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特許7577777エネルギーマネジメントシステム、エネルギーマネジメント方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】エネルギーマネジメントシステム、エネルギーマネジメント方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20241028BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/38 120
H02J3/38 180
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023039933
(22)【出願日】2023-03-14
(65)【公開番号】P2024130291
(43)【公開日】2024-09-30
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三ッ本 憲史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏次
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 廣次
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0283888(US,A1)
【文献】特開2014-183699(JP,A)
【文献】特開2012-228043(JP,A)
【文献】国際公開第2011/142330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J13/00
G06Q50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクログリッドが、電力系統から電力供給を受ける系統連系モードか、または、前記電力系統から前記マイクログリッドへの電力供給が停止して当該マイクログリッドが自立運転を行う自立運転モードか、を識別するモード識別部と、
前記系統連系モード時に、当該系統連系モードが続いた場合および前記自立運転モードに切り替わった場合の前記マイクログリッド内の電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測する予測部と、
これらの予測に基づいて、前記系統連系モードおよび前記自立運転モードにおける前記マイクログリッドの設備運用計画を策定する計画部と、
前記設備運用計画に基づいて、前記系統連系モードであっても、前記自立運転モード時の前記マイクログリッドの運用に関する運用情報を表示部に表示する表示I/F部と、
前記電力需要に基づいて、所定時間先に前記自立運転モード時において前記マイクログリッドが自立運転可能な継続可能時間を算出する継続時間算出部と、を備え、
前記運用情報は、前記継続可能時間を含み、
前記継続時間算出部は、気象情報に基づいて停電時間を予測し、予測した前記停電時間までの時間を前記所定時間に設定する、エネルギーマネジメントシステム。
【請求項2】
前記運用情報は、前記自立運転モード時において負荷に電力供給できるまでの時間を含む、請求項に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項3】
前記運用情報は、前記自立運転モードにおける前記マイクログリッドの前記設備運用計画を含む、請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項4】
前記設備運用計画は、前記自立運転モード時において負荷に電力供給できるまでの時間を含む、請求項に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項5】
前記設備運用計画は、所定時間先に前記自立運転モードとなった場合における前記マイクログリッドの設備運用計画である、請求項に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項6】
前記計画部は、前記設備運用計画を定期的に更新し、
前記表示I/F部は、更新された前記設備運用計画に基づいて、前記運用情報を前記表示部に表示する、請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項7】
前記計画部は、運用者の任意のタイミングで前記設備運用計画を更新し、
前記表示I/F部は、更新された前記設備運用計画に基づいて、前記運用情報を前記表示部に表示する、請求項1に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項8】
エネルギーマネジメントシステムで実行されるエネルギーマネジメント方法であって、
モード識別部が、マイクログリッドが、電力系統から電力供給を受ける系統連系モードか、または、前記電力系統から前記マイクログリッドへの電力供給が停止して当該マイクログリッドが自立運転を行う自立運転モードか、を識別する工程、
予測部が、前記系統連系モード時に、当該系統連系モードが続いた場合および前記自立運転モードに切り替わった場合の前記マイクログリッド内の電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測する工程と、
計画部が、これらの予測に基づいて、前記系統連系モードおよび前記自立運転モードにおける前記マイクログリッドの設備運用計画を策定する工程と、
表示I/F部が、前記設備運用計画に基づいて、前記系統連系モードであっても、前記自立運転モード時の前記マイクログリッドの運用に関する運用情報を表示部に表示する工程と、
継続時間算出部が、前記電力需要に基づいて、所定時間先に前記自立運転モード時において前記マイクログリッドが自立運転可能な継続可能時間を算出する工程と、を含み、
前記運用情報は、前記継続可能時間を含み、
前記継続時間算出部は、気象情報に基づいて停電時間を予測し、予測した前記停電時間までの時間を前記所定時間に設定する、エネルギーマネジメント方法。
【請求項9】
コンピュータを、
マイクログリッドが、電力系統から電力供給を受ける系統連系モードか、または、前記電力系統から前記マイクログリッドへの電力供給が停止して当該マイクログリッドが自立運転を行う自立運転モードか、を識別するモード識別部と、
前記系統連系モード時に、当該系統連系モードが続いた場合および前記自立運転モードに切り替わった場合の前記マイクログリッド内の電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測する予測部と、
これらの予測に基づいて、前記系統連系モードおよび前記自立運転モードにおける前記マイクログリッドの設備運用計画を策定する計画部と、
前記設備運用計画に基づいて、前記系統連系モードであっても、前記自立運転モード時の前記マイクログリッドの運用に関する運用情報を表示部に表示する表示I/F部と、
前記電力需要に基づいて、所定時間先に前記自立運転モード時において前記マイクログリッドが自立運転可能な継続可能時間を算出する継続時間算出部と、して機能させ、
前記運用情報は、前記継続可能時間を含み、
前記継続時間算出部は、気象情報に基づいて停電時間を予測し、予測した前記停電時間までの時間を前記所定時間に設定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エネルギーマネジメントシステム、エネルギーマネジメント方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
平常時(系統連系)と、非常時(系統停電、自立運転)と、に切り替えが可能なマイクログリッドにおいて、平常時に、非常時の負荷予測を行い、非常時に蓄電池から電力供給が尽きないようにする等、蓄電池の運用を改善する技術が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-184682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクログリッドを構成する要素は蓄電池以外にもバイオガス等の発電機、太陽光発電等の再生可能エネルギーがあり、非常時にそれらを活用したマイクログリッドの運用のさらなる効率化、長時間にわたる電力供給が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエネルギーマネジメントシステムは、モード識別部と、予測部と、計画部と、表示I/F部と、継続時間算出部と、を備える。モード識別部は、マイクログリッドが、電力系統から電力供給を受ける系統連系モードか、または、電力系統からマイクログリッドへの電力供給が停止して当該マイクログリッドが自立運転を行う自立運転モードか、を識別する。予測部は、系統連系モード時に、当該系統連系モードが続いた場合および前記自立運転モードに切り替わった場合のマイクログリッド内の電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測する。計画部は、これらの予測に基づいて、系統連系モードおよび自立運転モードにおけるマイクログリッドの設備運用計画を策定する。表示I/F部は、設備運用計画に基づいて、系統連系モードであっても、自立運転モード時のマイクログリッドの運用に関する運用情報を表示部に表示する。継続時間算出部は、電力需要に基づいて、所定時間先に自立運転モード時においてマイクログリッドが自立運転可能な継続可能時間を算出する。運用情報は、継続可能時間を含む。継続時間算出部は、気象情報に基づいて停電時間を予測し、予測した停電時間までの時間を所定時間に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムを適用したマイクログリッドの一例を説明するための図である。
図2図2は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの役割の一例を説明するための図である。
図3図3は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの主要機能の一例を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の算出処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおいて表示される運用情報の一例を示す図である。
図7図7は、本実施の形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施の形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の表示処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施の形態にかかるエネルギーマネジメントシステム、エネルギーマネジメント方法、およびプログラムについて説明する。
【0008】
図1は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムを適用したマイクログリッドの一例を説明するための図である。本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、図1に示すように、平常時においては、電力系統から電力供給を受けて、マイクログリッド内の設備等に電力供給を行う。すなわち、平常時は、マイクログリッドが電力系統から電力供給を受ける系統連系モードである。
【0009】
また、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、図1に示すように、非常時においては、マイクログリッド内の発電機または蓄電池から、当該マイクログリッド内の設備等に電力供給を行う。すなわち、非常時は、電力系統からマイクログリッドへの電力供給が停止して当該マイクログリッドが自立運転を行う自立運転モードである。
【0010】
また、本実施形態にかかるマイクログリッドは、図1に示すように、非常時においては、マイクログリッド内の発電機または蓄電池から電力供給を行う負荷を特定負荷(例えば、避難所)に絞り、他の負荷は供給対象外として電力供給を行わないことも可能である。
【0011】
図2は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの役割の一例を説明するための図である。本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、以下の(1)~(3)の役割を有する。
(1)本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、電力の需要を予測しかつ設備運用計画を作成し、当該設備運用計画に基づいて、連系線のピークカットおよびピークシフトを行う。これにより、マイクログリッド内の蓄電池の枯渇を防ぎ、契約電力を守るようにマイクログリッドを運用でき、かつ昼夜の値差に応じて経済的なマイクログリッドの運用を実現できる。
【0012】
(2)本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムによれば、エネルギーの地産地消を促進することにより、再生エネルギーの余剰を無駄にせずに有効活用でき、かつ逆潮流の抑制も可能となる。(3)本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムによれば、自立運転モード時において、電力系統から切り離して自立運転が可能となる。
【0013】
図3は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの主要機能の一例を説明するための図である。本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、マイクログリッドにおける電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測し、当該予測結果に基づいて設備運用計画を策定し、当該設備運用計画に基づいて、マイクログリッドの運用を経済的に最適化する。
【0014】
具体的には、発電機の発電計画および蓄電池の充放電計画に基づいて、発電機および蓄電池を制御する。
【0015】
図4は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムの機能構成の一例を示す図である。本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムは、図4に示すように、モード識別部401、予測部402、データベース403、計画部404、制御部405、継続時間算出部406、および画面表示I/F部407を有する。
【0016】
データベース403は、マイクログリッドにおける電力需要および再生可能エネルギーの出力の予測に必要な情報、例えば、気象情報、マイクログリッドの電力需要の実績、再生可能エネルギーの出力実績等を記憶する。
【0017】
モード識別部401は、マイクログリッドが、系統連系モードか、または、自立運転モードかを識別するモード識別部の一例である。例えば、モード識別部401は、電力系統からマイクログリッドに電力供給が行われているか否か、マイクログリッドの入口に設けられかつ電力系統からの電力供給を遮断可能な遮断器の状態、オペレータからの入力等に基づいて、マイクログリッドが、系統連系モードか、または、自立運転モードかを識別しても良い。
【0018】
本実施形態では、予測部402は、データベース403に記憶される気象情報および電力需要の履歴等に基づいて、系統連系モード時におけるマイクログリッドの電力需要を予測するが、所定のタイミングで、自立運転モード時を想定したマイクログリッドの電力需要を予測する。すなわち、予測部402は、系統連系モード時に、当該系統連系モードが続いた場合および自立運転モードに切り替わった場合のマイクログリッド内の電力需要、および再生可能エネルギーの出力を予測する予測部の一例である。本実施形態では、予測部402は、系統連系モード時に、自立運転モード時のマイクログリッド内の負荷(例えば、特定負荷)から、再生可能エネルギーを減算した値を、自立運転モード時におけるマイクログリッドの電力の正味の需要として予測しても良い。
【0019】
計画部404は、予測部402による電力の正味の需要の予測結果に基づいて、自立運転モード時におけるマイクログリッドの設備運用計画(例えば、蓄電池の運転(充放電)計画)を策定する計画部の一例である。すなわち、計画部404は、電力需要および再生可能エネルギーの出力の予測結果に基づいて、系統連系モードおよび自立運転モードにおけるマイクログリッドの設備運用計画を策定する。例えば、計画部404は、予測部402による電力の正味の需要の予測結果に基づいて、自立運転モード時に負荷に必要な電力量(例えば、時間帯毎の正味の需要量)を算出しても良い。そして、計画部404は、算出された電力量に基づいて、蓄電池の運転計画を策定しても良い。
【0020】
また、計画部404は、自立運転モード時におけるマイクログリッドの設備運用計画を定期的に更新しても良い。また、計画部404は、系統連系モード時に、自立運転モードを想定したマイクログリッドの設備運用計画を定期的に更新しても良い。または、計画部404は、マイクログリッドの運用者の任意のタイミングで設備運用計画を更新しても良い。
【0021】
制御部405は、計画部404により策定される設備運用計画に基づいて、発電機や蓄電池を制御し、マイクログリッドの運用を実施する。
【0022】
継続時間算出部406は、予測部402による電力需要の予測結果に基づいて、自立運転モード時においてマイクログリッドが自立運転可能な継続可能時間(例えば、蓄電池の残量が運用下限になるまでの時間)を算出する継続時間算出部の一例である。継続時間算出部406は、所定時間N先(現在よりN時間先)に自立運転モードとなった場合における自立運転モードの継続可能時間を算出しても良い。ここで、所定時間Nは、予め設定された時間であり、例えば、計画停電が行われる停電時間までの時間であっても良い。本実施形態では、継続時間算出部406は、気象情報に基づいて、停電時間を予測し、当該停電時間に基づいて所定時間Nを設定しても良い。
【0023】
すなわち、継続可能時間は、マイクログリッドが今すぐ非常時(自立運転モード)になった場合の継続可能時間に限定されず、所定時間N後に非常時になった場合の継続可能時間であっても良い。その場合、継続時間算出部406は、所定時間N先までは、平常時の継続可能時間の予測を行い、所定時間N後から非常時の継続可能時間を算出する。例えば、継続時間算出部406は、気象情報に基づいて停電時間を予測し、予測した停電時間までの時間を所定時間Nに設定し、当該所定時間N後における継続可能時間を算出する。
【0024】
画面表示I/F部407は、計画部404により策定される設備運用計画に基づいて、系統連系モードであっても、自立運転モード時のマイクログリッドの運用に関する運用情報を表示部に表示する表示I/F部の一例である。また、画面表示I/F部407は、更新された設備運用計画に基づいて、運用情報を表示部に表示する。画面表示I/F部407は、系統連系モードにおける運用情報、および自立運転モードにおける運用情報を同時に表示しても良い。
【0025】
ここで、運用情報には、継続時間算出部406により算出される継続可能時間が含まれていても良い。これにより、マイクログリッドの運用者は非常用発電機の起動タイミングを把握したり、蓄電池を予め充電して継続可能時間を延ばしたりといった対応が可能となるので、非常時に電力供給をスムーズに行うことが可能となる。本実施形態では、継続可能時間を運用情報として表示する場合、画面表示I/F部407は、継続時間算出部406を経由して継続可能時間を取得して、当該取得した継続可能時間を含む運用情報を表示部に表示しても良い。また、計画停電等の場合は予め停電時間が決まっているため、画面表示される継続可能時間が停電時間より短い場合には、前述の対応を行うことで、計画停電の間に電力供給を継続でき、計画停電の影響を最小化できる。さらに、自立運転モードの継続可能時間が既に十分な場合には、余力(例えば蓄電池の充放電余力)を経済運用(例えば、電力の需要がピークとなる時間帯に蓄電池を放電、他のマイクログリッドに電力を供給)に回すなどの効率化につなげられる。
【0026】
また、運用情報には、自立運転モード時において負荷に電力供給できるまでの時間が含まれていても良い。例えば、運用情報には、自立運転モード時に、蓄電池を充電し、その後、当該蓄電池からマイクログリッドに給電できるまでの時間を含めても良い。
【0027】
また、運用情報は、自立運転モードにおけるマイクログリッドの設備運用計画を含んでいても良い。設備運用計画とは、例えば、蓄電池の充放電計画、再生可能エネルギーの出力抑制計画、需要の抑制計画(デマンドレスポンス)等である。例えば、設備運用計画は、自立運転モード時に、太陽光発電により蓄電池を充電し、その後、マイクログリッドに当該蓄電池から給電する計画であっても良い。本実施形態では、設備運用計画を運用情報として表示する場合、画面表示I/F部407は、継続時間算出部406を介さず、計画部404から、当該計画部404により策定された設備運用計画を直接取得して、当該設備運用計画を表示部に表示しても良い。
【0028】
ここで、設備運用計画は、自立運転モード時において負荷に電力供給できるまでの時間を含んでいても良い。また、設備運用計画は、所定時間N先に自立運転モードとなった場合におけるマイクログリッドの設備運用計画であっても良い。
【0029】
また、設備運用計画は、非常時の発電機の投入計画が入力された場合、当該非常用の発電機の投入計画に基づいて変更されても良い。この場合、設備運用計画は、非常時の発電機の投入計画が変更される毎に、それに伴い変更されても良い。また、設備運用計画は、非常時の負荷の範囲(例えば、避難所だけ)が入力された場合、非常時の負荷の範囲に基づいて変更されても良い。この場合も、設備運用計画は、非常時の負荷の範囲が変更される毎に変更されても良い。
【0030】
図5は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の算出処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、まず、予測部402が、系統連系モード時に、マイクログリッド内の特定負荷から、再生可能エネルギー(再エネ)を減算した値を、非常時(自立運転モード時)におけるマイクログリッドの正味の需要として予測する(ステップS501)。
【0031】
次いで、計画部404は、予測部402により予測されるマイクログリッドの正味の需要に基づいて、自立運転モード時におけるマイクログリッド内の蓄電池の設備運用計画を算出し、当該蓄電池の設備運用計画に基づいて、蓄電池のSOC(State Of Charge)の推移を求める(ステップS502)。さらに、継続時間算出部406は、蓄電池のSOCの推移に基づいて、継続可能時間を算出する(ステップS502)。そして、画面表示I/F部407は、算出した継続可能時間(自立運転可能時間)および非常時におけるマイクログリッドの正味の需要等を運用情報として表示部に表示する(ステップS503)。
【0032】
図6は、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおいて表示される運用情報の一例を示す図である。本実施形態では、画面表示I/F部407は、図6に示すように、1日における、マイクログリッドの潮流計画、予測部402により予測される需要、蓄電池の充放電計画、再生可能エネルギーの出力の予測値等を運用情報として表示部に表示しても良い。
【0033】
図7は、本実施の形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、まず、モード識別部401が、マイクログリッドが系統連系モードであるかを識別する(ステップS701)。マイクログリッドが系統連系モードではない場合(ステップS701:No)、予測部402は、自立運転モード時における電力需要および再生可能エネルギーの出力を予測する(ステップS702)。次いで、計画部404は、自立運転モード時における電力需要および再生可能エネルギーの出力の予測結果に基づいて、自立運転モード時の設備運用計画を策定する(ステップS703)。そして、画面表示I/F部407は、自立運転モード時の設備運用計画に基づいて、自立運転モード時におけるマイクログリッドの運用情報を表示部に表示する(ステップS704)。
【0034】
マイクログリッドが系統連系モードである場合(ステップS701:Yes)、予測部402は、系統連系モード時および自立運転モード時のそれぞれの電力需要および再生可能エネルギーの出力を予測する(ステップS705、ステップS706)。次いで、計画部404は、系統連系モード時の電力需要および再生可能エネルギーの出力の予測結果に基づいて、系統連系モードの設備運用計画を策定し、かつ自立運転モード時の電力需要および再生可能エネルギーの出力の予測結果に基づいて、自立運転モードの設備運用計画を策定する(ステップS707、ステップS708)。そして、画面表示I/F部407は、系統連系モードおよび自立運転モードのそれぞれの設備運用計画に基づいて、系統連系モード時および自立運転モード時のそれぞれにおけるマイクログリッドの運用情報を表示部に表示する(ステップS709)。
【0035】
図8は、本実施の形態にかかるエネルギーマネジメントシステムにおける運用情報の表示処理の流れの他の例を示すフローチャートである。以下の説明では、図7に示す処理と同様の処理については説明を省略する。
【0036】
本実施の形態では、マイクログリッドが系統連系モードでない場合に、自立運転モードの設備運用計画が策定されると(ステップS703)、継続時間算出部406は、自立運転モードの継続可能時間を算出する(ステップS801)。次いで、画面表示I/F部407は、継続可能時間を含む運用情報を表示部に表示する(ステップS802)。
【0037】
また、マイクログリッドが系統連系モードである場合に、自立運転モードの設備運用計画が策定されると(ステップS708)、継続時間算出部406は、自立運転モードの継続可能時間を算出する(ステップS803)。そして、画面表示I/F部407は、系統連系モード時の運用情報、および算出した継続可能時間を含む自立運転モード時の運用情報を表示部に表示する(ステップS804)。
【0038】
このように、本実施形態にかかるエネルギーマネジメントシステムによれば、マイクログリッドの運用者は非常用発電機の起動タイミングを把握したり、蓄電池を予め充電して継続可能時間を延ばしたりといった対応が可能となるので、非常時に電力供給をスムーズに行うことが可能となる。また、計画停電等の場合は予め停電時間が決まっているため、画面表示される継続可能時間が停電時間より短い場合には、前述の対応を行うことで、計画停電の間に電力供給を継続でき、計画停電の影響を最小化できる。さらに、自立運転の継続可能時間が既に十分な場合には、余力を経済運用に回すなどの効率化につなげられる。
【0039】
本実施形態のエネルギーマネジメントシステムは、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)、CDドライブ装置等の外部記憶装置と、ディスプレイ装置等の表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0040】
本実施形態のエネルギーマネジメントシステムで実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0041】
また、本実施形態のエネルギーマネジメントシステムで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のエネルギーマネジメントシステムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0042】
また、本実施形態のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。本実施形態のエネルギーマネジメントシステムで実行されるプログラムは、上述した各部(モード識別部401、予測部402、計画部404、制御部405、継続時間算出部406、および画面表示I/F部407)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU等のプロセッサの一例が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、モード識別部401、予測部402、計画部404、制御部405、継続時間算出部406、および画面表示I/F部407が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
401 モード識別部
402 予測部
403 データベース
404 計画部
405 制御部
406 継続時間算出部
407 画面表示I/F部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8