(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】スピーカ要素およびそのようなスピーカ要素を備えるスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 9/00 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H04R9/00 C
(21)【出願番号】P 2022512398
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 NL2020050528
(87)【国際公開番号】W WO2021040520
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-21
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】522068511
【氏名又は名称】アイエフ-アダマス ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】IF-ADAMAS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カンペルマン, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ウイトデウィリゲン, フレデリクス ヘンドリクス ヘラルドゥス
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第3159714(JP,B1)
【文献】特開2017-118376(JP,A)
【文献】特開2008-131373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカ要素
を備えるスピーカであって、
各スピーカ要素が、実質的に互いに対向する離間した2つの膜面を備え、各膜面が少なくとも1本の電磁ワイヤを備え、前記電磁ワイヤが、前記電磁ワイヤに電流が流れると磁場を生成するように配置されており、少なくとも1つの永久磁石が前記2つの膜面間に配置されており、前記2つの膜面の前記電磁ワイヤが、実質的に互いに反対の方向に前記電流が流れることによって実質的に互いに反対の磁場を生成するように電源に接続可能であり、それにより、各膜面の前記電磁ワイヤに電流が流れると、両方の前記膜面が、前記永久磁石に引き付けられることによって互いに近づくか、または前記永久磁石から反発することによって互いに離れ、それによって音波を生成
し、
前記スピーカが、中央長手方向線を規定しており、前記複数のスピーカ要素が、前記中央長手方向線に対して半径方向に配置され、ある角度距離で互いに離間している、スピー
カ。
【請求項2】
約60°の角度距離で互いに離間した5つの前記スピーカ要素が、設けられている、請求項
1に記載のスピーカ。
【請求項3】
約60°の角度距離で互いに離間した5つの前記スピーカ要素からなる少なくとも1つのさらなる組が設けられており、前記少なくとも1つのさらなる組が、前記スピーカ要素同士が位置合わせされるように、前記5つのスピーカ要素の上部に配置されている、請求項
2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記複数のスピーカ要素それぞれの各電磁ワイヤが、実質的に等しい膜部分が前記電磁ワイヤの両側に配置されるように、各膜面の実質的に中間線に配置されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項5】
前記複数のスピーカ要素それぞれの前記永久磁石が、少なくとも2本の前記電磁ワイヤが前記永久磁石の互いに反対側にある2つの長手方向面の前方に配置されるように、前記少なくとも2本の電磁ワイヤに対してその長手方向の長さで実質的に平行に延びている、請求項1
~4のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項6】
前記複数のスピーカ要素それぞれの実質的に互いに対向する前記2つの膜面が、互いに対して傾斜した角度で配置されており、前記角度が好ましくは0°~75°の間で選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項7】
前記複数のスピーカ要素それぞれの前記2つの膜面が、共に周縁ゾーンを画定しており、前記周縁ゾーンが、その第1の部分にわたって閉じられ、その第2の部分にわたって開いている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項8】
前記複数のスピーカ要素それぞれの各膜面が、4本の前記電磁ワイヤを備え、4本の前記ワイヤが、互いに距離を置かずに、またはわずかに置いて平行に配置されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項9】
前記複数のスピーカ要素それぞれの各前記電磁ワイヤが、銅ワイヤである、請求項1~
8のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項10】
前記複数のスピーカ要素それぞれの各電磁ワイヤが、ポリイミドテープを使用して前記膜面に取り付けられている、請求項1~
9のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項11】
前記複数のスピーカ要素がそれぞれ、各膜面の周縁を保持するためのフレームを備え、各膜面の前記周縁が、前記フレームの2つのフレーム部分間に配置されることによってしっかりと保持されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載のスピー
カ。
【請求項12】
前記複数のスピーカ要素がそれぞれ、ゴムなどの可撓性および/または圧縮性材料で作製された2つのアングル材を備え、前記アングル材が、前記膜面に張力をかけるために、前記膜面の前記周縁の領域において前記フレーム部分間に配置されている、請求項
11に記載のスピー
カ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ用のスピーカ要素およびそのようなスピーカ要素を備えるスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカおよびそのスピーカ要素は、それ自体公知である。前記既知のスピーカおよびそのスピーカ要素は、特定の周波数範囲の音波を生成するのに適しており、一般に、異なるスピーカまたは異なるスピーカ要素が、異なる周波数範囲に対して設けられる。例えば、第1のスピーカまたはスピーカ要素が、約100Hz~22kHzの周波数範囲に対して設けられてもよく、スピーカ要素の第2のスピーカが、サブウーファとしても知られる約150Hzより低い周波数を有する周波数範囲に対して設けられてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、前記既知のスピーカおよびそのスピーカ要素を改善することである。より具体的には、本発明の目的は、全周波数範囲、すなわち、例えば約0~22kHzの音波を生成するのに適した1つのスピーカおよび/または1つのスピーカ要素を提供することである。
【0004】
前記スピーカ要素は、本発明によれば、実質的に互いに対向する離間した2つの膜面を備え、各膜面は、少なくとも1本の電磁ワイヤを備え、電磁ワイヤは、前記電磁ワイヤに電流が流れると磁場を生成するように配置され、少なくとも1つの永久磁石が、2つの膜面間に配置され、2つの膜面の電磁ワイヤが、実質的に互いに反対方向に電流が流れることによって実質的に互いに反対の磁場を生成するように電源に接続可能であり、それにより、各膜面の電磁ワイヤに電流が流れると、両方の前記膜面は、永久磁石に引き付けられることによって互いに近づくか、または永久磁石から反発することによって互いに離れ、それによって音波を生成する。
【0005】
本出願人は、そのようなスピーカ要素が約0~22kHzの周波数範囲の音波を生成することができ、それによって、異なる周波数範囲を有するさらなるスピーカ要素の必要性を低減する、すなわち、低周波数には別個のサブウーファが必要とされないことを見出した。
【0006】
前記2つの膜面は、比較的軽く、および/または比較的小さく、それによって前記大きい周波数範囲の前記音波を生成することができる。
【0007】
前記2つの膜面を提供することによって、それによって生成された音波が加えられる。
【0008】
膜面は、前記2つの膜面を形成するように曲げられた1つの連続膜によって、または2つの別個の膜によって構成され得る。したがって、前記「2つの実質的に互いに対向する離間した膜面」は、代替的に、「2つの実質的に互いに対向する離間した面を備える少なくとも1つの膜」または「2つの実質的に互いに対向する離間した面様部分を備える少なくとも1つの膜」として定義され得る。
【0009】
2つの膜面の電磁ワイヤは、互いに実質的に平行に配置されてもよく、一方のワイヤでは電流は第1の方向に流れ、他方のワイヤでは電流は第2の反対方向に流れる。電流は実質的に相反する方向にワイヤを流れるので、ワイヤによって生成される電界も実質的に反対である。したがって、ワイヤ、ひいては膜面は、実質的に相反する方向に移動する、すなわち互いに近づくか、または互いに離れる。
【0010】
各電磁ワイヤは、2つの膜面のそれぞれ1つと面内で延びることができる。
【0011】
永久磁石は、2つの膜面間に対称的に配置され得る。
【0012】
永久磁石は、例えばネオジム磁石であってもよい。
【0013】
膜面は、例えば、Mylarとして知られるポリエチレンテレフタレート(PET)膜または箔を備えることができる。
【0014】
膜面は、例えば、約0.019mmの厚さであってもよい。
【0015】
本発明によるスピーカ要素の一実施形態では、各電磁ワイヤは、実質的に等しい膜部分が前記電磁ワイヤの両側に配置されるように、各膜面の実質的に中間線に配置される。
【0016】
各膜面の中間線に電磁ワイヤを設けることにより、膜面は均等に移動され得る。
【0017】
他の、場合によってはあまり好ましくない実施形態では、電磁ワイヤを各膜面に対して異なる位置に配置することが可能である。一例として、電磁ワイヤは、各膜面の半分を二等分する線に沿って配置され得る。
【0018】
中間線は、例えば、膜面の実質的に垂直または実質的に水平の中間線であってもよい。
【0019】
電磁ワイヤは、特に、前記膜面の全長または全幅にわたって延びることができる。
【0020】
電磁ワイヤは、ワイヤが互いに実質的に平行に延びるように、2つの膜面の同じ中間線、すなわち、互いに実質的に平行に延びる膜面の中間線内に配置されてもよいことに留意されたい。
【0021】
本発明によるスピーカ要素の別の実施形態では、前記永久磁石は、少なくとも2本の電磁ワイヤが永久磁石の互いに反対側にある2つの長手方向面の前方に配置されるように、少なくとも2本の電磁ワイヤに対してその長手方向の長さで実質的に平行に延びる。
【0022】
この実施形態では、永久磁石は、2つの膜面間を長手方向に延び、永久磁石の前記互いに反対側にある2つの長手方向面の各々は、電磁ワイヤが永久磁石のその長手方向面の前方に配置されるように、その膜面の電磁ワイヤの領域内の2つの膜面のそれぞれ1つに面する。
【0023】
本発明によるスピーカ要素のさらに別の実施形態では、前記2つの実質的に互いに対向する膜面は、互いに対してある角度で配置され、前記角度は斜めであってもよく、前記角度は0°~75°の間で選択されてもよい。前記角度は、例えば、膜面によって生成される音波の所望の方向および/またはスピーカの所望の設定に対応して選択され得る。
【0024】
0°の角度で、前記膜面は、互いに平行に延びる。0°より大きく例えば約75°までの角度において、前記膜面は、互いに対して斜めに延びる。より具体的には、0°より大きく約75°までの角度において、前記膜面は、電磁ワイヤの方向に実質的に直交する方向に互いに放射状に広がることができる。
【0025】
本発明によるスピーカ要素のさらに別の実施形態では、前記2つの膜面は共に周縁ゾーンを画定し、この周縁ゾーンはその第1の部分にわたって閉じられ、その第2の部分にわたって開いている。
【0026】
スピーカ要素の内部で生成された音波は、開いた周縁ゾーン部分を介してスピーカ要素から出ることができる。
【0027】
代替として、開いた周縁ゾーン部分は、例えば、音波の通過を比較的歪みなくおよび/または減衰させないことを可能にする布によって閉じることができる。さらに別の代替として、閉じた周縁ゾーン部分が、音が異なる方向に出ることを可能にするために、開いたままであることができる。
【0028】
前記周縁ゾーンは、特に、スピーカ要素の側面図に見られるように実質的に四角形の形状を有することができ、隣り合う3つの周縁ゾーン部分は閉じており、他方の第4の周縁ゾーン部分は開いている。
【0029】
特に、上記で説明したように前記膜面が放射状に広がる場合、スピーカ要素の放射状に広がる端部に位置する前記周縁ゾーン部分は、開いた縁ゾーン部分であってもよい。
【0030】
前記閉じた周縁ゾーン部分は、例えば、フレームによって閉じられ得る。
【0031】
本発明によるスピーカ要素のさらに別の実施形態では、各膜面は、4本の前記電磁ワイヤを含み、4本のワイヤは、互いに距離を置かずに、またはわずかに置いて平行に配置される。例えば、前記距離は最大2mmであってもよいが、より小さいことが好ましい。
【0032】
本出願人は、4本の前記電磁ワイヤが十分な強度の磁場を生成することができることを見出した。
【0033】
電磁ワイヤに流れる電流の方向は、前記膜面のすべての電磁ワイヤについて同じであることに留意されたい。
【0034】
各電磁ワイヤは、約0.2mmの厚さを有することができる。
【0035】
各電磁ワイヤは、銅ワイヤであってもよい。
【0036】
電磁ワイヤまたは各電磁ワイヤは、任意の所望の方法で膜面に取り付けられ得る。実際には、電磁ワイヤまたは各電磁ワイヤは、例えばカプトンとして知られるポリイミドテープを使用して膜面に取り付けられ得る。
【0037】
本発明によるスピーカ要素のさらに別の実施形態では、前記スピーカ要素は、各膜面の周縁を保持するためのフレームを備え、各膜面の周縁は、前記フレームの2つのフレーム部分間に配置されることによってしっかりと保持される。
【0038】
前記フレームは、例えば、4つの前記フレーム部分を備えることができ、2つのフレーム部分は、それぞれの膜面を保持するように配置される。あるいは、前記フレームは、例えば3つの前記フレーム部分を備えることができ、中央フレーム部分は、2つの膜面間に配置され、その両側にそれぞれの膜面を保持するように配置される。
【0039】
前記スピーカ要素は、ゴムなどの可撓性および/または圧縮性材料で作られた2つのアングル材をさらに備えることができ、前記アングル材は、前記膜面に張力をかけるために、膜面の前記周縁の領域において前記フレーム部分間に配置される。
【0040】
前記膜面は、好ましくは張力をかけて保持される。これは、例えば、前記アングル材によって達成され得る。
【0041】
本発明はまた、説明された実施形態のいずれかによる上記で説明した複数のスピーカ要素を単独でまたは任意の適切な組み合わせで備える、または任意の1つまたは複数の説明した特徴を任意の適切な組み合わせで有するスピーカに関する。
【0042】
前記複数のスピーカ要素は、任意の適切な方法で互いに対して配置され得る。例えば、前記複数のスピーカ要素は、例えば平行な列で同じ平面内に延びることができる。
【0043】
好ましい実施形態では、前記スピーカは、中央長手方向線を規定し、前記複数のスピーカ要素は、前記中央長手方向線に対して半径方向に配置され、ある角度距離で離間される。
【0044】
前記角度距離は、例えば適切な音声角度に従って、および/またはいくつかのスピーカ要素に従って、所望に応じて選択され得る。
【0045】
前記放射状に広がる膜面が設けられる場合、スピーカ要素の収束する端部は、半径方向外側の端部であってもよく、スピーカ要素の対向する、放射状に広がる端部は、半径方向内側の端部であってもよく、すなわち、放射状に広がる端部は、前記中央長手方向線に向かって配置され得る。
【0046】
実質的に、約60°の角度距離で互いに離間した5つの前記スピーカ要素が、提供される。
【0047】
そのような実施形態では、5つのスピーカ要素は、約300°の角度範囲にわたって音波を生成する。
【0048】
スピーカ要素が設けられていないスピーカの前記部分は、例えば、電線を通すために、または任意の他の所望のハードウェアを配置するために使用され得る。前記スピーカは、例えば、スピーカ要素が設けられていないスピーカの前記部分が壁に向けられ得るように使用され得る。
【0049】
前記スピーカは、約60°の角度距離で互いに離間された5つの前記スピーカ要素からなる少なくとも1つのさらなる組を備えることができ、少なくとも1つのさらなる組は、スピーカ要素同士が位置合わせされるように、前記5つのスピーカ要素の上部に配置される。
【0050】
本発明によるスピーカの別の好ましい実施形態では、複数のスピーカ要素は、1つのスピーカ要素の1つの膜板が隣のスピーカ要素の膜板に実質的に面した状態で、仮想線に沿って離間され、仮想線に沿って互いに位置合わせされる。
【0051】
そのようなスピーカは、比較的広い空間や外部で音を発生させるために音を提示するのに適し得る。仮想線は、直線であってもよい。
【0052】
特に、スピーカ要素がそれに沿って配置される仮想線は、直線状の第1のセクションと、湾曲した第2のセクションとを含むことができる。スピーカ要素が、互いに対して非ゼロの角度で配置された膜面を有する上述の種類のものである場合、仮想線の湾曲したセクションは、単一のスピーカ要素の膜面間の角度とは反対方向に湾曲することができる。
【0053】
そのようなスピーカは、音を比較的多くの聞き手に提示するのに適し得、仮想線の直線セクションに沿ったスピーカ要素は、生成された音を水平線に対して比較的小さい角度を付けてさらに遠くに向けるために使用されてもよく、仮想線の湾曲したセクションに沿ったスピーカ要素は、音を水平線に対して比較的大きい角度を付けてスピーカのより近くに向けるために使用されてもよい。
【0054】
本発明は、添付の概略図を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1A】本発明の第1の実施形態によるスピーカを通る概略斜視横断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態によるスピーカの概略斜視図である。
【
図3A】本発明によるスピーカの他の実施形態の概略斜視図である。
【
図3B】本発明によるスピーカの他の実施形態の別の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図において、同様の要素は同様の参照番号によって参照される。
【0057】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による5つのスピーカ要素2を有する、本発明の第1の実施形態によるスピーカ1を示す。スピーカ要素2の2つが、透過的に示されている。
図1Bは、スピーカ要素2のうちの1つをより詳細に示す。
【0058】
図1Aおよび
図1Bから明らかなように、各スピーカ要素2は、実質的に互いに対向する離間した2つの膜面3を備える。この実施形態では、各膜面3は、例えばマイラー製の別個の膜3によって形成される。各膜面3は、この実施形態では、4本の電磁銅ワイヤ4を備え、この電磁銅ワイヤは、前記電磁ワイヤ4に電流が流れると磁場を生成するように配置される。ワイヤ4は、それらの間には距離を置かずに、またはわずかに置いて平行して延び、図ではワイヤ4が1本の、かなり太いワイヤであるように見えるように、カプトンテープを使用して膜面に取り付けられる。この実施形態では、ワイヤ4は、膜面3の垂直中間線内に配置される。膜面3間には永久磁石5が配置され、この永久磁石は2つの保持プレート6によって保持され、2つの保持プレート6は、磁石5をその間に保持するために磁石5の両側の前後に配置される。プレート6同士を接続するためのねじ10が、設けられる。磁石5は、ワイヤ4と略平行に延び、ワイヤ4は、磁石5の長手方向側面の前方になるように配置される。ワイヤ4に電流が流れると、それによって磁場が生成される。
図1Bに示すように、電流は、スピーカ要素2の2つの膜面3を見ると、相反する方向7、8にワイヤ4に流れる。相反する方向7、8の結果として、2つの膜面3のワイヤ4によって生成される磁場は互いに反対であり、その結果、両方の膜面3は磁石5に引き付けられるか、または磁石5から反発し、したがって相反する方向に移動する。上方向7および下方向8は、例としてのみ示されており、それらが互いに反対である限り、逆であってもよいことは、当業者にとって明らかであろう。より具体的には、ワイヤ4に流れる電流は、膜面3が磁石5に連続的に引き付けられ、磁石5から反発し、それによって音波を生成するように、上下方向の間で連続的に変化する。膜面3の外側に生成された外部音波は、矢印9で示すように、外側に進行することができる。隣り合うスピーカ要素2間には、スピーカ要素2の内部で生成された音波が隣り合うスピーカ要素2間からスピーカを離れないようにするための絶縁要素11が設けられている。絶縁要素は、例えば、ゴムまたは任意の他の適切な材料で作製され得る。出願人は、そうでなければ内部音波が外部音波と干渉することを見出した。出願人は、内部音波がスピーカ1の背面においてスピーカ1から離れることがあるが、その効果は無視できることを見出した。
図1Aおよび
図1Bからさらに明らかなように、この実施形態では、膜面3は、67.5°の角度αで放射状に広がっている。この角度の結果として、音波は所望の方向9に進行する。
【0059】
図1Aおよび
図1Bに示すように、膜面3は、フレームによって保持される。前記フレームは、内周および外周のフレーム部分12~14を備え、内周フレーム部分12、13は、両方の膜面3が取り付けられたスピーカ要素2の収束する小さな端部に配置された中央フレーム部分12を備え、内側フレーム部分は、スピーカ要素2の放射状に広がる方向に2つのフレーム部分13に分割される。2つの外周フレーム部分14が内周フレーム部分12、13に取り付けられ、膜面3は、内周フレーム部分と外周フレーム部分12~14間に配置されることによってしっかりと保持される。ゴムアングル材15が、膜面3が張力を受けるように、膜面3と外周フレーム部分14との間を延びる。外側フレーム部分および内側フレーム部分12~14は、ねじ16を使用して互いに取り付けられる。内周フレーム部分12、13は、スピーカ要素2の周縁ゾーンをその上側、下側、および外側において閉じ、スピーカ要素の周縁ゾーンの内側のみが開放されたままにされ、それにより、音波は、スピーカの内側部分に移動し、その後、上述のように要素11を介してスピーカから離れる。
【0060】
図1Aは、スピーカ要素2が実質的に円形のプレート17上に配置されていることをさらに示している。スピーカ要素2は、スピーカ2の中央長手方向線に対して半径方向に延び、約60°の角度距離βだけ半径方向に離間しており、それにより、5つのスピーカ要素2は一緒になって、約300°のプレート17の角度範囲にわたって延びる。スピーカ要素2が設けられていない領域には、ケーブルパイプ18が設けられている。
【0061】
図2は、2段のスピーカ要素2を有するスピーカ1を示す。2つの列のスピーカ要素2は、互いに位置合わせされる。スピーカ要素2は、
図1Aおよび
図1Bのスピーカ要素2と同様であってもよく、読者は、その説明のために
図1Aおよび
図1Bの上記の説明を参照されたい。スピーカ1は、正面斜視図で示される。ケーブルは、スピーカ要素2が設けられていないスピーカ1の背面に配置され得る。スピーカの他のハードウェアは、例えば、2段のスピーカ要素2の下に配置され得る。このように構成されたスピーカ1は、略円筒形状を有する。
【0062】
図3Aは、仮想線Lに沿って離間され、仮想線Lに沿って互いに位置合わせされた複数のスピーカ要素2を有するスピーカ102を示す。各スピーカ要素について、膜面3は、膜面3-1および3-2によって示されるように、隣のスピーカ要素2の膜面3に実質的に面する。この例では、仮想線Lは、直線である。
図3Bは、直線セクションLsおよび湾曲したセクションL-cを有する線Lを除いて、
図3Aのスピーカ102と同様のスピーカ201の別の実施形態を示す。湾曲したセクションLcの曲線は、単一のスピーカ要素2の2つの膜面3-3と3-4との間の非ゼロ角度から離れるように湾曲している。
図3Aおよび
図3Bのスピーカ101、102のスピーカ要素2は、特に明記しない限り、上述の特徴を含む。
【0063】
以上、いくつかの具体的な実施例および実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されない。代わりに、本発明は、特許請求の範囲によって定義される主題も包含する。