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特許7577849ファイル提供方法、スキャナ、及び、ファイル提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ファイル提供方法、スキャナ、及び、ファイル提供システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241028BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 127A
H04N1/00 L
H04N1/21
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023523764
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019818
(87)【国際公開番号】W WO2022249286
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】長越 徳仁
(72)【発明者】
【氏名】木下 麻子
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-007483(JP,A)
【文献】特開2001-036701(JP,A)
【文献】特開2018-206201(JP,A)
【文献】特開2019-053632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/21
G03G 21/00
G06F 12/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナが、スキャン処理により生成されたデータファイルを、インターネット上のファイル中継装置にアップロードするステップと、
ファイル中継装置が、アップロードされた前記データファイルを一時保存場所に保存するステップと、
前記スキャナが、前記一時保存場所のURLを示す情報を表示するステップと、
前記ファイル中継装置が、前記URLに基づくウェブアクセスに応じて、前記一時保存場所に保存しているデータファイルを返信するステップと
前記データファイルの返信を許可するための操作を受け付けるステップと、
を有し、
前記返信するステップにおいて、前記スキャナが、許可するための操作を受け付けたことを条件として、前記ファイル中継装置は、前記一時保存場所に保存しているデータファイルの返信を可能にする
データファイル提供方法。
【請求項2】
前記ファイル中継装置が、データファイルの返信を完了した後に、このデータファイルを前記一時保存場所から削除するステップ
をさらに有する請求項1に記載のデータファイル提供方法。
【請求項3】
データファイルがアップロードされた時、又は、前記URLを示す情報がスキャナで表示可能になった時から、一定の時間が経過したことを条件として、前記ファイル中継装置が、前記一時保存場所に保存された前記データファイルを削除するステップ
をさらに有する請求項1又は2に記載のデータファイル提供方法。
【請求項4】
前記表示するステップにおいて、前記スキャナは、前記一時保存場所のURLを示す二次元コードを表示する
請求項1からのいずれか一項に記載のデータファイル提供方法。
【請求項5】
スキャン動作を開始するための第1の操作が行われると、自動的にインターネット上のサーバにアクセスするアクセス部と、
前記アクセス部によりアクセスしたサーバに対して、スキャン処理により生成されたデータファイルを自動的に送信する送信部と、
前記サーバから受信した、前記データファイルが保存されている保存場所のURLを示す情報を表示するURL表示部と
前記サーバからの前記データファイルの返信を許可するための第2の操作を受け付ける受付部と、
を有し、
前記サーバからの前記データファイルの返信を可能にするための条件は、前記受付部が、前記第2の操作を受け付けたことである
スキャナ。
【請求項6】
前記送信部は、前記スキャン動作が開始されると、スキャンされたデータを順次、前記サーバに送信し、
前記スキャン動作の途中にエラーが発生した場合に、送信したデータの削除を前記サーバに依頼する削除依頼部
をさらに有する請求項に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記アクセス部は、前記スキャナの工場出荷時から予め登録されたアクセス先情報に基づいて、自動的に前記サーバにアクセスする
請求項に記載のスキャナ。
【請求項8】
スキャナと、このスキャナとインターネットを介して接続するファイル中継装置とを含むファイル提供システムであって、
前記スキャナは、
スキャン動作を開始するための第1の操作が行われると、前記ファイル中継装置にアクセスするアクセス部と、
前記アクセス部によりアクセスした前記ファイル中継装置に対して、スキャン処理により生成されたデータファイルを送信する送信部と、
前記データファイルの保存場所のURLを示す情報を表示するURL表示部と
前記ファイル中継装置からの前記データファイルの返信を許可するための第2の操作を受け付ける受付部と、
を有し、
前記ファイル中継装置は、
前記スキャナの送信部から受信したデータファイルを既定の保存場所に保存するファイル格納部と、
前記URLに基づく前記スキャナのウェブアクセスに応じて、前記保存場所に保存しているデータファイルを返信するファイル返信部と
を有し、
前記ファイル返信部は、前記受付部が、前記第2の操作を受け付けたことを条件として、前記保存場所に保存しているデータファイルの返信を可能にする
ファイル提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイル提供方法、スキャナ、及び、ファイル提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、デジタル複写機1は読み取った原稿の画像データをウェブサーバ4に送信し、デジタル複写機1は、送信された画像の保存先のURLを、インターネットを介してパソコン3a、3bにメール形式で送信し、デジタル複写機1からのメールを受信したパソコン3a、3bのユーザは、メールにより指定されたURLにアクセスすることにより、デジタル複写機1で読み取られた画像を閲覧したり、パソコン3a、3bにダウンロードしたりすることができるネットワークシステムが開示されている。
また、特許文献2には、スキャナ12に原稿のイメージデータを生成させ、パスワードを自動生成した後、そのイメージデータのファイルを、当該パスワードを知っている者のみがWebブラウザを利用してダウンロード可能な形でサーバ装置(アップロード用Webサーバ42)にアップロードする処理を行うと共に、指定された送信先アドレスを宛先アドレスとし、アップロードファイルに関するURL及びパスワードを本文に含めたスキャンメールを送信する処理を行うスキャンメール送信システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、保存領域確保要求部22は、サーバ装置50に対して、画像印刷の依頼に応じた特定画像データの保存領域72の確保を要求し、画像コード生成部23は、保存領域72へのアクセス用URLが記録されたQRコードAc_QRを生成し、表示制御部24は、QRコードAc_QRを表示部40に表示し、特定画像データ取得部25は、アクセス用URLを用いてサーバ装置50から特定画像データPdatを取得し、印刷制御部26は、特定画像データを印刷部43に入力して画像を印刷する印刷システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、端末から画像データを受信し、前記画像データに対応する識別情報を生成し、前記識別情報と前記画像データとを対応付けて保存し、前記識別情報を示す二次元コード画像を生成し、前記二次元コード画像を前記端末へ送信するサーバ装置と、携帯端末の表示部に表示された前記二次元コード画像を読み取って前記識別情報を取得し、前記識別情報を前記サーバ装置へ通知するプリント装置と、を備え、前記サーバ装置は前記プリント装置から通知された識別情報に対応する画像データを前記プリント装置へ送信し、前記プリント装置は前記サーバ装置から受信した画像データを用いてプリント処理を行い、印画物を出力することを特徴とするプリントシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-129976
【文献】特開2004-086731
【文献】特開2020-044769
【文献】特開2019-192016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
簡易な手順でスキャナを適切に共用できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るデータファイル提供方法は、スキャナが、スキャン処理により生成されたデータファイルを、インターネット上のファイル中継装置にアップロードするステップと、ファイル中継装置が、アップロードされた前記データファイルを一時保存場所に保存するステップと、前記スキャナが、前記一時保存場所のURL(Uniform Resource Locator)を示す情報を表示するステップと、前記ファイル中継装置が、前記URLに基づくウェブアクセスに応じて、前記一時保存場所に保存しているデータファイルを返信するステップとを有する。
【0008】
好適には、前記スキャナが、データファイルの返信を許可するための操作を受け付けるステップをさらに有し、前記返信するステップにおいて、前記スキャナが、許可するための操作を受け付けたことを条件として、前記ファイル中継装置は、前記一時保存場所に保存しているデータファイルの返信を可能にする。
【0009】
好適には、前記ファイル中継装置が、データファイルの返信を完了した後に、このデータファイルを前記一時保存場所から削除するステップをさらに有する。
【0010】
好適には、データファイルがアップロードされた時、又は、前記URLを示す情報がスキャナで表示可能になった時から、一定の時間が経過したことを条件として、前記ファイル中継装置が、前記一時保存場所に保存された前記データファイルを削除するステップをさらに有する。
【0011】
好適には、前記表示するステップにおいて、前記スキャナは、前記一時保存場所のURLを示す二次元コードを表示する。
【0012】
また、本発明に係るスキャナは、スキャン動作を開始するための操作が行われると、自動的にインターネット上のサーバにアクセスするアクセス部と、前記アクセス部によりアクセスしたサーバに対して、スキャン処理により生成されたデータファイルを自動的に送信する送信部と、前記サーバから受信したURLを示す情報を表示するURL表示部とを有する。
【0013】
好適には、前記送信部は、前記スキャン動作が開始されると、スキャンされたデータを順次、前記サーバに送信し、前記スキャン動作の途中にエラーが発生した場合に、送信したデータの削除を前記サーバに依頼する削除依頼部をさらに有する。
【0014】
好適には、前記アクセス部は、前記スキャナの工場出荷時から予め登録されたアクセス先情報に基づいて、自動的に前記サーバにアクセスする。
【0015】
また、本発明に係るファイル提供システムは、スキャナと、このスキャナとインターネットを介して接続するファイル中継装置とを含むファイル提供システムであって、前記スキャナは、スキャン動作を開始するための操作が行われると、前記ファイル中継装置にアクセスするアクセス部と、前記アクセス部によりアクセスした前記ファイル中継装置に対して、スキャン処理により生成されたデータファイルを送信する送信部と、前記データファイルの保存場所のURLを示す情報を表示するURL表示部とを有し、前記ファイル中継装置は、前記スキャナの送信部から受信したデータファイルを既定の保存場所に保存するファイル格納部と、前記URLに基づく前記スキャナのウェブアクセスに応じて、前記保存場所に保存しているデータファイルを返信するファイル返信部とを有する。
【発明の効果】
【0016】
簡易な手順でスキャナを適切に共用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ファイル提供システム1の全体構成を例示する図である。
図2】ファイル提供サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。
図3】スキャナ4のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図4】ファイル提供サーバ2の機能構成を例示する図である。
図5】スキャナ4の機能構成を例示する図である。
図6】管理データベース370に登録される情報を例示する図である。
図7】ファイル提供システム1における全体動作の概要を説明する図である。
図8】ファイル提供システム1における全体動作(S10)を説明するシーケンス図である。
図9】ファイル提供システム1におけるスキャナ側の処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図10】ファイル提供システム1におけるサーバ側の処理(S30)をより詳細に説明するフローチャートである。
図11】変形例におけるサーバプログラム32及びスキャナプログラム52の機能構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
スキャナや複合機のスキャン機能を利用してスキャンデータを取得する方法としては、一旦パーソナルコンピュータのローカルストレージ、ネットワークフォルダ、又はクラウドストレージ等へスキャンデータを保存し、その後該当データを参照や複製する方法が一般的である。また、スキャン機能の利用者は、該当スキャナの所有者(或いは利用者の属する組織体が所有者)であることを前提としていることが多く、スキャン機能を利用するためには、まずドライバソフトウェアやモバイルアプリケーションのインストールと読み取り設定や保存先設定が必要となる。また、スキャナや複合機がスタンドアロンで動作可能な場合でも、同様にスキャナや複合機本体の事前設定が必要である。これらの設定はスキャナや複合機の所有者に依存しており、第三者が快適に利用することは一般的には難しい。
【0019】
一方、広義の意味でイメージデータを提供するサービスとして、例えばプリントシール機(所謂プリクラ)や証明写真機等が挙げられるが、これらの機器は、はじめから不特定多数が利用する前提で機能設計されており、事前準備無く、或いは少ない準備で、撮影写真と撮影イメージデータを取得することができる。スキャナにおいても利用者を限定したくない利用シーン(パブリックスペースでの共有スキャナ等)や潜在ニーズ(出張者の一時的な利用等)は拡大していると考えられる。これらのニーズに対応しスキャン機能の利用者や市場を拡大するためには、事前の設定が不要で、誰でも最短、最小手順でスキャンデータを取得できることが重要である。
上記例に挙げたプリントシール機や証明写真機等では、利用者の主目的は撮影写真の取得である。撮影イメージデータは、リサイズや追加印刷等の目的で後日必要になることが多く、ある程度の期間イメージデータを機器内やサーバ等に保存しておく必要がある。一方で、スキャナの場合は、プリントシール機や証明写真機などとは異なり、原稿等のスキャンデータを取得することがスキャンを行う目的であり、プリントシール機や証明写真機などとは逆のニーズで成り立っている。スキャナの利用者はスキャン後、即座にスキャンデータを獲得できればスキャンの目的を達成できる。また、その後のスキャンデータの保存先等については利用者自身が決定すればよく、利用者はスキャンデータを保存した後は、スキャナを継続的に利用しない。よって、スキャンデータはサーバなどに一時的に保存されるが、利用者がそのスキャンデータを取得した後は、サーバはそのスキャンデータを保存し続ける必要はなく、利用者が取得して不要になったタイミングで削除できる。
上記の通りスキャナを、利用者を限定しないパブリックなものとし、利用者が望む真のニーズである「スキャン後、即座にスキャンデータを獲得する」を提唱し、この直感的なユーザーニーズを満たすことで、ユーザ体験や満足度の向上が期待できる。
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、ファイル提供システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、ファイル提供システム1は、ファイル提供サーバ2と、スキャナ4と、ユーザ端末6とを含み、スキャナ4及びユーザ端末6は、インターネット7を介してファイル提供サーバ2に接続している。
ファイル提供サーバ2は、サーバ装置であり、スキャナ4から受信したデータファイルを一時保存場所に格納し、ユーザ端末6からの要求に応じて、一時保存場所に格納していたデータファイルをユーザ端末6に返信する。
スキャナ4は、原稿から光学的に画像を読み取る画像読取装置である。スキャナ4は、WiFiにより直接インターネット7に接続してもよいし、コンピュータ端末を介してインターネット7に接続してもよい。また、スキャナ4は、原稿から読み取った画像データそのものをファイル提供サーバ2に送信してもよいし、原稿から読み取った画像データに対してOCR処理等のデータ処理を行い、その処理結果をファイル提供サーバ2に送信してもよい。
ユーザ端末6は、例えば、タブレット端末やスマートフォンなどのコンピュータ端末であり、スキャナ4に表示されたURLに基づいて、ファイル提供サーバ2にアクセスし、ファイル提供サーバ2からデータファイルをダウンロードする。
【0021】
このように、本実施形態のファイル提供システム1では、ファイル提供サーバ2を介して、スキャンデータをユーザ端末6に提供することにより、事前にソフトウェアやモバイルアプリケーションのダウンロードやインストール、更には読み取りや保存先の設定等を行うことなく、誰でも素早くスキャナ4のスキャン機能を使い始めることができる。その際に、スキャン操作をするためにスキャナ4を物理的に占有しているユーザを、スキャンデータの所有者であると仮定し、ファイル提供サーバ2は、スキャンデータのURLをスキャナ4に表示させて、スキャンデータへのアクセスを許可する。
【0022】
図2は、ファイル提供サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。なお、ファイル提供サーバ4は、本発明に係るファイル中継装置の一例である。
図2に例示するように、ファイル提供サーバ2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び、入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図4のサーバプログラム3)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、インターネット7への接続を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0023】
図3は、スキャナ4のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図3に例示するように、スキャナ4は、CPU400、揮発性のメモリ402、不揮発性メモリ404、ネットワークインタフェース406(ネットワークIF406)、及び、タッチパネル408を有し、これらの構成はバス412を介して互いに接続している。
CPU400は、例えば、中央演算装置である。
メモリ402は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
不揮発性メモリ404は、例えば、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図5のスキャナプログラム5)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF406は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
タッチパネル408は、例えば、液晶タッチパネルである。
【0024】
図4は、ファイル提供サーバ2の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、本例のファイル提供サーバ2には、サーバプログラム3がインストールされ、動作すると共に、管理データベース370(管理DB370)及びファイルデータベース372(ファイルDB372)が構成される。サーバプログラム3は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、ファイル提供サーバ2にインストールされる。
サーバプログラム3は、ファイル格納部300、URL生成部310、URL通知部320、ファイル削除部330、許可操作検知部340、及びファイル返信部350を有する。
なお、サーバプログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0025】
サーバプログラム3において、ファイル格納部300は、スキャナ4から受信したデータファイルを既定の保存場所に保存する。本例のファイル格納部300は、スキャナ4から受信したデータファイルを、ファイルDB372内の、URL生成部310により決定された保存領域(一時保存場所)に保存する。
【0026】
URL生成部310は、スキャナ4から受信したデータファイルの保存場所を決定し、決定された保存場所にアクセスするためのURLを生成する。例えば、URL生成部310は、決定された保存場所を示す情報と、スキャナ4のシリアル番号とに基づいて、スキャナ4から受信したデータファイルにアクセスするためのURLを生成する。
URL通知部320は、URL生成部310により生成されたURLを示す情報をスキャナ4に通知する。URLを示す情報とは、URLの一部又は全部であってもよいし、短縮URLでもよいし、URLを示す二次元コードであってもよい。
【0027】
ファイル削除部330は、ユーザ端末6に対するデータファイルの返信を完了した後に、このデータファイルを前記一時保存場所から削除する。
また、ファイル削除部330は、データファイルがアップロードされた時、又は、URLを示す情報がスキャナで表示可能になった時から、一定の時間が経過したことを条件として、ファイルDB372に保存されたデータファイルを削除する。
【0028】
許可操作検知部340は、スキャナ4において、スキャン処理で生成されたデータファイルのダウンロードを許可するための操作が行われたことを検知する。本例の許可操作検知部340は、スキャナ4からの通知に基づいて、ダウンロードを許可する操作が行われたことを検知する。
【0029】
ファイル返信部350は、ユーザ端末6によるURLに基づくウェブアクセスに応じて、ファイルDB372に保存しているデータファイルを返信する。より具体的には、ファイル返信部350は、ユーザ端末6からデータファイルに対応するURLに基づくウェブアクセスがあり、かつ、許可操作検知部340によりダウンロードを許可する操作が行われたことが検知された場合に、ファイルDB372に保存しているデータファイルのうち、このURLに対応するデータファイルをダウンロード可能な状態にする。
【0030】
管理DB370は、スキャナ4から受信したデータファイル(スキャンデータ)を管理するための情報を格納する。例えば、管理DB370は、図6に例示するように、スキャナ4から受信したデータファイルに関連付けて、送信元のスキャナの識別情報、このデータファイルの格納先を示すURL、及び、このURLの有効期間を管理テーブルとして格納する。
ファイルDB372は、スキャナ4から受信したデータファイルを格納する。
【0031】
図5は、スキャナ4の機能構成を例示する図である。
図5に例示するように、本例のスキャナ4には、スキャナプログラム5がインストールされ、動作すると共に、設定データベース570(設定DB570)が構成される。本例のスキャナプログラム5は、スキャナ4に予めインストールされているが、これに限定されるものではなく、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、スキャナ4にインストールされてもよいし、インターネット上の特定の場所に保存されており、自動的にダウンロード及びインストールされてもよい。
スキャナプログラム5は、アクセス部500、送信部510、削除依頼部520、許可操作受付部530、及びURL表示部540を有する。
なお、スキャナプログラム5の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0032】
スキャナプログラム5において、アクセス部500は、スキャン動作を開始するための操作が行われると、自動的にインターネット上のファイル提供サーバ2にアクセスする。例えば、ファイル提供サーバ2にアクセスするためのアクセス先情報が設定DB570に予め登録されており、アクセス部500は、スキャン動作を開始する操作が検知されると、設定DB570に登録されているアクセス先情報に基づいて、ファイル提供サーバ2に自動的にアクセスする。
【0033】
送信部510は、アクセス部500によりアクセスしたファイル提供サーバ2に対して、スキャン処理により生成されたデータファイルを自動的に送信する。より具体的には、送信部510は、スキャン動作が開始されると、スキャンされたデータを順次、ファイル提供サーバ2に送信する。
【0034】
削除依頼部520は、スキャン動作の途中にエラーが発生した場合に、送信したデータの削除をファイル提供サーバ2(ファイル削除部330)に依頼する。本例の削除依頼部520は、スキャン動作が正常に終了したか否かをファイル提供サーバ2に通知する。
【0035】
URL表示部540は、ファイル提供サーバ2から受信したURLを示す情報を表示する。本例のURL表示部540は、ファイル提供サーバ2から受信したURLを二次元コードに変換し、変換された二次元コードをタッチパネル408に表示する。
【0036】
許可操作受付部530は、データファイルの返信を許可するための操作を受け付ける。本例の許可操作受付部530は、データファイルのダウンロードを許可するか否かを選択操作する操作画面をタッチパネル408に表示させて、ユーザの選択操作を受け付ける。
【0037】
図7は、ファイル提供システム1における全体動作の概要を説明する図である。
図8は、ファイル提供システム1における全体動作(S10)を説明するシーケンス図である。
スキャナ4を共用する場合の事前準備としては、図7に例示するように、購入したスキャナ4に電源を投入し、WiFi設定を行うだけで足り、ファイル提供サーバ2にアクセスするための設定情報は予め設定DB570に登録されている。つまり、ユーザは事前の設定やユーザ登録を行う必要はない。
【0038】
スキャナ4の運用中では、図8に例示するように、ステップ100(S100)において、ユーザがスキャナ4に原稿をセットしてスキャンボタンをタップすると、スキャナ4は、スキャン動作を開始する。
ステップ102(S102)において、スキャナ4は、ファイル提供サーバ2にアクセス要求を送る。
ステップ104(S104)において、ファイル提供サーバ2は、スキャナ4からのアクセス要求に応じて応答し、通信を確立する。
【0039】
ステップ106(S106)において、スキャナ4は、スキャン動作で生成されるデータを順次、ファイル提供サーバ2に送信していく。
ステップ108(S108)において、ファイル提供サーバ2は、スキャナ4から順次送られてくるデータを順に一時保存していく。
ステップ110(S110)において、ファイル提供サーバ2は、一時保存したデータにアクセスするためのURLを生成し、生成されたURLをスキャナ4に通知する。
【0040】
ステップ112(S112)において、スキャナ4は、ファイル提供サーバ2から受信したURLを二次元コードに変換し、変換された二次元コードを表示する。
ステップ114(S114)において、ユーザは、自身のユーザ端末6で、スキャナ4上に表示された二次元コードを撮影すると、ユーザ端末4は、撮影した二次元コードからURLを特定する。
ステップ116(S116)において、ユーザ端末6は、特定されたURLに基づいて、ファイル提供サーバ2に対してWebアクセスする。
【0041】
ステップ118(S118)において、ファイル提供サーバ2は、ユーザ端末6からWebアクセスがあると、その旨をスキャナ4に通知する。
ステップ120(S120)において、スキャナ4は、ファイル提供サーバ2からの通知に応じて、ダウンロードを許可するか否かを選択する選択画面を表示する。
ステップ122(S122)において、スキャナ4は、表示した選択画面において許可する旨の操作をユーザから受け付けると、許可操作が行われたことをファイル提供サーバ2に通知する。
ステップ124(S124)において、ファイル提供サーバ2は、許可操作が行われたことがスキャナ4から通知されると、URLに対応するデータファイルのダウンロードを可能にし、ユーザ端末6から要求に応じてデータファイルを返信する。
【0042】
ステップ126(S126)において、ユーザ端末6は、データファイルのダウンロードを正常に完了すると、その旨をファイル提供サーバ2に通知する。
ステップ128(S128)において、ファイル提供サーバ2は、ダウンロードされたデータファイルをファイルDB372から削除する。
ステップ130(S130)において、ファイル提供サーバ2は、スキャナ4に対して、ダウンロードの完了及びデータファイルの削除完了を通知する。
【0043】
図9は、ファイル提供システム1におけるスキャナ側の処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、スキャナ4は、電源が投入され、スキャンボタンがタップされると(S200:Yes)、S205の処理に移行し、スキャンボタンがタップされるまでは(S200:No)、待機する。
【0044】
ステップ205(S205)において、スキャナ4のアクセス部500(図5)は、設定DB570に登録されているアクセス先情報に基づいて、ファイル提供サーバ2にアクセスする。
ステップ210(S210)において、アクセス部500がファイル提供サーバ2への接続を確立すると、送信部510は、確立された接続を介して、スキャンパラメータ及びデータ転送を開始する旨の宣言をファイル提供サーバ2に通知する。
【0045】
ステップ215(S215)において、送信部510は、スキャナ4により順次生成されるスキャンデータ(画像データ又はOCR処理結果など)をファイル提供サーバ2に送信する。
ステップ220(S220)において、削除依頼部520は、スキャン処理が正常に終了したか否かを判断し、正常に終了した場合に、S225の処理に移行し、正常に終了できなかった場合に、S245の処理に移行する。
【0046】
ステップ225(S225)において、URL表示部540は、ファイル提供サーバ2から受信したURLを二次元コードに変換し、変換された二次元コードをタッチパネル408に表示する。
ステップ230(S230)において、スキャナプログラム5は、ファイル提供サーバ2から、上記URLに基づくWebアクセスがあった旨の通知があった場合に、S235の処理に移行し、既定の期間内に通知が無かった場合に、スキャナ側の処理を終了する。
【0047】
ステップ235(S235)において、許可操作受付部530は、ダウンロードを許可するか否かを選択する選択画面をタッチパネル408に表示して、ユーザによる許可操作又は不許可操作を受け付ける。
ステップ240(S240)において、許可操作受付部430は、ユーザによる選択結果(ダウンロードの許可/不許可)をファイル提供サーバ2に通知する。
【0048】
ステップ245(S245)において、削除依頼部520は、ファイル提供サーバ2に対して、送信したスキャンデータの削除を依頼する。
【0049】
図10は、ファイル提供システム1におけるサーバ側の処理(S30)をより詳細に説明するフローチャートである。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、ファイル提供サーバ2(サーバプログラム3)は、スキャナ4からのアクセスがあるまで待機し(S300:No)、スキャナ4からアクセスがあると、S305の処理に移行する(S300:Yes)。
ステップ305(S305)において、サーバプログラム3(図4)は、スキャナ4からのアクセス要求に応じて応答し、スキャナ4との接続を確立する。
ステップ310(S310)において、サーバプログラム3は、スキャナ4から送信されてくるスキャンデータを受信する。
【0050】
ステップ315(S315)において、サーバプログラム3は、スキャナ4(図5の削除依頼部520)から、送信したスキャンデータの削除依頼を受信したか否かを判断し、削除依頼を受信していない場合に、S320の処理に移行し、削除依頼を受信した場合に、S355の処理に移行する。
【0051】
ステップ320(S320)において、ファイル格納部300は、スキャナ4から受信したスキャンデータを、ファイルDB372の保存領域のうち、URL生成部310により決定された一時保存場所に保存する。
ステップ325(S325)において、URL生成部310は、ファイル格納部300が保存した一時保存場所のスキャンデータにアクセスするためのURLを生成する。URL通知部320は、URL生成部310により生成されたURLをスキャナ4に通知する。
【0052】
ステップ330(S330)において、ファイル削除部330は、スキャナ4にURLが通知されたタイミングから、このURLのタイムアウト時間の監視を開始する。タイムアウトまでの期間が、本例の有効期間である。
ステップ335(S335)において、サーバプログラム3は、有効期間内に、ユーザ端末6から、通知したURLに基づくWebアクセスがあるか否かを判断し、有効期間内にWebアクセスがあった場合に、S340の処理に移行し、有効期間内にWebアクセスが無かった場合に、S355の処理に移行する。
【0053】
ステップ340(S340)において、許可操作検知部340は、通知したURLに基づくWebアクセスがあった旨をスキャナ4に通知して、ダウンロードを許可する操作の受付を依頼する。
ステップ345(S345)において、許可操作検知部340は、スキャナ4(図5の許可操作受付部530)から、有効期間内に、ダウンロードを許可する操作を受け付けた旨の通知を受信した場合に、S350の処理に移行し、有効期間内に、ダウンロードを許可する操作を受け付けた旨の通知を受信しなかった場合に、S355の処理に移行する。
【0054】
ステップ350(S350)において、ファイル返信部350は、通知したURLに対応するスキャンデータのダウンロードを可能にし、ユーザ端末6からの要求に応じて、スキャンデータを返信する。
ステップ355(S355)において、ファイル削除部330は、スキャナ4から受信したスキャンデータをファイルDB372から削除し、削除完了をスキャナ4に通知する。また、ファイル削除部330は、URL生成後である場合に、生成されたURLを無効化する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のファイル提供システム1によれば、スキャナ4上でのURLの読み取り、及び、スキャナ4上での許可操作を条件として、スキャンデータのダウンロードを許可することにより、簡易な手順で、セキュアにスキャナ4を共用させることができる。特に、スキャナ4には、ファイル提供サーバ2にアクセスするための情報がプリセットされているため、ユーザがスキャナ4に対して事前設定を行う必要がない。
換言すると、ユーザがスキャナ4を利用する際に、専用ソフトウェアやアプリケーションのインストール、事前設定、及びユーザ登録などが一切不要となる。また、ユーザが欲しいと思った時に、すぐにイメージデータを入手することができる。さらに、原稿のスキャン、スキャンデータの取得、及び、ファイル提供サーバ2上のスキャンデータの削除までの一連の処理を、スキャナ4の前で(その場で)完了させることで、ヒューマンエラーを原因とした、スキャンデータへの不正アクセスや情報セキュリティ事故の可能性を低減できる。
【0056】
(変形例)
上記実施形態の変形例を説明する。
図11は、変形例におけるサーバプログラム32及びスキャナプログラム52の機能構成を例示する図である。
上記実施形態では、ファイル提供サーバ2が、スキャンデータの保存場所を決定し、これにアクセスするためのURLを生成しているが、変形例では、スキャナ4が、スキャンデータの保存場所を指定し、これにアクセスするためのURLをスキャナ側で生成する。
具体的には、図11に例示するように、変形例のスキャナプログラム52は、図5のスキャナプログラム5に、URL生成部550及び格納先通知部560を追加した構成を採る。
URL生成部550は、スキャンデータの保存場所を決定し、この保存場所にアクセスするためのURLを生成する。
格納先通知部560は、URL生成部550により決定された保存場所をファイル提供サーバ2に通知する。
変形例のURL表示部540は、URL生成部550に生成されたURLの二次元コードを表示する。
変形例のファイル格納部300は、格納先通知部560から通知された保存場所に、受信したスキャンデータを保存する。
【0057】
なお、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、上記実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ファイル提供システム
2 ファイル提供サーバ
3 サーバプログラム
4 スキャナ
5 スキャナプログラム
6 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11