(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ネジ切り工具
(51)【国際特許分類】
B23G 5/04 20060101AFI20241029BHJP
B23G 1/26 20060101ALI20241029BHJP
B23G 1/44 20060101ALI20241029BHJP
B23G 1/48 20060101ALI20241029BHJP
B23G 1/52 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B23G5/04
B23G1/26 A
B23G1/44 A
B23G1/48
B23G1/52
(21)【出願番号】P 2021046602
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】松浦 勝秀
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-182851(JP,A)
【文献】特開平04-118131(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102120278(CN,A)
【文献】実公昭31-005782(JP,Y1)
【文献】実開昭58-184225(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23G 5/00、04
B21C 25/02
B23G 1/26、44、48、52
B23B 31/20、40
B21H 3/00、02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
可撓性チューブの外周にネジを切るダイスと、中間部に可撓性チューブに切るネジと同一のネジを刻設したネジ部を形成し、前記ネジ部の両側に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成した一直線の円柱状の芯金とからなり、可撓性チューブの一端に芯金の挿入部を挿入し、芯金のネジ部にネジ切り刃を螺合したダイスを回転させて可撓性チューブの外周にネジを切ることを特徴としたネジ切り工具。
【請求項3】
前記芯金の挿入部を一端に挿入した可撓性チューブの他端から可撓性チューブに挿入されるロッド棒を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネジ切り工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性チューブの外周にダイスにてネジを切るためのネジ切り工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、管の外周に手動にてネジを切る工具としてダイスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、管に対して直角にダイスを保持しつつ、ダイスを回転することにより管の外周に手動でネジを切るものであるが、このようなものでは、金属管等のように可撓性のない管であれば問題ないが、テフロンチューブ(テフロン:登録商標)等のような可撓性チューブであると、チューブが撓むためチューブとダイスを直角に保つことが非常に難しく、切ったネジが不良になることが多かった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、可撓性チューブの外周に、誰でも簡単にネジを切ることができ、切ったネジの不良も防止できるネジ切り工具を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明のネジ切り工具は、可撓性チューブの外周にネジを切るダイスと、中間部から一方に可撓性チューブに切るネジと同一のネジを刻設したネジ部と中間部から他方に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成した一直線の円柱状の芯金とからなり、可撓性チューブの一端に芯金の挿入部を挿入し、芯金のネジ部にねじ切り刃を螺合したダイスを回転させて可撓性チューブの外周にネジを切ることを特徴とするものである。
【0007】
可撓性チューブの外周にネジを切るダイスと、中間部に可撓性チューブに切るネジと同一のネジを刻設したネジ部を形成し、前記ネジ部の両側に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成した一直線の円柱状の芯金とからなり、可撓性チューブの一端に芯金の挿入部を挿入し、芯金のネジ部にネジ切り刃を螺合したダイスを回転させて可撓性チューブの外周にネジを切ることを特徴としたものを請求項2に係る発明とする。
【0008】
前記芯金の挿入部を一端に挿入した可撓性チューブの他端から可撓性チューブに挿入されるロッド棒を設けるものであることが好ましく、これを請求項3の発明とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、可撓性チューブの外周にネジを切るダイスと、中間部から一方に可撓性チューブに切るネジと同一のネジを刻設したネジ部と中間部から他方に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成した一直線の円柱状の芯金とからなり、可撓性チューブの一端に芯金の挿入部を挿入し、芯金のネジ部に螺合したダイスを回転させることにより可撓性チューブの外周にネジを切るようにしたので、可撓性チューブの端部が撓むことがなく、一直線状に保持され、またダイスを芯金のネジ部に螺合し、回転させることにより、可撓性チューブの外周に簡単にネジを切ることができ、切ったネジの不良も防止できる。
【0010】
請求項2の発明では、可撓性チューブの外周にネジを切るダイスと、中間部に可撓性チューブに切るネジと同一のネジを刻設したネジ部を形成し、前記ネジ部の両側に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成した一直線の円柱状の芯金とからなり、可撓性チューブの一端に芯金の挿入部を挿入し、芯金のネジ部にネジ切り刃を螺合したダイスを回転させて可撓性チューブの外周にネジを切るようにしたので、可撓性チューブの端部が撓むことがなく、一直線状に保持され、またダイスを芯金のネジ部に螺合し、回転させることにより、可撓性チューブの外周に簡単にネジを切ることができ、切ったネジの不良も防止できる。さらに、前記したとおり、芯金のネジ部の両側に可撓性チューブに挿入される挿入部を形成したので芯金の方向性をなくした。
【0011】
請求項3の発明では、前記芯金の挿入部を一端に挿入した可撓性チューブの他端から可撓性チューブに挿入されるロッド棒を設けたので、可撓性チューブ全体が一直線状に保持されるので簡単にネジを切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】ダイス部材の図であり、(A)は側面図、(B)は正面図、(C)は裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、
図1から
図3に基づいて説明すると、1はテフロンチューブ等の可撓性チューブであり、可撓性チューブ1の一端外周には、後記するネジ切り工具にて雄ネジが形成される。
【0014】
2は可撓性チューブ1の外周にネジを切るためのダイス部材であり、ダイス部材2は、ダイス3と、背面側が開口され、ダイス3が嵌め込まれる嵌合凹部4aが形成され、正面板中央に貫通孔4bが形成されるとともに外周面に滑り止めのためのローレット加工4cが施されたアダプター4と、ダイス3をアダプター4に固定する六角穴付きボルト5から構成されている。尚、正面貫通孔4bの直径はダイス3のネジ切り刃3aの径より大きく形成されている。
【0015】
6は一直線状の丸棒の芯金であり、芯金6の中間部より一方に前記ダイス3によりネジ切りされるネジと同一のネジが形成されたネジ部6aと、このネジ部6aの他方(中間部より他方)には前記可撓性チューブ1に挿入される、可撓性チューブ1の内径と略同径の太さの挿入部6bが形成されている。尚、本実施の形態では、外径5mm、内径3mmのテフロンチューブ1に使用される芯金6のネジ部6aのネジはM5であり、挿入部6bの外径は3.1mmとなっている。
【0016】
7は可撓性チューブ1の内径と略同一の外径(芯金の挿入部の外径と略同一の外径)の一直線状の丸棒からなるロッド棒であり、ロッド棒7は、一端に芯金6の挿入部を挿入された可撓性チューブ1の他端から可撓性チューブ1に挿入される。
【0017】
次に、可撓性チューブ1にネジを切る方法について説明すると、芯金6の挿入部6bを可撓性チューブ1の一端(外周にネジを切る側の端)から可撓性チューブ1に挿入し、可撓性チューブ1の端部に芯金6のネジ部6aを当接させ、その後、ロッド棒7を可撓性チューブ1の他端より可撓性チューブ1に挿入し、その先端を芯金6の挿入部6bに当接させ、可撓性チューブ1を撓むことがなく一直線状に保持している。
【0018】
この後、芯金6のネジ部6aをダイス部材2の貫通孔4bに挿入し、ダイス3のネジ切り刃3aを芯金6のネジ部6aに螺合し、可撓性チューブ1に達した後もそのままダイス部材2を回転して可撓性チューブ1の外周にネジを切り、所定位置までネジを切ったら、ダイス部材2を逆に回転してダイス部材2を芯金6から外す。
【0019】
次に、前記のようにして一端部の外周にネジを形成した可撓性チューブ1を抵抗溶接の曲り部を有する、即ち、冷却水路も曲り部を有する電極部の冷却チューブとして使用した例について、
図5に基づいて説明すると、分水器21の先端に取付けたアダプター22の先端上面に垂直に電極23を取付けた電極部の内部に、分水器21から電極23まで冷却水路24を形成し、分水器21の給水部21aに、外周にネジを形成した一端を螺着した冷却チューブ25の他端を電極23に達するように冷却水路24に挿入し、分水器21の給水部21aから給水した冷却水が、冷却チューブ25の内部を通り電極23内に噴出し、冷却チューブ25の外面と電極23及びアダプター22の冷却水路の内面の間を通り、分水器21の排水部21bから排水され、電極部を冷却水にて冷却する。
【0020】
本発明は
前記実施の形態に限定されるものではなく、
図4に示すように、芯金6は中央にネジ部6aを形成し、両端に挿入部6b、6cを形成したものでもよく、また、ロッド棒7は可撓性チューブ1全体から可撓性を無くして、ネジ切りを容易にするためであり、必要に応じて使用すればよく、さらに、
ダイス部材2のアダプター4は、手動にてダイス3を回転するのを容易にするためのものであり、アダプター4を使用せず、ダイス3でネジを切るようにしてもよい。
【0021】
以上のように、本発明では、可撓性チューブ1の外周にネジを切るダイス3と、中間部から一方に可撓性チューブ1に切るネジと同一のネジを刻設したネジ部6aと中間部から他方に可撓性チューブ1に挿入される挿入部6bを形成した一直線の円柱状の芯金6とからなり、可撓性チューブ1の一端に芯金6の挿入部6bを挿入し、芯金6のネジ部6aにネジ切り刃3aを螺合したダイス3を回転させて可撓性チューブ1の外周にネジを切るようにしたので、可撓性チューブ1の端部が撓むことがなく、一直線状に保持され、またダイス3を芯金6のネジ部6aに螺合し、ダイス3をそのまま回転させることにより、誰でも簡単に可撓性チューブ1の端部外周にネジを切ることができ、切ったネジの不良を防止できる。
【0022】
さらに、前記芯金6のネジ部6aの両側に可撓性チューブ1に挿入される挿入部6b、6cを形成したので芯金の方向性をなくした。
【0023】
さらにまた、前記芯金6の挿入部6b、6cを一端に挿入した可撓性チューブ1の他端から可撓性チューブ1に挿入されるロッド棒7を設けたので、可撓性チューブ1全体が撓むことがなく一直線状に保持されるので簡単にネジを切ることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 可撓性チューブ
2 ダイス部材
3 ダイス
4 アダプター
6 芯金
6a ネジ部
6b 挿入部
6c 挿入部
7 ロッド棒