(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】携帯端末、自動改札機、駅務システム、更新方法、および更新プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241029BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241029BHJP
【FI】
G07B15/00 501
G07B15/00 G
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2020198933
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長橋 賢一
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G06Q 50/00-50/20,
50/26-99/00
G07C 9/00- 9/38
E05B 49/00
G07G 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車券情報を示す光学的読取コードを表示器の画面に表示させる表示制御部と、
前記乗車券情報を読み取って改札処理を行う自動改札機との無線通信で、前記乗車券情報の更新許可を受信する通信部と、
前記通信部で前記乗車券情報の更新許可を受信すると、前記乗車券情報を更新する更新部と、を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記乗車券情報を記憶する記憶部を備え、
前記更新部は、前記乗車券情報の更新時に、更新前の前記乗車券情報を前記記憶部から削除する、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
乗車券情報の使用状態を管理する状態管理サーバとデータ通信を行う通信部と、
読取領域に翳された光学的読取コードが示す前記乗車券情報を読み取る読取部と、
前記読取部で読み取った前記乗車券情報の使用状態を、前記状態管理サーバとのデータ通信により取得する取得部と、
前記読取部で読み取った前記乗車券情報、および前記取得部で取得した当該乗車券情報の使用状態を用いて、駅構内から出場する利用者に対して改札通路の通行可否を判定する改札処理部と、
前記読取部で読み取った前記乗車券情報が、更新が認められた種類であるかどうかを判定する種類判定部と、
前記改札処理部が前記改札通路の通行を許可すると判定し、前記種類判定部が更新が認められた種類であると判定したとき、前記乗車券情報の更新指示を出力する出力部と、を備えた自動改札機。
【請求項4】
前記出力部は、前記乗車券情報の更新指示を近距離無線通信で出力する、請求項
3に記載の自動改札機。
【請求項5】
請求項
1、または2に記載の携帯端末と、
請求項
3、または4に記載の自動改札機と、を備える駅務システム。
【請求項6】
乗車券情報を示す光学的読取コードを表示器の画面に表示させる表示制御ステップと、
前記乗車券情報を読み取って改札処理を行う自動改札機との無線通信で、前記乗車券情報の更新指示を通信部で受信する通信ステップと、
前記
通信部で前記更新指示を受信すると、前記乗車券情報を更新する更新ステップと、を
携帯端末のコンピュータが実行する更新方法。
【請求項7】
乗車券情報を示す光学的読取コードを表示器の画面に表示させる表示制御ステップと、
前記乗車券情報を読み取って改札処理を行う自動改札機との無線通信で、前記乗車券情報の更新指示を通信部で受信する通信ステップと、
前記
通信部で前記更新指示を受信すると、前記乗車券情報を更新する更新ステップと、を
携帯端末のコンピュータに実行させる更新プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2次元バーコード等の光学的読取コードが示す乗車券情報を読み取って改札処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口では、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を自動改札機で行っている。自動改札機は、周知のように、改札通路を通行する利用者が所持している乗車券を受け付け、この乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る。自動改札機は、読み取った乗車券情報に基づき、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定し、その判定結果に応じて改札通路における利用者の通行を制限する。
【0003】
また、乗車券情報を、2次元バーコード等の光学的読取コードで券面に形成した乗車券(以下、光学式乗車券と言う。)を受け付け、改札処理を行う改札システムがある(特許文献1等参照)。光学的読取コードは、例えばQRコード(登録商標)である。自動改札機は、改札処理の際に受け付けた光学式乗車券に対して、入場情報(駅構内への入場に使用されたことを示す情報)や出場情報(駅構内からの出場に使用されたことを示す情報)を記録することができない。
【0004】
特許文献1の改札システムは、光学式乗車券の不正使用(使い回し、キセル等)を防止するため、光学式乗車券の使用状態(未使用、使用中、使用済)を上位装置で管理している。自動改札機は、改札処理時に、受け付けた乗車券の使用状態を上位装置から取得し、取得した使用状態を用いて改札処理を行っている。
【0005】
最近では、乗車券情報を示す光学的読取コードを表示器の画面に表示させる機能を有するスマートフォン等の携帯端末を乗車券媒体として用いることが提案されている。自動改札機は、携帯端末の表示器の画面に表示されている光学的読取コードを読み取り、改札処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、乗車券には、鉄道の利用回数が1回に限定された通常キップだけでなく、鉄道の利用回数に関係なく運賃が一定である企画券がある。ここで言う、通常キップは、ある駅で入場し、鉄道を利用して移動した別の駅で出場すると、使用済みになる乗車券である。これに対し、企画券は、有効期間内であれば、予め定められている有効区間内に位置する駅で何度でも入出場できる乗車券である。すなわち、企画券は、ある駅で入場し、鉄道を利用して移動した別の駅で出場しても、有効期間内であれば使用済みにならず、繰り返し鉄道の利用に使用できる乗車券である。企画券は、電鉄会社によって実施されている利用者サービスの1つである。企画券は、有効期間が1日である1日乗車券や、有効期間が週末の複数日(例えば、金、土、日の3日や、土、日の2日)である週末フリーパス券等、様々な種類がある。
【0008】
企画券の光学的読取コードをスマートフォン等の携帯端末の表示器の画面に表示させる方式で運用する場合、不正使用に対するセキュリティが低いという問題があった。
【0009】
具体的には、企画券は、有効期間内であれば、繰り返し何度も使用できることから、上位装置で管理される企画券の使用状態が使用済みにならない。このため、あるタイミングで企画券の光学的読取コードが複製されると、複製された光学的読取コードが、その企画券の有効期間内に何度でも繰り返し使用できる。特に、携帯端末の表示器の画面に表示された光学的読取コードは、公知のスクリーンショットで簡単に複製できる。
【0010】
この発明の目的は、光学的読取コードを携帯端末の表示器の画面に表示させる方式で企画券を運用した場合における、複製された光学的読取コードの不正使用に対するセキュリティの向上が図れる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の携帯端末は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0012】
表示制御部が、乗車券情報を示す光学的読取コードを表示器の画面に表示させる。この光学的読取コードは、QRコード(登録商標)等の2次元バーコードであってもよいし、1次元バーコードであってもよい。乗車券情報は、鉄道に限らず、バス等の他の公共交通機関で利用できるものであってもよい。
【0013】
通信部は、乗車券情報の更新指示を受信する。例えば、通信部は、光学的読取コードが示す乗車券情報を読み取って改札処理を行う自動改札機との近距離無線通信で、乗車券情報の更新指示を受信する構成であってもよい。また、通信部は、乗車券情報で乗車券の使用状態を管理する状態管理サーバとのデータ通信で、乗車券情報の更新指示を受信する構成であってもよい。
【0014】
更新部は、受信部で更新指示を受信すると、乗車券情報を更新する。
【0015】
この構成では、乗車券情報が更新されるので、最新でない光学的読取コードについては、使用状態を乗車券として使用できない使用済状態に設定することができる。これにより、複製された光学的読取コードが何度も繰り返し使用されるのを防止でき、不正使用に対するセキュリティの向上が図れる。
【0016】
また、携帯端末は、乗車券情報を記憶する記憶部を備え、
更新部を、光学的読取コードの更新時に、更新前の乗車券情報を記憶部から削除する構成にしてもよい。
【0017】
このように構成すれば、乗車券として使用できない使用済状態である乗車券情報を無駄に記憶部に記憶させることがなく、記憶部の記憶容量を有効に活用できる。
【0018】
また、この発明の自動改札機は、以下のように構成している。
【0019】
通信部は、乗車券情報の使用状態を管理する状態管理サーバとデータ通信を行う。
【0020】
読取部は、読取領域に翳された光学的読取コードが示す乗車券情報を読み取る。取得部は、記読取部で読み取った乗車券情報の使用状態を、状態管理サーバとのデータ通信により取得する。改札処理部は、読取部で読み取った乗車券情報、および取得部で取得した当該乗車券情報の使用状態を用いて、駅構内から出場する利用者に対して改札通路の通行可否を判定する。
【0021】
さらに、種類判定部は、読取部で読み取った乗車券情報が、更新が認められた種類であるかどうかを判定する。そして、出力部が、改札処理部が改札通路の通行を許可すると判定し、種類判定部が更新が認められた種類であると判定したとき、乗車券情報の更新指示を出力する。
【0022】
この構成では、自動改札機が、企画券を使用して駅構内から出場する利用者の携帯端末に対して、乗車券情報の更新を指示する。これにより、利用者に、特別な操作を行わせることなく、乗車券情報(すなわち改札処理で使用する光学的読取コード)を更新することができる。したがって、利用者の利便性を向上できる。
【0023】
また、出力部は、例えば乗車券情報の更新指示を近距離無線通信で出力すればよい。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、光学的読取コードを携帯端末の表示器の画面に表示させる方式で企画券を運用した場合における、複製された光学的読取コードの不正使用に対するセキュリティの向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図2(A)、(B)は、携帯端末の表示器の画面に表示された光学的読取コードを示す図である。
【
図3】
図3(A)は、通常キップの使用状態データを示す図であり、
図4(B)は、企画券の使用状態データを示す図である。
【
図4】利用者が携帯端末の表示器の画面に表示される企画券にかかる2次元バーコードを使用するサイクルを説明する概略図である。
【
図5】携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図6】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図7】状態管理サーバの主要部の構成を示すブロック図である。
【
図8】自動改札機の改札処理にかかる動作を示すフローチャートである。
【
図9】状態管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図10】携帯端末における企画券にかかる乗車券情報の更新処理を示すフローチャートである。
【
図11】変形例1の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例1の自動改札機の主要部の構成を示す図である。
【
図13】変形例1の自動改札機の駅構内から出場する利用者に対する改札処理を示すフローチャートである。
【
図14】変形例1の携帯端末における企画券にかかる乗車券情報の更新処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0027】
<1.適用例>
図1は、この例の駅務システムを示す概略図である。この例の駅務システムは、利用者が所有するスマートフォン等の携帯端末1と、駅の改札口に設置された自動改札機2と、センタに設置された状態管理サーバ3とを有する。
【0028】
携帯端末1は、表示器の画面に、乗車券として使用できる光学的読取コードを表示させる機能を有している。
図2(A)、(B)は、携帯端末の表示器の画面に表示された光学的読取コードを示す図である。
図2(A)は、携帯端末1の表示器の画面に企画券にかかる2次元バーコード100が表示された例である。また、
図2(B)は、携帯端末1の表示器の画面に通常キップにかかる2次元バーコード101が表示された例である。ここで言う通常キップは、利用回数が1回に限定された乗車券である。以下の説明では、携帯端末1の表示器の画面に表示された2次元バーコード100を企画券と言う場合がある。また、携帯端末1の表示器の画面に表示された2次元バーコード101を通常キップと言う場合がある。
【0029】
企画券は、有効期間内であれば、利用者が予め定められている有効区間内に位置する駅で何度でも入出場できる乗車券である(ただし、入出場のサイクルが適正でなければならない。)。企画券は、電鉄会社によって実施されている利用者サービスの1つである。企画券の種類には、例えば、有効期間が1日である1日乗車券や、有効期間が週末の複数日(例えば、金、土、日の3日や、土、日の2日)である週末フリーパス券がある。また、企画券の種類毎に、その企画券の有効区間を決めている。
【0030】
2次元バーコード100は、乗車券情報(有効期間、有効区間等)を示す。同様に、2次元バーコード101も乗車券情報を示す。
【0031】
なお、この例の駅務システムは、改札処理に使用できる乗車券に、公知の非接触IC券や、磁気券が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。すなわち、この例の駅務システムは、少なくとも携帯端末1の表示器の画面に表示された2次元バーコード100、101を改札処理に使用できる構成であればよい。ここでは、非接触IC券、および磁気券を処理するための構成、およびその処理の詳細については特に説明しない。また、以下の説明では、企画券、および通常キップを総称するとき、光学式乗車券と言う。
【0032】
図1では、この駅務システムに属する3つの駅(A駅、B駅、およびC駅)を例示している。この駅務システムに属する駅は、図示している3つだけではない。この駅務システムに属する各駅には、自動改札機2がそれぞれ1台以上設置されている。駅毎に、その駅に設置する自動改札機2の設置台数を決めている。自動改札機2は、利用者に対して改札処理を行う。周知のように、自動改札機2には、入場専用のもの、出場専用のもの、および入出場の両方を行うものがある。
【0033】
なお、各駅には、券売機、精算機等の他の種類の駅務機器も設置されているが、ここでは、これらの駅務機器の説明を省略する。
【0034】
状態管理サーバ3は、光学式乗車券毎に、使用状態を管理する。光学式乗車券の使用状態は、未使用状態、使用中状態、使用済状態の3つの状態で管理される。未使用状態は、駅構内への入場に使用されていない状態である。使用中状態は、駅構内への入場に使用された後、駅構内からの出場に使用されていない状態である。使用済状態は、駅構内への入場、および駅構内からの出場に使用された状態である。
【0035】
各駅に設置されている駅務機器(自動改札機2等)は、ネットワーク6を介して状態管理サーバ3とデータ通信が行える。駅務機器と状態管理サーバ3とのデータ通信は、駅務機器が設置されている駅の駅サーバ(不図示)を介して行われてもよいし、駅サーバを介さずに直接行われてもよい。また、携帯端末1も、ネットワーク6を介して状態管理サーバ3とデータ通信が行える。
【0036】
自動改札機2は、利用者が所持する携帯端末1の表示器の画面に表示された2次元バーコード100、101が示す乗車券情報を読み取り、読み取った乗車券情報を用いて利用者に対する改札処理を行う。携帯端末1は、企画券(2次元バーコード100)の乗車券情報を更新する機能を有する。携帯端末1は、通常キップ(2次元バーコード101)の乗車券情報を更新する機能を有していない。
【0037】
企画券である2次元バーコード100が示す乗車券情報には、この例では、識別番号、更新番号、有効期間、および有効区間等が含まれている。また、通常キップである2次元バーコード101が示す乗車券情報には、この例では、識別番号、有効期間、および有効区間等が含まれているが、更新番号が含まれていない。更新番号は、企画券が更新された回数(更新回数)に応じた値である。
【0038】
図3は、この例の状態管理サーバにおいて管理される光学式乗車券の使用状態データを示す図である。
図3(A)は、通常キップの使用状態データを示す図であり、
図3(B)は、企画券の使用状態データを示す図である。
【0039】
この例では、通常キップである2次元バーコード101の使用状態データ(すなわち、2次元バーコード101に対応する通常キップの使用状態データ)は、
図3(A)に示すように、識別番号に、各使用状態(未使用状態、使用中状態、および使用済状態)のフラグを対応づけたデータである。フラグが「1」である状態が、対応する通常キップの使用状態である。
図3(A)に使用状態データを示した通常キップの使用状態は、使用中状態である。
【0040】
また、この例では、企画券である2次元バーコード100の使用状態データは、
図3(B)に示すように、識別番号に対応付けられた更新番号毎に、各使用状態(未使用状態、使用中状態、および使用済状態)のフラグを対応づけたデータである。この例では、更新番号は、企画券の乗車券情報の更新時にインクリメント(+1)される。この例では、更新元の企画券である2次元バーコード100が示す識別番号と、更新された企画券である2次元バーコード100が示す識別番号とは、同じである。
図3(B)に使用状態データを示す識別番号の企画券の更新回数は、3回である。
図3(B)に使用状態データを示す識別番号の企画券は、更新番号が「0」、「1」、「2」である3つが使用済状態であり、更新番号が「3」であるものが未使用状態である。
【0041】
このように、この例では、状態管理サーバ3は、企画券である2次元バーコード100については、識別番号、および更新番号に対応付けて使用状態を管理する。
【0042】
なお、利用者が、光学式乗車券を使用して入場した入場駅と、出場した出場駅とは通常異なる駅であるが、鉄道会社が制限していなければ同じ駅であってもよい。また、この例では、識別番号の先頭の記号「a」は、通常キップを示すコードであり、識別番号の先頭の記号「s」は、企画券を示すコードである。すなわち、この例では、識別番号の先頭の記号によって、2次元バーコード100、101が通常キップにかかるものであるか、企画券にかかるものであるかを判定できる。
【0043】
また、この例では、携帯端末1は、企画券の乗車券情報の更新指示(更新許可)を状態管理サーバ3から受信すると、企画券の乗車券情報を更新する(更新番号をインクリメントした乗車券情報に更新する。)。
【0044】
図4は、利用者が携帯端末の表示器の画面に表示された企画券(2次元バーコード100)を使用するサイクルを説明する概略図である。利用者は、所有している携帯端末1の表示器の画面に、2次元バーコード100を表示させる。この2次元バーコード100の使用状態は、未使用状態であるものとする。利用者は、携帯端末1の表示器の画面に表示させた2次元バーコード100(図中に示す2次元バーコードX)を使用して、ある駅で入場する。状態管理サーバ3は、利用者が今回使用した2次元バーコードXの使用状態を未使用状態から使用中状態に移行させる。利用者は、鉄道を利用して移動した降車駅で入場時に使用した企画券にかかる2次元バーコードXを携帯端末1の表示器の画面に表示させ、この2次元バーコードXを使用して降車駅で出場する。状態管理サーバ3は、利用者が今回使用した2次元バーコードXの使用状態を使用中状態から使用済状態に移行させる。これにより、状態管理サーバ3は、今回使用された2次元バーコードXを、駅での入出場に使用できないものとして管理する。
【0045】
利用者は、携帯端末1を操作して、携帯端末1を状態管理サーバ3に接続し、使用済状態である2次元バーコードX(企画券)の更新を状態管理サーバ3に要求する。状態管理サーバ3は、今回更新が要求された2次元バーコードXの使用状態が使用済状態であるかどうかを判定し、使用済状態であれば、携帯端末1に対して、2次元バーコードXの更新許可を送信する。
【0046】
なお、状態管理サーバ3は、今回更新が要求された2次元バーコードXの使用状態が未使用状態、または使用中状態であると、2次元バーコードXの更新許可を携帯端末1に送信しない。
【0047】
携帯端末1は、状態管理サーバ3から2次元バーコードXの更新許可を受信すると、2次元バーコードXの乗車券情報を、2次元バーコードYの乗車券情報に更新する。この例では、2次元バーコードXが示す乗車券情報と、2次元バーコードYが示す乗車券情報とは、更新番号が異なっているだけであり、識別番号、有効期間、有効区間等の情報は同じである。この例では、2次元バーコードYが示す更新番号は、2次元バーコードXが示す更新番号をインクリメント(+1)した値である。
【0048】
また、状態管理サーバ3は、今回携帯端末1に更新許可を送信した、2次元バーコードYにかかる乗車券情報の使用状態データを該当する企画券の使用状態データに追加する。このとき、状態管理サーバ3は、追加した2次元バーコードYにかかる乗車券情報の使用状態を未使用状態にする。
【0049】
利用者は、更新された乗車券情報に基づく2次元バーコードYを携帯端末1の表示器の画面に表示させ、上記した2次元バーコードXと同様に、鉄道を利用することができる。
【0050】
なお、利用者が、使用済状態に移行した2次元バーコードXを携帯端末1の表示器の画面に表示させた場合、自動改札機2が改札通路の通行を許可しない。
【0051】
図4に示した企画券の更新は、その企画券の有効期間内であれば、何度でも繰り返すことができる。
【0052】
したがって、2次元バーコード100が、スクリーンショット等で複製されたとしても、複製された2次元バーコード100が企画券として何度も繰り返し使用されることはない。これにより、2次元バーコード100を携帯端末1の表示器の画面に表示させる方式で企画券を運用したときに、複製された2次元バーコード100の不正使用に対するセキュリティの向上が図れる。また、企画券の運用コストを低減できる。
【0053】
なお、この例では、更新元の2次元バーコードXが示す識別番号と、更新された2次元バーコードYが示す識別番号とが同じあるとしているが、異ならせてもよい。この場合、更新番号は不要である。また、更新番号も、更新時に+1して更新する例に限らず、+2、+3等して更新してもよい。
【0054】
<2.構成例>
図5は、この例の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。携帯端末1は、制御ユニット11と、表示制御部12と、操作部13と、乗車券情報記憶部14と、通信部15とを備えている。
【0055】
制御ユニット11は、携帯端末1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、更新部11aを有している。制御ユニット11が有する、制御ユニット11が有する更新部11aについては後述する。
【0056】
表示制御部12は、表示器12aの画面に表示する画像を制御する。表示器12aの画面には、例えば光学式乗車券の2次元バーコード100、101等が表示される。
【0057】
操作部13は、利用者による入力操作を受け付ける。操作部13は、例えば表示器12aの画面に貼付されたタッチパネル(不図示)を有している。
【0058】
乗車券情報記憶部14は、企画券にかかる乗車券情報や、通常キップにかかる乗車券情報を記憶している。乗車券情報記憶部14は、乗車券情報をディジタルデータで記憶する構成であってもよいし、2次元バーコード100、101の画像を記憶する構成であってもよい。
【0059】
通信部15は、状態管理サーバ3とのデータ通信を行う。
【0060】
次に、制御ユニット11が有する、更新部11aについて説明する。更新部11aは、乗車券情報記憶部14に記憶している企画券の乗車券情報を更新する。
【0061】
携帯端末の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる更新プログラムを実行したときに、更新部11aとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる更新プログラムを展開する領域や、この更新プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる更新方法を実行するコンピュータである。
【0062】
図6は、この例の自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。自動改札機2は、制御部21と、乗車券処理部22と、利用者検知部23と、扉開閉部24と、表示部25と、通信部26とを備えている。
【0063】
制御部21は、自動改札機2本体各部の動作を制御する。
【0064】
乗車券処理部22は、乗車券(企画券の2次元バーコード100、通常キップの2次元バーコード101等)を受け付け、受け付けた2次元バーコード100、101が示す乗車券情報を読み取る。この例では、乗車券処理部22は、読取領域に翳された2次元バーコード100、101が示す乗車券情報を読み取る。
【0065】
なお、乗車券処理部22は、公知の非接触IC券との無線通信で、非接触IC券が記憶している乗車券情報の読み取り、および非接触IC券に対する乗車券情報の書き込みを行う構成を有していてもよいし、有していなくてもよい。また、乗車券処理部22は、公知の磁気券に記録されている乗車券情報の読み取り、および磁気券に対して乗車券情報の記録を行う構成を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0066】
利用者検知部23は、改札通路に沿って配置した複数のセンサによって、改札通路を通行している利用者を追跡する。
【0067】
扉開閉部24は、改札通路を通行している利用者にとっての出口側に設けた扉を開閉することによって、改札通路における利用者の通行を制限する。具体的には、扉開閉部24は、改札通路の通行を許可すると判定された利用者の出口側に位置する扉を開する。また、扉開閉部24は、改札通路の通行を許可しないと判定された利用者の出口側に位置する扉を閉する。
【0068】
表示部25は、改札通路を通行している利用者に対して案内メッセージを表示器(不図示)に表示する。
【0069】
通信部26は、状態管理サーバ3とのデータ通信を行う。
【0070】
自動改札機2の制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、改札処理にかかるプログラムを実行する。また、メモリは、改札処理にかかるプログラムを展開する領域や、このプログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0071】
図7は、この例の状態管理サーバの主要部の構成を示すブロック図である。状態管理サーバ3は、制御部31と、使用状態記憶部32と、通信部33とを備えている。
【0072】
制御部31は、状態管理サーバ3本体各部の動作を制御する。
【0073】
使用状態記憶部32は、その時点で発券されている光学式乗車券(企画券、通常キップ)の乗車券情報について、
図3に示した使用状態データを記憶する記憶媒体である。使用状態記憶部32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってもよいし、SSD(Solid State Drive)であってもよいし、他の記憶媒体であってもよい。状態管理サーバ3は、上記したように通常キップについては識別番号で使用状態を管理し、企画券については識別番号、および更新番号で使用状態を管理する。すなわち、状態管理サーバ3は、乗車券情報別に、使用状態を管理する。
【0074】
通信部33は、携帯端末1や自動改札機2とのデータ通信を行う。
【0075】
状態管理サーバ3の制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、使用状態管理プログラムを実行し、光学式乗車券の使用状態を管理する。また、メモリは、使用状態管理プログラムを展開する領域や、この使用状態管理プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0076】
<3.動作例>
以下、この例の駅務システムにおける各装置の動作について説明する。ここでは、利用者が使用する乗車券は、光学式乗車券(企画券、または通常キップ)である。
【0077】
図8は、自動改札機の改札処理にかかる動作を示すフローチャートである。
図9は、状態管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【0078】
まず、利用者が光学式乗車券で駅構内に入場、および駅構内から出場するときの自動改札機2、および状態管理サーバ3の動作について、
図8、
図9を参照して説明する。ここでは、利用者が周知の磁気券、および非接触IC券で駅構内に入場、および駅構内から出場するときの処理については説明を省略する。
【0079】
利用者は、携帯端末1の操作部13を操作して、今回の改札処理に使用する光学式乗車券の2次元バーコード100、101を表示器12aの画面に表示させる。利用者は、2次元バーコード100、101が表示された表示器12aの画面を、乗車券処理部22の読取領域に翳す。
【0080】
自動改札機2は、乗車券処理部22が読取領域に翳された光学式乗車券の2次元バーコード100、101が示す乗車券情報を読み取るのを待つ(s1)。乗車券処理部22が光学式乗車券の2次元バーコード100、101が示す乗車券情報を読み取ると、制御部21は、今回乗車券情報を読み取った光学式乗車券の有効期間が適正であるかどうかを判定する(s2)。s1で読み取った乗車券情報には、光学式乗車券の有効期間を示す情報が含まれている。
【0081】
制御部21は、有効期間が適正でなければ(使用日が有効期間内でなければ)、扉開閉部24に、その利用者にとっての改札通路の出口側に設けられた扉を閉させ(s8)、改札通路の通行を許可しない。また、このとき、表示部25が、光学式乗車券の有効期間が適正でないことを利用者に通知するメッセージを表示器に表示させてもよい。
【0082】
制御部21は、s2で有効期間が適正であると判定すると、状態管理サーバ3に対して今回使用された光学式乗車券(s1で読み取った乗車券情報)の使用状態を要求し(s3)、この要求に対する応答を待つ(s4)。制御部21は、通信部26を制御して、状態管理サーバ3とのデータ通信を制御する。光学式乗車券の使用状態を要求する電文には、今回乗車券情報を読み取った光学式乗車券の識別番号が含まれている。また、乗車券処理部22が、企画券の乗車券情報を読み取った場合、この電文には、識別番号だけでなく、更新番号も含まれている。
【0083】
状態管理サーバ3は、
図9に示すように、光学式乗車券(乗車券情報)の使用状態の要求、光学式乗車券(乗車券情報)の使用状態の更新指示、光学式乗車券(乗車券情報)の更新要求のいずれかを通信部33で受信するのを待っている(s21、s22、s23)。
【0084】
状態管理サーバ3は、通信部33で光学式乗車券の使用状態の要求を受信すると、制御部31が使用状態記憶部32に記憶されている該当する光学式乗車券の使用状態を読み出す。状態管理サーバ3は、読み出した光学式乗車券の使用状態を今回光学式乗車券の使用状態を要求してきた装置(ここでは、自動改札機2)に返信(送信)し(s24)、s21に戻る。このとき、状態管理サーバ3は、受信した光学式乗車券の使用状態の要求に更新番号が含まれていなければ(すなわち、通常キップについての使用状態の要求を受信した場合)、識別番号に該当する通常キップの使用状態を使用状態記憶部32から読み出して返信する。また、受信した光学式乗車券の使用状態の要求に更新番号が含まれていれば(すなわち、企画券についての使用状態の要求を受信した場合)、識別番号、および更新番号に該当する企画券の使用状態を返信する。
【0085】
自動改札機2は、通信部26が状態管理サーバ3からの返信を受信すると、制御部21において改札通路の通行を許可するかどうかを判定する(s5)。s5では、利用者が駅構内に入場する場合、状態管理サーバ3から受信した光学式乗車券の使用状態が未使用状態であり、且つこの光学式乗車券の有効区間内での使用であれば改札通路の通行を許可すると判定する。また、s5では、利用者が駅構内から出場する場合、状態管理サーバ3から受信した光学式乗車券の使用状態が使用中状態であり、且つこの光学式乗車券の有効区間内での使用であれば改札通路の通行を許可すると判定する。
【0086】
制御部21は、s5で改札通路の通行を許可しないと判定すると、扉開閉部24に、その利用者にとっての改札通路の出口側に設けられた扉を閉させる(s6、s8)。また、制御部21は、s5で改札通路の通行を許可すると判定すると、扉開閉部24に、その利用者にとっての改札通路の出口側に設けられた扉を開させる(s6、s7)。また、制御部21は、s7にかかる処理を行うと、状態管理サーバ3に対して、今回の改札処理で使用された光学式乗車券の使用状態の更新を要求する(s9)。光学式乗車券の使用状態の更新の要求には、今回使用された光学式乗車券の識別番号が含まれている。また、今回使用された光学式乗車券が企画券であった場合、この要求には、識別番号だけでなく、更新番号も含まれている。利用者が駅構内に入場する改札処理であった場合、s9では、今回の改札処理で使用された光学式乗車券の使用状態を、未使用状態から使用中状態に更新することを状態管理サーバ3に要求する。また、利用者が駅構内から出場する改札処理であった場合、s9では、今回の改札処理で使用された光学式乗車券の使用状態を、使用中状態から使用済状態に更新することを状態管理サーバ3に要求する。
【0087】
s7と、s9とは、その順番を逆にしてもよいし、また、並行して実行してもよい。
【0088】
状態管理サーバ3は、通信部33で光学式乗車券の使用状態の更新の要求を受信すると、制御部31が使用状態記憶部32に記憶されている該当する光学式乗車券の使用状態を指示された状態に更新し(s25)、s21に戻る。このとき、状態管理サーバ3は、受信した光学式乗車券の使用状態の更新の要求に更新番号が含まれていなければ(すなわち、通常キップについての使用状態の更新の要求を受信した場合)、識別番号が該当する光学式乗車券の使用状態を指示された状態に更新する。また、受信した光学式乗車券の使用状態の更新の要求に更新番号が含まれていれば(すなわち、企画券についての使用状態の更新の要求を受信した場合)、識別番号、および更新番号が該当する光学式乗車券(企画券)の使用状態を指示された状態に更新する。
【0089】
このように、この例では、各駅に設置されている自動改札機2は、状態管理サーバ3から、今回の改札処理で使用された光学式乗車券についてその時点での使用状態を取得して改札処理を行うとともに、状態管理サーバ3に対して光学式乗車券の使用状態の更新を要求する。
【0090】
図10は、携帯端末における企画券の更新にかかる処理を示すフローチャートである。
図9、および
図10を参照しながら、携帯端末における企画券の更新にかかる処理について説明する。
【0091】
利用者は、携帯端末1の操作部13において、乗車券情報記憶部14に乗車券情報を記憶している企画券の更新にかかる入力操作を行う。携帯端末1は、操作部13において、企画券の更新にかかる入力操作が行われると、その企画券の有効期間が適正であるかどうかを判定する(s41、s42)。
【0092】
携帯端末1は、有効期間が適正でなければ(有効期間内でなければ)、s41に戻る。すなわち、携帯端末1は、有効期間が適正でなければ、以下に示すs43~s48にかかる処理を実行することなく、s41に戻る。
【0093】
携帯端末1は、有効期間が適正であれば、状態管理サーバ3に対して、企画券の更新要求を送信し(s44)、この更新要求に対する応答を待つ(s45)。制御ユニット11は、通信部15を制御して、状態管理サーバ3とのデータ通信を制御する。この更新要求には、乗車券情報の更新を要求する企画券の識別番号、および更新番号が含まれている。
【0094】
状態管理サーバ3は、通信部33で携帯端末1から送信されてきた更新要求を受信すると、該当する企画券の更新を許可するかどうかを判定する(s23、s26)。s26では、制御部31が使用状態記憶部32に記憶されている該当する企画券の使用状態を読み出し、読み出した使用状態が使用済状態であれば、更新を許可すると判定する。制御部31は、読み出した使用状態が未使用状態、または使用中状態であれば、更新を許可しない(更新不許可)と判定する。状態管理サーバ3は、今回更新要求を送信してきた携帯端末1に対して、更新可否の判定結果を送信する(s27、s28)。状態管理サーバ3は、s27で更新不許可を送信すると、s21に戻る。また、状態管理サーバ3は、s28で更新許可を送信すると、携帯端末1から更新完了を受信するのを待つ(s29)。
【0095】
携帯端末1は、s44で送信した更新要求に対する応答が更新不許可であれば、s41に戻る。また、携帯端末1は、s44で送信した更新要求に対する応答が更新許可であれば、更新部11aが、乗車券情報記憶部14に記憶している企画券の乗車券情報(今回更新を要求した企画券の乗車券情報)を更新する更新処理を行う(s46)。s46で更新された乗車券情報は、今回更新を要求した企画券の乗車券情報(更新元の乗車券情報)と更新番号が相違するだけで、その他の情報は同じである。この例では、s47で更新された乗車券情報の更新番号は、更新元の乗車券情報の更新番号をインクリメント(+1)した値に更新したものである。
【0096】
携帯端末1は、s46にかかる更新処理を終了すると、状態管理サーバ3に更新完了を送信し(s47)、s41に戻る。この更新完了には、今回更新した企画券の識別番号、および更新番号が含まれている。
【0097】
状態管理サーバ3は、通信部33において、携帯端末1からの更新完了にかかる通知を受信すると、該当する識別番号、および更新番号の企画券の乗車券情報について、使用状態データを追加登録し(s30)、s21に戻る。s30では、該当する識別番号の企画券の使用状態データに対して、今回更新された企画券の更新番号に各使用状態(未使用状態、使用中状態、および使用済状態)のフラグを対応づけたデータを追加する。このとき、状態管理サーバ3は、今回更新された更新番号の企画券の使用状態を、未使用状態にする。
【0098】
このように、この例の駅務システムでは、企画券の2次元バーコード100が示す乗車券情報は、通常キップの2次元バーコード101が示す乗車券情報と同様に、ある駅で入場し、鉄道を利用して移動した別の駅で出場すると、使用済状態になる。利用者は、携帯端末1に記憶されている企画券の乗車券情報が使用済状態になると、携帯端末1を操作して、この企画券の乗車券情報を更新する。利用者は、更新した乗車券情報に基づく2次元バーコード100で鉄道を利用することができる。したがって、この例の駅務システムによれば、2次元バーコード100を携帯端末1の表示器12aの画面に表示させる方式で1日乗車券や、週末フリーパス券等の企画券の運用が行える。
【0099】
また、この例の駅務システムでは、企画券にかかる2次元バーコード100が、あるタイミングで複製されたとしても、複製された2次元バーコード100が何度も繰り返し使用されることがない。したがって、この例の駅務システムによれば、複製された2次元バーコード100の不正使用に対するセキュリティを向上できる。
【0100】
なお、この例では、自動改札機2が、状態管理サーバ3に対して光学式乗車券の使用状態を無駄に問い合わせるのを防止するため、s2で有効期間内であるかどうかを判定している。自動改札機2は、s2の処理を無くし、s5で有効期間内であるかどうかも含めて通行可否を判定する構成にしてもよい。
【0101】
また、この例では、状態管理サーバ3が、企画券(乗車券情報)の更新を許可するかどうかを判定するとしたが、この判定を携帯端末1に実行させてもよい。この場合、携帯端末1は、更新する企画券の使用状態を状態管理サーバ3から取得すればよい。
【0102】
<4.変形例>
・変形例1
図11は、この変形例1の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図11では、
図5に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。この変形例1の携帯端末1Aは、近距離無線通信部16を備えている点で上記の例と相違する。近距離無線通信部16の無線通信エリアは数cm程度(3~8cm程度)である。
【0103】
図12は、この変形例1の自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
図12では、
図6に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。この変形例1の自動改札機2Aは、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。自動改札機2Aは、駅構内に入場する利用者に対しても改札処理を行う構成であってもよいし、駅構内に入場する利用者に対して改札処理を行わない構成であってもよい。
【0104】
なお、特に図示して説明しないが、この変形例1の駅務システムは、駅構内に入場する利用者に対しても改札処理を行い、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行わない公知の入場用自動改札機が改札口に設置されていてもよい。
【0105】
この変形例1の自動改札機2Aは、制御ユニット21Aと、乗車券処理部22と、利用者検知部23と、扉開閉部24と、表示部25と、通信部26と、近距離無線通信部27と、を備えている。乗車券処理部22、利用者検知部23、扉開閉部24、表示部25、および通信部26は、上記した例と同様であるので、ここでは説明を省略する。近距離無線通信部27の無線通信エリアは数cm程度(3~8cm程度)である。近距離無線通信部27の無線通信エリアは、2次元バーコード100、101の読取領域をカバーするように設定されている。
【0106】
また、制御ユニット21Aは、種類判定処理部21aを有している。種類判定処理部21aは、乗車券情報を読み取った2次元バーコード100、101が企画券にかかるものであるか、通常キップにかかるものであるかを判定する。
【0107】
なお、
図6において特に図示していなかったが、上記例の自動改札機2の制御部21も種類判定処理部21aに相当する構成を有している。
【0108】
また、この変形例1の駅務システムも、上記した例の状態管理サーバ3を備えている。
【0109】
この変形例1の駅務システムは、駅構内に入場する利用者に対する改札処理を、上記した例と同様に
図8に示した処理で行う。
【0110】
図13は、駅構内から出場する利用者に対する自動改札機の改札処理を示すフローチャートである。
【0111】
自動改札機2Aは、上記した例の自動改札機2で説明したs1~s7にかかる処理と同様の処理を行う(s61~s66、s71)。自動改札機2Aは、s66で改札通路の通行を許可すると判定すると、今回使用された光学式乗車券が企画券であるかどうかを判定する(s67)。種類判定処理部21aが、s67にかかる判定処理を行う。
【0112】
自動改札機2Aは、s67で企画券でないと判定すると、以下に示すs69以降の処理を行う(s68にかかる処理を行わない。)。
【0113】
自動改札機2Aは、s67で企画券であると判定すると、近距離無線通信部27において、この企画券の乗車券情報の更新許可を出力する(s68)。この企画券の乗車券情報の更新許可は、2次元バーコード100、101の読取領域に翳されている携帯端末1で受信される。
【0114】
自動改札機2Aは、改札通路の扉を開し(s69)、状態管理サーバ3に対して、今回の改札処理で使用された光学式乗車券の使用状態の更新を要求する(s70)。光学式乗車券の使用状態の更新の要求には、今回使用された光学式乗車券の識別番号が含まれている。また、今回使用された光学式乗車券が企画券であった場合、この要求には、識別番号だけでなく、更新番号も含まれている。s70では、今回の改札処理で使用された光学式乗車券の使用状態を、使用中状態から使用済状態に更新することを状態管理サーバ3に要求する。また、自動改札機2Aは、s68で企画券の乗車券情報の更新許可を出力している場合、この企画券の更新完了通知を状態管理サーバ3に通知する。
【0115】
この例では、状態管理サーバ3は、企画券の使用状態の更新要求とともに、企画券の更新完了通知を自動改札機2Aから受信した場合、今回使用された企画券の使用状態を使用済状態にするとともに、今回更新された企画券の乗車券情報(更新番号がインクリメントされた乗車券情報)の使用状態データの追加登録を行う。
【0116】
図14は、この変形例1の携帯端末の動作を示すフローチャートである。この変形例1の携帯端末1Aは、近距離無線通信部16で、自動改札機2Aから更新許可を受信すると(s81)、更新部11aが、乗車券情報記憶部14に記憶している企画券の乗車券情報(今回使用した企画券の乗車券情報)を更新する更新処理を行う(s82)。s82は、上記した例のs46と同様の処理である。
【0117】
この変形例1では、利用者は、携帯端末1Aに乗車券情報が記憶されている企画券を使用して駅構内から出場するときに、次回使用できる企画券に自動的に更新される。したがって、この変形例1の駅務システムは、利用者の利便性の向上も図れる。
【0118】
・変形例2
上記の変形例1では、使用状態が使用中である企画券が使用された出場改札処理で、次回使用できる企画券に更新されるので、同じ企画券に対して、何度も繰り返し更新することはない。しかし、
図1に示した駅務システムでは、利用者の入力操作によって、携帯端末1から状態管理サーバ3に更新要求が送信されるので、同じ企画券に対して、何度も繰り返し更新する可能性がある。そこで、状態管理サーバ3が、携帯端末1から更新要求を受信したときに、該当する更新番号の企画券について、すでに使用状態データを記憶しているかどうかを判定し、記憶していれば、更新を許可しないと判定する構成にしてもよい。
【0119】
・変形例3
また、携帯端末1、1Aは、企画券を更新したとき、乗車券情報記憶部14に記憶している更新元の企画券の乗車券情報を削除し、更新した企画券の乗車券情報を記憶する構成にしてもよい。このように構成すれば、乗車券情報記憶部14の記憶容量を効率的に使用できる。
【0120】
また、上記の例では、駅務システムを例にして本願発明を説明したが、本願発明は駅務システムに限らず、バス等の他の種類の公共交通機関で企画券を使用するシステムにも適用できるし、企画券が複数種類の公共交通機関(例えば鉄道、およびバスの両方)で使用できるシステムにも適用できる。
【0121】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0122】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
乗車券情報を示す光学的読取コード(100、101)を表示器(12a)の画面に表示させる表示制御部(12)と、
前記乗車券情報の更新許可を受信する通信部(15)と、
前記通信部(15)で前記乗車券情報の更新許可を受信すると、前記乗車券情報を更新する更新部(11a)と、を備えた携帯端末(1)。
【符号の説明】
【0123】
1、1A…携帯端末
2、2A…自動改札機
3…状態管理サーバ
6…ネットワーク
11…制御ユニット
11a…更新部
12…表示制御部
12a…表示器
13…操作部
14…乗車券情報記憶部
15…通信部
16…近距離無線通信部
21…制御部
21A…制御ユニット
21a…種類判定処理部
22…乗車券処理部
23…利用者検知部
24…扉開閉部
25…表示部
26…通信部
27…近距離無線通信部
31…制御部
32…使用状態記憶部
33…通信部
100、101…2次元バーコード