第1半導体素子50A、第2半導体素子50Bおよび接続部材90を封止する封止樹脂70と、を備えている。接続部材90は、各第2半導体素子50Bから冷却器200への伝熱経路を形成している。接続部材90の熱伝導率は、封止樹脂70の熱伝導率よりも高い。この構成によれば、第1半導体素子50Aよりも冷却器200から遠い第2半導体素子50Bと冷却器200との伝熱経路を増やすことができるため、半導体装置1における第1半導体素子50Aから冷却器200までの熱抵抗と第2半導体素子50Bから冷却器200までの熱抵抗との差の増加を抑制できる。したがって、第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bが駆動しているときに、第2半導体素子50Bの温度が第1半導体素子50Aの温度よりも高くなりすぎることを抑制できるため、半導体装置1の性能を十分に発揮できる。
【0073】
(2)たとえば、接続部材90が第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに接続される構成では、第2半導体素子50Bの熱は、第2駆動導電層20Bおよび第2絶縁部材10Bに伝わり、再び第2駆動導電層20Bに伝わって接続部材90に移動する。このため、第2半導体素子50Bから接続部材90までの伝熱経路が長くなる。
【0074】
その点、本実施形態では、接続部材90は、第2駆動導電層20Bと接続している。この構成によれば、第2半導体素子50Bの熱が第2駆動導電層20Bから接続部材90に伝わるため、伝熱経路が短くなる。したがって、第2半導体素子50Bの熱が接続部材90に伝わりやすくなる。
【0075】
(3)z方向から視て、接続部材90は、第1半導体素子50Aよりも第2半導体素子50Bの近くに配置されている。この構成によれば、第1半導体素子50Aの熱よりも第2半導体素子50Bの熱が接続部材90に伝わりやすくなるため、第2半導体素子50Bが第1半導体素子50Aよりも温度が高くなりやすくなることを抑制できる。
【0076】
(4)第2半導体素子50Bの第2素子主面50Bsにはソース電極52Bが形成されており、第2接続層60Bを介して第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22と接続されている。この構成によれば、第2半導体素子50Bの熱が第2接続層60B、第2駆動配線22および第1絶縁部材10Aを介して冷却器200に移動する。したがって、第2半導体素子50Bの温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0077】
第1半導体素子50Aの第1素子主面50Asにはソース電極52Aが形成されており、第1接続層60Aを介して第2駆動導電層20Bと接続されている。この構成によれば、第1半導体素子50Aの熱が第1接続層60A、第2駆動導電層20Bおよび第2絶縁部材10Bに伝わるため、第1半導体素子50Aの温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0078】
(5)y方向から視て、接続部材90は、複数の第2半導体素子50Bの全てと重なるように配置されている。この構成によれば、複数の第2半導体素子50Bの熱がそれぞれ接続部材90に移動するため、複数の第2半導体素子50Bの温度のばらつきを抑制できる。
【0079】
(6)接続部材90は、y方向において複数の第2半導体素子50Bの全て隣り合うように配置されている。この構成によれば、複数の第2半導体素子50Bの熱がそれぞれ接続部材90に移動しやすくなる。したがって、複数の第2半導体素子50Bの温度がそれぞれ過度に高くなることを抑制できる。
【0080】
(7)接続部材90が第2半導体素子50Bと、第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bs上に形成された制御導電層40Bとの間に配置された場合、第2半導体素子50Bと制御用配線41Bとを接続するワイヤW3と、第2半導体素子50Bと検出用配線42Bとを接続するワイヤW4とを接続部材90を避けて形成する必要がある。このため、ワイヤW3,W4の長さが長くなったり、ワイヤW3,W4の形成が困難となったりする場合がある。
【0081】
その点、本実施形態では、接続部材90は、制御導電層40Bとは反対側に配置されている。この構成によれば、接続部材90を避けるようにワイヤW3,W4を形成する必要がないため、ワイヤW3,W4を容易に形成できるとともにワイヤW3,W4のそれぞれの長さを短くすることができる。
【0082】
(8)第1絶縁部材10Aおよび第2絶縁部材10Bはそれぞれ、セラミックスからなる。この構成によれば、各第1半導体素子50Aおよび各第2半導体素子50Bの熱が第1絶縁部材10Aから冷却器200に伝わりやすくなる。また各第1半導体素子50Aおよび各第2半導体素子50Bの熱が第2絶縁部材10Bを介して外部に放熱しやすくなる。
【0083】
(9)第1入力端子81、第2入力端子82、および出力端子83はそれぞれ封止樹脂70の樹脂側面74から突出している。この構成によれば、半導体装置1を実装基板に実装し、実装基板にたとえばスナバ用コンデンサを設ける場合、半導体装置1とスナバ用コンデンサとを接続する配線を容易に形成できる。
【0084】
(10)接続部材90のy方向の大きさは、第2半導体素子50Bのy方向の大きさよりも小さい。この構成によれば、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22のy方向の大きさの増加を抑制できるため、半導体装置1のy方向の大型化を抑制できる。
【0085】
(変更例)
上記実施形態は本開示に関する半導体装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する半導体装置は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または上記実施形態に新たな構成を付加した形態である。また、以下の各変更例は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。以下の各変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0086】
・上記実施形態において、封止樹脂70のx方向の大きさおよびy方向の大きさはそれぞれ任意に変更可能である。一例では、封止樹脂70は、第1絶縁部材10Aの絶縁側面11A~14Aが露出するように形成されてもよい。封止樹脂70は、第2絶縁部材10Bの絶縁側面11B~14Bが露出するように形成されてもよい。
【0087】
・上記実施形態において、接続部材90と第1駆動導電層20Aとの間の接着剤と、接続部材90と第2駆動導電層20Bとの間の接着剤との少なくとも一方を省略してもよい。たとえば接続部材90と第1駆動導電層20Aとの間の接着剤を省略した場合、接続部材90と第1駆動導電層20Aとは互いに接触している。またたとえば接続部材90と第2駆動導電層20Bとの間の接着剤を省略した場合、接続部材90と第2駆動導電層20Bとは互いに接触している。
【0088】
・上記実施形態において、接続部材90のy方向の寸法は任意に変更可能である。一例では、
図11に示すように、接続部材90のy方向の寸法を上記実施形態の接続部材90のy方向の寸法よりも大きくしてもよい。この場合、各第2半導体素子50Bは、第2駆動導電層20Bのy方向の両端部のうち絶縁側面12Bに近い方の端部に配置されている。これにより、領域R(
図7参照)のうちy方向において接続部材90が配置可能なスペースを拡大させることができる。これにより、接続部材90のy方向の寸法を大きくしても、接続部材90は、領域R内に収まっている。
【0089】
この構成によれば、接続部材90の体積が大きくなるため、各第2半導体素子50Bの熱が接続部材90を介して冷却器200に移動しやすくなる。したがって、各第2半導体素子50Bの温度が各第1半導体素子50Aの温度よりも高くなりやすくなることを一層抑制できる。
【0090】
・上記実施形態において、接続部材90のx方向の長さは任意に変更可能である。接続部材90のx方向の長さは、y方向において複数の第2半導体素子50Bのうち一部の第2半導体素子50Bと対向するような長さであってもよい。
【0091】
・上記実施形態において、z方向から視た接続部材90の形状は任意に変更可能である。z方向から視た接続部材90の形状は、たとえば次の(A)~(C)のように変更してもよい。
【0092】
(A)
図12に示すように、接続部材90は、y方向において全ての第2半導体素子50Bと対向する主対向壁91と、x方向の両端に配置された第2半導体素子50Bのそれぞれに対してx方向において対向する端部対向壁92と、を有している。図示された例においては、接続部材90は、主対向壁91と端部対向壁92とが一体に形成された単一部品である。主対向壁91は、y方向において第2半導体素子50Bと隣り合う位置に配置されており、x方向に沿って延びている。端部対向壁92は、主対向壁91のx方向の両端部からy方向に沿って延びている。端部対向壁92は、x方向の両端に配置された第2半導体素子50Bのそれぞれとx方向に隣り合う位置に配置されている。図示された例においては、端部対向壁92は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの全てと重なるように設けられている。
【0093】
この構成によれば、端部対向壁92が省略された接続部材90と比較して、接続部材90の体積が増加することによって、各第2半導体素子50Bが駆動している場合において各第2半導体素子50Bの熱が接続部材90に移動しやすくなる。なお、
図12に示す変更例において、接続部材90は、主対向壁91と、2個の端部対向壁92のうちの少なくとも1つとが分離した状態となるように構成されてもよい。
【0094】
(B)
図13に示すように、接続部材90は、y方向において全ての第2半導体素子50Bと対向する主対向壁91と、x方向において隣り合う第2半導体素子50Bの間に配置された複数(図示された例では3個)の中間対向壁93と、を有している。図示された例においては、接続部材90は、主対向壁91と中間対向壁93とが一体に形成された単一部品である。主対向壁91は、y方向において第2半導体素子50Bと隣り合う位置に配置されており、x方向に沿って延びている。各中間対向壁93は、主対向壁91からy方向に沿って延びている。各中間対向壁93は、x方向において第2半導体素子50Bと対向している。各中間対向壁93は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの全てと重なるように設けられている。
【0095】
この構成によれば、中間対向壁93が省略された接続部材90と比較して、接続部材90の体積が増加することによって、各第2半導体素子50Bが駆動している場合において各第2半導体素子50Bの熱が接続部材90に移動しやすくなる。なお、
図13に示す変更例において、接続部材90は、主対向壁91と、3個の中間対向壁93のうちの少なくとも1つとが分離した状態となるように構成されてもよい。
【0096】
(C)
図14に示すように、接続部材90は、y方向において全ての第2半導体素子50Bと対向する主対向壁91と、x方向の両端に配置された第2半導体素子50Bのそれぞれに対してx方向において対向する端部対向壁92と、x方向において隣り合う第2半導体素子50Bの間に配置された中間対向壁93と、を有している。図示された例においては、接続部材90は、主対向壁91と端部対向壁92と中間対向壁93とが一体に形成された単一部品である。主対向壁91は、y方向において第2半導体素子50Bと隣り合う位置に配置されており、x方向に沿って延びている。端部対向壁92は、主対向壁91のx方向の両端部からy方向に沿って延びている。端部対向壁92は、x方向の両端に配置された第2半導体素子50Bのそれぞれとx方向に隣り合う位置に配置されている。図示された例においては、端部対向壁92は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの全てと重なるように設けられている。各中間対向壁93は、主対向壁91からy方向に沿って延びている。各中間対向壁93は、x方向において第2半導体素子50Bと対向している。各中間対向壁93は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの全てと重なるように設けられている。
【0097】
この構成によれば、端部対向壁92および中間対向壁93の少なくとも一方が省略された接続部材90と比較して、接続部材90の体積が増加することによって、各第2半導体素子50Bが駆動している場合において各第2半導体素子50Bの熱が接続部材90に移動しやすくなる。
【0098】
なお、
図14に示す変更例において、接続部材90は、主対向壁91と、2個の端部対向壁92のうちの少なくとも1つとが分離した状態となるように構成されてもよい。また接続部材90は、主対向壁91と、3個の中間対向壁93のうちの少なくとも1つとが分離した状態となるように構成されてもよい。また接続部材90は、主対向壁91と、2個の端部対向壁92のうちの少なくとも1つと、3個の中間対向壁93のうちの少なくとも1つとが互いに分離した状態となるように構成されてもよい。
【0099】
なお、上記(A)および(C)について、端部対向壁92のy方向の長さは任意に変更可能である。一例では、端部対向壁92は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの一部と重なるように設けられていてもよい。また、端部対向壁92は、z方向から視て、y方向において第2半導体素子50Bよりも絶縁側面12Bに向けてはみ出すように設けられてもよい。
【0100】
また、上記(B)および(C)について、中間対向壁93のy方向の長さは任意に変更可能である。一例では、中間対向壁93は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの一部と重なるように設けられていてもよい。また、中間対向壁93は、z方向から視て、y方向において第2半導体素子50Bよりも絶縁側面12Bに向けてはみ出すように設けられてもよい。
【0101】
・上記実施形態では、複数の第2半導体素子50Bに対して共通の接続部材90が設けられたが、これに限られない。たとえば、
図15に示すように、各第2半導体素子50Bに対して1つの接続部材90が設けられてもよい。各接続部材90は、その接続部材90と対応する第2半導体素子50Bに対してy方向において対向するように配置されている。より詳細には、各接続部材90は、その接続部材90と対応する第2半導体素子50Bとy方向において隣り合うように配置されている。
【0102】
・
図15の変更例において、第2半導体素子50Bに対する接続部材90の配置位置は任意に変更可能である。一例では、
図16に示すように、接続部材90は、x方向において隣り合う第2半導体素子50Bの間に配置されてもよい。また接続部材90は、複数の第2半導体素子50Bのうちx方向の両端部に配置された第2半導体素子50Bに対してx方向に隣り合う第2半導体素子50Bとは反対側に配置されてもよい。つまり、接続部材90は、x方向の両端部に配置された第2半導体素子50Bのx方向の両側に配置されている。z方向から視て、接続部材90は、y方向に延びている。図示された例においては、接続部材90は、x方向から視て、第2半導体素子50Bの全体と重なるように設けられている。
【0103】
・
図15の変更例において、各接続部材90のz方向から視た形状は任意に変更可能である。一例では、
図17に示すように、各接続部材90は、第2半導体素子50Bをx方向の両側およびy方向から囲うように設けられてもよい。なお、各接続部材90は、第2半導体素子50Bをx方向の一方およびy方向から囲うように設けられてもよい。
【0104】
・
図15の変更例および
図17の変更例において、接続部材90の個数は任意に変更可能である。一例では、2個の第2半導体素子50Bに対して1個の接続部材90が設けられてもよい。この場合、接続部材90は、y方向から視て、2個の第2半導体素子50Bの全体と重なるように設けられることが好ましい。
【0105】
・
図16の変更例において、接続部材90の個数は任意に変更可能である。一例では、
図16の複数の接続部材90のうちx方向の両端部の接続部材90を省略してもよい。また別例では、接続部材90は、絶縁側面13B寄りの2個の第2半導体素子50Bのx方向の間と、絶縁側面14B寄りの2個の第2半導体素子50Bのx方向の間とのそれぞれに配置されてもよい。
【0106】
・上記実施形態では、接続部材90は、接着剤によって第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bのそれぞれに接続されていたが、これに限られない。たとえば
図18に示すように、接続部材90と第1駆動導電層20Aとは、はんだやAgペースト等の第1導電性接合材JC1によって接合され、接続部材90と第2駆動導電層20Bとは、はんだやAgペースト等の第2導電性接合材JC2によって接合されてもよい。ここで、各導電性接合材JC1,JC2の熱伝導率は、接着剤の熱伝導率よりも高い。
【0107】
この構成によれば、接続部材90と第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bとが接着剤によって接続された構成と比較して、第2半導体素子50Bの熱が第2駆動導電層20Bから接続部材90に移動しやすくなり、接続部材90から第1駆動導電層20Aに移動しやすくなる。
【0108】
・上記実施形態では、接続部材90は、y方向が厚さ方向となる平板状のブロックからなる構成であったが、これに限られない。たとえば
図19に示すように、接続部材90は、x方向から視て略S字状となる薄板から構成されてもよい。接続部材90は、たとえば電気絶縁性を有するスプリング材からなる。また接続部材90は、導電性のスプリング材からなり、接続部材90のうち少なくともz方向の両端部が絶縁被膜によって覆われた構成であってもよい。図示された例においては、接続部材90は、第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bによって圧縮された状態で第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bに接触している。つまり、接続部材90のz方向の両端部のうち第1駆動導電層20Aに近い方の端部は、第1駆動導電層20Aに向けて付勢されている。接続部材90のz方向の両端部のうち第2駆動導電層20Bに近い方の端部は、第2駆動導電層20Bに向けて付勢されている。
【0109】
この構成によれば、接続部材90と第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bとが確実に接触するため、第2半導体素子50Bの熱が第2駆動導電層20Bから接続部材90に移動しやすくなり、接続部材90から第1駆動導電層20Aに移動しやすくなる。
【0110】
また
図20に示すように、接続部材90は、複数本のスプリングプローブから構成されてもよい。図示された例においては、接続部材90は、第1駆動導電層20Aに向けて付勢される構成である。接続部材90と第2駆動導電層20Bとは、はんだやAgペースト等の導電性接合材JDによって接合されている。この構成によれば、接続部材90と第1駆動導電層20Aとが確実に接触するため、第2半導体素子50Bの熱が接続部材90から第1駆動導電層20Aに移動しやすくなる。
【0111】
・上記実施形態では、接続部材90が電気絶縁性を有する材料からなる構成であったが、これに限られない。たとえば接続部材90は、Cu、Al等の金属材料からなる構成であってもよい。この場合、たとえば接続部材90と第1駆動導電層20Aとを接続する接着剤と、接続部材90と第2駆動導電層20Bとを接続する接着剤とのそれぞれは、電気絶縁性を有する材料からなる。これにより、接続部材90と第1駆動導電層20Aとが絶縁され、接続部材90と第2駆動導電層20Bとが絶縁される。
【0112】
・上記実施形態において、接続部材90は、第2駆動配線22とは異なる駆動配線に接続されてもよい。一例では、
図21に示すように、第1駆動導電層20Aは、第2駆動配線22とは異なる駆動配線として、第3駆動配線23を有していてもよい。第3駆動配線23は、第2駆動配線22と電気的に絶縁されており、y方向において第2駆動配線22と隙間を介して隣り合うように形成されている。
図22に示すように、第3駆動配線23は、x方向に延びている。第3駆動配線23は、第2駆動配線22の主配線部22aとy方向に離間し、接続配線部22bとx方向に離間するように配置されている。この場合、接続部材90は、導電性を有する材料、たとえば金属材料から構成されてもよい。
【0113】
・上記実施形態では、接続部材90は、第1駆動導電層20Aおよび第2駆動導電層20Bに接続されていたが、これに限られない。接続部材90は、第1駆動導電層20Aに代えて第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asに接続されてもよいし、第2駆動導電層20Bに代えて第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに接続されてもよい。一例では、
図23に示すように、接続部材90は、第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asに接続されており、第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに接続されている。
【0114】
図24に示すように、第2駆動導電層20Bのうち接続部材90が配置される部分には、貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、z方向において第2駆動導電層20Bを貫通している。接続部材90は、貫通孔24に挿通されて第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに接続されている。
【0115】
また、接続部材90は、第1駆動導電層20Aおよび第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asに跨って接続されてもよく、第2駆動導電層20Bおよび第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに跨って接続されてもよい。
【0116】
このように、接続部材90は、第1駆動導電層20Aおよび第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asのうちの少なくとも一方と、第2駆動導電層20Bおよび第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsのうちの少なくとも一方一方とに接続されていればよい。接続部材90が第1絶縁部材10Aの第1絶縁主面10Asまたは第2絶縁部材10Bの第2絶縁主面10Bsに接続される場合、たとえば接続部材90を、導電性を有する材料、たとえば金属材料から構成されてもよい。
【0117】
・上記実施形態において、第1接続層60Aおよび第2接続層60Bの構成は任意に変更可能である。一例では、各接続層60A,60Bは、はんだやAgペースト等の導電性接合材から構成されてもよい。この場合、第1接続層60Aのz方向の両端部に形成される各導電性接合材JA1,JA2を含めて、第1半導体素子50Aと第2駆動導電層20Bとを接続する第1接続層を構成する。また、第2接続層60Bのz方向の両端部に形成される各導電性接合材JB1,JB2を含めて、第2半導体素子50Bと第1駆動導電層20A(第2駆動配線22)とを接続する第2接続層を構成する。
【0118】
・上記実施形態において、第1制御用端子84Aおよび第1検出用端子85Aはそれぞれ、樹脂側面74からx方向に突出してもよい。また第2制御用端子84Bおよび第2検出用端子85Bはそれぞれ、樹脂側面73からx方向に突出してもよい。
【0119】
・上記実施形態において、制御用配線41Aおよび検出用配線42Aのそれぞれの配置位置は任意に変更可能である。一例では、検出用配線42Aが制御用配線41Aよりも第2駆動配線22の主配線部22aの近くに配置されてもよい。
【0120】
・上記実施形態において、z方向から視た制御用配線41Aおよび検出用配線42Aの形状はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、制御用配線41Aおよび検出用配線42Aのうち少なくとも一方について、第2駆動配線22と絶縁側面12Aとのy方向の間に配置された部分を省略してもよい。
【0121】
・上記実施形態において、制御用配線41Bおよび検出用配線42Bのそれぞれの配置位置は任意に変更可能である。一例では、検出用配線42Bが制御用配線41Bよりも第2駆動導電層20Bの近くに配置されてもよい。
【0122】
・上記実施形態において、第2駆動導電層20Bの構成は任意に変更可能である。一例では、第2駆動導電層20Bは、各第1半導体素子50Aが接続された第1導電部と、各第2半導体素子50Bが接続された第2導電部とに分割された構成であってもよい。この場合、第1導電部と第2導電部とは、導電性の連結部材によって接続されていてもよい。
【0123】
・上記実施形態において、第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bの数は任意に変更可能である。第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bの数はそれぞれ、半導体装置1の特性に応じて、1個~3個、または5個以上であってもよい。
【0124】
・上記実施形態において、第1接続層60Aおよび第2接続層60Bを省略してもよい。この場合、第1半導体素子50Aは、第2駆動導電層20Bと直接的に接続される。第2半導体素子50Bは、第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22と直接的に接続される。なお、第1半導体素子50Aは、はんだやAgペースト等の導電性接合材を介して第2駆動導電層20Bと接続されてもよいし、第2駆動導電層20Bと接触した状態で第2駆動導電層20Bと接続されてもよい。また、第2半導体素子50Bは、はんだやAgペースト等の導電性接合材を介して第1駆動導電層20Aの第2駆動配線22と接続されてもよいし、第2駆動配線22と接触した状態で第2駆動配線22と接続されてもよい。
【0125】
・上記実施形態において、第1半導体素子50Aと第1駆動導電層20Aの第1駆動配線21との間の接合材JAを省略してもよい。この場合、第1半導体素子50Aは、第1駆動配線21と接触した状態で第1駆動配線21と接続されている。
【0126】
・上記実施形態において、第2半導体素子50Bと第2駆動導電層20Bとの間の接合材JBを省略してもよい。この場合、第2半導体素子50Bは、第2駆動導電層20Bと接触した状態で第2駆動導電層20Bに接続されている。
【0127】
・上記実施形態では、第1半導体素子50Aが第2半導体素子50Bよりも第1絶縁部材10A寄りに配置されており、第2半導体素子50Bが第1半導体素子50Aよりも第2絶縁部材10B寄りに配置されていたが、これに限られない。たとえば、第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bはそれぞれ、第1絶縁部材10Aと第2絶縁部材10Bとのz方向の間の中央に配置されてもよい。第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bをそれぞれ、第1絶縁部材10Aと第2絶縁部材10Bとのz方向の間の中央に配置する構成としては、たとえば、接合材JA,JBや各接続層60A,60Bを省略する構成と、第1駆動配線21の厚さおよび第2駆動導電層20Bの厚さを厚くする構成とが挙げられる。
【0128】
・上記実施形態において、第1半導体素子50Aおよび第2半導体素子50Bの構成はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、第1半導体素子50Aの第1素子主面50Asにドレイン電極51A、ソース電極52Aおよびゲート電極53Aが形成されてもよい。この場合、ドレイン電極51Aは、ワイヤまたは帯状の接続部材によって第1駆動導電層20Aの第1駆動配線21と接続されている。また、第2半導体素子50Bの第2素子主面50Bsにドレイン電極51B、ソース電極52Bおよびゲート電極53Bが形成されてもよい。この場合、ドレイン電極51Bは、ワイヤまたは帯状の接続部材によって第2駆動導電層20Bと接続されている。
【0129】
・上記実施形態において、各半導体素子50A,50Bは、ダイオード等のスイッチング素子以外の半導体素子であってもよい。
<付記>
[付記1]
厚さ方向において互いに反対側を向く第1絶縁主面および第1絶縁裏面を有しており、前記第1絶縁裏面が露出した第1絶縁部材と、
前記第1絶縁主面上に設けられた第1駆動導電層と、
前記第1駆動導電層に搭載された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2絶縁主面および第2絶縁裏面を有しており、前記第2絶縁裏面が露出し、前記第2絶縁主面が前記第1絶縁主面と前記厚さ方向において対向するように前記第1絶縁部材に対して前記厚さ方向に離間して配置された第2絶縁部材と、
前記第2絶縁主面上に設けられた第2駆動導電層と、
前記第2駆動導電層に搭載された第2半導体素子と、
前記第1絶縁部材および前記第1駆動導電層のうちの少なくとも一方と、前記第2絶縁部材および前記第2駆動導電層のうちの少なくとも一方との間に伝熱経路を形成する接続部材と、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子および前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記接続部材の熱伝導率は、前記封止樹脂の熱伝導率よりも高い
半導体装置。
[付記2]
前記接続部材は、前記第2駆動導電層と接続している
付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第1半導体素子よりも前記第2半導体素子の近くに配置されている
付記1または2に記載の半導体装置。
[付記4]
前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第1素子主面および第1素子裏面を有しており、前記第1素子裏面が前記第1駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第1素子裏面には、第1裏面側駆動電極が設けられており、
前記第1素子主面には、第1主面側駆動電極が設けられており、
前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く第2素子主面および第2素子裏面を有しており、前記第2素子裏面が前記第2駆動導電層と前記厚さ方向に対向するように配置されており、
前記第2素子裏面には、第2裏面側駆動電極が設けられており、
前記第2素子主面には、第2主面側駆動電極が設けられている
付記1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記5]
前記第1駆動導電層は、第1駆動配線および第2駆動配線を有しており、
前記第1半導体素子は、前記第1裏面側駆動電極が前記第1駆動配線に電気的に接続されるように前記第1駆動配線に搭載されている
付記4に記載の半導体装置。
[付記6]
前記第2半導体素子は、前記第2裏面側駆動電極が前記第2駆動導電層に電気的に接続されるように前記第2駆動導電層に搭載されており、
前記厚さ方向において前記第2半導体素子と前記第2駆動配線とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第2半導体素子と前記第2駆動配線との間には、前記第2主面側駆動電極と前記第2駆動配線とを電気的に接続する第2接続層が設けられている
付記5に記載の半導体装置。
[付記7]
前記厚さ方向において前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層とが互いに離間した状態で対向しており、
前記第1半導体素子と前記第2駆動導電層との間には、前記第1主面側駆動電極と前記第2駆動導電層とを電気的に接続する第1接続層が設けられている
付記6に記載の半導体装置。
[付記8]
前記厚さ方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向および第2方向とすると、
前記第1駆動導電層は、前記第1方向において前記第2駆動配線と隣り合うように形成された第3駆動配線を有しており、
前記第3駆動配線は、前記第2駆動配線と電気的に絶縁されており、
前記接続部材は、前記第3駆動配線と前記第2駆動導電層とを接続している
付記5~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記9]
前記接続部材は、電気絶縁性を有する材料からなり、前記第1駆動配線と前記第2駆動導電層とを接続している
付記5~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記10]
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子はそれぞれ、複数個設けられており、
前記厚さ方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の第1半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに同じ位置で前記第2方向において互いに離間して配列されており、
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向において互いに離間して配置されており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2方向に向けて延びている
付記5~9のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記11]
前記接続部材は、前記第1方向から視て、前記複数の第2半導体素子の全てと重なるように配置されている
付記10に記載の半導体装置。
[付記12]
前記接続部材は、前記第1方向において前記複数の第2半導体素子の全てと隣り合うように配置されている
付記11に記載の半導体装置。
[付記13]
前記第1方向における前記接続部材の大きさは、前記第1方向における前記第2半導体素子の大きさよりも小さい
付記10~12のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記14]
前記接続部材は、前記複数の第2半導体素子のうち前記第2方向の両端の第2半導体素子の一方を前記第2方向から取り囲む部分を有している
付記10~13のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記15]
前記接続部材は、前記複数の第2半導体素子のうち前記第2方向において隣り合う第2半導体素子の間に位置する部分を有している
付記10~14のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記16]
前記接続部材は、スプリング材を含む
付記1~13のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記17]
前記接続部材は、1または複数の柱状のスプリングプローブを含む
付記1~13のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記18]
前記第2絶縁主面上に設けられた制御導電層を有しており、
前記厚さ方向から視て、前記接続部材は、前記第2半導体素子に対して前記制御導電層とは反対側に配置されている
付記1~17のいずれか一つに記載の半導体装置。
[付記19]
前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材はそれぞれ、セラミックスからなる
付記1~18のいずれか一つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0130】
1…半導体装置
10A…第1絶縁部材
10As…第1絶縁主面
10Ar…第1絶縁裏面
10B…第2絶縁部材
10Bs…第2絶縁主面
10Br…第2絶縁裏面
20A…第1駆動導電層
21…第1駆動配線
22…第2駆動配線
23…第3駆動配線
20B…第2駆動導電層
40B…制御導電層
60A…第1接続層
60B…第2接続層
50A…第1半導体素子
50As…第1素子主面
50Ar…第1素子裏面
51A…ドレイン電極(第1裏面側駆動電極)
52A…ソース電極(第1主面側駆動電極)
50B…第2半導体素子
50Bs…第2素子主面
50Br…第2素子裏面
51B…ドレイン電極(第2裏面側駆動電極)
52B…ソース電極(第2主面側駆動電極)
70…封止樹脂
90…接続部材
92…端部対向壁(複数の第2半導体素子のうち第2方向の両端の第2半導体素子の一方を第2方向から取り囲む部分)
93…中間対向壁(複数の第2半導体素子のうち第2方向において隣り合う第2半導体素子の間に位置する部分)
200…冷却器