(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】トナー補給装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G03G15/08 321B
G03G15/08 343
(21)【出願番号】P 2020194491
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154279(JP,A)
【文献】特開2019-200229(JP,A)
【文献】特開2015-081990(JP,A)
【文献】特開2020-020888(JP,A)
【文献】特開2013-007861(JP,A)
【文献】特開2018-010024(JP,A)
【文献】特開平09-120210(JP,A)
【文献】特開2017-187671(JP,A)
【文献】米国特許第06100601(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0103693(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像器に対してトナーを補給するトナー補給装置であって、
前記現像器に補給されるトナーが収容されたトナーコンテナと、
前記トナーコンテナ内のトナー残量に応じた透磁率を検知する透磁率センサーと、を備え、
前記トナーコンテナは、螺旋状の搬送リブが内周面に形成された筒状の回転容器と、前記回転容器の内周面に摺接可能に設けられたパドルと、を有し、
前記透磁率センサーは、
前記回転容器の回転軸方向にて前記パドルの接触位置と同じ位置かつ、前記回転容器の回転方向にて前記パドルの接触位置の上流側に隣接した位置でトナー残量に応じた透磁率を検知することを特徴とするトナー補給装置。
【請求項2】
前記透磁率センサーの検知結果からエンプティ状態を推定する推定部を備え、
前記推定部は、前記透磁率センサーの検知結果からLow状態を検知する検知部と、Low状態が検知されてからのトナー消費量を累積する累積部と、トナー消費量の累積値からエンプティ状態を判定する判定部と、を有し、
前記判定部が、トナー消費量の累積値が判定閾値よりも大きな場合にエンプティ状態と判定し、トナー消費量の累積値が判定閾値以下の場合にLow状態と判定することを特徴とする
請求項1に記載のトナー補給装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載のトナー補給装置と、
前記トナー補給装置によって検知されたトナー残量を報知する報知部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のトナー補給装置として、現像器内のトナー残量をセンサーで予測して、トナーコンテナら現像器への補給量を決定する方式と、現像器がセンサーを持たずに、トナーコンテナから現像器に常にトナーを補給する方式を採用したものが存在する。後者のトナー補給装置には、螺旋状の搬送リブが内周面に形成されたトナーコンテナが用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のトナーコンテナ内のトナー残量を検知するために、トナーコンテナが搭載される画像形成装置側に透磁率センサー等の残量センサーが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度や湿度等の外部環境の変化によってトナーコンテナ内のトナーの流動性が変化して、残量センサーによるトナー残量の検知精度が悪化するという不具合があった。
【0005】
そこで、本発明は、外部環境の変化によるトナー残量の検知精度の悪化を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のトナー補給装置は、現像器に対してトナーを補給するトナー補給装置であって、前記現像器に補給されるトナーが収容されたトナーコンテナと、前記トナーコンテナ内のトナー残量を検知する残量センサーと、を備え、前記トナーコンテナは、螺旋状の搬送リブが内周面に形成された筒状の回転容器と、前記回転容器の内周面に摺接可能に設けられたパドルと、を有し、前記残量センサーは、トナー搬送方向にて前記パドルの接触位置以前の上流側でトナー残量を検知している。
【0007】
前記トナー補給装置において、前記残量センサーは、前記回転容器の回転軸方向にて前記パドルの接触位置と同じ位置かつ、前記回転容器の回転方向にて前記パドルの接触位置の上流側に隣接した位置でトナー残量を検知している。
【0008】
前記トナー補給装置において、前記残量センサーの検知結果からエンプティ状態を推定する推定部を備え、前記推定部は、前記残量センサーの検知結果からLow状態を検知する検知部と、Low状態が検知されてからのトナー消費量を累積する累積部と、トナー消費量の累積値からエンプティ状態を判定する判定部と、を有し、前記判定部が、トナー消費量の累積値が判定閾値よりも大きな場合にエンプティ状態と判定し、トナー消費量の累積値が判定閾値以下の場合にLow状態と判定している。
【0009】
本発明の一態様の画像形成装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトナー補給装置と、前記トナー補給装置によって検知されたトナー残量を報知する報知部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転容器の回転によって、トナーコンテナ内のトナーが螺旋状の搬送リブに沿って現像器に向けて搬送される。パドルの先端が搬送リブを乗り越えながら回転容器の内周面に摺接し、パドルによってトナーが回転容器の内周面に付着したトナーの流動性の変化が抑えられる。トナーの流動性の変化が抑えられた状態で、残量センサーによってトナー残量が検知されることで、外部環境の変化に起因した残量センサーの検知結果のバラツキが小さくなる。よって、外部環境の変化に関わらず、残量センサーによってトナーコンテナ内のトナー残量を精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本実施形態のトナーコンテナの斜視図である。
【
図3】本実施形態のトナー補給装置の断面模式図である。
【
図4】本実施形態のエンプティ状態の推定処理を示すフローチャートである。
【
図5】回転方向におけるパドルと残量センサーの位置関係を示す図である。
【
図6】残量センサーのLow検知枚数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の表示装置を適用した画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、画像形成装置としてプリンターを例示して説明する。
図1は、本実施形態のプリンターの模式図である。各図に適宜付される矢印Fr、Re、U、Lo、L、Rは、それぞれプリンターの前側、後側、上側、下側、左側、右側を示している。
【0013】
図1に示すように、プリンター1は、各種機器が収容された箱型形状のハウジング10を備えている。ハウジング10の下部にはシート束がセットされる給紙カセット11が収容され、ハウジング10の上部には画像形成済みのシートが積み重ねられる排紙トレイ12が設けられている。排紙トレイ12の下方にはトナーが収容されたトナーコンテナ13がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)毎に着脱可能にセットされている。複数のトナーコンテナ13の下方には、左右一対のローラー14、15に掛け渡された中間転写ベルト16が設けられている。
【0014】
中間転写ベルト16の下側に沿って、トナーの色毎に画像形成部17が左右一列に設けられている。各画像形成部17には中間転写ベルト16に転接する感光体ドラム21が回転可能に設けられており、感光体ドラム21の周囲には帯電器22と、現像器23と、一次転写部24と、クリーニング装置25と、徐電器26とが一次転写のプロセス順に配置されている。クリーニング装置25には廃トナーボックス(不図示)が接続されている。各現像器23には不図示の供給路を通じてトナーコンテナ13からトナーが供給され、廃トナーボックスには不図示の排出路を通じて各クリーニング装置25から廃トナーが排出される。
【0015】
各画像形成部17の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)によって構成される露光装置18が設けられている。ハウジング10内の右側部には、複数のローラーによって給紙カセット11から排紙トレイ12に向かうシートの搬送経路Lが形成されている。搬送経路Lの上流側(下側)には給紙部31が設けられ、搬送経路Lにおいて給紙部31よりも下流側には中間転写ベルト16の右端側に二次転写部32が設けられている。搬送経路Lにおいて二次転写部32の下流側には定着装置33が設けられ、搬送経路Lの下流端側(上側)には排紙口34が設けられている。
【0016】
プリンター1の画像形成時には、帯電器22によって感光体ドラム21の表面が帯電された後、露光装置18からのレーザー光によって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。次に、現像器23から感光体ドラム21の表面の静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成され、感光体ドラム21の表面から中間転写ベルト16の表面にトナー像が一次転写される。各画像形成部17において各色のトナー像が中間転写ベルト16に一次転写されることで、中間転写ベルト16の表面にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム21に残留した廃トナーと電荷は、クリーニング装置25と徐電器26によって除去される。
【0017】
一方で、給紙部31によって給紙カセット11又は手差しトレイ(不図示)からシートが取り込まれ、上記の画像形成動作にタイミングを合わせて二次転写部32に向けてシートが搬送される。二次転写部32において中間転写ベルト16の表面からシートの表面にフルカラーのトナー像が二次転写され、二次転写部32の下流の定着装置33に向けて転写済みのシートが搬送される。定着装置33においてシートにトナー像が定着され、定着済みのシートが排紙口34から排紙トレイ12上に排出される。このように、シートに転写されたトナー像が定着装置33を通過することによってシートの表面に画像が形成される。
【0018】
本実施形態のプリンター1には、スクリュー搬送式のトナーコンテナ(不図示)ではなく、螺旋状の搬送リブが形成されたトナーコンテナ13が搭載されている。スクリュー搬送式のトナーコンテナには、固定容器の内側にスクリューと撹拌パドルが回転可能に設置されており、スクリューと撹拌パドルの回転によってトナーが撹拌されながら搬送されている。一方で、本実施形態のトナーコンテナ13は、回転容器の内周面に搬送リブが形成されており、回転容器が回転することで搬送リブによってトナーが撹拌されながら搬送されている。
【0019】
ところで、プリンター1には、トナーコンテナ13内のトナー残量を検知するために残量センサー19が設けられている。プリンター1の設置場所の温度や湿度等の外部環境が変化すると、トナーコンテナ13内のトナーの流動性が変化して残量センサー19の検知精度が悪化するおそれがある。スクリュー搬送式のトナーコンテナのように、固定容器の内周面全域に接触可能な撹拌パドルが回転可能に設けられていれば、固定容器の内周面にパドルの先端が摺接して、余分なトナーが掻き取られると共に残ったトナーに外力が付与されて、トナーの流動性の変化を抑えた状態でトナー残量を検知できる。
【0020】
そこで、本実施形態のトナーコンテナ13には、トナーの流動性の変化を抑えるためのパドルが設けられ、パドルの接触位置付近で残量センサー19によってトナーコンテナ13のトナー残量が検知される。これにより、トナーの流動性の変化が抑えられた状態で、残量センサー19によってトナーコンテナ13内のトナー残量が検知される。よって、外部環境の変化に関わらず、残量センサー19によってトナーコンテナ13内のトナー残量を精度よく検知して、トナー残量をユーザーに報知することでトナーコンテナ13の交換作業等を促すことができる。
【0021】
図2及び
図3を参照して、トナー補給装置について説明する。
図2は、本実施形態のトナーコンテナの斜視図である。
図3は、本実施形態のトナー補給装置の断面模式図である。ここでは、ブラックのトナーコンテナを例示しているが、マゼンタ、シアン、イエローのトナーコンテナも同様な構成である。
【0022】
図2に示すように、トナーコンテナ13の回転容器41は前後方向に長い円筒状に形成されている。回転容器41の外周面は、回転軸方向の中央位置の段差42を境にして、一端側(前側)の略半部よりも他端側(後側)の略半部が一段低く形成されている。回転容器41の一端面から回転軸方向の一方に断面視逆円錐台状のシャフト部43が突き出し、回転容器41の他端面から回転軸方向の他方に円筒状のネック部44が突き出している。回転容器41の外周面が溝状に凹んで、回転容器41の内周面からネック部44の内周面にかけて螺旋状の搬送リブ45が形成されている。
【0023】
トナーコンテナ13のネック部44の外周面には伝達ギア46が装着されており、伝達ギア46には動力伝達機構を介して駆動源(不図示)が接続されている。ネック部44の一端側は開口しており、この開口はシール部材(不図示)を介して容器蓋47によって覆われている。このとき、伝達ギア46はネック部44に対して一体回転可能に連結されており、容器蓋47はネック部44に対して空転可能に接触されている。容器蓋47の下面には現像器23に向けたトナーの補給口が形成されており、容器蓋47の下部には補給口を開閉するシャッター部材48が設けられている。
【0024】
図3に示すように、容器蓋47には回転容器41内に突き出した支持シャフト51が固定されている。支持シャフト51はトナーコンテナ13の回転軸上で容器蓋47から一端側に延びており、支持シャフト51の先端にはトナーを回転容器41の内周面に摺接するパドル52が固定されている。パドル52は、可撓性を持った樹脂製フィルムで形成され、支持シャフト51から回転容器41の内周面に向かって広がっている。回転容器41の内周面から搬送リブ45が突き出しているが、パドル52の先端が撓んで搬送リブ45を乗り越えながら回転容器41の内周面に接触している。
【0025】
このようなトナーコンテナ13の他に、トナー補給装置40には、トナーコンテナ13内のトナー残量を検知する残量センサー19と、残量センサー19の検知結果からエンプティ状態を推定する推定部55が設けられている。残量センサー19としては、トナーコンテナ13内のトナーのかさ密度、すなわちトナー残量に応じた透磁率を検知する透磁率センサーが用いられる。残量センサー19によって透磁率が検知され、検知結果に相当する電圧値が残量センサー19から推定部55に出力される。残量センサー19は、パドル52によるトナーの接触位置付近でトナー残量を検知している。
【0026】
より詳細には、残量センサー19は、回転容器41の回転軸方向にてパドル52の接触位置と同じ位置かつ、回転容器41の回転方向にてパドル52の接触位置の上流側に隣接した位置でトナー残量を検知している(
図5の配置例3参照)。残量センサー19の検知位置付近では、パドル52によって余分なトナーが掻き取られると共にトナーに外力が付与されて、温度や湿度等の外部環境に起因したトナーの流動性の変化が抑えられている。これにより、残量センサー19の検知結果のバラツキが小さくなって、トナーコンテナ13内のトナー残量を精度よく検知することが可能になっている。
【0027】
推定部55には、残量センサー19の検知結果からLow状態を検知する検知部56と、Low状態が検知されてからのトナー消費量を累積する累積部57と、トナー消費量の累積値からエンプティ状態を判定する判定部58とが設けられている。Low状態とは、トナーコンテナ13内のトナー残量が規定量よりも少ないが、エンプティ状態よりもトナー残量が多い状態である。エンプティ状態とは、トナーコンテナ13内にトナーが残っていない状態である。本実施形態では、印字率5%で、Low状態からの印刷可能枚数が500枚に設定され、エンプティ状態からの印刷可能枚数が0枚に設定されている。
【0028】
検知部56にはLow状態に対応した検知閾値が設定されている。残量センサー19から検知閾値未満の電圧値が出力されると、トナーコンテナ13内のトナー量のLow状態が検知される。累積部57によって印字率と印刷枚数からトナー消費量が算出されて、Low状態の検知後のトナー消費量が累積される。判定部58にはエンプティ状態に対応した判定閾値が設定されている。トナー消費量の累積値が判定閾値よりも大きな場合にはトナー残量がエンプティ状態と判定され、トナー消費量の累積値が判定閾値以下の場合にはトナー残量がLow状態と判定される。
【0029】
このようなトナー補給装置40では、駆動源の駆動力が伝達ギア46に伝わって伝達ギア46と共に回転容器41が一体回転される。回転容器41が回転することで、螺旋状の搬送リブ45に沿ってトナーが撹拌されながら一端側から他端側の供給口に向けて搬送される。このとき、パドル52が停止した状態で回転容器41が回転されて、パドル52によってトナーの流動が抑えられた状態で、残量センサー19によってトナー残量が検知される。そして、推定部55によってエンプティ状態かLow状態かが推定されて、プリンター1に設けられたディスプレイ等の報知部59によって推定結果がユーザーに報知される。
【0030】
なお、推定部55の各部は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0031】
図4を参照して、トナーコンテナのエンプティ状態の推定処理について説明する。
図4は、本実施形態のエンプティ状態の推定処理を示すフローチャートである。なお、
図4では、
図3の符号を適宜使用して説明する。
【0032】
図4に示すように、印刷が開始されると(ステップS01)、残量センサー19から検知部56に電圧値が出力されて、検知部56に回転容器41の1回転毎の最大電圧値Vmaxが取得される(ステップS02)。次に、検知部56によって最大電圧値Vmaxが検知閾値Vth未満か否かが判定される(ステップS03)。最大電圧値Vmaxが検知閾値Vth以上の場合(ステップS03でNo)、印刷が終了するまでステップS02、S03の処理が繰り返される(ステップS04でNo)。印刷が終了すると(ステップS04でYes)、プリンター1のディスプレイにReadyが表示される(ステップS05)。
【0033】
一方で、最大電圧値Vmaxが検知閾値Vth未満の場合(ステップS03でYes)、累積部57によって印字率と印刷枚数から求めたトナー消費量が累積される(ステップS06)。次に、トナー消費量の累積値Nが判定閾値Nthよりも大きいか否かが判定される(ステップS07)。トナー消費量の累積値Nが判定閾値Nth以下の場合(ステップS07でNo)、印刷が終了するまでステップS06、S07の処理が繰り返される(ステップS08でNo)。印刷が終了すると(ステップS08でYes)、プリンター1のディスプレイにLowが表示される(ステップS09)。
【0034】
そして、トナー消費量の累積値Nが判定閾値Nthよりも大きな場合(ステップS07でYes)、印刷が停止されてプリンター1のディスプレイにEmptyが表示される(ステップS10)。このように、印刷終了時に、トナーコンテナ13のトナー残量に余裕があるときにディスプレイにReadyが表示され、トナーコンテナ13のトナー残量が少なくなったときにディスプレイにLowが表示される。また、トナーコンテナ13のトナー残量がゼロになったときにディスプレイにEmptyが表示される。ユーザーに対してトナーコンテナ13がエンプティ状態かLow状態かを認識させることができる。
【0035】
図5及び
図6を参照して、残量センサーの検知精度について説明する。
図5は、回転方向におけるパドルと残量センサーの位置関係を示す図である。
図6は、残量センサーのLow検知枚数を示すグラフである。なお、
図5では、回転軸方向にて残量センサーとパドルが同じ位置に位置付けられている。
【0036】
図5及び
図6に示すように、パドルと残量センサーの位置関係が異なる配置例1-3について、温湿度条件を変化させたときのトナー残量を比較した。配置例1のトナーコンテナ13Aにはパドルが設けられておらず、残量センサー19Aがパドルとは無関係に配置されている。配置例2のトナーコンテナ13Bでは、回転方向にてパドル52Bの接触位置から下流側に離れた位置に残量センサー19Bが配置されている。配置例3のトナーコンテナ13Cでは、回転方向にてパドル52Cの接触位置の上流側に隣接した位置に残量センサー19Cが配置されている。
【0037】
温湿度条件としては、温度10℃で湿度10%の低温低湿環境、温度23℃で湿度50%の通常環境、温度28℃で湿度80%の高温高湿環境の3つの温湿度環境を再現した。また、通常環境にて、印字率5%で、トナーがエンプティ状態になる最大印刷枚数7200枚の500枚前(6800枚)でトナーのLow状態が検知されるように検知部56(
図4参照)の検知閾値を設定した。そして、配置例1-3のトナーコンテナ13A-13Cについて、それぞれ温湿度条件を変えて、印刷が開始されてからLow状態が検知されるまでの印刷枚数を評価した。
【0038】
この結果、配置例1のトナーコンテナ13Aでは、低温低湿環境では約6400枚でLow状態が検知され、高温高湿環境では約7000枚でLow状態が検知された。これは、低温低湿環境ではトナーコンテナ13Aの内周面からトナーが離れ易い分だけLow状態の検知が早まり、高温高湿環境ではトナーコンテナ13Aの内周面にトナーが残り易い分だけLow状態の検知が遅れることを示している。このように、トナーコンテナ13Aでは、温湿度条件の変化によってトナーの流動性が大きく変化して、残量センサー19AのLow状態の検知精度が低くなっている。
【0039】
これに対して、配置例2のトナーコンテナ13Bでは、低温低湿環境では約6500枚でLow状態が検知され、高温高湿環境では約6900でLow状態が検知された。これは、低温低湿環境ではパドル52Bによってトナーがトナーコンテナ13Bの内周面にため込まれ、高温高湿環境ではパドル52Bによってトナーコンテナ13Bの内周面から余分なトナーが掻き取られるからである。このように、温湿度条件の変化によるトナーの流動性の変化が抑えられ、残量センサー19Bの検知位置付近のトナー密度が一定に近づけられて、残量センサー19BのLow状態の検知精度が向上される。
【0040】
さらに、配置例3のトナーコンテナ13Cでは、低温低湿環境及び高温高湿環境でのLow状態の検知枚数が更に近づけられている。これは、パドル52Cの接触位置付近に残量センサー19Cが配置され、残量センサー19C付近でパドル52Cによってトナーがため込まれると共に、残量センサー19C付近の余分なトナーがパドル52Cによって掻き取られるからである。このように、残量センサー19C付近で温湿度条件の変化によるトナーの流動性の変化が抑えられ、残量センサー19Cの検知位置付近のトナー密度がより一定に近づけられて、残量センサー19CのLow状態の検知精度が向上される。
【0041】
以上、本実施形態によれば、回転容器41の回転によって、トナーコンテナ13内のトナーが螺旋状の搬送リブ45に沿って現像器23に向けて搬送される。パドル52の先端が搬送リブ45を乗り越えながら回転容器41の内周面に摺接し、パドル52によってトナーが回転容器41の内周面に付着したトナーの流動性の変化が抑えられる。トナーの流動性の変化が抑えられた状態で、残量センサー19によってトナー残量が検知されることで、外部環境の変化に起因した残量センサー19の検知結果のバラツキが小さくなる。よって、外部環境の変化に関わらず、残量センサー19によってトナーコンテナ13内のトナー残量を精度よく検知することができる。
【0042】
また、本実施形態のトナー補給装置40がプリンター1に設置されることで、トナー残量をユーザーに報知して、トナーコンテナ13の交換作業や準備を促すことができる。
【0043】
なお、本実施形態では、残量センサーが回転容器の回転軸方向にてパドルの接触位置と同じ位置でトナー残量を検知している。しかしながら、
図7に示すように、残量センサー19は、回転軸方向に沿ったトナー搬送方向にてパドル52の接触位置以前の上流側でトナー残量を検知すればよい。
【0044】
また、本実施形態では、報知部としてディスプレイを例示したが、報知部はエンプティ状態及びLow状態を報知可能なランプやスピーカーでもよい。すなわち、ランプによってエンプティ状態及びLow状態が発光報知されてもよいし、スピーカーによってエンプティ状態及びLow状態が音声報知されてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、残量センサーとして透磁率センサーを例示したが、残量センサーはトナー残量を検知可能であればよく、例えば圧力センサーでもよい。
【0046】
また、本実施形態では、トナー補給装置がトナーのエンプティ状態及びLow状態を識別しているが、トナー補給装置は少なくともトナーのLow状態を検知すればよい。
【0047】
また、本実施形態において、シートは、画像の形成対象となるシート状のものであればよく、例えば、普通紙、コート紙、トレーシングペーパー、OHP(Over Head Projector)シートでもよい。
【0048】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0049】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0050】
1 :プリンター(画像形成装置)
13:トナーコンテナ
19:残量センサー
23:現像器
40:トナー補給装置
41:回転容器
45:搬送リブ
52:パドル
55:推定部
56:検知部
57:累積部
58:判定部
59:報知部