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特許7577768EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法
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  • 特許-EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/00 20060101AFI20241028BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20241028BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20241028BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B60T8/00 Z
B60T8/1761
B60T13/74 G
G01M17/007 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022580100
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021110835
(87)【国際公開番号】W WO2022028526
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】202010787660.4
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521549408
【氏名又は名称】格陸博科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】余子祥
(72)【発明者】
【氏名】張莉莉
(72)【発明者】
【氏名】原湛宇
(72)【発明者】
【氏名】周翔
(72)【発明者】
【氏名】劉兆勇
(72)【発明者】
【氏名】周鼎森
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206573299(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第102589897(CN,A)
【文献】中国実用新案第203249776(CN,U)
【文献】特開2010-276446(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00367329(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/00- 8/96
B60T 13/74
G01M 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本の装置が上位コンピュータ、いくつかの車輪シミュレーションセット、及び車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムを含み、上位コンピュータがモータ回転速度制御モジュール、EPBに必要な信号を送信するシミュレーションモジュール、目標車輪速計算モジュールを含み;
1組の車輪シミュレーションセットがモータドライバ、モータ、歯車及び車輪速センサを含み、モータドライバがモータを回転させ、モータ出力軸が歯車を回転させ、車輪速センサが歯車の車輪速に反応し;車輪速センサが接続されたEPBシステムに出力し;
モータ回転速度制御モジュールがモータドライバと接続され、モータドライバが設定周波数のPWM波を出力することにより、モータの回転速度を制御し;
測定されるEPBシステムがEPBキャリパーを含み、EPBキャリパーに圧力センサが設けられ、圧力センサがキャリパーのクランプ力を目標車輪速計算モジュールにフィードバックし;
EPBに必要な信号のシミュレーションモジュールが車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムに必要な各信号に対するシミュレーションを完了し、さらにこれをEPBシステムに送信し;
目標車輪速計算モジュールが実車の試験結果を分析して生成されるシミュレーション公式及びシミュレーションパラメータに、圧力センサのフィードバック情報を組み合わせて目標車輪速を算出し、さらにこれをモータ回転速度制御モジュールに送信し、実際の車輪速に対する制御を完了し;
試験方法が、以下の工程
S1:モータドライバに対応する上位コンピュータのソフトウェアが、モータドライバに各パラメータを設定し、モータ回転速度制御モジュールが設定周波数のPWM波を出力し、モータドライバを介してモータの初期回転速度を制御する;
S2:モータが歯車を回転させ、歯車の回転に設定した車輪半径を組み合わせることにより、実際の車輪速をシミュレーションする;
S3:車輪速センサが歯車の回転速度を収集して、シミュレーション車輪速を得、さらにこれをEPBシステムに送信し、EPBスイッチを引き上げると、自動車がEPBを使用して緊急ブレーキを行うシミュレーションを開始し、EPBシステムは上位コンピュータが送信するその他のシミュレーション信号を組み合わせて、クランプ及びリリースを含む、相応する機能を実行する;
S4:圧力センサがEPBキャリパーの圧力を収集し、結果を目標車輪速計算モジュールに送信する;
S5:目標車輪速計算モジュールがキャリパーの圧力情報を得た後、シミュレーションパラメータを組み合わせて目標車輪速を算出し、シミュレーションパラメータは路面摩擦係数、車輪半径を含み;目標車輪速計算モジュールが車輪速及びモータの回転速度の対応関係に基づいて、必要なモータの回転速度を算出し、さらにモータの回転速度と、上位コンピュータが出力するPWM波の周波数との間の関係に基づいて、上位コンピュータが出力する必要があるPWM波の周波数を算出し、これをモータ回転速度制御モジュールに送信する;
目標車輪速計算モジュールが、計算公式、シミュレーションパラメータ、現在の車輪速、キャリパーのクランプ力を設定することにより、目標車輪速の計算を実現し;理想条件の下で、EPBキャリパーがブレーキ力を提供する状況であり、そのシミュレーション車輪速の計算公式は以下の通りであり、
【数1】

式中、a減はブレーキ減速度;Fはブレーキ力;V0は設定した初期速度;Sはスリップ率;μはブレーキディスク摩擦係数;Pはブレーキディスクが受けた圧力;rはブレーキディスクの作用半径、r=(r1+r2)/2、r1はブレーキディスク内径、r2はブレーキディスク外径;Mは車両総重量;Rは車輪半径であり;
S6:モータ回転速度制御モジュールが、S5で得られたPWM波をモータドライバに出力することにより、モータ回転速度を制御し、計算して得られた車輪速を達成し、実車の制御された結果をシミュレーションし、EPBシステムは車輪速センサが出力した結果に基づいて、相応する機能を実行し、EPB機能の実行が完了し、車輪速が「0」に低下するまでS4~S6を繰り返す;
を含むことを特徴とする、EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項2】
前記モータドライバがステップサーボモータドライバであり、モータがサーボステップモータであり、上位コンピュータが入力する制御パラメータによりモータの運動は正確に制御されることを特徴とする、請求項1に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項3】
前記サーボステップモータが数種のパルス入力モードを有し、モータドライバがモータの分割設定、入力エッジ及び方向を設定するためのディップスイッチを含むことを特徴とする、請求項2に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項4】
車輪シミュレーションセットが4組設けられ、4つのモータドライバが独立して制御することを特徴とする、請求項1に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項5】
EPBシステムがCANボードを介して上位コンピュータのソフトウェアと接続されることを特徴とする、請求項1に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項6】
シミュレーションするとき、キャリパーが生成するブレーキ力と、理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力との大きさの関係を、車輪がロックに近いかどうかの判断条件とし;理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力が
Fmax=Φ Mg
であり、
式中、Φは地面摩擦係数;gは重力加速度であることを特徴とする、請求項1に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【請求項7】
工程S5において、出力する必要があるPWM波の周波数の計算公式が以下の通りであり、
【数2】

式中、Rは車輪半径;fは入力パルス周波数、θはモータステップ角、mはモータ分割数;W歯車は歯車の周波数である
ことを特徴とする、請求項1に記載のEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両試験装置の技術分野に関し、特にEPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車関連の研究開発業界において、特にブレーキシステムでは、車輪速は各種機能の実現に必要な重要なパラメータである。車輪速及び車両速度などの情報に対する総合的判断により、システムは車両及び車輪がどの状態にあるかを理解することができ、これにより相応の機能を実行することができる。EPBのアンチロック機能は主に車両のブレーキ時に用いるが、実際の車両の運行時に車輪速の情報を得るのは、機能の試験効率を低下させることがある。さらにいくつかの極端な状況で車輪速の情報を得るのは容易ではなく、いくらかの危険性が存在することすらあり、これらの問題は自動車におけるEPBシステムのアンチロック機能に関する研究開発に大きな困難をもたらしている。従って、安定し、高効率で、実際の状況に近い車輪速のシミュレーション及び収集装置をいかにして提供するかということは、急いで解決する必要がある問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法を提供することであり、自動車におけるEPBシステムのアンチロック機能について、便利に、高効率で試験することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記技術的目的は、以下の技術案により実現することができる。
EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法において、基本の装置は上位コンピュータ、いくつかの車輪シミュレーションセット及び車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムを含み、上位コンピュータはモータ回転速度制御モジュール、EPBに必要な信号のシミュレーションモジュール、目標車輪速計算モジュールを含む。
1組の車輪シミュレーションセットはモータドライバ、モータ、歯車及び車輪速センサを含む。モータドライバはモータを回転させ、モータ出力軸は歯車を回転させ、車輪速センサは歯車の回転速度に反応する。車輪速センサは接続されたEPBシステムに出力する。
モータ回転速度制御モジュールはモータドライバと接続され、モータドライバは設定周波数のPWM波を出力することにより、モータの回転速度を制御する。
測定されるEPBシステムはEPBキャリパーを含み、EPBキャリパーに圧力センサが設けられる。圧力センサは、キャリパーのクランプ力を目標車輪速計算モジュールにフィードバックする。
EPBに必要な信号のシミュレーションモジュールは車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムに必要な各信号のシミュレーションを完了し、さらにこれをEPBシステムに送信する。
目標車輪速計算モジュールは実車試験の結果を分析して生成されるシミュレーション公式及びシミュレーションパラメータに、圧力センサのフィードバック情報を組み合わせて目標車輪速を計算し、さらにこれをモータ回転速度制御モジュールに送信し、実際の車輪速に対する制御を完了する。
試験方法は以下の工程を含む。
S1:モータドライバに対応する上位コンピュータのソフトウェアが、モータドライバに各パラメータを設定し、モータ回転速度制御モジュールが設定周波数のPWM波を出力し、モータドライバを介してモータの初期回転速度を制御する。
S2:モータが歯車を回転させ、歯車の回転に設定した車輪半径を組み合わせることにより、実際の車輪速をシミュレーションする。
S3:車輪速センサが歯車の回転速度を収集して、シミュレーション車輪速を得、さらにこれをEPBシステムに送信する。EPBスイッチを引き上げると、自動車がEPBを使用して緊急ブレーキを行うシミュレーションを開始する。EPBシステムは上位コンピュータが送信するその他のシミュレーション信号を組み合わせて、クランプ及びリリースを含む、相応する機能を実行する。
S4:圧力センサはEPBキャリパーの圧力を収集し、結果を目標車輪速計算モジュールに送信する。
S5:目標車輪速計算モジュールはキャリパーの圧力情報を得た後、シミュレーションパラメータを組み合わせて目標車輪速を算出し、シミュレーションパラメータは路面摩擦係数、車輪半径を含む。目標車輪速計算モジュールは車輪速及びモータの回転速度の対応関係に基づいて、必要なモータの回転速度を算出し、さらにモータの回転速度と、上位コンピュータが出力するPWM波周波数との間の関係に基づいて、上位コンピュータが出力する必要があるPWM波の周波数を算出し、これをモータ回転速度制御モジュールに送信する。
目標車輪速計算モジュールは、計算公式、シミュレーションパラメータ、現在の車輪速、キャリパーのクランプ力を設定することにより、目標車輪速の計算を実現する。理想条件、ブレーキ力はEPBキャリパーのみが提供する状況であり、そのシミュレーション車輪速の計算公式は以下の通りである。
【0005】
【数1】
【0006】
式中、aはブレーキ減速度;Fはブレーキ力;Vは設定した初期速度;Sはスリップ率;μはブレーキディスク摩擦係数;Pはブレーキディスクが受けた圧力;rはブレーキディスクの作用半径、r=(r+r)/2、rはブレーキディスク内径、rはブレーキディスク外径;Mは車両総重量;Rは車輪半径である。
S6:モータ回転速度制御モジュールは、S5で得られたPWM波をモータドライバに出力することにより、モータの回転速度を制御し、計算して得られた車輪速を達成し、実車の制御された結果をシミュレーションする。EPBシステムは車輪速センサが出力した結果に基づいて相応する機能を実行し、EPB機能の実行が完了し、車輪速が「0」に低下するまでS4~S6を繰り返す。
【0007】
さらに、前記モータドライバはステップサーボモータドライバであり、モータはサーボステップモータであり、上位コンピュータが入力する制御パラメータによりモータの運動は正確に制御される。
【0008】
さらに、前記サーボステップモータは数種のパルス入力モードを有し、モータドライバはモータの分割設定、入力エッジ及び方向を設定するためのディップスイッチを含む。
【0009】
さらに、車輪シミュレーションセットは4セット設けられ、4つのモータドライバが独立して制御する。
【0010】
さらに、EPBシステムはCANボードを介して上位コンピュータのソフトウェアと接続される。
【0011】
さらに、シミュレーションするとき、キャリパーが生成するブレーキ力と、理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力との大きさの関係を、車輪がロックに近いかどうかの判断条件とする。理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力は
Fmax=Φ Mg
であり、
式中、Φは地面摩擦係数;gは重力加速度である。
【0012】
さらに、工程S5において、出力する必要があるPWM波の周波数の計算公式は以下の通りである。
【0013】
【数2】
【0014】
式中、Rは車輪半径;fは入力パルス周波数;θはモータステップ角;mはモータ分割数:W歯車は歯車の周波数である。
【発明の効果】
【0015】
上記をまとめると、本発明は以下の有益な効果を有する。
上位コンピュータがモータを制御して歯車を回転させ、センサを利用して歯車の回転速度を測定し、実際の状況における車両の車輪速の収集をシミュレーションする。車輪速信号をEPBシステムの機能モジュールに送信し、システムは上位コンピュータがシミュレーションしたその他の信号をまとめて機能を実行し、さらに相応する情報を上位コンピュータに送信し、上位コンピュータはモータの回転速度に対する制御を更新する。試験はより安全で、安定し、高効率で実際の状況に近い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の全体構造の原理図である。
図2図2は、本発明における車輪シミュレーションセット部分の構造概要図である。
図3図3は、図2の側断面図である。
図4図4は、本発明のシミュレーション試験のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を組み合わせて、本発明の具体的な実施形態についてさらに説明する。本実施例は本発明を制限しない。
【0018】
EPBの後輪アンチロック機能試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置は、図1に示すように、上位コンピュータ、4組の車輪シミュレーションセット、及び車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムを含み、上位コンピュータはモータ回転速度制御モジュール、EPBに必要な信号のシミュレーションモジュール、目標車輪速計算モジュールを含む。
図1及び図2に示すように、1組の車輪シミュレーションセットはモータドライバ、モータ2、歯車3及び車輪速センサを含み、モータドライバはステップサーボモータドライバであり、モータ2の分割設定、入力エッジ及び方向を設定するためのディップスイッチを含む。モータ回転速度制御モジュールはモータドライバと接続され、モータ2はサーボステップモータで、数種のパルス入力モードを有し、モータドライバがモータ2を回転させる。モータドライバは各自独立して1つのモータドライバに制御され、上位コンピュータが入力する制御パラメータによりモータ2の運動は正確に制御される。
【0019】
図1に示すように、モータドライバはモータドライバのパラメータを設定し、設定周波数のPWM波を出力することにより、モータの回転速度を制御し、PWM波はデータ収集ボードを介してモータドライバに入力される。モータ2出力軸は接続棒21を介して歯車3と同軸で接続して歯車3を回転させ、車輪速センサが歯車3の回転速度に反応する。歯車3及び接続棒21の接続部分はネジにより補強され、さらに適当な減衰を提供し、これによりモータ2の振動現象を解消し、実際の状況をより良好にシミュレーションする。モータドライバはそれぞれLEDランプともつながり、モータドライバにエラー又は故障が生じたとき、警告を発することができる。
【0020】
図2に示すように、モータドライバは筐体1に取り付けられ、筐体1に隣接する2つの空洞が設けられる。1つの空洞には支持台によりモータドライバ及びモータ2が取り付けられ、もう1つの空洞には歯車3を収容し、4つの歯車3が筐体1の側面と平行な同一の垂直面に位置する。
【0021】
図2に示すように、筐体1は金属ケースであり、電源インターフェース、イネーブルスイッチを含む複数の外部インターフェースを有し、筐体1の底部は安定し、頂部は両側にそれぞれ1つの取っ手4を有する。電源インターフェースは電源と接続するのに用いられ、さらに電源アダプタにより必要な電源に変換してモータドライバに提供する。電源と接続した後、イネーブルスイッチボタンを押すと、電源がモータドライバに提供され、モータ2を駆動することができる。筐体1は、モータ2の正逆回転を制御するためのスイッチとも接続される。
【0022】
図3に示すように、筐体1の一側に放熱器5が取り付けられ、もう一側に通風口を有する。筐体1の頂部に車輪速センサを接続するための4つの貫通孔6が設けられ、4つの貫通孔6はそれぞれ4つの歯車3の上方に正対する。貫通孔6は上半分の配置孔及び円柱形の下半分を含み、上半分は下半分より横断面積がより大きい。境界部分は平らな台を有し、平らな台にネジ孔を有し、車輪速センサを配置及び固定するのに便利である。
【0023】
図3に示すように、4つの車輪速センサは垂直形式でそれぞれ4つの貫通孔6中に取り付けられ、車輪速センサの頭部は下に向く。貫通孔6は歯車3の上方の回転断面に正対し、車輪速センサ頂部の平面及び歯車3上方の回転断面は平行である。貫通孔6の下半分の深さは常用される車輪速センサにおけるヘッドの最短寸法に適合し、貫通孔6の平らな台部分にスペーサを追加するなど物理的方法により、より多くの型の車輪速センサに適合させる。
【0024】
図1に示すように、車輪速センサは接続したEPBシステムに出力する。測定されるEPBシステムはEPBキャリパーを含み、EPBキャリパーに圧力センサが設けられ、圧力センサはキャリパーのクランプ力を目標車輪速計算モジュールにフィードバックする。EPBシステムは、CANボードを介して上位コンピュータのソフトウェアと接続される。
【0025】
図1に示すように、EPBに必要な信号のシミュレーションモジュールは、車輪アンチロック機能を備えたEPBシステムに必要な各信号、例えば車両速度、地面摩擦係数、傾斜率など各パラメータのシミュレーションを完了し、さらにこれをEPBシステムに送信する。
【0026】
図1に示すように、目標車輪速計算モジュールは実車の試験結果を分析して生成されるシミュレーション公式及びシミュレーションパラメータに、圧力センサのフィードバック情報を組み合わせて目標車輪速を算出し、これをモータ回転速度制御モジュールに送信し、実際の車輪速に対する制御を完了する。
【0027】
図4に示すように、EPBの後輪アンチロック試験に用いる車輪速のシミュレーション及び収集装置の試験方法は、以下の工程を含む。
S1:上位コンピュータはモータドライバに各パラメータを設定し、さらに需要に応じてモータドライバのディップスイッチの設定を変更する。その後データ収集ボードを用いて上位コンピュータ及びモータドライバを接続し、初期車輪速及び各パラメータを入力する。モータ回転速度制御モジュールは設定周波数のPWM波を出力し、モータドライバを介してモータの初期回転速度を制御する。
S2:モータは歯車を回転させ、歯車の回転に設定した車輪半径を組み合わせて実際の車輪速をシミュレーションする。
S3:車輪速センサは歯車の回転速度を収集して、シミュレーション車輪速を得、これをEPBシステムに送信する。EPBスイッチを引き上げると、自動車がEPBを使用して緊急ブレーキを行うシミュレーションを開始し、EPBシステムは上位コンピュータが送信するその他のシミュレーション信号を組み合わせて、クランプ及びリリースを含む、相応する機能を実行する。本発明中のEPBシステムがどのようにして動作するかは、測定されるシステムにより決定する。
S4:圧力センサはEPBキャリパーの圧力を収集し、結果を目標車輪速計算モジュールに送信する。
S5:目標車輪速計算モジュールは計算公式、シミュレーションパラメータ、現在の車輪速、キャリパーのクランプ力を設定することにより、目標車輪速の計算を実現する。本発明で設定する必要があるシミュレーションパラメータは初期速度V、ブレーキ摩擦係数、車輪半径R、ブレーキディスクの作用半径r、車両総重量M、スリップ率s、地面摩擦係数Φを含む。
【0028】
理想条件、ブレーキ力はEPBキャリパーのみが提供する状況であり、そのシミュレーション車輪速の計算公式は以下の通りである。
【0029】
【数3】
【0030】
式中、aはブレーキ減速度;Fはブレーキ力;Vは設定した初期速度;Sはスリップ率;μはブレーキディスク摩擦係数;Pはブレーキディスクが受けた圧力;rはブレーキディスクの作用半径、r=(r+r)/2、rはブレーキディスク内径、rはブレーキディスク外径;Mは車両総重量;Rは車輪半径である。
目標車輪速計算モジュールは、車輪速及びモータの回転速度の対応関係に基づいて、必要なモータの回転速度を算出し、さらにモータ回転速度と、上位コンピュータが出力するPWM波周波数との間の関係に基づいて、上位コンピュータが出力する必要があるPWM波の周波数を算出し、これをモータ回転速度制御モジュールに送信する。
出力する必要があるPWM波の周波数の計算公式は以下の通りである。
【0031】
【数4】
【0032】
式中、Rは車輪半径;fは入力パルス周波数、θはモータステップ角、mはモータ分割数;W歯車は歯車の周波数である。
シミュレーションするとき、キャリパーが生成するブレーキ力と、理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力との大きさの関係を、車輪がロックに近いかどうかの判断条件とし、車輪がロックに近い状況下で、相応する車輪のブレーキ圧力は解放され、要求又は測定した車輪が再び加速する期間、一定に保持される。再び加速した後、次第にブレーキ圧力は増加し、アンチロック機能を実現して試験を行う。理論的に地面が生成することができる最大ブレーキ力は
Fmax=Φ Mg
であり、
式中、Φは地面摩擦係数;gは重力加速度である。
S6:モータ回転速度制御モジュールは、S5で得られたPWM波をモータドライバに出力することにより、モータの回転速度を制御し、計算して得られた車輪速を達成し、実車の制御された結果をシミュレーションする。EPBシステムは車輪速センサが出力した結果に基づいて相応する機能を実行し、EPB機能の実行が完了して、車輪速が「0」に低下するまでS4~S6を繰り返す。
【0033】
まとめると、上位コンピュータのソフトウェアがモータを制御して歯車を回転させ、センサを利用して歯車の回転速度を測定し、実際の状況における車両の車輪速の収集をシミュレーションする。車輪速信号をEPBシステム機能モジュールに送信し、システムは上位コンピュータがシミュレーションしたその他の信号をまとめて機能を実行する。さらに相応する情報を上位コンピュータに送信し、上位コンピュータはモータ回転速度に対する制御を更新し、EPB試験時の車輪速に対するシミュレーション及び収集を実現する。
【0034】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するのに用いられない。当業者は本発明の本質及び保護の範囲内で、本発明に対して各種修正又は同等の置換を行うことができ、この種の修正又は同等の置換も本発明の技術案の保護範囲内にあると見なすべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
2 モータ
21 接続棒
3 歯車
4 取っ手
5 放熱器
6 貫通孔
図1
図2
図3
図4