(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】セラミックサセプター
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241028BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20241028BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20241028BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C23C16/458
C23C14/50 A
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2024000122
(22)【出願日】2024-01-04
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0001603
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0152823
(32)【優先日】2023-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュソン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ユビン
(72)【発明者】
【氏名】ペ、ハヌム
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソンホ
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-33178(JP,A)
【文献】特開2012-80103(JP,A)
【文献】特開2021-27161(JP,A)
【文献】特開2018-204104(JP,A)
【文献】特開2007-182622(JP,A)
【文献】特表2011-510488(JP,A)
【文献】特表2018-506853(JP,A)
【文献】特表2002-513091(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0019620(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0252710(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0371646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/458
C23C 14/50
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が配置された絶縁プレートと、
前記絶縁プレートに一端部が接続されたシャフトと、
前記電極に連結され、前記シャフトの内部空間を通過するように延長される電力供給ロッドと、
前記シャフトの他端部に結合され、前記シャフトの内部空間を密封する隔離板と、を含み、
前記絶縁プレートは、上部表面と下部表面との間を貫通して前記シャフトの内部空間と連通させる第1貫通流路を含み、
前記電力供給ロッドが収容された前記シャフトの内部空間及び前記第1貫通流路を用いて真空チャック機能及び/又はパージ機能を行う、セラミックサセプター。
【請求項2】
前記シャフトの下部に接続され、前記シャフトの内部空間と外側とを連通させる第2貫通流路を含むマウントをさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項3】
前記第1貫通流路を陰圧で大気圧よりも低く維持させ、前記絶縁プレートの上部に配置された基板を吸着する、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項4】
前記第1貫通流路を通じて陽圧で大気圧よりも高く維持させ、パージ機能を行う、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項5】
前記電極は、発熱体であり、前記絶縁プレート内に前記電極と離隔して配置されたプラズマ発生用電極をさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項6】
前記絶縁プレートは、前記電極と離隔して配置され、前記絶縁プレートの上部に配置された基板をチャッキング及びデチャッキングするための第2電極を含み、
前記第2電極を用いて前記基板のチャッキングを保持しながら、前記第1貫通流路を通じて陽圧で大気圧よりも高く維持させることによってパージ機能を同時に行う、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項7】
前記絶縁プレートに埋設され、前記電極に電気的に連結されたコネクターをさらに含み、
前記電力供給ロッドが前記コネクターと導電性フィラーによってブレージング接合される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項8】
前記電力供給ロッドが単一ロッドとして前記コネクターと接触して前記シャフトの内部空間を通過し、前記シャフトの下部のマウントを通過するように延長される、請求項7に記載のセラミックサセプター。
【請求項9】
前記コネクターと前記電力供給ロッドの材質は同一材質である、請求項7に記載のセラミックサセプター。
【請求項10】
前記電極は、発熱体、プラズマ発生用電極、又は静電チャック機能のためのチャック電極である、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項11】
前記電極は、発熱体であり、前記絶縁プレート内に前記電極と離隔して配置され、静電チャック機能のためのチャック電極をさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項12】
前記第1貫通流路を用いて真空チャック機能を行う際に、前記電極を用いて静電チャック機能をさらに行う、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックサセプターに関し、特に、シャフトの内部空間を通ってエアーポンピングがなされるセラミックサセプターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む複数の薄膜層を、ガラス基板、フレキシブル基板、又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後、パターニングする方式で製造される。それらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程には、低圧化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。
【0003】
このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持し、熱処理などするためのセラミックサセプターが配置される。前記セラミックサセプターは、CVD装置及びPVD装置に設置され、熱処理工程などで基板加熱のために用いられてよい。また、前記セラミックサセプターは、高周波(RF)電極を備え、半導体ウエハー基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)などでプラズマの形成のために用いられてもよい。
【0004】
図1Aは、従来のセラミックサセプターを示す概略断面図である。
【0005】
まず、
図1Aに示すように、従来のセラミックサセプターは、シャフト20に結合された絶縁プレート10を含み、絶縁プレート10は、セラミック材質内に配置されたメッシュ形態などの発熱体12を含み、発熱体12は連結ロッド22と連結され、マウント30外部の電源から電力の供給を受ける。また、従来のセラミックサセプターは、半導体工程中に真空チャック機能によって半導体ウエハーなどの基板11を固定するために、絶縁プレート10、シャフト20、及びマウント30を全て貫通する流路31を通してエアーをポンピングする。特に、シャフト20の長手方向の側壁内部に流路31が形成されている。しかしながら、従来のセラミックサセプターは、絶縁プレート10、シャフト20、及びマウント30を個別製作した後、接合する過程で流路31を整列することが難しい。このため、従来のセラミックサセプターの製造では収率が低下し、その結果、加工コストが増加する問題点があった。
【0006】
しかも、このような従来のセラミックサセプターは、シャフト20の側壁の貫通流路31を加工するためにシャフト20の断面積を大きく製作しなければならず、熱損失が増加する問題もあった。その上、
図1B及び
図1Cに示すように、シャフト20の側壁の流路31が溝15の位置する絶縁プレート10の上面に到達するための孔33を回避するように、発熱体12はもとより、発熱体12以外に配置される高周波電極(図示せず)なども屈曲して形成しなければならないが、これも、熱損失及びその周囲ゾーンAAにおいて温度均一度を低下させる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許出願第10-2009-0020821号公報(2009年03月11日)
【文献】韓国特許出願第10-2017-0168278号公報(2017年12月08日)
【文献】国際特許出願WO1999/56307号公報(1999年11月4日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、部品の整列及び接合を容易にさせて収率の向上及び加工コストの低減を図り得るように、シャフト内部空間を通ってエアーポンピングがなされるようにし、これにより、真空チャック機能、パージ機能を可能にし、このような真空チャック/パージ機能は静電チャックと共に同時使用も可能にしたセラミックサセプターを提供することにある。
【0009】
また、シャフトの内部空間の電力供給用連結ロッドを酸化防止用中間層(KOVAR)無しで単一の材質で形成可能にすることで、電気的抵抗を減らし、せん断応力による影響を減らすことができるセラミックサセプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、本発明の特徴を要約すれば、上記の目的を達成するための本発明の一面に係るセラミックサセプターは、電極が配置された絶縁プレート;前記絶縁プレートに一端部が接続されたシャフト;前記電極に連結され、前記シャフトの内部空間を通過するように延長される電力供給ロッド;及び、前記シャフトの他端部に結合され、前記シャフトの内部空間を密封する隔離板を含み、前記絶縁プレートは、上部表面と下部表面との間を貫通して前記シャフトの内部空間と連通させる第1貫通流路を含み、前記第1貫通流路を用いて真空チャック機能及び/又はパージ機能を行うことができる。
【0011】
前記セラミックサセプターは、前記シャフトの下部に接続され、前記シャフトの内部空間と外側とを連通させる第2貫通流路を含むマウントをさらに含んでよい。
【0012】
前記第1貫通流路を陰圧で大気圧よりも低く維持させることによって、前記絶縁プレート上部に配置された基板を吸着することができる。
【0013】
前記第1貫通流路を通じて陽圧で大気圧よりも高く維持させることによってパージ機能を行うことができる。
【0014】
前記電極は、発熱体であり、前記セラミックサセプターは、前記絶縁プレート内に前記電極と離隔して配置されたプラズマ発生用電極をさらに含んでよい。
【0015】
前記絶縁プレートは、前記電極と離隔して配置され、前記絶縁プレートの上部に配置された基板をチャッキング及びデチャッキングするための第2電極を含み、前記第2電極を用いて前記基板のチャッキングを保持しながら、前記第1貫通流路を通じて陽圧で大気圧よりも高く維持させることによってパージ機能を同時に行うことができる。
【0016】
前記セラミックサセプターは、前記絶縁プレートに埋設され、前記電極に電気的に連結されたコネクターをさらに含み、前記電力供給ロッドが前記コネクターと導電性フィラーによってブレージング接合されてよい。
【0017】
前記電力供給ロッドが単一ロッドとして前記コネクターと接触して前記シャフトの内部空間を通過し、前記シャフトの下部のマウントを通過するように延長されてよい。
【0018】
前記コネクターと前記電力供給ロッドの材質は同一材質であってよい。
【0019】
前記電極は、発熱体、プラズマ発生用電極、又は静電チャック機能のためのチャック電極であってよい。
【0020】
前記電極は発熱体であり、前記セラミックサセプターは、前記絶縁プレート内に前記電極と離隔して配置され、静電チャック機能のためのチャック電極をさらに含んでよい。
【0021】
前記第1貫通流路を用いて真空チャック機能を行う際に、前記電極を用いて静電チャック機能をさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るセラミックサセプターによれば、シャフトの内部空間を通って基板チャッキングのためのエアーポンピングがなされるようにすることで、部品の整列と接合を容易にし、その結果、収率を向上させ、加工コストを節減できる利点がある。
【0023】
また、本発明は、シャフトの側壁に貫通孔を加工する必要がなく、これによってシャフト断面積を小さく形成することができ、その結果、従来技術に比べて熱損失を低減でき、中心部側の貫通流路を用いてチャッキング又はパージ機能を実現できるので、組み込まれている発熱体や電極を、中心部側の貫通流路を回避するように屈曲して形成する必要もなく、したがって、従来技術に比べて貫通流路の周囲のゾーン(
図2CのBB)において温度均一度を向上させることができる効果がある。
【0024】
なお、シャフト内部空間の電力供給用連結ロッドが、応力緩衝のための中間層(KOVAR)無しで単一の材質で形成可能であるので、連結ロッドの電気的抵抗を減らし、せん断応力によるクラック発生又はアーキング(arching)発生を低減させることができる。
【0025】
また、シャフトの中心部側の内部空間を用いて真空チャック機能を実現し、チャック電極によって静電チャック機能が同時に使用されることにより、半導体工程チャンバー内の低圧雰囲気で真空チャック機能のチャッキング力が弱い場合に、静電チャック電極を用いてチャッキング力を補完し、半導体工程チャンバー内の高温雰囲気で静電チャック電極によるチャッキング力が弱い場合に、真空チャック機能を用いてチャッキング力を補完するだけでなく、高温での前記シャフトの内部空間の真空によってシャフトの熱伝導度を減らすことができ(真空は熱伝導度を減らす。)、シャフトの内側の電力供給ロッドの酸化問題を低減(真空は酸化問題も減らす。)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明に関する実施例を提供し、詳細な説明と一緒に本発明の技術的思想を説明する。
【0027】
【
図1A】従来のセラミックサセプターを示す概略断面図である。
【
図1B】
図1Aのセラミックサセプターを上から見た時の発熱体パターンの例である。
【
図1C】
図1Aのセラミックサセプターを上から見て、絶縁プレートの上面とその下部の発熱体を重ねて示す図である。
【
図2A】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターを示す概略断面図である。
【
図2B】
図2Aのセラミックサセプターを上から見た時の発熱体パターンの例である。
【
図2C】
図2Aのセラミックサセプターを上から見て、絶縁プレートの上面とその下部の発熱体を重ねて示す図である。
【
図3】本発明のセラミックサセプターの第1実施例に係る連結ロッド結合部分を示す断面図である。
【
図4】本発明のセラミックサセプターの第2実施例に係る連結ロッド結合部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。ここで、各図において同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付する。また、既に公知の機能及び/又は構成に関する詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を曖昧にし得る要素に関する説明は省略する。また、図面の一部の構成要素は、誇張して、省略して、又は概略して図示可能である。各構成要素の大きさは実の大きさを全的に反映するものではなく、したがって、各図に描かれている構成要素の相対的な大きさや間隔によってここに記載の内容が限定されることはない。
【0029】
本発明の実施例を説明するとき、本発明と関連している公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変更可能である。したがって、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明で使われる用語は、単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的であってはならない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを示すためのものであり、記述された以外の一つ又はそれ以上の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0030】
なお、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの用語によって前記様々な構成要素が限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われるだけである。
【0031】
図2Aは、本発明の一実施例に係るセラミックサセプターを示す概略断面図である。
【0032】
まず、
図2Aを参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、絶縁プレート110、シャフト(shaft)120、及びマウント(mount)140を含む。絶縁プレート110、シャフト120、及びマウント140は順次に接続されており、シャフト120とマウント140との間には、相互の内部空間を隔離させるためにシャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130が含まれてよい。
【0033】
本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の加工対象基板11をエアポンプ500を用いて支持する真空チャック構造を有する。
【0034】
そのために、絶縁プレート110は、セラミック材質の間に発熱体(電極)114が配置(埋設)されるように構成され、場合によって、他の電極112が発熱体114と所定の間隔を置いて配置(埋設)されるようにさらに構成されてよい。絶縁プレート110は、加工対象基板を安定して支持しながら、発熱体114を用いた加熱及び(又は)電極112を用いた基板の支持、又はプラズマ強化化学気相蒸着工程やプラズマを用いたドライエッチング工程などの様々な半導体工程が可能なように構成される。絶縁プレート110は、所定の形状を有する板状構造物で形成されてよい。例えば、絶縁プレート110は、円形の板状構造物で形成されてよく、必ずしもこれに限定されない。ここで、セラミック材質は、Al2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlF3のうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。なお、前記セラミック材質の粉末が成形、焼結されて絶縁プレート110を構成でき、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0035】
発熱体(電極)114は、発熱線(又は、抵抗線)による板状コイル形態又は平坦なプレート形態で形成されてよい。また、発熱体114は、精密な温度制御のために多層構造で形成されてもよい。このような発熱体114は、連結ロッド121,122を通じて別個の発熱体114に提供される電源に連結されて電力の供給を受け、半導体工程におい基板の加熱、又は蒸着工程及びエッチング工程などを行うために、絶縁プレート110上の加工対象基板11を所定の温度に加熱する機能を果たすことができる。連結ロッド121,122は、シャフト120の内部空間を通過し、隔離板130を貫通してマウント140を通過して外部に出るように延長される。
【0036】
電極112は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)又はこれらの合金で構成されてよく、好ましくはモリブデン(Mo)で構成されてよい。電極112は、他の連結ロッド(図示せず)を通じて電源端子(例えば、接地(ground))に連結されてよい。電極112用連結ロッド(図示せず)も同様、シャフト120の内部空間を通過して隔離板130を貫通してマウント140を通過して外部に出るように延長されてよい。例えば、電極112は、絶縁プレート110上に置かれる基板11を支持するための静電チャック機能のためのチャック電極として用いるか、プラズマ強化化学気相蒸着又はRIE(Reactive Ion Etch)装備でのドライエッチングなどの工程のためのプラズマ発生機能のためのプラズマ発生用電極として用いることができる。
【0037】
シャフト120は、貫通孔を有する管(pipe)形であり、絶縁プレート110の下面に結合される。シャフト120は、絶縁プレート100と同じセラミック材質で形成されて結合されてよい。ここで、セラミック材質は、Al2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、ムライト、AlF3のうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。なお、前記セラミック材質の粉末が成形、焼結されてシャフト120を構成でき、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0038】
シャフト120は、絶縁プレート110とセラミックペーストなどの接合物質125で結合されてよい。場合によって、シャフト120は絶縁プレート110とボルト、ナットなどによって機構的に結合されてもよい。シャフト120の貫通する内部空間を通って電極112及び(又は)発熱体114に電力を供給するそれぞれのロッド(121,122など)が収容され、これらは、外側が密閉している形態(例えば、リジッドボディー又は中空を有する部材)のマウント140を通過して外に出るように延長される。
【0039】
図2Aに示すように、シャフト120の長手方向の端部にマウント140が接続される。マウント140は、シャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130を挟んでシャフト120と機構的に結合されてよい。シャフト120と隔離板130との接続は、ボルト、ナットなどを用いた機構的な結合によってなされてもよい。また、シャフト120と隔離板130及びマウント140の上部との接続は、ボルト、ナットなどを用いた機構的な結合でなされてもよく、完全に密閉されるように密封されてよい。隔離板130を貫通する連結ロッド(121,122など)のための隔離板130の貫通孔(holes)の周囲は、上記のようなセラミック材質のペーストなどによって隙間なく密封されてよい。マウント140の上部は隔離板130の周囲を包むように締め付けられてよい。マウント140の上部と隔離板130との間又はマウント140の上部とシャフト120との間、すなわち、隔離板130を有するシャフト120とマウント140との結合部分は隙間なく上記のようなセラミック材質のペーストなどによって密封されてよい。
【0040】
上述した連結マウント140、隔離板130は、アルミニウム(Al)のような金属材質であってもよく、上述したようなセラミック材質で構成されてもよい。すなわち、前記セラミック材質は、Al2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、ムライト、AlF3のうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。なお、前記セラミック材質の粉末が成形、焼結されてシャフト120を構成でき、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0041】
本発明の一実施例に係るこのようなセラミックサセプター100は、シャフト120の内部空間を通ってエアーポンピングがなされて真空チャックとして働くようにすることにより、絶縁プレート110、シャフト120、及びマウント140のような部品のエアー流路を合わせるための整列と接合を容易にすることができ、これにより、収率を向上させ、加工コストを節減することが可能になる。また、本発明では、シャフト120の内部空間が大気圧よりも低く(陰圧)真空維持されることによってシャフト120の内部空間での連結ロッド121,122の酸化が防止されるので、連結ロッド121,122を二重連結構造51,52(
図3参照)ではなく単一ロッドとして具現でき、連結ロッド121,122の材質を絶縁プレート110の発熱体114(又は、他の電極112)と電気的に連結されたコネクター41(
図3及び
図4参照)の材質と同一にMoで形成することができる。すなわち、連結ロッド121,122を、応力緩衝のための中間層51(KOVAR)(
図3参照)無しにMoのような単一の材質で形成可能にすることにより、連結ロッド121,122の電気的抵抗を減らし、せん断応力によるクラック発生又はアーキング(arching)発生を減らすことができる。
【0042】
なお、本発明の一実施例に係るこのようなセラミックサセプター100は、シャフト120の内部空間を用いて真空チャック機能を実現し、同時に、チャック電極の電極112によって静電チャック機能も使用可能にした。
【0043】
そのために、シャフト120の内部空間を通ってエアーポンピングがなされて真空チャックとして機能するように、絶縁プレート110は、基板11が置かれる上部表面からシャフト120の内部空間との連通のための第1貫通流路91を含む。第1貫通流路91は、絶縁プレート110の中心付近で上部表面と下部表面との間を貫通するように形成され、基板11が置かれる上部表面とシャフト120の内部空間との間が第1貫通流路91によって流体連通される。また、シャフト120の内部空間を通ってエアーポンピング(真空ポンピング)がなされて真空チャックとして機能するように、マウント140はシャフト120の内部空間と外側とを連通させる第2貫通流路92を含む。エアポンプ500が第2貫通流路92に連結されてエアーポンピング作動がなされると、第1貫通流路91、シャフト120の内部空間、及び第2貫通流路92を通ってエアーポンピングがなされ、シャフト120の内部空間及び第1貫通流路91を陰圧で大気圧よりも低く維持させることにより、絶縁プレート110の上部に配置された基板11を吸着することができる。このように、第1貫通流路91を用いて真空チャック機能を行う際に、電極112を静電チャック電極として用いて静電チャック機能をさらに行うことが可能である。このような前記第1貫通流路91を用いた真空チャック機能と共に、静電チャック電極112を用いてチャッキングとデチャッキングのための電源の印加を受けて静電チャック機能が同時に使用される際に、半導体工程チャンバー内の低圧雰囲気で真空チャック機能のチャッキング力が弱い場合に、静電チャック電極112を用いてチャッキング力を補完でき、半導体工程チャンバー内の高温雰囲気で静電チャック電極112によるチャッキング力が弱い場合に、真空チャック機能を用いてチャッキング力を補完するだけでなく、高温での前記シャフト120の内部空間の真空によってシャフト120の熱伝導度を減らすことができ(真空は熱伝導度を減らす。)、シャフト120の内側の電力供給ロッドの酸化問題を低減(真空は酸化問題も減らす。)させることもできる。
【0044】
マウント140の内部は、堅いリジッドボディー形態であってよく、又は中空を有する部材形態であってもよい。マウント140がリジッドボディーである場合には、マウント140に、連結ロッド121,122を通過させるための貫通孔と、第2貫通流路92を形成する貫通孔が備えられてよい。また、マウント140が中空を有する部材形態であれば、連結ロッド121,122を通過させるための貫通孔がマウント140の上端と下端との間に貫通するように備えられてよく、第2貫通流路92のための管(pipe)形態の部材(例えば、金属やセラミック材質)がマウント140の上端と下端との間に備えられてよい。
【0045】
図2Bは、
図2Aのセラミックサセプター100を上から見た時の発熱体114のパターンの例である。
【0046】
図2Cは、
図2Aのセラミックサセプター100を上から見て、絶縁プレート110の上面とその下部の発熱体114を重ねて示す図である。
【0047】
図2B及び
図2Cを参照すると、本発明のセラミックサセプター100は、シャフト120の側壁に貫通孔を加工する必要がなく、これによってシャフト120の断面積が小さく形成されることが可能である。したがって、本発明のセラミックサセプター100では従来技術(
図1A~
図1C参照)に比べて熱損失が低減でき、中心部側の貫通流路91を用いてチャッキング又はパージ機能を実現でき、組み込まれている発熱体114又は電極112を、中心部側の貫通流路を回避するように屈曲して形成する必要もないので、従来技術に比べて貫通流路91の周囲のゾーン(
図2CのBB)において温度均一度を向上させることができる効果がある。
【0048】
上述したような本発明のセラミックサセプター100は、CVD装置及びPVD装置のチャンバー内に設置され、発熱体114を用いた加熱及び(又は)電極112を用いた基板の支持、又はプラズマ強化化学気相蒸着工程やプラズマを用いたドライエッチング工程などに用いられてよい。上記のように、本発明のセラミックサセプター100が第1貫通流路91、シャフト120の内部空間、及び第2貫通流路92を通した陰圧エアーポンピングによって基板11のチャッキングとデチャッキングが可能であり、このとき、絶縁プレート110は加工対象基板を安定して支持しながら、発熱体114を用いた加熱及び(又は)電極112を用いた基板の支持、又はプラズマ強化化学気相蒸着工程やプラズマを用いたドライエッチング工程などの様々な半導体工程が可能なように構成される。
【0049】
一方、本発明のセラミックサセプター100は、第1貫通流路91などを用いた基板11のチャッキングとデチャッキングだけでなく、第1貫通流路91、シャフト120の内部空間、及び第2貫通流路92を通した陽圧エアーポンピングによって第1貫通流路91を大気圧よりも高く維持させることによってパージ(purge)機能を行うこともできる。この時、エアポンプ500は、第2貫通流路92を通して大気圧よりも高い所定の圧力でエアーを注入するポンピングを行うことができる。
【0050】
例えば、前述したCVD装置及びPVD装置のチャンバー内に、第1貫通流路91を通して陽圧エアーポンピングによって所定のガス(例えば、窒素ガス、又はHe、Arなどの不活性ガスなど)が含まれたエアーを吹き込むパージを行うことができる。
【0051】
これは、チャンバー内の絶縁プレート110の上面のポケット、特に溝(groove)15などに積もっているパーティクルをブロー(blowing)して除去させることができる。このようなパージ機能は、絶縁プレート110の上面に基板11をチャッキングした後になされることが好ましいが、必要によって、絶縁プレート110の上面に基板11がない場合にも行われてよい。ただし、このようなパージ機能を行う間に、プレート110の上面に置かれた基板11のチャッキングとデチャッキングには、発熱体114以外に絶縁プレート110内に配置された電極、すなわち、
図2Aのような電極112が活用されてよい。すなわち、電極112は、上のようなプラズマ発生のための電源の供給を受けるように配置された高周波電極であってもよいが、基板11のチャッキングとデチャッキングのための電源の供給を受けるように配置された静電チャック電極(又は、チャック電極)であってもよい。なお、電極112はそのまま静電チャック電極として機能するようにし、基板11のチャッキングとデチャッキングのための電源の供給を受けるように、電極112と所定の距離離隔してさらに配置された追加のチャック電極が形成されていてもよい。すなわち、発熱体114、電極112、及び基板11のチャッキングとデチャッキングのための追加の電極が絶縁プレート110内に所定の距離離隔して互いに異なるレイヤに形成されていてもよい。
【0052】
図3は、本発明のセラミックサセプター100の第1実施例に係る連結ロッド121,122の結合部分を示す断面図である。
【0053】
図3を参照すると、連結ロッド121,122は、絶縁プレート110の発熱体114(又は、電極112)と電気的に連結されるように埋設されたコネクター41と電気的に連結されるように接触してよい。ここでは、絶縁プレート110の所定の開口の内周面一部に形成されたネジ山に結合された支持アイレット70を通じて連結ロッド121,122が二重連結構造、すなわち、第1ロッド51及び第2ロッド52で構成された場合である。
【0054】
ここで、コネクター41、連結ロッド121,122、支持アイレット70は、導電性素材で構成されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)又はこれらの合金などで形成されてよい。特に、連結ロッド121,122の二重連結構造において、コネクター41がMoで構成され、第1ロッド51が応力緩衝のための中間層としてKOVAR(Fe-Ni-Co合金)物質で構成され、第2ロッド52はNiなどで構成されてよい。また、連結ロッド121,122は、コネクター41とブレージング接合で結合されてよい。例えば、導電性フィラー50をコネクター41の露出部分の周囲にあらかじめ注入し、支持アイレット70の内側に第1ロッド51を押し込んで第1ロッド51の一側端部面とコネクター41とを密着させた後、高温加熱後に冷却させて接合することで、電気的に連結させることができる。続いて、第2導電性フィラー60を第1ロッド51の他側端部面の上部に十分に注入し、注入された第2導電性フィラー60上で第2ロッド52の一側端部面を密着させ、高温加熱後に冷却させて接合することで、電気的に連結させることができる。
【0055】
ただし、このような方式で連結ロッド121,122の結合部分が具現されてもよいが、本発明では、シャフト120の内部空間が大気圧よりも低く真空維持されることにより、シャフト120の内部空間での連結ロッド121,122の酸化が防止されるので、コネクター41と単一ロッドの連結ロッド121,122を両方ともMoで形成することもできる。
【0056】
図4は、本発明のセラミックサセプターの第2実施例に係る連結ロッド121,122結合部分を示す断面図である。
【0057】
図4を参照すると、連結ロッド121,122は、絶縁プレート110の発熱体114(又は、電極112)と電気的に連結されるように埋設されたコネクター41と電気的に連結されるように接触してよい。ここでは、絶縁プレート110の所定の開口の内周面一部に形成されたネジ山に結合された支持アイレット70を通じて連結ロッド121,122が単一ロッド連結構造からなる場合を説明する。
【0058】
ここで、コネクター41、連結ロッド121,122、支持アイレット70は導電性素材で構成されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)又はこれらの合金などで形成されてよい。
【0059】
特に、本発明では、シャフト120の内部空間が大気圧よりも低く真空維持されることにより、シャフト120の内部空間での連結ロッド121,122の酸化が防止されるので、連結ロッド121,122を、
図3のような二重連結構造51,52ではなく単一ロッドとして具現でき、連結ロッド121,122の材質を絶縁プレート110の発熱体114(又は、電極112)と電気的に連結されたコネクター41の材質と同一にMoで形成できる。すなわち、連結ロッド121,122を、
図3のような応力緩衝のための中間層51(KOVAR)無しでMoのような単一の材質で形成可能にすることで、連結ロッド121,122の電気的抵抗を減らし、せん断応力によるクラック発生又はアーキング(arching)発生を減らすことができる。
【0060】
ここで、連結ロッド121,122は、コネクター41とブレージング接合で結合されてよい。例えば、導電性フィラー50をコネクター41の露出部分の周囲にあらかじめ注入し、支持アイレット70の内側に連結ロッド121,122を押し込んで連結ロッド121,122の一側端部面とコネクター41とを密着させ、高温加熱後に冷却させて接合することで、電気的に連結させることができる。
【0061】
上述したように、本発明に係るセラミックサセプター100によれば、シャフト120の内部空間を通って基板チャッキングのためのエアーポンピングがなされるようにすることで、部品の整列と接合を容易にし、その結果、収率を向上させ、加工コストを節減できる利点がある。また、本発明は、シャフトの側壁に貫通孔を加工する必要がなく、これによってシャフト断面積を小さく形成することができ、その結果、従来技術に比べて熱損失を低減でき、中心部側の貫通流路91を用いてチャッキング又はパージ機能を実現できるので、組み込まれている発熱体又は電極を、中心部側の貫通流路を回避するように屈曲して形成する必要もなく、したがって、従来技術に比べて貫通流路91の周囲のゾーンBBにおいて温度均一度を向上させることができる効果がある。
【0062】
また、シャフトの内部空間の電力供給用連結ロッド121,122が、応力緩衝のための中間層51(KOVAR)無しで単一の材質で形成可能であるので、連結ロッド121,122の電気的抵抗を減らし、せん断応力によるクラック発生又はアーキング(arching)発生も低減させることができる。
【0063】
なお、本発明の一実施例に係るこのようなセラミックサセプター100は、シャフト120の内部空間を用いて真空チャック機能を実現し、チャック電極の電極112を通じて静電チャック機能が同時に使用されてもよい。
【0064】
以上のように、本発明では具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例、及び図面によって説明されてきたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されただけであり、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価の変形がある技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0065】
110 絶縁プレート
112 高周波電極
114 発熱体
120 シャフト
121,122 連結ロッド
91 第1貫通流路
92 第2貫通流路