(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ブラストストリームを強化する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B24C 1/00 20060101AFI20241028BHJP
B24C 7/00 20060101ALI20241028BHJP
B24C 5/04 20060101ALI20241028BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B24C1/00 C
B24C7/00 D
B24C5/04 A
B24C5/02 A
(21)【出願番号】P 2022540576
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 US2020067643
(87)【国際公開番号】W WO2021138545
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511162462
【氏名又は名称】コールド・ジェット・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Cold Jet, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】レーニグ・トニー
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05203794(US,A)
【文献】特開2011-207663(JP,A)
【文献】特表2008-505772(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ブラストシステム
が動作している間に、ブラストノズルから同伴粒子のストリームを排出するように構成された粒子ブラストシステムであって、
a.加熱流体の供給源と、
b.輸送流体の供給源と、
c.前記輸送流体の供給源に接続された粒子フィーダであって、粒子を前記輸送流体の供給源から流れる前記輸送流体の流れの中に粒子を同伴し、それによって、同伴粒子流を作り出すように構成されている、粒子フィーダと、
d.インジェクタであって、
i.第1の流通路入口および第1の流通路出口を含む第1の流通路であって、
(a)前記第1の流通路入口と流体連通する第1の部分と、
(b)前記第1の流通路出口と流体連通する第2の部分であって、前記第1の部分から前記第1の流通路出口まで延在する長さを有し、その長さに沿って概ね一定の断面積から収束する断面積を有する、第2の部分と、を含む、第1の流通路と、
ii.第2の流通路入口および第2の流通路出口を含む第2の流通路と、を含み、
前記第2の部分は、前記第1の流通路出口の上流に位置する接合部エリアを含み、前記接合部エリアにおいて、前記第2の流通路は、前記第2の流通路出口を介して前記第1の流通路と流体連通している、インジェクタと、
e.前記第2の流通路入口と流体連通し、前記粒子フィーダから前記第2の流通路に前記同伴粒子流を送達するように構成された同伴流通路と、
f.前記加熱流体の供給源を前記第1の流通路入口と流体連通するように配置する加熱流体通路と、
を含む、粒子ブラストシステム。
【請求項2】
前記第1の部分は収束部分を含む、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項3】
前記第1の流通路は、前記粒子ブラストシステム
が動作しているときに、前記接合部エリアの下流の前記第1の流通路内で音速流を生成するように構成されている、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項4】
前記第2の部分は、前記第1の流通路出口に向かってその長さに沿って収束する収束部分につながる一定の断面積の部分を含む、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項5】
前記ブラストノズルは、前記第1の流通路出口と流体連通しており、前記ブラストノズルは、その中の流れの超音速膨張のために構成されている、請求項3に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項6】
前記第2の流通路は、第3の部分を含み、前記第3の部分は収束部分を含む、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項7】
前記第2の流通路は、前記第3の部分の下流に第4の部分を含み、前記第4の部分は、前記第2の流通路出口に向かってその長さに沿って収束する収束部分につながる一定の断面積の部分を含む、請求項6に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項8】
前記同伴粒子は、低温粒子を含む、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項9】
前記同伴粒子流は、加熱流体の直線状の流れに鋭角で流入する、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項10】
前記第1の流通路は、前記第1の流通路入口から前記第1の流通路出口まで直線状である、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【請求項11】
前記粒子ブラストシステム
が動作しているとき、前記接合部エリアにおいて、前記第1の流通路を通して流れ
る加熱流体の静圧は、前記第2の流通路を通して流れる前記同伴粒子流の全圧力よりも低い、請求項1に記載の粒子ブラストシステム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
さまざまなタイプのブラスト媒体を利用する粒子ブラストシステムが周知である。低温粒子、例えば固体二酸化炭素粒子を、輸送流体に同伴するため、および、同伴粒子を物体/ターゲットに向けるためのシステムは、それらと関連付けられるさまざまな構成部品、例えばノズルと同様に、周知であり、米国特許第4,744,181号、同第4,843,770号、同第5,018,667号、同第5,050,805号、同第5,071,289号、同第5,188,151号、同第5,249,426号、同第5,288,028号、同第5,301,509号、同第5,473,903号、同第5,520,572号、同第6,024,304号、同第6,042,458号、同第6,346,035号、同第6,524,172号、同第6,695,679号、同第6,695,685号、同第6,726,549号、同第6,739,529号、同第6,824,450号、同第7,112,120号、同第7,950,984号、同第8,187,057号、同第8,277,288号、同第8,869,551号、同第9,095,956号、同第9,592,586号、同第9,931,639号、および同第10,315,862号に示されており、これらはすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
さらに、Particle Blast System With Synchronized Feeder and Particle Generatorについて、2007年9月11日に出願された米国特許出願第11/853,194号である、米国特許出願公開第2009/0093196号;Method And Apparatus For Sizing Carbon Dioxide Particlesについて2012年1月23日に出願された米国仮特許出願第61/589,551号;Method And Apparatus For Dispensing Carbon Dioxide Particlesについて2012年1月30日に出願された米国仮特許出願第61/592,313号;Method And Apparatus For Forming Carbon Dioxide Pelletsについて2012年5月18日に出願された米国特許出願第13/475,454号;Apparatus Including At Least An Impeller Or Diverter And For Dispensing Carbon Dioxide Particles And Method Of Useについて2013年10月24日に出願された米国特許出願第14/062,118号である、米国特許出願公開第2014/0110510号;Method And Apparatus For Forming Solid Carbon Dioxideについて2014年10月16日に出願された米国特許出願第14/516,125号である、米国特許出願公開第2015/0166350号;Blast Media Comminutorについて2016年10月19日に出願された米国特許出願第15/297,967号である、米国特許出願公開第2017/0106500号;Particle Blast Apparatusについて2018年4月24日に出願された米国特許出願第15/961,321号;および、Particle Blast Apparatus and Methodについて2019年8月21日に出願された米国仮特許出願第62/890,044号はすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0003】
また、研磨ブラスト媒体などであるがこれらに限定されない非低温ブラスト媒体を同伴する粒子ブラスト装置も周知である。研磨ブラスト媒体の例としては、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ガラスビーズ、粉砕ガラスおよびプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。研磨ブラスト媒体はドライアイス媒体よりも攻撃的である可能性があり、状況によってはその使用が好ましい。
【0004】
混合媒体ブラストも知られており、この場合、ターゲットに向けられた流れの中に2種類以上の媒体が同伴される。混合媒体ブラストの1つの形態では、ドライアイス粒子および研磨媒体は、単一の流れの中に同伴され、ターゲットに向けられる。
【0005】
添付の図面は、本イノベーションの原理を説明するのに役立つ実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本イノベーションの1つ以上の教示に従って構成された粒子ブラストシステムを概略的に示す。
【
図2】同伴粒子流にエネルギーを付加するためのインジェクタを概略的に示す。
【
図3】本イノベーションの教示の態様による、第1の流路、および第1の流路と連通する第2の流路を通る流れの流体力学を検討するための収束発散構成を概略的に示す。
【0007】
〔説明〕
以下の説明では、同様の参照符号は、いくつかの図面にわたり、同様のまたは対応する部品を示す。また、以下の説明では、前方、後方、内側、外側などといった用語は、便宜上の単語であり、限定的な用語として解釈されないことが理解される。この特許で使用される用語は、本明細書に記載されるデバイス、またはその一部が、他の向きで取り付けられるかまたは利用され得る限りにおいて、限定的であることを意味しない。図面をさらに詳細に参照して、本イノベーションの教示に従って構築された1つ以上の実施形態が説明される。
【0008】
参照により本明細書に組み込まれると言われた、あらゆる特許、刊行物、または他の開示資料は、全体または一部において、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれることを認識されたい。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる、いかなる矛盾する資料にも取って代わるものである。
【0009】
多くの要因が、粒子ブラストシステムのブラストノズルを出てターゲットに衝突する同伴粒子の流れの最終性能に影響を与える。本イノベーションの教示に従って、ターゲットに衝突する際の粒子の運動エネルギー、および流れの温度は、最終性能に影響を及ぼすと考えることができる。本イノベーションは、所望の性能を提供する、ワークピースにおける粒子運動エネルギーおよび/またはワークピースにおける流れの温度を達成するための装置および方法を提供するものである。
【0010】
本イノベーションは、ワークピースにおける粒子運動エネルギーを増加させ、かつ/またはワークピースにおける流れの温度を増大させる、同伴粒子流へのエネルギーの付加を利用する。本明細書に開示される実施形態において、エネルギーの付加は、ガスなどの加熱流体の流れを提供し、加熱流体流を同伴粒子の流れと組み合わせることによって、達成される。一実施形態では、加熱流体は、ブラストノズルの近位で同伴粒子流と組み合わせられる。ブラストノズルが超音速ノズルである実施形態では、加熱流体は、収束-発散流路の最小スロートエリアの近位で同伴粒子流と組み合わせられ得、組み合わせ流がマッハ1に達するところのすぐ上流で組み合わせられ得る。
【0011】
図1は、粒子ブラスト装置4を含む粒子ブラストシステム2を概略的に示している。粒子ブラスト装置4は、ホース8を通ってユニット10内に配置された粒子フィーダ(図示せず)に送達される圧縮流体の供給源6に接続可能である。知られているように、粒子フィーダは、描かれた実施形態では二酸化炭素粒子である、ブラスト媒体粒子を同伴し、これは、ブラスト媒体粒子の供給源から輸送流体の流れの中に受け取り、同伴粒子流は、送達ホース12によって画定された同伴流通路を通ってアプリケータ14へ流れ、ブラストノズル18から流出する。
【0012】
供給源6からの圧縮流体は、275.79kPa~2068.43kPa(40psig~300psig)までの任意の適切な圧力の、空気などの、任意の適切な輸送流体であってよい。輸送流体は、少なくとも供給源6を出た後は、その中に同伴された粒子を運ぶのに十分な運動エネルギーを有する、流動流体である。
【0013】
描かれた実施形態では、ブラストノズル18は、超音速ノズルである。ブラストノズル18は、超音速ノズルとして描かれているが、本イノベーションは、音速ノズルおよび亜音速ノズルと共に使用され得る。
【0014】
描かれた実施形態では、インジェクタ16が、アプリケータ14とノズル18との間に置かれる。インジェクタ16は、別個の構成要素として構成されてもよいし、アプリケータ14の一体型部品であってもよい。
【0015】
システム2はヒータ20を含み、これは、供給源6からホース22を通して圧縮流体の流れを受け取り、流れにエネルギーを付加して温度の上昇をもたらし、本明細書では加熱流とも呼ばれる、より高いエネルギーの流体を、ホース24によって画定される加熱流体通路を通してインジェクタ16に送達する。インジェクタ16に到達したときの加熱流の温度は、任意の適切な温度、例えば、398.889℃(750°F)とすることができる。この温度は、周囲温度超から398.889℃(750°F)以下の温度の範囲内であってよい。所望の性能およびターゲットに応じて、加熱流の温度は、398.889℃(750°F)より高くてもよい。
【0016】
ヒータ20は、任意の適切な場所に配置され得る。
図1において、ヒータ20は、ヒータ20とインジェクタ16との間の加熱流からの熱損失を最小にするために、インジェクタ16の近くに配置されているのが概略的に示されている。圧縮流体から水分を除去するためのドライヤー(図示せず)が、任意の適切な場所に配置されて含まれてもよい。ドライヤーは、供給源6またはヒータ20の一体型部品とすることができる。
【0017】
図2を参照すると、インジェクタ16の実施形態が概略的に示されている。上述したように、インジェクタ16は別個の構成要素として図示されているが、インジェクタ16の特徴および機能は、アプリケータ14の一体型部品であってよい。インジェクタ16は、第1の流路26(第1の流通路とも呼ばれる)および第2の流路28(第2の流通路とも呼ばれる)を含む。第1の流路26は、入口30および出口32を含み、第1の流路26内の流体流は、入口30から出口32までである。ブラストノズル18(
図2には示されていない)は、出口32と流体連通するように接続されている。描かれた実施形態では、インジェクタ16の第1の流路26は、入口30と流体連通している第1の部分34と、それに続いて出口32と流体連通している第2の部分36と、を含む。描かれた実施形態では、第1の部分34は、収束部分として構成されており、これは、下流に超音速流を作り出すために必要な収束部分として機能する。代替の実施形態では、第1の部分34の一部として描かれた収束部分は、入口30の上流に配置されてもよく、入口30は、第2の部分36と直接流体連通している。
【0018】
第2の部分36は、その長さに沿って、概ね一定の断面積から収束断面積までを含む。第2の部分36は、収束断面積の部分につながる、概ね一定の断面積の部分を有し得る。第2の部分36は、超音速収束発散経路の一部である場合、最小断面積が第1の流路26と第2の流路28との接合部(後述)の下流で、出口32付近に位置する、システム2の動作条件のために構成され、超音速流におけるマッハ1の場所は、接合部の下流に生じる。マッハ1に達した後の流れの超音速膨張は、主にブラストノズル18で発生する。
【0019】
第2の流路28は、入口38および出口40を含み、第2の流路28を通る流体流は、入口38から出口40までである。出口40は、接合部エリア42において、第2の流路28を第1の流路26と流体連通させる。描かれた実施形態では、第2の流路28は、入口38と流体連通している第1の部分44と、それに続いて接合部エリア42で出口40と流体連通している第2の部分46と、を含む。描かれた実施形態では、第1の部分44は、収束部分として構成されており、これは、第2の流路28内の流れを加速するように機能する。代替の実施形態では、第1の部分44の一部として図示された収束部分は、入口38の上流に配置されてもよく、入口38は、第2の部分46と直接流体連通している。
【0020】
第2の部分46は、その長さに沿って、概ね一定の断面積から収束断面積までを含む。第2の部分46は、収束断面積の部分につながる、概ね一定の断面積の部分を有し得る。超音速の実施形態では、接合部エリア42の下流で、第1の流路26と第2の流路28との組み合わせ流は、マッハ1に達する。したがって、第2の流路は、そこを通る流れにマッハ1を生じさせないように構成されている。
【0021】
描かれた実施形態では、ホース24は、加熱流が第1の流路26を通って流れるように、入口30に接続されている。同伴粒子を含む輸送ガスの流れは、入口38を通って流路28に送達される。この構成は、接合角(第1の流路26と第2の流路28との間の角度)にわたって加熱流の方向を変えることになるエネルギー損失を回避する。接合角は、この角度にわたる損失を最小にするために、できるだけ小さくすべきである。代替的に、同伴粒子を含む輸送ガスの流れは、入口30を通して流路26に送達され、加熱流は入口38を通して流路28に送達され得、これらの流路は、この流れの配置のためにそれぞれ構成される。
【0022】
動作中、一実施形態によれば、加熱流は、第1の流路26を通って導かれ、第1の部分34またはその上流のいずれかによって収束された結果、その速度が増加した後に第2の部分36に到達する。同伴粒子流は、第2の流路28を通って導かれ、第1の部分44またはその上流のいずれかによって収束された結果として、その速度が増加した後に第2の部分46に到達する。加熱流および同伴粒子流は、接合部エリア42の近位で組み合わせられ、組み合わせ流は、接合部エリア42の下流でマッハ1に達するが、これは、流れの設計属性(例えば、圧力、温度、密度)に関してそうなるように構成されたインジェクタ16の流路の構成の結果としてである。
【0023】
加熱流および同伴粒子流から構成された組み合わせ流は、ブラストノズル18を通って流れ、これを出て、ターゲットワークピースに向けられる。加熱流との組み合わせの結果として描かれた実施形態において、同伴粒子流に付加されたエネルギーは、エネルギーの付加なしの場合よりもはるかに高いエネルギーを有する超音速同伴粒子流を生じさせる。より高い、このエネルギーは、ガス流のより速い速度、流れのより高い温度、および/または同伴粒子のより高い運動エネルギーとして明示され得る。ガス流のより速い速度の場合、同伴粒子は、より速い速度を有する。
【0024】
本イノベーションによるシステムからの、結果として生じる流れは、エポキシおよびエナメルのような基材から難しいコーティングを除去することが可能である。
【0025】
下方輸送流体に同伴されて流れる低温粒子は、加熱流が組み合わせられるまで加熱流の温度にさらされることはなく、加熱流の熱エネルギーによる低温粒子の昇華を最小化する。描かれた超音速の実施形態では、これは、第1の流路26のマッハ1音波平面のすぐ上流で発生する。いったん組み合わせられると、流れは直ちにマッハ1超に加速される。
【0026】
ここで、流れの流体力学を検討するための収束発散構成の概略的図解である
図3を参照する。上に示したように、描かれた実施形態では、矢印48で示される加熱流は、第1の部分34の収束によって加速され、第2の部分36に入る。第2の部分36の断面積は、熱の所望の保持を伴う加熱流の所望の速度のために必要であり得るようなものである。第2の部分36は、同伴粒子流の接合前に収束を続けることができるが、収束によって加熱流の速度を増加させると、対応する温度の低下を引き起こすことに留意されたい。マッハ1は、(垂直衝撃波を概略的に示す)音波平面50において、接合部エリア42の下流で生じる。音波平面50は、示されるように超音速出口流をもたらし得るか、音速流をもたらし得
る、様々な設計特性のノズルのための接合点である。一実施形態では、音波平面50は、出口32と一致する。
【0027】
矢印52で示される同伴粒子流は、第2の部分46の上流で収束によって加速されている。第2の部分46の断面積は、同伴粒子流の供給された全圧力および関連する質量流に対する、静止壁圧(static wall pressure)の所望の減少を達成することができる。出口40/接合部エリア42における静止壁圧は、第2の部分36に入る同伴粒子流の全圧力よりも低い。
【0028】
接合領域54は、2つの流れが接合する領域であり、出口断面積および対応する内部/出口圧力が出口32でチョーク音速流状態(choked sonic flow condition)を提供できる場合、接合領域54の長さはゼロに近づくことができる。
【0029】
設計に応じて、様々な圧力および流れが存在し得る。例えば、組み合わせ流は、551.581kPa(80PSI)で1699.011~1840.595L/分(60~65CFM)であってよい。別の実施形態では、加熱流は、1034.21kPa(150PSI)で4813.864L/分(170CFM)であってよい。流れ特性は、それらの中間に位置し得る。
【0030】
加熱流および同伴粒子流の相対的な流れは、システムの設計および動作パラメータに適するようなものであってよい。一実施形態では、加熱流は全体の流れの約75%であり、同伴粒子流は約25%であった。
【0031】
流れの温度は、ブラストノズル出口における温度を最適化するために監視され得る。例えば、温度は、ノズル18の出口において56で監視されてもよく、また、処理システム60によって、音波
平面50の上流で、例えば58で、監視されてもよい。マイクロプロセッサベースであっても、任意の適切な構成であってもよい、処理システム60は、加熱流の温度および流量、ならびに同伴粒子流の質量流、粒子径および流量を制御するように構成され得る。(処理システム60によって監視されている温度は、
図1には図示されていない。)
【0032】
本イノベーションの1つの態様は、流れをその露点温度より高く保つ能力である。
【0033】
本イノベーションおよび説明した実施形態は、加熱流の流れとは別の同伴粒子流で低温粒子を輸送し、2つの流れが、組み合わせ流の流路のスロートとブラストノズルからの出口の直前でインジェクタにおいて組み合わせられるまで、同伴粒子流を加熱流の熱の影響を受けずに維持する。
【0034】
アプリケータ14は、制御要素を含み得、これは、例えば非限定的な例によって、56、58でのターゲット感知温度を指定することによって、または特定の量の低温粒子、粒子質量流、もしくは加熱流と同伴粒子流との間の相対流を設定することによって、処理システム60に入力または信号を提供することができ、オペレータが加熱流の熱を制御できるようにする。
【0035】
本開示の様々な態様に従って、要素、または要素の任意の部分、または要素の任意の組み合わせは、プロセッサを含む1つ以上の物理デバイスを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの非限定的な例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、状態マシン、ゲート論理、離散ハードウェア回路(discrete hardware circuits)、および本開示を通じて説明する様々な機能性を実行するように構成される他の適切なハードウェアを含む。処理システム内の1つ以上のプロセッサは、プロセッサ実行可能命令を実行し得る。結果をもたらすために命令を実行する処理システムは、処理システムの1つ以上のコンポーネントに命令を提供することなどにより、タスクを行い、結果をもたらすように構成された、処理システムであり、命令により、それらのコンポーネントは、単独でまたは処理システムの他のコンポーネントによって実行される他の動作と組み合わせて、結果をもたらす、動作を実行する。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するように広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に常駐していてもよい。コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、一例として、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリ装置(例えば、カード、スティック、キードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、コンピュータによってアクセスおよび読み取りができるソフトウェアおよび/または命令を記憶するための任意の他の適切な媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、処理システムに常駐していてもよく、処理システムの外部にあってもよく、処理システムを含む複数のエンティティにわたって分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されてもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、包装材料中にコンピュータ可読媒体を含んでもよい。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課される全般的な設計上の制約に応じて、本開示を通じて提示される説明された機能性をどのように実装するのが最善であるかを認識するであろう。
【0036】
明示的定義
「~に基づく」とは、「~に基づく」と示されている物によって、少なくとも部分的に何かが決定されることを意味する。何かがある物によって完全に決定される場合、その物「に専ら基づく」と記述されることになる。
【0037】
「プロセッサ」とは、個別に、または他のデバイスと組み合わせて、本開示に記載される様々な機能性を実行するように構成することができるデバイスを意味する。「プロセッサ」の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、状態マシン、ゲート論理、および離散ハードウェア回路が含まれる。「処理システム」という語句は、単一のデバイスに含まれるか、または複数の物理デバイスの中に分散され得る、1つ以上のプロセッサを指すために使用される。
【0038】
処理システムが1つ以上の動作を実行するように「構成されている」という記述は、処理システムが行うように「構成」されている特定の動作を実行する際に使用され得るデータ(命令を含むことができる)を、処理システムが含むことを意味する。例えば、コンピュータ(「処理システム」の一種)の場合、コンピュータにマイクロソフトワードをインストールすると、そのコンピュータはワードプロセッサとして機能するように「構成」され、オペレーティングシステムなどの他の入力および様々な周辺機器(例えば、キーボード、モニタなど)と組み合わせてマイクロソフトワードの命令を使用して機能する。
【0039】
本イノベーションの1つ以上の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示された。網羅的であることも、開示された正確な形態に本発明を限定することも意図していない。上記の教示に照らして、明らかな改変または変形が可能である。本イノベーションの原理およびその実用的な適用を最もよく例示し、それによって、当業者が、様々な実施形態において、企図された特定の用途に適するような様々な改変を伴って、本イノベーションを最もよく利用することができるように、実施形態が選択され、説明された。本イノベーションの限られた数の実施形態のみが詳細に説明されているが、本イノベーションは、その範囲が、前述の説明に記載されるかまたは図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本イノベーションは、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行され得る。また、明確にするために特定の用語を使用した。各特定の用語は、同様の目的を達成するために同じように動作するすべての技術的同等物を含むことが理解される。本発明の範囲は、共に提出された特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) ブラストノズルから同伴粒子のストリームを排出するように構成された粒子ブラストシステムであって、
a.加熱流体の供給源と、
b.輸送流体の供給源と、
c.前記輸送流体の供給源に接続可能な粒子フィーダであって、粒子を前記輸送流体の流れの中に同伴し、それによって、同伴粒子流を作り出すように構成されている、粒子フィーダと、
d.インジェクタであって、
i.第1の流通路入口および第1の流通路出口を含む第1の流通路と、
ii.第2の流通路入口および第2の流通路出口を含む第2の流通路と、
iii.前記第2の流通路が前記第1の流通路と流体連通している接合部エリアと、
を含む、インジェクタと、
c.前記粒子フィーダから前記第2の流通路に前記同伴粒子流を送達するように構成された同伴流通路と、
d.前記加熱流体の供給源を前記第1の流通路入口と接続する加熱流体通路と、
を含む、粒子ブラストシステム。
(2) 前記第1の流通路と前記第2の流通路との間に小さな接合角を含む、実施態様1に記載の粒子ブラストシステム。
(3) 前記第1の流通路は、前記第1の流通路入口と流体連通する第1の部分を含み、前記第1の部分は収束部分を含む、実施態様1に記載の粒子ブラストシステム。
(4) 前記第1の流通路は、第2の部分を含み、前記第2の部分は、前記第1の流通路出口と流体連通しており、前記第2の部分は前記接合部エリアを含む、実施態様3に記載の粒子ブラストシステム。
(5) 前記第1の流通路は、前記粒子ブラストシステムの動作中に前記接合部エリアの下流で音速流を生成するように構成されている、実施態様4に記載の粒子ブラストシステム。
【0041】
(6) 前記第2の部分は、収束断面積の部分につながる一定の断面積の部分を含む、実施態様5に記載の粒子ブラストシステム。
(7) 前記ブラストノズルは、前記第1の流通路出口と流体連通しており、前記ブラストノズルは、その中の流れの超音速膨張のために構成されている、実施態様5に記載の粒子ブラストシステム。
(8) 前記第2の流通路は、第1の部分を含み、前記第1の部分は収束部分を含む、実施態様1に記載の粒子ブラストシステム。
(9) 前記第2の流通路は、前記第1の部分の下流に第2の部分を含み、前記第2の部分は、収束断面積の部分につながる一定の断面積の部分を含む、実施態様8に記載の粒子ブラストシステム。
(10) ブラストノズルから同伴粒子のストリームを排出する方法であって、
a.加熱流体の流れを提供するステップと、
b.同伴粒子流を提供するステップと、
c.前記ブラストノズルの近位の第1の場所で前記加熱流体の流れを前記同伴粒子流と組み合わせることによって組み合わせ流を生成するステップと、
d.前記ブラストノズルを通して前記組み合わせ流を流し、前記ブラストノズルから出すステップと、
を含む、方法。
【0042】
(11) 前記第1の場所の上流で前記加熱流体の流れを加速するステップを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1の場所の下流で前記組み合わせ流を加速するステップを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1の場所の下流で前記組み合わせ流を加速するステップは、前記組み合わせ流をマッハ1まで加速するステップを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1の場所の下流で前記組み合わせ流を加速するステップは、前記組み合わせ流をマッハ1超に加速するステップを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記組み合わせ流をマッハ1まで加速するステップは、収束流路を通して前記組み合わせを流すステップを含む、実施態様13に記載の方法。
【0043】
(16) 前記組み合わせ流をマッハ1超に加速するステップを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記組み合わせ流をマッハ1超に加速するステップは、発散流路を通して前記組み合わせ流を流すステップを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記加熱流体の流れは、前記組み合わせ流の約75%を構成する、実施態様10に記載の方法。
(19) 前記同伴粒子流は、前記第1の場所の上流に全圧力を有し、前記第1の場所における静止壁圧が前記全圧力より低い、実施態様10に記載の方法。