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特許7577929抵抗分割ゲート信号伝達によるスイッチ駆動回路
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  • 特許-抵抗分割ゲート信号伝達によるスイッチ駆動回路 図1
  • 特許-抵抗分割ゲート信号伝達によるスイッチ駆動回路 図2
  • 特許-抵抗分割ゲート信号伝達によるスイッチ駆動回路 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】抵抗分割ゲート信号伝達によるスイッチ駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H02M1/08 301B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020077943
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175282
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】末廣 豊
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-237210(JP,A)
【文献】特開2019-129610(JP,A)
【文献】特開平08-280168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に基づきオンオフを制御されるスイッチ素子を備えるパワー部と、
前記駆動信号を生成し、前記駆動信号を送出するゲート駆動部を備えた制御回路と、
フォトカプラの発光部を介して前記パワー部に前記駆動信号を伝達する伝達回路と
備え、
前記フォトカプラの前記発光部のアノードに第1電流制限抵抗が接続され
前記フォトカプラの前記発光部のカソードに第2電流制限抵抗が接続され、
前記フォトカプラの前記発光部の前記カソードは、リンギング抑制回路を介して前記制御回路の基準電位に接続され、
前記フォトカプラの前記発光部の前記アノードと前記カソードに並列に第1抵抗が接続され、
前記フォトカプラは、前記伝達回路に含まれる前記発光部と、前記パワー部に含まれる受光部とを備え
前記制御回路は、前記駆動信号を出力する第1出力部と、前記駆動信号を反転させた信号を出力する第2出力部を備え
前記第1出力部は、前記第1電流制限抵抗を介して、前記フォトカプラの前記発光部の前記アノードに接続され、
前記第2出力部は、前記第2電流制限抵抗を介して、前記フォトカプラの前記発光部の前記カソードに接続され、
前記伝達回路は、前記第1電流制限抵抗と、前記第2電流制限抵抗と前記フォトカプラの前記発光部と、前記リンギング抑制回路を備える
ことを特徴とするスイッチ駆動回路。
【請求項2】
前記リンギング抑制回路は、第2抵抗とコンデンサの並列回路であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に使用され、高速でオンオフさせるスイッチ素子の駆動回路に関し、特に炭化珪素(SiC)半導体素子、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)およびMOSFET等のいわゆるパワー半導体を安定に駆動する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
SiC等のワイドギャップ半導体素子は、スイッチング速度が高速であり、これらの半導体素子をスイッチ素子として使用した電力変換装置も、MHzオーダーで動作させることが可能となった。しかし、電力変換装置に使用するスイッチ素子は、多くの場合直流的に絶縁する必要がある。このため、フォトカプラまたはパルストランスを用いて絶縁する。図2では、パワー部に搭載されているスイッチ素子Q1を駆動する従来の回路構成を示す。またこの方式では、スイッチ素子Q1を駆動するフォトカプラと制御回路とを直接駆動すると、部品点数の削減が期待できる。
【0003】
図2の構成にて、SiCMOSFET等を用いた高周波スイッチングを行う場合、パワー部とは分離(絶縁)された制御回路から例えば図3(a)のようなゲート信号を長距離で送出すると、配線の浮遊インダクタンスと浮遊容量で、ゲート信号の矩形波の立ち上がり、立下りに振動(リンギング)が発生し、フォトカプラの発光部PC-1には図3(b)のような波形の電圧が印加される。このリンギングによって、フォトカプラの発光部PC-1の逆耐圧(一般的には-5V程度)を超過することがある。また、長距離配線においては、制御回路から送出されるゲート信号に、パワー部のスイッチング等により発生するノイズが重畳し図3(c)のような波形になり、パワー部のフォトカプラが誤点呼することがある。
【0004】
図3(b)または図3(c)のように、配線の浮遊インダクタンス及び/又は浮遊容量により負側にリンギングが発生すると、フォトカプラの発光部の逆耐圧は規格値に対して超過することがある。一般的には、RCフィルタや終端抵抗を大きくしてピーク値を低減するが、すると波形の立ち上がりが遅れ、特にMHzオーダで動作させる場合は波形遅れにより所望のduty(スイッチ素子のオン・オフ比)にすることができないことがあり、対策に適していない。
また、図3(b)の波形に対しては、制御回路とパワー部の中間に耐電圧の高いバッファICを挿入することでも対策ができるが、図3(c)のようなスイッチングノイズや外来ノイズに影響され、誤パルスが発生する恐れは依然として残る。
【0005】
そこで特許文献1では、フォトカプラ又はパルストランス等を使用し、絶縁して信号を伝達し、伝送に不具合が発生するとそれを修復する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-10762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1は、パワー半導体の駆動回路装置、信号伝達回路装置、送信信号および受信信号に何らかの変化や不具合が生じた場合、その変化、不具合を検出、監視するための自己診断機能を備えたパワー半導体の駆動回路装置および信号伝達回路装置である。ところが、駆動信号を長距離伝送すると、配線の浮遊インダクタンスと浮遊容量による共振によってサージ電圧が発生し、このサージ電圧によって信号の受け側における部品の耐電圧超過が懸念される。この問題については特許文献1では考慮されていない。さらに、特許文献1は駆動信号の不具合を検知する自己診断機能を必要とし、駆動回路が複雑になる。
そこで本発明は、駆動信号の不具合を検知する自己診断機能を必要とせず、変換周波数が一般的なkHzオーダーの変換周波数ではなく、MHzオーダーのスイッチングに対応するスイッチ素子の駆動信号を容易に伝達できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明では、電力変換回路であって、駆動信号に基づきオンオフを制御されるスイッチ素子を備えるパワー部と、前記駆動信号を生成し、前記駆動信号を送出するゲート駆動部を備えた制御回路と、フォトカプラの発光部を介して前記パワー部に前記駆動信号を伝達する伝達回路と、前記伝達回路は、前記フォトカプラの発光部のアノードに第1電流制限抵抗が、また前記フォトカプラの発光部のカソードに第2電流制限抵抗が接続され、前記フォトカプラの発光部のカソードからリンギング抑制回路を介して前記制御回路の基準電位に接続され、前記フォトカプラの発光部のアノードとカソードには並列に抵抗が接続され、前記フォトカプラは、伝達回路に含まれる発光部と、前記パワー部に含まれる受光部かなり、さらに、前記制御回路は、前記駆動信号を出力する第1出力部と、前記駆動信号を反転させた第2出力部を備え、前記伝達回路は、前記第1出力部と前記第2出力部とに接続されるスイッチ駆動回路である。
さらに、前記リンギング抑制回路は、抵抗とコンデンサの並列回路であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
電流抑制抵抗とリンギング抑制回路とフォトカプラの発光部に接続した抵抗によって、フォトカプラの発光部に印加される逆電圧を調整できる。さらにリンギング抑制回路を抵抗とコンデンサの並列回路にしたので過渡時のリンギングの抑制がさらに効果的になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のゲート信号伝送回路の概要を示すブロック図である。
図2】従来のゲート信号伝送回路の概要を示すブロック図である。
図3】従来のゲート信号を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の概要を示すブロック図である。
長距離伝送のノイズ対策として、信号が負バイアスされていることが望ましい。そのため、制御回路のロジックICから送出されるゲート信号を出力回路BU1とゲート信号を反転させた出力回路BU2とからフォトカプラの発光部回路に入力する。すなわちフォトカプラの発光部回路PC-DRVは、第1制限抵抗R1とフォトカプラの発光部PC-1と第2制限抵抗R2とが直列に接続され、フォトカプラの発光部PC-1に第1抵抗R3が並列に接続される。
【0012】
この構成により、フォトカプラ発光部回路PC-DRVは、フォトカプラの発光部PC-1が発光するときに出力回路BU1から3.3Vが出力し、出力回路BU2は0V(ゼロボルト)であるから、フォトカプラ発光部回路PC-DRVに3.3Vが印加され、発光部PC-1が発光しないときは出力回路BU1が0V(ゼロボルト)で出力回路BU2が3.3Vなので、フォトカプラ発光部回路PC-DRVには極性が反転した3.3Vの電圧が印加される。ただし、制御回路の電源電圧Vccは3.3Vとする。差動出力を持ったICを用いても同様な動作を得ることができる。これによってフォトカプラ発光部回路PC-DRVの両端には電源電圧Vccの2倍の電圧変化となる。
【0013】
さらに、制御回路のGNDラインG1とフォトカプラのカソードラインG2とをコンデンサC1と抵抗R4とを並列にしたリンギング抑制回路を介して接続したので、コンデンサC1はゲート信号のオン電圧に対して遅らせることはできないので容量が制限されるが、抵抗R2とR3により時定数を変化させることができるので、逆電圧及び外来ノイズを抑制することができる。
さらに、第1制限抵抗R1と第2制限抵抗R2とに分割したことによって、コンデンサC1への充放電電流を抑制できる。
【0014】
発光部PC-1のリンギングは第2制限抵抗R2に発生する電圧の立ち上がりに依存するので、第2制限抵抗R2とコンデンサC1により第2制限抵抗R2に発生する電圧の立ち上がり特性を調整し、発光部PC1のリンギングを調整する。また、第1制限抵抗R1に発生する電圧の立ち上がりを遅らせないため、コンデンサC1の容量は小さくしなければならないので、発光部PC1の逆電圧の調整は第2制限抵抗R2で調整する。
【0015】
出力回路BU2が出力され、フォトカプラの発光部PC-1が非点灯のとき、フォトカプラの発光部PC-1に印加される逆方向の電圧は第2制限抵抗R2とリンギング抑制回路の抵抗R4の分圧で決まる。すなわち、フォトカプラの発光部PC-1の逆方向バイアス電圧をR4で調整することができるので、逆耐圧を超えないようにR4を設定する。
【符号の説明】
【0016】
Q1 スイッチ素子
R1、R2 電流制限抵抗
CN1 コネクタ
DRV ゲート駆動回路
BU1、BU2 出力回路
PC-DRV フォトカプラ発光部回路
Vcc 制御回路電源
C1 コンデンサ
PC-1 フォトカプラ発光部
PC-2 フォトカプラ受光部
R3,R4 抵抗
G1、G2 基準電位
図1
図2
図3