(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】取引装置及び取引プログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/00 20190101AFI20241029BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G07D11/00
G07F19/00
(21)【出願番号】P 2020095733
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】村上 仁利
(72)【発明者】
【氏名】酢谷 昌史
(72)【発明者】
【氏名】小宮 大輔
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175010(JP,A)
【文献】特開2012-198844(JP,A)
【文献】特開2020-009380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客操作により所定の取引処理を行なう取引装置において、
操作表示部と、
挿入された通帳に対して印字処理を行なう通帳処理部と、
前記操作表示部に表示された取引選択画面上で、所定の取引が選択され、ホストサーバとの間で取引に係る電文を授受する制御部と
を備え、
前記ホストサーバからの応答電文に、当該顧客に関して無通帳口座への変更が可能であることを示す情報が含まれているとき、有通帳口座から無通帳口座への変更を確認する変更確認画面が前記操作表示部に表示され、
前記変更確認画面上での確認後、前記制御部が、前記ホストサーバとの間で口座種類変更電文を授受し、
前記ホストサーバから無通帳口座への変更許可の応答電文受信後、前記通帳処理部が、無通帳口座への切替完了情報を前記通帳に印字し、前記通帳に付与された記録媒体をクリアして排出する
ことを特徴とする取引装置。
【請求項2】
顧客操作により所定の取引処理を行なう取引装置において、
操作表示部と、
挿入された通帳に対して印字処理を行なう通帳処理部と、
前記操作表示部に表示された取引選択画面上で、所定の取引が選択され、ホストサーバとの間で取引に係る電文を授受する制御部と
を備え、
前記ホストサーバからの応答電文に、当該顧客の口座種類を無通帳口座に切替申込が可能であることを示す無通帳口座への申し込み指示が含まれているとき、無通帳口座申込画面が、前記操作表示部に表示され、
前記無通帳口座申込画面上での確認を行ない、前記制御部が、前記ホストサーバとの間で口座種類変更電文を授受し、
前記制御部が、選択された取引処理後、口座種類の変更取引が完了する
ことを特徴とする取引装置。
【請求項3】
前記ホストサーバからの応答電文に、利用手数料を案内する利用手数料確認画面の表示指示が含まれているとき、前記利用手数料確認画面が、前記操作表示部に表示され、
前記無通帳口座申込画面には、無通帳口座への変更により、利用手数料が無料となる旨の案内情報が含まれている
ことを特徴とする請求項
2に記載の取引装置。
【請求項4】
ネットワークを通じて、取引処理を行なう取引サーバとの間で情報を授受して取引を行なう取引プログラムにおいて、
操作表示部と接続可能なコンピュータを、
前記取引サーバから過去の取引履歴情報を取得する取引履歴情報取得手段と、
前記取引履歴情報に基づいて、取引履歴件数が閾値以上のときに、通帳を発行するか否かの選択ボタンを含む履歴表示画面を前記操作表示部に表示する履歴表示部と、
前記選択ボタンが選択されると、前記取引サーバに対して通帳発行要求を行なう通帳発行要求部と、
前記取引サーバから、当該顧客の取引履歴情報と関連付けた、通帳発行に係る発行情報を取得して、前記操作表示部に表示する発行情報取得部と
して機能させることを特徴とする取引プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
顧客口座に関する取引情報を管理する前記取引サーバから、新たに生じた取引に関する履歴発生通知を受信し、前記履歴発生通知を出力する履歴発生通知受信部として機能させることを特徴とする請求項
4に記載の取引プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記取引サーバと連携する連携サーバに事前登録したアカウント情報を用いた認証処理を前記連携サーバに対して行ない、認証成功により、前記取引サーバと接続するログイン処理部として機能させることを特徴とする請求項
4又は
5に記載の取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引装置及び取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等では、顧客毎の取引に関する情報を元帳に保管しており、顧客は、金融機関等の元帳に保管されている取引に関する記帳情報を通帳に記帳することができる。
【0003】
近年、金融機関等のコスト削減の一環として、紙の通帳を減らす試みが行なわれており、紙の通帳を発行しない無通帳口座への切り替えが行なわれている。
【0004】
非特許文献1には、無通帳口座への切り替えた場合に、ネットワークを通じて、顧客が金融機関のウェブサイトにアクセスしてログインすることで、顧客の取引に関する情報を確認等することができるデジタル通帳(いわゆるWEB通帳)について記載されている。
【0005】
また、特許文献1には、無通帳口座の申し込みが可能な自動取引装置が開示されており、自動取引装置において、顧客操作により無通帳口座の申し込みが可能であり、記帳情報の確認等のためにWEB通帳を選択可能であることが開示されている。
【0006】
さらに、例えばネットバンキングやスマートフォン等の携帯端末に搭載のアプリケーションを用いて、ネットワークを通じてデジタル通帳への切り替えも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】株式会社三菱UFJ銀行ホームページ,“Eco通帳(インターネット通帳)”,2020年2月8日,[2020年4月8日検索]https://www.bk.mufg.jp/tsukau/eco_tsuchou/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金融機関等の口座種類又は通帳種類を変更する手続きは、基本的には、金融機関等の窓口で取り扱われている。さらに、紙の通帳に対するニーズも根強く残っており、一度、無通帳口座に切り替えた顧客が、再度、紙の通帳を発行する口座(有通帳口座)に切り戻すことを希望するケースもある。その場合も、基本的には、金融機関等の窓口で取り扱われる。
【0010】
しかしながら、金融機関等の窓口は営業時間が限られており、顧客にとって口座種類を変更することが容易ではないという課題がある。また、取引装置において口座種類を変更できるものもあるが、取引操作が複雑なので、より簡単な操作にすることが求められている。
【0011】
または、通帳を取扱うことができない取引装置でも口座種類の変更手続きができるようにすることが求められているが、特に、有通帳口座への切り戻しのときには、当該取引装置で新規通帳を発行できないという課題がある。
【0012】
他方、金融機関等の職員にとっては、有通帳口座への切り替え業務が新たな窓口業務となるので、窓口業務の負担が増えてしまうという課題もある。したがって、取引装置において顧客が口座種類の変更手続きを容易に行なうことができ、また、有通帳口座への切替処理及び通帳発行を行なう負担を極力回避し、窓口業務の負荷を軽減する仕組みが求められる。
【0013】
また、携帯端末上のアプリケーションを用いてデジタル通帳の内容を確認することは可能であるが、預金口座の履歴を物理的に残しておきたいという要望も強くある。
【0014】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、金融機関等の口座種類や通帳種類の変更手続きを容易に行なうことができる取引装置及び取引プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、顧客操作により所定の取引処理を行なう取引装置において、操作表示部と、挿入された通帳に対して印字処理を行なう通帳処理部と、操作表示部に表示された取引選択画面上で、所定の取引が選択され、ホストサーバとの間で取引に係る電文を授受する制御部とを備え、ホストサーバからの応答電文に、当該顧客に関して無通帳口座への変更が可能であることを示す情報が含まれているとき、有通帳口座から無通帳口座への変更を確認する変更確認画面が操作表示部に表示され、変更確認画面上での確認後、制御部が、ホストサーバとの間で口座種類変更電文を授受し、ホストサーバから無通帳口座への変更許可の応答電文受信後、通帳処理部が、無通帳口座への切替完了情報を通帳に印字し、通帳に付与された記録媒体をクリアして排出することを特徴とする。
【0018】
第2の本発明は、顧客操作により所定の取引処理を行なう取引装置において、操作表示部と、挿入された通帳に対して印字処理を行なう通帳処理部と、操作表示部に表示された取引選択画面上で、所定の取引が選択され、ホストサーバとの間で取引に係る電文を授受する制御部とを備え、ホストサーバからの応答電文に、当該顧客の口座種類を無通帳口座に切替申込が可能であることを示す無通帳口座への申し込み指示が含まれているとき、無通帳口座申込画面が、操作表示部に表示され、無通帳口座申込画面上での確認後、制御部が、ホストサーバとの間で口座種類変更電文を授受し、制御部が、選択された取引処理を行ない、口座種類の変更取引が完了することを特徴とする。
【0019】
第3の本発明は、ネットワークを通じて、取引処理を行なう取引サーバとの間で情報を授受して取引を行なう取引プログラムにおいて、操作表示部と接続可能なコンピュータを、取引サーバから過去の取引履歴情報を取得する取引履歴情報取得手段と、取引履歴情報に基づいて、取引履歴件数が閾値以上のときに、通帳を発行するか否かの選択ボタンを含む履歴表示画面を前記操作表示部に表示する履歴表示部と、選択ボタンが選択されると、取引サーバに対して通帳発行要求を行なう通帳発行要求部と、取引サーバから、当該顧客の取引履歴情報と関連付けた、通帳発行に係る発行情報を取得して、操作表示部に表示する発行情報取得部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、金融機関等の口座種類や通帳種類の変更手続きを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る取引装置の外観構成を示す外観構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である。
【
図5】第1の実施形態において、通帳に印字するWEB通帳切替済情報の構成を示す構成図である。
【
図6】第2の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である。
【
図8】第3の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である。
【
図10】第3の実施形態において、通帳に印字する通帳切り戻し情報の構成を示す構成図である。
【
図11】第4の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【
図12】第4の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である。
【
図13】第5の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図14】第5の実施形態に係る記憶装置に記憶される顧客情報の構成例を示す構成図である。
【
図15】第5の実施形態に係る登録情報の構成例を示す構成図である。
【
図16】第5の実施形態に係る取引システムにおける処理動作を示すシーケンス図である(その1)。
【
図17】第5の実施形態に係る取引システムにおける処理動作を示すシーケンス図である(その2)。
【
図18】第5の実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す画面図である。
【
図19】第7の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【
図20】第7の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理及び画面遷移を示すフローチャートである(その1)。
【
図21】第7の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理及び画面遷移を示すフローチャートである(その2)。
【
図22】第7の実施形態に係る取引装置における通帳有無切替取引の処理及び画面遷移を示すフローチャートである(その3)。
【
図23】第8の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【
図24】第8の実施形態に係る取引装置における処理動作を示すフローチャートである。
【
図25】第8の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である(その1)。
【
図26】第8の実施形態に係る記憶装置に記憶される顧客情報の構成例を示す構成図である。
【
図27】第8の実施形態の取引装置の操作表示部に表示される画面図である(その2)。
【
図28】第8の実施形態において、通帳発行装置で新規通帳を発行する処理動作を示すフローチャートである。
【
図29】第8の実施形態の通帳発行装置の操作表示部に表示される画面図である。
【
図30】第6の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【
図31】第6の実施形態に係る取引システムにおける処理動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(A-1)第1の実施形態の構成
[取引装置の外観構成]
図1は、第1の実施形態に係る取引装置の外観構成を示す外観構成図である。
【0025】
図1において、取引装置10は、筐体11、通帳入出口12、カード入出口13、明細票排出口14、紙幣入出口15、硬貨入出口16、操作表示部17を有する。
【0026】
取引装置10は、顧客操作により所定の取引装置を行なうものである。ここでは、取引装置10が、例えば、金融機関の店舗や、コンビニエンスストア等の小売店の店舗、駅、空港などに設置されているATM(Automatic Teller Machine)である場合を想定して説明する。
【0027】
通帳入出口12は、紙の通帳(以下、単に「通帳」と呼ぶ。)の投入を受け付けたり、返却(排出)したりする部分である。
【0028】
カード入出口13は、取引に用いられるキャッシュカード又はクレジットカード等のカードの投入を受け付けたり、返却(排出)したりする部分である。明細票排出口14は、取引に関する情報が用紙に印字された明細票を排出する部分である。
【0029】
紙幣入出口15は、取引に係る紙幣の投入を受け付けたり、排出したりする部分である。硬貨入出口16は、取引に係る硬貨の投入を受け付けたり、排出したりする部分である。
【0030】
操作表示部17は、例えばタッチパネル機能を有するディスプレイである。操作表示部17は、例えば、取引選択メニュー画面(以下では、「顧客待ち画面」とも呼ぶ。)や、選択された取引進行のための画面等を表示すると共に、顧客による入力操作を受け付ける。ここでは、操作表示部17が、タッチパネル型ディスプレイである場合を例示するが、これに限定されず、例えば、物理的なボタンや、別に設けたディスプレイ(補助的な表示部等)を備えてもよい。
【0031】
[取引装置の内部構成]
図2は、第1の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置10の内部構成を示す構成図である。
【0032】
図2において、取引装置10は、制御部1、通帳処理部2、カード処理部3、明細票処理部4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、記憶部7、通信部8を有する。
【0033】
なお、取引装置10の構成は、
図1に例示する構成に限定されず、例えばQRコード(登録商標)等のように光学的又は磁気的に二次元コードを読み取るための二次元コード読取部を備えてもよい。また、取引装置10は、顧客の携帯端末(例えばスマートフォン等)等との間で近距離無線通信するため、例えばNFC(Near Field Communication)やBlueTooth(登録商標)等に代表される近距離無線通信部を備えてもよい。さらに、取引装置10は、顧客の存在を検出するため、例えば人感センサや、操作表示部17で顧客の手の接触等を感知するセンサを備えてもよい。また、取引装置10は、顧客の顔や手元等を撮像する撮像部(例えばカメラ等)を備えてもよい。また、取引装置10は、例えば書面の一方の面の画像を読み取って取引処理をするための光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)手段を備えてもよい。
【0034】
(制御部、記憶部)
制御部1は、取引装置10の各種機能を司る処理部又は装置である。制御部1は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース等を有し、制御部1が処理プログラム(例えば、各種取引に係る取引プログラム等)を実行することにより、取引装置10における各種機能が実現される。
【0035】
制御部1は、現金(紙幣、硬貨)の引き出し取引、顧客の口座への現金の預け入れ取引、顧客の口座から指定口座への振込や現金振込等の振込取引、残高照会などの所定の取引処理を行なう。
【0036】
また、制御部1は、顧客の開設口座を、紙の通帳を発行しない口座(以下では、「無通帳口座」とも呼ぶ。)に切り替えたり、紙の通帳を発行する口座(以下では、「有通帳口座」とも呼ぶ。)に切り替える「通帳有無切替取引」を行なう。より具体的には、「通帳有無切替取引」は、取引装置10における顧客操作により、無通帳口座への切替や、無通帳口座から有通帳口座への切り戻しを行なう口座切替に係る取引処理である。
【0037】
一般的に、顧客の口座開設は、金融機関等の窓口で行なわれる。特に、無通帳口座に切り替えた顧客が、有通帳口座への切り戻しを希望する場合、従来は窓口での手続きとなっているが、この実施形態によれば、取引装置10上での顧客操作で口座切替が可能となる。その結果、窓口業務の負担も軽減される。なお、第1の実施形態における通帳有無切替取引の詳細な説明は、動作の項で行なう。
【0038】
記憶部7は、取引に係る処理プログラムを記憶したり、制御部1による処理に必要なデータや、制御部1の処理で得られた取引に関する情報を記憶する。
【0039】
(通信部)
通信部8は、ネットワークNTを介して、ホストサーバ20との間で取引電文を含む情報を授受する。ネットワークNTを介した通信制御(通信プロトコル)は、特に限定されず、インタネットプロトコル(IP)等を適用できる。
【0040】
(通帳処理部)
通帳処理部2は、通帳入出口12から挿入された通帳に付されている記録媒体(例えば、磁気ストライプ等)から通帳情報を読み取って制御部1に与えたり、取引に関する記帳情報を通帳に記帳して通帳入出口12に排出したりする。
【0041】
(カード処理部)
カード処理部3は、カード入出口13から挿入されたカード(例えば、キャッシュカード、クレジットカード等)に付されている記録媒体(例えば、ICチップ、磁気ストライプ等)からカード情報を読み取って制御部1に与えたり、取引終了後にカードをカード入出口に排出したりする。
【0042】
(明細票処理部)
明細票処理部4は、取引情報を媒体(例えば用紙等)に印刷した明細票を明細票排出口14から排出する。明細票処理部4は、例えば、取引日、取引種別、取引金額、残高などの情報を印字する。
【0043】
(紙幣入出金部)
紙幣入出金部5は、入金処理のときには、紙幣入出口15から挿入された紙幣の真贋鑑別や計数処理を行ない、金種別のカセットに搬送する。また、出金処理のときには、出金すべき紙幣を金種別のカセットから繰り出して、紙幣入出口15から排出する。
【0044】
(硬貨入出金部)
硬貨入出金部6は、入金処理のときには、硬貨入出口16から投入された硬貨の真贋鑑別や計数処理を行ない、金種別のカセットに搬送する。また、出金処理のときには、出金すべき硬貨を金種別のカセットから繰り出して、硬貨入出口16から排出する。
【0045】
(ホストサーバ、記憶装置)
ホストサーバ20は、ネットワークNTと接続し、入金処理、出金処理等の所定の取引処理を行なう勘定系ホストサーバである。ホストサーバ20は、ネットワークNTを通じて複数の取引装置10と接続しており、各取引装置10との間で通信を行なう。また、ホストサーバ20は、記憶装置21の管理も行なう。
【0046】
記憶装置21には、顧客の口座情報やユーザ情報等を関連付けた顧客情報などが記憶されている。口座情報は、例えば、口座名義人、金融機関、支店名、口座番号、預金額(残高情報)、無通帳口座又は有通帳口座を示す通帳有無フラグ、WEB通帳に切り替えているか否かを示すフラグ、暗証番号、通帳に記帳がされていない未記帳情報等が含まれる。
【0047】
記帳情報又は未記帳情報は、例えば、取引日、取引種別、取引金額、残高等が含まれる。さらに、ユーザ情報は、顧客の氏名、住所、電話番号、金融機関等のWEBサイトのアカウント情報などの個人情報が含まれる。アカウント情報は、登録するために必要な情報であり、例えば、WEBサイトにログインするためのログイン情報(例えば、ID番号、パスワード等)、本人認証に必要な情報、メールアドレス等を含む。
【0048】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る取引装置10における通帳有無切替取引の処理動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図3は、第1の実施形態に係る取引装置10における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【0050】
第1の実施形態では、通帳を所持している顧客が、金融機関等に設置されている取引装置において、新規取引としてWEB通帳への切り替え処理(取引処理)を実施する場合を例示する。つまり、通帳有無切替取引のうち、WEB通帳への切り替えを可能とする「WEB通帳切替取引」を行なう場合を例示する。なお、本実施形態では、WEB通帳という文言を使用するが、かかる名称に限定されず、例えば、ウェブ通帳、デジタル通帳、インターネット通帳、ECO通帳、スマート通帳、スマホ通帳、スマ通帳、通帳レス、ネット通帳、または無通帳などでも良い。
【0051】
ここで、「WEB通帳切替取引」は、通帳を発行しない無通帳口座(通帳レス口座)に切り替えると共に、ネットワークを通じて金融機関等のウェブサイトにアクセスして、WEBブラウザで、過去の取引に関する記帳情報を閲覧、確認等を可能にするWEB通帳を設定する取引処理である。取引装置10において紙の通帳からWEB通帳に切り替えることができ、顧客にとって利便性がよくなり、金融機関等の職員にとっては窓口業務の負担を軽減できる。
【0052】
[S101]
まず、取引装置10では、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S101)。
【0053】
図4は、第1の実施形態の取引装置10の操作表示部17に表示される画面図である。ここで、
図4(A)に例示するように、取引選択メニュー画面500には、既存の各種取引選択ボタン502に加えて、WEB通帳を設定するための「WEB通帳切り替え」ボタン501を有する。
【0054】
制御部1は、操作表示部17の取引選択メニュー画面500上で、顧客により選択される選択ボタンを判定する。既存の各種取引選択ボタン502のいずれかが選択されたときには、その選択された取引が実施される。
【0055】
[S102~S104]
また、
図4(A)の取引選択メニュー画面500上で、顧客により「WEB通帳切り替え」ボタン501が選択されると(S102)、顧客に対して通帳の挿入を促す画面(通帳挿入画面:
図4(B)参照)が操作表示部17に表示され、顧客により通帳が通帳入出口12に挿入される(S104)。なお、本実施形態では、通帳が挿入された後、顧客から暗証番号の入力を受けつけてもよく、または、例えば、通帳の挿入の代わりに後述のカードの挿入の場合でもよいが、かかる場合、後で通帳が挿入されたときに、通帳に後述の情報601が印字される。
【0056】
通帳処理部2では、通帳が挿入されたことを検出すると、当該挿入された通帳に付与されている記録媒体(例えば、磁気ストライプMS:Magnetic Stripe)に格納されている通帳情報が読み取られる。
【0057】
ここで、操作表示部17上で「WEB通帳切り替え」ボタン501が選択されたときに、顧客に対して、カード挿入を促す画面や、暗証番号の入力を促す画面が表示され、カード挿入や暗証番号の入力を行なうようにしてもよい(S103)。この場合、カード処理部3は、カード入出口13から挿入されたカードに付与されているICチップや磁気ストライプ等の記録媒体に格納されてるカード情報を読み取って制御部1に与える。ここで、カード情報は、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人の氏名等が含まれている。
【0058】
[S105]
制御部1は、WEB通帳への設定(切り替え)を要求する旨の情報と、通帳情報とを含む電文(以下では、「WEB通帳切替電文」とも呼び。)を生成して、ホストサーバ20に送信する(S105)。
【0059】
より具体的に、WEB通帳切替電文には、例えば、当該顧客操作により無通帳口座への申し込みを示す情報と、WEB通帳に切り替えることを示す情報と、通帳情報等が含まれる。通帳情報には、例えば、金融機関、支店名、口座名義人等の情報が含まれるようにしてもよい。
【0060】
なお、WEB通帳切替電文には、顧客の口座情報を特定するための情報が含まれるが、これは通帳情報に限定されず、他にカード情報や暗証番号等を含ませるようにしてもよい。また、WEB通帳を設定する際に他の情報が必要なときには、取引装置10において顧客により必要な情報の入力を求めて、その入力した情報を電文に含ませるようにしてもよい。
【0061】
また、取引装置10とホストサーバ20との間の通信が開始すると、
図7(C)のWEB通帳への切り替え処理中を示す画面が操作表示部17に表示されるようにしてもよい。
【0062】
ホストサーバ20では、取引装置10からのWEB通帳切替電文に基づいて、当該顧客の口座を、紙の通帳を発行しない無通帳口座に切り替えると共に、金融機関等のウェブサイト上で記帳情報の閲覧等を可能とするためのWEB通帳の設定を行なう。
【0063】
ここで、ホストサーバ20は、当該顧客の口座情報に未記帳情報が含まれているときには、その未記帳情報を含む応答電文を取引装置10に返信する。「未記帳情報」は、WEB通帳切替取引の取引日よりも前に、顧客が実施した取引の取引情報であって、通帳への記帳がまだ実施されていないものである。
【0064】
また、大量の未記帳情報が存在している場合、未記帳情報を応答電文に含ませると、通信量が増えてしまいトラフィックに影響が生じたり、通帳への記帳時間がかかってしまったりする。そこで、例えば、取引日から過去6か月前、1年前などのように所定期間内の未記帳情報、又例えば、所定数の未記帳情報などを応答電文に載せるようにしてもよい。
【0065】
[S106~S108]
取引装置10において、ホストサーバ20から応答電文が受信されると(S106)、制御部1は、ホストサーバ20からの応答電文に未記帳情報が含まれているか否かを判断する(S107)。そして、未記帳情報がある場合(S107/YES)、通帳に記帳情報を記帳している旨の画面が操作表示部17に表示され(
図4(C))、通帳処理部2は記帳情報を通帳に印字される(S108)。他方、未記帳情報がない場合(S107/NO)、処理はS109に移行する。
【0066】
[S109~S110]
通帳処理部2は、WEB通帳への切り替えが完了したことを示すWEB通帳切替済情報を通帳に印字する(S109)。さらに、通帳処理部2は、当該通帳を用いた取引ができないようにするため、当該通帳の記録媒体(例えば磁気ストライプMS)をクリアーに(例えば、磁気ストライプを消磁)してもよい(S110)。
【0067】
図5は、第1の実施形態において、通帳に印字するWEB通帳切替済情報の構成を示す構成図である。
【0068】
図5(A)に例示するWEB通帳切替済情報は、通帳600に記帳情報を記帳した最終行よりも下の行に「WEB通帳切替済」と記した情報601を印字した場合を例示する。この情報601の印字位置は、通帳に記帳した記帳情報の最終行以降であれば限定されず、当該最終行の次の行であっても良いし、当該最終行に対して1行空けた次の行でも良いし、当該通帳ページの一番下の最終行などであってもよい。また、
図5(A)に例示する情報601は、「WEB通帳切替済」の文字列のみを有しているが、WEB通帳切替取引を実施した取引日の日時情報を有してもよい。
【0069】
また、
図5(B)に例示するWEB通帳切替済情報は、記帳情報として通帳に記帳する場合を例示している。つまり、情報602は、WEB通帳切替取引の記帳情報として通帳に記帳している。この場合、取引金額は発生しないので、アスタリスク(*)等を用いている。
【0070】
[S111~S112]
取引装置10では、例えば
図4(D)の画面が操作表示部17に表示され、通帳やカードなどの媒体が返却され(S111)、取引が終了する。その後、次の取引を受け付けるため、操作表示部17には顧客待ち画面が表示される(S112)。
【0071】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、金融機関等に設置されている取引装置において、WEB通帳への切り替えが可能となる。
【0072】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0073】
第2の実施形態は、通帳を所持している顧客が、通帳を用いて他の取引(出金取引、入金取引等)を実施する際に、WEB通帳への切り替えを実施する場合を例示する。
【0074】
(B-1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態の取引装置10の構成は、基本的には、第1の実施形態の
図1及び
図2と同じである。したがって、第2の実施形態において、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0075】
図6は、第2の実施形態に係る取引装置10における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【0076】
以下では、顧客が取引装置10においてお引き出し取引を行なう際に、WEB通帳への切り替え処理を実施する場合を例示する。なお、顧客が実施する取引は、お引き出しに限定されず、預け入れ、振り込みなどの他の取引科目であってもよい。
【0077】
[S101、S201]
取引装置10では、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S101)。例えば、
図7(A)に例示する取引選択メニュー画面500において、顧客により「お引き出し」ボタンが選択される(S201)。
【0078】
[S202~S207]
取引装置10では、既存のお引き出し取引が実施される。例えば、操作表示部17には、顧客に対してカード挿入、及び又は、通帳挿入を促す画面が表示され、これを受けて、顧客によりカードがカード入出口13に挿入され、及び又は、通帳が通帳入出口12に挿入される(S202)。
【0079】
カード処理部3においてカード挿入が検出されると、カードの記録媒体に格納されているカード情報が読み取られ、そのカード情報が制御部1に与えられる。また、通帳処理部2において通帳挿入が検出されると、通帳の記録媒体から通帳情報が読み取られ、その通帳情報が制御部1に与えられる。
【0080】
また、暗証番号の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で、顧客により暗証番号が入力される(S203)。入力された暗証番号は、制御部1に与えられる。
【0081】
さらに、引き出し取引に係る出金金額の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で顧客により出金金額が入力される(S204)。入力された出金金額の情報は、制御部1に与えられる。
【0082】
制御部1は、引き出し取引に係る取引情報を含む電文を作成して、その電文をホストサーバ20に送信する(S205)。例えば、電文には、金融機関名、支店名、口座名義人、口座番号、取引種別(この例の場合「お引き出し」を示す情報)、取引金額等が含まれる。
【0083】
ホストサーバ20は、受信した電文に含まれる情報に基づいて当該引き出し取引処理を実施し、応答電文を取引装置10に返信する。
【0084】
このとき、ホストサーバ20は、記憶装置21から当該顧客の取引履歴を参照して、当該顧客がWEB通帳への切り替えが可能か否かを判断し、その判断結果(つまり、WEB通帳への切り替え可能、又は不可を示す情報)を応答電文に含めて取引装置10に返信してもよい。
【0085】
ここで、WEB通帳への切り替えが可能か否かの判断基準や手法は、種々のものを適用でき、金融機関等の窓口での手続きが必要であるときには不可と判断する。
【0086】
例えば、顧客が長年にわたって複数の口座を所有している等のように、複雑な複数の手続きが必要であって、金融機関等の窓口での手続きでないと、無通帳口座やWEB通帳への切り替えができないようなときには、WEB通帳への切り替え不可と判断するようにしてもよい。
【0087】
他方、例えば、金融機関等のWEBサイトへのアカウント情報については既に申し込みが完了しているが、無通帳口座(通帳レス)やWEB通帳への切り替え設定されておらず、顧客が有通帳口座を継続して使用しているときには、WEB通帳への切り替え可能と判断して良い。
【0088】
取引装置10では、ホストサーバ20から応答電文を受信すると(S205)、取引処理を実施する。例えば、取引装置10では、引き出し取引に係る出金金額の現金を計数して、現金を出金する(S206)。また、通帳処理部2は、今回の取引情報に基づく記帳情報を通帳に印字する(S207)。
【0089】
[S208、S209]
取引装置10では、ホストサーバ20から受信した応答電文に含まれているWEB通帳への切り替え可能か否かを示す判断結果に基づいて、WEB通帳への切り替え可能か否かを判断する(S208)。
【0090】
WEB通帳への切り替えが可能であるとき(S208/YES)、顧客に対して、WEB通帳への切り替えを実施するか否かを確認するため、
図7(B)に例示するWEB通帳切替確認画面510が操作表示部17に表示される(S209)。
【0091】
他方、WEB通帳への切り替えが不可のとき(S208/NO)、処理はS215に移行し、媒体が返却されて(S215)、処理が終了し、次の取引のために、顧客待ち画面が操作表示部17に表示される(S216)。
【0092】
[S210]
顧客がWEB通帳への切り替えを希望するとき、
図7(B)のWEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「確認」ボタン511が選択され(S210/YES)、処理はS211に移行する。
【0093】
他方、顧客がWEB通帳への切り替えを希望しないとき、
図7(B)のWEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「取消」ボタン512が選択され(S210/NO)、処理はS215に移行し、媒体が返却されて(S215)、処理が終了し、次の取引のために、顧客待ち画面が操作表示部17に表示される(S216)。
【0094】
[S211]
図7(B)のWEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「確認」ボタン511が選択されると、制御部1は、WEB通帳への切り替えを要求する旨の情報と、通帳情報とを含む電文(WEB通帳切替電文)を生成して、ホストサーバ20に送信する(S211)。
【0095】
取引装置10とホストサーバ20との間の通信が開始すると、
図7(C)のWEB通帳への切り替え処理中を示す画面が操作表示部17に表示されるようにしてもよい。
【0096】
WEB通帳切替電文を受信したホストサーバ20は、第1の実施形態と同様に、WEB通帳切替電文に基づいて、当該顧客の口座を、紙の通帳を発行しない無通帳口座に切り替えると共に、金融機関等のウェブサイト上で記帳情報の閲覧等を可能とするためのWEB通帳の設定を行なう。そして、ホストサーバ20は、応答電文を取引装置に返信する。
【0097】
[S212~S214]
取引装置10において、ホストサーバ20から応答電文が受信されると(S212)、制御部1の制御により、通帳処理部2は、WEB通帳への切り替えが完了したことを示すWEB通帳切替済情報を通帳に印字する(S213)。さらに、通帳処理部2は、当該通帳を用いた取引ができないようにするため、当該通帳の記録媒体(磁気ストライプMS)をクリアーに(例えば消磁)してもよい(S214)。
【0098】
[S215~S216]
取引装置10では、例えば
図7(D)の画面が操作表示部17に表示され、通帳やカードなどの媒体が返却され(S215)、取引が終了する。その後、次の取引を受け付けるため、操作表示部17には顧客待ち画面が表示される(S216)。
【0099】
(B-2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、金融機関等に設置されるATM(現金自動取引装置)において、取引終了時にWEB通帳への切換えが可能となった。
【0100】
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0101】
第3の実施形態は、WEB通帳への切り替えをした顧客が、紙の通帳への切り替えを希望するとき、再度、紙の通帳への切り戻しを実施する場合を例示する。
【0102】
(C-1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態の取引装置10の構成は、基本的には、第1及び第2の実施形態の
図1及び
図2と同じである。したがって、第3の実施形態においても、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0103】
図8は、第3の実施形態に係る取引装置10における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【0104】
[S101]
取引装置10では、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S101)。
【0105】
例えば、
図9(A)に例示する取引選択メニュー画面500は、紙の通帳(ここでは、「既存通帳」とも呼ぶ。)への切り戻しの取引を実施する「既存通帳(紙の通帳)への切り戻し」ボタン506を有する。
【0106】
[S301、S302]
図9(A)の取引選択メニュー画面500上で、顧客により「既存通帳切り戻し」ボタン506が選択されると(S301)、顧客に対してカード挿入を促す画面(カード挿入画面)が操作表示部17に表示され、顧客によりカードがカード入出口13に挿入される(S302)。カード処理部3により読み取られたカード情報は制御部1に与えられる。
【0107】
さらに、暗証番号の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で、顧客により暗証番号が入力される(S303)。入力された暗証番号は、制御部1に与えられる。
【0108】
[S304、S305]
取引装置10では、
図9(B)に例示する既存通帳切り戻し確認画面520が操作表示部17に表示され(S304)、顧客が既存通帳への切り戻しを希望するとき、既存通帳切り戻し確認画面520上で、顧客により「確認」ボタン521が選択され(S305/YES)、処理はS305に移行する。
【0109】
紙の通帳に切り戻す際、税金や通帳発行手数料などの手数料が発生するため、
図9(B)の既存通帳切り戻し確認画面520に示すように、顧客に対して手数料が発生することを伝えた上で、紙の通帳への切り戻しの確認を求めるようにしている。紙の通帳への切り戻しに係る手数料は、顧客口座から引き落としとしてもよい。または、上記手数料は、切り戻し取引において個別に顧客から徴収される場合や、月末など所定のタイミングで顧客口座から引き落とされる場合や、または手数料の徴収方法について顧客により選択されてももよい。
【0110】
他方、顧客が既存通帳への切り戻しをしないとき、既存通帳切り戻し確認画面520上で、顧客により「取消」ボタン522が選択され(S305/NO)、処理はS309に移行し、媒体が返却されて(S309)、処理が終了し、次の取引のために、顧客待ち画面が操作表示部17に表示される(S310)。
【0111】
[S306]
図9(B)の既存通帳切り戻し確認画面520上で、顧客により「確認」ボタン521が選択されると、制御部1は、既存通帳への切り戻しを要求する旨を示す情報と、カード情報、暗証番号等を含む電文(既存通帳切り戻し電文)を生成して、ホストサーバ20に送信する(S306)。
【0112】
取引装置10とホストサーバ20との間の通信が開始すると、
図9(C)の既存通帳への切り戻しの処理中を示す画面が操作表示部17に表示されるようにしてもよい。
【0113】
既存通帳切り戻し電文を受信したホストサーバ20は、受信した既存通帳切り戻し電文に基づいて、当該顧客の口座を、紙の通帳を発行する有通帳口座に切り替える処理を行なう。そして、ホストサーバ20は、当該顧客の口座情報を含む応答電文を取引装置に返信する。既存口座への切り戻しに係る口座情報は、例えば、金融機関名、支店名、口座名義人の氏名、口座番号、口座の残高金額などが含まれる。
【0114】
[S307、S308]
取引装置10において、ホストサーバ20から応答電文が受信されると(S307)、制御部1の制御により、通帳処理部2は、通帳の記録媒体(例えば磁気ストライプ)に通帳情報に係る情報を記録して通帳を発行する(S308)。通帳を発行している間、
図9(D)に例示する通帳発行処理中画面523が、操作表示部17に表示されるようにしてもよい。
【0115】
通帳処理部2は、通帳の表紙や表紙裏面に、支店名、口座番号、口座名義人の氏名等を印字すると共に、通帳の第1頁目に口座の残高金額などを印字する。
【0116】
このとき、通帳処理部2は、新規口座開設に伴う通帳発行ではなく、通帳切り戻しの通帳発行であることを明確にするため、
図10(A)に例示するように、通帳の表紙面に、既存通帳への切り戻しであることを示す情報603(例えば、
図10(A)の例では、「通帳切り戻し」と表記)を印字するようにしてもよい。また、通帳に印字する際、通帳処理部2は、
図10(B)の情報604のように、通帳の第1頁目に、取引種別に「通帳切戻し」の取引であることを示す情報を印字すると共に、取引日(「yy-mm-dd」)及び口座残高を印字するようにしてもよい。
【0117】
[S309~S310]
取引装置10では、例えば第2の実施形態の
図7(D)で例示した画面が操作表示部17に表示され、通帳やカードなどの媒体が返却され(S309)、取引が終了する。その後、次の取引を受け付けるため、操作表示部17には顧客待ち画面が表示される(S310)。
【0118】
(C-2)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、金融機関等に設定される取引装置において、既存の紙の通帳への切り戻しが可能となる。
【0119】
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0120】
第4の実施形態は、通帳を所持していない顧客が、取引装置において、新規取引としてWEB通帳への切り替え処理(取引処理)を実施する場合を例示する。
【0121】
(D-1)第4の実施形態の構成及び動作
第4の実施形態の取引装置10の構成は、基本的には、第1~第3の実施形態の
図1及び
図2と同じである。したがって、第4の実施形態においても、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0122】
図11は、第4の実施形態に係る取引装置10における通帳有無切替取引の処理を示すフローチャートである。
【0123】
[S101]
取引装置10では、制御部1の制御により、顧客待ち画面(
図12(A)の取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S101)。
【0124】
[S401~S403]
図12(A)の取引選択メニュー画面500上で、顧客により「WEB通帳切り替え」ボタン501が選択されると(S401)、顧客に対してカードの挿入を促す画面(カード挿入画面)が操作表示部17に表示され、顧客によりカードがカード入出口13に挿入される(S402)。カード処理部3により読み取られたカード情報は制御部1に与えられる。
【0125】
さらに、暗証番号の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で、顧客により暗証番号が入力される(S403)。入力された暗証番号は、制御部1に与えられる。
【0126】
[S404、S405]
制御部1は、
図12(A)の取引選択メニュー画面500上で「WEB通帳切り替え」ボタン501の選択後、通帳が挿入されず、カードの挿入及び暗証番号の入力がされたことを検出すると、通帳無しでのWEB通帳切り替え取引処理を判断する。このように判断すると、制御部1は、
図12(B)に例示するWEB通帳切替確認画面510を、操作表示部17に表示する(S404)。
【0127】
そして、顧客がWEB通帳への切り替えを希望するとき、WEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「確認」ボタン511が選択され(S405/YES)、処理はS406に移行する。
【0128】
他方、顧客がWEB通帳への切り替えを希望しないとき、WEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「取消」ボタン512が選択され(S405/NO)、処理はS408に移行する。
【0129】
[S406]
図12(B)のWEB通帳切替確認画面510上で、顧客により「確認」ボタン511が選択されると、制御部1は、WEB通帳への切り替えを要求する旨を示す情報と、カード情報、暗証番号等を含む電文(通帳なしWEB通帳切替電文)を生成して、ホストサーバ20に送信する(S406)。
【0130】
取引装置10とホストサーバ20との間の通信が開始すると、
図12(C)のWEB通帳への切り替え処理中画面が操作表示部17に表示されるようにしてもよい。
【0131】
通帳なしWEB通帳切替電文を受信したホストサーバ20は、受信した通帳なしWEB通帳切替電文に基づいて、当該顧客の口座について、無通帳口座への切り替えを行なうと共に、WEB通帳の設定を行なう。そして、ホストサーバ20は、WEB通帳への設定を行なうと、応答電文を取引装置10に返信する。
【0132】
[S407~S409]
取引装置10において、ホストサーバ20から応答電文が受信されると(S407)、制御部1は、
図12(D)の画面515を操作表示部17に表示し、WEB通帳への切り替えが完了した旨を顧客に伝え、通帳やカードなどの媒体が返却され(S408)、取引が終了する。その後、次の取引を受け付けるため、操作表示部17には顧客待ち画面が表示される(S409)。
【0133】
(D-3)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、金融機関等に設置される取引装置において、通帳を使用しない場合でもWEB通帳への切替えが可能となる。
【0134】
(E)第5の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第5の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0135】
[基本概念]
例えば、インターネットバンキングや、金融取引等を実行するアプリケーションソフトウェアを搭載した情報処理端末を利用して、顧客はWEB通帳を閲覧・確認等をすることができるが、通帳に対するニーズは根強く残っており、取引履歴を通帳に記帳することが望まれている。
【0136】
従来においても、WEB通帳で閲覧している取引履歴を印刷することは可能であるが、無通帳口座への切替後は、一般的に紙の通帳は発行されないので、取引履歴を通帳に印字できず、通帳レスが進んでいない1つの要因ともいえる。
【0137】
そこで、第5の実施形態では、インターネットバンキングや、情報処理端末に搭載されている取引アプリケーションソフトウェアを利用して、WEB通帳上で取引履歴を閲覧可能な顧客に対して、取引履歴を通帳に印字できるようにする。
【0138】
(E-2)第5の実施形態の構成
図13は、第5の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0139】
図13において、第5の実施形態に係る取引システム9は、情報処理端末30、ホストサーバ20、金融機関等のWEBサイトを管理するサーバ40、通帳発行装置90を有する。
【0140】
(情報処理装置)
情報処理端末30は、ネットワークNTを通じて、金融機関等のウェブサイトにアクセスして、金融機関等が提供するサービスを受けたり、金融機関側のサーバ40(ホストサーバ20等)との間で情報の授受を行なって所定の取引処理を行なう。
【0141】
情報処理端末30は、既存の情報処理端末と同様に、制御部、外部記憶装置、通信装置、表示部、操作部等を有して構成されており、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を適用できる。
【0142】
第5の実施形態では、情報処理端末30には、金融取引等を実行するアプリケーションソフトウェア(取引プログラム)がインストールされているものとする。
【0143】
ここで、アプリケーションソフトウェア(取引プログラム)は、ネットワークNTを通じてサーバ40との間で情報の授受を行ない、金融機関等が提供するサービスや、振込取引や振替取引等の各種取引処理や、WEB通帳の取引履歴の閲覧・確認等を行なうソフトウェアである。情報処理端末30に搭載されたアプリケーションソフトウェアの機能の詳細な説明は、動作の項で行なう。
【0144】
なお、第5の実施形態では、アプリケーションソフトウェアがインストールされている情報処理端末30とする場合を例示して説明するが、アプリケーションソフトウェアがインストールされておらず、インターネットバンキングにより、情報処理端末30が金融機関等のウェブサイトにアクセスするものであってもよい。
【0145】
(ホストサーバ、記憶装置)
ホストサーバ20は、ネットワークNTと接続し、所定の取引処理を行なう勘定系ホストサーバである。ホストサーバ20は、ネットワークNTを通じて、金融機関の各種サービスを提供するサーバ40との間で情報の授受を行なう。ホストサーバ20は、記憶装置21の管理を行なう。
【0146】
記憶装置21は、口座を開設した顧客の顧客情報211を記憶するものである。
【0147】
図14は、第5の実施形態に係る記憶装置21に記憶される顧客情報211の構成例を示す構成図である。
図14に例示するように、顧客情報211は、ユーザ識別情報、支店名、口座番号、口座名義人氏名、住所、電話番号、生年月日、暗証番号、取引履歴情報等の項目を有する。また、取引履歴情報は、取引日時、取引種別、取引金額等の項目を有する。
【0148】
ユーザ識別情報は、顧客を特定するための情報であり、サーバ40側の登録情報411とホストサーバ20側の顧客情報211とで、特定の顧客の情報であることを紐づけるための情報である。
【0149】
なお、登録情報411と顧客情報211との間で、特定の顧客に関する情報であることを対応付けることができるのであれば、ユーザ識別情報は必須ではなく、ユーザ識別情報に代えて、例えば、店番号、口座番号、口座名義人の氏名等を用いるようにしてもよい。
【0150】
また、顧客情報211の項目は、
図14に限定されず、ホストサーバ20とサーバ40とが通信するために、必要な情報を記憶するようにしてもよい。
【0151】
(サーバ、登録情報DB)
サーバ40は、インターネット等のネットワークNTを経由して、ホストサーバ20、情報処理端末30、通帳発行装置90と接続している。なお、サーバ40のハードウェアは、既存サーバと同様に、制御装置、外部記憶装置、通信装置等を備える。
【0152】
サーバ40は、登録情報DB41に記憶されている登録情報(アカウント情報)411を参照しながら、情報処理端末30から金融機関のウェブサイトへのログイン管理をすると共に、ログイン後に、アクセスされた情報処理端末30からの要求を受けて、顧客に対して金融機関のサービスや、取引処理などを提供する。
【0153】
登録情報DB41は、インタネットバンキングやアプリケーションソフトウェアを利用する顧客の登録情報411を記憶している。
【0154】
図15は、第5の実施形態に係る登録情報411の構成例を示す構成図である。
図15に例示するように、登録情報411は、例えば、金融機関のウェブサイトへのログイン情報としてログインID及びパスワード、ユーザ識別情報、氏名、店番号、口座番号、住所、電話番号、生年月日、メールアドレスなどを有する。なお、登録情報411は、
図15の項目に限定されず、他の情報が含まれるようにしてもよい。
【0155】
サーバ40の機能は、上述したように金融機関が提供する各種サービスや、取引処理(例えば、振込、振替等)を行なう機能に加えて、履歴発生通知部401、WEB通帳情報通知部402、通帳発行番号設定部403、履歴情報通知部404を有する。
【0156】
(履歴発生通知部)
履歴発生通知部401は、ホストサーバ20から顧客口座に関して取引発生通知が通知されると、当該顧客の情報処理端末30に対して履歴発生通知を行なう。
【0157】
ここで、ホストサーバ20は、当該ホストサーバ20が管理している顧客の口座に関して取引が発生したときに、当該顧客口座に関して取引が発生した旨を通知する。つまり、例えば、金融機関等の取引装置(例えばATM)や、インターネットバンキングや、アプリケーションソフトウェアで、顧客が取引を実施すると、取引情報がホストサーバ20(及び記憶装置21)に記憶されて取引履歴が発生する。このように、ホストサーバ20側で、取引履歴が発生したときに、ホストサーバ20は、サーバ40に対して、当該顧客口座に関して取引発生通知を行なう。
【0158】
「取引発生通知」には、取引が発生した旨を示す情報と、発生した取引情報とを含み、取引情報は、例えば店番号、口座番号、氏名、取引日時、取引種別、取引金額、口座残高等の情報を有する。
【0159】
サーバ40の履歴発生通知部401は、ホストサーバ20からの取引発生通知を受信すると、取引履歴情報が発生した旨を顧客に通知するため、顧客の情報処理端末30に履歴発生通知を行なう。
【0160】
「履歴発生通知」は、ホストサーバ20側で発生した取引情報の内容が含まれ、例えば店番号、口座番号、氏名、取引日時、取引種別、取引金額、口座残高等の情報を有する。
【0161】
履歴発生通知の通知先は、登録情報DB411に登録されており、例えば、アプリケーションソフトウェアのプッシュ通知でもよいし、登録情報DB411に登録されている顧客のメールアドレス宛としてもよい。第5の実施形態では、アプリケーションソフトウェアのプッシュ通知とする場合を例示する。
【0162】
(WEB通帳情報通知部)
WEB通帳情報通知部402は、金融機関のウェブサイトへのログイン後、情報処理端末30からWEB通帳に記帳されている取引履歴情報の取得要求(閲覧要求)を受けると、ホストサーバ20に取引履歴情報の取得要求を行なう。取引履歴情報の取得要求には、顧客を特定するための情報(例えばユーザ識別情報、口座番号等)が含まれる。
【0163】
そして、ホストサーバ20において、要求された顧客口座の取引履歴情報が検索されて、顧客口座の取引履歴情報がWEB通帳情報通知部402に与えられる。WEB通帳情報通知部402は、当該顧客口座に関する取引履歴情報を、要求元の情報処理端末30に通知する。
【0164】
(通帳発行番号設定部)
通帳発行番号設定部403は、情報処理端末30から、顧客口座の履歴情報を通帳に印字することを要求する通帳発行要求を受信すると、通帳発行番号を発行し、その通帳発行番号と顧客口座に関する取引履歴情報とを関連付け、通帳発行番号と顧客口座の取引履歴情報とを対応付けて記憶する。
【0165】
また、通帳発行番号設定部403は、顧客口座に関する取引履歴情報と関連付けた通帳発行番号を情報処理端末30に通知する。
【0166】
(履歴情報通知部)
履歴情報通知部404は、顧客口座の取引履歴情報を通帳に印字するための通帳発行番号を、通帳発行装置50から受信すると、その通帳発行番号に対応する顧客口座の取引履歴情報を検索し、検索した顧客口座の取引履歴情報を、通帳発行装置50に通知する。
【0167】
(通帳発行装置)
通帳発行装置90は、サーバ40によって払い出された通帳発行番号に対応する顧客口座の取引履歴情報を通帳に印字して、通帳を発行するものである。
【0168】
通帳発行装置90は、通帳発行番号取得部901、履歴情報取得部902、通帳発行部903を有する。
【0169】
(通帳発行番号取得部)
通帳発行番号取得部901は、サーバ40によって払い出された通帳発行番号を取得するものである。
【0170】
通帳発行番号取得部901は、例えば、顧客によりテンキー等で通帳発行番号を取得しても良い。また例えば、通帳発行番号が二次元コード化されているときには、情報処理端末30の表示部に表示された二次元コードを二次元コードリーダ等で読み取って通帳発行番号を取得しても良い。さらに、情報処理端末30との間で近距離無線通信等により、通帳発行番号を含む情報を受信して、通帳発行番号を取得してもよい。
【0171】
(履歴情報取得部)
履歴情報取得部902は、取得した通帳発行番号を含む履歴情報取得要求をサーバ40に送信して、当該通帳発行番号に対応する顧客口座の取引履歴情報を取得する。
【0172】
(通帳発行部)
通帳発行部903は、履歴情報取得部902により取得された顧客口座の取引履歴情報を通帳に印字して通帳を発行するものである。
【0173】
(E-2)第5の実施形態の動作
図16及び
図17は、第5の実施形態に係る取引システム9における処理動作を示すシーケンス図である。
【0174】
以下では、(1)顧客口座に関する取引が発生したときに、取引履歴通知が情報処理端末30のアプリケーションソフトウェアに通知される履歴発生通知処理と、(2)顧客により顧客口座に関する取引履歴情報を通帳に印字して通帳を発行する通行発行処理とを説明する。
【0175】
[履歴発生通知処理]
顧客は、金融機関等に設置されている取引装置(例えばATM)や、インタネットバンキング、情報処理端末30に搭載のアプリケーションソフトウェアを用いて、取引処理を行なう。
【0176】
ここでは、アプリケーションソフトウェアがインストールされている情報処理端末30を用いて、顧客が取引処理を行なう場合を例示する。また、情報処理端末30にアプリケーションソフトウェアをインストールして設定したときには、顧客は無通帳口座として口座開設をしているものとする。
【0177】
[S501]
顧客が情報処理端末30を操作して、アプリケーションソフトウェアが起動し、例えばログインID及びパスワードを用いたログイン処理が行なわれ、アプリケーションソフトウェアとサーバ40とが接続する。
【0178】
なお、アプリケーションソフトウェアをインストールする際に、ログインID及びパスワードの設定が事前に行なわれているときには、ログインID及びパスワードの入力を省略してもよい。
【0179】
情報処理端末30の表示部には、取引処理を行なうための取引画面が表示され、所定の取引を希望する顧客により、当該取引に係る情報が入力される。入力された取引に係る情報は、サーバ40を介してホストサーバ20に送信され、ホストサーバ20は取引に係る情報に基づいて取引処理を行ない、処理が完了する。なお、取引種別は特に限定されない。
【0180】
[S502、S503]
取引実行されると、ホストサーバ20側では、顧客口座に関する取引情報が記憶装置21に記憶され(S502)、当該顧客口座の取引履歴が発生する。ホストサーバ20は、サーバ40に対して、当該顧客口座で実施された取引情報を含む取引発生通知を行なう(S503)。
【0181】
[S504]
サーバ40では、ホストサーバ20からの取引発生通知が受信されると、履歴発生通知部401が、登録情報DB41を参照して、予め設定された通知先(この例では、情報処理端末30のアプリケーションソフトウェア)に対して、顧客口座で実施された取引情報を含む履歴発生通知を行なう。
【0182】
[S505]
情報処理端末30では、サーバ40からの履歴発生通知が受信されると、履歴発生通知に含まれる顧客口座の取引情報が、情報処理端末30の表示部に表示される。
【0183】
図18(A)は、第5の実施形態の情報処理端末30に表示される履歴発生通知の画面例を示す画面図である。
図18(A)では、履歴発生通知がプッシュ通知された場合を例示しており、取引日時を示す「日付:yy:mm:dd」、取引種別を示す「内容:振込」、取引金額を示す「金額:¥50,000」、口座残高を示す「残高:¥200,000」を含む通知情報301が画面表示される。
【0184】
上述したように、顧客口座で取引履歴が発生すると、履歴発生通知が情報処理端末30に通知される。これにより、顧客はリアルタイムに口座情報を把握することができる。また、不正な取引が行なわれたか否かを顧客は知ることができるので、セキュリティ対策にもなる。
【0185】
[通帳発行処理]
ここでは、無通帳口座を開設している顧客が、現在まで(操作時点まで)に行なった取引に関する記帳情報を記帳した通帳を発行しようとする処理を説明する。
【0186】
[S506]
顧客が情報処理端末30を操作して、アプリケーションソフトウェアが起動し、ログイン処理が行なわれ、アプリケーションソフトウェアとサーバ40とが接続する。顧客は、WEB通帳の内容を確認するため、情報処理端末30の表示画面上で、例えば「預金口座履歴」ボタン(図示しない)を選択する。これにより、取引履歴情報の取得要求が、サーバ40に送信される。
【0187】
サーバ40では、取引履歴情報の取得要求が受信されると、WEB通帳情報通知部402は、ホストサーバ20に取引履歴情報の取得要求を行なう。
【0188】
[S507]
ホストサーバ20では、要求された顧客口座の取引履歴情報が検索されて(S507)、顧客口座の取引履歴情報がWEB通帳情報通知部402に与えられる。そして、WEB通帳情報通知部402は、当該顧客口座に関する取引履歴情報を、要求元の情報処理端末30に通知する。
【0189】
ここで、ホストサーバ20が送信する取引履歴情報は、無通帳口座への切替後、WEB通帳に存在する取引履歴情報としても良いし、後述するように、取引履歴情報を通帳に印字していない未記帳情報としてもよい。後者の場合、ホストサーバ20側又はサーバ40側で、通帳への印字済みであるか又は未記帳であるかを判断するためのフラグが、取引情報(履歴情報)毎に付されているようにしてもよい。
【0190】
[S508]
情報処理端末30では、サーバ40から取引履歴情報が受信されると、受信した取引履歴情報(口座履歴)の件数と、予め設定された閾値とを比較し(S508)、取引履歴情報の件数が閾値以上であるとき(S508/YES)、処理はS509に移行し、取引履歴情報の件数が閾値未満のとき(S508/NO)、処理はS510する。
【0191】
ここで、閾値は、取引履歴情報が蓄積されて、取引履歴情報を通帳に印字することが可能であることを判断するための値である。閾値は、デフォルト値として設定されていてもよい。またアプリケーションソフトウェアにおいて顧客により変更可能としてもよい。
【0192】
無通帳口座を開設している顧客であっても、通帳への記帳を希望することがあるので、取引履歴情報の通帳への記帳が全くできなくなってしまうと、通帳レス化のハードルが高くなってしまい、通帳レスの普及がすすまない。そこで、所定件数の取引履歴情報が蓄積されたときに、通帳への記帳が可能であることを顧客に知らせるようにしている。なお、本実施形態では、通帳への記帳が可能となるのは、かかる所定件数の取引履歴情報の蓄積を条件とする場合に限定されず、例えば、無通帳口座の開設から所定期間の経過などの場合でもよい。
【0193】
[S509]
取引履歴情報の件数が閾値以上のとき、発行キーなしの履歴情報が情報処理端末30の表示部に表示される。
【0194】
図18(B)は、第5の実施形態の情報処理端末30に表示される発行キーなしの履歴情報の一例を示す画面図である。
図18(B)に例示するように、情報処理端末30の表示部には、顧客口座の取引履歴情報304と、通帳への印字可能までの件数を示すメッセージ305とが表示される。
【0195】
例えば、メッセージ305には、閾値と現時点の取引履歴情報の件数との差分の値(すなわち、通帳記帳可能までの残り件数)が表示されることで、現時点では、通帳への記帳はできないが、取引履歴件数が蓄積されれば、通帳への記帳が可能であることを顧客に意識させることができる。無通帳口座に切り替えた顧客にとっては、通帳発行ができなくなることに不安になる者もいるが、安心して通帳レス化を進めることができる。
【0196】
[S510]
取引履歴情報の件数が閾値以上のとき、発行キー付きの履歴情報が情報処理端末30の表示部に表示される。
【0197】
図18(C)は、第5の実施形態の情報処理端末30に表示される発行キー付きの履歴情報の一例を示す画面図である。
図18(C)に例示するように、情報処理端末30の表示部には、顧客口座の取引履歴情報304と、通帳への印字が可能であることのメッセージ302と、通帳を発行することを要求するための発行キー303とが表示される。
【0198】
通帳への印字が可能である旨のメッセージ302が表示されることで、無通帳口座を開設した顧客に対しても、通帳への記帳が可能であることを知らせることができる。また、通帳レス化のハードルが低くなり、通帳レスの普及が期待できる。
【0199】
[S511]
情報処理端末30の表示画面において、顧客により発行キー303が選択されると、取引履歴情報の通帳記帳を要求する通帳発行要求が、サーバ40に送信される。
【0200】
[S512]
サーバ40では、通帳発行要求が受信されると、通帳発行番号設定部403が、通帳発行番号を発行し、その通帳発行番号と顧客口座に関する取引履歴情報とを関連付け、通帳発行番号と顧客口座の取引履歴情報とを対応付けて記憶する。
【0201】
このとき、サーバ40は、ホストサーバ20との間で通信を行ない、ホストサーバ20側で管理する口座情報に対して、通帳発行番号を関連付けをしてもよい。
【0202】
さらに、通帳発行番号設定部403は、顧客口座に関する取引履歴情報と関連付けた通帳発行番号を情報処理端末30に通知する。
【0203】
[S513]
情報処理端末30の表示部には、通帳発行番号を含む画面が表示される。
【0204】
図18(D)は、第5の実施形態の情報処理端末30に表示される通帳発行番号を含む画面例を示す画面図である。
図18(D)では、情報処理端末30の表示部に、通帳発行番号306と、通帳発行番号に基づいて作成された二次元コード307とが表示されている場合を例示する。
【0205】
図18(D)の表示画面は、アプリケーションソフトウェアにおいて保存されるようにしてもよい。
【0206】
なお、通帳発行番号306と二次元コード307のいずれかだけが表示されるようにしてもよい。通帳発行番号306のみが表示される場合、顧客に対して通帳発行番号を見せることができるので、安心して通帳発行をさせることができる。また、二次元コード307のみが表示される場合、盗み見等の不正行為を防止できる。
【0207】
[S514、S515]
顧客は通帳発行番号を提示し、通帳発行装置90の通帳発行番号取得部901が、通帳発行番号を取得する。
【0208】
例えば、通帳発行装置90が金融機関の店舗に設置されている場合、顧客は、窓口の職員に通帳発行番号を見せて、職員が通帳発行装置90を操作して通帳発行番号を入力するようにしてもよい。
【0209】
また例えば、通帳発行装置90が顧客操作可能なものである場合には、顧客が操作して通帳発行番号を入力したり、二次元コードリーダで二次元コード307を読み取らせてもよい。
【0210】
[S516~S519]
通帳発行装置90では、履歴情報取得部902が、取得した通帳発行番号を含む履歴情報取得要求をサーバ40に送信する(S516)。
【0211】
サーバ40では、通帳発行番号に対応する顧客口座の取引履歴情報を検索し(S517)、検索した顧客口座の取引履歴情報をを通帳発行装置90に送信する(S518)。
【0212】
通帳発行装置90では、通帳発行部903が、履歴情報取得部902により取得された顧客口座の取引履歴情報を通帳に記帳し、通帳を発行するものである(S519)。
【0213】
(E-3)第5の実施形態の効果
以上のように、第5の実施形態によれば、所定件数の取引履歴が蓄積されると通帳記帳を可能とすることで、無通帳口座とすることのハードルを下げ、通帳レス化を普及させることが期待できる。
【0214】
(F)第6の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第6の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0215】
[基本概念]
第6の実施形態は、第5の実施形態で説明した基本概念を利用して、例えば、マイナンバーやGoogle(登録商標)アカウント等のように、顧客個人を特定することができるユニークな登録情報(アカウント)とホストサーバ20(勘定系ホスト)とを連携して、ホストサーバ20(勘定系ホスト)で管理している未記帳データをテキストデータとして移行させるようにする。
【0216】
(F-1)第6の実施形態の構成
図30は、第6の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0217】
図30において、第6の実施形態に係る取引システム9Aは、情報処理端末30、ホストサーバ20、金融機関等のWEBサイトを管理するサーバ40、金融機関等のサーバ40と登録情報(アカウント情報)の連携をする連携サーバ80、通帳発行装置50を有する。
【0218】
第6の実施形態は、金融機関等のサーバ40のWEBサイトにログインする際に、顧客が連携サーバ80に事前に登録しているアカウント情報(登録情報)を用いた認証を行ない、認証が成功すると、サーバ40が金融機関等のWEBサイトへのログインを許容する。
【0219】
したがって、第6の実施形態のシステム構成は、基本的には、第5の実施形態と同じであるが、
図30に例示するように、金融機関等のサーバ40と連携処理を行なう連携サーバ80を備える。
【0220】
(連携サーバ)
連携サーバ80は、例えば、マイナンバーを管理するサーバや、プラットフォーマの事業者や通信事業者が運用するサーバ等のように、顧客のアカウント情報(登録情報)を管理するサーバである。連携サーバ80は、登録情報DB81と接続しており、顧客のアカウント情報を管理している。
【0221】
連携サーバ80は、登録情報連携部801を有する。登録情報連携部801は、顧客操作による情報処理端末30からアクセスされ、金融機関等のWEBサイトへのログイン要求を受信する。登録情報連携部801は、当該連携サーバ80で管理しているアカウント情報を用いた認証を行ない、当該認証が成功したときに、認証成功の旨を金融機関等のサーバ40に通知する。金融機関等のサーバ40は、連携サーバ80によるアカウント情報を用いた認証成功を、当該WEBサイトへのログインとみなし、情報処理端末30によるWEBサイトへのアクセスを許容する。
【0222】
(F-2)第6の実施形態の動作
図31は、第6の実施形態に係る取引システム9Aにおける処理動作を示すシーケンス図である。
【0223】
第6の実施形態の処理動作は、基本的には、第5の実施形態の
図16及び
図17で説明した処理動作と同じであるが、情報処理端末30を用いた金融機関等のWEBサイトへのログイン時の処理が、第5の実施形態と異なる。
【0224】
したがって、以下では、ログイン時の処理動作を詳細に説明することとし、第5の実施形態で説明した処理については省略する。
【0225】
第6の実施形態でも、(1)顧客口座に関する取引が発生したときに、取引履歴通知が情報処理端末30のアプリケーションソフトウェアに通知される履歴発生通知処理と、(2)顧客により顧客口座に関する取引履歴情報を通帳に印字して通帳を発行する通行発行処理を行なう。
【0226】
[履歴発生通知処理]
第5の実施形態と同様に、顧客は、金融機関等に設置されている取引装置(例えばATM)や、インターネットバンキング、情報処理端末30に搭載のアプリケーションソフトウェアを用いて取引処理を行なう。ここでは、アプリケーションソフトウェアがインストールされている情報処理端末30を用いて、顧客が取引処理を行なう場合を例示する。
【0227】
[S551]
顧客が情報処理端末30を操作し、アプリケーションソフトウェアが起動すると、連携サーバ80において登録したアカウント情報(例えば、ログインID及びパスワード)の入力画面が情報処理端末30に表示される。そして、顧客操作により、連携サーバ80のアカウント情報が入力され、そのアカウント情報が連携サーバ80に送信される。
【0228】
なお、情報処理端末30に、連携サーバ80のアカウント情報(例えば、ログインID及びパスワード)が記憶されている場合には、アカウント情報の入力画面が表示されなくてもよく、情報処理端末30に記憶されているアカウント情報(例えば、ログインID及びパスワード)が連携サーバ80に送信される。
【0229】
[S552]
連携サーバ80では、登録情報連携部801が、情報処理端末30から受信したアカウント情報と、記憶装置81に事前登録されているアカウント情報との照合を行ない、アカウント情報の認証を行なう。そして、アカウント情報の認証が成功すると、登録情報連携部801は、アカウント情報の認証が成功である旨を示す情報を、金融機関等のサーバ40に送信する。
【0230】
サーバ40では、連携サーバ80との間で連携処理を行なう登録情報連携部405が、連携サーバ80によるアカウント情報の認証が成功した旨の情報を取得すると、金融機関等のWEBサイトへのログインを許容する。これにより、情報処理端末30とサーバ40とは情報通信が可能となり、取引処理が可能となる。
【0231】
情報処理端末30の表示部には、取引処理を行なうための取引画面が表示され、顧客により所定の取引に係る情報が入力される。入力された取引に係る情報は、サーバ40を介してホストサーバ20に送信され、ホストサーバ20は取引に係る情報に基づいて取引処理を行ない、処理が完了する。なお、取引種別は特に限定されない。
【0232】
[S502~S505]
S502~S505の処理は、第5の実施形態の
図16のS502~S505の処理と同じであるため、S502~S505の処理説明は省略する。
【0233】
[通帳発行処理]
[S553]
顧客が情報処理端末30を操作し、アプリケーションソフトウェアが起動すると、連携サーバ80において登録したアカウント情報(例えば、ログインID及びパスワード)の入力画面が情報処理端末30に表示される。そして、顧客操作により、連携サーバ80のアカウント情報が入力され、そのアカウント情報が連携サーバ80に送信される。
【0234】
なお、この場合も、情報処理端末30に、連携サーバ80のアカウント情報(例えば、ログインID及びパスワード)が記憶されている場合には、アカウント情報の入力は省略してもよい。
【0235】
[S554]
連携サーバ80では、登録情報連携部801が、情報処理端末30から受信したアカウント情報と、記憶装置81に事前登録されているアカウント情報との照合を行ない、アカウント情報の認証を行なう。そして、アカウント情報の認証が成功すると、登録情報連携部801は、アカウント情報の認証が成功である旨を示す情報を、金融機関等のサーバ40に送信する。
【0236】
サーバ40では、連携サーバ80との間で連携処理を行なう登録情報連携部405が、連携サーバ80によるアカウント情報の認証が成功した旨の情報を取得すると、金融機関等のWEBサイトへのログインを許容する。
【0237】
情報処理端末30が、金融機関等のWEBサイトへのアクセスが許容されると、顧客は、WEB通帳の内容を確認するため、情報処理端末30の表示画面上で、例えば「預金口座履歴」ボタン(図示しない)を選択する。これにより、取引履歴情報の取得要求が、サーバ40に送信される。
【0238】
サーバ40では、取引履歴情報の取得要求が受信されると、WEB通帳情報通知部402は、ホストサーバ20に取引履歴情報の取得要求を行なう。
【0239】
[S507~S513]
S507~S513の処理は、第5の実施形態の
図16のS507~S513の処理と同じであるため、S507~S513の処理説明は省略する。
【0240】
(F-3)第6の実施形態の効果
以上のように、第6の実施形態によれば、第5の実施形態の効果に加えて、顧客個人のユニークなアカウント情報を使用してログインすることができる。また、第6の実施形態によれば、コンビニ等に設置する複数の金融機関共通の通帳発行機で通帳発行が可能となることで利便性の向上が見込め、かつ、金融機関等のATMや、営業店端末に通帳機能を搭載する必要もなくなる。
【0241】
(G)第7の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第7の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0242】
[基本概念]
第7の実施形態は、例えば金融機関等に設置されている取引装置(例えばATM等)を用いて、顧客による取引操作に並行して、無通帳口座を案内し、顧客の希望に応じて無通帳口座への切り替え処理を行なう場合を例示する。
【0243】
例えば、顧客が無通帳口座を利用している場合、ATM使用手数料等の手数料が無料となる等のサービスが提供されていることがある。
【0244】
そこで、無通帳口座への切り替えを促進するために、第7の実施形態では、取引装置において取引操作を実施する顧客に対して、手数料の照会画面及び又は無通帳口座申込画面を案内して、無通帳口座への切り替えを促すと共に、顧客が無通帳口座への申し込みを希望する際には、取引装置において無通帳口座の申し込みを行なえるようにする。
【0245】
(G-1)第7の実施形態の構成
図19は、第7の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【0246】
図19において、取引装置10Aは、制御部1、通帳処理部2、カード処理部3、明細票処理部4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、記憶部7、通信部8を有する。
【0247】
図19において、第7の実施形態に係る取引装置10Aの構成は、基本的には、第1~第4の実施形態の
図1及び
図2の取引装置10と同じ構成である。
【0248】
なお、通帳処理部2、カード処理部3、明細票処理部4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、記憶部7、通信部8は、第1~第4の実施形態で説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0249】
図19において、取引装置10Aの制御部1は、手数料照会処理部1a、無通帳口座申込指示判定部1b、無通帳口座申込案内部1c、無通帳口座申込選択処理部1d、無通帳切替後取引処理部1eを有する。
【0250】
手数料照会処理部1aは、顧客取引にて手数料照会通信として、ホストサーバ20に対して、手数料確認要求及び手数料確認許可応答の電文を送受信する手段である。
【0251】
無通帳口座申込指示判定部1bは、手数料照会通信の手数料確認許可応答にてホストサーバ20における判定による無通帳口座申込指示の受信を判定する手段である。
【0252】
無通帳口座申込案内部1cは、ホストサーバ20から「無通帳口座申込指示有り」の場合に、無通帳口座切替の申込案内画面を表示し、顧客の申込選択を受け付けるものである。
【0253】
無通帳口座申込選択処理部1dは、顧客が無通帳口座切替の申込を選択した場合に、無通帳口座への切替申込情報をホストサーバ20へ通知する手段である。
【0254】
無通帳切替後取引処理部1eは、顧客が無通帳口座切替の申込を選択し、ホストサーバ20にて無通帳口座への切り替えを行なった場合、無通帳口座への切り替えをした旨を案内する手段である。
【0255】
(G-2)第7の実施形態の動作
図20~
図22は、第7の実施形態に係る取引装置10Aにおける通帳有無切替取引の処理及び画面遷移を示すフローチャートである。
【0256】
以下では、取引装置10Aにおいて、顧客が引き出し取引の取引操作を実施する際に、引き出し取引と並行して無通帳口座への切替申込を実施する場合の動作を例示する。なお、顧客が実施する取引種別は、引き出し取引に限定されず、振込取引、振替取引、残高照会など他の取引であってもよい。
【0257】
なお、取引装置10Aにおいて、顧客が希望する取引を進行させるための操作画面や取引処理等は、基本的には既存の処理と同じであり、
図20~
図22に限定されない。つまり、
図20~
図22に例示する取引処理は、一例である。
【0258】
[S701~S705]
取引装置10Aでは、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示され(S701)、顧客により、例えば引き取り取引ボタンが選択されると(S702)、カード挿入画面530が操作表示部17に表示される(S703)。
【0259】
なお、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)上で、取引ボタンが選択される前に、カードが入力されたときには(S704)、取消ボタン531を含む取引選択メニュー画面500が表示される(S705)。
【0260】
[S706]
取引装置10Aでは、カード処理部3がICカードであるか否かを判定し、ICカードである場合(S706/YES)、S707に移行し、ICカードでない場合(S706/NO)、S712に移行する。なお、カードがICカードであるか否かの判定処理は、既存処理を広く適用できる。
【0261】
[S707~S711]
挿入されたカードがICカードの場合、カード処理部3は、挿入されたカードの記録媒体(例えばICチップ)からカード情報を読み取り(S707)、カード情報が制御部1に与えられ、制御部1は、カード情報に基づいて生体認証が必要であるか否かを判断する。
【0262】
つまり、カード情報には、顧客の生体認証を実施の有無を示す情報と照合用生体認証情報等が格納されており、生体認証を実施する旨の情報が格納されているときには(S708/YES)、S709に移行して、生体認証を実施する。なお、生体認証の手法は、手のひらの静脈認証を適用する場合を例示するが、これに限定されず、指紋認証、虹彩パターン認証、顔認証等を適用してもよい。
【0263】
S709では、認証装置に手をかざすことを誘導する画面541が表示され(S709)、認証中である旨を示す画面542が表示され(S710)、認証が成功したときには、その旨を示す画面543が表示される(S711)。
【0264】
また、生体認証を実施する旨の情報が格納されていないとき(若しくは、生体認証を実施しない旨の情報が格納されているとき)(S708/NO)、S712に移行し、生体認証を実施しない。
【0265】
[S712]
操作表示部17には暗証番号入力画面544が表示し、暗証番号入力画面544上で暗証番号が入力される(S712)。
【0266】
[S713~S715]
次に、制御部1は、カード情報に含まれているカード種別情報に基づいて、カードが、他の金融機関との共用カードであるか否かを判定する(S713)。
【0267】
ここで、共用カードとは、自行の取引に利用されるだけでなく、他の金融機関の取引にも利用可能なカードである。例えば、共用カードには、他の提携銀行の取引が可能な他行提携カード、提携のクレジットカード会社の取引が可能な提携クレジットカードなどがある。
【0268】
挿入されたカードが他行提携カードであるとき、自行の取引を選択する自行取引選択ボタン551と、提携する他行の取引を選択する提携先ボタン552とを有する画面550が表示し、自行取引選択ボタン551又は提携先ボタン552のいずれのボタンが顧客により選択され(S714)、S716に進む。
【0269】
また、挿入されたカードが提携クレジットカードであるとき、自行扱いの取引になる旨の画面560が表示され、顧客により確認ボタン532が選択され(S715)、S716に進む。
【0270】
なお、挿入されたカードが共用カードでないときにはS716に進む。
【0271】
[S716]
制御部1は、挿入されたカードが自行カードであるか否かを判定し、自行カードと判定すると(S716/YES)、S717に進み、自行カードでないと判定すると(S716/NO)、S721に進む。
【0272】
[S717~S718]
制御部1は、ホストサーバ20に対して手数料確認画面の表示設定の有無を要求する電文(手数料確認要求電文)を送信し、その電文を受け取ったホストサーバ20から応答電文を受信する。
【0273】
制御部1の手数料照会処理部1aは、受信した応答電文に「手数料確認画面表示指示あり」を設定する旨の情報が含まれているか否か(すなわち、「手数料確認画面表示指示あり」の設定を受信したか否か)を判断する(S717)。
【0274】
そして、「手数料確認画面表示指示あり」の設定を受信したとき(S717/YES)、ホストサーバ20から受信した手数料確認画面570を操作表示部17に表示し(S718)、手数料を確認した顧客により、確認ボタン532が選択されると、S719に進む。
【0275】
他方、「手数料確認画面表示指示なし」の設定を受信したとき(S717/NO)、手数料確認画面は表示されず、S719に進む。
【0276】
[S719]
制御部1は、ホストサーバ20に対して無通帳口座申込画面の表示設定の有無を要求する電文(無通帳口座申込確認要求電文)を送信し、その電文を受け取ったホストサーバ20から応答電文を受信する。
【0277】
ここで、制御部1は、顧客情報として、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人等の情報と、無通帳口座への申込画面を表示すべきか否かの要求情報とを含む無通帳口座申込確認要求電文を、ホストサーバ20に送信する。換言すると、制御部1は、無通帳口座申込画面を表示すべきか否かをホストサーバ20に判断させるため、顧客を特定する情報を含む電文をホストサーバ20に送信する。
【0278】
ホストサーバ20は、記憶装置21を参照して、顧客を特定する情報に基づいて、当該顧客の取引履歴情報を検索する。そして、ホストサーバ20は、当該顧客の取引履歴情報に基づいて、無通帳口座申込画面を表示すべきか否かを判断する。
【0279】
つまり、ホストサーバ20は、顧客の取引履歴情報に基づいて、顧客口座が有通帳口座であることや、当該顧客の取引態様が手数料のかかる取引を多く実施していることや、カードのみを用いた取引を多く実施していること等を判断する。なお、ホストサーバ20による無通帳口座申込画面を表示すべきか否かの判断手法は、これらに限定されない。
【0280】
より具体的には、ホストサーバ20は、当該顧客の口座情報に基づいて、有通帳口座であるか又は無通帳口座であるかを判断する。また、過去1年間若しくは数年間の取引履歴情報から、手数料を支払った取引件数を導出し、手数料を支払った取引件数が閾値を超えたとき、若しくは、手数料を支払った取引の割合(すなわち、全取引件数のうち手数料を支払った取引件数の割合)を示す値が閾値を超えたとき、手数料のかかる取引を多く実施していると判断する。さらに、過去1年間若しくは数年間の取引履歴情報から、カードのみを用いた取引件数、若しくは、カードのみを用いた取引の割合(すなわち、全取引件数のうちカードのみを用いた取引件数の割合)の値が、閾値を超えたとき、カードのみを用いた取引を多く実施していると判断する。
【0281】
ホストサーバ20は、上述した判断を行なうことで、無通帳口座の申込画面を表示するか否かを判断し、無通帳口座申込画面を表示すべきと判断したときには、「無通帳口座申込指示あり」の設定を含む応答電文を、取引装置10Aに送信する。
【0282】
なお、無通帳口座申込画面を表示すべきでないと判断したときには、「無通帳口座申込指示なし」の設定を含む応答電文を、ホストサーバ20は取引装置10Aに送信する。
【0283】
制御部1の無通帳口座申込指示判定部1bは、受信した応答電文に「無通帳口座申込指示あり」を設定する旨の情報が含まれているか否か(すなわち、「無通帳口座申込指示あり」の設定を受信したか否か)を判断する(S719)。
【0284】
そして、「無通帳口座申込指示あり」の設定を受信したとき(S719/YES)、無通帳口座申込案内部1cは、ホストサーバ20から受信した無通帳口座申込画面580を操作表示部17に表示する(S720)。
【0285】
ここで、無通帳口座申込画面580には、無通帳口座に申し込みをしたときには、手数料が無料になる旨の情報が含まれている。従来、無通帳口座を利用している顧客に対して手数料を無料とするサービスがあり、今回の取引において無通帳口座への切り替えをしたときには手数料が無料であることを顧客に案内することができる。また、無通帳口座への切り替えを顧客が希望するときには、今回の取引と同時に無通帳口座への切り替えを実施させることができ、今回の取引から手数料を無料にすることができる。
【0286】
顧客が無通帳口座への申し込みを希望するときには、顧客により「申し込む」ボタン582が選択され、無通帳口座申込選択処理部1dは、無通帳口座の申し込みを含む電文(無通帳口座申込電文)をホストサーバ20に送信する。
【0287】
このとき、無通帳口座申込選択処理部1dは、無通帳口座への切り替えを要求する旨の情報、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人等の情報を含む無通帳口座申込電文をホストサーバ20に送信する。換言すると、無通帳口座申込選択処理部1dは、顧客を特定する情報と、当該顧客が無通帳口座への切り替えを要求する旨の情報とを含む電文をホストサーバ20に送信する。
【0288】
無通帳口座申込電文を受信したホストサーバ20は、無通帳口座への申し込みを受け付け、当該顧客の口座を無通帳口座に切り替える処理を実施する。
【0289】
他方、顧客が無通帳口座への申し込みを希望しないときには、「申し込まない」ボタン581が選択され、無通帳口座申込選択処理部1dは、無通帳口座の申し込みをしない旨の電文をホストサーバ20に送信する。
【0290】
[S721~S724]
操作表示部17には、引き出し取引の引出金額入力画面590が表示され、顧客により引き出し金額が入力される(S721)。制御部1は、既存の引き出し取引と同様に、取引情報(例えば、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人、引き出し金額等)を含む取引要求電文をホストサーバ20に送信する。そして、操作表示部17には、処理中である旨の画面591が表示される(S722)。
【0291】
取引装置10Aがホストサーバ20から引き出し取引に係る応答電文を受信すると、挿入されたカード及び現金が排出され、カードの受け取りを促す画面592が表示され(S723)、現金の受け取りを促す画面593が表示される(S724)。
【0292】
[S725]
操作表示部17には、無通帳口座への切り替えが完了した旨と、今回の取引に係る手数料が無料である旨とを含む画面(無通帳口座切替完了画面)594が表示される(S725)。これにより、無通帳口座への切り替え並びに手数料が無料になったことを顧客に知らせることができる。
【0293】
なお、このとき、今回の取引に係る手数料が無料であることを示す情報を印字した明細票を排出するようにしてもよい。
【0294】
(G-3)第7の実施形態の変形実施形態
(G-3-1)
図20~
図22のS720~S725では、ホストサーバ20が、当該顧客を特定する情報に基づいて検索した当該顧客の取引履歴情報から、無通帳口座申込画面580を表示し、顧客が無通帳口座への切り替えを申し込みする場合を例示した。
【0295】
上述した変形例として、ホストサーバ20での無通帳口座への切り替え完了の旨を、S725で表示するものとして説明したが、無通帳口座への切り替え完了の旨の画面を、S720とS721との間で表示するようにしてもよい。換言すると、無通帳口座への申し込みをした顧客に安心感を与えるため、S720での無通帳口座への申込後、S721の画面前に、無通帳口座への切り替え完了の旨と手数料無料の旨とを含む画面を表示するようにしてもよい。
【0296】
また、何らかの事由により、ホストサーバ20で無通帳口座への切り替えが正しくできなかったときに、無通帳口座への切り替えが完了しなかった旨を、S721の処理前に顧客に知らせることもできる。
【0297】
(G-4)第7の実施形態の効果
以上のように、第7の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0298】
第7の実施形態によれば、取引装置において顧客が取引を実施する際に、無通帳口座は手数料が無料である等の無通帳口座への切替申込の勧誘や案内をすることができ、顧客が無通帳口座への切り替えを希望する場合には、顧客取引操作中に、無通帳口座への切り替え操作を同時期に行なうことができるので、無通帳口座への切替が簡便に行える。
【0299】
第7の実施形態によれば、顧客取引情報によるホストサーバの判定にて、手数料がかかる取引が多い顧客や、カードのみ取引が多い顧客に対して、無通帳口座への勧誘案内を積極的に行なうことができ、さらに無通帳口座への切り替え誘導を実施することで、無通帳口座への切り替えを有効的に促進できる。逆に、通帳取引を頻繁に行う顧客には勧誘を抑制するようにしてもよい。
【0300】
第7の実施形態によれば、顧客にとっては該当取引が通常では手数料が掛かる場合に、その取引を直ちに手数料無料にできるという顧客利便性の向上が図られる。
【0301】
第7の実施形態によれば、無通帳口座への切替の積極的な促進が期待でき、記帳データ保持を不要とする事でホストサーバで保持する記帳データのデータ量を削減することができる。
【0302】
(H)第8の実施形態
次に、本発明に係る取引装置及び取引プログラムの第8の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0303】
[基本概念]
第8の実施形態は、無通帳口座に切り替えている顧客が、取引装置における取引操作により、有通帳口座に切り戻す場合を例示する。
【0304】
顧客が取引装置において有通帳口座への切り戻し操作を実施し、ホストサーバが当該顧客の口座を有通帳口座への切り戻しの判断を行ない、その結果(応答電文)に基づいて取引装置が通帳を発行することが考えられるが、通帳発行の制限が生じたり、取引装置の種類によっては通帳発行できないものもあり、その場で、通帳発行できないケースが生じ得る。
【0305】
例えば、コンビニエンスストアの店舗や駅等に設置されている取引装置などのように、取引装置の種類によっては通帳発行できないものがあったり、カードのみ対応のものなどがある。また、顧客によっては、有通帳口座への切り替え(切り戻し)の意思はあるが、通帳発行には時間がかかる可能性もあるので、別のタイミング又は別の装置で通帳発行を希望するようなこともある。
【0306】
そこで、第8の実施形態では、ある取引装置で有通帳口座への切り戻し操作を実施して、通帳発行制限や通帳発行不可等の場合に、別の機器(例えば、別の取引装置や通帳発行機等)と連携して、別の機器で通帳発行できるようにする。
【0307】
(H-1)第8の実施形態の構成
図23は、第8の実施形態に係る取引システムの構成と、取引装置の内部構成を示す構成図である。
【0308】
通帳発行装置60は、取引装置10Bとは別の装置であり、例えば、通帳記帳や通帳発行等を行なう通帳処理機、通帳発行機能を有する取引装置(例えばATM等)などを適用できる。通帳発行装置60は、基本的には、後述する取引装置10Bの制御部1と同等の機能、若しくは、後述する制御部1の一部機能を有する。通帳発行装置60における各種処理の詳細な説明は動作の項で行なう。
【0309】
取引装置10Bは、第1~第4、第7の実施形態の取引装置10、10Aと同様に、金融機関やコンビニエンスストアの店舗等に設置されている取引装置とすることができる。取引装置10Bは、通帳発行機能を備えない装置であってもよいし、勿論、通帳発行機能を備える装置であってもよい。
【0310】
図23において、取引装置10Bは、制御部1、通帳処理部2、カード処理部3、明細票処理部4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、記憶部7、通信部8を有する。なお、通帳処理部2、カード処理部3、明細票処理部4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、記憶部7、通信部8は、第1~第4の実施形態で説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0311】
図23において、取引装置10Bの制御部1は、有通帳口座切替選択・案内処理部1f、有通帳口座切替可否照会部1g、有通帳口座切替実行部1h、有通帳口座新規通帳発行処理部1j、有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kを有する。
【0312】
有通帳口座切替選択・案内処理部1fは、操作表示部17に、有通帳口座への切り替え案内を示す有通帳口座切替案内画面を表示し、有通帳口座切替案内画面上で、顧客により有通帳口座への切り替えを受け付ける手段である。
【0313】
有通帳口座切替可否照会部1gは、顧客により有通帳口座への切り替え選択を受けると、当該顧客が有通帳口座への切替えの対象か否かの照会をホストサーバ20と通信し、ホストサーバ20からの応答により、有通帳口座への切り替え可否の照会結果を判定する手段である。
【0314】
有通帳口座切替実行部1hは、有通帳口座への切り替え実行をホストサーバ20と通信し、実行成立応答により通帳の新規発行または通帳発行手続き処理へ移行する手段である。
【0315】
有通帳口座新規通帳発行処理部1jは、有通帳口座への切り替えによる新規通帳発行として通帳の繰り出しを行い、新規通帳発行通信により通帳表紙/見開き/明細の印字を行い、通帳発行処理を行う手段である。
【0316】
有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、有通帳口座への切り替え実行をホストサーバ20と通信し、実行成立応答にて新規通帳発行が許可された情報から、ホストサーバ20にて生成された有通帳口座新規通帳発行用ID(確認番号)を顧客へ通知する手段である。
【0317】
また、有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、通帳発行可能な他の取引装置10Bでの新規通帳発行を連携する手段である。
【0318】
(H-2)第8の実施形態の動作
(H-2-1)取引装置10Bにおける処理
図24は、第8の実施形態に係る取引装置10Bにおける処理動作を示すフローチャートである。
【0319】
[S800~S803]
取引装置10Bでは、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S800)。
【0320】
例えば、
図25(A)に例示する取引選択メニュー画面700は、有通帳口座への切替及び又は通帳発行の取引処理をする「有通帳口座への切替・通帳発行」ボタン701がある。
【0321】
図25(A)の取引選択メニュー画面500上で、顧客により「有通帳口座への切替・通帳発行」ボタン701が選択されると(S801)、顧客に対してカード挿入を促す画面(カード挿入画面)が操作表示部17に表示され、顧客によりカードがカード入出口13に挿入される(S802)。カード処理部3により読み取られたカード情報は制御部1に与えられる。
【0322】
さらに、暗証番号の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で、顧客により暗証番号が入力される(S803)。入力された暗証番号は、制御部1に与えられる。
【0323】
[S804~S806]
取引装置10Bでは、有通帳口座切替選択・案内処理部1fが、ホストサーバ20との間で有通帳口座切替照会通信を行なう(S804)。
【0324】
このとき、有通帳口座切明選択・案内処理部1fは、例えば、金融機関コード、支店コード、口座名義人氏名、口座番号等のカード情報と、暗証番号と、有通帳口座への切替要求等を含む電文をホストサーバ20に送信して、ホストサーバ20に対して有通帳口座への切替が可能な否かを確認させる。
【0325】
ホストサーバ20では、電文に含まれている情報に基づいて、顧客の口座を有通帳口座に切り替え可能であるか否かを確認して、応答電文を取引装置10Bに返信する。例えば、
図26に例示する顧客情報211Aに、通帳有無フラグを参照して、当該顧客の口座が無通帳口座であるとき、ホストサーバ20は、有通帳口座への切り替え対象と判断して、照会成立の旨の応答電文を返信する。他方、無通帳口座でないとき、ホストサーバ20は照会不成立の旨の応答電文を返信するようにしてもよい。
【0326】
ホストサーバ20からの応答電文を受信した取引装置10Bでは、有通帳口座切替可否照会部1gが、応答電文に基づいて照会成立か否かを判断する(S805)。そして、照会不成立のとき(S805/不成立)、カードを返却して(S806)、処理を終了する。他方、照会成立のとき(S805/成立)、S807に移行する。
【0327】
[S807~S809]
照会成立のとき、例えば
図25(B)に例示する有通帳口座変更案内画面710が操作表示部17に表示される(S807)。
【0328】
図25(B)に例示するように、有通帳口座変更案内画面710には、口座の種類を有通帳口座に変更すること、新しい通帳を発行すること等の案内が表示されており、顧客が有通帳口座への切替を希望するときには、確認ボタン711が選択され(S808/確認)、S810に移行する。他方、希望しないときには、取消ボタン712が選択され(S808/取消)、カードが返却されて(S809)、処理が終了する。
【0329】
[S810]
S810では、有通帳口座切替実行部1hが、通帳発行が可能であるか判断し(S810)、通帳発行に制限がある、若しくは、通帳発行不可と判断したときには、S830に移行して、新規通帳発行連携処理が行なわれる。他方、通帳発行可能であると判断したとき、S811に移行する。
【0330】
[S811~S821]
S811~S821の処理は、取引装置10Bにおいて、有通帳口座への切替により、新規通帳が発行される場合の処理を示している。
【0331】
S810において通帳発行が可能であるとき、有通帳口座切替実行部1hは、ホストサーバ20との間で有通帳口座切替実行の電文を送受信して、有通帳口座切替実行処理を行ない(S811)、有通帳口座切替実行部1hは、
図25(C)に例示する有通帳口座の処理中画面720を表示する(S812)。
【0332】
ホストサーバ20から応答電文が返信され、有通帳口座切替実行が成立すると、取引装置10Bでは、新規通帳発行の準備のため、通帳処理部2が新規通帳を繰り出す(S813)。
【0333】
有通帳口座新規通帳発行処理部1jは、ホストサーバ20との間で新規通帳発行の電文を送受信して(S814)、新規通帳に印字する情報を取得し、通帳処理部2が、新規通帳の表紙と見開きに印字する(S815)。
【0334】
また、有通帳口座新規通帳発行処理部1jは、ホストサーバ20との間で新規通帳に記帳する記帳情報の電文を送受信し(S816)、通帳処理部2が、新規通帳に記帳情報(通帳明細)を印字する(S817)。
【0335】
そして、通帳に印字すべき情報を印字して、新規通帳の発行が完了すると、
図25(D)に例示する有通帳口座への切替完了案内画面730が操作表示部17に表示され(S818)、通帳処理部2が通帳の記録媒体(磁気ストライプMS)に通帳情報を格納し、通帳が排出される(S819)。その後、カードが排出されて(S820)、処理が終了する(S821)。
【0336】
[S830~S834、S821]
S830~S834、S821の処理は、取引装置10Bにおいて、新規通帳が発行されない場合の処理である。
【0337】
S810において、通帳発行制限がある若しくは通帳発行不可であると判断されると、新規通帳発行連携処理が実施される(S830)。
【0338】
つまり、S810において通帳発行制限がある若しくは通帳発行不可であると判断されると、
図25(C)に例示する有通帳口座の処理中画面720が表示され、有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、ホストサーバ20との間で有通帳口座切替実行の電文を送受信して、有通帳口座切替実行処理を行なう(S831)。
【0339】
ここで、有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、ホストサーバ20に対して、通帳発行制限があること若しくは通帳発行不可であり、通帳発行用ID(以下では、「通帳発行番号」若しくは「確認番号」とも呼ぶ。)の発行要求をする。
【0340】
ホストサーバ20では、取引装置10Bからの要求を受けて、通帳発行用ID(確認番号)を発行し、その通帳発行用IDを含む応答電文を、取引装置10Bに返信する。
【0341】
ここで、通帳発行用ID(確認番号)は、無通帳口座から有通帳口座への切替処理は実施したが、通帳を発行していないため、その後に発行する新規通帳を識別する情報である。換言すると、通帳発行用ID(確認番号)は、有通帳口座への切替が完了した顧客が、その後に通帳発行するときに必要となる識別情報といえる。これにより、当該取引装置10B、又は別の通帳発行装置60、又は金融機関の窓口などで、顧客が通帳発行する際に、当該通帳発行ID(確認番号)を入力又は提示することで、新規通帳を発行することができる。
【0342】
なお、ホストサーバ20が発行した通帳発行用ID(確認番号)は、
図26に例示するように、顧客情報221Aに関連付けて記憶する。
【0343】
有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、ホストサーバ20からの応答電文に含まれている通帳発行用IDを取得すると(S831)、明細票処理部4が、通帳発行用IDを明細票に印字する(S832)。
【0344】
そして、
図27(A)に例示する有通帳口座への切替完了案内画面740が操作表示部17に表示される(S833)。例えば、
図27(A)の有通帳口座への切替完了案内画面740には、新規通帳発行の確認番号を記載した明細票を発行したこと、その後、新規通帳を発行するために、通帳発行機能付きATM、又は、通帳繰越機で手続きするか、もしくは、窓口で手続きすべきこと等を含む内容が案内される。
【0345】
その後、明細票、カードが排出されて(S834)、処理が終了する(S821)。
図27(B)は、第8の実施形態の通帳発行用IDが印字された明細票の構成例を示す構成図である。
図27(B)に例示するように、明細票800には、新規通帳を発行するための通帳発行番号(通帳発行用ID)801が表示される。また、
図27(B)に例示するように、通帳発行用IDに基づいて作成された二次元コード802を印字するようにしてもよい。
【0346】
(H-2-2)通帳発行装置60における新規通帳の発行処理
図28は、第8の実施形態において、通帳発行装置60で新規通帳を発行する処理動作を示すフローチャートである。
【0347】
[S840~S843]
通帳発行装置60では、制御部1の制御により、顧客待ち画面(取引選択メニュー画面)が操作表示部17に表示される(S840)。
【0348】
既に有通帳口座への切替を行なったが、新規通帳の発行をしていない顧客は、例えば、
図25(A)の取引選択メニュー画面500上で、「有通帳口座への切替・通帳発行」ボタン701を選択する(S841)。
【0349】
そして、カード挿入画面が操作表示部17に表示され、顧客によりカードがカード入出口13に挿入され(S842)、さらに暗証番号の入力画面が操作表示部17に表示され、当該入力画面上で、顧客により暗証番号が入力される(S844)。
【0350】
[S844]
通帳発行装置60では、有通帳口座切替選択・案内処理部1fが、ホストサーバ20との間で有通帳口座切替照会通信を行なう(S804)。
【0351】
このとき、有通帳口座切明選択・案内処理部1fは、例えば、金融機関コード、支店コード、口座名義人氏名、口座番号等のカード情報と、暗証番号と、有通帳口座への切替要求等を含む電文をホストサーバ20に送信して、ホストサーバ20に対して有通帳口座への切替が可能な否かを確認させる。
【0352】
ホストサーバ20は、受信した電文に含まれている情報に基づいて、記憶装置21の顧客情報211Aを参照して、当該顧客は、有通帳口座への切替済みであるが、新規通帳の発行が未済であることを確認する。したがって、ホストサーバ20は、「切替済み新規通帳発行指示」を含む応答電文を、通帳発行装置60に返信する。
【0353】
ホストサーバ20からの応答電文を受信した通帳発行装置60では、有通帳口座切替可否照会部1gが、応答電文に基づいて「切替済み新規通帳発行指示」が成立しているか否かを判断する(S845)。そして、不成立のとき(S845/不成立)、カードを返却して(S846)、処理を終了する。他方、成立のとき(S845/成立)、S847に移行する。
【0354】
[S847]
S847では、有通帳口座切替実行部1hが、通帳発行が可能であるか判断し(S847)、通帳発行に制限がある、若しくは、通帳発行不可と判断したときには、通帳を発行できないので、カードを返却して(S846)、処理は終了する。他方、通帳発行可能であると判断したとき、S848に移行する。
【0355】
[S848]
当該他の装置60において通帳発行可能の場合、有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、新規通帳を発行するために、
図29に例示する通帳発行用ID(確認番号)の入力画面を操作表示部17に表示し、当該入力画面上で、顧客により、通帳発行用ID(確認)の入力を受け付ける(S848)。
【0356】
[S849、S850]
有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、
図29の入力画面で入力された通帳発行用IDを含む有通帳口座切替実行電文をホストサーバ20に送信して、有通帳口座切替実行処理を行なう(S849)。有通帳口座新規通帳発行連携処理部1kは、
図25(C)に例示する有通帳口座の処理中画面720を表示する(S850)。
【0357】
ホストサーバ20は、受信した電文に含まれている通帳発行用IDに基づいて、記憶装置21から対応する顧客情報211Aを取得して、通帳発行用IDの照合を行なう。そして、通帳発行用IDが正当であるときには、有通帳口座の通帳発行を実行する旨の応答電文を他の装置60に返信する。
【0358】
なお、通帳発行用IDが正当でないときには、その旨(エラー)の応答電文を他の装置60に返信するようにしてもよい。
【0359】
[S850~S859]
ホストサーバ20から応答電文が返信され、有通帳口座切替実行が成立すると、取引装置10Bでは、新規通帳発行の準備のため、通帳処理部2が新規通帳を繰り出す(S851)。
【0360】
有通帳口座新規通帳発行処理部1jは、ホストサーバ20との間で新規通帳発行の電文を送受信して(S852)、新規通帳に印字する情報を取得し、通帳処理部2が、新規通帳の表紙と見開きに印字する(S853)。
【0361】
また、有通帳口座新規通帳発行処理部1jは、ホストサーバ20との間で新規通帳に記帳する記帳情報の電文を送受信し(S854)、通帳処理部2が、新規通帳に記帳情報(通帳明細)を印字する(S855)。
【0362】
そして、通帳に印字すべき情報を印字して、新規通帳の発行が完了すると、
図25(D)に例示する有通帳口座への切替完了案内画面730が操作表示部17に表示され(S856)、通帳処理部2が通帳の記録媒体(磁気ストライプMS)に通帳情報を格納し、通帳が排出される(S857)。その後、カードが排出されて(S858)、処理が終了する(S859)。
【0363】
(H-3)第8の実施形態の効果
以上のように、第8の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0364】
第8の実施形態によれば、一旦、無通帳口座で口座開設をしたが、やはり通帳を希望する顧客のために、有通帳口座へ切替えて通帳発行することを取引装置での取引操作で対応することより、窓口での対応の手間や窓口営業時間による制約が無く切替えが可能となり、利便性の向上が図られる。
【0365】
第8の実施形態によれば、金融機関の店舗窓口での対応が取引装置へシフトできることにより、窓口業務の職員の負荷が軽減できる。
【0366】
第8の実施形態によれば、通帳発行が制限されたATMや通帳発行不可のATMにおいて、別の通帳発行可能なATMや通帳記帳繰越機と連携する仕組みを設けることで有通帳口座への切替えを受付けることができ、顧客利便性を高めることができる。
【0367】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例は、例えば以下に示す通りである。
【0368】
各実施形態のうち少なくとも一の実施形態に記載の取引装置には、例えば、通帳処理部2および通帳入出口12が備わる場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、取引装置には、例えば、上記通帳処理部2および通帳入出口12が備わらない場合でもよい。
【0369】
また、各実施形態のうち少なくとも一の実施形態に記載の取引装置には、例えば、硬貨入出金部6及び硬貨入出口16が備わる場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、取引装置には、例えば、上記硬貨入出金部6及び硬貨入出口16が備わらない場合でもよい。
【0370】
また、各実施形態に記載の各構成要素の一部を組合せ/省略しても良く、各実施形態のうち少なくとも一の実施形態の各構成要素のうち少なくとも一部を省略してもよく、各実施形態のうち一の実施形態の各構成要素のうち少なくとも一部を、他の実施形態の構成要素と置き換えて又は新たな構成要素として追加してもよい。
【符号の説明】
【0371】
9及び9A…取引システム、10、10A、10B…取引装置、11…筐体、12…通帳入出口、13…カード入出口、14…明細票排出口、15…紙幣入出口、16…硬貨入出口、17…操作表示部、
20…ホストサーバ、21…記憶装置、211及び211A…顧客情報、
30…情報処理端末、40…サーバ、401…履歴発生通知部、402…WEB通帳情報通知部、403…通帳発行番号設定部、404…履歴情報通知部、405…登録情報連携部、41…登録情報DB、411…登録情報、
60…通帳発行装置、90…通帳発行装置、901…通帳発行番号取得部、902…履歴情報取得部、903…通帳発行部、
1…制御部、2…通帳処理部、3…カード処理部、4…明細票処理部、5…紙幣入出金部、6…硬貨入出金部、7…記憶部、8…通信部、
1a…手数料照会処理部、1b…無通帳口座申込指示判定部、1c…無通帳口座申込案内部、1d…無通帳口座申込選択処理部、1e…無通帳切替後取引処理部、1f…有通帳口座切替選択・案内処理部、1g…有通帳口座切替可否照会部、1h…有通帳口座切替実行部、1j…有通帳口座新規通帳発行処理部、1k…有通帳口座新規通帳発行連携処理部。