(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ペンタペプチドを有効成分として含むアレルギー性疾患又はかゆみの予防、改善又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/08 20190101AFI20241028BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241028BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20241028BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241028BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241028BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241028BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241028BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A61K38/08 ZNA
A61P37/08
A61P17/00
A61P17/04
A61P11/02
A61P11/06
A61P29/00
A61K8/64
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022575918
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2021007322
(87)【国際公開番号】W WO2021251788
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0071658
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510271129
【氏名又は名称】ケアジェン カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨンジ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウンミ
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンス
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/067712(WO,A1)
【文献】Desiree Ludwig,Measurement of mast cell and basophil activation in vitro as means for investigation of drug hypersensitivity,Thesis of the degree of Master of Philosophy, University of Southampton Facultyof Medicine,2015年
【文献】室田 浩之,1.アトピー性皮膚炎:痒みの病態理解と分子標的治療の進歩,アレルギー,2019年,Vol.68, No.7,pages 815-822
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/08
A61P 37/08
A61P 37/06
A61P 29/00
A61P 17/00
A61P 17/04
A61P 11/02
A61P 11/06
A61K 8/64
A61Q 19/00
C07K 7/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含む、アレルギー性疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記アレルギー性疾患は、浮腫、過敏症(anaphylaxis)、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、喘息(asthma)、アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis)、アレルギー性皮膚炎(allergic dermatitis)、接触性皮膚炎、蕁麻疹、掻痒症、昆虫アレルギー、食品アレルギー及び薬品アレルギーよりなる群から選択される1つ以上を含むものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記アレルギー性皮膚炎は、アトピー皮膚炎である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ペンタペプチドは、i)肥満細胞におけるIL-4、IL-3及びTNF-αの発現を抑制し、ii)脾臓細胞におけるTNF-α、IL-1β及びCOX-2の発現を抑制し、iii)肥満細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼの放出を抑制するものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記薬学的組成物は、薬剤学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含むものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記薬学的組成物は、経口用製剤、注射用製剤又は外用剤の形態に剤形化されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記外用剤は、クリーム、ゲル、軟膏、乳化液、懸濁液、噴霧剤及び経皮伝達性パッチ剤よりなる群から選択されるいずれか1つ以上のものである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含む、アレルギー性疾患の予防又は改善用化粧料組成物。
【請求項9】
前記アレルギー性疾患は、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、掻痒症、乾癬及び湿疹よりなる群から選択される1つ以上を含むものである、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記アレルギー性皮膚炎は、アトピー皮膚炎である、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記化粧料組成物は、化粧品学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含むものである、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記化粧料組成物は、
化粧水、ローション、クリーム、エッセンス、乳液、ゲル、ハンドクリーム、リップスティック、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングウォーター、噴霧剤、シャンプー、リンス、トリートメント、ボディクレンザー、石鹸、パック、マッサージ剤、フェイスパウダー、コンパクト、ファンデーション、ツーウェイケーキ、及びメーキャップベースよりなる群から選択されるいずれか1つ以上の剤形に製造されるものである、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含む、かゆみ(itching)の予防又は改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペブタペプチドのアレルギー性疾患又はかゆみの予防、改善又は治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満細胞及び血中好塩基球は、サイトカインを分泌することにより多様なアレルギー性疾患を誘発する体内細胞として知られている。これらの細胞は、細胞表面にアレルギーを誘発する抗体であるIgEに対する受容体(FcεRI)を有しており、これはアレルギーを誘発する物質(抗原あるいはアレルゲンと称される)により刺激を受け、自身が有している多様なアレルギーを誘発させる物質を細胞の外に分泌する(Amin K.,Respiratory Medicine.,2012)。
【0003】
アレルギー性疾患中の1つであるアトピー皮膚炎(Atopic Dermatitis,AD)は、遺伝的、環境的、免疫学的異常反応と皮膚障壁の崩壊により発病される疾患であって、乾燥症、掻痒症、紅斑性湿疹を引き起こす晩成炎症性皮膚疾患である。近年、全世界的な環境変化、食習慣及び環境汚染などによって有病率が増加しており、解決手段に対する関心も増加している。
【0004】
アトピー性皮膚炎の正確な原因は今のところ明かされていないが、疾患の進行に関して現われる免疫学的特性としては、血中のIgE抗体の水準が有意に上昇してインターロイキン-4(IL-4)の発現水準は上昇する一方、インターフェロンガンマ(interferon gamma:IFNγ)の発現は低下するという点である(Boguniewicz and Beltrani,2002;AbdelHamid,2003)。IgEは、2つのアイソフォームのIgE受容体と循環して結合する。高親和性IgE受容体(FcεRI)は、肥満細胞及び塩基性白血球の表面に存在し、低親和性IgE受容体(FcεRII又はCD23)は、リンパ球、酸性白血球、血小板及び大食細胞の表面に存在する。アレルギー性疾患の症状開始は、肥満細胞上のIgE受容体の交差結合、アレルゲンに接触した後の結果的な肥満細胞の脱顆粒である。肥満細胞により放出された分子は、ヒスタミン、ヘパリン、プロテアーゼ及び自由ラジカルを含み、血管拡張、腸管内及び/又は気管支平滑筋収縮、粘液分泌及び局所タンパク質分泌のような多様な生物学的効果を媒介する。肥満細胞の初期媒介反応により、酸性白血球、塩基性白血球及びリンパ球の流入が6~24時間後に発生する。この後期段階の反応は、絶え間なく抗原に露出された組織の慢性的炎症を誘導する。
【0005】
一般的に、アレルギー性疾患の治療のため、抗ヒスタミン、ステロイド性又は非ステロイド性抗炎症用医薬品及びロイコトリエン拮抗剤のような医薬品が用いられる。このような医薬品は、主に症侯性の効果に有用ではあるが、過度な体液性免疫を緩和するかIgE生産を抑制するようなアレルギー性疾患の根本的な治癒に要求される治療を提供することはできない。また、局所ステロイド製剤は、長期間の使用時に、皮膚萎縮、血管拡張、色素脱失及び膨張線条(肉割れ)の発生などの多様な副作用を引き起こすことがある。
【0006】
よって、本発明者達は、新たに合成したペンタペプチドがアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患の予防、改善又は治療に有用に用いられ得ることを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、アレルギー性疾患を予防又は治療するための薬学的組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の一目的は、アレルギー性疾患を予防又は改善するための化粧料組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の一目的は、かゆみの予防又は改善用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の一目的は、アレルギー性疾患の予防又は治療方法を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の一目的は、アレルギー性疾患の予防又は治療に用いるためのペプチドを提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の一目的は、かゆみの予防又は治療方法を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の一目的は、かゆみの予防又は治療に用いるためのペプチドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明の一側面は、配列番号1のアミノ酸配列(KFLIK)から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むアレルギー性疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0015】
本発明の他の側面は、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むアレルギー性疾患の予防又は改善用化粧料組成物を提供する。
【0016】
本発明のまた他の一側面は、個体に配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを投与する段階を含むアレルギー性疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0017】
本発明のまた他の一側面は、アレルギー性疾患の予防又は治療に用いるための配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを提供する。
【0018】
本発明のまた他の一側面は、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むかゆみの予防又は改善用組成物を提供する。
【0019】
本発明のまた他の一側面は、個体に配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを投与する段階を含むかゆみの予防又は治療方法を提供する。
【0020】
本発明のまた他の一側面は、かゆみの予防又は治療に用いるための配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドは、かゆみと炎症反応を誘導するβ-ヘキソサミニダーゼの放出を抑制し、細胞の免疫反応により分泌される炎症性サイトカインの発現を有意に減少させるので、アトピー皮膚炎を含む多様なアレルギー性疾患を予防、改善又は治療する用途として用いられ得る。
【0022】
但し、本発明の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】KFLIKペプチドの熱安定性評価の結果を示した図である:45℃で長期保管時のペプチドの高温安定性を確認した結果を示したものである。
【
図1b】KFLIKペプチドの熱安定性評価の結果を示した図である:最大加温温度(121℃)におけるペプチドの高温安定性を確認した結果を示したものである。
【
図2】肥満細胞におけるKFLIKペプチド処理によるβ-ヘキソサミニダーゼの放出量変化を示すグラフである。
【
図3】肥満細胞におけるKFLIKペプチド処理による炎症性サイトカイン(IL-3、IL-4及びTNF-α)の発現変化を示すグラフである。
【
図4】脾臓細胞におけるKFLIKペプチド処理による炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β及びCOX-2)の発現変化を示すグラフである。
【
図5a】人体効能評価を介して、本発明のKFLIKペプチドによるアトピー皮膚炎の改善効果を示すグラフである:病変部位における皮膚水分変化率(%)を示したものである。
【
図5b】人体効能評価を介して、本発明のKFLIKペプチドによるアトピー皮膚炎の改善効果を示すグラフである:病変部位における経皮水分損失量変化率(%)を示したものである。
【
図5c】人体効能評価を介して、本発明のKFLIKペプチドによるアトピー皮膚炎改善の効果を示すグラフである:病変部位における皮膚かゆみ指数変化率(%)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明の一側面は、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むアレルギー性疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。本明細書において、用語「ペプチド」は、ペプチド結合によりアミノ酸残基が互いに結合して形成された線状又は環状の分子を意味する。前記ペプチドの作製は、本技術分野において公知の通常の生物学的又は化学的合成方法により達成されてよく、一例として、固相合成技術(solid-phase synthesis techniques)のような方法により達成されてよい。
【0026】
本明細書において、用語「ペンタペプチド」は、5個のアミノ酸残基からなる線状分子を意味し、本発明のペンタペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列(KFLIK)から構成された線状ペプチド分子を意味する。
【0027】
前記「ペプチド」及び「ペンタペプチド」は、機能に影響を及ぼさない範囲内で、アミノ酸残基の欠失、挿入、置換又はこれらの組み合わせにより異なる配列を有するアミノ酸の変異体、又は断片であってよい。前記ペプチドの活性を全体的に変更させないアミノ酸交換は本技術分野に既知のものである。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)などに変形されてよい。したがって、本発明は、KFLIKのアミノ酸配列から構成されたペンタペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチド及びその変異体、又はその活性断片を含む。前記実質的に同一のタンパク質とは、前記KFLIKのアミノ酸配列と75%以上、好ましくは80%以上、例えば、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を意味するが、これに限定されず、75%以上のアミノ酸配列の相同性を有して同一の活性を有するならば本発明の範囲に含まれる。また、本発明のペプチドは、標的化配列、タグ(tag)、表示された残基、半減期又はペプチド安定性を増加させるための特定の目的で製造されたアミノ酸配列をさらに含むことができる。
【0028】
また、より良い化学的安定性、強化された薬理特性(半減期、吸収性、力価、効能など)、変更された特異性(例えば、広範囲な生物学的活性スペクトラム)、減少された抗原性を獲得するために、本発明のペプチドのN-末端又はC-末端に保護基が結合されていてよい。例えば、前記保護基は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基又はポリエチレングリコール(PEG)であってよいが、ペプチドの改質、特に、ペプチドの安定性を増進させることができる成分であれば、制限なく含んでよい。前記「安定性」は、生体内タンパク質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する生体内(in vivo)での安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も含む意味として用いられる。
【0029】
本発明のKFLIKのアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドは、免疫反応で分泌される炎症性サイトカインIL-3、IL-4、TNF-α、IL-1β及びCOX-2の発現を抑制してアレルギー性疾患を予防又は治療することができる。
【0030】
また、本発明のKFLIKのアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドは、肥満細胞においてかゆみと炎症反応を誘導するβ-ヘキソサミニダーゼの放出を減少させることにより、アレルギー性疾患を予防又は治療することができる。
【0031】
また、本発明のKFLIKのアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドは、アトピー皮膚炎の病変部位における皮膚保湿、皮膚障壁改善及びかゆみ改善の効果を示してアトピー皮膚炎の症状を改善又は予防することができる。
【0032】
前記「アレルギー性疾患」とは、外部抗原に対する身体内の免疫反応が過度に現われるアレルギー(allergy)反応により発病する疾患を意味するものであって、具体的に、浮腫、過敏症(anaphylaxis)、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、喘息(asthma)、アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis)、アレルギー性皮膚炎(allergic dermatitis)、接触性皮膚炎、蕁麻疹、掻痒症、昆虫アレルギー、食品アレルギー及び薬品アレルギーよりなる群から選択される1つ以上の疾患であってよいが、これらに限定されない。
【0033】
前記アレルギー性皮膚炎は、アトピー皮膚炎(atopic dermatitis)であってよい。
【0034】
前記「アトピー皮膚炎」は、アレルギー性疾患中の1つであって、かゆみ、皮膚乾燥、皮膚厚の増加、特徴的な湿疹のような症状を伴う皮膚疾患を意味する。
【0035】
前記「予防」は、ペンタペプチド又は組成物の投与で発病を抑制するか発病を遅延させる全ての行為を意味する。
【0036】
前記「治療」又は「改善」は、ペンタペプチド又は組成物の投与で前記疾患の症状が好転するかよく変更される全ての行為を意味する。本発明によるアレルギー性疾患の予防又は治療用薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口剤剤形、外用剤、坐剤、及び滅菌注射溶液の形態に剤形化されて用いることができ、剤形化のために薬学組成物の製造に通常用いられる適切な担体、賦形剤又は希釈剤を含むことができる。
【0037】
前記薬学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシア、ゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微小結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどを含むことができる。
【0038】
前記薬学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁液剤、保存剤などを追加でさらに含むことができる。
【0039】
前記薬学的組成物は、目的とする方法により経口投与するか非経口投与(例えば、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮下、皮内、又は局所に適用)することができ、投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路及び時間により異なるが、当業者により適宜選択されてよい。
【0040】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/危険の比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に用いられる薬物を含んだ要素及びその他医学分野によく知られている要素により決定されてよい。前記薬学的組成物は、個別治療剤で投与するか他の治療剤と併用して投与されてよく、従来の治療剤とは同時に、別途に、又は順次に投与されてよく、単一又は多重投与されてよい。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与するのが重要であり、これは当業者により容易に決定され得る。
【0041】
前記薬学的組成物の有効量は、患者の年齢、性別、状態、体重、体内への活性成分の吸収度、不活性率、排泄速度、疾病の種類、併用する薬物に応じて変わり得、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などに応じて増減されてよく、例えば、前記薬学的組成物を1日当たり、患者体重1kg当たり約0.0001μgから500mg、好ましくは0.01μgから100mg投与してよい。
【0042】
他の側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むアレルギー性疾患の改善又は緩和用化粧料組成物を提供する。
【0043】
前記ペプチド、ペンタペプチド、アレルギー性疾患、アトピー皮膚炎の具体的な内容は、前述のとおりである。
【0044】
前記化粧料組成物は、本技術分野において通常製造される任意の剤形に製造されてよく、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化されてよいが、これに制限されるものではない。
【0045】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー、パウダー、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ヘアエアロゾル、ポマード、ゲルなどの溶液、ゾルゲル、エマルジョン、オイル、ワックス、エアロゾルなどの多様な形態に製造されてよいが、これらに制限されるものではない。
【0046】
本発明の化粧料組成物は、KFLIKのアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドに加えて賦形剤、担体などのその他の添加剤を含むことができ、一般の皮膚化粧料に配合される普通の成分を必要なだけ適用して配合することが可能である。
【0047】
前記化粧料組成物の剤形の形態がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0048】
前記化粧料組成物の剤形の形態がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特に、スプレーである場合は、追加でクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体が含まれてよいが、これらに制限されるものではない。
【0049】
前記化粧料組成物の剤形の形態が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が用いられてよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0050】
前記化粧料組成物の剤形の形態が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチルソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁液剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラガカントなどが用いられてよい。
【0051】
前記化粧料組成物の剤形が界面-活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0052】
前記化粧料組成物の剤形がヘアシャンプーである場合は、本発明のトロロックス-ペプチド結合体に増粘剤、界面活性剤、粘度調節剤、保湿剤、pH調節剤、防腐剤、エッセンシャルオイルなどのように、シャンプーを組成するためのベース成分が混合されてよい。前記増粘剤としてはCDEが用いられてよく、前記界面活性剤にはアニオン界面活性剤であるLESと、両方性界面活性剤であるココベタインが用いられてよく、前記粘度調節剤としてはポリクオーターが用いられてよく、前記保湿剤としてはグリセリンが用いられてよく、前記pH調節剤としてはクエン酸、水酸化ナトリウムが用いられてよい。前記防腐剤としてはグレープフルーツ抽出物などが用いられてよく、この他にもシダーウッド、ペパーミント、ローズマリーなどのエッセンシャルオイルとシルクアミノ酸、ペンタオール又はビタミンEが添加されてよい。
【0053】
前記化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分として、本発明の前記ペンタペプチドと担体成分の他に、化粧料組成物に通常用いられる成分、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤などをさらに含んでよいが、これらに制限されるものではない。
【0054】
また他の側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを有効成分として含むかゆみ(itching)の予防又は改善用組成物を提供する。
【0055】
また、本発明は、個体に配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを投与する段階を含むかゆみの予防又は治療方法を提供する。
【0056】
また、本発明は、かゆみの予防又は治療に用いるための配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを提供する。
【0057】
前記ペプチド、ペンタペプチド、予防、改善の具体的な内容は、前述のとおりである。
【0058】
前記「かゆみ」は、掻きたいという不快感を誘発する皮膚の状態を意味するものであって、「掻痒症」と混用して用いることができる。前記「かゆみ」は、例えば、蕁麻疹、乾癬、アトピー皮膚炎などのアレルギー性疾患によるかゆみ、紫外線によるかゆみ、頭皮のかゆみ、あせも、ただれ、凍傷及び老人掻痒症が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0059】
また、本発明は、個体に配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを投与する段階を含むアレルギー性疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0060】
前記「個体(subject)」は、ヒトを含むものであってよい。また、用語「個体(subject)」は、本願のペンタペプチドの投与を必要とする個体(subject in need there of)であってよく、前記投与を必要とする個体は、アレルギー性疾患又はかゆみに対して診断を受けた個体、アレルギー性疾患又はかゆみ関連の症状が発現された個体だけではなく、前記疾患や症状の発現を予防するか健康改善のために投与を希望する個体を含むものであってよい。
【0061】
前記「投与」は、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の組成物の投与経路は、目的組織に到達することができる限り、一般的な全ての経路を介して経口又は非経口投与されてよい。また、組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置により投与されてよい。
【0062】
本発明は、アレルギー性疾患の予防又は治療に用いるための配列番号1のアミノ酸配列から構成されるペンタペプチドを提供する。
【0063】
前述したように、本発明のペンタペプチドは、肥満細胞の脱顆粒を抑制してβ-ヘキソサミニダーゼの放出量を減少させ、炎症性サイトカインの発現を抑制することによりかゆみと炎症反応を抑制するという効果があるので、アレルギー性疾患又はかゆみの予防、改善又は治療を目的とする医薬品又は化粧料組成物の原料として用いられ得る。
【0064】
以下、本発明を実施例及び実験例によって詳細に説明する。
【0065】
但し、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の内容が下記実施例及び実験例により限定されるものではない。
【0066】
[実施例1]
新規のペンタペプチドの合成及び物性の確認
1-1.ペンタペプチドの合成
配列番号1で記載されるアミノ酸配列から構成される新規のペプチド配列「KFLIK」は、公知の方法を用いて製造した。分子量測定器を用いて前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの分子量を測定した結果、その分子量が647.4Daに該当することを確認した。
【0067】
1-2.長期保管時の高温安定性の評価
配列番号1のアミノ酸配列から構成された本発明のペプチドを1000ppmの濃度で滅菌蒸溜水に溶かし、45℃で7日、14日、28日、60日、75日間保管した後、HPLC分析を行った。
【0068】
その結果、[
図1a]に示したように、45℃の条件で最大観察日である75日間、本発明のペプチドが安定性を維持することを確認することができた。
【0069】
1-3.高温安定性の評価
本発明のペプチドを1000ppmの濃度で滅菌蒸溜水に溶かし、121℃で15分、30分間加温した後、HPLC分析を行った。
【0070】
その結果、[
図1b]に示したように、121℃で最大加温時間である30分間、本発明のペプチドが安定性を維持することを確認することができた。
【0071】
[実験例1]
肥満細胞におけるペンタペプチド処理による脱顆粒抑制の効果
本発明のペンタペプチドによるアレルギー性炎症反応抑制の効果及びアトピー皮膚炎改善の効果を確認するため、肥満細胞(rat basophilic leukemia cell line、RBL-2H3)を用いて脱顆粒(degranulation)の程度を確認した。
【0072】
具体的に、RBL-2H3細胞を5×105cells/wellの密度で12-ウェルプレートに接種した後、37℃、5%のCO2インキュベーターで一晩中培養した。完全培地にDNP-IgEを添加して感作した。3時間後にDPBSで3回洗浄した後、PIPESバッファーを添加した。また、実施例1で合成した本発明のペンタペプチドを30分間前処理した後、DNP-HSAを3時間処理して免疫反応を誘導した。その後、上澄液(supernatant)25μLを回収し、基質溶液(5mM p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide dissolved in 0.2M sodium citrate buffer,pH4.5)25μLを入れた後、37℃で90分間培養して反応させた。反応後、各ウェルに200μLのstop solution(0.1M Na2CO3/NaHCO3,pH10.0)を添加して酵素反応を停止させ、マイクロプレートリーダー機を用いて405nmで吸光度を測定した。上澄液から分泌されたβ-ヘキソサミニダーゼは、0.5%トリトンX-100溶液を細胞に添加し、下記数式1によって定量化した。
【0073】
[数式1]
% release=(experimental β-hexosaminidase release-spontaneous β-hexosaminidase release)/total cellular β-hexosaminidase × 100
【0074】
その結果、[
図2]に示したように、DNP-IgEで感作してDNP-HSAで免疫反応を誘導した対照群(NC)においては、正常肥満細胞(NON)に比べてβ-ヘキソサミニダーゼの放出量が顕著に増加した。しかし、DNP-IgEで感作してDNP-HSAで免疫反応を誘導しながら、本発明のペンタペプチドを10μM、100μM処理した場合、β-ヘキソサミニダーゼの放出量が濃度依存的に減少した。
【0075】
これを介して、本発明のペンタペプチドが肥満細胞からβ-ヘキソサミニダーゼの放出量を減少させることにより、肥満細胞の脱顆粒現象を効果的に抑制し、かゆみと炎症反応を抑制することができることが分かる。
【0076】
[実験例2]
肥満細胞におけるペンタペプチド処理による炎症関連サイトカインの発現抑制の効果
本発明のペンタペプチドによるアレルギー性炎症反応抑制の効果及びアトピー皮膚炎改善の効果を確認するため、肥満細胞(rat basophilic leukemia cell line,RBL-2H3)を用いて炎症関連サイトカインの発現の様相を確認した。
【0077】
具体的に、RBL-2H3細胞を5×105cells/wellの密度で12-ウェルプレートに接種した後、37℃、5%のCO2インキュベーターで一晩中培養した。完全培地にDNP-IgEを添加して感作した。3時間後にDPBSで3回洗浄した後、PIPESバッファーを添加した。また、実施例1で合成した本発明のペンタペプチドを30分間前処理した後、DNP-HSAを2時間処理して免疫反応を誘導した。このとき、陽性対照群としては、ケトチフェン(ketotifen)20μg/mLを用いた。
【0078】
その後、細胞を回収してRNAを分離した後、cDNA合成キット(Intron,Korea)を用いて分離されたRNAからcDNAを合成した。合成されたcDNA、PCRプレミックス(Intron,Korea)及びIL-3、IL-4、TNF-αプライマーを用いて重合酵素連鎖反応を行い、増幅されたPCR産物をアガロースゲルに電気泳動し、DNAバンドを確認した。このとき用いられたプライマー配列は、[表1]に提示されたとおりである。
【0079】
【0080】
その結果、[
図3]に示したように、DNP-IgEで感作してDNP-HSAで免疫反応を誘導した対照細胞(NC)においては、正常肥満細胞(NON)に比べて炎症性サイトカインであるIL-3、IL-4及びTNF-αの発現が有意に増加した。一方、DNP-IgEで感作してDNP-HSAで免疫反応を誘導しながら、本発明のペンタペプチドを処理した結果、免疫反応で増加した炎症性サイトカインの発現がいずれも有意に減少した。これを介し、本発明のペンタペプチドがアレルギー性炎症反応を抑制し、アトピー皮膚炎の改善に効果があることが分かる。
【0081】
[実験例3]
脾臓細胞におけるペンタペプチド処理による炎症関連サイトカインの発現抑制の効果
本発明のペンタペプチドによるアレルギー性炎症反応抑制の効果及びアトピー皮膚炎改善の効果を確認するため、マウスの脾臓細胞を用いて炎症関連サイトカインの発現の様相を確認した。
【0082】
具体的に、マウスの脾臓細胞を分離し、1×107cells/wellの密度で24-ウェルプレートに接種した後、37℃、5%のCO2インキュベーターで一晩中培養した。無血清培地に交換した後、4時間後に本発明のペンタペプチドとTNF-αを処理して30分間培養した。このとき、陽性対照群としては、ケトチフェン(ketotifen)20μg/mLを用いた。
【0083】
その後、細胞を回収してRNAを分離した後、cDNA合成キット(Intron,Korea)を用いてcDNAを合成した。合成されたcDNA、PCRプレミックス(Intron,Korea)及びTNF-α、IL-1β及びCOX-2プライマーを用いて重合酵素連鎖反応を行い、増幅されたPCR産物をアガロースゲルに電気泳動し、DNAバンドを確認した。このとき用いられたプライマー配列は、[表2]に提示されたとおりである。
【0084】
【0085】
その結果、[
図4]に示したように、TNF-αで免疫反応を誘導させた対照細胞においては、正常脾臓細胞に比べて炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β及びCOX-2の発現が有意に増加した。一方、TNF-α、IL-1β及びCOX-2とともに本発明のペンタペプチドを脾臓細胞に処理した結果、免疫反応により増加した炎症性サイトカインの発現がいずれも有意に減少した。これを介し、本発明のペンタペプチドがアレルギー性炎症反応を抑制し、アトピー皮膚炎を改善するという効果があることが分かる。
【0086】
[実験例4]
臨床試験を介したアトピー皮膚炎改善の効果
アトピー皮膚炎患者21名を対象として、乾燥症によるかゆみの緩和に対する人体効能評価を実施した。乾燥症病変部位を試験部位とし、製品の使用前、製品使用2週後、製品使用4週後の患部に対して機器測定を進めた。
【0087】
アトピー皮膚炎改善の効果は、Comeometer CM825を用いた皮膚水分の測定、Tewameter TM300を用いた皮膚水分損失量の測定、かゆみの改善度評価(VAS)を介して確認した。
【0088】
4-1.ペンタペプチドを含有するセラム及びクリームの製造
ペンタペプチドによるアトピー皮膚症状改善の効果を確認するため、実施例1で合成した本発明のペンタペプチドが2000ppm含まれるようにセラムとクリームを製造した。
【0089】
4-2.皮膚保湿の効果
[
図5a]に示したように、本発明のペンタペプチド含有セラム及びクリームを用いる場合、統計的に有意な病変部位の皮膚水分改善の効能を示すものと確認された(使用2週、4週;P<0.05)。
【0090】
4-3.病変部位の皮膚障壁改善の効果
[
図5b]に示したように、本発明のペンタペプチドを含有したセラムとクリームを用いた場合、統計的に有意な病変部位の経皮水分損失改善の効能を示した[経皮水分損失変化率(%)=(after-before)/before*100]。
【0091】
4-4.かゆみ改善の効果
[
図5c]に示したように、かゆみ改善の効果においても、本発明のペンタペプチドを含有したセラムとクリームを用いた場合、塗布前に比べて2週、4週後、統計的に有意にかゆみ指数が改善されるものと確認された。
【0092】
これにより、本発明のペプチドセラム及びクリームは、皮膚保湿、皮膚障壁改善及びかゆみ改善の効果を示し、アトピーのような皮膚乾燥症による皮膚掻痒症、水分、かゆみ改善の機能性素材として用いられ得ることが分かる。
【配列表】