(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241028BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241028BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2023546364
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2022003304
(87)【国際公開番号】W WO2022191604
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0032467
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジュンクン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/262911(WO,A1)
【文献】特開平08-126823(JP,A)
【文献】実開昭62-187607(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
B01D 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップと、
を備え、
前記加湿モジュールは、
インナーケースと、前記インナーケース内部に配置された複数の中空糸膜と、前記複数の中空糸膜の末端を固定し、前記インナーケースの端部に満たされて結合されるポッティング部とを備える少なくとも1つのカートリッジを
備え、
前記ポッティング部は、
前記インナーケースの長さ方向と対応するポッティング本体と、
前記ポッティング本体の端部から側方向に延長形成されたポッティングウィングと、
前記ポッティングウィングから前記インナーケースの端部方向に延長形成されたポッティング突起を備え、
前記インナーケースの端部には、前記ポッティング突起と対応する形状で形成された端部溝が形成され、
前記ポッティング突起は、前記端部溝に満たされて結合され、前記ポッティングウィングは、前記インナーケースの端部を覆い、前記ポッティング本体は、前記インナーケースの長さ方向に面接触するように形成される、
燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記加湿モジュールは、
両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド-ケースと、
前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間に形成された固定層と、
前記ミッド-ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、
前記ミッド-ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材と、
を備える請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記パッキング部材の内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制する突起部材が形成される請求項
2に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記ミッド-ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される請求項
2に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池膜加湿器に関し、具体的には、ポッティング部とインナーケースとの結合力を向上させて、燃料電池の運転及び停止が繰り返されても結合力を維持できる燃料電池膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が2倍くらい高いという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
【0003】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち1つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質膜を加湿する方法では、1)内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収し、加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
【0004】
図1に示されたように、通常の膜加湿方式の加湿器1000は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール1100及び加湿モジュール1100の両末端に各々結合されたキャップ1200を備える。
キャップ1200のうち1つは、外部から供給される空気を加湿モジュール1100に伝達し、他の1つは、加湿モジュール1100により加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
加湿モジュール1100は、排ガス流入口(off-gas inlet)1110aと排ガス排出口(off-gas outlet)1110bとを有するミッド-ケース(mid-case)1110及びミッド-ケース1110内に配置された少なくとも1つのカートリッジ100を備えることができる。図面では、1つのカートリッジが例示されている。カートリッジ100は、インナーケース1140を備え、インナーケース1140内部には、複数の中空糸膜1120と、中空糸膜1120束の両末端を固定するポッティング部1130とが形成される。ポッティング部1130は、一般的にキャスティング(casting)方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。ポッティング部1130は、一般的にキャスティング(casting)方式[例えば、ディップキャスティング(dip casting)または遠心キャスティング(centrifugal casting)]によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
【0005】
カートリッジ100とミッド-ケース1110との間には、樹脂層1150が形成され、樹脂層1150は、カートリッジ100をミッド-ケース1110に固定し、キャップ1200の内部空間とミッド-ケース1110の内部空間とを遮断する。
外部から供給される空気は、中空糸膜1120の中空に沿って流れる。排ガス流入口1110aを介してミッド-ケース1110内に流入した排ガスは、インナーケース1140に備えられた複数のホールHを介してカートリッジ100内部に流入し、中空糸膜1120の外表面と接触した後、排ガス排出口1110bを介してミッド-ケース1110から排出される。排ガスが中空糸膜1120の外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜1120を透過することにより中空糸膜1120の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
キャップ1200の内部空間は、中空糸膜1120の中空とのみ流体連通し、ミッド-ケース1110の内部空間とは完全に遮断されていなければならない。それとも、圧力差によるガス漏れが発生して、燃料電池の発電効率が低下する。
このような従来のカートリッジ100は、ポッティング部1130の側面とインナーケース1140の側面とが面接触した状態であるので、燃料電池の運転及び停止が繰り返されることで、乾燥ガスの流動(Z方向流動)により結合力が緩くなり、分離されやすいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポッティング部とインナーケースとの結合力を向上させて、燃料電池の運転及び停止が繰り返されても結合力を維持できる燃料電池膜加湿器を提供することを目的とする。
上記で言及された本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴及び利点が以下において説明されるか、そのような説明から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備える。前記加湿モジュールは、インナーケースと、前記インナーケース内部に配置された複数の中空糸膜と、前記複数の中空糸膜の末端を固定し、前記インナーケースの端部に満たされて結合されるポッティング部とを備える少なくとも1つのカートリッジを備える。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ポッティング部は、前記インナーケースの長さ方向と対応するポッティング本体と、前記ポッティング本体の端部から側方向に延長形成されたポッティングウィングと、前記ポッティングウィングから前記インナーケースの端部方向に延長形成されたポッティング突起とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記インナーケースの端部には、前記ポッティング突起と対応する形状で形成された端部溝が形成され得る。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ポッティング突起は、前記端部溝に満たされて結合され、前記ポッティングウィングは、前記インナーケースの端部を覆い、前記ポッティング本体は、前記インナーケースの長さ方向に面接触するように形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド-ケースと、前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間に形成された固定層と、前記ミッド-ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド-ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材の内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制する突起部材が形成され得る。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ミッド-ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成され得る。
その他、本発明の様々な側面による実現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポッティング部とインナーケースとの結合力が向上しうる。これにより、燃料電池の運転及び停止が繰り返されても結合力を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器のカートリッジの一部が拡大図示された断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
【0011】
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
図2の断面図は、加湿器または半製品の一端の断面図であり、その他端も実質的に同一(または、対称の)断面を有する。
図2に示されたように、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器2001は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール2100を備える。加湿モジュール2100の両末端の各々は、キャップ2200に締め付けられている。
キャップ2200のうち、いずれか1つは、ポート2210を介して外部から空気を供給されて加湿モジュール2100に伝達し、他の1つは、加湿モジュール2100により加湿された空気を、ポート2210を介して燃料電池スタックに伝達する。キャップ2200は、硬質プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)等)や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態(simple closed curveshaped)(例えば、円形または多角形)の横断面(traverse section)を有することができる。
加湿モジュール2100は、ミッド-ケース2110と、ミッド-ケース2110内部に収容されるカートリッジ2120とを備える。
ミッド-ケース2110は、排ガス流入/流出のためのポート2111(
図2には、1つのみ図示されている)を有する。ミッド-ケース2110は、硬質プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)等)や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態(例えば、円形または多角形)の横断面を有することができる。本発明の一実施形態によれば、ミッド-ケース2110は、キャップ2200と同じ形態の横断面を有することができる。
カートリッジは、中空糸膜2121とポッティング部2122とインナーケース2123とを備える。
【0012】
中空糸膜2121は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうち2つ以上の混合物を含むことができる。いずれか1つのキャップ2200を介して外部から供給される空気は、中空糸膜2121の中空に沿って流れながら加湿された後、他のキャップ2200を介して燃料電池スタックに伝達される。
ミッド-ケース2110内に流入した排ガスが中空糸膜2121の外表面と接触した後、ミッド-ケース2110から排出される。排ガスが中空糸膜2121の外表面と接触するとき、その中に含有されていた水分が中空糸膜2121を透過することにより中空糸膜2121の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
硬質または軟質のポリウレタン樹脂で形成されることができるポッティング部2122は、キャップ2200が中空糸膜2121とのみ流体連通できるように、キャップ2200の内部空間をミッド-ケース2110の内部空間から遮断する。
インナーケース2123は、排ガス流入/流出のためのポート2111(
図2には、1つのみ図示されている)に対応する位置に複数のホールHを各々有する。第1のポート2111を介してミッド-ケース2110内に流入した排ガスが第1のホールHを通過した後、中空糸膜2121の外表面に沿って流れながら水分を奪われる。次いで、反対側の第2のホールHを介してインナーケース2133を外れた後、第2のポート2111を介してミッド-ケース2110から排出される。
【0013】
しかし、前述したように、従来のカートリッジ100は、ポッティング部1130の側面とインナーケース1140の側面とが面接触した状態であるので、燃料電池の運転及び停止が繰り返されることで、乾燥ガスの流動(Z方向流動)により結合力が緩くなり、分離されやすいという問題がある。
このような問題を防止するために、本発明の燃料電池膜加湿器2001においてカートリッジ2120は、インナーケース2123の端部に満たされて結合されるポッティング部2122を備える。
これについて、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器のカートリッジ2120の一部が拡大図示された断面図である。
図3に示されたように、カートリッジ2120は、インナーケース2123の端部に満たされて結合されるポッティング部2122を備える。
ポッティング部2122は、ポッティング本体2122a、ポッティングウィング2122b、ポッティング突起2122cを備える。
図2及び
図3に示されたような形状を有するポッティング部2122は、端部溝2123aを備えたインナーケース2123が配置された状態で、液状のポッティング剤を用いて遠心ポッティングなどの方法を行うと、液状のポッティング剤がインナーケース2123の端部溝2123aに満たされながら形成されることができる。
【0014】
ポッティング本体2122aは、所定長さで、インナーケース2123の長さ方向(
図2のZ方向)と対応する方向に形成される。ポッティングウィング2122bは、ポッティング本体2122aの端部から側方向に延長形成される。ポッティングウィング2122bは、インナーケース2123の端部を覆うように形成される。ポッティング突起2122cは、ポッティングウィング2122bからインナーケース2123の端部方向に延長形成される。
インナーケース2123の端部には、ポッティング突起2122cと対応する形状で形成された端部溝2123aが形成される。ポッティング突起2122cは、端部溝2123aに満たされて結合されることができる。
【0015】
ポッティング突起2122cは、端部溝2123aに満たされて結合され、ポッティングウィング2122bは、インナーケース2123の端部を覆い、ポッティング本体2122aは、インナーケース2123の長さ方向に面接触するように形成される。
このような本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器のカートリッジによれば、ポッティングウィング2122bがインナーケース2123の端部を覆うように形成されることで、乾燥ガスのZ方向流動によりポッティング部2122の側面とインナーケース2123の側面とが影響を受けることを防止できる。
また、ポッティング突起2122cがインナーケース2123の端部溝2123aに満たされて結合されることにより、ポッティング部2122とインナーケース2123との結合力を向上させることができる。
カートリッジ2120とミッド-ケース2110との間には、固定層2150が形成され、固定層2150は、カートリッジ2120をミッド-ケース2110に固定し、キャップ2200の内部空間とミッド-ケース2110の内部空間とを遮断する。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器2001は、ブラケット2130とパッキング部材2140とをさらに備えることができる。
図2に示されたように、ミッド-ケース2110の段差2112により支持されるブラケット2130は、ミッド-ケース2110の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態によれば、ブラケット2130は、パッキング部材2140より高い硬度を有し、ポッティング部2122と強く接着されている。
例えば、パッキング部材2140は、キャップ2200がボルト2310とナット2320とを介してミッド-ケース2110に締め付けられるときに加えられる圧力により圧縮されることができるように、30~60Shore A、より好ましくは、40~50Shore Aの相対的に低い硬度を有することができ、ブラケット2130は、パッキング部材2140の硬度より高い60~100Shore A、より好ましくは、70~100Shore Aの硬度を有することができる。
【0016】
図2に示されたように、ミッド-ケース2110の末端が挟まれるパッキング部材2140もミッド-ケース2110の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態によれば、パッキング部材2140は、軟質ゴム(例えば、シリコンゴムまたはウレタンゴム)を含むことができ、ブラケット2130は、金属、硬質プラスチック[例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、またはアクリル樹脂]、または硬質ゴムを含むことができる。
キャップ2200がボルト2310とナット2320とによってミッド-ケース2110に締め付けられるとき、キャップ2200とミッド-ケース2110との間に配置されたパッキング部材2140部分[特に、ミッド-ケース2110の末端が挟まれた溝に対応するパッキング部材2140部分]がキャップ2200とミッド-ケース2110とによって加えられる圧力により圧縮されることで、パッキング部材2140とミッド-ケース2110との間の界面を介してのガスの移動(すなわち、外部漏れ)を防止して、タイトな外部シーリング(external sealing)を保障できる。
【0017】
また、ブラケット2130がミッド-ケース2110の段差2112により支持されるだけでなく、相対的に高い硬度を有するので、キャップ2200がボルト2310とナット2320とによってミッド-ケース2110に締め付けられるとき、ブラケット2130がキャップ2200とともにパッキング部材2140に圧力を効果的に加えることができる。その結果、キャップ2200とブラケット2130との間に配置された[すなわち、ミッド-ケース2110内部に位置した]パッキング部材2140部分が十分に圧縮されることによりパッキング部材2140とブラケット2130との間の界面を介してのガスの移動(すなわち、内部漏れ)を防止して、優れた内部シーリング(internal sealing)を保障できる。
また、本発明の一実施形態に係るブラケット2130は、ポッティング部2122と優れた接着力を有することによりブラケット2130とポッティング部2122との間の界面を介してのガスの移動(すなわち、内部漏れ)を防止して、より強い内部シーリングを提供できる。必要に応じて、ブラケット2130の表面をプライマー(primer)で処理することにより、ブラケット2130とポッティング部2122との接着強度をさらに向上させて内部シーリング効果を極大化することができる。
キャップ2200は、パッキング部材2140の溝に挟まれるミッド-ケース2110の末端に対応する位置にキャップ突起2220を有することができる。キャップ突起2220は、ミッド-ケース2110の末端とともにパッキング部材2140をより効果的に圧縮させることで、さらにタイトな外部シーリングを可能なようにする。
次に、
図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器2002を説明する。
【0018】
図4に示されたように、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器2002は、前述した第1実施形態の燃料電池膜加湿器2001において突起部材2160をさらに備える。
突起部材2160は、パッキング部材2140の内壁から固定層2150方向に突出形成される。突起部材2160は、パッキング部材2140の内壁を囲む環状で形成されることができる。製造の際、突起部材2160は、固定層2150に加圧方式にて挟まれることができる。
突起部材2160は、固定層2150に加圧方式にて挟まれながら固定層2150を圧縮させ、ミッド-ケース2110内部の空気がキャップ2200側に移動することを抑制して、よりタイトな内部シーリングを可能なようにする。
また、突起部材2160は、固定層2150に加圧方式にて挟まれながら固定層2150を圧縮させ、加湿モジュール2100内部を流動する空気によりカートリッジ2120に発生する振動を抑制できる。すなわち、キャップのポート2210を介して流入する乾燥空気の流れ(Z軸方向)によりカートリッジ2120がZ軸方向に振動することを抑制できる。
また、突起部材2160は、ミッド-ケース2110の内壁から固定層2150方向に突出形成されるので、製造過程で固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
【0019】
次に、
図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る燃料電池膜加湿器2003を説明する。
図5に示されたように、本発明の第3実施形態に係る燃料電池膜加湿器2003は、前述した第1実施形態または第2実施形態の燃料電池膜加湿器2001、2002においてダンピング突起2170をさらに備える。
ダンピング突起2170は、ミッド-ケース2110の内壁から固定層2150方向に突出形成される。ダンピング突起2170は、ミッド-ケース2110の内壁を囲む環状で形成されることができる。製造の際、ダンピング突起2170は、固定層2150に加圧方式にて挟まれることができる。
ダンピング突起2170は、固定層2150に加圧方式にて挟まれながら固定層2150を圧縮させ、ミッド-ケース2110内部の空気がキャップ2200側に移動することを抑制して、よりタイトな内部シーリングを可能なようにする。
また、ダンピング突起2170は、固定層2150に加圧方式にて挟まれながら固定層2150を圧縮させ、加湿モジュール2100内部を流動する空気によりカートリッジ2120に発生する振動を抑制できる。すなわち、キャップのポート2210を介して流入する乾燥空気の流れ(Z軸方向)によりカートリッジ2120がZ軸方向に振動することを抑制できる。
また、ダンピング突起2170は、ミッド-ケース2110の内壁から固定層2150方向に突出形成されるので、製造過程で固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0020】
2001、2002、2003:燃料電池膜加湿器
2100:加湿モジュール 2110:ミッド-ケース
2120:カートリッジ 2121:中空糸膜
2122:ポッティング部 2122a:ポッティング本体
2122b:ポッティングウィング 2122c:ポッティング突起
2123:インナーケース 2130:ブラケット
2140:パッキング部材 2150:固定層
2160:突起部材 2170:ダンピング突起