IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本たばこ産業株式会社の特許一覧

特許7577746再構成たばこシートの製造装置および製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】再構成たばこシートの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A24B3/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022538647
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023584
(87)【国際公開番号】W WO2022019031
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020123442
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】千田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】光内 健太
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05203354(US,A)
【文献】国際公開第2020/127586(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/127585(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108477663(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104489896(CN,A)
【文献】特開平11-226895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成たばこシートの製造装置であって、
再構成たばこ原料をシート状に成形して吐出するダイと、
前記ダイから吐出されたシート状の前記再構成たばこ原料を乾燥させるとともに搬送する主ドラムと、
前記主ドラムによって乾燥されるとともに搬送されたシート状の前記再構成たばこ原料を裁断するスリッティングドラムと、備え、
前記ダイは、
ハウジングと、
前記ハウジングに形成され、前記再構成たばこ原料が供給される供給口と、
前記ハウジングの一側面に形成され、前記再構成たばこ原料を吐出する吐出口と、を有し、
前記スリッティングドラムは、互いに対向して回転する少なくとも2つの刃を有する、
再構成たばこシートの製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再構成たばこシートの製造装置であって、
前記スリッティングドラムの後段に設けられた梱包装置をさらに備え、
前記梱包装置は、
前記スリッティングドラムで裁断された前記再構成たばこ原料が梱包される容器の重量を計測する計量機構と、
前記計量機構に前記容器を搬入するとともに、前記計量機構から前記容器を搬出する搬送機構と、を有する
再構成たばこシートの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再構成たばこシートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再構成たばこシートの製造方法として、圧延法、キャスト(スラリー)法、抄造法が知られている。これらの製造方法は、再構成たばこ原料に含まれる水分量に応じて選択される。また、これらの製造方法のそれぞれは、互いに異なる再構成たばこシートの製造装置によって実現される。
【0003】
圧延法は、特に50体積%以下の水分を含む再構成たばこ原料に適することが知られている。圧延法において、再構成たばこ原料の混練物は、回転ローラで圧延成形され、厚さが整えられた後、別途設けられた乾燥機で乾燥される。
【0004】
キャスト(スラリー)法は、特に50体積%以上の水分を含む再構成たばこ原料に適することが知られている。キャスト(スラリー)法において、再構成たばこ原料の流動体は、回転ドラムまたはベルトコンベア上に連続的に展延され、ブレードと称される部材で所望の厚さに均された後、回転ドラムまたはベルトコンベアから剥離され、別途設けられた乾燥機で乾燥される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
抄造法は、特に80体積%以上の水分を含む再構成たばこ原料に適することが知られている。抄造法において、再構成たばこ原料の流動体は、液体透過性のベルトコンベア上に連続的に展延され、圧搾ローラで水分が除去されかつ所望の厚さにされた後、別途設けられた乾燥機で乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2019-520036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、簡素な製造工程で、均一な厚さを有し、かつ裁断された再構成たばこシートを得ることができる再構成たばこシートの製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1形態によれば、再構成たばこシートの製造装置が提供される。この再構成たばこシートの製造装置は、再構成たばこ原料をシート状に成形して吐出するダイと、ダイから吐出されたシート状の再構成たばこ原料を裁断するスリッティングドラムと、備え、ダイは、ハウジングと、ハウジングに形成され、再構成たばこ原料が供給される供給口と、ハウジングの一側面に形成され、再構成たばこ原料を吐出する吐出口と、を有する。これによれば、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、簡素な製造工程で、均一な厚さを有し、かつ裁断された再構成たばこシートを得ることができる。
【0009】
本発明の第2形態によれば、第1形態において、スリッティングドラムの前段に配置され、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させるとともに搬送する主ドラムをさらに備えている。これによれば、再構成たばこシートを乾燥させた直後に裁断を行うことができる。また、原料を乾燥させる主ドラムの後段にスリッティングドラムを配置することで、スリッティングドラムへのヤニ付着を防止することができる。
【0010】
本発明の第3形態によれば、第1形態または第2形態において、スリッティングドラムの後段に設けられた梱包装置をさらに備え、梱包装置は、スリッティングドラムで裁断された再構成たばこ原料が梱包される容器の重量を計測する計量機構と、計量機構に容器を搬入するとともに、計量機構から容器を搬出する搬送機構と、を有する。これによれば、スリッティングドラムで裁断された再構成たばこ原料を効率的に梱包して後段の工程に引き渡すことができる。
【0011】
本発明の第4形態によれば、再構成たばこシートの製造方法が提供される。この再構成たばこシートの製造方法は、再構成たばこ原料をダイの供給口に供給する工程と、ダイの吐出口から再構成たばこ原料をシート状に成形して吐出する工程と、ダイから吐出されたシート状の再構成たばこ原料を裁断する工程と、を有する。これによれば、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、簡素な製造工程で、均一な厚さを有し、かつ裁断された再構成たばこシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置の押出機を示す断面図である。
図3図2に示した矢視III-IIIにおける断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを示す断面図である。
図5図4に示した矢視V-Vにおける断面図である。
図6図4に示したダイを吐出口側から見た側面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す平面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す平面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図10】本発明の第6実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを吐出口側から見た側面図である。
図11】本発明の第7実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを吐出口側から見た側面図である。
図12】本発明の第7実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置の別のダイを吐出口側から見た側面図である。
図13】本発明の第8実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図14】本発明の第9実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図15】本発明の第10実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図16】本発明の第12実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図17】本発明の第13実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図18】本発明の第13実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における開口幅制御を示すブロック図である。
図19】本発明の第14実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図20】本発明の第14実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における吐出速度制御を示すブロック図である。
図21】本発明の第15実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図22】本発明の第15実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における熱風温度制御を示すブロック図である。
図23】本発明の第16実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
図24】本発明の第17実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による再構成たばこシートの製造装置および製造方法について図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0014】
第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図1において、再構成たばこシートの製造装置100は、押出機10、ダイ20、ドラムドライヤ(主ドラム)30、スクレッパ40およびローラ51、52を備える。ドラムドライヤ30は、軸31およびドラム本体32を有する。
【0015】
押出機10は、図示しないタンク等から供給される再構成たばこ原料を、ダイ20に圧送する。ダイ20は、押出機10から供給される再構成たばこ原料を吐出し、これにより、再構成たばこ原料が再構成たばこシート1としてドラムドライヤ30のドラム本体32上に成形される。ドラムドライヤ30は、ドラム本体32上に成形された再構成たばこシート1を乾燥させるとともに搬送する。スクレッパ40は、ドラムドライヤ30で乾燥された再構成たばこシート1を、ドラム本体32から剥離する。ローラ51、52は、スクレッパ40で剥離された再構成たばこシート1の搬送を案内する。
【0016】
ここで、再構成たばこ原料とは、多糖類(デンプンやデキストリン等)から選択される少なくとも1つの物質と、任意の液体の媒体として水またはアルコール(エタノールやプロピレングリコール等)または自ら選択される少なくとも1つの物質と、たばこ植物の細片または細粒とを含む混練物である。なお、再構成たばこ原料は、上記のものに限定されず、他の物質を含んでいてもよい。
【0017】
図2は、本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置の押出機を示す構成図である。また、図3は、図2に示した矢視III-IIIにおける断面図である。図2、3において、押出機10は、ハウジング11、ハウジング11の一端に形成された供給口12、ハウジング11の他端に形成された押出口13およびハウジング11内に回転可能に配設されたスクリュー14を有する。
【0018】
タンク等から供給口12を介して押出機10に供給された再構成たばこ原料は、スクリュー14の回転によって混練されながら押出口13に送られ、押出口13からダイ20に圧送される。ここで、スクリュー14の回転速度に応じて、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度が決定される。
【0019】
図4は、本発明の第1実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを示す断面図である。図5は、図4に示した矢視V-Vにおける断面図である。また、図6は、図4に示したダイを吐出口側から見た側面図である。図4~6において、ダイ20は、第1ブロック21および第2ブロック22からなるハウジング23と、第1ブロック21に形成され、押出機10の押出口13と連通する供給口24、第1ブロック21と第2ブロック22との間に形成され、再構成たばこ原料が貯留されるマニホールド25およびマニホールド25と連通する吐出口26を有する。
【0020】
吐出口26は、ハウジング23の一側面にスリット状に形成されている。吐出口26の長手方向に直交する方向を、吐出口26の幅方向とする。また、吐出口26の長手方向長さを開口長さと称し、吐出口26の幅方向長さを開口幅と称する。なお、吐出口26は、孔状であってもよいし、溝状であってもよい。スリット状の吐出口26により、再構成たばこ原料は、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、ダイ20からの吐出時に、吐出口26の開口幅に応じた均一な厚さに調整され、シート状に成形されて押し出される。
【0021】
押出機10から供給口24を介してダイ20に供給された再構成たばこ原料は、マニホールド25を通って吐出口26に送られ、吐出口26から再構成たばこシート1としてドラム本体32上に吐出される。
【0022】
図1に戻って、ドラムドライヤ30は、軸31と軸31を中心として回転するドラム本体32とを有する。ドラム本体32は、例えばドラム本体32内部に送り込まれる蒸気によって再構成たばこシート1を乾燥させる。なお、ドラム本体32は、ヒータ等によって加熱されてもよい。
【0023】
スクレッパ40は、ドラム本体32の回転方向に直交するドラム本体32の幅方向の全長にわたって、ドラム本体32と対向して配置され、先端部がドラム本体32と当接ないし近接するように調整されている。なお、スクレッパ40は、ドラム本体32の回転方向の上流側で吐出された再構成たばこシート1が十分に乾燥されるように、ドラム本体32の回転方向の下流側の端部近傍に配置されている。
【0024】
ダイ20の吐出口26からドラム本体32上に吐出された再構成たばこシート1は、内部に蒸気が送り込まれるドラム本体32によって乾燥され、乾燥された再構成たばこシート1は、スクレッパ40で剥離されて後段の工程に引き渡される。後段の工程とは、例えば再構成たばこシート1が所望の幅に裁断される工程や、裁断された再構成たばこシートがボビンに巻き取られる工程である。
【0025】
すなわち、再構成たばこシート1は、再構成たばこ原料をダイ20の供給口24に供給する工程と、ダイ20の吐出口26から再構成たばこ原料をシート状に成形して吐出する工程と、ダイ20から吐出されたシート状の再構成たばこ原料を裁断する工程と、を含む製造方法によって製造される。
【0026】
以上のように、第1実施形態によれば、再構成たばこシートの製造装置は、再構成たばこ原料を吐出するダイと、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させるとともに搬送する主ドラムと、を備え、ダイは、ハウジングと、ハウジングに形成され、再構成たばこ原料が供給される供給口と、ハウジングの一側面に形成され、再構成たばこ原料を吐出する吐出口と、を有する。そのため、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、簡素な製造工程で、均一な厚さの再構成たばこシートを得ることができる。
【0027】
第2実施形態:
図7は、本発明の第2実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図7において、再構成たばこシートの製造装置100Lは、図1に示したローラ52に代えて、スリッティングドラム53を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0028】
スリッティングドラム53は、互いに対向して回転する少なくとも2つの刃を有する。刃の回転軸方向の長さは、再構成たばこシート1の幅方向の長さよりも長く構成されている。スリッティングドラム53は、ドラムドライヤ30で乾燥されてスクレッパ40で剥離された再構成たばこシート1が刃の間を通過する際に、再構成たばこシート1を裁断する。
【0029】
ここで、スリッティングドラム53は、刃の形状を選択することにより、ストレートカット、クロスカット、スパイラルカット等、種々の裁断方式を採用することができる。すなわち、スリッティングドラム53で裁断された再構成たばこシート1を、そのままストランドやたばこ刻みとして回収することができる。従来の紙巻たばこでは、幅1mm程度、長さ5mm~20mm程度のたばこ刻みがランダム配向で円筒形の紙筒内に充填されていることが多い。第2実施形態におけるスリッティングドラム53の刃の形状を選定することで、従来の紙巻たばこで多く使用されているたばこ刻みと類似したサイズのものを作ることもできる。このようなたばこ刻みの形状として、例えば特表2018-516075の図1、3、6~8等に開示されたものが挙げられる。また、充填率の変更、その他品質の変更を目的として、様々なサイズ、形状のストランドを準備する必要があれば、スリッティングドラム53の刃を適宜選定することで対応を行うことができる。
【0030】
以上のように、第2実施形態によれば、ダイから吐出されたシート状の再構成たばこ原料を裁断するスリッティングドラムを備えている。そのため、再構成たばこ原料に含まれる水分量によらず、簡素な製造工程で、均一な厚さを有し、かつ裁断された再構成たばこシートを得ることができる。
【0031】
また、第2実施形態によれば、スリッティングドラムの前段に配置され、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させるとともに搬送する主ドラムをさらに備えている。そのため、再構成たばこシートを乾燥させた直後に裁断を行うことができる。また、原料を乾燥させる主ドラムの後段にスリッティングドラムを配置することで、スリッティングドラムへのヤニ付着を防止することができる。なお、スリッティングドラム53は、以下の各実施形態において、ドラムドライヤ30の後段に用いられてもよい。
【0032】
また、スリッティングドラム53の後段に、梱包装置を設けてもよい。梱包装置は、スリッティングドラム53で裁断された再構成たばこシート1が梱包される容器の重量を計測する計量機構と、計量機構に容器を搬入するとともに、計量機構から容器を搬出する搬送機構と、を有する。ここで、容器は、所定サイズのカードボードケース(例えば、たばこ業界でたばこ植物を梱包する目的で多く使われているC-48ケース)や、ビニール袋であってもよい。搬送機構は、計量機構で計測された容器の重量が所定重量になると容器を計量機構から搬出し、空の容器を計量機構に搬入する。これによれば、スリッティングドラム53で裁断された再構成たばこシート1を効率的に梱包して後段の工程に引き渡すことができる。なお、スリッティングドラム53で裁断された再構成たばこシート1は、ランダムに容器内に梱包されてもよいし、整列して容器内に梱包されてもよい。
【0033】
第3実施形態:
図8は、本発明の第3実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す平面図である。図8において、再構成たばこシートの製造装置100Aは、図1に示した押出機10およびダイ20に代えて、X個の押出機10A~10XおよびX個のダイ20A~20Xを備える。なお、Xは、2以上であればよい。また、1個の押出機10に、X個のダイ20A~20Xが接続されてもよい。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0034】
押出機10A~10Xは、それぞれダイ20A~20Xと接続される。また、ダイ20A~20Xは、吐出口26の長手方向に沿って配置されている。押出機10A~10Xは、図示しないタンク等から供給される再構成たばこ原料を、それぞれダイ20A~20Xに圧送する。ダイ20A~20Xは、押出機10A~10Xから供給される再構成たばこ原料を、それぞれドラム本体32上に吐出する。
【0035】
ここで、ダイ20A~20Xの吐出口26の開口長さを、上述した後段の工程において再構成たばこシート1が巻き取られるボビンの幅に合わせることにより、上述した後段の工程における、再構成たばこシート1を所望の幅に裁断する工程が不要になる。また、ダイ20A~20Xのそれぞれの開口幅を互いに異なるものにすることで、一台のドラムドライヤ30で複数の厚さの再構成たばこシート1を製造することができる。
【0036】
また、押出機10A~10Xのそれぞれに供給される再構成たばこ原料の組成を互いに異なるものにすることで、一台のドラムドライヤ30で複数種類の再構成たばこシート1を製造することができる。さらに、押出機10A~10Xおよびダイ20A~20Xの組を選択的に駆動させることにより、再構成たばこシートの製造装置100Aの製造能力を容易に調整することができる。
【0037】
以上のように、第3実施形態によれば、ダイを吐出口の長手方向に沿って複数配置している。そのため、得られた再構成たばこシートを所望の幅に裁断する工程を省略することができる。
【0038】
第4実施形態:
上記第1実施形態では、ダイ20の吐出口26の開口幅を一定としたが、本発明の第4実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置において、ダイ20は、吐出口26の開口幅を変更可能な可変幅機構(図示せず)を有する。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0039】
可変幅機構は、例えばねじである。可変幅機構は、ねじの締め付け量に応じて、図6に示した第1ブロック21と第2ブロック22との間隙を調整することで、吐出口26の開口幅を変更する。なお、ねじが複数設けられ、吐出口26の長手方向の端部と中央部とで、吐出口26の開口幅を異ならしめるように構成されてもよい。吐出口26の開口幅と比して吐出口26の開口長さが大きいと、吐出口26の長手方向において吐出状態が異なることが発生する。前述のように吐出口26の長手方向に複数の可変幅機構を有することは、再構成たばこシート1の幅方向での状態を整えるために好ましい。また、可変幅機構は、ねじを駆動させるモータ等のアクチュエータを有していてもよい。可変幅機構を用いることにより、再構成たばこシート1の厚さを容易に変更することができる。
【0040】
以上のように、第4実施形態によれば、ダイは、吐出口の幅方向長さを変更可能な可変幅機構を有する。そのため、ダイを交換することなく、複数の厚さの再構成たばこシートを得ることができる。また、ダイの吐出口における再構成たばこ原料の流速が、吐出口の長手方向で一様となるように吐出口の開口幅を変更することで、しわの発生を抑制し、再構成たばこシートを平坦に成形することができる。
【0041】
第5実施形態:
図9は、本発明の第5実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図9において、再構成たばこシートの製造装置100Bは、図1に示した押出機10およびダイ20に代えて、3個の押出機61~63およびダイ70を備える。なお、押出機の数は、3個に限定されず、2個以上であればよい。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0042】
押出機61~63は、ダイ70と接続される。押出機61~63には、それぞれ図示しないタンク等から原料が供給される。押出機61~63に供給される原料の少なくとも1つは、再構成たばこ原料を含んでいる。また、押出機61~63に供給される原料は、互いに異なる原料であっても、同一の原料を含んでいてもよい。押出機61~63は、図示しないスクリュー等を用いて、供給された原料をダイ70に圧送する。
【0043】
ダイ70は、押出機61~63から複数の原料がそれぞれ供給される複数の供給口71~73と、ダイ70の一側面にスリット状に形成された吐出口74とを有する。ダイ70は、押出機61~63から供給口71~73を介して供給された原料を、それぞれ図示しないマニホールドで広げた後、吐出口74の近傍で合流させて、積層された再構成たばこシート1をドラム本体32上に吐出する。なお、ダイ70は、マニホールドにおいて複数の原料を合流させてもよい。
【0044】
ここで、ダイ70の吐出口74から複数の原料が積層されて吐出されることにより、異なる特性を持ったシートを貼り合わせることなく多層化することができる。そのため、シートの貼り合わせ工程を省略して、簡素な構成で多層化された再構成たばこシート1を得ることができる。また、ドラムドライヤ30で再構成たばこシート1を乾燥させる前にシートを多層化することにより、各層の接着を強化することができる。さらに、多層化されたシートの中に、べたつきを抑制したシートを入れ込むことで、打ち粉や剥離紙等の対応をとることなく、再構成たばこシート1のボビンへの巻き取りおよびボビンからの繰り出しを容易に行うことができる。
【0045】
以上のように、第5実施形態によれば、ダイは、複数の原料がそれぞれ供給される複数の供給口を有し、複数の原料は、吐出口から積層して吐出される。そのため、複数のシートを貼り合わせる工程を省略することができる。
【0046】
第6実施形態:
図10は、本発明の第6実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを吐出口側から見た側面図である。図10において、ダイ20は、吐出口26の長手方向に沿って吐出口26を複数の領域に分割する仕切り部27をさらに有する。すなわち、図10において、図6に示したスリット状の吐出口26は、間欠状に開口したものとなる。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0047】
押出機10から供給口24を介してダイ20に供給された再構成たばこ原料は、マニホールド25を通って吐出口26に送られ、吐出口26から再構成たばこシート1としてドラム本体32上に吐出される。このとき、吐出口26が間欠状に開口していることから、吐出された再構成たばこシート1は、すでにストリップ状に成形されている。そのため、ドラムドライヤ30で乾燥された再構成たばこシート1を、乾燥終了後そのままストランドとして回収することができる。
【0048】
以上のように、第6実施形態によれば、ダイは、吐出口の長手方向に沿って吐出口を複数の領域に分割する仕切り部を有する。そのため、シートをストランド加工する工程を省略することができる。また、本発明では、乾燥前であっても、吐出された再構成たばこシートの形状が安定していることから、仕切り部27を有するダイ20を用いることは、有効である。
【0049】
第7実施形態:
図11は、本発明の第7実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置のダイを吐出口側から見た側面図である。図11において、ダイ20は、吐出口26の長手方向に沿って吐出口26の幅方向を向く少なくとも1つの隆起部28をさらに有する。ここで、隆起部28の断面形状は、三角形、矩形、正弦波形、T字形等であってよい。すなわち、図11において、図6に示したスリット状の吐出口26は、隆起部28の頂点または頂点を含む辺と隆起部28の底辺とで、2つの幅を有する開口となる。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0050】
押出機10から供給口24を介してダイ20に供給された再構成たばこ原料は、マニホールド25を通って吐出口26に送られ、吐出口26から再構成たばこシート1としてドラム本体32上に吐出される。このとき、吐出口26に隆起部28が設けられていることから、吐出された再構成たばこシート1には、すでに隆起部28に対応する断面形状の条が形成されている。そのため、ドラムドライヤ30で乾燥された再構成たばこシート1を、乾燥終了後そのまま条が形成された再構成たばこシート1として回収することができる。
【0051】
以上のように、第7実施形態によれば、ダイは、吐出口の長手方向に沿って吐出口の幅方向を向く少なくとも1つの隆起部を有する。そのため、従来の再構成たばこシートで行われていたような、対となるローラの間に再構成たばこシートを通し、ジグザグや波形の形状を押圧加工する工程を省略しながらも、再構成たばこシートの重量当たりの表面積を増す表面加工(例えば、エンボス加工)を行うことができる。また、本発明では、乾燥前であっても、吐出された再構成たばこシートの形状が安定していることから、隆起部28を有するダイ20を用いることは、有効である。
【0052】
なお、図12に示されるように、隆起部28がT字形である場合には、再構成たばこシート1に形成された条が、再構成たばこシート1内で広がることになる。このような表面形状は、ローラによる再構成たばこシート1の押圧加工によって得られるものではなく、第7実施形態で示したダイ20を用いることによってのみ得られるものである。
【0053】
第8実施形態:
図13は、本発明の第8実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図13において、再構成たばこシートの製造装置100Cは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、ドラムドライヤ(副ドラム)35およびスクレッパ45を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0054】
ドラムドライヤ35は、ドラムドライヤ30の後段に配置され、ドラムドライヤ30と組み合わせて用いられる。ドラムドライヤ35は、軸36と軸36を中心として回転するドラム本体37とを有する。ドラム本体37は、例えばドラム本体37内部に送り込まれる蒸気によって加熱される。なお、ドラム本体37は、ヒータ等によって加熱されてもよい。また、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35は、それぞれ独立して温度調節することができるよう構成されている。
【0055】
ドラムドライヤ35は、ドラムドライヤ30で乾燥され、スクレッパ40で剥離された再構成たばこシート1を受け取って、再構成たばこシート1をさらに乾燥させるとともに搬送する。スクレッパ45は、ドラムドライヤ35で乾燥された再構成たばこシート1を、ドラム本体37から剥離する。
【0056】
ここで、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35を用いることにより、再構成たばこシート1の乾燥距離を延ばして、再構成たばこシートの製造装置100Cの乾燥能力を向上させることができる。そのため、水分量が多い再構成たばこ原料にも対応することができる。
【0057】
また、同一の乾燥距離について、ドラム径の互いに等しい2つのドラムドライヤを用いる場合と、1つのドラムドライヤを用いる場合とを比較すると、2つのドラムドライヤを用いる場合には、それぞれのドラム径を1つのドラムドライヤのドラム径の半分にすることができる。すなわち、2つのドラムドライヤの総体積を、1つのドラムドライヤの半分にすることができる。そのため、2つのドラムドライヤを用いる場合には、必要な熱エネルギーを、1つのドラムドライヤを用いる場合の半分にすることができる。
【0058】
以上のように、第8実施形態によれば、主ドラムと組み合わせて用いられる副ドラムをさらに備え、副ドラムは、主ドラムの後段に配置され、主ドラムによって搬送された再構成たばこ原料を、主ドラムから受け取ってさらに搬送する。そのため、再構成たばこ原料の搬送距離を延ばしながら、主ドラムで乾燥および搬送される再構成たばこ原料に対してさらなる処理を施すことができる。なお、第8実施形態では、副ドラムをドラムドライヤとしたが、これに限定されず、副ドラムは、ドラムドライヤ30で乾燥された再構成たばこシート1を冷却する冷却ドラムであってもよい。
【0059】
第9実施形態:
図14は、本発明の第9実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図14において、再構成たばこシートの製造装置100Dは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、ドラムドライヤ(副ドラム)35を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0060】
ドラムドライヤ35は、ドラムドライヤ30と対向して配置され、ドラムドライヤ30と組み合わせて用いられる。ドラムドライヤ35は、軸36と軸36を中心として回転するドラム本体37とを有する。軸36は、図示しない駆動機構によって、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を任意に調整することができるよう構成されている。
【0061】
ドラム本体37は、例えばドラム本体37内部に送り込まれる蒸気によって加熱される。なお、ドラム本体37は、ヒータ等によって加熱されてもよい。また、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35は、それぞれ独立して温度調節することができるよう構成されている。
【0062】
ドラムドライヤ35は、ドラム本体32上に成形された再構成たばこシート1を、ドラムドライヤ30と協働して乾燥させるとともに搬送する。ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35によって搬送される再構成たばこシート1は、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を通過する際に圧縮される。
【0063】
ここで、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35とで再構成たばこシート1を圧縮することにより、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35による圧密効果で、再構成たばこシート1の密度を、ダイ20からの吐出時よりも高めることができる。また、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を調整することで、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を通過した再構成たばこシート1の厚さを制御することができる。
【0064】
また、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙に再構成たばこシート1を通すことにより、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35による圧密効果で、ダイ20からの吐出時に、吐出速度の分布によって再構成たばこシート1に発生するしわ等を解消することができる。また、ドラム本体37の表面にエンボス加工を行うことにより、再構成たばこシート1がドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を通過する際に、再構成たばこシート1の表面にエンボス処理を施すことができ、比表面積を拡大することができる。なお、ドラム本体37の表面に行われる加工は、エンボス加工に限定されず、再構成たばこシート1を裁断するためのスリット加工等であってもよい。
【0065】
以上のように、第9実施形態によれば、主ドラムと組み合わせて用いられる副ドラムをさらに備え、副ドラムは、主ドラムと対向して配置され、主ドラムと協働してダイから吐出された再構成たばこ原料を搬送する。そのため、主ドラムと協働して、主ドラムで乾燥および搬送される再構成たばこ原料に対してさらなる処理を施すことができる。
【0066】
第10実施形態:
図15は、本発明の第10実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図15において、再構成たばこシートの製造装置100Eは、図14に示した再構成たばこシートの製造装置100Dに加えて、ドラムドライヤ35に設けられた押出機10およびダイ20を備える。その他の構成は、上述した第9実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0067】
ドラムドライヤ35に設けられた押出機10には、図示しないタンク等から供給される原料が供給される。押出機10に供給される原料は、再構成たばこ原料を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。押出機10は、図示しないスクリュー等を用いて、供給された原料をダイ20に圧送する。ドラムドライヤ35に設けられたダイ20は、押出機10から供給される原料を、シート状に成形してドラム本体37上に吐出する。ドラムドライヤ30に設けられたダイ20およびドラムドライヤ35に設けられたダイ20のそれぞれから吐出されたシートは、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を通過する際に多層化される。
【0068】
ここで、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙に、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35のそれぞれに設けられたダイ20から吐出されたシートを通すことにより、異なる特性を持ったシートを貼り合わせることなく多層化することができる。そのため、シートの貼り合わせ工程を省略して、簡素な構成で多層化された再構成たばこシート1を得ることができる。また、ドラムドライヤ30およびドラムドライヤ35で再構成たばこシート1を乾燥させる前にシートを多層化することにより、各層の接着を強化することができる。さらに、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を調整することで、ドラムドライヤ30とドラムドライヤ35との間隙を通過した再構成たばこシート1の厚さを制御することができる。
【0069】
以上のように、第10実施形態によれば、主ドラムと組み合わせて用いられる副ドラムと、主ドラムに設けられたダイと同一の構成を有し、副ドラムに対して吐出材料を吐出するダイをさらに備える。そのため、複数のシートを貼り合わせる工程を省略することができる。
【0070】
第11実施形態:
本発明の第11実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置では、上記第1実施形態等で示したドラムドライヤ30のドラム本体32やドラムドライヤ35のドラム本体37の表面に対して、特性の改善を狙って表面改質処理が施されている。
【0071】
ここで、特性の改善とは、耐摩耗性、耐腐食性、剥離/離型性、熱伝導性の改善であり、表面改質処理は、メッキ等の化学的処理やブラスト等の物理的処理を含む。具体的な特性と表面改質処理との例を、表1~6に示す。これにより、ドラムドライヤ30のドラム本体32やドラムドライヤ35のドラム本体37の表面の特性が改善され、装置の使用性や耐久性を向上させることができる。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
当業者は、表1~6に記載の表面改質処理から、目的に適切な表面加工を選択し適用できる。なお、表1~6において、◎は、押出材料または装置の条件によらず、表面処理として適用できることを示している。また、表1~6において、○は、押出材料または装置の条件いずれかが整えば、表面処理として適用できることを示している。また、表1~6において、△は、押出材料および装置の条件がどちらも整えば、表面処理として適用できることを示している。また、表1~6において、※は、押出材料の条件(温度や粘度)と装置の条件(ドラム表面の温度やドラム表面の運動速度)とが整えば、表面処理として適用できることを示している。また、表3において、絶縁とは、絶縁により表面で電解腐食が起こりにくいことを示している。
【0079】
以上のように、第11実施形態によれば、主ドラムは、表面改質処理が施されている。そのため、主ドラムの表面の特性を改善することができる。なお、主ドラムに限定されず、副ドラムに対して表面改質処理が施されていてもよい。
【0080】
第12実施形態:
図16は、本発明の第12実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図16において、再構成たばこシートの製造装置100Fは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、熱風ブロア(補助乾燥装置)80を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0081】
熱風ブロア80は、ドラムドライヤ30の乾燥経路上に、ドラムドライヤ30のドラム本体32と対向して配置されている。熱風ブロア80は、熱風を送って、ダイ20の吐出口26からドラム本体32上に吐出された再構成たばこシート1を、再構成たばこシート1の表面側から乾燥させる。ここで、再構成たばこシート1の表面とは、再構成たばこシート1のドラム本体32と接触していない面である。また、熱風ブロア80は、風量、出力、熱風温度といった固有のパラメタにより乾燥能力を調整することができるよう構成されている。また、熱風温度は、常温以上の温度に設定することができる。
【0082】
ここで、熱風ブロア80を用いることにより、再構成たばこシートの製造装置100Fの乾燥能力を向上させることができる。そのため、簡素な構成で、水分量が多い再構成たばこ原料にも対応することができる。また、熱風ブロア80を用いることにより、再構成たばこシート1の両面を同時に乾燥させることができる。
【0083】
以上のように、第12実施形態によれば、主ドラムと対向して配置され、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させる補助乾燥装置をさらに備える。そのため、再構成たばこシートの製造装置の乾燥能力を向上させることができる。なお、第12実施形態では、補助乾燥装置を熱風ブロアとしたが、これに限定されず、補助乾燥装置は、IRヒータであってもよい。また、補助乾燥装置に代えて、再構成たばこシート1に冷風を送る冷却装置を備えていてもよい。
【0084】
第13実施形態:
図17は、本発明の第13実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図18は、本発明の第13実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における開口幅制御を示すブロック図である。図17、18において、再構成たばこシートの製造装置100Gは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、厚さ検出センサ(状態検出部)91およびPLC(制御部)200を備える。また、再構成たばこシートの製造装置100Gのダイ20は、上述した第4実施形態で示した、モータをアクチュエータとして、吐出口26の開口幅を変更可能な可変幅機構92を有する。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0085】
厚さ検出センサ91は、吐出口26の近傍に設けられている。厚さ検出センサ91は、X線やレーザ、超音波等を用いて、ダイ20から吐出された再構成たばこシート1の厚さを非接触で検出し、厚さ測定値としてPLC(programmable logic controller)200に出力する。
【0086】
PLC200は、再構成たばこシートの製造装置100Gに内蔵されてもよいし、離隔して設けられてもよい。PLC200は、再構成たばこシート1の所望の厚さである厚さ設定値と、厚さ検出センサ91からの厚さ測定値とに基づいて、厚さ設定値と厚さ測定値との差がゼロになるように、可変幅機構92に制御指令を出力し、モータを制御する。これにより、吐出口26の開口幅が変更され、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の厚さが変化する。
【0087】
再構成たばこシート1がダイ20から吐出される際、圧力開放によるシートの膨張が生じ、再構成たばこシート1の厚さが吐出口26の開口幅と一致しないことがある。そこで、圧力開放という制御できない要素に対して、吐出口26の開口幅をフィードバック制御することにより、再構成たばこシート1の厚さを所望の厚さに合わせることができる。
【0088】
以上のように、第13実施形態によれば、ダイは、アクチュエータとして、吐出口の幅方向長さを変更可能な可変幅機構を有し、状態検出部は、ダイから吐出された再構成たばこ原料の厚さを検出し、制御部は、状態検出部による検出結果に基づいて、可変幅機構を制御し、吐出口の幅方向長さを変化させる。そのため、再構成たばこシートの厚さを所望の厚さに合わせることができる。
【0089】
第14実施形態:
図19は、本発明の第14実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図20は、本発明の第14実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における吐出速度制御を示すブロック図である。図19、20において、再構成たばこシートの製造装置100Hは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、流量センサ(状態検出部)93およびPLC(制御部)200を備える。また、再構成たばこシートの製造装置100Hにおいて、押出機10のハウジング11内に回転可能に配設されたスクリュー14が、アクチュエータとしての機能を有する。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0090】
流量センサ93は、吐出口26の近傍に設けられている。流量センサ93は、レーザ等を用いて、ダイ20から吐出された再構成たばこシート1の流量を非接触で検出し、流量測定値としてPLC200に出力する。ここで、流量測定値は、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度を推定するための値として用いられる。
【0091】
PLC200は、再構成たばこシートの製造装置100Hに内蔵されてもよいし、離隔して設けられてもよい。PLC200は、再構成たばこシート1の所望の流量である流量設定値と、流量センサ93からの流量測定値とに基づいて、流量設定値と流量測定値との差がゼロになるように、スクリュー14に制御指令を出力し、スクリュー14の回転を制御する。これにより、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度が変化する。
【0092】
ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度は、スクリュー14のうねりによってある程度のばらつきを生じる。そこで、再構成たばこシート1の吐出速度をフィードバック制御することにより、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度を一定の範囲に保つことができる。また、再構成たばこシート1の吐出速度を一定に保つことで、ドラムドライヤ30上で再構成たばこシート1がダブついたり、テンションの増大により再構成たばこシート1が引きちぎれたりすることを抑制することができる。さらに、再構成たばこシート1の吐出速度を一定に保つことで、圧力開放に伴うシートの厚さのばらつきを抑制し、再構成たばこシート1の品質を安定させることができる。
【0093】
以上のように、第14実施形態によれば、ダイに再構成たばこ原料を圧送する押出機をさらに備え、押出機は、アクチュエータとして、ハウジング内に回転可能に配設されたスクリューを有し、状態検出部は、ダイから吐出された再構成たばこ原料の流量および吐出圧の少なくとも一方を検出し、制御部は、状態検出部による検出結果に基づいて、スクリューの回転を制御し、ダイから吐出される再構成たばこ原料の吐出速度を変化させる。そのため、ダイから吐出される再構成たばこシートの吐出速度を一定に保つことができる。
【0094】
なお、第14実施形態において、流量センサ93に代えて、または流量センサ93に加えて、吐出口26の近傍またはダイ20の内部に、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出圧を検出する吐出圧センサを設けてもよい。この場合、吐出圧センサで検出された吐出圧を、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度を推定するための値として用いることができる。
【0095】
第15実施形態:
図21は、本発明の第15実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図22は、本発明の第15実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置における熱風温度制御を示すブロック図である。図21、22において、再構成たばこシートの製造装置100Iは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、水分量センサ(状態検出部)94およびPLC(制御部)200を備える。また、再構成たばこシートの製造装置100Iは、上述した第12実施形態で示した熱風ブロア(補助乾燥装置)80を、アクチュエータとして有する。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0096】
水分量センサ94は、スクレッパ40の後段に設けられている。水分量センサ94は、赤外線やマイクロ波等を用いて、スクレッパ40で剥離された再構成たばこシート1の水分量を非接触で検出し、水分量測定値としてPLC200に出力する。熱風ブロア80は、ドラムドライヤ30の乾燥経路上に、ドラムドライヤ30のドラム本体32と対向して配置されている。
【0097】
PLC200は、再構成たばこシートの製造装置100Iに内蔵されてもよいし、離隔して設けられてもよい。PLC200は、再構成たばこシート1の所望の水分量である水分量設定値と、水分量センサ94からの水分量測定値とに基づいて、水分量設定値と水分量測定値との差がゼロになるように、熱風ブロア80に制御指令を出力し、熱風ブロア80から送られる熱風の温度を制御する。これにより、ドラムドライヤ30および熱風ブロア80で乾燥される再構成たばこシート1の水分量が変化する。
【0098】
ドラムドライヤ30および熱風ブロア80で乾燥される再構成たばこシート1の水分量は、環境や季節等によって変動する。そこで、再構成たばこシート1の水分量をフィードバック制御することにより、ドラムドライヤ30および熱風ブロア80で乾燥される再構成たばこシート1の水分量を一定の範囲に保つことができる。この結果、再構成たばこシート1の品質を安定させることができる。また、ドラムドライヤ30と比較して、熱風ブロア80は応答性が高く制御も容易であることから、再構成たばこシート1の水分量を詳細に制御することができる。さらに、再構成たばこシート1の水分量を自動で制御できるので、オペレータの常時監視を不要とすることができる。
【0099】
以上のように、第15実施形態によれば、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させるとともに搬送するドラムと、ドラムと対向して配置され、ダイから吐出された再構成たばこ原料を乾燥させる補助乾燥装置と、をさらに備え、状態検出部は、ドラムおよび補助乾燥装置によって乾燥された再構成たばこ原料の水分量を検出し、制御部は、状態検出部による検出結果に基づいて、補助乾燥装置を制御し、ドラムおよび補助乾燥装置によって乾燥される再構成たばこ原料の水分量を変化させる。そのため、ドラムおよび補助乾燥装置によって乾燥される再構成たばこシートの水分量を一定の範囲に保つことができる。
【0100】
なお、第13実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置100Gと、第14実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置100Hと、第15実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置100Iとを任意に組み合わせてもよい。
【0101】
第16実施形態:
図23は、本発明の第16実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図23において、再構成たばこシートの製造装置100Jは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、添加機構95を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0102】
添加機構95は、吐出口26の近傍に設けられ、ダイ20から吐出された再構成たばこシート1に粉末状または液体状の香料を噴射により添加する。なお、添加機構の設置位置は、吐出口26の近傍に限定されず、添加機構は、ドラムドライヤ30の乾燥経路上に設けられてもよい。
【0103】
本発明によって製造される再構成たばこシート1は、ダイ20での圧力負荷と、ドラムドライヤ30での乾燥時の収縮とにより、表面が平滑になっているため、液体浸透性が低い。そこで、再構成たばこシート1の乾燥前、または乾燥中に香料を添加することにより、添加物の定着性を向上させることができる。また、再構成たばこシートの製造装置100Jに添加機構95を設けることにより、後段の工程で香料を添加する工程が不要になる。
【0104】
以上のように、第16実施形態によれば、ダイ20の下流側に、粉末状または液体状の香料を添加する添加機構をさらに備えたことにより、添加物の定着性を向上させることができる。
【0105】
第17実施形態:
図24は、本発明の第17実施形態に係る再構成たばこシートの製造装置を示す側面図である。図24において、再構成たばこシートの製造装置100Kは、図1に示した再構成たばこシートの製造装置100に加えて、バッファ機構55を備える。その他の構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0106】
バッファ機構55は、吐出口26とドラムドライヤ30との間に設けられ、ダイ20から吐出された再構成たばこシート1を巻き取って一時的に保持する。ここで、バッファ機構55は、含まれる水分量が少ない再構成たばこ原料に適している。ドラムドライヤ30で乾燥される前の再構成たばこシート1は、強度が低いため、バッファ機構55の構造として、例えば固定ローラ56と、再構成たばこシート1のテンションに応じて移動可能な可動ローラ57とを有するものが適している。バッファ機構55は、再構成たばこシート1のテンションが一定になるように、可動ローラ57を移動させる。
【0107】
バッファ機構55を設けることにより、ダイ20からの吐出量の変動等により、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1の吐出速度とドラム本体32の回転速度との同期がとれなくなった場合に対応することができる。具体的には、バッファ機構55に保持された再構成たばこシート1を繰り出したり、バッファ機構55に再構成たばこシート1を一時的に保持したりすることで、再構成たばこシート1の吐出速度とドラム本体32の回転速度とを、相対的に同期させることができる。また、バッファ機構55の上流または下流の装置がチョコ停を起こした場合であっても、バッファ機構55を用いることで、再構成たばこシートの製造装置100K全体が停止することを抑制することができる。
【0108】
以上のように、第17実施形態によれば、ダイ20の下流側に、ダイ20から吐出される再構成たばこシート1を一時的に保持するバッファ機構55をさらに備えたことにより、再構成たばこシート1の吐出速度とドラム本体32の回転速度との同期がとれなくなった場合に対応することができる。
【0109】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1…再構成たばこシート
10、10A~10X…押出機
11…ハウジング
12…供給口
13…押出口
14…スクリュー
20、20A~20X…ダイ
21…第1ブロック
22…第2ブロック
23…ハウジング
24…供給口
25…マニホールド
26…吐出口
27…仕切り部
28…隆起部
30…ドラムドライヤ
31…軸
32…ドラム本体
35…ドラムドライヤ
36…軸
37…ドラム本体
40…スクレッパ
45…スクレッパ
51…ローラ
52…ローラ
53…スリッティングドラム
55…バッファ機構
56…固定ローラ
57…可動ローラ
61~63…押出機
70…ダイ
71~73…供給口
74…吐出口
80…熱風ブロア
91…検出センサ
92…可変幅機構
93…流量センサ
94…水分量センサ
95…添加機構
100、100A~100L…再構成たばこシートの製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24