(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/18 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
C01B33/18 D
(21)【出願番号】P 2022574483
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2022115380
(87)【国際公開番号】W WO2023206886
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】202210442307.1
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519365506
【氏名又は名称】江蘇聯瑞新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】張 建平
(72)【発明者】
【氏名】曹 家凱
(72)【発明者】
【氏名】李 暁冬
(72)【発明者】
【氏名】姜 兵
(72)【発明者】
【氏名】馮 宝▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 剛
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-187714(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016359(WO,A1)
【文献】特開2001-089168(JP,A)
【文献】特開2009-203112(JP,A)
【文献】特開2009-298461(JP,A)
【文献】特開昭60-180911(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111232993(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112479595(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法であって、
乾燥酸化剤雰囲気で、球状シリカ微粉末をまず150~300℃で3~24時間処理し、次に800~1200℃で24~90時間処理し、前記酸化剤は酸素、酸素富化空気、またはオゾンから選択されるステップ1と、
ステップ1で処理した球状シリカ微粉末を非極性ガス雰囲気下で室温まで冷却するステップ2と、
冷却したシリカ微粉末を不活性ガス充填包装するステップ3を含む
ことを特徴とする調製方法。
【請求項2】
ステップ1では、球状シリカ微粉末のメジアン粒径D50は0.1~150μmであり、球形度>0.99である
請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
ステップ1では、球状シリカ微粉末は火炎法による球状化によって調製され、
純度99.9%以上で、金属酸化物の総含有量が100ppm以下のシリカ粉末またはシリカゾルを原料とし、酸素をキャリアガスとし、1~5炭素アルカンまたはH
2を可燃性ガスとし、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器の中に導入して点火し、炎の2400~3200℃の高温下で、粉末またはシリカゾルを高温で溶融し、球状に冷却して、球状のシリカ微粉末を形成する
請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
ステップ1では、球状シリカ微粉末をまず250~300℃で10~24時間処理し、次に1100~1200℃で48~90時間処理する
請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
ステップ2では、非極性ガスは、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素、酸素または二酸化炭素から選択される
請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
ステップ2では、室温が10~30℃である
請求項1に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ3では、不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムまたはネオンから選択される
請求項1に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年4月25日に中国特許庁に出願された,出願番号がCN202210442307.1であり、発明名称が「超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高性能フィラーの調製技術分野に属し、超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
4Gの拡張技術である第5世代移動通信システム(5G)は、モバイルインターネットサービスの体験を大幅に向上させるとともに、IoTビジネスをフルサポートし、人と人、人とモノ、モノとモノの間の大規模でインテリジェントな相互接続を実現する。これには、より高いデータ転送速度、より低いデータ転送遅延及びより優れた高速通信機能が必要である。材料の損失角の正接値(以下、誘電損失、Dfと称する)が低いほど、電力損失は低くなる。したがって、低誘電損失Dfプリント回路基板こそにより、より小さい5G伝送中の信号損失に満たすことができる。プリント基板の重要なフィラーである酸化ケイ素は、フィラーの高充填化と、酸化ケイ素自体のDf値の低減という二つの要求を満たす必要がある。酸化ケイ素自体のDf値は、その純度の影響を受け、例えば、Fe/Cなどの不純物元素の含有量など、水/水酸基などの極性分子/官能基の影響も受ける。如何に酸化ケイ素のDf値をさらに下げるかは、現在の研究の焦点となっている。
【0004】
特許文献1:中国特許出願CN113614036Aでは、球状シリカ粉末を500~1100℃で加熱し、真円度を0.85以上に制御し、表面処理を行い、防湿バッグで保管することにより、球状シリカ粉末の誘電正接を低下させた。特許文献2:中国特許出願CN1123996Aでは、ポリオルガノシロキサン化合物を使用して金属酸化物粒子材料の表面処理を行い、そのDf値を下げている。特許文献3:中国特許出願CN110938238Aでは、シリカ粒子材料を用いて200℃で水分を除去した後、シラン化合物による表面処理を行い、そのDf値を減らした。上記の方法はいずれも、まず材料中の水分を除去し、次にシラン化合物を使用して表面処理を行い、材料の誘電正接値を下げたが、それでも次のような欠点がある:表面改質剤の種類が適切に選択されておらず、プロセスが適切に処理されていない場合、その後の保管及び使用中に材料が水分を再吸収する原因となり;或は、表面処理工程で一部の水分が吸着すると、誘電損失低減のばらつきが大きくなり、品質が不安定になり、期待した効果が得られない。
【0005】
特許文献4:中国特許出願CN113666380Aでは、水系ナノシリカゾル溶液と結晶種の混合溶液にブロッキング剤を添加することにより、水熱反応の方法でブロッキング剤が付着したシリカ粉末を得て、次に、焼成プロセスにより球状シリカ粉末を調製し、球状化率を確保しながら収率を効果的に高め、製造された球状シリカは誘電損失が低く、粒度分布が狭い。特許文献5:中国特許出願CN112745529Aも、狭い範囲の比表面積を制御することによって誘電特性を改善する方法を採用している。上記の方法は主に、狭い粉末の粒度分布を制御することによって誘電正接値を低下させるが、次の欠点がある:誘電正接値の低減が制限されて、狭い粒度分布は高充填用途には不利であるため、用途中のグレーディングが難しくなり、電子パッケージングの分野での用途が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許出願113614036A
【文献】中国特許出願1123996A
【文献】中国特許出願110938238A
【文献】中国特許出願113666380A
【文献】中国特許出願112745529A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題を考慮して、本発明は、超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法を提供する。当該方法は、球状シリカ微粉末を酸化剤雰囲気で高温処理して水分、炭素及び金属などの不純物を除去し、次に非極性ガス雰囲気に直接入れて室温まで冷却させ、最後に不活性ガスを充填して包装して、誘電損失を効果的に低減し、製品の品質は安定しており、制御可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的解決策は以下の通りである:
超低誘電損失球状シリカ微粉末の調製方法であって、
乾燥酸化剤雰囲気で、球状シリカ微粉末をまず150~300℃で3~24時間処理し、次に800~1200℃で24~90時間処理し、前記酸化剤は酸素、酸素富化空気、またはオゾンから選択されるステップ1と、
ステップ1で処理した球状シリカ微粉末を非極性ガス雰囲気下で室温まで冷却するステップ2と、
冷却したシリカ微粉末を不活性ガス充填包装するステップ3を含む。
【0009】
ステップ1では、球状シリカ微粉末のメジアン粒径D50は0.1~150μmであり、球形度>0.99である。
【0010】
ステップ1では、球状シリカ微粉末は既存の方法によって調製され、前記既存の方法は火炎法による球状化を含み、火炎法による球状化によって球状シリカ微粉末を調製するための具体的な手順は次のとおりである:純度99.9%以上で、金属酸化物の総含有量が100ppm以下のシリカ粉末またはシリカゾルを原料とし、酸素をキャリアガスとし、1~5炭素アルカンまたはH2を可燃性ガスとし、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器の中に導入して点火し、炎の2400~3200℃の高温下で、粉末またはシリカゾルを高温で溶融し、球状に冷却して、球状のシリカ微粉末を形成する。
【0011】
好ましくは、ステップ1では、球状シリカ微粉末をまず250~300℃で10~24時間処理し、次に1100~1200℃で48~90時間処理する。
【0012】
ステップ2では、非極性ガスは、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素、酸素または二酸化炭素から選択される。
【0013】
ステップ2では、室温が10~30℃である。
【0014】
ステップ3では、不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムまたはネオンから選択される。
【0015】
本発明は、2つの観点からシリカ微粉末の超低誘電損失を実現する。一つ目は、微粉末中の無機炭素と金属を除去することであり、無機炭素と金属はいずれもシリカ微粉末のDfに影響を与えるため、本発明では、まず、酸化剤の雰囲気中で、高温条件下で炭素と反応させることにより、導電性材料の無機炭素を除去し;同時に、微粉末によって導入された金属(Feなど)と反応して金属酸化物を形成して、一部の金属を除去する。二つ目は、微粉中の例えば結合水などの極性分子を除去することであり、段階加熱方法を採用して、まず比較的に低温で微粉末の結合水を取り除き、直接高温に上げることによる微粉末同士の凝集を避ける。
【発明の効果】
【0016】
従来の技術に比較して、本発明は以下の利点を有する。
本発明は、超高純度の原料を選択し、比表面積が比較的小さく真球度の高い球状シリカ微粉末を火炎法により調製し、酸化剤雰囲気中での高温処理により水分、金属及び無機炭素を除去し、非極性ガス雰囲気に直接入れて室温まで冷却し、不活性ガス充填包装して、不活性ガスの保護下で関連プロセスを実行する。本発明によって製造された製品の品質は安定しており、誘電損失の減少率は30%以上であり、最高で67%に達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、特定の実施形態に関連して以下でさらに詳細に説明される。以下の実施例で使用されるすべての原材料または試薬は市販されている。
【実施例1】
【0018】
平均粒径が2μm、純度が99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に投入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0019】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを順次に200℃で3時間、1100℃で48時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性ガスアルゴンの雰囲気2で10時間室温になるまで冷却する。窒素を充填し、密封包装して平均粒子径2.5μm、比表面積3.6m2/g、球形度0.993の球状シリカ微粉末Cを得た。
【実施例2】
【0020】
平均粒径が2μm、純度が99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に導入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0021】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを順次に150℃で10時間、800℃で60時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性ガス窒素ガスの雰囲気2で10時間室温になるまで冷却し、窒素を充填し、密封包装して平均粒子径2.2μm、比表面積3.8m2/g、球形度0.995の球状シリカ微粉末Cを得た。
【実施例3】
【0022】
平均粒径が8μm、純度が99.95%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に投入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0023】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを順次に300℃で24時間、1200℃で90時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性ガスアルゴンの雰囲気2で10時間室温になるまで冷却し、窒素を充填し、密封包装して平均粒子径9.2μm、比表面積0.86m2/g、球形度0.991の球状シリカ微粉末Cを得た。
【実施例4】
【0024】
平均粒径が35μm、純度が99.90%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に導入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0025】
乾燥酸素富化空気雰囲気1の下で、球状シリカ微粉末Aを順次に250℃で24時間処理して、900℃で24時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性ガス窒素の雰囲気2で10時間室温になるまで冷却し、窒素を充填し、密封包装して、平均粒子径39μm、比表面積0.36m2/g、球形度0.992の球状シリカ微粉末Cを得た。
〔比較例1〕
【0026】
平均粒径が2μm、純度99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に導入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。球状シリカ微粉末Aは無処理であり、ポリエチレン樹脂と直接硬化物を形成し、誘電損失をテストした。
〔比較例2〕
【0027】
平均粒径が2μm、純度99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に投入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0028】
開放条件下で、球状シリカ微粉末Aを順次に200℃で3時間、1100℃で48時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。開放条件下で、室温になるまで10時間冷却し、窒素を充填し、密封包装して平均粒子径2.4μm、比表面積3.7m2/g、球形度0.994の球状シリカ微粉末Cを得た。
〔比較例3〕
【0029】
平均粒径が2μm、純度99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に導入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0030】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを順次に200℃で3時間、400℃で48時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性アルゴン雰囲気2中下で、室温になるまで10時間冷却し、窒素を充填し、密封包装して平均粒子径が2.4μm、比表面積が3.8m2/g、球形度が0.993の球状シリカ微粉末Cを得た。
〔比較例4〕
【0031】
平均粒径が2μm、純度99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に投入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0032】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを順次に200℃で3時間、1500℃で96時間処理して、球状シリカ微粉末Bが得られ、粉末は凝集して塊になり、高温段階の温度が高すぎるため、温度が粉末の融点を超え、粉末が溶けて塊になる。
〔比較例5〕
【0033】
平均粒径が8μm、純度99.95%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に導入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0034】
乾燥酸素雰囲気1で、球状シリカ微粉末Aを直接1200℃で90時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性アルゴン雰囲気2中下で、室温になるまで10時間冷却し、窒素を充填し、密封包装して球状シリカ微粉末Cが得られ、平均粒子径が15.6μmであり、粒度分布にはテールがあることから、高温に直接上昇させ、微粉末間の凝集が発生しやすいことを示している。
〔比較例6〕
【0035】
平均粒径が2μm、純度99.92%の角状シリカ微粉末を原料とし、酸素をキャリアガス、H2を可燃性ガス、酸素を燃焼促進剤として使用し、それぞれ反応容器に投入し、点火し、2400~3200℃の高温で球状に溶融して、球状シリカ微粉末Aを得た。
【0036】
乾燥アルゴン雰囲気1下で、球状シリカ微粉末Aを順次に200℃で3時間、乾燥アルゴン雰囲気1で、1100℃で48時間処理して、球状シリカ微粉末Bを得た。非極性ガスのアルゴンの雰囲気2下で室温になるまで10時間冷却し、窒素を充填して密封包装し、平均粒子径2.6μm、比表面積3.5m2/g、球形度0.993の球状シリカ微粉末Cを得た。
【0037】
表1によれば、比較例1(未処理)に対して、実施例1~4は、それぞれ2段階の熱処理、異なる粒子径、異なる雰囲気により、球状シリカ微粉末中の極性分子や異物(CやFeなど)を低減して、Dfを低下させていることがわかる。熱処理2の温度が高い(1200℃)場合、及び処理時間が長い場合は、雰囲気1が酸素であるという前提の下では、金属異物と炭素含有量が最も低く、対応するDfも最も低く、減少幅は67%だった。比較例2は、雰囲気保護を必要とせずに、開放条件で直接熱処理を行ったものであり、金属数が多すぎると同時に、冷却過程で水分が吸着されるため、Dfの減少幅はわずか22%だった。比較例3と比較例6は、熱処理2の温度が低すぎ、雰囲気1がアルゴンガスに調整されているため、異物の低減程度が十分でなく、Dfの低下が目立たない。比較例4と比較例5はそれぞれ熱処理2の温度を高く制御しすぎ(1500℃)たり、熱処理1をせずに、直接高温したりすることにより、両方は粉末が凝集して大きな粒子または塊になる。
【0038】
【0039】
以上の実施形態の説明は、本発明の方法とその核となる考え方の理解を助けることを目的としているに過ぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良および修正が可能であり、これらも本発明の請求項の保護範囲に含まれる。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態で実施できる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられる。