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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241028BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241028BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 302C
H02J7/10 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022192144
(22)【出願日】2022-11-30
(65)【公開番号】P2024079288
(43)【公開日】2024-06-11
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻原 泰史
(72)【発明者】
【氏名】山田 保雄
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115091984(CN,A)
【文献】特開2021-132517(JP,A)
【文献】特開2022-087465(JP,A)
【文献】特開2015-086720(JP,A)
【文献】特開2014-093883(JP,A)
【文献】特表2022-540373(JP,A)
【文献】特開2013-243898(JP,A)
【文献】特開2012-196105(JP,A)
【文献】特開2010-045961(JP,A)
【文献】特開2011-250606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0315234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0313581(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0361323(US,A1)
【文献】特開2021-175363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有
前記分岐回路は、第2スイッチ部を介して第2接続部で前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続され、且つ、第4スイッチ部とコンデンサを介して前記インバータと前記バッテリとの負極側の電力伝達経路に接続されている、蓄電システム。
【請求項2】
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記第1接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有し、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【請求項3】
請求項に記載の蓄電システムであって、
前記補機は、第3スイッチ部を介して前記バッテリに接続されている、蓄電システム。
【請求項4】
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、
前記第1スイッチ部、及び前記インバータを制御する制御部と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有し、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関し、充電スタンド等の充電設備には400V級対応及び800V級対応の2種類が存在する。モビリティが400V級対応の充電設備にしか対応していない場合、800V級対応の充電設備では、800V級対応の充電設備の急速充電性能を享受することができない。
【0004】
モビリティが400V級対応及び800V級対応の充電設備に対応している場合、一般的に、400V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で800Vに昇圧して充電するか、800V級対応の充電設備で充電する際に電圧変換器で400Vに降圧して充電する。しかしながら、充電時に充電用の電圧変換器を通すと効率が悪化してしまう。
【0005】
これに対し、バッテリモジュールの接続方式を切り替えることで、充電用の電圧変換器を用いずに、400V級対応の充電設備においても、800V級対応の充電設備においても充電可能なモビリティも知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-080474号公報
【文献】特開2020-150618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、モビリティに使用される補機も400V級で駆動されるものと800V級で駆動されるものの2種類が存在する。バッテリモジュールの接続方式を切り替えるモビリティでは、800V級対応の充電設備で充電中に400V級の補機を駆動する場合、又は、400V級対応の充電設備で充電中に800V級の補機を駆動する場合など、一般的に、補機用の電圧変換器で電圧変換を行っている。しかしながら、補機用の電圧変換器は高価であり製造コストが増加してしまう。
【0008】
本発明は、充電設備の電圧状態に応じて効率的に充電が可能でありながら製造コストを抑制可能な蓄電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蓄電システムは、
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有し、
前記分岐回路は、第2スイッチ部を介して第2接続部で前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続され、且つ、第4スイッチ部とコンデンサを介して前記インバータと前記バッテリとの負極側の電力伝達経路に接続されている
また、本発明の蓄電システムは、
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機と、
前記インバータと前記第1接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有し、
前記補機は、前記第1電圧で動作する。
また、本発明の蓄電システムは、
第1蓄電部と、第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部と、を備えるバッテリと、
3相のコイルが中性点で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータと、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路上に接続されるインバータと、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部に接続される直流給電回路と、
前記第1スイッチ部、及び前記インバータを制御する制御部と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有し、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充電設備の電圧状態に応じて効率的に充電が可能でありながら製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の蓄電システム1の構成を示す図である。
図2】バッテリ2の第1電圧状態(800V起動)を示す図である。
図3】バッテリ2の第2電圧状態(400V起動)を示す図である。
図4】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時の電流の流れを示す図である。
図5】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧(800V)充電時の電流の流れを示す図である。
図6】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧(400V)充電時の電流の流れを示す図である。
図7】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時の作動シーケンスを示す図である。
図8】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
図9】第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
図10】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の構成を示す図である。
図11】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時の電流の流れを示す図である。
図12】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧(800V)充電時の電流の流れを示す図である。
図13】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧(400V)充電時の電流の流れを示す図である。
図14】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時の作動シーケンスを示す図である。
図15】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
図16】第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について、図1図9を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1に示す第1実施形態の蓄電システム1は、電気自動車などの電動車両に搭載される。蓄電システム1が搭載された電動車両は、400V級及び800V級の充電設備に対応し、400V及び800Vの充電電圧でバッテリ2を急速充電できるだけでなく、800Vのベース電圧で三相モータ3及び補機4を効率良く駆動させることができる。
【0014】
具体的に説明すると、蓄電システム1は、図1に示すように、バッテリ2、三相モータ3、補機4、インバータ5(PDU)、DC-DCコンバータ6、電力供給回路11P、11N、補機駆動回路12P、12N、直流給電回路13P、13N、分岐回路14、及び制御部10を備える。
【0015】
図1図3に示すように、バッテリ2は、第1蓄電部21、第2蓄電部22、第1~第5コンタクタM/C、S/C_A、S/C_B、S/C_C、P/C、第1抵抗R1、電流センサIS、及び電流遮断器FUSEを備える。
【0016】
第1蓄電部21及び第2蓄電部22は、それぞれ、400Vの充放電が可能なバッテリモジュールである。
【0017】
第1コンタクタM/Cは、バッテリ2の正極側の端部に配置され、バッテリ2の外部(電力供給回路11P)との接続をON/OFFするメインスイッチとして機能する。
【0018】
第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cは、第1蓄電部21と第2蓄電部22との接続状態を切り替える。例えば、図2に示すように、第2コンタクタS/C_AをON、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが直列接続された第1電圧状態(800V起動)となり、800Vでの充放電が可能になる。また、図3に示すように、第2コンタクタS/C_AをOFF、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにすると、バッテリ2は、第1蓄電部21と第2蓄電部22とが並列接続された第2電圧状態(400V起動)となり、400Vでの充放電が可能になる。なお、起動とは、蓄電システム1が搭載された電動車両の走行時における駆動と、電動車両の停車時における充電と、を含む概念である。第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cは、第1電圧状態(800V起動)と第2電圧状態(400V起動)とを切り替え可能な第1スイッチ部の一例である。
【0019】
第5コンタクタP/C及び第1抵抗R1は、直列に配置され、第1コンタクタM/Cと並列に配置される。第5コンタクタP/Cは、第1電圧状態及び第2電圧状態において、第1コンタクタM/CのONに先立ってONされることにより、過剰な突入電流から第1コンタクタM/Cを保護する。
【0020】
電流センサISは、第1コンタクタM/Cと蓄電部21、22との間に配置され、電流を測定する。
【0021】
電流遮断器FUSEは、バッテリ2の負極側の端部に配置され、異常発生時にバッテリ2の外部(電力供給回路11N)との接続を遮断する。本実施形態の蓄電システム1では、電気信号に応じて意図的な電流遮断が可能なパイロヒューズで電流遮断器FUSEを構成しており、異常発生時(車両の衝突、バッテリ2内の短絡など)には、電流遮断器FUSEを遮断動作させるとともに、バッテリ2内のすべてのコンタクタをOFF(オープン)にする。
【0022】
このようにすると、異常が発生した際、バッテリ2の正負両端側で外部との接続を遮断できるだけでなく、第1電圧状態(800V起動)及び第2電圧状態(400V起動)のいずれでも、回路上に存在する複数のコンタクタをOFFにすることで、コンタクタの溶着発生時においても確実な回路遮断が可能になる。また、電流遮断器FUSEをパイロヒューズとすることにより、バッテリ2の負極側の端部に配置されるコンタクタを不要とし、部品点数及びコストの削減が図れる。
【0023】
三相モータ3は、一端側が中性点31で接続される3相のコイル32U、32V、32Wを備えており、インバータ5を介してバッテリ2から供給される電力で回転駆動される。本実施形態の三相モータ3は、コイル32U、32V、32Wの他端側に接続されるU相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wと、を備える。U相端子33U、V相端子33V及びW相端子33Wは、インバータ5に接続される。また、いずれか1相のコイル32U、32V、32Wの他端側は、接続部34で分岐回路14に接続される。本実施形態では、3相のコイル32U、32V、32Wのうちコイル32Uが、U相端子33Uとインバータ5との間に位置する接続部34で分岐回路14に接続されている。
【0024】
インバータ5は、複数のスイッチング素子の切り替えにより、バッテリ2から供給される直流電力を三相交流電力に変換して三相モータ3を回転駆動させる。また、インバータ5は、分岐回路14から接続部34に直流電流(400V)が供給されたとき、複数のスイッチング素子の切り替えにより、分岐回路14に接続されたコイルと他の1相のコイル(本実施形態では、コイル32U、32V、又は、コイル32U、32W)を利用して直流電流を昇圧(800V)する昇圧回路として機能させることができる。即ち、ステータコアに巻回されたコイル32U、32V、32Wが、トランスとして利用される。インバータ5は、ゲートのON/OFFに関わらず三相モータ3側からバッテリ2側への電流の流れを許容し、ゲートのON時にのみバッテリ2側から三相モータ3側への電流の流れを許容する。
【0025】
補機4は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力で駆動可能な高電圧駆動車載機器であり、例えば、エアコン用の電動コンプレッサやヒーターなどが含まれる。補機4は、後述する補機駆動回路12P、12N、第7コンタクタVS/C、及び電力供給回路11P、11Nを介してバッテリ2に接続される。第7コンタクタVS/Cは、第3スイッチ部の一例である。本実施形態の補機4は、ベース電圧の800Vで動作される。
【0026】
DC-DCコンバータ6は、バッテリ2及び外部電源からの直流電力を降圧して低電圧駆動車載機器を駆動させる。DC-DCコンバータ6には、不図示の電流計が設けられる。
【0027】
電力供給回路11P、11Nは、正負一対で構成され、バッテリ2とインバータ5(三相モータ3)を接続する。電力供給回路11P、11Nには、直流給電回路13P、13Nとの接続部111P、111Nが設けられ、接続部111P、111Nよりもインバータ5側には、補機駆動回路12P、12N(補機4)との接続部112P、112Nが設けられている。また、正極側の電力供給回路11Pには、補機駆動回路12Pとの接続部112Pと、直流給電回路13Pの接続部111Pの間で回路をON/OFFする第7コンタクタVS/Cが設けられる。また、電力供給回路11P、11Nのインバータ5側には、第1電圧センサV_PIN、第1平滑コンデンサC1及び第2抵抗R2が設けられる。第1電圧センサV_PIN、第1平滑コンデンサC1及び第2抵抗R2は、それぞれ、正極側の電力供給回路11Pと負極側の電力供給回路11Nとを接続する回路上に設けられる。なお、第2抵抗R2は、回路遮断時に第1平滑コンデンサC1を放電させるために設けられる。
【0028】
また、負極側の電力供給回路11Nと分岐回路14とを接続する回路上には、この回路をON/OFFする第11コンタクタQC/C_Eと、第2平滑コンデンサC2とが直列に設けられている。また、第2平滑コンデンサC2と並列する回路上には、回路遮断時に第2平滑コンデンサC2を放電させるための第3抵抗R3が設けられている。
【0029】
直流給電回路13P、13Nは、正負一対で構成され、一端部には、充電設備などの外部電源を接続可能な充電端子131P、131Nが設けられ、他端部は、接続部111P、111Nを介して電力供給回路11P、11Nに接続されている。直流給電回路13P、13Nには、それぞれの回路をON/OFFする第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが設けられる。また、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも接続部111P、111N側の位置には、第2電圧センサV_BATが設けられる。また、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bよりも充電端子131P、131N側の位置には、第3電圧センサV_QCが設けられる。
【0030】
分岐回路14は、正極側の直流給電回路13Pにおいて、第8コンタクタQ/C_Aや第2電圧センサV_BATよりも接続部111P側の位置で分岐され、接続部34を介して三相モータ3のいずれかのコイルに接続される。分岐回路14の中間部には、回路をON/OFFする第10コンタクタQC/C_Cが設けられている。第10コンタクタQC/C_Cは、第2スイッチ部の一例である。
【0031】
制御部10は、例えば、車両ECUであり、蓄電システム1の駆動及び充電を制御する。より具体的に、制御部10は、各コンタクタM/C、S/C_A、S/C_B、S/C_C、P/C、VS/C、QC/C_A、QC/C_B、QC/C_C、QC/C_EのON/OFF制御、及びこれらの溶着検知、DC-DCコンバータ6及びインバータ5の制御を行う。
【0032】
つぎに、蓄電システム1の動作について、図4図9を参照して説明する。
【0033】
図4は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行(800V駆動)時の電流の流れを示す図であり、図7は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行(800V駆動)時の作動シーケンスを示す図である。
【0034】
制御部10は、電動車両のイグニッションスイッチIGがON操作されると、まず、第5コンタクタP/C及び第7コンタクタVS/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0035】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第2コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1がプリチャージされ、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0036】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージが完了するタイミングで第1コンタクタM/CをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/CをOFFにする。これにより、電動車両が走行可能となる。このとき、補機4は、補機駆動回路12P、12Nを介して電力供給回路11P、11Nに接続され、バッテリ2から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0037】
一方、制御部10は、イグニッションスイッチIGがOFF操作されると、まず、第1コンタクタM/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が第1平滑コンデンサC1のディスチャージによって低下しない場合、第1コンタクタM/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0038】
制御部10は、第1コンタクタM/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のディスチャージが完了するタイミングで第5コンタクタP/CをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0039】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第7コンタクタVS/CをOFFにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が低下しない場合、第7コンタクタVS/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0040】
制御部10は、第7コンタクタVS/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C及び第2コンタクタS/C_AをOFFにして走行時の作動シーケンスを終了する。
【0041】
図5は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧充電(800V充電)時の電流の流れを示す図であり、図8は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧充電(800V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0042】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第1電圧(800V)の場合、まず、第5コンタクタP/C及び第7コンタクタVS/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0043】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第2コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1がプリチャージされ、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0044】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージが完了したら、第1コンタクタM/CをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/CをOFFにする。これにより、バッテリ2は、第1電圧(800V)による充電が開始可能な状態となる。
【0045】
その後、制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第1電圧(800V)によるバッテリ2の充電を開始させる。このとき、補機4は、補機駆動回路12P、12N及び第7コンタクタVS/Cを介して直流給電回路13P、13Nに接続され、充電設備から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0046】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0047】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、第1コンタクタM/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が第1平滑コンデンサC1のディスチャージによって低下しない場合、第1コンタクタM/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0048】
制御部10は、第1コンタクタM/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のディスチャージが完了するタイミングで第5コンタクタP/CをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0049】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のプリスチャージが完了するタイミングで第7コンタクタVS/CをOFFにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が下降しない場合、第7コンタクタVS/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0050】
制御部10は、第7コンタクタVS/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C及び第2コンタクタS/C_AをOFFにして第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0051】
図6は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧充電(400V充電)時の電流の流れを示す図であり、図9は、第1実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧充電(400V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0052】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第2電圧(400V)の場合、第5コンタクタP/C、第10コンタクタQC/C_C及び第11コンタクタQC/C_EをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0053】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにし、バッテリ2内の回路を第2電圧状態(400V)に接続させた後、第1コンタクタM/CをON、第5コンタクタP/CをOFFにしてバッテリ2を第2電圧状態(400V)で起動させる。また、制御部10は、三相モータ3及びインバータ5による昇圧回路を有効にした後、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにする。これにより、バッテリ2は、第2電圧(400V)による充電が開始可能な状態となる。また、分岐回路14を介して直流給電回路13P、13Nに接続された三相モータ3及びインバータ5は、充電設備から供給される第2電圧(400V)を第1電圧(800V)に昇圧し、補機4を駆動させることができる。
【0054】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0055】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、三相モータ3及びインバータ5による昇圧を停止した後、第1コンタクタM/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が低下しない場合、第1コンタクタM/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0056】
制御部10は、第1コンタクタM/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0057】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第10コンタクタQC/C_CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が低下しない場合、第10コンタクタQC/C_Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0058】
制御部10は、第10コンタクタQC/C_Cの溶着なしと判断した場合は、第11コンタクタQC/C_EをOFF、第7コンタクタVS/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージによって第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した後、インバータ5のゲートをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値を再びチェックする。制御部10は、インバータ5のゲートONに応じて第1電圧センサV_PINの検出電圧値が変化した場合、第11コンタクタQC/C_Eが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0059】
制御部10は、第11コンタクタQC/C_Eの溶着なしと判断した場合は、第7コンタクタVS/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が下降しない場合、第7コンタクタVS/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0060】
制御部10は、第7コンタクタVS/Cの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにして第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0061】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態の蓄電システム1について、図10図16を参照して説明する。ただし、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態と同じ符号を用いることで、第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0062】
前述した第1実施形態の蓄電システム1では、充電用のメインスイッチである第8コンタクタQC/C_Aをバッテリ2のメインスイッチである第1コンタクタM/Cに対して直列に接続していたが、第2実施形態の蓄電システム1では、図10に示すように、第8コンタクタQC/C_Aを第1コンタクタM/Cに対して並列に接続している。
【0063】
このような第2実施形態の蓄電システム1であっても、後述する作動シーケンスによる動作に基づいて第1実施形態の蓄電システム1と同等の効果が得られる。また、第2実施形態の蓄電システム1では、第2電圧(400V)の充電において、第2電圧(400V)で充電されるバッテリ2と、三相モータ3及びインバータ5によって昇圧された第1電圧(800V)とを第1コンタクタM/Cで切り分けることができるので、第1実施形態の第7コンタクタVS/Cに相当するスイッチ部品が不要になる。
【0064】
第2実施形態では、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cが第1スイッチ部の一例であり、第10コンタクタQC/C_Cが第2スイッチ部の一例である点は第1実施形態と同様であるが、第1コンタクタM/Cが第3スイッチ部の一例である点で第1実施形態と相違する。
【0065】
また、第2実施形態の蓄電システム1では、第8コンタクタQC/C_A、第9コンタクタQC/C_B、第2電圧センサV_BAT、及び第3電圧センサV_QCをバッテリ2内に配置し、分岐回路14をバッテリ2内から引き出すことを想定しているため、バッテリ2内であって分岐回路14の分岐近傍位置よりもインバータ5側に、異常時にバッテリ外部との接続を遮断するための第12コンタクタQC/C_Dが設けられる。
【0066】
つぎに、第2実施形態の蓄電システム1の動作について、図11図16を参照して説明する。
【0067】
図11は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行(800V駆動)時の電流の流れを示す図であり、図14は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の走行(800V駆動)時の作動シーケンスを示す図である。
【0068】
制御部10は、電動車両のイグニッションスイッチIGがON操作されると、まず、第5コンタクタP/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0069】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第2コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1がプリチャージされ、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0070】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージが完了するタイミングで第1コンタクタM/CをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/CをOFFにする。これにより、電動車両が走行可能となる。
【0071】
一方、制御部10は、イグニッションスイッチIGがOFF操作されると、まず、第1コンタクタM/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が第1平滑コンデンサC1のディスチャージによって低下しない場合、第1コンタクタM/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0072】
制御部10は、第1コンタクタM/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のディスチャージが完了するタイミングで第5コンタクタP/CをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0073】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第2コンタクタS/C_A及び第5コンタクタP/CをOFFにして走行時の作動シーケンスを終了する。
【0074】
図12は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧充電(800V充電)時の電流の流れを示す図であり、図15は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第1電圧充電(800V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0075】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第1電圧(800V)の場合、まず、第5コンタクタP/CをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0076】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第2コンタクタS/C_AをONにし、バッテリ2内の回路を第1電圧状態(800V)に接続させる。バッテリ2内の回路が第1電圧状態(800V)に接続されると、第1平滑コンデンサC1がプリチャージされ、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が徐々に上昇する。
【0077】
制御部10は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージが完了したら、第1コンタクタM/CをONにしてバッテリ2を第1電圧状態(800V)で起動させ、その後、第5コンタクタP/CをOFFにする。これにより、バッテリ2は、第1電圧(800V)による充電が開始可能な状態となる。
【0078】
その後、制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにし、第1電圧(800V)によるバッテリ2の充電を開始させる。このとき、補機4は、補機駆動回路12P、12N及び第1コンタクタM/Cを介して直流給電回路13P、13Nに接続され、充電設備から供給される第1電圧(800V)で駆動される。
【0079】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0080】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、第1コンタクタM/CをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が第1平滑コンデンサC1のディスチャージによって低下しない場合、第1コンタクタM/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0081】
制御部10は、第1コンタクタM/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のディスチャージが完了するタイミングで第5コンタクタP/CをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0082】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第2コンタクタS/C_A及び第5コンタクタP/CをOFFにして第1電圧(800V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0083】
図13は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧充電(400V充電)時の電流の流れを示す図であり、図16は、第2実施形態の蓄電システム1が搭載された電動車両の第2電圧充電(400V充電)時の作動シーケンスを示す図である。
【0084】
制御部10は、充電端子131P、131Nに充電プラグが接続されると、充電設備との間でCAN通信を行って充電電圧の識別を行う。制御部10は、充電電圧が第2電圧(400V)の場合、第5コンタクタP/C及び第11コンタクタQC/C_EをONにして第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した場合、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cのいずれかが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0085】
制御部10は、第2~第4コンタクタS/C_A、S/C_B、S/C_Cの溶着がないと判断した場合は、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをONにし、バッテリ2内の回路を第2電圧状態(400V)に接続させた後、第10コンタクタQC/C_C及び第12コンタクタQC/C_DをONとし、その後に第5コンタクタP/CをOFFにする。また、制御部10は、三相モータ3及びインバータ5による昇圧回路を有効にした後、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをONにする。これにより、バッテリ2は、第2電圧(400V)による充電が開始可能な状態となる。また、分岐回路14を介して直流給電回路13P、13Nに接続された三相モータ3及びインバータ5は、充電設備から供給される第2電圧(400V)を第1電圧(800V)に昇圧し、補機4を駆動させることができる。
【0086】
一方、制御部10は、充電停止信号の入力を判断すると、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_BをOFFにし、第3電圧センサV_QCの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第3電圧センサV_QCの検出電圧値が低下しない場合、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0087】
制御部10は、第8コンタクタQC/C_A及び第9コンタクタQC/C_Bの溶着なしと判断した場合は、三相モータ3及びインバータ5による昇圧を停止した後、第10コンタクタQC/C_C及び第12コンタクタQC/C_DをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が低下しない場合、第10コンタクタQC/C_C及び第12コンタクタQC/C_Dが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0088】
制御部10は、第10コンタクタQC/C_C及び第12コンタクタQC/C_Dの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/CをON、第11コンタクタQC/C_EをOFFにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値をチェックする。制御部10は、第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇しない場合、第5コンタクタP/Cが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0089】
制御部10は、第5コンタクタP/Cの溶着なしと判断した場合は、第1平滑コンデンサC1のプリチャージによって第1電圧センサV_PINの検出電圧値が上昇した後、インバータ5のゲートをONにし、第1電圧センサV_PINの検出電圧値を再びチェックする。制御部10は、インバータ5のゲートONに応じて第1電圧センサV_PINの検出電圧値が変化した場合、第11コンタクタQC/C_Eが溶着していると判断し、異常報知を行う。
【0090】
制御部10は、第11コンタクタQC/C_Eの溶着なしと判断した場合は、第5コンタクタP/C、第3コンタクタS/C_B及び第4コンタクタS/C_CをOFFにして第2電圧(400V)充電時の作動シーケンスを終了する。
【0091】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0092】
例えば、上記実施形態では、制御部10は、充電設備との間でCAN通信することを例示したが、通信方式はCAN通信に限らず、任意の通信方式を採用することができる。
【0093】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0094】
(1) 第1蓄電部(第1蓄電部21)と、第2蓄電部(第2蓄電部22)と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが直列接続され第1電圧で充電可能な第1電圧状態と前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とが並列接続され第2電圧で充電可能な第2電圧状態とを切り替え可能な第1スイッチ部(第2コンタクタS/C_A、第3コンタクタS/C_B、第4コンタクタS/C_C)と、を備えるバッテリ(バッテリ2)と、
3相のコイル(コイル32U、32V、32W)が中性点(中性点31)で接続され、前記バッテリから供給される電力で駆動する三相モータ(三相モータ3)と、
前記バッテリと前記三相モータとの電力伝達経路(電力供給回路11P、11N)上に接続されるインバータ(インバータ5)と、
前記インバータと前記バッテリとの電力伝達経路上に位置する第1接続部(接続部111P、111N)に接続される直流給電回路(直流給電回路13P、13N)と、を備え、
正極側の前記直流給電回路は、前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路(分岐回路14)を有する、蓄電システム(蓄電システム1)。
【0095】
(1)によれば、外部の充電設備が第1電圧で充電するシステムであっても、第2電圧で充電するシステムであっても、第1蓄電部と第2蓄電部の接続形態を第1スイッチ部で切り替えることで、充電設備の電圧状態に応じて適切に充電することができる。即ち、充電時に電圧変換器を通さずに充電することができるので、電圧変換器による効率悪化を回避できるとともに、充電用の電圧変換器を不要にできる。
また、インバータとバッテリとの電力伝達経路上に位置する接続部に接続される正極側の直流給電回路が、三相モータのいずれか1相のコイルに接続される分岐回路を有するので、三相モータとインバータを使って電圧変換できる。これにより、充電設備の電圧状態と補機等の動作電圧が異なる場合であっても、専用の電圧変換器を不要にでき、製造コストを抑制できる。
【0096】
(2) (1)に記載の蓄電システムであって、
前記分岐回路は、第2スイッチ部(第10コンタクタQC/C_C)を介して第2接続部(接続部34)で前記3相のコイルのいずれか1相のコイルに接続されている、蓄電システム。
【0097】
(2)によれば、三相モータで電圧変換しない場合、即ち三相モータのコイルをトランスとして利用しない場合、第2接続部への接続を遮断できる。
【0098】
(3) (2)に記載の蓄電システムであって、
前記分岐回路は、第4スイッチ部(第11コンタクタQC/C_E)とコンデンサ(第2平滑コンデンサC2)を介して前記インバータと前記バッテリとの負極側の電力伝達経路(電力供給回路11N)に接続されている、蓄電システム。
【0099】
(3)によれば、第2スイッチ部の故障検知を行うことができる。
【0100】
(4) (1)に記載の蓄電システムであって、
前記バッテリ及び外部電源からの直流電力で駆動可能な補機(補機4)と、
前記インバータと前記第1接続部との電力伝達経路上に接続され、前記補機に電力を供給する補機駆動回路(補機駆動回路12P、12N)と、を備え、
前記補機は、前記第1電圧で動作する、蓄電システム。
【0101】
(4)によれば、走行時及び第1電圧での充電時に電圧変換が不要になる。
【0102】
(5) (4)に記載の蓄電システムであって、
前記補機は、第3スイッチ部(第1実施形態の第7コンタクタVS/C、第2実施形態の第1コンタクタM/C)を介して前記バッテリに接続されている、蓄電システム。
【0103】
(5)によれば、三相モータで電圧変換する場合、即ち三相モータのコイルをトランスとして利用する場合、第1電圧状態となる部分と第2電圧状態となる部分を第3スイッチ部で切り分けることができる。
【0104】
(6) (1)~(5)のいずれかに記載の蓄電システムであって、
前記第1スイッチ部、及び前記インバータを制御する制御部(制御部10)を備え、
前記制御部は、前記第2電圧で前記バッテリを充電するとき、前記インバータにより前記分岐回路から前記三相モータに供給された電圧を前記第1電圧に昇圧する、蓄電システム。
【0105】
(6)によれば、三相モータとインバータを使って電圧変換できるので、補機用の電圧変換器を不要にできる。
【符号の説明】
【0106】
1 蓄電システム
2 バッテリ
21 第1蓄電部
22 第2蓄電部
3 三相モータ
10 制御部
31 中性点
32U、32V、32W コイル
34 接続部(第2接続部)
4 補機
5 インバータ
111P、111N 接続部(第1接続部)
11P、11N 電力供給回路(電力伝達経路)
12P、12N 補機駆動回路
13P、13N 直流給電回路
14 分岐回路
M/C_A 第1コンタクタ(第3スイッチ部)
S/C_A 第2コンタクタ(第1スイッチ部)
S/C_B 第3コンタクタ(第1スイッチ部)
S/C_C 第4コンタクタ(第1スイッチ部)
VS/C 第7コンタクタ(第3スイッチ部)
QC/C_C 第10コンタクタ(第2スイッチ部)
QC/C_E 第11コンタクタ(第4スイッチ部)
C2 第2平滑コンデンサ(コンデンサ)
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