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特許7577885組み合わせ薬剤送達装置の直列接続可能な薬剤モジュール用のピストンバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】組み合わせ薬剤送達装置の直列接続可能な薬剤モジュール用のピストンバルブ
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083385
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2022526139の分割
【原出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2024119846
(43)【公開日】2024-09-03
【審査請求日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】62/933,045
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】マクローリン,マーティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジーミンスキー,スティーブン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ハワンスキー,マーク スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マンパワー,マリアノ
(72)【発明者】
【氏名】スプリンガー,メラニー マリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,キャサリン アリーナ
(72)【発明者】
【氏名】レイン,ベンジャミン リチャード
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わせ薬剤送達装置で使用するモジュール(9)であって、前記モジュールは、隔壁を備える薬剤バイアル(DV)を収容するように形成され、前記モジュールは、
前記薬剤バイアル(DV)の前記隔壁(S)を貫通するように形成されたバイアルスパイク(1)であって、前記バイアルスパイク(1)の自由端が前記隔壁(S)の内部に位置されるように構成され、前記バイアルスパイク(1)は、前記自由端(11)において開口する、前記バイアルスパイク(1)に沿って流入開口(12)へと延びる流入経路(2)と、前記自由端において開口する、前記バイアルスパイク(1)に沿って排出チャンバ(6)へと延びる排出経路(3)と、を含み、前記排出経路(3)は、前記流入経路(2)とは分かれている、バイアルスパイク(1)と、
前記流入開口(12)を選択的にシールするシールポート(4)と、
前記流入開口(12)と前記自由端(11)との間で前記流入経路(2)に接続する通気口(10)と、
前記排出チャンバ(6)内に配置された摺動可能なピストンバルブ(5)であって、前記ピストンバルブ(5)は、前記排出チャンバ(6)内でシールを形成して第1チャンバ部(6a)および第2チャンバ部(6b)を定め、前記排出経路(3)は、前記第1チャンバ部(6a)と接続する、摺動可能なピストンバルブ(5)と、
前記第2チャンバ部(6b)と接続する排出継手(7)と、
前記排出継手(7)と前記排出チャンバ(6)内の開口との間に延びるバイパス通路(8)と、
を備え、初期状態において、前記ピストンバルブは、前記第1チャンバ部が前記バイパス通路からシールされる第1位置に位置され、
前記排出継手を介して負圧が与えられると、前記ピストンバルブは、前記第1チャンバ部が前記バイパス通路と接続する第2位置へと移動
前記通気口(10)は、前記流入経路(2)から離れた通気開口(16)で終端し、前記シールポート(4)および前記通気開口(16)は、前記モジュール(9)の共通の壁に位置される、
モジュール。
【請求項2】
前記通気口(10)は、通常は閉じられている、前記流入経路(2)へと気体が流れることができる一方向通気口である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記ピストンバルブ(5)は、前記排出チャンバ(6)の壁とシール接触するラジアルシールを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
第1モジュール(9)であって、前記第1モジュール(9)は、
第1自由端を備える第1バイアルスパイク(1)であって、前記第1バイアルスパイク(1)は、前記第1自由端において開口する、前記第1バイアルスパイク(1)に沿って第1流入開口(12)へと延びる第1流入経路(2)と、前記第1自由端において開口する、前記第1バイアルスパイク(1)に沿って第1排出チャンバ(6)へと延びる第1排出経路(3)と、を含み、前記第1排出経路(3)は前記第1流入経路(2)とは分かれている、第1バイアルスパイク(1)と、
前記第1流入開口(12)を選択的にシールする第1シールポート(4)と、
前記第1流入開口(12)と前記第1自由端との間で前記第1流入経路(2)に接続する第1通気口(10)であって、前記第1通気口(10)は、前記第1流入経路(2)から離れた第1通気開口(16)で終端し、前記第1シールポート(4)および前記第1通気開口(16)は、前記第1モジュール(9)の共通の壁に位置される、第1通気口(10)と、
前記第1排出チャンバ(6)内に配置された摺動可能な第1ピストンバルブ(5)であって、前記第1ピストンバルブ(5)は、前記第1排出チャンバ(6)内でシールを形成して第1の一次チャンバ部(6a)および第2の一次チャンバ部(6b)を定め、前記第1排出経路は、前記第1の一次チャンバ部(6a)と接続する、摺動可能な第1ピストンバルブ(5)と、
前記第2の一次チャンバ部(6b)と接続する第1排出継手(7)と、
前記第1排出継手(7)と前記第1排出チャンバ(6)内の第1開口との間に延びる第1バイパス通路(8)と、
を含む、第1モジュール(9)と、
第2モジュール(9a)であって、前記第2モジュール(9a)は、
第2自由端を備える第2バイアルスパイク(1a)であって、前記第2バイアルスパイク(1a)は、前記第2自由端において開口する、前記第2バイアルスパイク(1a)に沿って第2流入開口(12a)へと延びる第2流入経路(2a)と、前記第2自由端において開口する、前記第2バイアルスパイク(1a)に沿って第2排出チャンバ(6’)へと延びる第2排出経路(3a)と、を含み、前記第2排出経路(3a)は、前記第2流入経路(2a)とは分かれている、第2バイアルスパイク(1a)と、
前記第2流入開口(12a)を選択的にシールする第2シールポート(4a)と、
前記第2流入開口(12a)と前記第2自由端との間で前記第2流入経路(2a)に接続する第2通気口(10a)と、
前記第2排出チャンバ(6’)内に配置された摺動可能な第2ピストンバルブ(5a)であって、前記第2ピストンバルブ(5a)は、前記第2排出チャンバ(6’)内でシールを形成して第1の二次チャンバ部(6’a)および第2の二次チャンバ部(6’b)を定め、前記第2排出経路(3a)は、前記第1の二次チャンバ部(6’a)と接続する、摺動可能な第2ピストンバルブ(5a)と、
前記第2の二次チャンバ部(6’b)と接続する第2排出継手(7a)と、
前記第2排出継手(7a)と前記第2排出チャンバ(6’)内の第2開口との間に延びる第2バイパス通路(8a)と、
を含む、第2モジュール(9a)と、を備え、
前記第2モジュール(9a)は、前記第2排出継手(7a)が前記第1シールポート(4)を通って延びて前記第1流入開口(12)と接続するように、前記第1モジュール(9)と結合され、
初期状態で、前記第1ピストンバルブ(5)は、前記第1の一次チャンバ部(6a)が前記第1バイパス通路(8)からシールされる第1位置に位置され、
前記第1排出継手(7)を介して負圧が与えられると、前記第1ピストンバルブ(5)は、前記第1の一次チャンバ部(6a)が前記第1バイパス通路(8)と接続する第2位置へと移動し、
前記第2位置に前記第1ピストンバルブ(5)があると、前記第1排出経路(3)および前記第1流入経路(2)を介して前記第2排出継手(7a)に負圧が与えられ、
前記第2モジュール(9a)が前記第1モジュール(9)に結合されると、前記第2モジュール(9a)は、前記第1通気開口(16)を閉塞して前記第1通気開口(16)を介した通気を制限する、
組み合わせ。
【請求項5】
前記第2モジュール(9a)が前記第1モジュール(9)に結合されると、前記第2シールポート(4a)が前記第2流入開口(12a)をシールしつつ、前記第2通気口(10a)は、露出される、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記第2排出継手(7a)を介して負圧が与えられると、前記第2ピストンバルブ(5a)は、前記第1の二次チャンバ部(6’a)が前記第2バイパス通路(8a)と接続した状態となるように、前記第2排出チャンバ(6’)内で移動する、請求項4に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特に静脈内注入および患者への直接注入のための液体薬剤の配合および調製である。より具体的には、本発明は、2つ以上の薬剤の組み合わせの調製および配合に使用される装置のシール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局環境内で調合される薬剤の静脈内注入による薬剤の投与では一般的な慣行である。このような薬剤は、通常、ガラスバイアルで無菌状態で供給され、固体または水溶液の形で供給され得る。固形で供給される場合、薬剤は注入バッグに移す前に滅菌水性希釈剤で調製する必要がある。当業者は、そのような薬剤製剤が、典型的には、いくつかの賦形剤、例えば、緩衝剤、pH調整剤、張性調整剤、安定剤などを含むことを理解する。通常、静脈内注入用の液体薬剤は、患者への注入のために移す前に、薬局環境で注入バッグで調合される。薬剤の無菌性を維持する必要があるため、調剤の間、調剤手順は通常、無菌調剤室(フード)で行われる。典型的には、薬剤師または薬局技師(実務者)は、個々の患者の処方箋に従って薬剤を準備する。
【0003】
フード内にすべての物がないことを確認した後、実務者は処方箋に従って必要な薬剤のバイアルを薬局の在庫から取り出し、それらが同一であることおよび含量を確認する。確認プロセスは、バーコードスキャナまたはその他の識別技術によって支援される。実務者はまた、注入バッグ自体、注射器、針、移注セット、手袋、鋭利物廃棄容器などを含む、注入用の薬剤を安全に準備するために必要な他のすべての必要な機器を在庫から取り出す。必要なすべての機器が集められると、実務者は、希釈剤の添加による固形薬剤の調製、個々のバイアルから移注口を介して点滴静注(IV)バッグへ液体薬剤を順番に取り出すことを含む、薬剤の調製のための手順に従う。典型的には、この手順は手動で実行され、複数の針を使用する。実務者へ針が刺さることによる損傷の危険性は、薬剤の調合を行うために必要な針毎に増加する。化学療法用の細胞毒性薬などの高い効力または毒性のある薬剤の場合、実務者にとってかなりの曝露の危険性がある。
【0004】
危険な薬剤への曝露を含む手動調製に関連する危険性および投薬ミスの危険性のいくつかを排除するために、薬剤の調製および調合に含まれる多くのステップを自動化する薬剤調合機が当業者に知られている。典型的には、このような機械は複雑な電気機械システムであり、液体薬剤を正確に調製するための高度な精密調剤機構を実装している。それらのコスト、大きさ、および複雑さは別として、当技術で説明されるそのような機械の設計の多くは、在庫貯蔵庫から液体薬剤を取り出し、容器内の薬剤の一部のみを使用する。無菌性を維持する必要があるため、未使用の薬液は典型的には廃棄される必要があり、無駄になる。一部の薬剤、特に生物学的薬剤のコストが非常に高いため、この廃棄は非常に望ましくないコストである。浪費された薬剤が細胞毒性剤である場合、それらの処分は重大な環境および安全上の危険を生み出す。
【0005】
医学、特に癌の治療における最近の進歩により、治療的に有益な効果が2つ以上の薬剤の相乗的な組み合わせによって達成され得ることが示されてきた。
【0006】
たとえば、最近の臨床研究では、抗PD-1チェックポイント阻害薬とCTLA4チェックポイント阻害薬の併用により、いくつかの腫瘍タイプで有益な相乗効果が得られ、それぞれの薬剤の個々の投与で達成できるよりも優れた臨床転帰につながり得ることが示されている。典型的には、そのようなチェックポイント阻害薬は、バイオテクノロジ由来のモノクローナル抗体または免疫グロブリンタイプのフラグメントである。状況によっては、そのような生物学的薬剤を細胞毒性薬などの従来の化学療法剤と組み合わせることが有益な場合がある。
【0007】
出願人の同時係属中の出願(2018年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/670,266号;2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/US2019/031727号;2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/2019/031762号;および2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/US2019/031791号)に記載された直列接続可能な薬剤モジュールの利用を通じて、薬剤の組み合わせを無事に保管し、出荷し、および患者へ投与することができ、製品の浪費を最小限に抑えながら十分な柔軟性を実現できる。これらの薬剤モジュールは、一般的な既製のバイアル一次容器を利用する。これは、投与中にモジュール内にあるスパイクで穴が開けられ、バイアル内の液体薬剤がモジュールの内部流体に入ることができる。モジュールの流体装置内に密封機構が存在し、穿刺処理中にモジュールの流体装置内に液体薬剤品を収容できるだけでなく、製品の使用中に流体経路を開くことができ、薬剤品が流れるようにすることが重要である。この製品は使い捨てであると想定されているため、理想的な密封機構は、製造コストを低く抑えながら、非常に信頼性が高く、再現可能な必要がある。
【0008】
出願人は、ここでの同じ譲受人の2018年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/670,266号、2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/US2019/031727号、2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/2019/031762、および2019年5月10日に出願されたPCT出願のPCT/US2019/031791に記載され、本件明細書の一部を構成するものとしてその開示全体を本件明細書に援用する組み合わせ(コンビナトリアル)の原理は、静脈内注入のための薬剤の調製および調合で遭遇するいくつかの課題に対処でき、薬局での手続きの簡素化、投薬ミスの危険性の低減、非常に強力または毒性の高い薬剤からの実務者の封じ込めおよび保護、針で刺すことによる損傷の危険性の低減、薬剤の浪費の低減または撲滅、複雑で高価な薬剤調剤機の必要性の回避を含むがこれらに限定されないいくつかの利点を提供できる。実施形態におけるこれらの利点の結果として、本発明は、薬局から離れた場所で、および非専門家による、例えば、患者の家で適切に訓練された技術者または看護師による、静脈内(IV)注入用の薬剤の調製および配合をさらに可能にし得る。この可能性は、本明細書で説明されるシステムの本質的な運搬性によって高められる。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、組み合わせ薬剤送達装置で使用可能なモジュールにおいて、モジュールの排出流体装置に組み込まれて配置された(put inline of the module’s outlet fluidics)、バイパスチャンバ備えた移動可能なピストンシールは、バイアルの貫通中にモジュールの流体装置を大気からシールする手段を提供する一方、ピストンシールの外面に真空が与えられると流体経路を開くことができる。
【0010】
バイアルの薬剤チャンバに入るスパイク内の、流入と排出の、2つの内腔(ルーメン)経路が、モジュールの流体経路を分割する。流入経路は、前側の接続されたモジュールからの液体医薬品が、刺されたバイアルに入ることができるようにし、排出経路は、バイアルから後続のモジュールに流体を移動させる。流入経路の入口にあるばねにより負荷が加えられたシールは、前側のモジュールとのインタフェースに使用される。このシールは、モジュールとの接続時にのみ経路が開かれることを保証する。したがって、バイアルが刺されると、流入経路は大気に対して閉じられ、バイアルの内容物は漏出し得ない。
【0011】
バイアル穿刺中、バイアルに入るスパイクの量により、バイアル内の液体の一部が移動し、バイアルの内容物がわずかに加圧されて、スパイクの内腔に押し込まれる。流入側では、この圧力はばねによって負荷が加えられたシールによって封じ込められ、排出側では、流体はスパイク内腔に入り、ピストンシールによってシールされる。穿刺処理中に圧力がかかると、ピストンシールがわずかに押され、液体チャンバが体積的に増加するため、穿刺による圧力が低下する。ピストンシールの反対側には、後続のモジュールの流入部への排出部がある。ピストンシールの隣のモジュール本体に小さなバイパスが切り込まれており、排出チャンバを排出継手に接続する。真空源が排出継手に与えられると、ピストンが移動し、バイパスポートがバイアルの流体経路に露出し、流体がバイアルから排出継手に移動するための経路が開かれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による、閉位置にあるピストンバルブを示す。
図2図2は、本発明による、バイアル陽圧を解放するピストンバルブを示す。
図3図3は、本発明による、開位置にあるピストンバルブを示す。
図4図4は、本発明による、バルブに結合された薬剤バイアルを示す。
図5図5は、本発明による、直列に接続されたピストンバルブを示す。
図6図6は、本発明による、直列に接続されたピストンバルブの流体経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、直列に接続された薬剤モジュールと共に使用するのに特に適しており、特にそれらの間に流体経路を形成する際に使用するのに適している。本発明は、単一のモジュール9の文脈で示されているが、本発明は、直列に接続された複数の同様に形成されたモジュール9で動作することが理解される。図1および図4に示すように、モジュール9のそれぞれは、液体で満たされた薬剤バイアルDVの内部容積V内に延びる、バイアル隔壁Sを貫通するために使用されるバイアルスパイク1を有するバルブを含む。バイアルスパイク1の自由な遠位端11は、バイアル隔壁Sの貫通を容易にするように鋭利であってもよい。バイアルスパイク1は、内部容積Vにアクセスする際に隔壁Sを完全に貫通するのに十分な長さを備えなければならない。
【0014】
バイアルスパイク1は、モジュールの流体装置を別々の回路に分割する2つの内腔である、流入経路2、および排出経路3を含む。バイアルスパイク1が隔壁Sを貫通している状態で、流入経路2および排出経路3の両方が、バイアルスパイク1の自由端11で開いており、薬剤バイアルDVの内部容積Vと接続している。流入経路2は、薬剤バイアルDVの内部容積Vから、ばね付勢シールポート4によって選択的に密封(シール)される流入開口12まで延びる。通気口10は、流入経路2上、好ましくは自由端11と流入開口12との間に存在し、必要に応じて、空気を薬剤バイアルDVに流入させて、移注中に流体と置換する。好ましくは、通気口10は、通常は閉じられている、流入経路2へ気体が流れることを可能にする一方向通気口である。排出経路3は、薬剤バイアルDVの内部容積Vから排出チャンバ6まで延びる。ピストンバルブ5は、排出チャンバ6の内側に摺動可能に着座し、チャンバ内壁13に対するシールを形成する。ピストンバルブ5は、ピストンバルブ5が排出チャンバ6内で摺動することを可能にしながら、シールを形成するように壁13とシール接触するラジアルシール14を含み得る。
【0015】
ピストンバルブ5は、排出チャンバ6内にシールを形成して、第1チャンバ部6aおよび第2チャンバ部6bを画定し、これらは、排出チャンバ6内のピストンバルブ5の動きに応じて、それらの間のシールを維持しながら大きさの調整が可能である。排出経路3は、第1チャンバ部6aと接続している。排出チャンバ6、特に第2排出チャンバ6bと接続している排出継手7が提供される。
【0016】
初期状態では、図1に示すように、ピストンバルブ5は、排出チャンバ6の内側端の第1位置に配置され、排出内腔3から流入する流体が排出継手7にアクセスするのを防ぐ。バイパス通路8は、排出チャンバ6を排出継手7に接続する。具体的には、バイパス通路8は、排出チャンバ6の壁13の開口15で終端している。ピストンバルブ5が第1位置にある状態で、第1チャンバ部6aは、バイパス通路8からはシールされている。
【0017】
(ピストンバルブ5が第1位置にある)この配置では、図2に示すように、バイアルスパイク1が隔壁Sを穿刺した結果、薬剤バイアルDVから押し出された加圧流体がばね付勢シールポート4によって流入経路2に含まれ、一方、排出経路3に入る流体は、ピストンバルブ5の後ろの第1チャンバ部6a内に含まれる。図2に示すように、流体内の圧力によってピストンバルブ5がわずかに移動し得る。位置のこの動きにより、薬剤バイアルDVと流体経路内の圧力が無視できる量に平衡化される。
【0018】
図3に示すように、流体移注時に、負圧の源、例えば、真空が、排出継手7に提供され、それによって、バイパス通路8および排出チャンバ6、具体的には、第2チャンバ部6bから空気を排出する。これにより、ピストンバルブ5を挟んで圧力差が生じ、ピストンバルブ5が排出チャンバ6に沿って排出継手7に向かって摺動する。これにより、第1チャンバ部6aの容積が増加する。最終的に、ピストンバルブ5が動き続けると、ピストンバルブ5はバイパス通路8を通過し、それにより、第1チャンバ部6aが、排出経路3とともに、バイパス通路8と接続することができる。図3に示すように、バイパス通路8が真空を伝えると、流体はバイアルから排出経路3を通り、ピストンバルブ5を迂回してバイパス通路8を通り、排出継手7を通って排出され得る。
【0019】
図5および6に示されるように、複数のモジュール9は、隣接するモジュール9のシールポート4を突破する二次モジュール9aの排出継手7aと直列に結合され得、その結果、排出継手7aは、隣接するモジュール9の流入開口12と接続する。二次モジュール9aは、モジュール9と同様に形成され、同様の部品に同様の番号が付けられているが、さらに文字「a」で示されている(6’として示される二次モジュールの排出チャンバを除く)。連結された配置は、図6に概略的に示すように、バイアルスパイク1に結合された薬剤バイアルDVを介して、二次モジュール9aのバイアルスパイク1aに結合された薬剤バイアルDVからモジュール9の排出継手7までの流体経路を定めることができる。この流体経路は、モジュール9の排出経路3および流入経路2を介して排出継手7aに負圧が加えられることで生じるピストンバルブ5aの摺動運動によって実現される。上記と同様に、流れは、ピストンバルブ5aの十分な摺動変位の際に、バイパス通路8aでピストンバルブ5aを迂回する。この配置は、モジュール9の直列の結合を可能にし、それぞれの薬剤バイアルDVは、単一の負圧源によって作用される単一の流路を定めるように一列になっている。
【0020】
通気口10は、開放大気に曝されるように配置された通気開口部16で終端するように配置され得ることにも留意されたい。好ましくは、通気開口部16は、シールポート4と共通の壁上に配置され、それによって隣接する結合モジュール9aが通気開口部16を覆う。この閉塞物は、モジュール9の通気を制限し、それによって隣接する結合モジュール9aに加えられる負圧を最大化する。閉塞された通気は、直列に結合されたモジュールを通して継続でき、最後のモジュール9(例えば、モジュール9a)は、通気開口部16が露出され、それにより、直列全体に通気を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6