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特許7577830情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20241028BHJP
【FI】
G01S17/89
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023503815
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008254
(87)【国際公開番号】W WO2022186127
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021031765
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 誠
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-173897(JP,A)
【文献】特開平9-80153(JP,A)
【文献】特開2017-190960(JP,A)
【文献】国際公開第2021/149360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G01S 7/00-7/42
13/00-13/95
G01S 1/72-1/82
3/80-3/86
5/18-5/30
7/52-7/64
15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得する取得手段と、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出する算出手段と、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成する生成手段と、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する送信手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、所定時間間隔において設けた所定期間を対象とする前記距離のヒストグラムを前記計測頻度として算出し、
前記生成手段は、前記ヒストグラムの各々におけるピークとなるピーク距離に基づき、前記安定度情報を生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記ヒストグラムの各々に対し、距離毎の計測時間に関する計測時間情報を生成し、
前記生成手段は、前記ヒストグラムと前記計測時間情報とに基づき、前記安定度情報を生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、直近の前記ヒストグラムに対する前記ピーク距離が継続する期間の長さに基づき、前記安定度情報を生成する、請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、直近の前記ヒストグラムに対する前記ピーク距離が断続的に継続する期間の長さに基づき、前記安定度情報を生成する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記ピーク距離の前記所定期間における発生頻度を前記ヒストグラムの各々に対して算出し、
前記生成手段は、前記ピーク距離が継続する期間における前記所定期間の長さを、対応する前記ヒストグラムの前記発生頻度により重み付けした値の合計値に基づき、前記安定度情報を生成する、請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記ピーク距離が継続する期間における前記所定期間の長さを、当該所定期間が属する時間帯により重み付けした値の合計値に基づき、前記安定度情報を生成する、請求項2~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記安定度情報は、計測される物体が静止物として安定的に存在する度合いを表す第1安定度若しくは他の物体により遮蔽されずに安定的に計測される度合いを表す第2安定度の少なくとも一方、又は、前記第1安定度及び前記第2安定度を総合した指標を少なくとも表す情報である、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する制御方法であって、
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得し、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出し、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成し、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する、
制御方法。
【請求項10】
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得し、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出し、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成し、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測したデータの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検出空間にレーザ光のパルスを照射し、その反射光のレベルに基づいて、被検出空間内の対象物を検出するレーザレーダ装置が知られている。例えば、特許文献1には、繰り返し出射される光パルスの出射方向(走査方向)を適切に制御することにより周辺空間を走査し、その戻り光を観測することにより、周辺に存在する物体に関する情報である距離、反射率などの情報を表す点群データを生成するライダが開示されている。また、特許文献2には、測距装置からの観測データがふらついたときにも、観測データに基づいて適切な数の背景を求めるため、測距装置により得られた観測データと背景候補データ記憶部に記憶された背景候補の距離データとを比較して、観測データと一致する距離データの背景候補の観測回数をカウントアップする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-009831号公報
【文献】特開2017-207365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライダなどの計測装置が所定の走査周期に従い生成する点群データをアップロードしてサーバ装置により収集管理する場合には、生成される点群データの容量が大きいため、通信負荷やサーバ装置の処理負荷等が過大となることが問題となる。特に、計測装置が固定されている場合、安定的に計測される静止物のデータをそのままアップロードすると、アップロードするデータ量が無駄に増大してしまうという問題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、アップロードする計測データのデータ量の削減に好適に利用可能な情報を生成することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得する取得手段と、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出する算出手段と、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成する生成手段と、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する送信手段と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、
コンピュータが実行する制御方法であって、
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得し、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出し、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成し、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する、
制御方法である。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、
距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得し、
前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出し、
前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成し、
前記安定度に基づく送信頻度により、前記計測点毎の前記計測結果に対応する計測データを外部へ送信する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例に係るライダユニットの概略構成である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック構成図である。
図3】ライダが計測を行う空間を概略的に示した図である。
図4】第1安定度の解釈の一例を表すテーブルである。
図5】ある計測点において距離ヒストグラムの生成において対象となる期間でのライダが計測する距離と時間との関係を示すグラフである。
図6図5に基づく距離ヒストグラムと計測時間情報とを示す図である。
図7】ある計測点における計測距離履歴を表すグラフである。
図8】第1実施形態における安定度情報の生成・更新処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図9】第2実施例におけるデータ収集システムの概略構成を示す。
図10】ある計測点における計測距離の時間変化を表すグラフと対応する計測距離のヒストグラムを表す。
図11】第2実施例に係るアップロード処理の手順を表すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、情報処理装置は、距離を固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得する取得手段と、前記計測結果に基づき、前記計測点毎に、計測される距離の計測頻度を算出する算出手段と、前記計測頻度に基づき、前記計測点毎に安定度を表す安定度情報を生成する生成手段と、を有する。この態様によれば、情報処理装置は、計測装置の計測点毎の安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。そして、この安定度情報は、計測装置の計測データの送信制御等に好適に利用される。
【0011】
上記情報処理装置の一態様では、前記算出手段は、所定時間間隔において設けた所定期間を対象とする前記距離のヒストグラムを前記計測頻度として算出し、前記生成手段は、前記ヒストグラムの各々におけるピークとなるピーク距離に基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、期間ごとに最も計測される距離を的確に把握し、安定度情報を好適に生成することができる。
【0012】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記算出手段は、前記ヒストグラムの各々に対し、距離毎の計測時間に関する計測時間情報を生成し、前記生成手段は、前記ヒストグラムと前記計測時間情報とに基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、ピーク距離の計測時間を考慮して安定度情報を好適に生成することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記生成手段は、直近の前記ヒストグラムに対する前記ピーク距離が継続する期間の長さに基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、計測される静止物の存在期間長に応じた安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記生成手段は、直近の前記ヒストグラムに対する前記ピーク距離が断続的に継続する期間の長さに基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、オクルージョンの発生の影響を好適に排除し、計測される物体の静止物としての安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記算出手段は、前記ピーク距離の前記所定期間における発生頻度を前記ヒストグラムの各々に対して算出し、前記生成手段は、前記ピーク距離が継続する期間における前記所定期間の長さを、対応する前記ヒストグラムの前記発生頻度により重み付けした値の合計値に基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、静止物が計測される安定性を的確に考慮して安定度情報を生成することができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記生成手段は、前記ピーク距離が継続する期間における前記所定期間の長さを、当該所定期間が属する時間帯により重み付けした値の合計値に基づき、前記安定度情報を生成する。この態様により、情報処理装置は、計測される時間帯を適切に考慮して現在の時間帯における安定度を的確に表した安定度情報を生成することができる。
【0017】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記安定度情報は、計測される物体が静止物として安定的に存在する度合いを表す第1安定度若しくは他の物体により遮蔽されずに安定的に計測される度合いを表す第2安定度の少なくとも一方、又は、前記第1安定度及び前記第2安定度を総合した指標を少なくとも表す情報である。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態によれば、コンピュータが実行する制御方法であって、固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の計測結果を取得し、前記計測結果に基づき、想定される静止物が計測されたか否かを前記計測点毎に判定し、前記静止物が計測されたと判定された前記計測点に対する計測結果をデータ収集装置に送信する送信頻度を、当該計測点における、前記静止物が計測されている安定度に基づき決定する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、計測装置の計測点毎の安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。
【0019】
本発明の他の好適な実施形態によれば、固定位置から計測する計測装置による計測方向に対応する計測点毎の計測結果を取得し、前記計測結果に基づき、想定される静止物が計測されたか否かを前記計測点毎に判定し、前記静止物が計測されたと判定された前記計測点に対する計測結果をデータ収集装置に送信する送信頻度を、当該計測点における、前記静止物が計測されている安定度に基づき決定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。コンピュータは、このプログラムを実行することで、計測装置の計測点毎の安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0021】
<第1実施例>
(1)ライダユニットの概要
図1は、第1実施例に係るライダユニット100の概略構成である。ライダユニット100は、センサ群2が生成するデータに関する処理を行う情報処理装置1と、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)3を少なくとも含むセンサ群2と、を有する。ライダユニット100は、屋内又は屋外において固定設置され、ライダ3の計測範囲内に存在する静止物が安定的に計測される度合いである安定度を表す情報(「安定度情報」とも呼ぶ。)を生成する。
【0022】
情報処理装置1は、センサ群2と電気的に接続し、センサ群2に含まれる各種センサが出力するデータの処理を行う。本実施例では、情報処理装置1は、ライダ3が過去及び現在において時系列に生成する点群データに基づき、ライダ3の計測範囲内の計測方向毎の安定度を少なくとも示す安定度情報を生成する。安定度情報は、例えば、計測されることが想定される静止物の距離と、安定度とを計測方向毎に表した情報である。安定度情報の生成処理及び安定度の解釈については後述する。情報処理装置1は、例えば、ライダ3と共に収容体に収容された状態で固定設置される。なお、情報処理装置1は、ライダ3の電子制御装置としてライダ3と一体になって設けられてもよい。
【0023】
ライダ3は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対して角度を変えながらパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に計測する。この場合、ライダ3は、照射方向(即ち走査方向)を変えながらレーザ光を照射する照射部と、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受光する受光部と、受光部が出力する受光信号に基づくデータを出力する出力部とを有する。パルスレーザが照射される照射方向ごとにライダ3が計測するデータは、受光部が受光したレーザ光に対応する照射方向と、上述の受光信号に基づき特定される当該レーザ光の応答遅延時間とに基づき生成される。そして、ライダ3は、1回の走査周期において、ライダ3の計測範囲(即ちパルスレーザの照射範囲)における各計測点に対応するデータを、点群データとして生成する。ライダ3は、本発明における「計測装置」の一例である。なお、ライダ3は、上述したスキャン型のライダに限らず、2次元アレイ状のセンサの視野にレーザ光を拡散照射することによって3次元データを生成するフラッシュ型のライダであってもよい。以後では、ライダ3が生成する点群データの各計測方向に対応する点を「計測点」とも呼ぶ。
【0024】
なお、センサ群2には、ライダ3に加え、種々の外界センサ又は/及び内界センサが含まれてもよい。例えば、センサ群2は、位置情報の生成に必要なGPS(Global Positioning Satellite)受信機等を含んでもよい。
【0025】
(2)情報処理装置の構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、主に、インターフェース11と、メモリ12と、コントローラ13と、を有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0026】
インターフェース11は、情報処理装置1と外部装置とのデータの授受に関するインターフェース動作を行う。本実施例では、インターフェース11は、ライダ3などのセンサ群2から出力データを取得し、コントローラ13へ供給する。インターフェース11は、無線通信を行うためのネットワークアダプタなどのワイヤレスインターフェースであってもよく、ケーブル等により外部装置と接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。また、インターフェース11は、入力装置、表示装置、音出力装置等の種々の周辺装置とのインターフェース動作を行ってもよい。
【0027】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。メモリ12は、コントローラ13が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、コントローラ13が実行するプログラムは、メモリ12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などの1又は複数のプロセッサを含み、情報処理装置1の全体を制御する。この場合、コントローラ13は、メモリ12等に記憶されたプログラムを実行することで、後述する種々の処理を実行する。
【0029】
そして、コントローラ13は、「取得手段」、「算出手段」、「生成手段」及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
【0030】
なお、コントローラ13が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、コントローラ13が実行する処理は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、コントローラ13が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。
【0031】
(3)安定度情報の生成
概略的には、情報処理装置1のコントローラ13は、ライダ3の各計測点について、所定時間長の期間における距離のヒストグラム(「距離ヒストグラム」とも呼ぶ。)を所定間隔ごとに生成し、生成した距離ヒストグラムに基づき、静止物の距離の履歴を生成する。そして、コントローラ13は、静止物の距離の履歴に基づき、静止物の存在期間長に相当する静止物の安定度を表す安定度情報を生成する。
【0032】
(3-1)安定度についての考察
まず、本実施例において算出する安定度の概念(考え方)について説明する。安定度情報が示す安定度は、静止物が計測されている安定度を表し、後述する第1安定度と同義であってもよく、第1安定度と後述する第2安定度との両方を含む概念であってもよい。
【0033】
本実施例では、情報処理装置1は、原則的に、長時間に渡って静止している物体(又は場所)ほど、静止物としての安定度(「第1安定度」とも呼ぶ。)が高いものとみなす。即ち、第1安定度は、計測される物体が静止物として安定的に存在する度合いを表す。さらに、情報処理装置1は、上述の第1安定度に加えて、照射されるライダ3のレーザ光を遮るような移動物(即ち前を横切る物)が少ない物ほど、安定度が高いものとみなしてもよい。後者の安定度は、移動物によるレーザ光の遮蔽(所謂、オクルージョン)が発生せずに安定的に計測される度合いを表しており、以後では「第2安定度」とも呼ぶ。
【0034】
図3は、ライダ3が計測を行う空間を概略的に示した図である。図3では、ライダ3(ライダユニット100)は固定設置されており、ライダ3が計測を行う空間には、少なくとも、壁5、家具などの構造物6、及び歩行者7が存在している。また、線「L1」~線「L3」は、夫々、ある計測点に対応するレーザ光の光路を表しており、線L1~L3上のレーザ光の被照射点に対応する「r00」、「r10」、「r20」、「r21」は、対応する被照射点までの計測距離を表す。
【0035】
ここで、線L1に対応する計測点では、長時間(例えば1年間)に渡って、ほぼすべての時間で距離r00が計測される。この場合、対象の計測点では、第1安定度の高い静止物が存在していると解釈することができる。また、線L1に対応する計測点では、歩行者の移動等によるオクルージョンも発生しないことから、第2安定度も高い。
【0036】
また、線L2に対応する計測点では、長時間(例えば1年間)に渡って距離r10が計測されるが、歩行者の通路上を歩行者より低い高さでレーザ光が照射されることから、距離r10よりも短い距離が計測される場合がある。図3の例では、歩行者7にレーザ光が照射されることで、距離r10よりも短い距離が計測される。この計測点では、第1安定度としては、線L1に対応する計測点と同じである。一方、線L2に対応する計測点は、線L1に対応する計測点よりも第2安定度が低いと解釈される。
【0037】
また、線L3に対応する計測点では、当初(例えば最初の10か月)は距離r20が計測され、その後から現在までの期間(例えば2か月)は距離r21が計測されている。この場合、線L3に対応する計測点では、現在は距離r21の位置に静止物が存在しているとみなされる。そして、線L3に対応する計測点での第1安定度は、現在の静止物が計測された期間が短いため、線L1及び線L2に対応する計測点と比較して低いと解釈される。
【0038】
図4は、第1安定度の解釈の一例を表すテーブルである。ここで、「物体観測期間」は、現在までに継続的(又は移動物による遮蔽に起因して断続的)に観測された期間の長さを表し、「想定状況」は、計測対象物が静止物か否かに関する想定される状況を表し、「次の瞬間の物体存在可能性」は、現在の次の計測時刻(即ち次の計測タイミング)において現在の計測対象物が引き続き存在するか否かの可能性を表す。
【0039】
図4に示されるように、物体観測期間が長いほど、次の瞬間の物体存在可能性は高くなる。そして、物体観測期間が長いほど、移動する可能性が低い物体が存在することが想定され、物体観測期間が短いほど、移動する可能性が高い物体が存在することが想定される。そして、第1安定度は、次の瞬間の物体存在可能性と正の相関を有し、次の瞬間の物体存在可能性が低いほど第1安定度が低くなる。
【0040】
次に、第2安定度について補足説明する。
【0041】
第2安定度は、オクルージョンの発生頻度に依存する。一般に、静止物の手前(即ち、ライダ3のレーザ光を遮る位置)を人が横切るなどすると、一時的に、静止物よりも短い距離が計測される。その遮蔽(オクルージョン)の発生頻度は、人通りが多い場所と少ない場所など、場所や時間帯などに依存する。
【0042】
例えば、ライダ3により1年間計測を行った場合に、100%に相当する期間において同じ距離が観測されるケースと、98%に相当する期間において同じ距離が観測され、残りの2%の期間において別の距離が観測されるケースについて考察する。この場合、前者のケースの方が、後者のケースよりも、第2安定度が高いと解釈することができる。また、オクルージョンの発生頻度の違いによって、例えば計測したデータの送信頻度を加減することが有効なケースも考えられる。この発想に関する処理については、第2実施例において説明する。
【0043】
次に、第1安定度が高い物体が一時的に他の静止物により遮蔽された場合の第2安定度の判定についてさらに補足説明する。
【0044】
例えば、第1安定度が極めて高い壁などの第1静止物の手前に一時的に物(「第2静止物」とも呼ぶ。)が置かれることがある。この場合、第2静止物が置かれている期間では、第2静止物が安定した距離により計測されることにより、第2静止物が置かれてからの経過時間に応じて、第2静止物に関して第1安定度が高まっていく。
【0045】
一方、第1静止物から見れば、手前に置かれた第2静止物は「一時的に置かれた物(前を横切る物)」であり、壁などの第1静止物は、手前に第2静止物が置かれたためにオクルージョンが発生している期間でも同じ場所に存在し続けている可能性が高い。
【0046】
従って、上述の例では、手前に第2静止物が置かれている間も、壁等の第1静止物の距離情報及び第1静止物の存在期間(計測時間)に関する情報は、第1安定度を判定するためには保持する必要があり、第1静止物を遮る第2静止物が移動し、第1静止物が再び観測されたら、遅滞なく再び第1静止物が静止物として安定度が高い物体であると判定される必要がある。この一時的なオクルージョンの発生を考慮した安定度の算出については、図7(B)を参照して後述する。
【0047】
(3-2)距離ヒストグラムの生成及び静止物の距離判定
コントローラ13は、計測点毎に現在までの所定期間において、ライダ3が計測したデータに基づき距離ヒストグラムを所定時間間隔ごとに生成する。この場合、各距離ヒストグラムにおいて集計対象とする期間長は、例えば、物体が静止しているとみなせる最短の時間長となるように定められる。具体的には、上述の期間長は、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」となるように実験等に基づき定められた適合値(例えば10秒)に設定され、当該適合値についてはメモリ12等に予め記憶されている。以後では、各距離ヒストグラムにおいて集計対象とする期間を「ヒストグラム期間」と呼び、当該期間の長さを「ヒストグラム期間長」とも呼ぶ。
【0048】
ここで、ヒストグラム期間長を「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」とする根拠について補足説明する。
【0049】
例えば、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」よりも短い期間(例えば1秒間)、同じ距離が計測されたとしても、通過する物体の側面である可能性等があり、静止物が計測されていない可能性がある。一方、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」だけ同じ距離が計測されれば、それは何かの意図によって置かれた静止物か、立ち止まった人等(一時的に停止した移動体)である可能性が高い。以上を勘案すると、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」だけ同じ距離が計測されれば、次の計測タイミングにおいても同じ場所に物体が引き続き存在する可能性は、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」より短い期間において同じ距離が計測されている場合に比べて高いことが推察される。なお、後述する第2実施例のように、ライダ3による静止物の計測データをサーバにアップロードする場合において、「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」だけ連続して同一距離を計測できた場合に静止物が存在すると判定し、データ送信頻度の決定等に応用することも可能である。
【0050】
なお、距離ヒストグラムを生成する時間間隔は、任意の時間間隔であってもよい。例えば、距離ヒストグラムは、ヒストグラム期間長毎に切れ目なく生成されてもよく、ヒストグラム期間の一部重複を許容してヒストグラム期間長より短い時間間隔により生成されてもよく、ヒストグラム期間長より長い時間間隔により生成されてもよい。
【0051】
また、好適には、コントローラ13は、距離ヒストグラムの各ビン(頻度集計上同一とみなす距離域)に対応する距離が計測された時間(時間帯)を表す計測時間情報を、各距離ヒストグラムと共に生成するとよい。この計測時間情報は、安定度(特に第2安定度)の判定において好適に利用することができる。
【0052】
図5は、ある計測点において距離ヒストグラムの生成において対象となるヒストグラム期間(ここでは10秒間)でのライダ3が計測する距離と時間との関係を示すグラフである。また、図6は、図5に示す距離の計測状況において生成される距離ヒストグラムと、当該距離ヒストグラムの各ビンに対応する計測時間を表す計測時間情報とを示す図である。
【0053】
コントローラ13は、予め定めたビン幅に基づきライダ3が計測する距離を集計することで、図6に示す距離ヒストグラムを生成する。また、コントローラ13は、図5に示す時間と距離との関係に基づき、ビン毎の計測回数を表す計測時間情報を生成している。なお、計測時間は、発生回数に比例し、計測回数にライダ3の計測周期(走査周期)を乗じた時間に相当する。
【0054】
次に、静止物の距離の判定について説明する。コントローラ13は、図6に示されるような距離ヒストグラムに基づいて、静止物の距離を判定する。具体的には、コントローラ13は、距離ヒストグラムにおけるピーク距離(即ち最も多くの回数計測されている距離)を、静止物の距離として抽出する。図6の例では、コントローラ13は、ピーク距離として、距離「r0」を抽出する。そして、コントローラ13は、距離r0が静止物に対する距離であると判定する。これにより、コントローラ13は、静止物の距離を好適に判定することができる。
【0055】
さらに、好適には、コントローラ13は、距離ヒストグラムに付随して生成された計測時間情報に基づき、ピーク距離がヒストグラム期間の全期間(最初から最後までの期間)において発生しているかどうかをさらに判定することで、ピーク距離での静止物の有無を判定してもよい。図5及び図6の例では、ピーク距離r0は、ヒストグラム期間において連続的には発生していないものの、断続的にヒストグラム期間において発生していることから、コントローラ13は、ピーク距離r0において静止物が存在していると判定する。なお、コントローラ13は、例えば、ピーク距離での発生回数がメモリ12等に予め記憶した所定回数以上の場合に、ピーク距離がヒストグラムの全期間において発生していると判定してもよい。図5及び図6の例のように、オクルージョンの発生を考慮し、コントローラ13は、ヒストグラム期間の全期間においてピーク距離が断続的に発生している場合であっても、コントローラ13は、ピーク距離が静止物の距離を表すと判定してもよい。これにより、コントローラ13は、静止物の距離をより的確に判定することができる。
【0056】
また、コントローラ13は、距離ヒストグラムに含まれる、最も遠い観測距離値についても算出する。この場合、コントローラ13は、最も遠い観測距離値として、ノイズの観測距離値が除外されるように、所定閾値以上の頻度により計測されている距離(即ち所定回数以上計測されている距離)の中から最も長い距離を選択する。この最も遠い観測距離値は、後述する安定度情報の生成において用いられる。
【0057】
(3-3)静止物の距離の履歴に基づく安定度情報の生成
次に、安定度情報の生成について説明する。まず、安定度として、第1安定度のみを考慮した場合の安定度情報の生成方法について説明する。
【0058】
コントローラ13は、各計測点について、所定間隔ごとに生成する距離ヒストグラムの各々について、上述の静止物の距離の判定及び最も遠い観測距離値の判定を行う。これにより、計測点毎に、時系列での静止物の距離の判定結果及び最も遠い観測距離値の判定結果が得られる。以後では、時系列での静止物の距離の判定結果を「計測距離履歴」と呼び、時系列での最も遠い観測距離値の判定結果を「最長距離履歴」とも呼ぶ。
【0059】
そして、コントローラ13は、計測距離履歴に基づき、現在計測されている静止物が継続して存在している時間長(「存在期間長Tw」とも呼ぶ。)を算出し、当該存在期間長Twに応じた安定度を表す安定度情報を生成する。この場合、コントローラ13は、計測距離履歴に基づき、現在発生している静止物が、過去に遡っていつの時点まで連続しているかを計測点毎に判定し、過去に遡った時間長を存在期間長Twとして算出する。ここで、安定度情報が表す安定度は、存在期間長Twと同一であってもよく、存在期間長Twが所定の値域になるように正規化した値であってもよい。
【0060】
図7(A)は、ある計測点における計測距離履歴を表すグラフである。図7(A)の例では、距離「r1」の静止物が時刻「t1」から現在までの時間長「Tw1」だけ継続して存在している。なお、ここでは、ヒストグラム期間ごとに判定される静止物の距離が時刻t1から現在までにおいて常に距離r1であったことを示している。一方、時刻t1以前では、距離r1よりも遠い距離r0の静止物が存在している。従って、距離r1の物体が時刻t1以前から継続して存在しているとはみなせない。
【0061】
以上から、この場合、コントローラ13は、対象の計測点において、距離r1の静止物が現存しており、その存在期間長Twは、時刻t1から現在までの時間長「Tw1」であると判定する。そして、コントローラ13は、対象の計測点に対して、時間長Tw1に応じた安定度を表す安定度情報を生成する。
【0062】
また、好適には、コントローラ13は、距離が同一となる静止物の計測が一時的に途切れていても、計測が途切れた期間において当該静止物よりも遠い(計測距離が長い)物体(静止物でなくともよい)が計測されていなければ、計測が一時的に途切れた静止物は連続しているとみなすとよい。この場合、コントローラ13は、計測が途切れた期間において当該静止物よりも計測距離が長い距離が最長距離履歴に含まれていなければ、計測が一時的に途切れた静止物は連続しているとみなす。そして、コントローラ13は、計測が途切れた期間を含めて存在期間長Twを計算する。この場合、例えば、コントローラ13は、計測が一時的に途切れる直前の時点において計算される存在期間長Twが、途切れた期間長よりも所定倍数以上長い場合に、計測が途切れた期間を含めて存在期間長Twを計算するとよい。上述の所定倍数は、例えば予めメモリ12等に記憶された適合値に設定される。これにより、長時間存在する壁など安定して設けられた物体がオクルージョンにより一時的に計測されなくなった場合であっても、コントローラ13は、壁などの不動の静止物の安定度情報における安定度を高く設定することができる。
【0063】
図7(B)は、他の例に係る計測距離履歴を表すグラフである。図7(B)の例では、距離r0の静止物が、現在から時刻「t3」まで継続して存在している。一方、時刻t3以前では、時刻t2から時刻t3までの期間において距離r1の静止物が継続して存在し、さらに時刻t1から時刻t2までの期間において距離r0の静止物が継続して存在している。このように、図7(B)では、距離r0の静止物の計測が距離r1の物体の存在により一時的に途切れている。
【0064】
この場合、コントローラ13は、計測が一時的に途切れた時刻t2から時刻t3までの期間長と、計測が途切れる直前に距離r0が計測された時刻t1から時刻t2までの期間長とを比較し、後者の期間長が前者の期間長より所定倍数以上長いと判定する。この場合、コントローラ13は、計測が一時的に途切れた時刻t2から時刻t3までの期間を含む時刻t1から現在までの時間長「Tw2」を、存在期間Twとみなす。
【0065】
このように、コントローラ13は、断続的にある距離が計測されている場合に、当該距離の計測が途絶える期間とその前の当該距離が継続して計測されている期間との長さに基づき、断続的に計測された期間の長さを、当該距離の存在期間長Twとみなす。これにより、コントローラ13は、オクルージョンの影響を排除し、第1安定度が高い静止物の安定度情報における安定度を高く設定することができる。
【0066】
以上のように、コントローラ13は、計測距離履歴に基づき、計測点毎に的確に存在期間長Twを算出し、計測点毎の安定度を好適に決定することができる。そして、コントローラ13は、決定した安定度と現在の計測距離との組を計測点毎に表す安定度情報を生成する。なお、コントローラ13は、安定度情報の生成を所定時間間隔ごとに行い、生成した安定度情報をメモリ12等に記憶する。同様に、コントローラ13は、計測点毎の計測距離履歴を、次回の安定度情報の算出に用いることができるようにメモリ12等に記憶しておく。
【0067】
(3-4)第2安定度を考慮した安定度情報の生成
次に、第2安定度を考慮した安定度情報の生成について説明する。コントローラ13は、距離ヒストグラムに付随して生成された計測時間情報をさらに用いて安定度情報を生成する。
【0068】
この場合、まず前提として、コントローラ13は、距離ヒストグラムに基づき静止物の判定を行うときに、静止物と判定したピーク距離の発生頻度(即ちヒストグラム期間長におけるピーク距離の計測時間の割合)を算出する。例えば、図6の距離ヒストグラムにおけるピーク距離r0の発生頻度(割合)は、60%程度となる。
【0069】
そして、安定度情報の第1生成例では、コントローラ13は、存在期間長Twを構成するヒストグラム期間長の各々に、対応するピーク距離の発生頻度(割合)を乗じた値の合計値(「重み付け合計値」とも呼ぶ。)を算出する。この重み付け合計値は、対象の静止物の発生頻度に基づき重み付けされた存在期間長Twに相当する。
【0070】
例えば、図7(A)の例では、時刻t1から現在までに属する全てのヒストグラム期間についてピーク距離r1の発生頻度を算出し、各ヒストグラム期間長に対して算出した発生頻度を乗じた値の総和を、重み付け合計値として算出する。そして、コントローラ13は、重み付け合計値又はこれを所定の値域になるように正規化した値を安定度とする安定度情報を生成する。この方法によれば、コントローラ13は、第2安定度を考慮した安定度情報を好適に生成することができる。
【0071】
安定度情報の第2生成例では、コントローラ13は、存在期間長Twとは別に、存在期間を構成する各ヒストグラム期間に対応する計測時間情報が表すピーク距離の発生頻度(割合)に基づき、第2安定度を算出する。例えば、この場合、コントローラ13は、対象の存在期間を構成する各ヒストグラム期間におけるピーク距離の発生頻度の合計値又は当該合計値を正規化した値を、第2安定度として算出する。そして、コントローラ13は、存在期間長Twに基づき定めた第1安定度と、上述の合計値に基づく第2安定度とに基づき、これらを総合する安定度を平均(重み付け平均を含む)等の統計処理により算出し、算出した安定度を表す安定度情報を生成する。この方法によっても、コントローラ13は、第1安定度と第2安定度とを総合した安定度を表す安定度情報を好適に生成することができる。なお、コントローラ13は、第1安定度と第2安定度とを総合した安定度を表す安定度情報を生成する代わりに、第1安定度と第2安定度とを夫々示した安定度情報を生成してもよい。
【0072】
また、コントローラ13は、重み付け合計値の算出において、現在に近い時間帯を重視するように、重み付けを行ってもよい。例えば、コントローラ13は、対象となる各ヒストグラム期間に対して、現在の時間帯(例えば1日を所定時間ごとに区切った時間帯)に属するか否か(または近さ)に応じた重みを設定する。この重みは、現在の時間帯に属する場合(又は近いほど)に高い値に設定される。なお、コントローラ13は、この重みに対し、上述の安定度情報の第1生成例に用いた計測時間情報に基づくピーク距離の発生頻度に相当する重みをさらに乗じてもよい。そして、コントローラ13は、ヒストグラム期間ごとに設定した重みをヒストグラム期間長に乗じた値の合計値又は当該合計値を正規化した値を、安定度として算出する。
【0073】
このようにすることで、コントローラ13は、現状に近い状況の距離計測結果を重視した安定度情報を好適に生成することができる。
【0074】
(3-5)処理フロー
図8は、第1実施形態において情報処理装置1が実行する安定度情報の生成・更新処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【0075】
まず、情報処理装置1のコントローラ13は、ライダ3が計測する点群データを、インターフェース11を介して取得し、メモリ12等に記憶する(ステップS11)。そして、コントローラ13は、距離ヒストグラムの生成タイミングであるか否か判定する(ステップS12)。例えば、コントローラ13は、予め定められた距離ヒストグラムの作成時間間隔及びヒストグラム期間長に基づき、次に作成すべきヒストグラム期間を認識し、当該ヒストグラム期間における点群データがステップS11で取得済みの場合に、距離ヒストグラムの生成タイミングであると判定する。なお、距離ヒストグラムの作成時間間隔及びヒストグラム期間長に関する情報は、予めメモリ12等に記憶されている。
【0076】
そして、コントローラ13は、距離ヒストグラムの生成タイミングである場合(ステップS12;Yes)、ステップS13へ処理を進める。一方、コントローラ13は、距離ヒストグラムの生成タイミングではない場合(ステップS12;No)、ステップS11へ処理を戻す。
【0077】
次に、コントローラ13は、距離ヒストグラムの生成タイミングである場合に、ライダ3の計測点毎に、対象のヒストグラム期間に対応する距離ヒストグラムを生成し、当該ヒストグラム期間での静止物の距離判定を行う(ステップS13)。なお、コントローラ13は、第2安定度を考慮した安定度情報の生成を行う場合には、距離ヒストグラムに加えて、ビン毎の計測距離の計測時間を示す計測時間情報をさらに生成する。
【0078】
そして、コントローラ13は、計測点毎に判定した静止物の距離判定結果に基づき、計測距離履歴を更新する(ステップS14)。これにより、ステップS13で算出された最新のヒストグラム期間に対応する静止物の距離判定結果が追加された計測距離履歴がメモリ12等に記憶される。また、ステップS13で計測時間情報を生成した場合には、コントローラ13は、計測時間情報を静止物の距離判定結果に関連付けて計測距離履歴に追加する。なお、計測距離履歴に追加される計測時間情報は、ビン毎の計測時間を表す情報(図6参照)である必要はなく、静止物の距離と判定されたピーク距離の計測時間又はこれに基づく計測頻度の割合に関する情報であってもよい。
【0079】
そして、コントローラ13は、安定度情報の生成タイミングであるか否か判定する(ステップS15)。そして、安定度情報の生成タイミングである場合(ステップS15;Yes)、コントローラ13は、メモリ12等に記憶されている計測距離履歴に基づき、計測点毎の安定度を示す安定度情報を生成し、生成した安定度情報をメモリ12等に記憶する(ステップS16)。
【0080】
次に、コントローラ13は、処理を終了すべきか否か判定する(ステップS17)。例えば、コントローラ13は、ライダ3のスキャンが停止された場合、又は、コントローラ13の処理の停止指示を検知した場合などの所定の条件が満たされた場合に、処理を終了すべきと判定する。そして、コントローラ13は、処理を終了すべきと判定した場合(ステップS17;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、コントローラ13は、処理を継続すべきと判定した場合(ステップS17;No)、ステップS11へ処理を戻す。
【0081】
(4)変形例
次に、第1実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の第1実施例に適用してもよい。
【0082】
(変形例1)
コントローラ13は、第1安定度の代わりに、第2安定度を表す安定度情報を生成してもよい。
【0083】
この場合、例えば、コントローラ13は、「(3-4)第2安定度を考慮した安定度情報の生成」のセクションで説明した第2生成例に基づき算出した第2安定度を表す安定度情報を生成する。これによっても、コントローラ13は、ライダ3の計測データの送信処理等において有用な安定度情報を好適に生成することができる。
【0084】
なお、この場合、コントローラ13は、ヒストグラム期間長を「物体が静止しているとみなせる最短の時間長」に定めてヒストグラム期間を所定間隔ごとに定める代わりに、安定度の算出において考慮する全期間(例えば1年)を1つのヒストグラム期間に定めてもよい。この場合、コントローラ13は、1つのヒストグラム期間に対応する距離ヒストグラム及び計測時間情報に基づき、ピーク距離の発生頻度(割合)を算出し、当該発生頻度又はその正規化値を第2安定度として算出する。本変形例に基づき安定度情報が生成された場合であっても、計測データの送信制御等の種々の用途において有用な安定度情報を生成することができる。
【0085】
(変形例2)
ライダ3に限られず、距離(奥行き方向の位置)を計測可能な他の外界センサ(距離を計測可能なカメラ等)であってもよい。この場合であっても、情報処理装置1は、外界センサが計測する計測点毎の時系列での距離の計測結果に基づき、安定度情報を好適に生成することができる。
【0086】
以上説明したように、第1実施例に係る情報処理装置1のコントローラ13は、距離を固定位置から計測する計測装置であるライダ3による計測点毎の時系列での距離の計測結果を取得する。そして、コントローラ13は、取得した計測結果に基づき、計測点毎に、計測される距離の計測頻度を表す距離ヒストグラムを算出する。そして、コントローラ13は、距離ヒストグラムに基づき、計測点毎に静止物が計測される安定度を表す安定度情報を生成する。これにより、コントローラ13は、計測したデータの送信制御等において有用な安定度情報を好適に生成することができる。
【0087】
<第2実施例>
(1)データ収集システムの構成
図9は、第2実施例におけるデータ収集システムの概略構成を示す。データ収集システムは、ライダユニット100Aと、データ収集装置200とを有する。そして、データ収集システムは、ライダユニット100Aにおいて生成された計測データをデータ収集装置200が収集及び管理する場合に、ライダユニット100Aからデータ収集装置200に送信するデータ量を好適に削減する。
【0088】
ライダユニット100Aは、情報処理装置1Aと、センサ群2とを有する。情報処理装置1Aは、図2に示される第1実施例における情報処理装置1のハードウェア構成と同様、インターフェース11と、メモリ12と、コントローラ13とを有する。そして、情報処理装置1Aのコントローラ13は、ライダ3が計測したデータを、インターフェース11を介してアップロード情報「Iu」としてデータ収集装置200に送信する。また、アップロード情報Iuの送信処理において、情報処理装置1Aのコントローラ13は、安定度情報に基づきライダ3の計測点毎のデータ送信頻度の制御を行う。また、情報処理装置1Aのコントローラ13は、第1実施例の情報処理装置1と同様に安定度情報の生成・更新処理を行い、生成・更新された安定度情報をメモリ12等に記憶する。コントローラ13は、「取得手段」、「判定手段」、「生成手段」、「送信頻度制御手段」、「送信手段」及びコンピュータの一例である。
【0089】
データ収集装置200は、ライダによる計測データを収集する装置であり、情報処理装置1からアップロード情報Iuを受信し、受信したアップロード情報Iuを記憶する。なお、図1では、ライダユニット100Aが1セットのみ図示されているが、これに代えて、複数のライダユニット100Aが存在してもよい。この場合、データ収集装置200は、各ライダユニット100Aからアップロード情報Iuを受信する。
【0090】
(2)アップロード情報送信処理
次に、情報処理装置1Aによるアップロード情報の送信処理について説明する。情報処理装置1Aは、ライダ3により静止物を計測した場合、当該静止物の安定度に応じた頻度により計測したデータを送信するように、計測点毎に現タイミングでの送信要否を判定する。
【0091】
(2-1)静止物の判定
ここで、静止物を計測したか否かの判定方法について説明する。情報処理装置1Aは、計測点毎に、存在すると想定される静止物の距離(「想定距離」とも呼ぶ。)と、現在(即ち判定時)の計測距離との差分を算出し、当該差分と閾値(「静止物判定閾値」とも呼ぶ。)とを比較する。そして、情報処理装置1Aは、想定距離と計測距離との差分が静止物判定閾値以下である場合に、想定された静止物が計測されたと判定する。静止物判定閾値の設定方法については後述する。想定距離は、計測点毎に想定される計測距離であり、安定度情報に含まれる静止物の距離であってもよく、1時刻前に計測された距離であってもよい。
【0092】
次に、静止物判定閾値の設定方法について説明する。上記の静止物判定閾値の第1決定方法では、情報処理装置1Aは、予めメモリ12等に記憶された固定値に静止物判定閾値を定める。この場合、静止物判定閾値は、計測点毎に異なる値であってもよく、各計測点で共通の値であってもよい。静止物判定閾値の第2決定方法では、情報処理装置1Aは、対象の計測点において想定される静止物の計測距離のブレ(ばらつき)に基づいて静止物判定閾値を決定する。静止物判定閾値の第3決定方法では、情報処理装置1Aは、安定度情報が示す安定度に基づいて、静止物判定閾値を決定する。なお、後述するように、情報処理装置1Aは、第2決定方法と第3決定方法とを組み合わせて静止物判定閾値を決定してもよい。
【0093】
ここで、静止物判定閾値の第2決定方法について具体的に説明する。図10(A)は、ある計測点における計測距離の時間変化を表すグラフである。この計測距離の時間変化は、対象の計測点において想定される静止物が計測されている期間(例えば存在期間長Twに相当する期間)での計測距離の推移を示している。また、図10(B)は、図10(A)の計測距離の頻度集計の結果を表すヒストグラムである。また、破線80は、安定度情報に含まれる静止物の距離(代表的な距離)を表す。矢印81は、所定割合(例えば9割5分)の計測距離が分布する計測距離の範囲を示す。
【0094】
この場合、情報処理装置1Aは、対象の計測点において想定される静止物が過去に計測された期間での計測距離の分散を算出し、分散に応じて静止物判定閾値を設定する。この場合、情報処理装置1Aは、所定の式等に基づき、上述の分散が大きいほど設定すべき静止物判定閾値を大きくする。これにより、情報処理装置1Aは、静止物判定閾値を用いて静止物であると判定される範囲が矢印81に示される範囲(即ち対象の静止物に対するほぼ全ての過去の計測距離が収まる範囲)となるように静止物判定閾値を好適に設定する。
【0095】
次に、静止物判定閾値の第3決定方法について具体的に説明する。情報処理装置1Aは、例えば、所定の式等に基づき、安定度情報が示す安定度が高いほど、静止物判定閾値を大きくする。このように、情報処理装置1Aは、安定度が高いほど、静止物であると判定しやすい方向に静止物判定閾値を変化させる。これにより、情報処理装置1Aは、安定度が高い計測点に対応する計測結果を計測誤差等に起因して不要にデータ収集装置200にアップロードするのを好適に抑制する。この場合、好適には、情報処理装置1Aは、第2安定度に基づき、静止物判定閾値を決定するとよい。この場合には、情報処理装置1Aは、オクルージョンの発生等が生じにくい計測点には、静止物であると判定しやすい方向に静止物判定閾値を設定することになる。これにより、情報処理装置1Aは、距離が安定的に計測される計測点に対応する計測結果を、不要にデータ収集装置200にアップロードするのを好適に抑制することができる。
【0096】
なお、情報処理装置1Aは、第2決定方法と第3決定方法を組み合わせて静止物判定閾値を決定してもよい。この場合、情報処理装置1Aは、例えば、第2決定方法において算出する分散と、第3決定方法において使用する安定度とに基づき、所定の式又はルックアップテーブルを参照して静止物判定閾値を決定する。
【0097】
(2-2)送信タイミング
次に、アップロード情報Iuの送信タイミングについて具体的に説明する。情報処理装置1Aは、計測点毎に想定距離と現在の計測距離との差分と静止物判定閾値とを比較し、当該差分が静止物判定閾値より大きくなった計測点における現在の計測データを、アップロード情報Iuとして即時にデータ収集装置200に送信する。この場合、情報処理装置1Aは、対象となる計測点において想定される静止物と異なる物体が計測されたと判定し、最新のライダ3の計測結果をデータ収集装置200に好適にアップロードする。これにより、情報処理装置1Aは、予測される計測結果と異なる計測点に関する計測結果を送信対象として限定的に送信し、データ量を好適に抑制することができる。
【0098】
また、情報処理装置1Aは、計測点毎に想定距離と現在の計測距離との差分が静止物判定閾値以下となる計測点に対する計測データについては、安定度情報が表す安定度に基づき決定した送信頻度(送信間隔)によりデータ収集装置200に送信する。この場合、安定度と送信頻度との関係を予め定めた式又はルックアップテーブルが予めメモリ12等に記憶されており、情報処理装置1Aは、この式等を参照して送信頻度を決定する。例えば、情報処理装置1Aは、存在期間長Twが1時間に相当する安定度となる計測点の計測データについては、10分に1度のみ送信し、存在期間長Twが1日に相当する安定度となる計測点の計測データについては、1時間に1度のみ送信し、存在期間長Twが1秒に相当する安定度となる計測点の計測データについては、毎フレーム送信する。
【0099】
これらの場合、情報処理装置1Aは、直前の送信タイミングから現在までの時間間隔が、安定度に基づき送信頻度を決定した送信頻度に対応する時間間隔以上となる計測点に対応する計測結果を、アップロード情報Iuとしてデータ収集装置200に送信する。これにより、情報処理装置1Aは、安定度に応じた適切な頻度により、各計測点での計測結果をデータ収集装置200にアップロードすることができる。
【0100】
(2-3)処理フロー
図11は、情報処理装置1Aが実行するアップロード処理の手順を表すフローチャートの一例である。なお、情報処理装置1Aは、図11に示されるアップロード処理を、図8の安定度情報の生成・更新処理のフローチャートと並行して実行してもよい。
【0101】
まず、情報処理装置1Aは、1回の走査によりライダ3により計測された各計測点の計測結果を含む点群データを取得する(ステップS21)。
【0102】
そして、情報処理装置1Aは、計測点毎に、安定度情報等に基づく想定距離と、ステップS21で取得した点群データに基づく計測距離との差分を算出する(ステップS22)。さらに、情報処理装置1Aは、計測点毎に静止物判定閾値を決定する(ステップS23)。この場合、情報処理装置1Aは、静止物判定閾値をメモリ等に記憶された値に定めてもよく、計測距離の分散又は/及び安定度に基づき適応的に静止物判定閾値を決定してもよい。
【0103】
そして、情報処理装置1Aは、ステップS22で算出した差分がステップS23で決定した静止物判定閾値より大きい計測点が存在するか否か判定する(ステップS24)。そして、情報処理装置1Aは、上述の差分が静止物判定閾値より大きい計測点が存在する場合(ステップS24;Yes)、想定される静止物以外の物体が当該計測点において検出されたと判定し、該当する計測点の計測データをアップロード情報Iuとして即時にデータ収集装置200にアップロードする(ステップS25)。また、情報処理装置1Aは、差分が静止物判定閾値以下となる計測点の計測データについては、後述するステップS27及びステップS28の処理を実行する(ステップS26)。これにより、情報処理装置1Aは、想定された静止物が検出された計測点の計測結果については、安定度に基づく送信頻度によりアップロード情報Iuとして計測データをデータ収集装置200にアップロードする。
【0104】
一方、情報処理装置1Aは、上述の差分が静止物判定閾値より大きい計測点が存在しない場合(ステップS24;No)、各計測点について、安定度情報が表す計測点毎の安定度に基づいて送信頻度を計測点毎に決定する(ステップS27)。そして、情報処理装置1Aは、ステップS27で決定した送信頻度に基づく送信タイミングとなる計測点での計測結果をアップロード情報Iuとしてデータ収集装置200にアップロードする(ステップS28)。なお、情報処理装置1Aは、任意の可逆圧縮又は不可逆圧縮により圧縮したアップロード情報Iuを、データ収集装置200に送信してもよい。
【0105】
次に、コントローラ13は、処理を終了すべきか否か判定する(ステップS29)。例えば、コントローラ13は、ライダ3のスキャンが停止された場合、又は、コントローラ13の処理の停止指示を検知した場合などの所定の条件が満たされた場合に、処理を終了すべきと判定する。そして、コントローラ13は、処理を終了すべきと判定した場合(ステップS29;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、コントローラ13は、処理を継続すべきと判定した場合(ステップS29;No)、ステップS21へ処理を戻す。
(3)変形例
次に、第2実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の第2実施例に適用してもよい。
【0106】
(変形例1)
情報処理装置1Aは、第1実施例に相当する安定度情報の生成・更新処理を行う代わりに、予め生成した安定度情報をメモリ12等に予め記憶してもよい。この場合、安定度情報には、例えば、ライダ3の計測範囲内において、計測されると想定される静止物までの距離及び安定度に関する情報が含まれている。そして、情報処理装置1Aは、このような安定度情報を参照した場合であっても、安定度情報が表す計測点毎の安定度に基づき、静止物の計測点毎の計測データの送信頻度の決定及び静止物判定に用いる静止物判定閾値の決定等を好適に実行することができる。
【0107】
(変形例2)
ライダユニット100Aは、ライダ3に代えて、ライダ3以外の距離計測を行う外界センサ、又は、距離計測を行わないカメラを備えてもよい。
【0108】
例えば距離計測できないカメラをライダユニット100Aが備える場合、各画素に対応する計測点毎に静止物が計測される安定度を表す安定度情報がメモリ12等に記憶されている。そして、情報処理装置1Aは、カメラが生成した画像に基づき、公知の物体認識技術などを用いて静止物が存在する画像領域を検出し、静止物が存在すると判定した画素(計測点)に対し、安定度情報が表す計測点毎の安定度に基づき、データの送信頻度を決定する。一方、情報処理装置1Aは、静止物が存在する画像領域以外の領域のデータについては、アップロード情報Iuとして即時にデータ収集装置200に送信する。このように、本変形例によれば、ライダ3以外の計測装置の計測結果をデータ収集装置200に送信する場合においても、送信すべきデータ量を好適に削減することができる。
【0109】
以上説明したように、本実施例に係る情報処理装置1のコントローラ13は、固定位置から計測する計測装置であるライダ3による計測方向毎の計測結果を取得する。そして、コントローラ13は、取得した計測結果に基づき、想定される静止物が計測されたか否かを計測点毎に判定する。そして、コントローラ13は、静止物が計測されたと判定された計測点に対する計測結果をデータ収集装置200に送信する送信頻度を、当該計測点における安定度に基づき決定する。これにより、コントローラ13は、想定される静止物が計測された計測点に対応する計測結果の送信頻度を的確に定め、アップロード情報Iuのデータ量の増加を好適に抑制することができる。
【0110】
なお、上述した実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるコントローラ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0111】
以上、実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0112】
1、1A 情報処理装置
2 センサ群
3 ライダ
100、100A ライダユニット
200 データ収集装置
図1
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図4
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図11