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特許7577877エレベータ管理装置、エレベータ管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】エレベータ管理装置、エレベータ管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/06 20060101AFI20241028BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20241028BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B66B1/06 Z
B66B5/00 G
B66B3/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024002071
(22)【出願日】2024-01-10
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
(72)【発明者】
【氏名】門馬 直秀
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜太郎
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160735(JP,A)
【文献】特開2018-70301(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116812696(CN,A)
【文献】特開2020-196593(JP,A)
【文献】特開2018-156134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータを管理するエレベータ管理装置であって、
前記エレベータに関して予め定められたキーワードと、前記エレベータに関する変更者と、を対応付けた管理データベースを記憶する記憶部と、
前記エレベータの昇降路内を上下移動する乗りかご内の利用者による発話の音声データと、前記乗りかごが到着する複数の乗り場の前記利用者による発話の音声データと、を受信可能な受信部と、
受信した前記音声データを解析し、前記キーワードを抽出する解析部と、
抽出された前記キーワードを、前記管理データベースに登録する登録部と、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えたか否かを判定する判定部と、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えた場合に、前記基準数を超えた数のキーワードに対応する前記変更者のコンピュータに、仕様変更要求を通知する送信部と、を備え、
前記受信部は、さらに、前記変更者のコンピュータから、仕様変更の可否を受信する、エレベータ管理装置。
【請求項2】
前記受信部は、さらに、前記変更者のコンピュータから、仕様変更の可否と、前記仕様変更が可の場合における変更日時と、を受信し、
前記登録部は、さらに、受信した前記仕様変更の可否と前記変更日時を、前記管理データベースに前記キーワードに対応付けて登録する、
請求項1に記載のエレベータ管理装置。
【請求項3】
前記受信部は、さらに、前記変更者のコンピュータから、前記仕様変更の可否と前記変更日時とともに、前記仕様変更が可の場合における事前変更日時、をさらに受信し、
前記登録部は、さらに、前記事前変更日時を、前記管理データベースに前記キーワードに対応付けて登録する、
請求項2に記載のエレベータ管理装置。
【請求項4】
前記変更者は、前記エレベータの管理会社または管理人である、
請求項1に記載のエレベータ管理装置。
【請求項5】
前記変更者は、前記エレベータの製造会社である、
請求項1に記載のエレベータ管理装置。
【請求項6】
エレベータを管理するエレベータ管理装置で実行されるエレベータ管理方法であって、
前記エレベータ管理装置は、前記エレベータに関して予め定められたキーワードと、前記エレベータに関する変更者と、を対応付けた管理データベースを記憶する記憶部、を備え、
前記エレベータの昇降路内を上下移動する乗りかご内の利用者による発話の音声データと、前記乗りかごが到着する複数の乗り場の前記利用者による発話の音声データと、を受信可能なステップと、
受信した前記音声データを解析し、前記キーワードを抽出するステップと、
抽出された前記キーワードを、前記管理データベースに登録するステップと、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えたか否かを判定するステップと、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えた場合に、前記基準数を超えた数のキーワードに対応する前記変更者のコンピュータに、仕様変更要求を通知するステップと、
前記変更者のコンピュータから、仕様変更の可否を受信するステップと、
を含むエレベータ管理方法。
【請求項7】
エレベータを管理するエレベータ管理装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記エレベータ管理装置は、前記エレベータに関して予め定められたキーワードと、前記エレベータに関する変更者と、を対応付けた管理データベースを記憶する記憶部、を備え、
前記エレベータの昇降路内を上下移動する乗りかご内の利用者による発話の音声データと、前記乗りかごが到着する複数の乗り場の前記利用者による発話の音声データと、を受信可能なステップと、
受信した前記音声データを解析し、前記キーワードを抽出するステップと、
抽出された前記キーワードを、前記管理データベースに登録するステップと、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えたか否かを判定するステップと、
前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えた場合に、前記基準数を超えた数のキーワードに対応する前記変更者のコンピュータに、仕様変更要求を通知するステップと、
前記変更者のコンピュータから、仕様変更の可否を受信するステップと、
を、前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ管理装置、エレベータ管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物件や利用者によりエレベータの使用方法は多種多様となっている。このような状況下で、エレベータの積載ブザーや乗りかごの扉の開時間である、扉の開速度等のエレベータの仕様変更を希望する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-36283号公報
【文献】特開2022-187214号公報
【文献】特開2001-158578号公報
【文献】特開2023-120992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、エレベータの仕様変更を利用者が希望しても、共用設備や社会インフラのため、エレベータの仕様変更を行うことが難しかったり、あるいは、仕様変更に時間とコストを要することから、仕様変更を利用者が欲するときに行うことが難しい場合もあった。また、どのくらい定量的に仕様変更を利用者が欲しているかも不明瞭であり、仕様変更が適したものであるかも曖昧であった。このため、利用者は、エレベータの仕様に不満がある場合でも我慢したまま、エレベータを使用することが多くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ管理装置は、エレベータを管理するエレベータ管理装置であって、前記エレベータに関して予め定められたキーワードと、前記エレベータに関する変更者と、を対応付けた管理データベースを記憶する記憶部と、前記エレベータの昇降路内を上下移動する乗りかご内の前記利用者による発話の音声データと、前記乗りかごが到着する複数の乗り場の前記利用者による発話の音声データと、を受信可能な受信部と、受信した前記音声データを解析し、前記キーワードを抽出する解析部と、抽出された前記キーワードを、前記管理データベースに登録する登録部と、前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えたか否かを判定する判定部と、前記管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えた場合に、前記基準数を超えた数のキーワードに対応する前記変更者のコンピュータに、仕様変更要求を通知する送信部と、を備え、前記受信部は、さらに、前記変更者のコンピュータから、仕様変更の可否を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態にかかるエレベータ管理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかる制御盤の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる昇降機クラウドのサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態にかかる管理DBの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態にかかるエレベータ管理処理の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態にかかるエレベータ管理システム1の全体構成の一例を示す図である。本実施形態のエレベータ管理システム1は、図1に示すように、エレベータ600に設けられる制御盤100と、エレベータ600に設けられるコントローラ150と、エレベータ600に設けられる管制室160のコンピュータ161と、昇降機クラウド200内のサーバ210と、監視センター400のコンピュータ410と、管理会社500のコンピュータ510と、を主に備えている。
【0008】
本実施形態では、オフィスビルやマンションビル等のビル7に、エレベータ600が設置されている。本実施形態では、エレベータ600には、図1に示すように、2つの昇降路20A,20Bが設けられている。
【0009】
エレベータ600は、各昇降路20内に二つの乗りかご50A,50Bを備える。
乗りかご50A,50Bは、利用者8が乗車可能となっている。昇降路20A,20Bは、乗りかご50A,50Bが上下移動可能な空間である。
【0010】
この他、各昇降路20A,20B内には、巻上機2およびカウンタウェイト3を備える。乗りかご50A,50Bとカウンタウェイト3は、それぞれ各昇降路20A,20B内に立設された不図示の一対のガイドレールに昇降自在に支持されており、ロープ5を介して昇降動作する。
【0011】
また、昇降路20A,20Bの内部には、制御盤100A,100Bとコントローラ150A,150Bとが設けられる。
【0012】
ここで、乗りかご50A,50Bを区別しない場合には、乗りかご50と称する。昇降路20A,20Bを区別しない場合には、昇降路20と称する。制御盤100A,100Bを区別しない場合には、制御盤100と称する。コントローラ150A,150Bを区別しない場合には、コントローラ150と称する。
【0013】
また、昇降路20、乗りかご50、制御盤100,コントローラ150の数は、図1の例に限定されるものではない。
【0014】
乗りかご50の内壁面には、操作盤51が設けられている
操作盤51は、利用者8から各種操作を受け付けたり、乗りかご50に各種報知を行うものである。操作盤51には、行き先階の指定や乗りかご50の扉を開閉するための押しボタンや非接触センサ、スピーカ、液晶表示部等(いずれも不図示)が設けられている。
【0015】
本実施形態では、操作盤51に、利用者8の発話等を集音するマイク52が設けられている。また、操作盤51は、制御盤100に有線または無線で接続されている。利用者8からの行き先階押しボタンの押下や非接触センサによる検知により、行き先階呼びが制御盤100に送出される。
【0016】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご50内の利用者8が、その乗りかご50を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。行き先階呼びには、行き先階が含まれる。
乗りかご50には、この他、乗りかご50内を撮像するカメラ53が設けられている。
【0017】
図1では、乗りかご50が1階から4階までの昇降路20を上下移動可能なエレベータ600の例を示している。そして、各階には、利用者8が乗りかごの到着を待機する場所である乗り場170が設けられている。なお、階数は、図1の例に限定されるものではなく、また乗り場170の数も階数に応じた数となる。
【0018】
各階の乗り場170のエレベータの扉が設けられた壁面に、操作盤171と、マイク172と、カメラ173とが設けられている。マイク172は、乗り場170の利用者8の発話等を集音する。カメラ173は、乗り場を撮像する。
【0019】
操作盤171は、利用者8から各種操作を受け付けたり、乗りかご50に各種を報知を行うものである。操作盤171には、上方向あるいは下方向の行き先方向の指定や乗りかご50の扉を開閉するための押しボタンや非接触センサ、スピーカ、液晶表示部等(いずれも不図示)が設けられている。また、操作盤171は、制御盤100に有線または無線で接続されている。利用者8からの行き先方向押しボタンの押下や非接触センサによる検知により、乗り場呼びが制御盤100に送出される。
【0020】
ここで、乗り場呼びとは、乗り場170の利用者8が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご50をその乗り場170に到着させるために行う操作である。乗り場呼びには、行き先方向と乗り場呼びを行った階とが含まれている。
【0021】
制御盤100は、乗りかご50に設けられた操作盤51、乗り場170に設けられた操作盤171と無線または有線で接続される。また、制御盤100は、エレベータ600内の乗りかご50の運行を制御する。制御盤100は、コントローラ150に、有線または無線で接続されている。
【0022】
図2は、実施形態にかかる制御盤100の機能的構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の制御盤100は、図2に示すように、制御部101と、通信部102と、記憶部110と、を主に備えている。
【0023】
記憶部110は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(RANDOM ACCESSMEMORY)などの記憶媒体(すなわち、メモリデバイス)である。記憶部110には、各種制御プログラム等が記憶されている。
【0024】
制御部101は、ハードウェアプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)からなる。
制御部101は、記憶部110から、各種制御プログラムを読み出して実行することにより、エレベータ600の運行制御を実行する。ここで、エレベータ600の運行制御に必要な主要機能として、例えば、乗場呼びや行き先階呼びを登録する機能、乗場呼びや行き先階呼びに基づいて、巻上機2を駆動制御し乗りかご50の上下移動を制御する機能、、乗りかご50の速度制御などを行う安全機能、乗りかご50の戸開閉を制御する機能、乗りかご50の照明を制御する機能、群管理制御の機能等、を実行する。
ここで、群管理制御とは、他の号機の制御盤100と連携し、乗り場呼びを行った乗り場170に最も近い乗りかご50を割り当てる制御である。
【0025】
通信部102は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、制御盤100とコントローラ150との間の通信処理を行う。また、通信部102は、管制室160の管理人の携帯端末やPC等との間で各種指示や通知を送受信する。
【0026】
本実施形態では、通信部102は、乗り場に設けられた操作盤171に対する乗り場呼びが行われた場合、当該乗り場呼びを受信して、受信した乗り場呼びと乗りかご50の現在位置とをコントローラ150を介して、昇降機クラウド200のサーバ210に送信する。
【0027】
また、通信部102は、乗りかご50内に設けられた操作盤51に対して、利用者8による行き先階呼びが行われた場合に、当該行き先階呼びを受信し、受信した行き先階呼びと乗りかご50の現在位置とを昇降機クラウド200のサーバ210に送信する。
また、通信部102は、乗りかご50内のマイク52で集音された利用者8の発話の音声データおよび乗り場170のマイク172で集音された利用者8の発話の音声データを受信して、これらの音声データをコントローラ150を介して、昇降機クラウド200のサーバ210に送信する。
【0028】
図1に戻り、コントローラ150は、ネットワークで昇降機クラウド200内のサーバ210に接続される。コントローラ150は、制御盤100とサーバ210との間の通信を制御し、制御盤100とサーバ210との間でやり取りされる各種信号を仲介するためのインターフェース機能およびハブ機能を備えた仲介装置である。制御盤100の詳細については後述する。
【0029】
管制室160には、ビル7の管理人が在席し、制御盤100に対する各種指示を与える。また、管制室160の管理人は、管制室160内のコンピュータ161により、制御盤100からメール等により各種指示を受信する。
【0030】
昇降機クラウド200内のサーバ210は、エレベータ600の乗りかご50に対する各種制御をコントローラ150を介して制御盤100に指示したり、制御盤100からの各種要求や各種データをコントローラ150を介して受信する。昇降機クラウド200内のサーバ210は、ネットワークで監視センター400のコンピュータ410と製造会社500のコンピュータ510とに接続される。昇降機クラウド200内のサーバ210は、エレベータ管理装置の一例である。
【0031】
監視センター400は、エレベータ600の管理会社である。監視センター400には、管理会社または管理会社に在籍する管理人のコンピュータ410が設置されている。コンピュータ410は、エレベータ600の保守管理や遠隔監視に必要な情報を、エレベータ600より収集している。これによれば、エレベータ600に不具合が発生した場合に、保守員は、監視センター400のコンピュータ410に収集された保守管理に必要な情報を参照して、当該発生した不具合に対応することが可能である。また、昇降機クラウド200を通じて機能やサービスが実行される際、必要に応じて監視センター400のコンピュータ410にアクセスして建物やエレベータ情報を参照したり、保守員がエレベータの管理に必要な情報を取得したりすることが可能である。
【0032】
次に、昇降機クラウド200のサーバ210の詳細について説明する。
図3は、実施形態にかかる昇降機クラウド200のサーバ210の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
本実施形態の昇降機クラウド200のサーバ210は、図3に示すように、通信部211と、解析部212と、登録部213と、判定部214と、記憶部220と、を主に備えている。
【0034】
記憶部220は、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体である。記憶部220には、図3に示すように、管理データベース221(以下、「管理DB221」と称する。)が記憶されている。
【0035】
管理DB221は、エレベータ600の仕様変更を管理するためのデータベースである。
【0036】
図4は、実施形態にかかる管理DB221の一例を示す図である。図4に示すように。管理DB221には、データ分類と、音声キーワードと、リアルタイムの集計数および変更基準数と、変更者と、事前変更日時と、変更日時と、営業所/支社支店連絡と、物件データと、が対応付けられて登録されている。
【0037】
データ分類は、仕様変更の対象である。図4の例では、データ分類に、乗りかご50の扉が開状態の時間である戸開時間、乗りかご50の扉を開く速度である戸開速度、乗りかご50の扉を閉める速度である戸閉速度、乗りかご50の積載荷重、乗りかご50の移動速度であるかご速度、乗りかご50の天井の明るさを示すかご天井、周囲の温度等が登録されている。また、データ分類には、上記のいずれにも該当しない場合として分類不能が登録される。
【0038】
音声キーワードは、データ分類の対象を仕様変更するためのエレベータ600に関するキーワードである。一つのデータ分類に対して複数のキーワードを対応付けることが可能である。この音声キーワードは、エレベータ600に関するものであれば、いずれも器0ワードも該当する。例えば、音声キーワードとして、図4に示すように、戸、ドア、扉、遅い、速い、速度、明るい、暗い等があげられる。
【0039】
リアルタイムの集計数は、収集した音声キーワードに登録されたキーワードの数である。一つのデータ分類に対応する音声キーワードに登録されたキーワードであれば異なるキーワードもカウントされる。
変更基準数は、収集したキーワードの数が仕様変更を要求するか否かの判断のための閾値である。変更基準数は、所定の基準数の一例である。
【0040】
変更者は、仕様変更の実施者であり、本実施形態では、管理会社または管理人、あるいはエレベータの製造会社が該当する。
変更日時は、仕様変更が可能である場合の仕様変更の予定日時である。
事前変更日時は、変更日時より前の日時であり、例えば、正式な仕様変更の前にお試しとして仮の仕様変更を行う日時とすることができる。
【0041】
営業所/支社支店連絡は、営業所や支社支店から仕様変更の連絡を行う日時である。
物件データは、エレベータを識別するための識別情報である。
【0042】
図3に戻り、通信部211は、乗りかご50内のマイク52で集音された利用者8による発話の音声データと、乗り場170のマイク172で集音された利用者8による発話の音声データとを、制御盤100およびコントローラ150を介して受信する。
【0043】
また、通信部211は、後述する判定部214でリアルタイムの集計数が変更基準数を超えたと判断された場合に、リアルタイムの集計数が変更基準数を超えた音声キーワードに対応する変更者に、仕様変更要求を送信する。すなわち、通信部211は、管理DB221において音声キーワード対応する変更者を参照して、仕様変更要求を、監視センター400の管理会社のコンピュータ410と製造会社500のコンピュータ510のいずれかに送信する。
【0044】
また、通信部211は、変更者である監視センター400の管理会社のコンピュータ410や製造会社500のコンピュータ510から、仕様変更要求に対する判断結果としての、仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を受信する。
【0045】
さらに、通信部211は、データ分類としての仕様変更の対象、仕様変更要求に対する判断結果としての、仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を管制室160のコンピュータ161に送信する。
【0046】
解析部212は、通信部211で受信した音声データを解析し、音声キーワードを抽出する。具体的には、解析部212は、音声データに対して音声認識を行い、音声認識されたデータに対して形態素解析等の自然言語処理を行って、図4の管理DB221の例に示されるようなエレベータ600に関する音声キーワードを抽出する。
【0047】
登録部213は、解析部212によって抽出された音声キーワードを、管理DB221に逐次登録する。登録部213は、このとき、管理DB221において登録した音声キーワードに対応するリアルタイムの集計数をカウントアップする。
【0048】
また、登録部213は、通信部211で受信した判断結果としての仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を、管理DB221に、データ分類および音声キーワードに対応付けて登録する。
【0049】
判定部214は、登録部213で音声キーワードを管理DB221に逐次登録するタイミングあるいは、所定時間ごとのタイミングで、音声キーワードごとに、管理DB221に登録されているリアルタイムの集計数を参照し、当該集計数が管理DB221に登録されている変更基準数を超えたか否かを判断する。
【0050】
次に、以上のように構成され本実施形態のエレベータ管理システム1によるエレベータ管理処理について説明する。
【0051】
図5は、実施形態にかかるエレベータ管理処理の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
まず、乗り場170のマイク172から乗り場170の利用者8の発話の音声データを制御盤100が収集する(S11A)。制御盤100は収集した音声データをコントローラ150に送信する(S12A)。コントローラ150は制御盤100から音声データを受信し、受信したデータを昇降機クラウド200のサーバ210に送信する(S13A)。
【0052】
昇降機クラウド200のサーバ210では、通信部211が音声データを受信し、解析部212が受信した音声データを解析して音声キーワードを抽出し、登録部213が抽出された音声キーワードを管理DB221に登録する(S15A)。
【0053】
同様に、乗りかご50内のマイク52から乗りかご50内の利用者8の発話の音声データを制御盤100が収集する(S11B)。制御盤100は収集した音声データをコントローラ150に送信する(S12B)。コントローラ150は制御盤100から音声データを受信し、受信したデータを昇降機クラウド200のサーバ210に送信する(S13B)。
【0054】
昇降機クラウド200のサーバ210では、通信部211が音声データを受信し、解析部212が受信した音声データを解析して音声キーワードを抽出し、登録部213が抽出された音声キーワードを管理DB221に登録する(S15B)。
【0055】
次に、判定部214は、音声キーワードごとに、管理DB221に登録されているリアルタイムの集計数を参照し、当該集計数が管理DB221に登録されている変更基準数を超えたか否かを判定する(S17)。
【0056】
次に、リアルタイムの集計数が変更基準数を超えている音声キーワードが有る場合には、通信部211は、当該音声キーワードに対応するデータ分類の対象の仕様変更要求を、当該音声キーワードに対応する変更者に送信する。具体的には、通信部211は、仕様変更要求を、監視センター400の管理会社のコンピュータ410に送信したり(S19A)、製造会社500のコンピュータ510に送信する(S19B)。
【0057】
仕様変更要求を受信した監視センター400、製造会社500は、仕様変更の可否を判断する(S21A、S21B)。そして、監視センター400のコンピュータ410、製造会社500のコンピュータ510は、判断結果として、仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を、昇降機クラウド200のサーバ210に送信する(S23A,S23B)。
【0058】
昇降機クラウド200のサーバ210では、通信部211が判断結果を受信し、登録部213が受信した判断結果としての、仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を、管理DB221に登録する(S25A、S25B)。そして、通信部211は、データ分類としての仕様変更の対象、仕様変更の可否、仕様変更が可の場合における、変更日時、事前変更日時および営業所/支社支店連絡を管制室160のコンピュータ161に送信する(S27A,S27B)。
【0059】
このように本実施形態では、昇降機クラウド200のサーバ210は、乗りかご50内の利用者8による発話の音声データと、乗り場170の利用者8による発話の音声データと、を受信し、受信した音声データを解析してエレベータ600に関する音声キーワードを抽出し、抽出された音声キーワードを、管理DB221に登録し、管理DB221に登録された音声キーワードのリアルタイムの集計数が変更基準数を超えたか否かを判定し、変更基準数を超えた場合に、変更基準数を超えた音声キーワードに対応する変更者のコンピュータ410,510に、仕様変更要求を通知し、変更者のコンピュータ410,510から、仕様変更の可否を受信する。
【0060】
このため、本実施形態では、群管理下で使用されるエレベータの利用者の仕様変更の希望を日々の発話から音声データとして収集し、その収集された音声データを解析してエレベータ600に関する音声キーワードを抽出することで仕様変更の有無を判断して、変更者に仕様変更要求を行う。従って、本実施形態によれば、エレベータの利用者の仕様変更の希望を日々の発話から容易に判断することができ、音変更者により仕様変更可能と判断された場合に仕様変更を行うことができるので、エレベータ600を利用者の希望により沿った形で容易に仕様に合致させて、エレベータ600を利用する利用者の利便性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、昇降機クラウド200のサーバ210は、変更者のコンピュータ410,510から、仕様変更の可否と、仕様変更が可の場合における変更日時と、を受信し、受信した仕様変更の可否と変更日時を、管理DB221に音声キーワードに対応付けて登録する。このため、本実施形態によれば、変更者により仕様変更可能と判断された場合に、仕様変更の日時が通知されるので、エレベータ600を利用者の希望により沿った形で仕様に合致させて、エレベータ600を利用する利用者の利便性をより向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、昇降機クラウド200のサーバ210は、変更者のコンピュータ410,510から、仕様変更の可否と変更日時とともに、仕様変更が可の場合における事前変更日時、をさらに受信し、事前変更日時を、管理DB221に音声キーワードに対応付けて登録する。このため、本実施形態によれば、変更者により仕様変更可能と判断された場合に、仕様変更の日時より前の事前変更日時が通知されるので、事前変更日時で仮の仕様変更を試行的に実施することで、エレベータ600を利用者の希望により沿った形で仕様により合致させて、エレベータ600を利用する利用者の利便性をより向上させることができる。
【0063】
(変形例)
上記実施形態には種々の変形例が考えられる。
上記実施形態では、乗りかご50内および乗り場170の利用者8の発話を収集していたが、さらに、ビル7内のエレベータ600以外から利用者の発話を収集してエレベータ600に関する音声キーワードを抽出するように昇降機クラウド200のサーバ210を構成してもよい。例えば、エレベータまで遠い旨、管理人室の場所が不明、エレベータまでの道順がわかりにくい等のエレベータに関する発話の音声データを、ビル7内から収集し、ビル管理で使用できるように管理DB221を構成することもできる。これにより、エレベータ600の製造会社500の新規ビジネスやビル管理への足がけとすることが可能となる。
【0064】
また、エレベータ600の号機ごとに収集した音声データを分類集計することで、例えば1000個などの多数のエレベータに関するキーワードが抽出された場合に、リニューアル計画のスケジュールを自動的に作成するように昇降機クラウド200のサーバ210を構成することもできる。
【0065】
管理DB221の物件データには契約の有無と契約種類と項目として含めるように講師得してもよい。
【0066】
また、管理DB221を、地域別、施主別、ゼネコン別ごとに設け、管理DB221ごとに集計値を算出するように昇降機クラウド200のサーバ210を構成してもよい。
【0067】
管理DB221のデータ分類の追加削除を、エレベータ600の製造会社500側で行うように構成してもよい。
【0068】
音声データのそれぞれに例えば、性別や年齢等の利用者属性を紐づけるように管理DB221、登録部213を構成してもよい。例えば、音声データとともにカメラ53、173で利用者を撮像した画像を、音声データと紐付けてコントローラ150を介して昇降機クラウド200のサーバ210に送信するように構成する。そして、サーバ210が受信した画像を解析して、利用者の性別や年齢などの利用者属性を判断して、音声データから抽出した音声キーワードとともに利用者属性を管理DB221に登録するように解析部212、登録部213を構成すればよい。
【0069】
上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210は、CPUなどの制御装置と、ROMやRAMなどの記憶装置と、HDDやSSD等の記憶部220と、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0070】
上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210で実行されるエレベータ管理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0071】
上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210で実行されるエレベータ管理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0072】
さらに、上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210で実行されるエレベータ管理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210で実行されるエレベータ管理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0073】
上記実施形態および変形例にかかる昇降機クラウド200のサーバ210で実行されるエレベータ管理プログラムは、上述した各機能部(通信部211、解析部212、登録部213、判定部214)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからエレベータ管理プログラムを読み出して実行することにより上記各機能部が主記憶装置上にロードされ、通信部211、解析部212、登録部213、判定部214が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0075】
1…エレベータ管理システム、2…巻上機、3…カウンタウェイト、5…ロープ、7…ビル、8…利用者、20、20A,20B…昇降路、50,50A,50B…乗りかご、170…乗り場、51,171…操作盤、52,172…マイク、53,173…カメラ、100,100A,100B…制御盤、101…制御部、102,211…通信部、110,220…記憶部、221…管理DB、160…管制室、161,410,510…コンピュータ、200…昇降機クラウド、210…サーバ、212…解析部、213…登録部、214…判定部、221…管理DB、400…監視センター、500…製造会社、600…エレベータ。
【要約】
【課題】エレベータを利用する利用者の利便性を向上させること。
【解決手段】実施形態のエレベータ管理装置は、乗りかご内の利用者による発話の音声データと、複数の乗り場の利用者による発話の音声データと、を受信可能な受信部と、受信した音声データを解析し、キーワードを抽出する解析部と、抽出されたキーワードを、管理データベースに登録する登録部と、管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えたか否かを判定する判定部と、管理データベースに登録されたキーワードの数が所定の基準数を超えた場合に、基準数を超えた数のキーワードに対応する変更者のコンピュータに、仕様変更要求を通知する送信部と、を備え、受信部は、さらに、変更者のコンピュータから、仕様変更の可否を受信する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5