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特許7577855シール条片摩耗および温度監視システムおよびそのためのアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】シール条片摩耗および温度監視システムおよびそのためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20241028BHJP
   D21F 3/10 20060101ALI20241028BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20241028BHJP
【FI】
G01B17/02 Z
D21F3/10
G01J5/00 101Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2023526590
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021057509
(87)【国際公開番号】W WO2022103609
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】63/111,849
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/229,679
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511136119
【氏名又は名称】ストウ・ウッドワード・ライセンスコ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】キルボーン,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,ジム
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,クリス
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03623526(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070495(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0254019(US,A1)
【文献】米国特許第06436241(US,B1)
【文献】特表2020-516785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 17/00-17/08
D21F 3/10
G01J 5/00
G01J 5/10
G01K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片と、
シール条片ホルダであって、前記シール条片が、前記シール条片ホルダの中に存在し、かつ、前記シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、
摩耗監視システムであって、
前記シール条片の中に取り付けられ、前記シール条片の前記上面に向かって超音波を送信するように構成された超音波発生器と、
前記シール条片の中に取り付けられ、前記シール条片の前記上面から戻る超音波を受信するように構成された超音波検出器と、
前記超音波検出器と動作可能に接続されたコントローラであって、前記超音波検出器から信号を受信するように構成され、前記信号の変化が、前記シール条片の前記上面の摩耗を表す、コントローラと、
を備える、摩耗監視システムと、
を有している、アセンブリ。
【請求項2】
インサートは、前記超音波発生器の下層をなしている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記超音波発生器は、圧電変換器である、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記シール条片は、前記シール条片の中に挿入された超音波送信部材をさらに備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記シール条片ホルダは、対向する側壁を有するチャネルを備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記シール条片は、下面を有し、前記超音波発生器は、前記シール条片の前記下面に隣接して取り付けられている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記シール条片は、ゴムを備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
サクションロールであって、
内部内腔および複数の貫通孔を有する円筒状シェルと、
前記シェルの前記内腔の中に配置されたサクションボックスと、
前記サクションボックスと動作可能に接続されたサクション源と、
請求項からのいずれか1項に記載のアセンブリであって、前記シール条片の前記上面が前記シェルの内面に面するように、前記シール条片および前記シール条片ホルダが前記サクションボックスの中に取り付けられる、アセンブリと、
を有している、サクションロール。
【請求項9】
アセンブリであって、
サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片であって、その中に空洞を含むシール条片と、
シール条片ホルダであって、前記シール条片が、前記シール条片ホルダの中に存在し、かつ、前記シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、
温度監視システムであって、
前記シール条片の前記空洞の中に配置された赤外線放射器センサであって、前記サクションロールの動作に起因して前記空洞の中に放出される赤外線放射を感知するように構成された赤外線放射器センサと、
前記赤外線放射センサと動作可能に接続されたコントローラであって、前記赤外線放射センサから信号を受信し、前記信号を処理して、前記シール条片の前記上面の温度を示すように構成されたコントローラと、
を備える、温度監視システムと、
を有している、アセンブリ。
【請求項10】
前記赤外線放射器センサは、赤外線サーモパイルアレイセンサを備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記空洞を整列させるシェルをさらに備える、請求項または請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記シェルは、高分子材料で形成される、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記空洞は、開放下端を有する、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記空洞の前記開放端にポッティングコンパウンドが充填される、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記コントローラは、印刷回路基板を含み、前記印刷回路基板は、前記空洞の中に配置されている、請求項から14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記コントローラと動作可能に接続された摩耗監視システムをさらに備える、請求項から15のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記摩耗監視システムは、超音波発生器と超音波センサとを含む、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
サクションロールであって、
内部内腔および複数の貫通孔を有する円筒状シェルと、
前記シェルの前記内腔の中に配置されたサクションボックスと、
前記サクションボックスと動作可能に接続されたサクション源と、
請求項から17のいずれか1項に記載のアセンブリであって、前記シール条片の前記上面が前記シェルの内面に面するように、前記シール条片および前記シール条片ホルダが前記サクションボックスの中に取り付けられる、アセンブリと、
を有している、サクションロール。
【請求項19】
アセンブリであって、
サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片であって、その中に空洞を含むシール条片と、
シール条片ホルダであって、前記シール条片が、前記シール条片ホルダの中に存在し、かつ、前記シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、
温度監視システムであって、
前記シール条片の前記空洞の中に配置された赤外線サーモパイルアレイセンサであって、前記サクションロールの動作に起因して前記空洞の中に放出される赤外線放射を感知するように構成された赤外線サーモパイルアレイセンサを備える、温度監視システムと、
前記赤外線サーモパイルアレイセンサと動作可能に接続されたコントローラであって、前記赤外線サーモパイルアレイセンサから信号を受信し、前記信号を処理して、前記シール条片の前記上面の温度を示すように構成され、前記空洞内に配置された印刷回路基板を含むコントローラと、
を有している、アセンブリ。
【請求項20】
前記空洞を整列させるシェルをさらに備える、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記シェルは、高分子材料で形成される、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記空洞は、開放下端を有し、前記空洞の前記開放端にポッティングコンパウンドが充填されている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記コントローラと動作可能に接続された摩耗監視システムをさらに備える、請求項19から22のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記摩耗監視システムは、超音波発生器と、超音波センサとを含む、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
サクションロールであって、
内部内腔および複数の貫通孔を有する円筒状シェルと、
前記シェルの前記内腔の中に配置されたサクションボックスと、
前記サクションボックスと動作可能に接続されたサクション源と、
請求項19から24のいずれか1項に記載のアセンブリであって、前記シール条片の前記上面が前記シェルの内面に面するように、前記シール条片および前記シール条片ホルダが前記サクションボックスの中に取り付けられる、アセンブリと
を有している、サクションロール。
【請求項26】
アセンブリであって、
サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片であって、前記シール条片が、その中に空洞を中に含み、前記空洞が、シェルと整列した、シール条片と、
シール条片ホルダであって、前記シール条片が、前記シール条片ホルダの中に存在し、かつ、前記シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、
温度監視システムであって、
前記シール条片の前記空洞の中に配置された赤外線サーモパイルアレイセンサであって、前記サクションロールの動作に起因して前記空洞の中に放出される赤外線放射を感知するように構成された赤外線サーモパイルアレイセンサを備える、温度監視システムと、
前記赤外線サーモパイルアレイセンサと動作可能に接続されたコントローラであって、前記赤外線サーモパイルアレイセンサから信号を受信し、前記信号を処理して、前記シール条片の前記上面の温度を示すように構成されたコントローラと、
を有している、アセンブリ。
【請求項27】
前記コントローラと動作可能に接続された摩耗監視システムをさらに備える、請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
サクションロールであって、
内部内腔および複数の貫通孔を有する円筒状シェルと、
前記シェルの前記内腔の中に配置されたサクションボックスと、
前記サクションボックスと動作可能に接続されたサクション源と、
請求項26または27のいずれか1項に記載のアセンブリであって、前記シール条片の前記上面が前記シェルの内面に面するように、前記シール条片および前記シール条片ホルダが前記サクションボックスの中に取り付けられる、アセンブリと、
を有している、サクションロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年11月10日に出願された米国仮特許出願第63/111,849号、および2021年8月5日に出願された米国仮特許出願第63/229,679号の優先権および利益を主張するものであり、これらの開示は、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に製紙を対象としており、より詳細には、サクションロールおよび製紙機内の機器を対象としている。
【背景技術】
【0003】
紙の製造には、本質的に、製造プロセスの多くのポイントで水の除去が必要である。通常、紙パルプ(水および木材および他の繊維のスラリ)が(幅の広いベルトの形態の)フェルトの上に重なっており、フェルトは、実際の紙のシートが形成される前の濡れたパルプのためのキャリアとして作用する。フェルトによって加えられる追加サポートがなくても、紙シートを処理することができるように十分な水分がパルプから除去されるまで、製紙機のウェットセクションの中でパルプを運ぶためにフェルトが使用される。
【0004】
ごく一般的には、製紙機のウェットエンドでは、サクションロールと整列して合致する孔がない標準のプレスロールと共に(またはティッシュ機の中のヤンキードライヤに対して)使用されるプレスセクションのサクションロール(カウチロール、ピックアップロールまたはプレスサクションロールであってもよい)を使用して、第1の水除去が達成される。フェルトパルプキャリアは、これらの2つのロールの間で圧縮される。
【0005】
サクションロール10の主構成要素は、ロールの円周の周りに規定のパターンで放射状に穿たれた数万個の孔を有するステンレス鋼、青銅または他の金属でできた中空シェル12(図1)を含む。これらの孔はサイズが正確に測られており(3.175mm(1/8インチ)未満からほぼ6.35mm(1/4インチ)に及ぶ)、処理される特定の紙材料に対して工学的に作り出されている。水除去のための「通気」を形成しているのは、これらの孔である。この通気は、典型的には、有効ロール表面積の約20パーセントから45パーセントに及び得る。サクションロールシェルは、サクションボックスと呼ばれる静止コアの周りにシェルを回転させる駆動システムによって駆動される。
【0006】
サクションボックス20(図2)は、頂部に蓋がなく、端部、底部または側面にポートを有する従来の長い長方形ボックスと見なすことができる。ボックスの端部(とりわけドライブエンド)は、典型的にはパイロットベアリングを有しており、このパイロットベアリングの内部レースウェイはパイロットブッシングであるか、またはサクションボックス上のジャーナルに対するスリップ嵌めを有するベアリングであり、外部レースウェイは回転シェルの上に圧縮される。サクションボックス20はサクション源(例えば真空ポンプ)と接続されている。例示的サクションボックスおよびシェルは、Huttunenに対する米国特許第6,358,370号に示されており、この米国特許の開示は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0007】
シェル中の孔を利用するためには、処理されている紙パルプの直ぐ真下のゾーンのサクションロールシェルの内側のこれらのポートを使用して真空ゾーン30を生成しなければならない。これは、スロットが施されたホルダ32を使用してサクションボックス20によって達成され、ホルダ32は、両側のサクションボックスの長軸に沿ってシールを保持している。図2はスロットが施されたホルダ32を示したものであり、図3および図4は、条片の形態の2つの様々なシール34、34’を示したものである(以下、「シール条片」)。これらの長いシールに加えて、様々なシート幅に適応する必要に応じてある程度の軸方向の調整代を有するショートエンド(テンディングエンドおよびドライブエンドと呼ばれる)の上に2つのもっと短いシール(エンドデクルと呼ばれる)が存在している。
【0008】
シール条片34、34’は、通常、ゴム引き高分子グラファイトでできており、動作中、シェル12の内面とほぼ接触して保持される(図3および図4参照)。シール条片34、34’の間は一定の真空が引かれる。それにより、ロール10の上方を通過する際に、シート40の真下に真空ゾーン30を生成することができる。シール条片34、34’は、シール条片34、34’の長さ全体の真下を通っているシールホースであるロード管142によって、サクションロールシェル12に向かって上向きにバイアスされている。ロード管142の圧力によってロード管142が膨張し(風船の中の空気によく似ている)、シール条片34、34’をシェル12の内側の表面に向かって持上げる。この効果は、サクションボックス20からのシステム真空、および既に言及した潤滑水の層流による補助と相俟って、シール条片34の縁とシェル12の内側との間にシールを形成する。
【0009】
適切に機能しているサクションロールにおける実際のアプリケーションでは、シール条片34、34’は、サクションロールシェル12の内側と直接接触することは決してない。シール条片34、34’が実際にシェル12と接触すると、それらが摩耗し、すぐにそれらのシール能力を失うことになる。この摩耗を除去するか、または著しく低減するために、シールを提供するために、噴霧ノズル24(図2参照)を通って流れる水を使用して形成される潤滑シャワーを使用して、シール条片34、34’の長さに沿って水が加えられる。このシャワーは、シール表面とシェル12の内側の表面との間の水の層流を使用して、シール条片34、34’を潤滑されている状態に維持する。
【0010】
潤滑のために使用される水の量は、適切な量の潤滑が加えられて、シール条片34、34’が潤滑されている状態を維持するよう、適切に正確に測られなければならないが、処理されているパルプに対して問題になるほどの、または水を浪費することになるほどの多くの量であってはならない。さらに、製紙工場で使用されるプロセス水は、通常の動作中に潤滑シャワーノズル24を詰まらせることになり得る化学物質および同じく著しい微粒子を含有し得る。これらのノズル24は回転シェル12の内側に配置されているため、製紙機オペレータにはそれらを見ることができない。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様として、本発明の実施形態は、アセンブリを対象としている。アセンブリは、サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片と、シール条片ホルダであって、シール条片が、シール条片ホルダの中に存在し、かつ、シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、摩耗監視システムとを備える。摩耗監視システムは、シール条片ホルダおよびシール条片のうちの一方に取り付けられた磁石と、シール条片ホルダおよびシール条片のうちの他方に取り付けられた磁界センサと、磁界センサと動作可能に接続されたコントローラとを備える。コントローラは、磁石によって生成される磁界に関する信号を磁界センサから受信するように構成され、信号の変化は、シール条片およびシール条片ホルダの相対移動を表し、この相対移動は、シール条片の上面の摩耗を示す。
【0012】
第2の態様として、本発明の実施形態は、サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片と、シール条片ホルダであって、シール条片が、シール条片ホルダの中に存在し、かつ、シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、摩耗監視システムとを備えるアセンブリを対象としている。摩耗監視システムは、シール条片の中に取り付けられ、シール条片の上面に向かって超音波を送信するように構成された超音波発生器と、シール条片の中に取り付けられ、シール条片の上面から戻る超音波を受信するように構成された超音波検出器と、超音波検出器と動作可能に接続されたコントローラとを備える。コントローラは、超音波検出器から信号を受信するように構成され、信号の変化は、シール条片の上面の摩耗を表す。
【0013】
これらのアセンブリの各々は、製紙機のサクションロールと関連して使用することができる。
【0014】
第3の態様として、本発明の実施形態は、サクションロールのためのシールを提供するように構成された上面を有するシール条片であって、その中に空洞を含むシール条片と、シール条片ホルダであって、シール条片が、シール条片ホルダの中に存在し、かつ、シール条片ホルダに対して移動することができる、シール条片ホルダと、温度監視システムとを備えるアセンブリを対象としている。温度監視システムは、シール条片の空洞の中に配置された赤外線放射器センサであって、サクションロールの動作に起因して空洞の中に放出される赤外線放射を感知するように構成された赤外線放射器センサと、赤外線放射センサと動作可能に接続されたコントローラであって、赤外線放射センサから信号を受信し、その信号を処理して、シール条片の上面の温度を示すように構成されたコントローラとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】典型的な製紙機サクションロールの斜視端面図である。
図2】典型的なサクションロールのサクションボックス領域の拡大斜視端面図である。
図3】従来のサクションロールのサクションボックス領域およびシール条片の端面図である。
図4】別の従来のサクションロールのサクションボックス領域およびシール条片の端面図である。
図5】分かり易くするためにセンサPCBが回転された状態の、本発明の実施形態によるシール条片および摩耗監視システムの概略端面図である。
図6図5のシール条片および摩耗監視システムの部分拡大斜視図である。
図7A-7B】それぞれ図5のシール条片および摩耗システムの端面図および断片正面図である。
図8】三角形の磁石によって生成される磁界を示す、図5の摩耗監視システムの概略部分正面図である。
図9】磁石の磁極片によって生成される磁界を示す、図5の摩耗監視システムの概略部分正面図である。
図10】長方形の磁石によって生成される磁界を示す、図5の摩耗監視システムの概略部分正面図である。
図11図5の摩耗監視システムのセンサPCBの斜視図である。
図12図5の摩耗監視システムの電子構成要素を示す概略図である。
図13】本発明の代替実施形態によるシール条片および摩耗監視システムの概略端面図である。
図14】シール条片内の超音波の伝搬および感知を示す、図13の摩耗監視システムの概略端面図である。
図15図13の摩耗監視システムのPCBの底部断片断面図である。
図16図13の摩耗監視システムの超音波感知PCBの底面図である。
図17図15の超音波感知PCBの上面図である。
図18図13の摩耗監視システムの電子構成要素を示す概略図である。
図19】本発明の実施形態によるシール条片および温度監視システムの概略端面図である。
図20A】シール条片の空洞を整列させるシェルと共に示されている、図19の温度監視システムの赤外線サーモパイルアレイセンサの部分端面図である。
図20B】シール条片の空洞を整列させるシェルの代替実施形態と共に示されている、図19の温度監視システムの赤外線サーモパイルアレイセンサの部分端面図である。
図21図19の温度監視システムのPCBの底部断片断面図である。
図22図19の摩耗監視システムの電子構成要素を示す概略図である。
図23A-23E】シェルを形成し、図19のシステムのセンサを配置するために実施されるステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてより完全に説明するが、その説明には本発明の実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、異なる形態で具現化することができ、以下で示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全なものであり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることになるように提供されている。図面において、同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。いくつかの構成要素の厚さおよび寸法は、分かり易くするために場合によっては誇張されている。
【0017】
さらに、「下側」、「下方」、「下部」、「上側」、「上部」、等々などの空間的に関連する用語は、本明細書においては、図に示されている1つの要素、または別の要素または特徴に対する特徴の関係を記述するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に関連する用語には、図に描写されている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図されていることは理解されよう。例えば図におけるデバイスがひっくり返されると、他の要素または特徴の「下側」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上側」に向きされることになる。したがって「下側」という例示的用語は、上側および下側の向きの両方を包含することができる。デバイスは、それ以外にも向きすることができ(90度回転して、または他の向きで)、本明細書において使用されている空間的に関連する記述語は相応じて解釈される。
【0018】
よく知られている機能または構造は、簡潔にするために、および/または分かり易くするために、場合によっては詳細に説明されない。
【0019】
ここで図面を参照すると、シール条片100および付随する摩耗監視システム120が図5図12に示されている。以下で説明される摩耗監視システム120のための適応を除き、シール条片100は従来の設計のシール条片100であり、シール条片100は細長く、概ね一定の断面(図5には長方形で示されている)のシール条片100であり、シール条片100はチャネル形ホルダ102内に存在し、ロード管104によってシール条片100の下面106に対して支持され、ロードセル104はシール条片100を上に向かって(すなわちサクションロールのシェルに向かって)バイアスし、したがってシール条片100の上面105がシェルと面してシェルとのシールに寄与し、シール条片100は、ゴム(黒鉛などの充填材を充填することができる)などの高分子材料で形成されている。
【0020】
さらに図5を参照し、同じく図6を参照すると、摩耗監視システム120は、個々の端部でホルダ102の側壁のうちの一方に取り付けられる2つの制御モジュール122を含む。磁石124(または電磁石などの他の磁界生成構成要素)は制御モジュール122の各々の中に取り付けられている。PCB126はシール条片100の個々の端部に隣接して取り付けられている(図7A図7Bおよび図8参照)。コネクタPCB130はPCB126同士の間を展開している。シール条片100は表面凹所を有しており、この中にPCB126、130が取り付けられている。
【0021】
PCB126の各々は、磁界の存在および強度を検出することができる磁界センサおよび/または回路機構(図11に128で示されている)を含む。例示的磁界センサはホール効果および磁気抵抗センサを含むが、他のタイプを使用することも可能である。
【0022】
基本動作では、PCB126上の磁界センサ128が磁石124によって生成された磁界によってトリガされる。サクションロール12が回転すると、サクションロール12はシール条片100の隣接する(上部)表面を徐々に摩耗し始める。摩耗が生じると、ロード管104のバイアスにより、シール条片100がホルダ102の底部から遠ざかる方向に移動する(典型的には上に向かって)。シール条片100が移動すると、PCB126、延いてはPCB126の上に取り付けられた磁界センサ128が同じく磁石124に対して移動する。磁界センサ128および磁石124の相対移動により、磁界センサ128によって検出される磁界の強度が変化する。磁界強度のこの変化はシール条片100の移動を示しており、延いてはシール条片100の摩耗を示している。
【0023】
図8図10に示されているように、磁石124のための異なる構成を使用することができる。図10は長方形の磁石を示し、図9は磁石の「磁極片」を示し、図8は三角形すなわち「くさび形」磁石を示している。図8の三角形の磁石124は、この三角形の磁石124によって生成される磁界の強度が磁石124からの所与の距離にわたってより大きく変化し、このより大きい強度変化は、磁界センサ128によるシール条片100のより小さい移動の検出を促進することができる点で性能利点を有することができる(すなわち三角形の磁石を使用することにより、磁界センサ128による感知の粒度を大きくすることができる)。
【0024】
さらに、2つの温度センサ132がPCB126の各々からシール条片100の中へ展開している(図11参照)。温度センサ132は、シール条片100自体の温度を検出し、かつ、報告するように構成されている。温度が高くなる、ということは、潤滑を増す必要があることを示しているものとして解釈することができる。潤滑を少なくしながら温度を監視することで、オペレータは、温度変化を引き起こさずに、必要な最小限の潤滑を決定し、適用し、示すことができる。
【0025】
図12は、摩耗監視システム120の電子装置を示す概略図である。図12に示されているように、磁石124は、磁石124の磁界を検出することができる磁界センサ128に充分に近接している。磁界センサ128は、温度センサ132と同様、プロセッサ140(本明細書においては「コントローラ」とも呼ばれる)と接続されている。システム120は、増幅フィルタ142、電圧調整器144、入力電力コネクタ146、RS-485データバス148およびデータ「イン/アウト」コネクタ150を含む、データ収集、送信および処理を容易にする他の構成要素を同じく含む。これらの構成要素は広く知られており、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0026】
次に図13図18を参照すると、シール条片200および摩耗監視システム220の代替実施形態が示されている。以下で説明される摩耗監視システム220のための適応を除き、シール条片200は従来の設計のシール条片200であり、シール条片200は細長く、概ね一定の断面(図13には長方形で示されている)のシール条片200であり、シール条片200はチャネル形ホルダ202内に篏合し、ロード管204によって支持され、ロード管204はシール条片200を上に向かって(すなわちサクションロールのシェルに向かって)バイアスし、シール条片200は高分子材料で形成されている。
【0027】
摩耗監視システム220は、PCB224の上に取り付けられている圧電変換器222を含む。エポキシまたは他のインサート226がPCB224の下層をなしている。変換器222、PCB224およびインサート226はシール条片200の底部部分に配置されている。PCB224は、以下で説明される他の電子構成要素を同じく含む(図16および図17参照)。
【0028】
図13および図14に示されているように、圧電変換器222は、シール条片200を通ってシール条片200の上面まで伝搬する超音波を生成する。超音波が材料組成(例えばシール条片200の上面を越えて存在するであろう水または鋼)の変化に到達すると、超音波は反射して圧電変換器222に向かって戻る。超音波の「飛行時間」(TOF)(すなわち変換器222から表面、そして戻るまでの総移動時間)を測定することができる。
【0029】
シール条片200が摩耗すると、シール条片200の厚さが薄くなる。ロード管204はシール条片200を上に向かって、サクションロールのシェルに向かってバイアスする。したがって摩耗すると、圧電変換器222からシェル(または下層をなしている水層)までの距離が短くなる。その結果、超音波のTOFが同じく変化する。したがって圧電変換器222によるTOFの変化の検出は、シール条片200の摩耗のインジケータである。
【0030】
いくつかの実施形態では、圧電変換器は磁歪変換器などの別の超音波源に置き換えることができることは当業者には認識されよう。
【0031】
また、図には単一の圧電変換器222しか示されていないが、多くの摩耗指示点を提供するために、シール条片200の長さに沿って複数の変換器222を置くことも可能である。
【0032】
さらに、いくつかの実施形態では、異なる材料で形成されたインサートをシール条片222の中に埋め込むか、またはシール条片222の中に置いて、超音波が通って移動する媒体として作用させることも可能である。一例として、シール条片200の中に小さい孔を形成して、シール条片200の上面まで展開するアクリル製のロッドまたはパネルを埋め込むことができる。次に、アクリル片を使用して超音波を伝搬させることができる。シール条片200と共にアクリル片が摩耗すると、アクリル片はその長さが短くなり、アクリルを介したTOFが短くなって摩耗を示すことになる。この実施形態は、超音波の伝搬をより無矛盾にすることができ、および/または検出をより正確にすることができる。
【0033】
さらに、いくつかの実施形態では、シール条片200の周りの周囲空気の温度を検出する温度センサを使用することができる。このような検出により、摩耗監視システム220は、シール条片200を介した温度によって変化する音響の速度を補償することができる。
【0034】
次に図18を参照すると、摩耗監視システム220の電子構成要素が概略的に示されている。図に示されているように、圧電変換器222は、アナログフロントエンド回路機構ドライバ/レシーバ228と接続されており、アナログフロントエンド回路機構ドライバ/レシーバ228はプロセッサ240と接続されている。システム220は、電圧調整器244、入力電力コネクタ246、RS-485データバス248およびデータ「イン/アウト」コネクタ250を含む、データ収集、送信および処理を容易にする他の構成要素を同じく含む。上で言及したように、これらの構成要素は広く知られており、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0035】
シール条片の温度を測定する温度監視システムも同じく有用であり得る。次に図19図23Eを参照すると、シール条片300および付随する、アセンブリ310を備えた温度監視システム320が図5図8に示されている。以下で説明される温度監視システム320のための適応を除き、シール条片300は従来の設計のシール条片300であり、シール条片300は細長く、概ね一定の断面(図19には長方形で示されている)のシール条片300であり、シール条片300はチャネル形ホルダ302内に存在し、ロード管304によってシール条片300の下面306に対して支持され、ロードセル304はシール条片300を上に向かって(すなわちサクションロールのシェル312に向かって)バイアスし、したがってシール条片300の上面305がシェルと面してシェルとのシールに寄与し、シール条片300は、ゴム(黒鉛などの充填材を充填することができる)などの高分子材料で形成されている。
【0036】
温度監視システム320は、シール条片300中の空洞324内に配置されている赤外線サーモパイルアレイセンサ322を含み、空洞324はシール条片300の長さの大部分にわたって軸方向に展開している。赤外線サーモパイルアレイセンサ322は、固体物質によって放出されている赤外線熱放射を遠くから感知することができる単一のセンサである。サーモパイルは、典型的には、シリコンチップの上に取り付けられた多くの熱電対を含む。サーモパイルは、赤外線(IR)放射または熱に露出されると微小電圧を生成する。一般的に言えば、測定されている対象の温度が高いほど、より多くのIRエネルギーが放出される。サーモパイル感知要素はエネルギーを吸収して出力信号を生成する。基準センサは、典型的には、補償のための基準としてパッケージの中に設計される。センサ322は、その構成により、広い視野全体にわたって赤外線放射を感知することができ(しばしばレンズによって制限され、または的が絞られる)、感知された赤外線は、次に、感知された温度を表す温度格子を生成するために処理される。例示的赤外線サーモパイルアレイセンサは、Melexis(ベルギーのTessenderlo)から入手することができるModel No. MLX90641である。
【0037】
センサ322は、ケーブル326を介して、同じく空洞324内に配置されている一連の印刷回路基板(PCB)328に接続されている。PCB328はケーブル334(図21参照)によって互いに相互接続されている。いくつかの実施形態では、ケーブル326は保護のためにポッティングコンパウンド329等々の中に包み込まれ、同様にいくつかの実施形態では、PCB328の下方の空洞324中の空間にポッティングコンパウンド331または他の保護材料を充填することができる。センサ322の上方の空洞324内の空間324aは、典型的には空のままで残される。
【0038】
図20Aおよび図20Bに示されているように、いくつかの実施形態では、シェルすなわちハウジング330は、空洞324を整列させるために含むことができ、それによりセンサ322の上方の空き空間を保護し、および/またはシール条片300のための補強を提供することができる。シェル330は任意の数の構成を取ることができ、例として図20Aでは、シェル330はその輪郭が概ね長方形であり、図20Bでは、高く、細長い五角形の輪郭を有しているシェル330’が示されている。他の輪郭形状(例えば三角形、準六角形または準八角形、アーチ道、等々)を同じく使用することができる。
【0039】
シェル330を構成している材料は、センサ322によって感知されているシール条片300の温度に対する影響を最小にするために熱透過性でなければならない。シェル330、330’は多くの適切な材料で形成することができる。シェル330、330’のための例示的材料には、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン-ウレア、ビニルエステル、ポリイミド、ビスマレイミド、フェノールホルムアルデヒド、シリコーン、フタル酸ジアリル、メラミン、アクリレート、シアネートエステル、フランおよびベンゾキサジン)、ゴム(例えば天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルコポリマーゴム、水素化ブタジエンアクリロニトリルゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-イソプレン-ターポリマーゴム、カルボキシル化ニトリルターポリマー、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムおよびフルオロエラストマー)、および熱可塑性樹脂(例えば熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、マレイミド樹脂、ポリアミドおよび液晶ポリマー)がある。材料は充填されなくてもよく、または炭化物(例えば炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化タングステン)、窒化物(例えば窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデンおよび窒化リチウム)、炭素系化合物(例えばカーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、グラフェン、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバ)、金属(例えばアルミニウム、ニッケル、スズ、鉄、銅および銀)、および金属酸化物(例えば酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素およびチタン酸バリウム)などの1つまたは複数の充填材を含むことができる。どの充填材も、合成物の係数を大きくするために高いアスペクト比を有することができる。また、充填材は高い放射率を同じく有することができる。追加非導電性充填材を同じく加えて、合成物の機械的特性を修正することも可能であり、追加添加剤、溶媒および充填材を加えて、硬化または冷却に先立って合成物のレオロジー特性を修正することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、シェル330、330’は事前に形成することができ、空洞324の中に挿入することができる。他の実施形態では、シェル330、330’は空洞の中に形成することができる。製造技法の1つが図23A図23Eに示されている。最初に、空洞324がシール条片300の中に形成される(例えばフライス削りによって)(図23A)。空洞324の大部分またはすべてに、シェル330’が形成されることになる材料が充填される(図23B)。次に、残りの材料がシェル330’を形成するよう、シェル330’の材料のほとんどが除去される(例えばフライス削りによって)(図23C)。センサ322およびその付随電子工学がシェル330’の中に配置される(図23D)。最後に、センサ322とシール条片300の外部表面の間の空間にポッティング材料331が充填され、このポッティング材料331はシェル330’の材料と同じであっても、あるいは異なっていてもよい(図23E)。この技法は、シェル330’がシール条片300内に堅固に篏合することを保証することができ、さもなければ事前形成済みのシェルを空洞内に固着するために必要になり得る粘着材料の追加層の必要性を除去することも可能である。
【0041】
製紙機が動作している間、シール条片300に対するサクションロール10の回転によって熱が生じる。この熱は、下に向かって、シール条片300のベースに向かって広がり、距離が長くなるにつれてその強度が低下する。この熱の結果として、より大量の赤外線放射を生成するシール条片300の接触点により近い材料と共に、空洞324を取り囲んでいるシール条片300の材料から(または空洞324を整列させているシェル330から)赤外線放射が放出される。センサ322は、空洞324の内側の表面に沿った複数の軸方向の場所で放出されているこの赤外線放射を感知する。この情報から、シール条片300の表面に沿った異なる点におけるシール条片300に対する温度のアレイが決定され、この温度のアレイを使用して、シール条片300の表面の潜在的摩耗を評価することができる。
【0042】
温度監視システム320の電子構成要素(そのうちのいくつかはPCB328の上に取り付けることができる)は図22に示されている。これらはプロセッサ350およびドライバ回路機構352を含むことができ、それらを使用してセンサ322とインタフェースされる。通信ドライバ354はプロセッサ350と主通信モジュール360の間の橋渡しとして作用しており、主通信モジュール360はシール条片300から遠隔に取り付けられている。電圧調整セクション356によって適切な電圧をシステムに供給することができる。主通信モジュール360により、システムとオペレータディスプレイ362の間で無線通信することができる)。
【0043】
温度監視システム320には、上で考察した摩耗監視システム120、220などの1つまたは複数の他のシステムが付随し得ることは当業者には認識されよう。摩耗情報は、シール条片300に対する総合的な摩耗/温度プロファイルに到達するために、センサ322によって感知される赤外線放射と組み合わせることができる。また、いくつかの実例では、このような感知のために使用される超音波変換器、および赤外線センサ322はいずれも、同じPCB328と接続することができ、PCB328は、超音波信号と赤外線信号との両方を受信し、処理するための構成要素、ならびに処理された信号を主通信モジュール360および/またはオペレータディスプレイ362に送信するための構成要素を含むことになることが理解されよう)。
【0044】
いくつかの実施形態では、赤外線サーモパイルアレイセンサ322は、シール条片300の温度に関する情報を感知し、次に提供することができる、空洞324内の別の様々な赤外線放射センサに置き換えることができることは当業者には認識されよう。
【0045】
また、図には単一の赤外線サーモパイルアレイセンサ322しか示されていないが、多くの場所におけるIR読値を提供するために、シール条片200の長さに沿って複数のセンサ322を置くことも可能である。
【0046】
さらに、いくつかの実施形態では、シール条片300の周りの周囲空気の温度および/または湿度を感知する温度センサおよび/または湿度センサを使用することも可能である。このような感知により、温度監視システム320は、環境要因によるシール条片300を介した赤外線放射のあらゆる変化を補償することができる。
【0047】
上で考察した電子工学およびマイクロコントローラに関して、本発明の概念の実施形態は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、等々を含む)で具体化することができる。さらに、本発明の概念の例示的実施形態は、命令実行システムによって使用するため、または命令実行システムと関連して使用するための媒体の中に具体化されたコンピュータ使用可能プログラムコードまたはコンピュータ可読プログラムコードを有する非一時的コンピュータ使用可能記憶媒体またはコンピュータ可読記憶媒体を備えたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。本文書の文脈では、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによって使用するため、または命令実行システム、装置またはデバイスと関連して使用するためのプログラムを含み、記憶し、通信し、または輸送することができる任意の媒体であってもよい。
【0048】
コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、例えば、それらに限定されないが、電子、磁気、光、電磁、赤外線または半導体のシステム、装置またはデバイスであってもよい。コンピュータ可読媒体のより特定の例(非網羅的列挙)は、1つまたは複数の配線を有する電気接続、携帯型コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバおよび携帯型コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)を含むことになる。プログラムは、例えば紙または他の媒体の光走査を介して電子的に捕獲し、次にコンパイルし、解釈し、さもなければ必要に応じて適切な方法で処理し、次にコンピュータメモリに記憶することができるため、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、さらには、プログラムが印刷される紙または別の適切な媒体であってもよいことに留意されたい。
【0049】
本発明の概念の例示的実施形態は、本明細書においてはフローチャートおよび/またはブロック図の図解を参照して説明されている。フローチャートおよび/またはブロック図の図解の個々のブロック、およびフローチャートおよび/またはブロック図の図解におけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令および/またはハードウェア動作によって実現することができることは理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに明記されている機能を実現するための手段および/または回路を作り出すよう、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供して機械を製造することができる。
【0050】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに明記されている機能を実現するためのステップを提供するよう、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に同じくロードして、それらのコンピュータまたは他のプログラマブル装置で一連の操作ステップを実施させ、それによりコンピュータ実現プロセスを生成することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムの温度、摩耗および/または潤滑パラメータに関する1つまたは複数の視覚表示を生成することができるディスプレイデバイス(例えばモニタ、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、等々)に接続することができ、またはディスプレイデバイスと結合することができる(ハードワイヤードまたは無線のいずれかで)。また、いくつかの実施形態では、コントローラは、「摩耗」信号および/またはシール条片内の温度センサからの温度信号に基づいて、潤滑の量に関して推奨するように構成される。また、コントローラは、重要なパラメータを対処することができるよう、特定の閾値パラメータに達したこと(例えば閾値温度レベルまたは閾値摩耗レベル)を知らせるための警告または警報(視覚、聴覚その他)を提供するように構成することも可能である。
【0052】
さらに、いくつかの実施形態では、内部ベアリングのための温度センサを内部ベアリングのための潤滑ラインの内側に設置することができる。この温度センサは潤滑材の温度を検出することができ、ベアリング温度の変化を示すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、振動センサを内部ベアリングの近くに設置して、内部ベアリング中の振動を検出することができる。他の可能性については、Reavesらに対する米国特許第10,822,744号の中で考察されており、この米国特許の開示は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0053】
摩耗監視システム120、220および温度監視システム320は、異なる機能を実施するために異なる構成要素を使用することができることに同じく留意されたい。例えばロード管104、204、304は、シール条片100、200、300をサクションロールのシェルに向かってバイアスする他の構成要素(例えばばね、弾性パッド、等々)に置き換えることができる。シール条片ホルダ102、202、302は異なる構成を取ることができる。
【0054】
以上は本発明を例証したものであり、本発明を制限するものとして解釈してはならない。本発明の例示的実施形態が説明されているが、これらの例示的実施形態には、本発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく、多くの修正が可能であることは当業者には容易に認識されよう。したがってすべてのこのような修正は、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内に包含されることが意図されている。本発明は以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物は特許請求の範囲の中に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-7B】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23A-23E】