(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】マルチチャネルで、かつ気流が反転された、エアロゾル発生物品用マウスピース
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20241028BHJP
A24F 13/02 20060101ALI20241028BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20241028BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F13/02 A
A24F47/00
A61M15/06 C
(21)【出願番号】P 2023104669
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2021556263の分割
【原出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-07-27
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実公平04-029758(JP,Y2)
【文献】実公昭60-005825(JP,Y2)
【文献】実公昭58-004477(JP,Y2)
【文献】実公昭60-003752(JP,Y2)
【文献】欧州特許出願公開第02984952(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第01632721(DE,A1)
【文献】中国実用新案第205648916(CN,U)
【文献】中国実用新案第205987968(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
A24F13/00-13/30
A61M15/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用の二部品マウスピースであって、
前記
二部品マウスピースの中にエアロゾルが流れることを可能にするように構成された入口端と、
前記
二部品マウスピースの外に前記エアロゾルが流れることを可能にするように構成された出口端と、
前記入口端と前記出口端の間に延びるエアロゾル流路と、を有するハウジングを備え、
前記
二部品マウスピースは、前記エアロゾルの流れ方向が前記入口端と前記出口端の間で少なくとも1回反転されるように形成されていて、
前記
二部品マウスピースが外側部品および内側部品から形成されていて、前記外側部品が前記
二部品マウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成し、前記内側部品が、側壁、一つの開いた端面および一つの閉じた端面を有する中空管状形状を有し、前記内側部品が、出口端側から前記外側部品内に軸方向に挿入可能に構成されており、前記挿入された内側部品の前記側壁が、前記外側部品の前記管状外壁と前記中央内側チャネルとの間に位置付けられている、
二部品マウスピース。
【請求項2】
前記
二部品マウスピースの前記入口端が、前記
二部品マウスピースをエアロゾル発生装置に取り付けるように構成された接続部分を備える、請求項1に記載の
二部品マウスピース。
【請求項3】
前記外側部品が前記
二部品マウスピースの前記入口端を有する、請求項1又は2に記載の
二部品マウスピース。
【請求項4】
前記エアロゾル流路が複数の膨張チャンバーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項5】
前記エアロゾル流路が、同軸に配設された複数の管状チャネルを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項6】
前記
二部品マウスピースが、前記
二部品マウスピースの前記出口端から陥凹した空洞を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項7】
前記
二部品マウスピースがリング形状の出口端を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項8】
前記
二部品マウスピースが、前記入口端から延びる、かつ
エアロゾル流の方向に沿って半径方向に分岐する中央チャネルを備え、また前記
二部品マウスピースが、前記中央チャネルに対して同軸に配設されていて、かつ前記中央チャネルと流体連通している少なくとも二つの管状チャネルをさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項9】
エアロゾル流の方向が、
連続的に配設されたエアロゾル流チャネルの各々の間で反転される、請求項5~8に記載の
二部品マウスピース。
【請求項10】
前記
二部品マウスピースの前記外側部品と前記内側部品が、所定の寸法を有する
二部品マウスピースが得られるように、互いに係合する対応する相互係止構造を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項11】
前記相互係止構造が、前記
二部品マウスピースの前記外側部品と前記内側部品の向かい合った面に提供されている、一つ以上の、好ましくは三つのフィン、および一つ以上の、好ましくは三つの付け加えられたリング空洞を備える、請求項10に記載の
二部品マウスピース。
【請求項12】
前記相互係止構造間の接続が、前記内側部品と前記外側部品の制御された引き離しによって分解を容易にするように構成されている、請求項10~11のいずれか一項に記載の
二部品マウスピース。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置および
二部品マウスピースを備えるエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置および前記
二部品マウスピースが、前記
二部品マウスピースが前記エアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付け可能であるように、対応する接続部分を備える、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
二部品マウスピースを組み立てるための方法であって、
(a)外側部品を提供する工程であって、前記外側部品が前記
二部品マウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成する、工程と、
(b)内側部品を提供する工程であって、前記内側部品が、側壁、一つの開いた端面、および一つの閉じた端面を有する中空管状形状を有する、工程と、
(c)前記内側部品の前記側壁が前記中央内側チャネルと前記外側部品の前記管状外壁との間に位置するように、前記出口端側から前記外側部品の中に軸方向で前記内側部品を挿入する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品用のマウスピース、およびマウスピースとエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関し、またマウスピースを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、吸入可能なベイパーが異なるやり方で発生される、数多くの異なるエアロゾル発生システムが周知である。いわゆるeベイピング装置において、液体エアロゾル形成基体は、電気動力式加熱装置によって気化される。加熱非燃焼式装置において、タバコ材料を含有していてもよい固体エアロゾル形成基体は、加熱されるが燃焼されない。これらの加熱非燃焼式装置は、電気的に電力供給されていてもよい。また、燃焼または化学反応によって熱が発生される加熱非燃焼式システムもある。
【0003】
これらすべてのシステムにおいて、エアロゾル形成基体は発熱体によって気化され、その後エアロゾルが形成される。エアロゾル形成、特に液滴サイズ、総粒子状物質収率(TPM)、エアロゾル温度、またはエアロゾルの均質性は、エアロゾル形成基体の下流の空気の冷却、気圧などの複数の要因に依存する。エアロゾル形成はまた、温度、気圧、または湿度などの環境的条件に依存する。その結果、平均温度の変化および湿度レベルの変化は、エアロゾル発生システムにおけるエアロゾル化形成に影響を与える関連因子である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル発生を改善するためにエアロゾル発生システム用のマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【0005】
環境的条件または気候条件とは無関係に、エアロゾル発生システムが、最適化されたエアロゾル化に到達することを可能にする、エアロゾル発生システム用のマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【0006】
使用中にエアロゾル化特性に影響を与えるように、かつユーザーの好みを満たすように構成されてもよい調整可能なマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によると、エアロゾル発生物品用のマウスピースが提供されている。マウスピースは、エアロゾルがマウスピースの中に流れることを可能にするように構成された入口端と、エアロゾルがマウスピースの外に流れることを可能にするように構成された出口端とを有するハウジングを備える。エアロゾル流路は、入口端と出口端の間に延びる。マウスピースは、エアロゾルの流れ方向が入口端と出口端の間で少なくとも1回反転されるように形成されている。
【0008】
本発明のマウスピースは、エアロゾル発生装置のエアロゾル化点からマウスピースの出口に向かう気流の管理を可能にする。このようにして、最適な吸入条件を得てもよく、発生されたエアロゾルのあらゆる特徴(液滴サイズ、温度、または総粒子状物質収率など)を増進する。特定の気流管理経路は、軸方向および半径方向の気流方向に沿った膨張因子として複数の流体力学を使用する。
【0009】
マウスピースは、任意の所望の外側形状を有してもよい。有利なことに、マウスピースは、マウスピースが取り付けられるエアロゾル発生装置の外側形状に対応する外側形状を有する。例えば、マウスピースは管状または円筒状の外側形状を有してもよい。
【0010】
マウスピースのエアロゾル流路は、複数のチャネルを含んでもよい。エアロゾル流路の全長は、各個別のチャネルの長さの合計によって定義される。チャネルは、エアロゾル流路の全長がマウスピースの軸方向長さより大きくてもよいように配設されてもよい。それ故に、チャネルの特定の配設によって、概して直線状の気流チャネル一つのみを有する従来のマウスピースに対して気流経路の効果的な拡張が達成される。気流経路の延長は、エアロゾルの冷却および均質化を増進する。
【0011】
チャネルは管状チャネルであってもよい。管状チャネルは、マウスピース内に同軸に配設されてもよい。マウスピースの入口端は、マウスピースの中央の長軸方向軸上に沿って配設されている管状チャネルと直接的に流体接続してもよい。次いで気流経路は、一つ以上のさらに同軸に配設されたチャネルを通して継続してもよい。同軸に配設された管状チャネルの最も外側は、マウスピースの出口端と直接的な流体接続の状態にある。
【0012】
管状チャネルの同軸配設によって、マウスピースを通る、明確に定義された、かつ対称的な気流経路が提供される。こうした対称的な設計は、最適かつ再現可能な吸入条件を可能にする。
【0013】
マウスピースの実施形態において、複数のチャネルを通るエアロゾル流の方向は異なってもよい。複数のチャネルを通るエアロゾル流の方向は、各連続的に配設されたエアロゾル流チャネルの間で反転されてもよい。このようにして、エアロゾルは、入口端から出口端へとマウスピースを通して複数回案内され、これによって気流経路の著しい延長が達成される。
【0014】
マウスピースの気流経路内に、複数の膨張チャンバーが形成されてもよい。これらの膨張チャンバーは、二つの連続的に配置された管状チャネルの間の移行区域に形成されてもよい。膨張チャンバーは、気流体積を一時的に拡張することによって、かつ気流方向を反転させることによって、エアロゾル特性に影響を与える。このようにして、所望の粒子サイズを有する均質なエアロゾルが得られる場合がある。
【0015】
最も外側の管状チャネルは、マウスピースの出口端に延びてもよく、またマウスピースの環状またはリング形状の出口端を画定してもよい。
【0016】
マウスピースの出口端は、任意の他の所望の形態を有してもよく、またマウスピースの外壁によって形成されてもよい。マウスピースは、マウスピースの出口端から陥凹した空洞を備えてもよい。この空洞はまた、体積陥凹部として示されてもよい。こうした体積陥凹部は、気流経路の最終的な膨張チャンバーと見なされてもよい。その結果、体積陥凹部は、エアロゾルの均質化に寄与する場合があり、特にエアロゾルの冷却を容易にする場合がある。陥凹した出口は、マウスピースの出口端にてさらに強化されたエアロゾル化に到達することを可能にし、従って消費者の異なる知覚および満足度を可能にする場合がある。
【0017】
マウスピースは、入口端から延びる、かつエアロゾル流の方向に沿って半径方向に分岐する中央チャネルを備えてもよい。マウスピースは、中央チャネルに対して同軸に配設されている、かつ中央チャネルと流体連通している少なくとも二つの管状チャネルをさらに備えてもよい。これらの三つのチャネルを通るエアロゾル流れ方向は、連続的に配設された各エアロゾル流チャネルの間で反転されてもよい。その結果、中央チャネルにおいて、気流の方向は入口端から出口端に向かって通る。隣接する第二の管状チャネルにおいて、気流方向は反転され、出口から入口端に向かって通る。第二の管状チャネルの端にて、気流方向は再度反転され、これによって第三の管状チャネルにおいて、気流方向は再度出口端に向かって方向付けられる。第三の管状チャネルの端にて、エアロゾルはマウスピースから排出される。
【0018】
このようにして、エアロゾルは、入口端から出口端へとマウスピースを通して複数回案内され、これによって気流経路の著しい延長が達成される。
【0019】
マウスピースは、高分子材料などの任意の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料としては、食品グレードおよび/または医療グレードのポリマー化合物、特に熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPC-ET)、ポリオキシメチレン化合物(POM)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリル系マルチポリマー、生分解性ポリ乳酸(PLA)、または環状オレフィンコポリマー(COC)が挙げられる。
【0020】
マウスピースは、互いに軸方向に挿入されることができる少なくとも二つの主要部品から構築されてもよい。これらの二つの主要部品は、互いに軸方向に挿入された時、これらの二つの主要部品の間に気流経路が実施されるように形成されてもよい。
【0021】
マウスピースは外側部品および内側部品から形成されてもよい。外側部品は中央内側チャネルを形成してもよく、また同時にマウスピースの外壁を形成する管状外壁を備えてもよい。
【0022】
内側部品は、側壁、一つの開いた端面、および一つの閉じた端面を有する中空管状形状を有してもよい。内側部品は、内側部品の側壁が中央チャネルと外側部品の外壁との間に位置するようなやり方で、外側部品の中に軸方向に挿入されてもよい。このようにして、第二のチャネルが内側部品の側壁と中央チャネルとの間に形成されている。第三のチャネルは、内側部品の側壁と外側部品の外壁との間に実施される。それ故に、二つの部品が組み立てられた時、気流チャネルは、入口端から中央チャネルを通って、さらにマウスピースの出口端に向かって第二のチャネルおよび第三のチャネルを通って形成されている。この二部品構成は、気流経路の迷路様のコースを有するマウスピースの製造を容易にする。
【0023】
この二部品構成は、従来の、かつ周知のブロー成形プロセスによる個別の部品の製造を可能にする。こうしたプロセスは、本発明によるマウスピースを一体型の部品として製造するために必要とされる他の潜在的な製造技法よりも取り扱うのが便利である場合がある。
【0024】
外側部品は、マウスピースの入口端を備えてもよい。
【0025】
内側部品は、出口端側から外側部品の中に軸方向に挿入されてもよい。これは、外側部品がエアロゾル発生物品に取り付けられている状態で、内側部品が外側部品の中に挿入され、かつ外側部品から引っ込められることを可能にする。内側部品は、エアロゾル発生物品から外側部品を分解する必要なしに、外側部品の中に挿入されてもよく、また外側部品から引っ込められてもよい。これは、マウスピースの内側部品の簡単な交換を可能にする。これは、ユーザーにとって簡単な取り扱いを可能にする。
【0026】
マウスピースの二つの主要部品は、所定の寸法を有するマウスピースが得られうるように、組み立てに伴いに互いに係合する対応する相互係止構造を有してもよい。加えて、相互係止構造は、組み立てられた構成におけるマウスピースの維持を支援する。特に、使用中の不注意によるマウスピース分解を防止するなどの、相互係止構造が形成されている。
【0027】
相互係止構造は、マウスピースの主要部品の対向する表面に提供されている、一つ以上のフィンおよび一つ以上の付け加えられたリング空洞を備えてもよい。組み立てに伴い、一つの部品の表面上に提供された一つ以上のフィンの各々は、マウスピースのもう一方の部品の表面上に提供された対応する付け加えられたリング空洞と係合する。フィンは、内側部品の側壁の外表面に提供されてもよく、その一方で、付け加えられたリング空洞は、外側部品の外壁の内表面に提供されてもよい。
【0028】
組み立て後に二つの部品が、同軸に整列した位置にしっかりと保持されるように、相互係止構造は二つの部品の周囲の外側に均等に分布されてもよい。この目的のために、相互係止構造は、相互係止構造の一つ以上の組として提供されてもよい。各組は、同一の軸方向位置に提供されている、かつマウスピースの二つの主要部品の周囲の外側に均等に分布されている、三つ以上の相互係止構造から成ってもよい。各々の組が少なくとも三つの相互係止構造を備える、二組の相互係止構造を提供することによって、二つの主要部品は互いに対して所定の向きで確実に保持されることができる。
【0029】
相互係止構造を対応するフィンおよび付け加えられたリング空洞の形態で構成することによって、二部品マウスピースの、単純であるが信頼性の高い製造が可能になる。相互係止構造間の接続は、不注意によるマウスピース分解が防止されるように構成することができ、その一方で意図される分解は、二つの部品の制御された引き離しによって容易にされてもよい。
【0030】
相互係止構造は、二つの主要部品が互いに対して二つ以上の異なる軸位置で組み立てられてもよいように、相互係止構造の追加的な組を備えてもよい。例えば、外側部品は、内側部品に提供された二組のフィンと協働する、三組の付け加えられたリング空洞を備えてもよい。内側部品の二組のフィンが外側部品の付け加えられたリング空洞の第一の組および第二の組と係合し、これによって第一の構成を有するマウスピースが得られるようなやり方で、内側部品は外側部品の中に挿入されてもよい。別の方法として、内側部品は、内側部品の二組のフィンが外側部品の付け加えられたリング空洞の第二の組および第三の組と係合するように、挿入されてもよく、これによって第二の構成を有するマウスピースが得られる。第一の構成および第二の構成のマウスピース内に形成された気流チャネルの寸法は、互いに異なる。その結果、気流管理および全体的なエアロゾル化性能に関して調整可能な特徴を有するマウスピースが得られる。
【0031】
上記の実施例において、内側部品は、マウスピースの外側部品に対して二つの所定の軸方向位置に配設されてもよい。相互係止構造の追加的な組を提供することによって、外側部品に対して内側部品の追加的な所定の軸方向位置が確立されてもよい。このようにして、対応するマウスピースの汎用性をさらに向上することができる。
【0032】
内側部品を外側部品の中にどの程度深く挿入するかに応じて、マウスピースの出口端に形成される体積陥凹部のサイズは変化する場合がある。この体積陥凹部は、エアロゾルが消費者によって吸入される前の、最終的な膨張チャンバーとして作用する。それ故にこれは、マウスピースの全体的な均質化および冷却特性に寄与する。内側部品が外側部品の中に、少しだけ延びて挿入される場合、より小さい体積陥凹部が形成される。内側部品が外側部品の中に、大きく延びて挿入される場合、より大きい体積陥凹部が形成される。
【0033】
相互係止構造は、二つの主要部品が互いに対して二つ以上の異なる軸方向位置で組み立てられてもよいように、相互係止構造の追加的な組を備えてもよく、また内側部品は、出口端側から外側部品の中に軸方向に挿入されてもよい。これは、マウスピースがエアロゾル発生物品に取り付けられている組み立てられた状態で、二つ以上の軸方向位置の間で、マウスピースの内側の部品を再配置することを可能にする。これは、マウスピースの内側部品の簡単な再配置を可能にする。これは、ユーザーにとって簡単な取り扱いを可能にする。
【0034】
本発明のマウスピースは、任意の種類のエアロゾル発生装置、またはエアロゾル発生物品とともに使用してもよい。この点に関して、マウスピースの入口端は、こうしたエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品にマウスピースを取り付けるように構成された接続部分を備えてもよい。
【0035】
接続部分は、ユーザーがマウスピースをエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品に取り外し可能に取り付けることを可能にする任意の適切な機構を採用してもよい。例えば、接続部分はオス/メスカップリングとすることができる。オス/メスカップリングは、摩擦嵌めまたはぴったりと合う接続を提供するように構成されている、それに応じて形作られたカップリング要素であってもよい。
【0036】
摩擦嵌め接続は、互いに挿入されることができる、かつカップリング要素間の摩擦によって接続された位置に維持される、対応する形状を有するカップリング要素によって確立されてもよい。
【0037】
ぴったりと合う接続は、螺着した接合部を形成するねじ付き部分をカップリング要素に提供することによって得られてもよい。こうしたカップリング要素は、カップリング要素の90度の回転によって互いに素早くかつ確実に取り付けられる90度のオス/メス継ぎ手を含んでもよい。当然のことながら、より大きい回転角度を含むカップリング要素も採用されてもよい。オス/メスの螺着カップリングは、信頼性がある漏れのない接続を可能にし、またエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品へのマウスピースの密封締結を可能にする。
【0038】
接続部分は、医薬品または医療機器タイプのカップリングとして構成されてもよい。医薬品または医療機器タイプのカップリングは追加的に、発生したエアロゾルの完全性を増大する場合がある。
【0039】
本発明のさらなる態様において、上述の通りのマウスピースと、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。マウスピース、およびエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品は、マウスピースをエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品に取り外し可能に取り付けるための対応する接続部分を有する。エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品は、液体基体がエアロゾル化される、加熱非燃焼式製品(HNB)またはベイピングシステムを含むがこれらに限定されない現時点で使用可能なエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品のうちのいずれかとすることができる。
【0040】
本発明のさらなる態様において、マウスピースを組み立てるための方法が提供されている。方法は、外側部品がマウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成する、外側部品を提供することを含む。方法は、側壁、一つの開いた端面、および一つの閉じた端面を有する中空管状形状を有する、内側部品を提供することをさらに含む。マウスピースは、内側部品の側壁が中央チャネルと外側部品の外壁との間に位置するように、内側部品を外側部品の中に軸方向で挿入することによって得られる。
【0041】
マウスピースを形成するための方法で使用される内側部品および外側部品は、上述の通りの内側部品およびもう一方の部品に対応する場合がある。特に、これらの部品には、その組み立てに伴い、予め定義された寸法および予め定義された気流経路を有するマウスピースが得られるように、相互係止構造が提供されてもよい。
【0042】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0043】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】
図2は、本発明による二部品マウスピースを示す。
【
図3】
図3は、
図1のマウスピースの出口端の立体図および平面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1のマウスピースを有するエアロゾル発生装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1において、本発明によるマウスピース10が図示されている。マウスピースは管状形状であり、また入口端12と出口端14の間に気流経路20を画定する。
図1において、入口端12は、マウスピース10の左側に提供されていて、かつマウスピース10をエアロゾル発生装置に接続するための接続部分16が提供されている。出口端14は、マウスピース10の反対側の端に提供されていて、かつユーザーによって吸入のために口の中に入れられるように構成されている。
【0046】
入口端12と出口端14の間の気流経路20は、エアロゾルが出口端14でマウスピース10を出る前に気流方向が2回反転するように配設されている、複数の同心で、かつ同軸に配設された管状チャネル22、23、24を備える。
【0047】
マウスピース10は、入口端12から延びる、かつマウスピースの出口端14に向かって延びる中央チャネルを備える。中央チャネル22は、エアロゾル流の方向に沿って半径方向に分岐する。言い換えれば、中央チャネル22の直径は、エアロゾル流の方向に沿って増大する。中央チャネル22の端にて、エアロゾルの流れ方向は反転され、またエアロゾルは、マウスピース10の入口端12に向かって、同軸に配置された中間管状チャネル23を通してさらに案内される。中間チャネル23の端にて、エアロゾルの流れ方向は再度反転され、またエアロゾルは、同軸に配設された外側管状チャネル23を通して、マウスピース10の出口端14に向かって案内される。エアロゾルは最終的に、消費者による吸入のために出口端14を通して排出される。
【0048】
本発明の設計では、マウスピース10を通る気流経路20の長さは、熱エネルギーを消散するための追加的な時間が得られるように、効果的に延ばされる。加えて、膨張チャンバー25、26は、連続的なチャネル22、23、24の間の反転点に形成されている。これらの膨張チャンバー25、26は、エアロゾルの冷却および均質化を支援する。マウスピース10の出口端にある陥凹部27はまた、エアロゾルの冷却および均質化を支援する膨張チャンバーとして作用する。陥凹部27は、出口端にあるマウスピース10の内壁の一部と、出口端にある開口よりもさらに後方に設定されている端面46とによって画定されてもよい。膨張チャンバーは、出口端にあるマウスピース10の内壁の一部と、端面46と、出口端にある開口とによって画定されてもよい。
【0049】
マウスピース10の迷路様の気流経路20は、
図2Aに示す通りの二つの部品からマウスピース10を製造することによって適切に得られる。マウスピース10の第一の部品または外側部品30は、
図2aの左側に図示されていて、また入口32、接続部分34、中央チャネル22、マウスピース10の管状外壁36を画定する。マウスピース10の内側部品40は、概してU字形状である。これは、側壁42、一つの開いた端面44、および一つの閉じた端面46を有する中空管状形状を有する。内側部品40は、その開放端44でマウスピース10の外側部30の中に軸方向に挿入されることができるように形成されている。完全に組み立てられた時、内側部品40の側壁42は、中央チャネル22と外側部品30の外壁36との間に位置する。
【0050】
マウスピース10の二つの主要部品30、40は、マウスピース10が完全に組み立てられた時に互いに係合する、対応する相互係止構造50を有する。相互係止構造50は、ユーザーの体験中に、完全に組み立てられた構成でマウスピース10を維持するように形成されている。相互係止構造50は、所定の寸法を有するマウスピース10が得られることをさらに確実にする。
【0051】
図2に図示する実施形態において、マウスピース10の内側部品40は、内側部品40の側壁42の外周に提供された突出するフィン52を備える。外側部品30は、外側部品30の外壁36の内表面38に提供されている、対応する付け加えられたリング空洞54を備える。完全に組み立てられた状態において、
図2Bに図示された通り、内側部品40の突出するフィン52は、もう一方の部品30の付け加えられたリング空洞54と係合する。マウスピース10の内側部品40および外側部品30は各々、互いに軸方向に離隔した、二組のフィン52A、52Bおよび二組の付け加えられたリング空洞54A、54Bをそれぞれ備える。各組のフィン52A、52Bは、内側部品30の側壁36の周囲の外側に等距離で分布されている、三つ以上のフィン52から成る。それに応じて、付け加えられたリング空洞の各組54A、54Bは、外側部品30の外壁36の内表面38上に等距離で分布されている、三つ以上の付け加えられたリング空洞54から成る。
【0052】
図3は、本発明によるマウスピース10の斜視図および側面図を示す。
図3Aの斜視図において、マウスピース10の管状の全体的な形状、および内側部品40の閉じた端面46の球状形状が分かる。
図3Bの側面図は、等距離で分布された三つの要素から成る相互係止構造50の組の円周方向分布を示す。
【0053】
図4は、
図3のマウスピースの修正に関し、マウスピース10の外側部品30は、三組の付け加えられたリング空洞54を備える。マウスピース10は、二組のフィン52A、52Bが、付け加えられたリング空洞の第一の組54Aおよび第二の組54Bと係合し、内側部品40が可能な限り奥まで外側部品30の中に挿入されている、
図4Aのいずれかに従って組み立てられてもよい。別の方法として、二組のフィン52A、52Bはまた、
図4Bに示す通り、付け加えられたリング空洞の第二の組54Bおよび第三の組54Cと係合してもよい。後者の構成において、内側部品40は、外側部品30の中により少ない程度まで挿入されていて、その結果として、マウスピース10内の膨張チャンバー25、26が拡大されている。どの修正が選ばれるかに応じて、マウスピース10は、異なる空気管理特性を示し、かつ異なるエアロゾル化結果をもたらす。ユーザーは、環境的条件または個人的な好みに応じて、適切な修正を選んでもよい。
【0054】
図に図示されたマウスピース10の部品30と部品40の両方は、適正製造基準の下で使用される食品グレードのポリマー化合物を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーから形成されている。
図5は、マウスピースの内側部および外側部を再び示し、また下記の表1には、
図5に示された寸法の選好的な範囲が列挙されている。
【表1】
【0055】
図6は、上述の通りのエアロゾル発生装置60とマウスピース10とを備える、エアロゾル発生システム100を示す。エアロゾル発生装置60は、電源64、制御電子機器66、エアロゾル形成基体68、およびエアロゾル発生ユニット70を有するハウジング62を備える。エアロゾル発生ユニット70は、エアロゾル発生装置60の一方の端に提供されているエアロゾル形成チャンバー72を含む。エアロゾル発生装置60のこの端は、上述の通りのマウスピース10を接続することができる接続部分74をさらに備える。マウスピース10がエアロゾル発生装置60に接続されている時、マウスピース10を通したエアロゾル形成チャンバー72からの気流経路20が確立されている。ユーザー体験中に、ユーザーは、エアロゾル形成チャンバー72の中に作り出されたエアロゾルを、マウスピース10を通して吸入してもよい。