(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】コンタクトセンタシステム、受付チャネル付加装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/523 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H04M3/523
(21)【出願番号】P 2023177551
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 開催日 令和5年9月12日 集会名、開催場所 G-Summit Japan 2023 会場展示エリア デモンストレーション 浜松町コンベンションホール 5F(東京都港区浜松町2丁目3-1 日本生命浜松町クレアタワー) ジェネシスクラウドサービス株式会社 主催 <資 料> G-Summit Japan 2023 開催要項 <資 料> デモンストレーション配布資料
(73)【特許権者】
【識別番号】501435901
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 憲作
(72)【発明者】
【氏名】松林 誠二
(72)【発明者】
【氏名】長尾 隆史
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-22546(JP,A)
【文献】特開2001-298544(JP,A)
【文献】特開2002-209020(JP,A)
【文献】特開2013-232698(JP,A)
【文献】特開2011-103685(JP,A)
【文献】特開2009-212942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/523
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、前記待ち行列にキューイングされた呼を前記音声応答装置から応答可能な
着信者の着信者端末に分配する呼分配部と、
第1のデータ通信により
発信者の発信者端末から
着信者とのコミュニケーションの要求を受信した場合に、前記呼分配部に発呼する受信制御部と、
前記受信制御部が発呼した呼が前記呼分配部により前記着信者端末に分配された場合に、
前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間
で前記発信者と前記着信者とがコミュニケーションを行うため第2のデータ通信を開始する接続制御部と、
を備えるコンタクトセンタシステム。
【請求項2】
前記受信制御部は、記憶部に記憶された選択情報に基づいて、公衆交換電話網のプロトコルとSIP(Session Initiation Protocol)とのいずれのプロトコルを用いて発呼するかを切り替える、
請求項1に記載のコンタクトセンタシステム。
【請求項3】
前記受信制御部は、前記発信者端末からウェブ又はチャットを用いて送信された前記
着信者とのコミュニケーションの要求を受信する、
請求項1に記載のコンタクトセンタシステム。
【請求項4】
前記接続制御部は、呼が分配された前記着信者端末
へ前記着信者により応答
が入力された場合に、所定の種類のデータを送受信する
前記第2のデータ通信、又は、前記着信者端末に入力された指示に応じた種類のデータを送受信する
前記第2のデータ通信を
前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間で開始する、
請求項1に記載のコンタクトセンタシステム。
【請求項5】
前記接続制御部は、前記発信者端末におけるウェブの閲覧履歴の情報を取得し、前記受信制御部が発呼した前記呼が分配された前記着信者端末に送信する、
請求項1に記載のコンタクトセンタシステム。
【請求項6】
着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、前記待ち行列にキューイングされた呼を前記音声応答装置から応答可能な
着信者の着信者端末に分配する呼分配システムと接続される受付チャネル付加装置であって、
第1のデータ通信により
発信者の発信者端末から
着信者とのコミュニケーションの要求を受信した場合に、前記呼分配システムに発呼する受信制御部と、
前記受信制御部が発呼した呼が前記呼分配システムにより前記着信者端末に分配された場合に、
前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間
で前記発信者と前記着信者とがコミュニケーションを行うため第2のデータ通信を開始する接続制御部と、
を備える受付チャネル付加装置。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項6に記載の受付チャネル付加装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトセンタシステム、受付チャネル付加装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Web(ウェブ)技術の発展により、インターネットは広くサービス提供の基盤として活用されている。このため、顧客からの問い合わせ数が増加し、サービス提供企業は電話以外にチャットやWebといったオムニチャネルからの問い合わせに対応する必要がある。例えば、Webブラウザに表示されるアイコンをクリック等することにより、ユーザが所望する事業所のオペレータとの間で音声通話とビデオ通信のセッションを確立する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、電話やウェブなどの受付チャネルごとにシステムが分離しているため、コンタクトセンタでは、チャネルごとに担当者を配置する必要があった。従って、オペレータ人材の確保と運用コストの増大に課題がある。また、システムごとに操作方法が異なるため、オペレータ業務に関する学習コストがかかるという課題もある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、コンタクトセンタにおいて複数種類のチャネルからの問い合わせを受け付けることができるコンタクトセンタシステム、受付チャネル付加装置、及び、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、前記待ち行列にキューイングされた呼を前記音声応答装置から応答可能な着信者の着信者端末に分配する呼分配部と、第1のデータ通信により発信者の発信者端末から着信者とのコミュニケーションの要求を受信した場合に、前記呼分配部に発呼する受信制御部と、前記受信制御部が発呼した呼が前記呼分配部により前記着信者端末に分配された場合に、前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間で前記発信者と前記着信者とがコミュニケーションを行うため第2のデータ通信を開始する接続制御部と、を備えるコンタクトセンタシステムである。
【0007】
本発明の一態様は、上述のコンタクトセンタシステムであって、前記受信制御部は、記憶部に記憶された選択情報に基づいて、公衆交換電話網のプロトコルとSIP(Session Initiation Protocol)とのいずれのプロトコルを用いて発呼するかを切り替える。
【0008】
本発明の一態様は、上述のコンタクトセンタシステムであって、前記受信制御部は、前記発信者端末からウェブ又はチャットを用いて送信された前記着信者とのコミュニケーションの要求を受信する。
【0009】
本発明の一態様は、上述のコンタクトセンタシステムであって、前記接続制御部は、呼が分配された前記着信者端末へ前記着信者により応答が入力された場合に、所定の種類のデータを送受信する前記第2のデータ通信、又は、前記着信者端末に入力された指示に応じた種類のデータを送受信する前記第2のデータ通信を前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間で開始する。
【0010】
本発明の一態様は、上述のコンタクトセンタシステムであって、前記接続制御部は、前記発信者端末におけるウェブの閲覧履歴の情報を取得し、前記受信制御部が発呼した前記呼が分配された前記着信者端末に送信する。
【0011】
本発明の一態様は、着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、前記待ち行列にキューイングされた呼を前記音声応答装置から応答可能な着信者の着信者端末に分配する呼分配システムと接続される受付チャネル付加装置であって、第1のデータ通信により発信者の発信者端末から着信者とのコミュニケーションの要求を受信した場合に、前記呼分配システムに発呼する受信制御部と、前記受信制御部が発呼した呼が前記呼分配システムにより前記着信者端末に分配された場合に、前記呼が分配された前記着信者端末と前記発信者端末との間で前記発信者と前記着信者とがコミュニケーションを行うため第2のデータ通信を開始する接続制御部と、を備える受付チャネル付加装置である。
【0012】
本発明の一態様は、コンピュータを、上述の受付チャネル付加装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、コンタクトセンタにおいて複数種類のチャネルからの問い合わせを受け付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態のオムニチャネルコンタクトセンタシステムの構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態によるCTIシステムの構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態による受付チャネル付加装置の構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態による利用者端末の構成例を示す図である。
【
図5】同実施形態によるCTIシステムの動作例を示すフロー図である。
【
図6】同実施形態によるオムニチャネルコンタクトセンタシステムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図7】同実施形態によるオムニチャネルコンタクトセンタシステムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図8】同実施形態による受付チャネル付加装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態のオムニチャネルコンタクトセンタシステムは、電話からのアクセスを受ける従来のCTI(Computer Telephony Integration)システムに、Webからのアクセスを受けるための受付チャネル付加装置を接続した構成である。これにより、従来のCTIシステムを改修することなく、又は、少ない工数の改修を行うのみで、電話導線の受付チャネルに、WebやチャットなどのWeb導線の受付チャネルを追加する。本実施形態のオムニチャネルコンタクトセンタシステムは、従来のCTIシステムが有するACD(Automatic Call Distributor:着信呼自動分配)機能を利用して、電話と、電話以外の受付チャネルとの通信待ち行列を一元的に管理する。また、顧客応対においては、従来は、センタ側のオペレータ(受信者)がエンドユーザ(発信者)の要件を最初からヒアリングする必要があり、応対時間が短縮できないという課題があった。本実施形態では、コンタクトセンタのオペレータが顧客応対を行う際に、エンドユーザの用件を最初からヒアリングする必要がないよう、オペレータの端末でエンドユーザのWeb利用状況を参照可能とする。これにより、オペレータ応対開始後の平均応対時間(AHT:Average Handling Time)の短縮を図る。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるオムニチャネルコンタクトセンタシステム1の構成例を示す図である。例えば、コンタクトセンタを有する企業や団体等が、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1を利用する。エンドユーザである利用者は、電話機50や利用者端末60によりコンタクトセンタに問い合わせ等を行う。
【0017】
電話機50は、固定電話や、電話機能により発呼する携帯電話やスマートフォンなどである。電話機50は、電話導線によりオムニチャネルコンタクトセンタシステム1に接続する。利用者端末60は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末など、IP(Internet Protocol)を用いたデータ通信を行うコンピュータ装置である。利用者端末60は、WebやチャットなどのWeb導線により、インターネットなどのネットワークNを介してオムニチャネルコンタクトセンタシステム1にアクセスする。
【0018】
オムニチャネルコンタクトセンタシステム1は、CTIシステム10と、受付チャネル付加装置40とを有する。CTIシステム10として、従来技術のCTIシステムを利用することができる。CTIシステム10は、ACD機能を有する。CTIシステム10は、ACD機能により、着信した呼をIVR(自動音声応答)装置に接続して待ち行列にキューイングし、空きのオペレータ端末30に分配する。
【0019】
受付チャネル付加装置40は、CTIシステム10にWeb導線の受付チャネルを追加する。受付チャネル付加装置40は、利用者端末60からWeb導線によりコンタクトセンタへの接続要求を受けると、CTIシステム10の電話番号を着信番号に用いて呼制御機能により発呼する。受付チャネル付加装置40からCTIシステム10に着信した呼は、電話機50から着信した呼と同様に、ACD機能によりIVR装置へ接続して待ち行列に入れられ、空きのオペレータ端末30に分配される。オペレータ端末30が分配された呼に応答すると、受付チャネル付加装置40は、接続制御機能により、オペレータ端末30と利用者端末60との間のIP音声通話、又は、映像通話を開始する。例えば、IP音声通話のプロトロルには、SIP(Session Initiation Protocol)などのIP電話プロトコルやWebRTCが用いられる。また、例えば、映像通話のプロトロルには、WebRTCが用いられる。
【0020】
図2は、CTIシステム10の構成例を示す図である。
図2では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。CTIシステム10は、接続制御システム20と、1台以上のオペレータ端末30とを有する。接続制御システム20は、呼制御装置21と、ACD装置22とを備える。なお、呼制御装置21とACD装置22とは、統合された装置でもよい。
【0021】
呼制御装置21は、呼を制御する。呼制御装置21は、例えば、PBX(構内交換機)である。呼制御装置21は、呼制御プロトコルとして、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)プロトコル、IP電話プロトコル又はWebRTCを用いる。
【0022】
ACD装置22は、呼分配部23と、IVR装置24と、アプリ起動部25と、記憶部26とを備える。なお、IVR装置24は、ACD装置22の外部装置でもよい。
【0023】
呼分配部23は、ACD機能を有する。呼分配部23は、コンタクトセンタへ着信した呼をIVR装置24に接続し、呼を待ち行列にキューイングする。呼分配部23は、オペレータ端末30が空き状態となり、応答可能になった場合、待ち行列にキューイングされている呼の接続先をIVR装置24から、応答可能となったオペレータ端末30に転送する。IVR装置24は、自動応答装置であり、トーキー、すなわち、音声によるガイダンスを提供する。アプリ起動部25は、オペレータ端末30から通話ピックアップなどの所定の呼処理イベントの発生が通知された場合に、又は、オペレータ操作によるアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」と記載)の起動指示をオペレータ端末30から受信した場合に、アプリの起動を要求する。記憶部26は、各種データを記憶する。例えば、記憶部26は、各オペレータ端末30の状態を表す状態情報を記憶する。
【0024】
オペレータ端末30は、電話通信部31と、データ通信部32と、制御部33と、音声入出力部34と、操作入力部35と、表示部36と、撮像部37とを有する。オペレータ端末30は、例えば、電話機とコンピュータ端末とにより実現してもよい。
【0025】
電話通信部31は、電話のプロトコルによる通信を行う。データ通信部32は、IPによるデータの通信を行う。制御部33は、電話通信部31又はデータ通信部32が受信した信号、あるいは、操作入力部35により入力された指示に従って各部を制御する。例えば、制御部33は、操作入力部35によりアプリの起動指示が入力されると、接続制御システム20にアプリ起動指示を送信する。また、制御部33は、オペレータが操作入力部35により入力した指示により指定されたデータや、受付チャネル付加装置40から受信したデータを表示部36に表示する。音声入出力部34は、例えば、マイク及びスピーカであり、音声の入力及び出力を行う。操作入力部35は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルに配されたタッチセンサ、ボタンなど、オペレータによる操作を入力するためのインタフェースである。表示部36は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置であり、各種データを表示する。撮像部37は、映像を撮影するカメラである。
【0026】
図3は、受付チャネル付加装置40の構成例を示すブロック図である。受付チャネル付加装置40は、受信制御部41と、呼制御部42と、接続制御部43と、記憶部44とを有する。受信制御部41は、ネットワークNを介した利用者端末60との間の接続を制御する。呼制御部42は、受信制御部41が利用者端末60からWeb導線によりコンタクトセンタへの接続要求を受けた場合に、コンタクトセンタの電話番号を着信番号に用いて発呼し、CTIシステム10に着信する。接続制御部43は、オペレータ端末30との間の接続を制御する。接続制御部43は、ACD装置22のアプリ起動部25からの指示を受けて映像通話用のアプリを起動し、オペレータ端末30と利用者端末60との間の映像通話を開始する。記憶部44は、各種データを記憶する。
【0027】
図4は、利用者端末60の構成例を示すブロック図である。
図4では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。利用者端末60は、通信部61と、制御部62と、操作入力部63と、表示部64と、音声入出力部65と、撮像部66とを有する。なお、利用者端末60は、撮像部66を有さなくてもよい。
【0028】
通信部61は、ネットワークNを介して他の装置とデータを送受信する。制御部62は、通信部61が他の装置から受信した信号や、利用者が操作入力部63により入力した指示に従って各部を制御する。操作入力部63は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルに配されたタッチセンサ、ボタンなど、利用者による操作を入力するためのインタフェースである。表示部64は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置であり、各種データを表示する。音声入出力部65は、例えば、マイク及びスピーカであり、音声の入力及び出力を行う。撮像部66は、映像を撮影するカメラである。
【0029】
続いて、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作例を説明する。まず、利用者が電話機50からコンタクトセンタへ電話をかけた場合について説明する。
【0030】
図5は、電話導線による呼を受けた場合のCTIシステム10の動作例を示すフロー図である。利用者は、電話機50からコンタクトセンタの外線電話の電話番号を着信番号に用いて発呼する。CTIシステム10の呼制御装置21は、電話機50から起動された呼を受けると、着信番号により特定される着信先であるACD装置22に着呼を通知する。ACD装置22の呼分配部23は、電話機50からの着呼があると(ステップS101:YES)、呼をIVR装置24に接続する(ステップS102)。IVR装置24は、電話機50にトーキーを流す。
【0031】
ACD装置22の呼分配部23は、着信した呼の接続先となり得るオペレータ端末30のグループ(以下、オペレータグループと記載)を所定の条件に基づいて決定する(ステップS103)。呼分配部23は、オペレータグループに対応した応答待ち行列に呼をキューイングする(ステップS104)。
【0032】
呼分配部23は、記憶部26の状態情報を参照し、オペレータグループに応答可能な状態のオペレータ端末30があるか否かを判断する(ステップS105)。応答可能な状態は、例えば、空き状態である。呼分配部23は、応答可能なオペレータ端末30があると判断した場合(ステップS105:YES)、ステップS104において応答待ち行列にキューイングした呼を取りだし、応答可能なオペレータ端末30に呼び出しを指示する(ステップS106)。
【0033】
呼び出し指示を受けたオペレータ端末30の電話通信部31は、呼の着信を音声入出力部34からの音声の出力や表示部36への表示によりオペレータに通知する。オペレータが操作入力部35により通話ピックアップを入力すると、電話通信部31は通話ピックアップを接続制御システム20に通知する。呼制御装置21の呼分配部23は、ステップS106において取り出した呼の接続先をIVR装置24から、通話ピックアップを送信したオペレータ端末30に切り替え、電話機50とオペレータ端末30とを通話状態とする(ステップS107)。呼分配部23は、記憶部26に記憶されている状態情報に、通話状態となったオペレータ端末30が通話中状態である旨を書き込む。CTIシステム10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0034】
一方、呼分配部23において、オペレータグループに応答可能な状態のオペレータ端末30がないと判断された場合(ステップS105:NO)、CTIシステム10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0035】
接続制御システム20の呼分配部23は、いずれかのオペレータ端末30から応答可能の通知を受ける(ステップS101:NO、ステップS108:YES)。例えば、オペレータ端末30の電話通信部31は、通話が終了し、空き状態となった場合などに応答可能を通知する。呼分配部23は、応答可能を通知したオペレータ端末30が応答可能である旨により、記憶部26の状態情報を更新する。呼分配部23は、応答可能を通知したオペレータ端末30が属しているオペレータグループの応答待ち行列に呼があるか否かを判断する(ステップS109)。応答待ち行列に呼がないと判断された場合(ステップS109:NO)、CTIシステム10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0036】
呼分配部23は、応答待ち行列に呼があると判定した場合(ステップS109:YES)、その応答待ち行列から呼を一つ取り出す(ステップS110)。応答待ち行列にキューイングされているいずれの呼を取り出すかの条件は任意とすることができる。例えば、呼分配部23は、最も早く応答待ち行列にキューイングされた呼を選択してもよい。
【0037】
CTIシステム10は、ステップS107と同様の処理を行い、応答可能を通知したオペレータ端末30に、取り出した呼を接続する(ステップS111)。すなわち、呼分配部23は、応答可能を通知したオペレータ端末30に呼び出しを指示する。呼び出し指示を受けたオペレータ端末30は、呼の着信をオペレータに通知する。オペレータが通話ピックアップを入力すると、オペレータ端末30は、接続制御システム20に通知する。呼制御装置21の呼分配部23は、ステップS110において応答待ち行列から取り出した呼の接続先をIVR装置24から、通話ピックアップを通知したオペレータ端末30に切り替え、電話機50とオペレータ端末30とを通話状態とする。呼分配部23は、記憶部26に記憶されている状態情報に、通話状態となったオペレータ端末30が通話中状態である旨を書き込む。CTIシステム10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0038】
CTIシステム10は、呼の着信や応答可能通知以外のイベントが発生した場合(ステップS101:NO、ステップS108:NO)、発生したイベントの種類に応じた処理を行う(ステップS112)。例えば、オペレータがオペレータ端末30の操作入力部35によりアプリの起動指示を入力すると、制御部33はアプリ起動指示を接続制御システム20に送信する。呼制御装置21のアプリ起動部25は、オペレータ端末30から受信したアプリ起動指示により指示されたアプリを起動する。CTIシステム10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0039】
なお、ステップS112におけるアプリの起動後、オペレータは、オペレータ端末30の操作入力部35によりアプリに対する指示を入力し、アプリ起動部25により起動されたアプリはオペレータ端末30から受信した指示に従って動作する。また、オペレータ端末30の制御部33は、アプリから受信したデータを表示部36に表示する。
【0040】
続いて、利用者が利用者端末60からコンタクトセンタへ問い合わせを行う場合のオムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作を説明する。まず、
図6を用いて、CTIシステム10が電話のプロトコルにPSTNを用いる場合について説明する。
【0041】
図6は、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作を示すシーケンス図である。利用者端末60の通信部61は、利用者が操作入力部63により入力した指示に従って、ネットワークNを介して図示しないWebサーバに接続する。制御部62は、接続先のWebサーバから受信したWebページを表示部64に表示する。利用者は、Webページを閲覧し、オペレータへの問い合わせを希望する場合、Webページに埋め込まれているオペレータ問い合わせボタンを操作入力部63によりクリックし、Web導線による問い合わせを開始する(ステップS201)。制御部62は、ボタンにリンクされているURL(Universal Resource Locator)に接続するよう通信部61に指示する。あるいは、利用者は、利用者端末60の制御部62が実行しているチャットのアプリにおいて、操作入力部63によりオペレータへの問い合わせ開始指示を入力してもよい。チャットのアプリは、ネットワークNを介して接続される図示しないチャットサーバから問い合わせ開始指示に応じて取得したURLに接続するよう通信部61に指示する。通信部61は、指示されたURLを使用して、受付チャネル付加装置40にアクセスする。このURLを用いた受付チャネル付加装置40へのアクセスは、コンタクトセンタへの接続要求に相当する。
【0042】
受付チャネル付加装置40の受信制御部41は、利用者端末60からのアクセスを受けると、映像通話アプリを起動する(ステップS202)。映像通話アプリは、2者間の端末において、端末のカメラが撮影した映像、端末の操作入力部により指示された画像、端末のマイクが収音した音声、及び、端末の操作入力部により入力されたテキストなどのデータを交換し、交換したデータを端末に出力するためのアプリケーションプログラムである。例えば、映像通話アプリは、WebRTC(Web Real-Time Communication)を用いたWebやチャットのアプリである。出力は、表示部への映像、画像及びテキストなどのデータの表示、スピーカによる音声のデータの出力を含む。なお、映像通話アプリは、映像、画像、音声、テキストのうち一部の種類のデータを交換するものでもよく、映像、画像、音声及びテキストのうちいずれの種類のデータを交換するかをユーザが選択してもよい。映像通話アプリがチャットのアプリの場合は、テキストデータの交換が少なくとも行われる。受信制御部41が起動した映像通話アプリを受信側映像通話アプリと記載する。受信制御部41は、映像通話の識別情報である映像通話IDを割り当てると、WebRTC通話を待機する(ステップS203)。受信制御部41は、利用者端末60に待機画面を表示させてもよい。受信制御部41は、呼制御部42に接続制御システム20への発信を指示するとともに、映像通話IDを通知する(ステップS204)。呼制御部42は、受信制御部41から発信の指示を受けると、コンタクトセンタの外線電話の電話番号を着信番号に用いてPSTNプロトコルにより発呼する(ステップS205)。
【0043】
接続制御システム20は、PSTNプロトコルによる呼が着信すると、
図5のステップS101~ステップS102の処理を行って、トーキーを開始する(ステップS206)。具体的には、接続制御システム20の呼制御装置21は、受付チャネル付加装置40の呼制御部42から起動された呼を受け、ACD装置22に着呼を通知する(
図5のステップS101:YES)。ACD装置22の呼分配部23は、着信した呼をIVR装置24に接続する(
図5のステップS102)。IVR装置24は、トーキーを開始する。
【0044】
呼制御部42は、DTMF信号により映像通話IDを接続制御システム20に通知する(ステップS207)。接続制御システム20の呼分配部23は、発信元の受付チャネル付加装置40の番号と、受信したDTMF信号が示す映像通話IDを受信し、記憶部26に書き込む(ステップS208)。
【0045】
接続制御システム20は、呼を順番待ちとする(ステップS209)。具体的には、呼分配部23は、着信した呼の接続先のオペレータグループを決定し(
図5のステップS103)、呼を応答待ち行列にキューイングする(
図5のステップS104)。呼分配部23は、オペレータグループに応答可能な状態のオペレータ端末30がある場合(
図5のステップS105:YES)、応答待ち行列から呼を取り出し、そのオペレータ端末30に呼び出しを指示する(
図5のステップS106)。あるいは、呼分配部23は、オペレータグループに応答可能な状態のオペレータ端末30がない場合(
図5のステップS105:NO)、オペレータグループのオペレータ端末30から応答可能が通知され(
図5のステップS101:NO、ステップS108:YES)、ステップS206においてトーキーを開始した呼を応答待ち行列から取り出した場合に(
図5のステップS109:YES、ステップS110)、応答可能なオペレータ端末30の呼び出しを指示する。呼び出し指示を受けたオペレータ端末30の電話通信部31は、呼の着信を音声入出力部34からの音声の出力や表示部36への表示によりオペレータに通知する。
【0046】
呼び出されたオペレータ端末30の操作入力部35によりオペレータが通話ピックアップを入力すると(ステップS210)、電話通信部31は通話ピックアップを接続制御システム20に通知する。ACD装置22の呼分配部23は、オペレータ端末30から通話ピックアップを受信すると、呼制御装置21に呼切断を送信し、アプリ起動部25に映像通話アプリの起動を指示する。アプリ起動部25は、WebRTCにより映像通話を行う映像通話アプリの起動を受付チャネル付加装置40に指示する(ステップS211)。アプリ起動部25は、映像通話アプリの起動指示に、記憶部26から読み出した映像通話IDと、オペレータ端末30のアドレスとを設定する。
【0047】
なお、ACD装置22の呼分配部23は、オペレータ端末30から通話ピックアップを受信し、呼の発信元が受付チャネル付加装置40であると判断した場合、あるいは、映像通話IDを受信した呼であると判断した場合に、呼制御装置21へ呼切断指示を送信し、アプリ起動部25に映像通話アプリの起動を指示してもよい。
【0048】
あるいは、ACD装置22の呼分配部23は、オペレータ端末30から通話ピックアップを受信すると、呼制御部42から発信された呼の接続先をIVR装置24から、通話ピックアップを通知したオペレータ端末30に切り替えてもよい。接続先の切り替え後、呼分配部23は、オペレータ操作によりオペレータ端末30から送信された映像通話アプリの起動指示を受信した場合に、呼制御装置21へ呼切断指示を送信し、アプリ起動部25に映像通話アプリの起動を指示する。
【0049】
呼制御装置21は、呼分配部23から呼切断指示を受信すると、受付チャネル付加装置40にPSTNプロトコルによる呼切断指示を送信する。受付チャネル付加装置40の呼制御部42は、呼制御装置21から呼切断指示を受信すると、ステップS205において発信した呼を切断する(ステップS212)。
【0050】
一方、受付チャネル付加装置40の接続制御部43は、接続制御システム20のACD装置22から映像通話アプリの起動指示を受信すると、映像通話アプリを起動する(ステップS213)。起動された映像通話アプリを着信側映像通話アプリと記載する。着信側映像通話アプリは、起動指示から読み出した映像通話IDとオペレータ端末30のアドレスとを対応付けて記憶する。着信側映像通話アプリは、オペレータ端末30に映像通話アプリの起動画面を送信し、表示させてもよい。オペレータ端末30の制御部33は、オペレータが操作入力部35により映像通話開始を入力すると、映像通話開始指示を着信側映像通話アプリに送信する(ステップS214)。
【0051】
受付チャネル付加装置40の接続制御部43が動作させている着信側映像通話アプリは、映像通話開始指示の送信元のオペレータ端末30のアドレスに対応した映像通話IDをWebRTC通話開始指示に設定し、受信制御部41に送信する(ステップS215)。受信制御部41は、WebRTC通話開始指示に設定されている映像通話IDにより、ステップS202において起動した受信側映像通話アプリを特定し、特定した受信側映像通話アプリとWebRTC通話開始指示の送信元の着信側映像通話アプリとのWebRTC通話のセッションを開始する(ステップS216)。受信側映像通話アプリは、利用者端末60にセッションの開始を通知してもよい。セッションの開始により、利用者端末60とオペレータ端末30との間で、受信側映像通話アプリ及び着信側映像通話アプリを介した映像通話が開始される(ステップS217)。
【0052】
具体的には、利用者端末60の制御部62は、撮像部66が撮像した利用者の映像のデータと、利用者が操作入力部63により指定した画像などのデータと、音声入出力部65が収音した加入者の音声のデータと、利用者が操作入力部63により入力したテキストのデータとのうち一以上のデータを受信側映像通話アプリに送信する。受信側映像通話アプリは、利用者端末60から受信したこれらのデータを着信側映像通話アプリ宛てに送信し、着信側映像通話アプリは受信側映像通話アプリから受信したこれらのデータをオペレータ端末30に送信する。オペレータ端末30の制御部33は、受信した映像、画像及びテキストのデータを表示部36に表示し、受信した音声のデータを音声入出力部34から出力する。同様に、オペレータ端末30の制御部33は、撮像部37が撮像したオペレータの映像と、オペレータが操作入力部35により指定した画像などのデータと、音声入出力部34が収音したオペレータの音声のデータと、オペレータが操作入力部35により入力したテキストのデータとのうち一以上のデータを着信側映像通話アプリに送信する。着信側映像通話アプリは、オペレータ端末30から受信したこれらのデータを受信側映像通話アプリ宛てに送信し、受信側映像通話アプリは、着信側映像通話アプリから受信したこれらのデータを利用者端末60に送信する。利用者端末60の制御部62は、受信した映像、画像及びテキストのデータを表示部64に表示し、受信した音声データを音声入出力部65から出力する。利用者端末60及びオペレータ端末30はそれぞれ、映像、画像、音声及びテキストのデータのうち一部のみを送信してもよい。
【0053】
また、受付チャネル付加装置40の受信制御部41は、利用者端末60がWeb導線による問い合わせを開始したときに閲覧していたWebページである遷移元ホームページ(HP)のURLや、利用者端末60から受信したCookieなどの利用者情報を接続制御部43に送信する(ステップS218)。接続制御部43は、受信した利用者情報をオペレータ端末30に通知する(ステップS219)。オペレータ端末30の制御部33は、受信した利用者情報を表示部36に表示する。また、オペレータ端末30は、利用者情報に設定されているURLが示す遷移元HPを表示してもよい。
【0054】
オペレータ端末30の制御部33は、オペレータが操作入力部35により映像通話終了を入力した場合に、映像通話終了指示を受付チャネル付加装置40に送信する(ステップS220)。受付チャネル付加装置40の接続制御部43が動作させている着信側映像通話アプリは、受信側映像通話アプリにWebRTC通話終了を送信し、WebRTC通話を終了する(ステップS221)。受信制御部41により実行されている受信側映像通話アプリは、WebRTC通話終了を受信すると、着信側映像通話アプリとのWebRTC通話のセッションを切断する(ステップS222)。受信側映像通話アプリは、利用者端末60に通話終了を通知してもよい。セッションの切断により、利用者端末60とオペレータ端末30との間の映像通話が終了する(ステップS223)。
【0055】
続いて、
図7を用いて、CTIシステム10が電話のプロトコルにSIPを用いる場合に、利用者が利用者端末60からコンタクトセンタへ問い合わせを行う場合のオムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作を説明する。
図7は、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作を示すシーケンス図である。
図7において、
図6に示すシーケンス図と同一の動作には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
ステップS201~ステップS204までのオムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作は、
図6に示すシーケンス図における動作と同一である。受付チャネル付加装置40の呼制御部42は、コンタクトセンタの電話番号を着信番号に用いてSIPにより発呼する(ステップS301)。このとき、呼制御部42は、SIPのINVITEメッセージに映像通話IDを設定してCTIシステム10に送信する。CTIシステム10がSIPのINVITEメッセージを受信した後のステップS206、ステップS209~ステップS210の動作は、
図6に示すシーケンス図における動作と同一である。
【0057】
ACD装置22の呼分配部23は、ステップS210においてオペレータ端末30から通話ピックアップを受信すると、アプリの起動をアプリ起動部25に指示する。アプリ起動部25は、WebRTCにより映像通話を行う映像通話アプリの起動を受付チャネル付加装置40に指示する(ステップS302)。アプリ起動部25は、受付チャネル付加装置40に送信する映像通話アプリの起動指示に、INVITEメッセージから読み出した映像通話IDと、オペレータ端末30のアドレスとを設定する。受付チャネル付加装置40の接続制御部43が接続制御システム20のACD装置22から映像通話アプリの起動指示を受信した後のステップS213~ステップS223までのオムニチャネルコンタクトセンタシステム1の動作は、
図6に示すシーケンス図における動作と同一である。
【0058】
なお、ステップS302において、ACD装置22は、映像通信アプリの起動を行わず、音声通話を接続してもよい。この場合、ACD装置22の呼分配部23は、オペレータ端末30から通話ピックアップを受信すると、呼制御装置21に音声通話接続指示を送信する。音声通話接続指示には、通話ピックアップの送信元のオペレータ端末30のアドレスが設定される。呼制御装置21は、SIP又はWebRTCにより音声通話接続指示を受付チャネル付加装置40に送信する。受付チャネル付加装置40の呼制御部42は、SIP又はWebRTCにより、オペレータ端末30のアドレスを設定した音声通話接続指示を利用者端末60に通知し、オペレータ端末30と利用者端末60との間の音声通話接続のセッションを開始する(ステップS303)。
【0059】
利用者端末60の制御部62は、音声通話接続指示を受信すると、音声通話の着信を音声入出力部65からの音声の出力や表示部64への表示により利用者に通知する。利用者が操作入力部63により応答を入力すると、利用者端末60は、オペレータ端末30との間で音声通話を開始する(ステップS304)。すなわち、利用者端末60の制御部62は、音声入出力部65が取得した利用者の音声のデータを、受付チャネル付加装置40の呼制御部42を介して、又は、直接、オペレータ端末30に送信し、オペレータ端末30の音声入出力部34は受信した音声のデータを出力する。また、オペレータ端末30の制御部33は、音声入出力部34が取得したオペレータの音声のデータを、受付チャネル付加装置40の呼制御部42を介して、又は、直接、利用者端末60へ送信し、利用者端末60の音声入出力部65は、受信した音声のデータを出力する。
【0060】
音声通話開始後、オペレータ端末30の制御部33は、オペレータが操作入力部35により通話終了を入力した場合に、SIPにより通話終了指示を受付チャネル付加装置40に送信する(ステップS305)。受付チャネル付加装置40の呼制御部42は、オペレータ端末30と利用者端末60の間の音声通話のセッションを切断し、利用者端末60に音声通話終了指示を送信する(ステップS306)。利用者端末60の制御部62は、音声通話を終了する(ステップS307)。
【0061】
なお、ステップS302において、ACD装置22は、映像通信アプリの起動と、音声通話の接続の両方を行ってもよい。例えば、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1は、ステップS303~ステップS307の音声通話処理と、ステップS213~ステップS223の映像通話処理とを並行して行う。これにより、オペレータ端末30と利用者端末60との間で、音声通話を行いながら映像、画像、テキスト(チャット)などを用いた映像通話を行うことができる。また、オムニチャネルコンタクトセンタシステム1は、音声通話処理の途中で映像通話処理を開始してもよく、映像通話処理の途中で音声通話処理を開始してもよい。また、音声通話と映像通話とを異なるタイミングで切断することも可能である。例えば、ステップS220~ステップS223の手順により映像通信を切断した後も、ステップS302~ステップS304により開始した音声通話を継続することも可能である。
【0062】
なお、ACD装置22の記憶部26に、ステップS302において音声通話と映像通話とのそれぞれを自動接続するか、音声通話又は映像通話を手動接続するかを示す設定情報を予め記憶しておいてもよい。ステップS302において、ACD装置22の呼分配部23は、設定情報に映像通話の自動接続が設定されている場合にアプリ起動部25へ映像通話アプリの起動指示を出力し、さらにアプリ起動部25が、映像通話アプリの起動を受付チャネル付加装置40に指示することによって映像通話処理を開始し、設定情報に音声通話の自動接続が設定されている場合に、呼分配部23は、呼制御装置21に音声通話接続指示を送信して音声通話処理を開始する。
【0063】
一方、設定情報に音声通話又は映像通話を手動接続することが設定されている場合、ステップS210において、オペレータ端末30は、通話ピックアップに代えて、又は、加えて、オペレータが操作入力部35により入力した音声通話接続又は映像通話接続をACD装置22に送信する。ACD装置22の呼分配部23は、ステップS211において、設定情報に音声通話又は映像通話の手動接続が設定され、かつ、オペレータ端末30から映像通話接続を受信した場合に、アプリ起動部25へ映像通話アプリの起動指示を出力し、さらにアプリ起動部25が、映像通話アプリの起動を受付チャネル付加装置40に指示することによって映像通話処理を開始する。また、ACD装置22の呼分配部23は、ステップS211において、設定情報に音声通話又は映像通話の手動接続が設定され、かつ、オペレータ端末30から音声通話接続を受信した場合に、呼制御装置21に音声通話接続指示を送信して音声通話処理を開始する。
【0064】
また、オペレータは、オペレータ端末30の操作入力部35により、映像通話において、映像、画像、音声及びテキストのいずれの種類のデータを使用するかを入力し、制御部33は、入力されたデータの種類を示す使用データ情報を受付チャネル付加装置40の接続制御部43に通知してもよい。接続制御部43が起動した着信側映像通話アプリは、使用データ情報が示す種類のデータを、発信側映像通話アプリと送受信する。同様に、利用者端末60は利用者により入力されたデータの種類を示す使用データ情報を受付チャネル付加装置40の受信制御部41に送信し、受信制御部41が起動した発側映像通話アプリは、使用データ情報が示す種類のデータを、着信側映像通話アプリと送受信してもよい。
【0065】
また、受付チャネル付加装置40がPSTN接続のプロトコルとSIPの両方を実装している場合、記憶部44に、PSTN接続のプロトコルによりCTIシステム10に発呼するステップS205の処理を行うか、SIPによりCTIシステム10に発呼するステップS301の処理を行うかの選択情報を予め記憶していてもよい。接続制御部43は、記憶部44に記憶されている選択情報を参照し、PSTN接続のプロトコルとSIPとのいずれかを選択し、ステップS205の処理により発呼するか、ステップS301の処理により発呼するかを切り替える。
【0066】
上述した実施形態におけるACD装置22及び受付チャネル付加装置40の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、ACD装置22及び受付チャネル付加装置40の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。また、プログラムは、ネットワークを通して提供されてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0067】
ACD装置22、及び、受付チャネル付加装置40のそれぞれをネットワークに接続される複数のコンピュータ装置により実現してもよい。この場合、ACD装置22の各機能部、及び、受付チャネル付加装置40の各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。また、ACD装置22、及び、受付チャネル付加装置40の同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0068】
図8は、受付チャネル付加装置40のハードウェア構成例を示す装置構成図である。受付チャネル付加装置40は、プロセッサ71と、記憶部72と、通信インタフェース73と、ユーザインタフェース74とを備える。プロセッサ71は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ71は、例えば、CPU(central processing unit)やGPU(Graphics Processing Unit)である。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行することにより、受信制御部41と、呼制御部42と、接続制御部43とを実現する。記憶部72は、さらに、プロセッサ71が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース73は、他装置と通信可能に接続するものである。ユーザインタフェース74は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の入力装置や、ディスプレイなどの表示装置である。ユーザインタフェース74により、人為的な操作が入力される。
【0069】
なお、ACD装置22のハードウェア構成も
図8に示す受付チャネル付加装置40の構成と同様である。なお、ACD装置22、及び、受付チャネル付加装置40の機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0070】
上述した実施形態によれば、コンタクトセンタシステムは、呼分配部と、受信制御部と、接続制御部とを備える。コンタクトセンタシステムは、例えば、実施形態のオムニチャネルコンタクトセンタシステム1に対応する。呼分配部は、着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、待ち行列にキューイングされた呼を音声応答装置から応答可能な着信者端末に分配する。例えば、音声応答装置は、実施形態のIVR装置24に対応し、着信者端末は、実施形態のオペレータ端末30に対応する。受信制御部は、データ通信により発信者端末からコンタクトセンタへの接続要求を受信した場合に、呼分配部に発呼する。発信者端末は、例えば、実施形態の利用者端末60に対応する。接続制御部は、受信制御部が発呼した呼が呼分配部により着信者端末に分配された場合に、着信者端末と発信者端末との間のデータ通信を開始する。例えば、呼分配部は、呼分配システムに備えられ、受信制御部及び接続制御部は、呼分配システムに接続される受付チャネル付加装置に備えられてもよい。呼分配システムは、実施形態の接続制御システム20に対応する。これによれば、既存のCTIベースのシステムを修正することなく、チャットやWebのチャネルをアドオンすることができる。
【0071】
例えば、接続制御部が開始したデータ通信においては、着信者端末において取得した映像、画像、音声、及び、文字のうち一以上のデータと、発信者端末において取得した映像、画像、音声、及び、文字のうち一以上のデータとを着信者端末と発信者端末との間で送受信する。
【0072】
また、受信制御部は、記憶部に記憶された選択情報に基づいて、PSTNとSIPとのいずれのプロトコルを用いて発呼するかを切り替えてもよい。例えば、記憶部は、実施形態の記憶部44である。また、受信制御部は、発信者端末からウェブ又はチャットを用いて送信された接続要求を受信してもよい。これによれば、コンタクトセンタの電話の仕様や構成に関わらず、チャットやWebのチャネルをアドオンすることができる。
【0073】
接続制御部は、呼が分配された着信者端末が応答した場合に、記憶部に記憶された設定情報に基づいて、所定の種類のデータを送受信するデータ通信と、着信者端末に入力された指示に応じた種類のデータを送受信するデータ通信とのいずれを着信者端末と発信者端末との間で開始するかを切り替えてもよい。例えば、記憶部は、実施形態の記憶部26である。これによれば、チャットやWebに自動接続、あるいは、チャットやWebにオペレータによる手動接続の選択を可能し、自動応答等の他のシステムとの連携ができる。また、チャネルの切り替えのタイミングを利用者の状況に合わせることで、CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させることができる。
【0074】
接続制御部は、発信者端末におけるウェブの閲覧履歴の情報を取得し、受信制御部が発呼した呼が分配された着信者端末に送信してもよい。これにより、利用者の状況をオペレータがヒアリングすることなく把握し、AHTを短くすることで、EX(エンプロイーエクスペリエンス)やCXを向上させることができる。
【0075】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 オムニチャネルコンタクトセンタシステム
10 CTIシステム
20 接続制御システム
21 呼制御装置
22 ACD装置
23 呼分配部
24 IVR装置
25 アプリ起動部
26、44、72 記憶部
30 オペレータ端末
31 電話通信部
32 データ通信部
33、62 制御部
34、65 音声入出力部
35、63 操作入力部
36、64 表示部
37、66 撮像部
40 受付チャネル付加装置
41 受信制御部
42 呼制御部
43 接続制御部
50 電話機
60 利用者端末
61 通信部
71 プロセッサ
73 通信インタフェース
74 ユーザインタフェース
【要約】
【課題】複数種類のチャネルからの問い合わせをオペレータに接続する。
【解決手段】着信した呼を、呼に音声を出力する音声応答装置に接続して待ち行列にキューイングし、待ち行列にキューイングされた呼を音声応答装置から応答可能な着信者端末に分配する呼分配部と、データ通信により発信者端末から接続要求を受信した場合に、呼分配部に発呼する受信制御部と、受信制御部が発呼した呼が呼分配部により着信者端末に分配された場合に、着信者端末と発信者端末との間のデータ通信を開始する接続制御部と、を備えるコンタクトセンタシステム。
【選択図】
図1