(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20241029BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01H36/00 V
B62D1/04
(21)【出願番号】P 2023573845
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2022038685
(87)【国際公開番号】W WO2023135881
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022004585
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】正木 毅
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161494(JP,A)
【文献】国際公開第2020/183869(WO,A1)
【文献】特開2001-148277(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064858(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/195620(WO,A1)
【文献】特開2012-133983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00 - 36/02
B62D 1/00 - 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に設けられるセンサ電極と、
前記センサ電極の外縁を囲むように前記基材に設けられ、前記センサ電極と容量結合するシールド電極と、
前記シールド電極に接続され、所定位相及び所定電圧の交流電圧を出力する電圧回路と、
前記電圧回路と前記シールド電極との接続部に接続される第1端部と、グランドに接続される第2端部とを有する保護回路と
を含
み、
前記センサ電極及び前記シールド電極は、リム、スポーク、及びハブを有するステアリングホイールの前記スポークのうちの前記リムの内周側を向く位置に設けられており、
前記スポークは、ステアリングスイッチを収容する収容部を有し、
前記センサ電極及び前記シールド電極は、前記ステアリングスイッチが前記収容部に収容された状態で前記リムの内周側を向くように、前記ステアリングスイッチの筐体に設けられる、センサ装置。
【請求項2】
前記電圧回路は前記センサ電極に接続され、
前記センサ電極には前記所定位相の交流電圧が供給される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ電極には前記所定電圧の交流電圧が供給される、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記センサ電極の幅に対する前記シールド電極の幅は、前記ステアリングスイッチが存在しない区間よりも、前記ステアリングスイッチが存在する区間の方が広い、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステアリングホイールに内蔵された静電容量式のセンサ装置であって、前記ステアリングホイールは、リムと前記リムの内側に接続されたスポークとを有し、前記センサ装置は、検出するべき物体と容量結合が可能な電極と、制御部とを含み、前記スポーク上に設けられており、前記制御部は、前記リムまたは前記スポークに物体が近接した際に発生する前記電極の静電容量の変化を検出し、前記静電容量の変化に基づいて物体が近接したか否かについて判定することを特徴とするセンサ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、静電容量の変化に基づいて物体が近接したか否かについて判定するセンサ装置を、タッチパッド或いはドアハンドルへの接近を検知するセンサとして用いる技術も公知である(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/195620号
【文献】特開2018-081573号
【文献】特開2020-133150号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のセンサ装置は、導線等で静電容量センサを形成し、スポークの縁部に設ける構成であり、浮遊容量による影響があった。また、人が接触するスポークにセンサ電極が配置されているため、静電気によってセンサ電極にダメージを与えないよう電極が露出しないよう配置する必要があり、構造が複雑になるという問題があった。
【0006】
そこで、センサ電極の検出値における浮遊容量の影響と、静電気によるダメージとを抑制可能なセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態のセンサ装置は、基材に設けられるセンサ電極と、前記センサ電極の外縁を囲むように前記板状の基材に設けられ、前記センサ電極と容量結合するシールド電極と、前記シールド電極に接続され、所定位相及び所定電圧の交流電圧を出力する電圧回路と、前記電圧回路と前記シールド電極との接続部に接続される第1端部と、グランドに接続される第2端部とを有する保護回路とを含む。
【発明の効果】
【0008】
センサ電極の検出値における浮遊容量の影響と、静電気によるダメージとを抑制可能なセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施形態1のステアリングホイールの構成を透過的に示す図である。
【
図1B】実施形態1のステアリングホイールセンサの検出領域を示す図である。
【
図1C】実施形態1のステアリングホイールセンサの構成の一部を示す図である。
【
図1D】実施形態1のステアリングホイールセンサを示すブロック図である。
【
図2A】実施形態1のステアリングホイールセンサの構成を示す図である。
【
図3】実施形態1の第1変形例のステアリングホイールのスポークの部分とその周辺の構成を示す図である。
【
図4】実施形態1の第1変形例の静電容量式センサを示す図である。
【
図5A】実施形態1の第2変形例の静電容量式センサの構成を示す図である。
【
図5B】実施形態1の第3変形例の静電容量式センサの構成を示す図である。
【
図6A】実施形態2のセンサ装置を含むPCを示す図である。
【
図7A】実施形態3のセンサ装置を適用したドアハンドルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のセンサ装置を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態1>
ステアリングホイールセンサ102(「センサ装置」の一例)及びステアリングホイール100(「ステアリングホイール」の一例)について
図1A~
図1Dに基づき説明する。実施形態1におけるステアリングホイール100は、
図1Aに示されるように、リム110と、リム110の内側に接続され、不図示の回転軸と接続されていてステアリングホイール100の中心に位置するハブ115と、ハブ115とリム110を接続するスポーク120と、スポーク120上に設けられたステアリングホイールセンサ102とを有している。なお、
図1A及び
図1Bには、中立状態のステアリングホイール100を示す。中立状態とは、ステアリングホイール100を操舵していない状態であり、車両が直進する状態のステアリングホイール100の位置を意味する。
【0012】
ステアリングホイールセンサ102は、人の手等の検出するべき物体(以下、操作体)と容量結合が可能な静電容量式センサ130と、制御部160(「判定部」の一例)と、電圧回路と、保護回路とを有している。なお、ステアリングホイールセンサ102は、制御部160を含まなくてもよく、制御部160は、ステアリングホイールセンサ102の外部に設けられていてもよい。
【0013】
静電容量式センサ130は、リム110の内周面と対向するスポーク120の縁部121a、121b、121cに沿って設けられている。静電容量式センサ130は、センサ電極とシールド電極とを有する。センサ電極は、操作体との間の静電容量を検出可能な電極であり、シールド電極は、センサ電極と浮遊容量との結合を抑制するために用いられる電極である。電圧回路は、シールド電極に接続され、所定位相及び所定電圧の交流電圧を出力する。
【0014】
また、保護回路は、電圧回路とシールド電極との接続部に接続される第1端部と、グランドに接続される第2端部とを有する。このような静電容量式センサ130、電圧回路、及び保護回路の構成の詳細については、
図2乃至
図4を用いて後述する。
【0015】
リム110を加熱し温めるためのヒータ140は、リム110に内蔵されている。即ち、静電容量式センサ130とヒータ140とは、ステアリングホイール100の異なる部分に設けられている。
【0016】
図1Dに示されるように、制御部160は、静電容量式センサ130と電気的に接続されている。静電容量式センサ130の出力信号は、静電容量式センサ130の静電容量を表す。制御部160は、静電容量式センサ130の静電容量の変化に基づいて検出信号を生成し、更に、その検出信号と予め設定された閾値とを比較して、運転者の手がステアリングホイールに接近しているか否かを判定し、判定結果を表す信号を外部装置に出力する。
図1Dには、電圧回路170及びツェナーダイオード180も示す。電圧回路170及びツェナーダイオード180については、
図2Aを用いて後述する。
【0017】
外部装置は、判定結果が否であった場合には、手でステアリングを掴んでいないと判断して運転者に注意喚起を促す。尚、運転者の手がステアリングホイールに接近しているか否かを判定する判定部の動作は、外部装置が担当してもよい。この場合には、制御部160は、検出信号に対して通信で伝達し易くするためのコード化の処理を行い、外部装置に検出信号を送信すればよい。
【0018】
このように、ステアリングホイール100は、静電容量式センサ130がヒータ140から離れて配置されていることによって、静電容量式センサ130の静電容量の変化の傾向は、ヒータ140の静電容量に影響を受ける可能性はほぼ無くなる。また、静電容量式センサ130の静電容量の変化に基づいて制御部160で生成される検出信号は、ヒータ140の静電容量に影響を受ける可能性はほぼ無くなる。また、ヒータ140からの熱が静電容量式センサ130へ伝達される可能性はほぼ無くなるため、制御部160は、ヒータ140による影響を受けることなく正確に人の手がステアリングホイールに接触または近接したか否かを検出することができる。また、ヒータ140は静電容量式センサ130の熱容量に影響を受けることなくリム110を効率よく温めることができる。
【0019】
ところで、制御部160は、静電容量式センサ130の静電容量の変化により人の手を始めとした容量値を有した操作体が接触または近接したか否かを検出することができるが、静電容量式センサ130の静電容量の値は、静電容量式センサ130と検出対象となる操作体との間の距離に依存するため、静電容量式センサ130に操作体が近づくと大きくなり、離れると小さくなる。このことを利用して、静電容量式センサ130からの検出信号の値と比較する閾値を調節または複数の閾値を用いて判定を行うことにより、制御部160は、検出範囲を調節することが可能である。具体的には、制御部160は、
図1Aに示される静電容量式センサ130を構成する部分(130a、130b)のうち、リム110からの距離がもっとも遠い部位を用いた場合であっても、リム110に操作体が近接したことを判定することが可能である。そのため、例えば、
図1Bに示されるリム110とリム110の内周面と対向するスポーク120の縁部121a、121b、121cに沿って設けられた静電容量式センサ130との間、および、リム110の周囲に設定された検出領域150a、150b、150cに操作体が存在していたときはそのことが制御部160で判定される。
【0020】
尚、実施形態1において、静電容量式センサ130は、ステアリングホイールセンサ102に内蔵されており、ステアリングホイールセンサ102は、
図1Cに示される外観パネル125により運転者側が覆われている。静電容量式センサ130は、導体パターン等の導電体により形成されており、スポーク120の縁部に沿って設けられている。静電容量式センサ130は、スポーク120のうちのリム110の内周側を向く位置に設けられる。検出領域150a、150b、150cは、
図1Bに示すようにリム110を含む平面方向に沿って広がっている。
【0021】
更に、前述のリム110とスポーク120とは、具体的には、
図1Aに示すように、リム110の内側と、スポーク120との接続部120a、120b、120cにおいて接続されている。また、スポーク120の外周縁に沿って静電容量式センサ130の厚さより若干大きい溝が設けられていて静電容量式センサ130を
図1Aに示すよう保持しているが、スポーク120のリム110と対向する外表面に保持しても良い。
【0022】
ステアリングホイールセンサ102のセンサ電極130Aは、リム110と対向するスポーク120の縁部121aに沿って設けられた部分130aを有している。また、リム110と対向するスポーク120の縁部121bに沿って設けられた部分130bを有している。また、リム110と対向するスポーク120の縁部121cに沿って、部分的に設けられた部分130c、130dを有している。また、スポーク120がリム110と接続されている接続部120aに設けられた部分130eと、接続部120bに沿って設けられた部分130fを有している。
【0023】
また、スポーク120がリム110と接続されている接続部120aには、接続部120aに沿って、センサ電極130Aの部分130eが設けられており、接続部120bには、接続部120bに沿って、センサ電極130Aの部分130fが設けられており、接続部120cには、接続部120cに沿って、センサ電極130Aの部分130gが設けられている。また、部分130a~130gを囲むようにシールド電極130Bが設けられている。
【0024】
図1Cに示されるように、静電容量式センサ130は、基板10と、基板10の表面に設けられセンサ電極として機能する部分130a~130gと、部分130a~130gを囲むように設けられたシールド電極130B等により形成されおり、部分130c、部分130f、部分130a、部分130e、部分130b、部分130g、部分130dの順に並んで形成されていて、スポーク120の縁部121a~121c、接続部120a~120cに沿って配置される。尚、実施形態1においては、部分130a~130gの7つで形成したが、部分130eの一部、部分130a、部分130f、部分130cに対応する部分と、部分130eの他の一部、部分130b、部分130g、部分130dに対応する部分の2つの部分で形成しても良く、それ以外の数で形成しても良い。また、部分130a~130gは、スポーク120の縁部に沿って長手方向に分割されているが、スポーク120の縁部に沿って形成すると同時に短手方向(
図1Aの紙面方向)に2分割等複数に分割しても良い。つまり、静電容量式センサ130は、縁部(121a、121b)と接続部(120a、120b、120c)とを含んで構成され、スポークの外周に沿って連続的に設けられている。
【0025】
ステアリングホイール100は、例えば、リム110の下側の部分110aが人の手により握られた場合には、静電容量式センサ130の部分130aに近づき、検出領域150a内に入るため、人の手を検出することができる。また、リム110の下側の部分110bが人の手により握られた場合には、静電容量式センサ130の部分130bに近づき、検出領域150b内に入るため、人の手を検出することができる。
【0026】
また、人が車両を運転する際には、スポーク120のリム110との接続部やその近傍に手が触れて操作する場合がある。例えば、スポーク120の接続部120aまたはその近傍に人の手が触れている場合には、静電容量式センサ130の部分130eに近づいた人の手は、検出領域150aまたは検出領域150b内に入るため、制御部160によって検出される。または、静電容量式センサ130の部分130eに近づいた人の手は、静電容量式センサ130の部分130aの接続部120a側または静電容量式センサ130の部分130bの接続部120a側に近づき、検出領域150aまたは検出領域150b内に入るため、制御部160によって検出される。
【0027】
また、スポーク120の接続部120bまたはその近傍に人の手が触れている場合には、人の手は静電容量式センサ130の部分130f、部分130c等に近づき、検出領域150c内に入るため、制御部160によって検出される。スポーク120の接続部120cまたはその近傍に人の手が触れている場合には、人の手は静電容量式センサ130の部分130g、部分130d等に近づき、検出領域150d内に入るため、制御部160によって検出される。
【0028】
なお、リム110の内周面と対向するハブ115の上側の縁部に沿って、静電容量式センサ130の部分130cと部分130dの間の部分にも、静電容量式センサを設けてもよい。この場合には、リム110の内周面と対向するハブ115の上側の縁部と、リム110の上側とにおいても人の手が触れていることを検出することができる。
【0029】
<静電容量式センサ130の構成>
図2Aは、静電容量式センサ130を含むステアリングホイールセンサ102の構成を示す図である。ステアリングホイールセンサ102は、静電容量式センサ130、抵抗器R、制御部160、電圧回路170、及びツェナーダイオード180を含む。
【0030】
静電容量式センサ130は、基板10(「基材」の一例)、センサ電極130A、及びシールド電極130Bを有する。
図2Aにおける静電容量式センサ130の長手方向(
図2Aにおける横方向)は、
図1A乃至
図1Cにおいて、部分130c、130f、130a、130e、130b、130g、及び130dが延在する方向であり短手方向(
図2Aにおける横方向)は、
図1A,1Bの紙面方向である。また、
図2Aでは、構成を分かり易くするために、部分130c、130f、130a、130e、130b、130g、及び130dをまとめてセンサ電極130Aとして示す。
【0031】
基板10は、板状の配線基板であり、一例として、ポリイミド等で作製されるフレキシブル基板を用いることができる。基板10の一方の面には、センサ電極130A及びシールド電極130Bが形成されている。なお、以下では、基板10をスポーク120に取り付ける前の状態で、
図2Aに示すように基板10を平面的に延ばした状態において平面視することを平面視と称す。基板10は、実際には、平面視において、長手方向に非常に長い矩形状である。
図2Aでは、基板10を長手方向において短縮して示す。
【0032】
センサ電極130Aは、平面視において、基板10の長手方向における一端と他端との間で、基板10の一方の表面に形成される複数の矩形状の部分130a~130gを有する電極である。シールド電極130Bは、センサ電極130Aの外縁を囲むように、基板10の一方の表面に形成される矩形環状の電極である。シールド電極130Bは、平面視でセンサ電極130Aを囲っており、センサ電極130Aの外縁に沿って、センサ電極130Aの近傍に形成されている。なお、シールド電極130Bは、センサ電極130Aが基板10に形成される表面とは反対側の表面の一面に、更に設けられていてもよい。
【0033】
センサ電極130A及びシールド電極130Bは、容量結合している。このようなセンサ電極130A及びシールド電極130Bは、一例として、金属製の薄膜状の金属層で実現可能である。センサ電極130A及びシールド電極130Bは、一例として、銅又はアルミニウム等の金属で作製可能である。
【0034】
センサ電極130Aは、端子131Aを有する。センサ電極130Aは、端子131Aを介して制御部160に接続される。なお
図1Dではセンサ電極130Aの部分130a、130e、及び130bの図示を省略しているが、実際には、センサ電極130Aのそれぞれの部分130a~130gが端子131Aを介して制御部160に接続される。シールド電極130Bは、抵抗器Rを介して電圧回路170に接続されている。抵抗器Rは、静電気を帯びている手がスポーク120に触れたときに、シールド電極130Bと電圧回路170との接続部の電圧をツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧以上にすることができるようにするために設けられている。このような抵抗器Rをシールド電極130Bと電圧回路170との接続部に設けることにより、静電気を帯びている手がスポーク120に触れたときに、静電気は、手からの沿面距離がセンサ電極130Aより近いシールド電極130Bに放電し、瞬間的な大電流がシールド電極130Bから電圧電源170に流れることを抑制できると同時に、瞬間的な大電流がセンサ電極130Aから制御部160に流れることを抑制することができる。
【0035】
電圧回路170は、所定周波数、所定位相、及び所定電圧の交流電圧を出力し、交流電圧はシールド電極130Bに印加される。センサ電極130Aはシールド電極130Bと容量結合されているため、センサ電極130Aにはシールド電極130Bを介して交流電圧が印加される。センサ電極130Aにはシールド電極130Bに印加される交流電圧と同一周波数、同一位相、及び同一振幅の交流電圧が印加される。
【0036】
このように、センサ電極130A及びシールド電極130Bに、同一周波数、同一位相、及び同一振幅の交流電圧を印加することにより、センサ電極130Aとシールド電極130Bとの間のコンデンサに電荷が生じないため、グランドの影響が排除され、操作体とセンサ電極130Aとの間の静電容量を正確に検出することができる。このように、センサ電極130A及びシールド電極130Bに、同一周波数、同一位相、及び同一振幅の交流電圧を印加することにより、アクティブシールドを実現でき、センサ電極130Aとグランド等との間の浮遊容量の影響を排除することができる。
【0037】
なお、電圧回路170をセンサ電極130A及びシールド電極130Bの両方に接続して、電圧回路170からセンサ電極130A及びシールド電極130Bの両方に同一周波数、同一位相、及び同一振幅の交流電圧を印加してもよい。
【0038】
また、アクティブシールドの効果が損なわれなければ、センサ電極130Aに印加される交流電圧の振幅は、シールド電極130Bに印加される交流電圧の振幅と異なっていてもよい。
【0039】
シールド電極130Bと電圧回路170との間の接続部には、ツェナーダイオード180(「保護回路」の一例)のカソード(「第1端部」の一例)が接続される。ツェナーダイオード180のアノード(「第2端部」の一例)は、グランドに接続されている。
【0040】
人の手がステアリングホイール100のスポーク120に触れるときに、手が静電気を帯びていると、静電気の放電によってシールド電極130Bから電圧電源170に瞬間的に大電流が流れ、制御部160が破損するおそれがある。このような電圧電源170の破損を抑制するために、保護回路としてのツェナーダイオード180を設けている。
【0041】
シールド電極130Bの電圧(交流電圧の正電圧)がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧(ツェナー電圧)未満であるときには、ツェナーダイオード180には逆方向電流(ツェナー電流)は流れず、シールド電極130Bは、アクティブシールドとして機能する。
【0042】
また、静電気を帯びている手がスポーク120に触れて、シールド電極130Bと電圧回路170との接続部の電圧がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧以上になると、ツェナーダイオード180に逆方向電流が流れ、静電気によって瞬間的に生じる大電流をグランドに向けて流す。このため、シールド電極130Bから電圧回路170に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、電圧回路170の破損を抑制することができる。同時に、シールド電極130Bをセンサ電極130Aの周囲に配置していて、手とセンサ電極130Aの間の空間にシールド電極130Bが存在することとなるので、静電気がセンサ電極130Aに放電する事もなく、よってセンサ電極130Aに繋がる制御部160の破損を抑制する事ができる。
【0043】
<比較用のセンサ装置50>
図2Bは、比較用のセンサ装置50を示す図である。
図2Bに示す比較用のセンサ装置50は、従来技術ではなく、比較用に作製したものである。
【0044】
図2Bに示す比較用のセンサ装置50は、基板10、静電容量式センサ13(センサ電極13A及びシールド電極13B)、グランド電極51、抵抗器R、及び電圧回路170を含む。基板10は、実施形態1のステアリングホイールセンサ102(センサ装置)と同一サイズの同一種類の基板である。
【0045】
比較用のセンサ装置50は、基板10の一方の表面に、静電容量式センサ13(センサ電極13A及びシールド電極13B)の他にグランド電極51を設けるとともに、ツェナーダイオード180を排除した点が実施形態1のステアリングホイールセンサ102(センサ装置)と異なる。センサ電極13A及びシールド電極13Bを有する静電容量式センサ13は、実施形態1のステアリングホイールセンサ102(センサ装置)の静電容量式センサ130のセンサ電極130A及びシールド電極130Bを平面的に小さくした構成を有する。シールド電極13Bの外側には、矩形環状のグランド電極51を設けられている。グランド電極51は、グランドに接続されている。
【0046】
このような比較用のセンサ装置50では、静電気を帯びている手が近づくと、静電気によって瞬間的に生じる大電流は、グランド電極51を通じてグランドに向かって流れる。このため、センサ電極13Aから制御部160に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、制御部160の破損を抑制することができる。
【0047】
しかしながら、静電容量式センサ13のシールド電極13Bの外側に、矩形環状のグランド電極51を設けているため、同一サイズの基板10を用いる場合には、実施形態1のステアリングホイールセンサ102(センサ装置)の静電容量式センサ130に比べると、静電容量式センサ13が小さくなる。
【0048】
このため、センサ電極13Aと手との間の十分な静電容量が得られず、センサ電極13Aの感度ゲインを十分に上げられないという問題や、グランド電極51とセンサ電極13A及びシールド電極13Bとの間に不要な容量が増える分だけノイズ成分が増えてS/N(シグナル/ノイズ比)特性が悪くなるという問題が生じる。また、センサ電極13Aに生じる電気力線が近傍のグランド電極51に引き寄せられ、センサ電極13Aと手との間の電気力線が減少することによってもS/N特性が悪くなるという問題や、グランド電極51を配置することによって、静電容量式センサ13(センサ電極13A及びシールド電極13B)の面積が狭くなることによってS/N特性が小さくなるという問題が生じる。
【0049】
これに対して、実施形態1のステアリングホイールセンサ102(センサ装置)では、比較用のセンサ装置50のセンサ電極13Aに比べて、センサ電極130Aの面積を大きくできる。このため、センサ電極130Aの感度ゲインを十分に上げることができる。また、センサ電極130Aに不要な容量が生じることがなく良好なS/N特性が得られる。また、センサ電極130Aに生じる電気力線の減少を抑制できることでS/N特性が良好になる。また、センサ電極130Aの面積が大きく(広く)なることによってS/N特性が良好になるという効果が得られる。
【0050】
また、比較用のセンサ装置50のグランド電極51を含まない分だけ静電容量式センサ130の全体を小形化することができる。
【0051】
以上のように、シールド電極130Bでアクティブシールドを実現できる。また、シールド電極130Bと電圧回路170との接続部にカソードが接続され、アノードがグランドに接続されるツェナーダイオード180を含むので、静電気等で瞬間的な大電流が発生しても、ツェナーダイオード180を逆流させてグランドに電流を流すことができる。
【0052】
したがって、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響と、静電気による電圧回路170及び制御部160のダメージとを抑制可能なステアリングホイールセンサ102(センサ装置)を提供することができる。
【0053】
また、
図2Bに示す比較用のセンサ装置50のように、シールド電極13Bの周囲にグランド電極51を有する構成と比べると、グランド電極51を含まない分だけ小形化を図ることができる。また、比較用のセンサ装置50と同一サイズの基板10を用いる場合には、センサ電極130Aを大きくできるので、良好なS/N特性を得ることができる。
【0054】
また、シールド電極130Bがセンサ電極130Aの周囲を囲んでいるので、センサ電極130Aの周囲のあらゆる位置で静電気が生じても、シールド電極130Bで静電気を吸収でき、センサ電極130Aに静電気が飛ぶことを抑制できる。すなわち、センサ電極130Aに対して有効的なESD(Electro-Static Discharge)対策を施すことができる。
【0055】
また、電圧回路170はセンサ電極130Aに接続され、センサ電極130Aにはシールド電極130Bと同一位相の交流電圧が供給されるので、グランドの影響が排除され、操作体とセンサ電極130Aとの間の静電容量を正確に検出することができる。
【0056】
また、センサ電極130Aにはシールド電極130Bと同一電圧(同一振幅)の交流電圧が供給されるので、グランドの影響が排除され、操作体とセンサ電極130Aとの間の静電容量をより正確に検出することができる。
【0057】
また、センサ電極130A及びシールド電極130Bは、リム110、スポーク120、及びハブ115を有するステアリングホイール100のリム110と対向するスポー120クの縁部121a、121b、121cに沿って設けられるので、運転者の手がステアリングホイール100をすぐに操作できる位置に置かれているか否かを判定することができる。また、リム110にヒータ140が内蔵されている構成においても、運転者の手がステアリングホイール100をすぐに操作できる位置に置かれているか否かを判定することができる。
【0058】
<実施形態1の第1変形例>
図3は、実施形態1の第1変形例のステアリングホイール100のスポーク120の部分とその周辺の構成を示す図である。
図3には、一例として、中立状態のステアリングホイール100において右側に位置するスポーク120を示す。
図3では、リム110、ハブ115を省略する。
【0059】
スポーク120には、ステアリングスイッチ185を収容する収容部124と切り欠き124Aとが設けられている。収容部124は凹部である。切り欠き124Aは、収容部124のハブ115側(ステアリングホイール100の中心側)の端部に連通しており、スポーク120の裏側において、スポーク120の延在方向(ステアリングホイール100の径方向)に対して略垂直な方向(ステアリングホイール100を車両に取り付けた状態での上下方向)に設けられた溝である。切り欠き124Aは、収容部124のハブ115側の端部の上下に設けられている。
【0060】
ステアリングスイッチ185は、筐体185A及び操作部185Bを有する。筐体185Aは、樹脂製のケースであり、側面に静電容量式センサ130(センサ電極130A及びシールド電極130B)の延在方向(後述する
図4における区間A、Bが延在する方向)における中央部(後述する
図4における区間Aの部分)が貼り付けられた状態で、スポーク120の裏側(
図3における下側)から収容部124に嵌め込まれる。このときに、静電容量式センサ130の延在方向における中央部よりも外側の部分(後述する
図4における区間Bの部分)は、切り欠き124A内に通される。操作部185Bは、ダイアル式のスイッチ又はボタンスイッチ等で実現される操作部である。
【0061】
ここでは、
図3に加えて
図4を用いて説明する。
図4は、静電容量式センサ130を示す図である。静電容量式センサ130は、基板10を筐体185Aの側面に貼り付けることによって筐体185Aに取り付けられる。より具体的には、静電容量式センサ130の区間Aの部分が
図3に示すように筐体185Aの側面(
図3では一例として3つの側面)に貼り付けられ、区間Bの部分は筐体185Aの側面には貼り付けられない。
【0062】
このように静電容量式センサ130を筐体185Aの側面に貼り付けて、ステアリングスイッチ185をスポーク120の裏側から収容部124に嵌め込むと、センサ電極130A及びシールド電極130Bは、リム110の内周側に対向する。このときに、静電容量式センサ130の延在方向における両端側に位置する2つの区間Bのうち、区間Aに隣接する部分は、切り欠き124A内に挿通される。このようにして、センサ電極130A及びシールド電極130Bは、ステアリングスイッチ185が収容部124に収容された状態で、リム110の内周側を向くように、ステアリングスイッチ185の筐体185Aに設けられる。
【0063】
図4において、横方向がセンサ電極130Aの延在方向であり、センサ電極130Aの幅は、
図4における縦方向である。同様に、シールド電極130Bの幅は、センサ電極130Aに沿って延在する方向(
図4の横方向)に垂直な縦方向の幅である。
【0064】
センサ電極130Aは、ステアリングスイッチ185が存在する区間Aにおいて、幅が狭められた挟幅部132Aを有する。シールド電極130Bは、ステアリングスイッチ185が存在する区間Aにおいて、幅が広げられた拡幅部132Bを有する。このように、センサ電極130Aが挟幅部132Aを有するとともに、シールド電極130Bが拡幅部132Bを有することにより、センサ電極130Aの幅に対するシールド電極130Bの幅は、ステアリングスイッチが存在しない区間Bよりも、ステアリングスイッチが存在する区間Aの方が広くなっている。
【0065】
ステアリングスイッチ185が存在する区間では、静電気を帯びている手がスポーク120に触れたときに、瞬間的な大電流が流れるおそれがあるため、シールド電極130Bに拡幅部132Bを設けることにより、静電気による瞬間的な大電流をより確実にシールド電極130Bで取り込み、ツェナーダイオード180を介してグランドに流すことができる。
【0066】
したがって、シールド電極130Bに拡幅部132Bを利用して、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響を抑制可能であるとともに、静電気による電圧回路170及び制御部160のダメージをより効果的に抑制可能なステアリングホイールセンサ102(センサ装置)を提供することができる。
【0067】
<実施形態1の第2変形例>
図5Aは、実施形態1の第2変形例の静電容量式センサ130の構成を示す図である。実施形態1の第2変形例の静電容量式センサ130では、
図2Aにおけるツェナーダイオード180の代わりに、バリスタ180Aを用いた構成になっている。
【0068】
シールド電極130Bの電圧(交流電圧の正電圧)がバリスタ180Aのバリスタ電圧未満であるときには、バリスタ180Aには電流は流れず、シールド電極130Bは、アクティブシールドとして機能する。
【0069】
また、静電気を帯びている手がスポーク120に触れて、シールド電極130Bの電圧がバリスタ180Aのバリスタ電圧以上になると、バリスタ180Aに電流が流れ、静電気によって瞬間的に生じる大電流をグランドに向けて流す。このため、シールド電極130Bから電圧回路170に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、電圧回路170の破損を抑制することができる。同時にセンサ電極130Aに静電気が放電する可能性を低減できるので、センサ電極130Aから制御部160に向かって瞬間的に大きな電流が流れることを抑制する事ができ、制御部160の破損を抑制することができる。
【0070】
<実施形態1の第3変形例>
図5Bは、実施形態1の第3変形例の静電容量式センサ130の構成を示す図である。実施形態1の第3変形例の静電容量式センサ130では、
図2Aにおけるツェナーダイオード180の代わりに、ダイオード180B1及び180B2を用いた構成になっている。ダイオード180B1及び180B2は、保護回路の一例である。
【0071】
ダイオード180B1は、
図2Aにおけるツェナーダイオード180と同様に、アノードがグランドに接続され、カソードがシールド電極130Bと電圧回路170との接続部に接続されている。保護回路としてのダイオード180B1の第1端部はカソードであり、第2端部はアノードである。
【0072】
ダイオード180B2は、アノードがシールド電極130Bと電圧回路170との接続部に接続され、カソードが直流電源190Aの正極性端子に接続されている。直流電源190Aの負極性端子は、バリスタ190Bを介してグランドに接続されている。保護回路としてのダイオード180B2の第1端部はアノードであり、第2端部はカソードである。
【0073】
シールド電極130Bの電圧(交流電圧の負電圧)とグランドの電圧(0V)との電圧差がダイオード180B1の順方向電圧未満であるとともに、シールド電極130Bの電圧から直流電源190Aの正極性端子の電圧を引いた電圧差がダイオード180B2の順方向電圧未満であるときには、ダイオード180B1には順方向電流は流れず、ダイオード180B2にも順方向電流は流れない。この状態では、シールド電極130Bは、アクティブシールドとして機能する。
【0074】
また、静電気を帯びている手がスポーク120に触れて、シールド電極130Bの電圧(交流電圧の負電圧)とグランドの電圧(0V)との電圧差がダイオード180B1の順方向電圧以上になると、ダイオード180B1を通じてグランドからシールド電極130Bに電流が流れ、静電気によって瞬間的に生じる大電流をグランドに向けて流す。
【0075】
また、静電気を帯びている手がスポーク120に触れて、シールド電極130Bの電圧から直流電源190Aの正極性端子の電圧を引いた電圧差がダイオード180B2の順方向電圧以上になると、ダイオード180B2を通じてシールド電極130Bから、直流電源190Aに電流が流れ、さらにバリスタ190Bに電流が流れる。すなわち、静電気によって瞬間的に生じる大電流は、シールド電極130Bから、ダイオード180B2、直流電源190A、及びバリスタ190Bを通じてグランドに流れる。
【0076】
このため、シールド電極130Bから電圧回路170に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、電圧回路170の破損を抑制することができる。同時にセンサ電極130Aに静電気が放電する可能性を低減できるので、センサ電極130Aから制御部160に向かって瞬間的に大きな電流が流れることを抑制する事ができ、制御部160の破損を抑制することができる。
【0077】
<実施形態2>
図6Aは、実施形態2のセンサ装置を含むPC(Personal Computer)200を示す図である。PC200は、筐体210とタッチパッド220を有する。ここでは、PC200の構成要素のうちの筐体210及びタッチパッド220以外の構成要素についての説明は省略する。筐体210は、タッチパッド220を露出する開口部211を有する。
【0078】
図6Bは、実施形態2のセンサ装置200Aを示す図である。センサ装置200Aは、センサ電極130A、シールド電極130B、制御部160、抵抗器R、電圧回路170、及びツェナーダイオード180を含む。
【0079】
センサ装置200Aの静電容量式センサ130は、タッチパッド220のカバーの裏側に設けられる。
図6Bに示すように、センサ装置200Aの静電容量式センサ130は、タッチパッド220(
図6A)のサイズに対応したセンサ電極130A及びシールド電極130Bを有する。センサ電極130A及びシールド電極130Bは、筐体210(
図6A参照)の内側に設けられ、
図6Bに示すように、平面視で筐体210の開口部211の開口縁の内側に配置されている。
【0080】
タッチパッド220を操作する際に、シールド電極130Bの電圧(交流電圧の正電圧)がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧(ツェナー電圧)未満であるときには、ツェナーダイオード180には逆方向電流(ツェナー電流)は流れず、シールド電極130Bは、アクティブシールドとして機能する。
【0081】
また、タッチパッド220を操作する際に、静電気を帯びている手がタッチパッド220に触れて、シールド電極130Bと電圧回路170との接続部の電圧がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧以上になると、ツェナーダイオード180逆方向電流が流れ、静電気によって瞬間的に生じる大電流をグランドに向けて流す。
【0082】
このため、シールド電極130Bから電圧回路170に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、電圧回路170の破損を抑制することができる。同時にセンサ電極130Aに静電気が放電する可能性を低減できるので、センサ電極130Aから制御部160に向かって瞬間的に大きな電流が流れることを抑制する事ができ、制御部160の破損を抑制することができる。
【0083】
特に、シールド電極130Bが平面視で開口部211の開口縁の内側に配置されているため、開口部211の開口縁の隙間から静電気が内部に侵入しても、シールド電極130Bからツェナーダイオード180を介して静電気による瞬間的な大電流をグランドに向けて流すことができるため、電圧回路170及び制御部160の破損を効果的に抑制することができる。また、シールド電極130Bがアクティブシールドとして機能するので、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響を低減することができる。
【0084】
したがって、タッチパッド220に設けられ、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響と、静電気による電圧回路170及び制御部160のダメージとを抑制可能なセンサ装置200Aを提供することができる。
【0085】
<実施形態3>
図7Aは、実施形態3のセンサ装置を適用したドアハンドル(ハンドルの一例)300を示す図である。ドアハンドル300の筐体部分となるドアハンドルケースは、アウターケース310及びインナーケース320を含み、アウターケース310及びインナーケース320に覆われたケースの内部に、静電容量式センサ130が設けられている。インナーケース320は車体1の外装面1Aに沿って車体1に取り付けられる絶縁体製の第1ケースの一例であり、アウターケース310はインナーケース320(第1ケース)に取り付けられる絶縁体製の第2ケースの一例である。
【0086】
図7Bは、実施形態3のセンサ装置300Aを示す図である。センサ装置300Aは、センサ電極130A、シールド電極130B、制御部160、抵抗器R、電圧回路170、及びツェナーダイオード180を含む。
【0087】
センサ装置300Aの静電容量式センサ130は、ドアハンドル300の内側に設けられる。
図7Bに示すように、センサ装置300Aの静電容量式センサ130は、ドアハンドル300(
図7A)のサイズに対応したセンサ電極130A及びシールド電極130Bを有する。シールド電極130Bは、ドアハンドル300のアウターケース310及びインナーケース320の合わせ目に沿って設けられている。アウターケース310及びインナーケース320の合わせ目とは、アウターケース310のインナーケース320の縁311と、インナーケース320のアウターケース310側の縁321とが合わせられる部分である。なお、シールド電極130Bの少なくとも一部がドアハンドル300のアウターケース310及びインナーケース320の合わせ目に沿って設けられていればよい。
【0088】
ドアハンドル300を操作する際に、シールド電極130Bの電圧(交流電圧の正電圧)がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧(ツェナー電圧)未満であるときには、ツェナーダイオード180には逆方向電流(ツェナー電流)は流れず、シールド電極130Bは、アクティブシールドとして機能する。
【0089】
また、ドアハンドル300を操作する際に、静電気を帯びている手がドアハンドル300に触れて、シールド電極130Bと電圧回路170との接続部の電圧がツェナーダイオード180の逆方向での降伏電圧以上になると、ツェナーダイオード180逆方向電流が流れ、静電気によって瞬間的に生じる大電流をグランドに向けて流す。
【0090】
このため、シールド電極130Bから電圧回路170に向かって瞬間的に大電流が流れることを抑制でき、電圧回路170の破損を抑制することができる。同時にセンサ電極130Aに静電気が放電する可能性を低減できるので、センサ電極130Aから制御部160に向かって瞬間的に大きな電流が流れることを抑制する事ができ、制御部160の破損を抑制することができる。
【0091】
特に、シールド電極130Bがアウターケース310及びインナーケース320の合わせ目に沿って配置されているため、アウターケース310及びインナーケース320の合わせ目の隙間から静電気が内部に侵入しても、シールド電極130Bからツェナーダイオード180を介して静電気による瞬間的な大電流をグランドに向けて流すことができるため、電圧回路170及び制御部160の破損を効果的に抑制することができる。また、シールド電極130Bがアクティブシールドとして機能するので、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響を低減することができる。
【0092】
したがって、ドアハンドル300に設けられ、センサ電極130Aの検出値における浮遊容量の影響と、静電気による電圧回路170及び制御部160のダメージとを抑制可能なセンサ装置300Aを提供することができる。
【0093】
以上、本開示の例示的な実施形態のセンサ装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0094】
なお、本国際出願は、2022年1月14日に出願した日本国特許出願2022-004585に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0095】
1 車体
1A 外装面
10 基板
100 ステアリングホイール
102 ステアリングホイールセンサ
110 リム
115 ハブ
120 スポーク
124 収容部
130 静電容量式センサ
130A センサ電極
130B シールド電極
132A 挟幅部
132B 拡幅部
160 制御部(「判定部」の一例)
170 電圧回路
180 ツェナーダイオード(保護回路の一例)
180A バリスタ(保護回路の一例)
180B1 ダイオード(保護回路の一例)
180B2 ダイオード(保護回路の一例)
185 ステアリングスイッチ
185A 筐体
190A 直流電源
200A センサ装置
210 筐体
211 開口部
220 タッチパッド
300 ドアハンドル
300A センサ装置
310 アウターケース(第2ケースの一例)
320 インナーケース(第1ケースの一例)