(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】電動式コンクリートカッター
(51)【国際特許分類】
E01C 23/09 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
E01C23/09 A
(21)【出願番号】P 2024074120
(22)【出願日】2024-04-30
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597044106
【氏名又は名称】株式会社ノリタケマシンテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0202796(US,A1)
【文献】特開2019-210766(JP,A)
【文献】中国実用新案第211113079(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/00-23/24
B28D 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッター刃と、
動力源として単一の電動モータと、前記カッター刃および前記電動モータを収容する車体と、前記車体を回転可能に
支持する複数の車輪と、前記電動モータの出力を前記複数の車輪の一部に伝達する動力伝達装置と、を有する電動式コンクリートカッターにおいて、
前記動力伝達装置に伝達される動力と、前記カッター刃を駆動させるための動力とは、いずれも、専ら前記電動モータから供給されるものであり、
前記電動モータは、第1の電力供給手段から供給される電力と、前記第1の電力供給手段とは異なる第2の電力供給手段から供給される電力と、のいずれによっても作動可能とさせられていること、
を特徴とする電動式コンクリートカッター。
【請求項2】
前記第2の電力供給手段として、バッテリーを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の電動式コンクリートカッター。
【請求項3】
前記第1の電力供給手段は外部電源であり、前記第1の電力供給手段による電力の供給が行われていない場合に、前記第2の電力供給手段による電力によって前記電動モータが駆動させられること、
を特徴とする請求項2に記載の電動式コンクリートカッター。
【請求項4】
前記第2の電力供給手段による前記電動モータの駆動は、前記カッター刃による切断が実行されていない場合に行われること、
を特徴とする請求項3に記載の電動式コンクリートカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式コンクリートカッターに関するものであり、特に、複数の電力供給手段を使い分けることのできる電動式コンクリートカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の舗装面やコンクリート面を切断するコンクリートカッターが知られている。かかるコンクリートカッターにおいては、動力装置によってカッター刃が回転駆動されつつ、カッター自体が走行させられることで切断を行う。たとえば、特許文献1に記載のものがそれである。特許文献1においては、切断用ブレードがエンジンによって駆動されるとともに、前記エンジンによって駆動される発電機を有し、コンクリートカッターの推進用の車輪は前記発電機によって発生した電圧によって作動する減速機付きDCモータによって駆動されるコンクリートカッターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、切断作業が室内や地下で行われる場合には、エンジンが排出する排気ガスが問題となり、濃度管理や換気装置の設置などが必要となる場合があり、作業効率が悪化する。これに対し、カッター刃を電動機により回転駆動することが考えられる。この場合、エンジンで駆動する場合と同様にカッター刃に切断に必要となるトルクおよび/または回転数を与えるためには、前記電動機には外部から電力が供給される必要がある。かかる場合においては、外部からの電力供給が行われない場合には、人力によりコンクリートカッターを移動させる必要があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、外部からの電力供給が行われない場合においても移動を容易に行うことができる、電動式コンクリートカッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)カッター刃と、動力源として単一の電動モータと、前記カッター刃および前記電動モータを収容する車体と、前記車体を回転可能に支持する複数の車輪と、前記電動モータの出力を前記複数の車輪の一部に伝達する動力伝達装置と、を有する電動式コンクリートカッターにおいて、(b)前記動力伝達装置に伝達される動力と、前記カッター刃を駆動させるための動力とは、いずれも、専ら前記電動モータから供給されるものであり、(c)前記電動モータは、第1の電力供給手段から供給される電力と、前記第1の電力供給手段とは異なる第2の電力供給手段から供給される電力と、のいずれによっても作動可能とさせられていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電動式コンクリートカッターによれば、カッター刃を駆動させるとともに動力伝達装置に動力を供給するための電動モータを、異なる複数の電力供給手段から供給される電力のいずれによっても作動させることができる。
【0008】
ここで第2の発明の要旨とするところは、前記第1の発明の電動式コンクリートカッターにおいて、前記第2の電力供給手段として、バッテリーを有すること、にある。これにより、前記第2の電力供給手段を電動式コンクリートカッターの内部に含むものとすることができる。
【0009】
また第3の発明の要旨とするところは、前記第2の発明の電動式コンクリートカッターにおいて、前記第1の電力供給手段は外部電源であり、前記第1の電力供給手段による電力の供給が行われていない場合に、前記第2の電力供給手段による電力によって前記電動モータが駆動させられること、にある。これにより、第2の電力供給手段であるバッテリーよりも第1の電力供給手段である外部電源を優先して使用することができる。
【0010】
また第4の発明の要旨とするところは、前記第3の発明の電動式コンクリートカッターにおいて、前記第2の電力供給手段による前記電動モータの駆動は、前記カッター刃による切断が実行されていない場合に行われることにある。これにより、第2の電力供給手段であるバッテリーによる前記電動モータの駆動は、その負荷が小さいに場合において実行される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例の電動式コンクリートカッターの構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形された模式図であり、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施例の電動式コンクリートカッター(以下、カッター車ともいう。)10の側面図であって、カッター車10の進行方向に沿って側面を切り欠いてその内部を示す図である。
【0014】
カッター車10は、後輪16および前輪14をそれぞれ左右一対に有している。このうち、後輪16は駆動輪であり、図示しない後輪16の車軸に対し、後述する動力伝達装置26から駆動力が供給されることにより、カッター車10が前後方向に移動可能とされている。なお、後述するように、動力伝達装置26はデフ(デファレンシャル)機能を有しており、左右の後輪16の回転数が異なることが許容されるので、カッター車10を左右方向に曲げて移動(走行)させることができる。
【0015】
前輪14は、昇降アーム18を介して車体12に連結されている。昇降アーム18は、図示しないたとえば油圧シリンダなどの動力装置によって、車体12に対する角度を変更することができるようにされている。これにより、車体12からの前輪14の突出量が変更させられる。このとき、前輪14および後輪16の両方に接する線が地表面(
図1において斜線を付した部分)となるところ、後述する工具回転軸20にカッター刃22が取り付けられている場合には、前記接線に対するカッター刃22の突出量、言い換えれば、地面に対する切込深さを調整することができる。
【0016】
工具回転軸20は、カッター刃22を取り付けるための軸であり、後述するモータ24の駆動力が伝達されて回転させられる。工具回転軸20には、カッター刃22が、たとえばボルトなどによって連結され、一体となって回転する。カッター刃22が取り付けられていない場合には、工具回転軸20は空転させられる。なお、カッター刃22は取り外し可能であり、取り外した場合には、前記昇降アーム18を最も折りたたんだ状態、すなわち、前輪14の突出量が少ない状態とすることができる。
図1はかかる状態を示している。
【0017】
カッター刃22は、円盤形状を有し、その外周面にたとえば工業用ダイヤモンドが固定された切れ刃を有している。また、中心部に前記工具回転軸20と固定するための穴がたとえば複数設けられており、工具回転軸20と一体回転するように固定される。カッター刃22は、様々な種類のものが用意され、コンクリートやアスファルトなどの被削材料に応じて適したものが選択される。なお、
図1は、カッター刃22が取り外された状態を示すものであり、その状態にカッター刃22が取り付けられた場合のカッター刃22の位置を一点鎖線で示している。
【0018】
モータ24は、前述の工具回転軸20および後述する動力伝達装置26にそれぞれ伝達するための動力を発生させる。本実施例においては、三相交流が供給されて駆動させられる誘導機などの電動機が用いられる。モータ24と工具回転軸20とは、たとえば、モータ24の出力軸と工具回転軸20とにそれぞれプーリが設けられるとともに、それらプーリとの間にベルトが掛け回され、かかるベルトを介して工具回転軸20が所望の回転数となるように動力伝達が行われてもよいし、モータ24の出力軸と工具回転軸20とにそれぞれ歯車が設けられて、それらの歯車が噛み合わされることで、動力伝達が行われてもよい。
【0019】
動力伝達装置26は、本実施例においては、油圧式の無段変速機であり、具体的にはHST(Hydraulic Static Transmission)が用いられる。このHSTは可変容量型油圧ポンプと油圧モータとの間の差動油の流通により動力伝達が行われるものであり、前記可変容量型油圧ポンプの容量を変化させることで、動力伝達装置26の入力軸に対する出力軸の回転方向を正転方向と反転方向に切り換えられる、言い換えれば、カッター車10を前進方向に駆動させるか後進方向に駆動させるかを切り換えられるほか、前記可変容量型油圧ポンプの容量が連続的に変化させられるので、動力伝達装置26の変速比も連続的に変化させることができる。さらに、前記可変容量型油圧ポンプから差動油が供給されない状態とすることができるので、動力伝達装置26を入力軸と出力軸との間の動力伝達を遮断する中立状態とすることが可能である。
【0020】
また、本実施例においては、動力伝達装置26は、デファレンシャル機能を有している。これにより、動力伝達装置26から後輪16の駆動軸に動力が伝達される際に、左右一対の後輪16を、それらの回転速度差を許容しつつ駆動させることができる。
【0021】
なお、図示は省略するが、本実施例のカッター車10は、操作者によって、後輪16の前進・中立・後進の走行方向の切替や、速度の変更や、前輪14の傾斜度合い、言い換えれば、カッター刃22の被切断部材への切込量の変更を行うための操作盤を有しており、かかる操作盤への入力内容に応じて動力伝達装置26やモータ24などの作動が制御される。
【0022】
コネクタ28は、外部電源からの給電を受ける場合に、そのケーブルを接続する。前述のとおり、モータ24が三相交流モータである場合には、たとえば三相200Vの交流を受電するためのケーブルが接続される。
【0023】
電力変換装置30は、コネクタ28を通じて外部電源から供給される電力を、所望の電圧および周波数となるように変換し、モータ24に供給する。この所望の電圧および周波数は、カッター刃22が切削を行うのに適した出力をモータ24が行うために必要となる電圧および周波数であり、予め設定された値が用いられてもよいし、切削作業中に作業者によってカッター刃22の回転速度の増加あるいは減少が指示された場合にはそれに応じて値が変更されてもよい。電力変換装置30は、たとえば逆回復時間(trr)が小さいダイオードであるファストリカバリーダイオード(FRD)を用いたインバータを含んで構成される。これにより、インバータを高速に作動させることができる。
【0024】
また、カッター車10には、手回しハンドル42が設けられている。手回しハンドル42の回転軸は手動駆動装置40の入力軸に連結されており、カッター車10の操作者が手回しハンドル42を回転させると、手回しハンドル42の回転が手動駆動装置40に入力される。
【0025】
手動駆動装置40は、いわゆるギヤボックスなどを含んで構成され、入力軸の回転が所定の変速比で変速されて出力軸に伝達される。本実施例においては、手動駆動装置40の出力軸は、動力伝達装置26の出力軸に動力伝達可能に連結されている。したがって、手回しハンドル42を回転させることで、駆動輪である後輪16を回転させることができ、カッター車10を手動で前進、もしくは後進させることができる。
【0026】
また、カッター車10は、操作ハンドル44を有している。操作ハンドルはカッター車10の側面に取り付けられており、操作者が操作ハンドル44を押す、または引くことにより、電動モータ24から駆動力が発生されない場合においても、言い換えれば、外部電力が供給されない場合や、電動モータ24による切断作業中であっても、動力伝達装置26が中立状態とされる場合において、人力によりカッター車10を移動させることができる。操作ハンドル44は、たとえば伸縮自在に設けられており、カッター車10の押し引き作業や、昇降アーム18による前輪14の展開あるいは格納作業に応じて使いやすい長さとして使用することができる。
【0027】
また、本実施例におけるカッター車10は、切断箇所に水などの液体を供給せずに切削を行ういわゆる乾式のコンクリートカッターである。このカッター車10は、集塵機50、ブロワ48、および、ブロワ用モータ46を備えている。ブロワ用モータ46は前述した電力変換装置30,もしくは後述するバッテリー34からの電力により駆動する。ブロワ48の図示しないファンがブロワ用モータ46に接続されており、前記ファンがブロワ用モータ48により回転させられることで、ブロワ48はその吸引口から空気を吸い込み、排出口54から排出する。ブロワ48の吸引口は集塵機50に接続されている。集塵機50の吸込口52はカッター刃22付近に設けられており、カッター刃22による切削時に生ずる粉塵を含む空気を吸引する。集塵機50には、その内部にフィルタなどが設けられており、吸込口52から吸い込まれた空気に含まれる粉塵を集塵機50内に分離、集積を行い、ブロワ48を通して排出口54から粉塵の除去された空気を排出する。
【0028】
かかる構成を有するカッター車10においては、カッター車10を移動させるための後輪16は、モータ24の駆動力によって駆動させられることから、カッター車10に外部電源が供給される場合に限られることとなる。そのため、カッター刃22による切断作業中においてはカッター車10の移動が可能である一方、外部電源が供給されない状況においては駆動力を発生させることができなかった。そのため、例えば、カッター車10を切断作業を行う場所との間で移動させる回送時には、外部電力が供給されておらず、カッター車10を前述のハンドル42を用いて移動させるか、もしくは操作ハンドル44を介してカッター車10を押して移動させなければならず、安全性や作業者の負担の面で課題があった。
【0029】
かかる課題に対し、本実施例のカッター車10においては、前述の構成に加え、バッテリー34、DC-ACインバータ(以下単に、インバータという)36、変換装置38、切替装置32、充電回路56などを有して構成されている。
【0030】
バッテリー34は、たとえば鉛蓄電池などの充放電可能な二次電池であり、所定の電圧の直流電流を発生させる。
【0031】
インバータ36は、バッテリー34から供給される直流電流を、モータ24を駆動させるのに適した交流である三相交流電流に変換する。
【0032】
変換装置38は、インバータ36によって発生させられる三相交流電流を、モータ24の駆動に適した周波数などとなるように変換を行う。変換装置38においても、前述の変換装置30と同様に、ファストリカバリーダイオード(FRD)を用いたインバータを含んで構成される。これにより、インバータを高速に作動させることができる。なお、前述の変換装置30は、カッター刃22を駆動する、あるいは、それに加えて後輪16によるカッター車10の駆動を行う際のモータ24の出力に用いられる一方、変換装置38は、後輪16によるカッター車10の駆動のみを行う際のモータ24の出力に用いられる。したがって、変換装置38は変換装置30に比べて低容量のものが用いられうる。
【0033】
切替装置32は、モータ24に供給する電流を、変換装置30によって発生させられる交流電流と、変換装置38によって発生させられる交流電流とのいずれとするかを切り換える。切替装置32は、カッター車10の操作者の操作に基づいて切替を行ってもよい。あるいは、コネクタ28を介して外部電源からの電力の供給が行われた場合に、変換装置30によって発生させられる交流電流をモータ24に供給するように、また、コネクタ28を介した外部電源からの電力が遮断された場合に、変換装置38によって発生させられる交流電流をモータ24に供給するように、自動的に切り替えを行うようにしてもよい。
【0034】
また、カッター車10は、充電回路56を有している。カッター車10にコネクタ28を介して外部電源から電力が供給される場合において、充電回路56は、外部電源から供給される電力の一部を直流に変換し、バッテリー34を充電することができる。
【0035】
本実施例のカッター車10によれば、カッター刃22と、前記カッター刃22を駆動させるための電動モータ24と、前記カッター刃22および前記電動モータ24を収容する車体12と、前記車体12を回転可能に支持する複数の前輪14および後輪16と、前記電動モータ24の出力を駆動輪である複数の後輪16に伝達する動力伝達装置26と、を有し、前記電動モータ24は、第1の電力供給手段である外部電源からコネクタ28を介して供給される電力と、前記第1の電力供給手段とは異なる第2の電力供給手段であるバッテリー34から供給される電力と、のいずれによっても作動可能とさせられているので、電動モータ24を、異なる複数の電力供給手段から供給される電力のいずれによっても作動させることができる。これにより、カッター車10の駆動のためのモータをカッター刃22を駆動させるためにも用いることができ、カッター刃22を駆動させることを目的としたモータ24に加えて、カッター車10を移動させるためのモータを別途設ける必要がない。
【0036】
また本実施例のカッター車10によれば、前記第2の電力供給手段として、バッテリー34を有しているので、電力供給手段をカッター車10の内部に含むことができる。
【0037】
また本実施例のカッター車10によれば、外部電源による電力の供給が行われていない場合に、前記バッテリー34による電力によって前記電動モータ24が駆動させられるので、バッテリー34よりも外部電源を優先して使用することができる。
【0038】
また本実施例のカッター車10によれば、前記第2の電力供給手段による前記電動モータの駆動は、前記カッター刃による切断が実行されていない場合に行われることにある。これにより、第2の電力供給手段であるバッテリー34による前記電動モータの駆動は、その負荷が小さいに場合において実行される。
【0039】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0040】
前述の実施例において、ブロア48はモータ46によって駆動されたが、それに限られず、カッター刃22の駆動用モータ24の出力軸から図示しないベルトなどによって回転が伝達されて駆動されてもよい。この場合、電装品を少なくすることでメンテナンスが容易になるとともに、カッター車10の軽量化が図れる。
【0041】
また、前述の実施例においては、集塵機50はフィルタ式のものが用いられたが、これに限られず、サイクロン式のものが用いられてもよい。
【0042】
また、前述の実施例においては、乾式のカッター車10が用いられたが、これに限られない。具体的には、湿式のカッター車が用いられてもよい。かかる湿式のカッター車10は、給水タンク、回収タンク、噴射装置、吸引装置などを有し、噴射装置によりカッター刃22と切断されるコンクリートなどとが接する近傍に給水タンクに貯められた水などを噴射するとともに、吸引装置などで、切断されて発生した粉末状のコンクリート片が混入した水を回収し、回収タンクに一時的に貯留する。この場合、前述の実施例のカッター車10における、集塵機50、ブロワ48、ブロワ用モータ46を備える必要はない。
【0043】
また、前述の実施例においては、動力伝達装置26としてHSTが用いられたが、これに限定されるものではなく、HSTに代えて、たとえば駆動用の電動機を備え、前記駆動用の電動機を用いてバッテリー34の電力によりカッター車10が駆動(移動)させられてもよい。かかる場合、前記駆動用の電動機のための電源回路を備え、バッテリー34の電力がDC-ACインバータ36、前記電源回路を介して前記駆動用の電動機に供給される一方、外部電源が供給されない場合のカッター車10の移動に電動モータ24を用いないので、変換装置38や切替装置32は不要となる。
【0044】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10:電動式コンクリートカッター
12:車体
14:前輪(車輪)
16:後輪(車輪)
22:カッター刃
24:モータ
26:動力伝達装置
28:コネクタ
30:変換装置
32:切替装置
34:バッテリー
36:DC-ACインバータ
38:変換装置
【要約】
【課題】外部電源が供給されていない場合であっても自走可能な電動式コンクリートカッターを提供する。
【解決手段】カッター車10は、カッター刃22と、カッター刃22を駆動させるための電動モータ24と、カッター刃22および電動モータ24を収容する車体12と、車体12を回転可能に支持する複数の前輪14および後輪16と、電動モータ24の出力を駆動輪である複数の後輪16に伝達する動力伝達装置26と、を有し、電動モータ24は、第1の電力供給手段である外部電源からコネクタ28を介して供給される電力と、第1の電力供給手段とは異なる第2の電力供給手段であるバッテリー34から供給される電力と、のいずれによっても作動可能とさせられているので、電動モータ24を、異なる複数の電力供給手段から供給される電力のいずれによっても作動させることができる。
【選択図】
図1