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特許7578016車載ソーラー充電制御システム、車載ソーラー充電制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車載ソーラー充電制御システム、車載ソーラー充電制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241029BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20241029BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241029BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241029BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241029BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20241029BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241029BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241029BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241029BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02J7/02 J
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
B60L8/00
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L58/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021022832
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124912
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雄真
(72)【発明者】
【氏名】大越 康樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅大
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽章
(72)【発明者】
【氏名】林 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】深井 崇史
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166055(JP,A)
【文献】特開2013-243844(JP,A)
【文献】特開2012-228027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0381906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 7/35
H01M 10/44
H01M 10/48
B60L 8/00
B60L 1/00
B60L 50/60
B60L 58/10
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、
前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力可能な第1DCDCコンバータと、
前記第1DCDCコンバータを、前記出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態とに切り替えるコンバータ制御部と、
前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、
前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる電気回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられた経路切替部と、
前記経路切替部を、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記コンバータ制御部によって前記第1作動状態に切り替えられた前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替える切替部制御部と、
前記出力電力の電力量を取得する電力量取得部と、
を備え、
前記電力量取得部が取得した前記出力電力の電力量が閾値以下のときに、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替える車載ソーラー充電制御システム。
【請求項2】
前記第1バッテリの要求電力量を前記閾値として取得する要求電力量取得部と、
前記電力量取得部が取得した前記出力電力の電力量と、前記要求電力量取得部が取得した前記要求電力量と、を比較する比較部と、
を備え、
前記第1バッテリに前記要求電力量以下の電力が供給される場合は、前記第1バッテリは過充電にならず、
前記出力電力の電力量が前記要求電力量より大きいと前記比較部が判定したときに、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第2状態に切り替え且つ前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1作動状態に切り替える請求項1に記載の車載ソーラー充電制御システム。
【請求項3】
前記出力電力が入力可能であり、前記コンバータ制御部によって、前記出力電力が入力されたときに電圧を上げながら電力を出力する第2作動状態と、電力を出力しない第2停止状態と、に切り替えられる第2DCDCコンバータと、
前記第2作動状態にある前記第2DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第2バッテリと、
前記第1バッテリから電力を供給される少なくとも一つの補機と、
を備え、
前記車両が停車状態にあり且つ前記出力電力の発電量が前記要求電力量より大きい場合に成立する所定条件が成立した場合に、前記コンバータ制御部によって前記第2作動状態に切り替えられた前記第2DCDCコンバータが、前記出力電力の電力量から前記要求電力量を減じた余剰電力量の電力を前記第2バッテリへ出力し、
前記所定条件が成立しない場合は、前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替えると共に前記第2DCDCコンバータを前記第2停止状態に切り替え、且つ、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第1状態に切り替える請求項2に記載の車載ソーラー充電制御システム。
【請求項4】
車両に搭載されたソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、
前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態と、に切り替わることが可能な第1DCDCコンバータと、
前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、
前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる電気回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられ、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替わることが可能な経路切替部と、
を備える車載ソーラー充電制御システムが行う車載ソーラー充電制御方法であって、
前記出力電力の電力量が閾値以下か否かを判定するステップ、及び
前記出力電力の電力量が前記閾値以下の場合に、前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替えるステップ、
を有する車載ソーラー充電制御方法
【請求項5】
車両に搭載されたソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、
前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態と、に切り替わることが可能な第1DCDCコンバータと、
前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、
前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる電気回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられ、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替わることが可能な経路切替部と、
を備える車載ソーラー充電制御システムに、
前記出力電力の電力量が閾値以下か否かを判定する処理と、
前記出力電力の電力量が前記閾値以下の場合に、前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替える処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ソーラー充電制御システム、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ソーラーパネルが発電した電力を、2つのDCDCコンバータを介してバッテリに供給する車載ソーラー充電制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-126219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の車載ソーラー充電制御システムのソーラーパネルが発電した電力は、必ず2つのDCDCコンバータを経由してからバッテリに供給される。そのため上記特許文献1の車載ソーラー充電制御システムは、DCDCコンバータに起因する電力損失が大きい。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ソーラーパネルとバッテリとの間に2つのDCDCコンバータが設けられている構造でありながら、DCDCコンバータに起因する電力損失を小さくできる車載ソーラー充電制御システム、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車載ソーラー充電制御システムは、車両に搭載されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力可能な第1DCDCコンバータと、前記第1DCDCコンバータを、前記出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態とに切り替えるコンバータ制御部と、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる電気回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられた経路切替部と、前記経路切替部を、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記コンバータ制御部によって前記第1作動状態に切り替えられた前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替える切替部制御部と、前記出力電力の電力量を取得する電力量取得部と、を備え、前記電力量取得部が取得した前記出力電力の電力量が閾値以下のときに、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替える
【0007】
請求項1に記載の車載ソーラー充電制御システムは、車両に搭載されたソーラーパネルと、ソーラーパネルが出力した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力可能な第1DCDCコンバータと、を有する。さらに車載ソーラー充電制御システムは、第1DCDCコンバータを、出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態とに切り替えるコンバータ制御部と、第1作動状態にある第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、を有する。
【0008】
さらに車載ソーラー充電制御システムは、ソーラーDCDCコンバータと第1バッテリとを接続し且つ出力電力を有する電気が流れる電気回路上に、第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられた経路切替部を備える。経路切替部は、切替部制御部によって、出力電力を第1DCDCコンバータへ入力させずに第1バッテリへ供給する第1状態と、コンバータ制御部によって第1作動状態に切り替えられた第1DCDCコンバータへ出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替えられる。
【0009】
第1DCDCコンバータが第1停止状態になり且つ経路切替部が第1状態になると、ソーラーパネルが発電した電力は、ソーラーDCDCコンバータから出力された後に、第1DCDCコンバータを経由せずに第1バッテリに供給される。そのため請求項1に記載の車載ソーラー充電制御システムは、ソーラーパネルと第1バッテリとの間に2つのDCDCコンバータが設けられている構造でありながら、DCDCコンバータに起因する電力損失を小さくできる。
【0011】
請求項1に記載の発明では、電力量取得部が取得した出力電力の電力量が閾値以下のときに、切替部制御部が経路切替部を第1状態に切り替え且つコンバータ制御部が第1DCDCコンバータを第1停止状態に切り替える。そのため、出力電力の電力量が閾値以下のときに、発電された電力が第1バッテリにのみ供給される。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る車載ソーラー充電制御システムは、請求項1記載の発明において、前記第1バッテリの要求電力量を前記閾値として取得する要求電力量取得部と、前記電力量取得部が取得した前記出力電力の電力量と、前記要求電力量取得部が取得した前記要求電力量と、を比較する比較部と、を備え、前記第1バッテリに前記要求電力量以下の電力が供給される場合は、前記第1バッテリは過充電にならず、前記出力電力の電力量が前記要求電力量より大きいと前記比較部が判定したときに、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第2状態に切り替え且つ前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1作動状態に切り替える。
【0013】
請求項2に記載の発明では、出力電力の電力量が要求電力量より大きいと比較部が判定したときに、切替部制御部が経路切替部を第2状態に切り替え且つコンバータ制御部が第1DCDCコンバータを第1作動状態に切り替える。一方、出力電力の電力量が要求電力量以下の場合は、切替部制御部が経路切替部を第1状態に切り替え且つコンバータ制御部が第1DCDCコンバータを第1停止状態に切り替える。そのため第1バッテリに要求電力量以下の電力量の電力が供給される。そのため第1バッテリが過充電にならない。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る車載ソーラー充電制御システムは、請求項2記載の発明において、前記出力電力が入力可能であり、前記コンバータ制御部によって、前記出力電力が入力されたときに電圧を上げながら電力を出力する第2作動状態と、電力を出力しない第2停止状態と、に切り替えられる第2DCDCコンバータと、前記第2作動状態にある前記第2DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第2バッテリと、前記第1バッテリから電力を供給される少なくとも一つの補機と、を備え、前記車両が停車状態にあり且つ前記出力電力の発電量が前記要求電力量より大きい場合に成立する所定条件が成立した場合に、前記コンバータ制御部によって前記第2作動状態に切り替えられた前記第2DCDCコンバータが、前記出力電力の電力量から前記要求電力量を減じた余剰電力量の電力を前記第2バッテリへ出力し、前記所定条件が成立しない場合は、前記コンバータ制御部が前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替えると共に前記第2DCDCコンバータを前記第2停止状態に切り替え、且つ、前記切替部制御部が前記経路切替部を前記第1状態に切り替える。
【0015】
請求項3に記載の発明では、車両が停車状態にあり且つ出力電力の発電量が要求電力量より大きい場合に成立する所定条件が成立した場合に、コンバータ制御部によって第2作動状態に切り替えられた第2DCDCコンバータが、出力電力の電力量から要求電力量を減じた余剰電力量の電力を第2バッテリへ入力する。さらに切替部制御部が経路切替部を第2状態に切り替え且つコンバータ制御部が第1DCDCコンバータを第1作動状態に切り替える。そのため所定条件が成立したときに、第1バッテリに要求電力量以下の電力量の電力が供給され且つ余剰電力量の電力を第2バッテリに蓄電できる。
【0016】
さらに請求項3に記載の発明では、所定条件が成立しない場合は、コンバータ制御部が第1DCDCコンバータを第1停止状態に切り替えると共に第2DCDCコンバータを第2停止状態に切り替え、且つ、切替部制御部が経路切替部を第1状態に切り替える。そのため、車両が走行状態にある場合、要求電力量を超える電力量の電力が第1バッテリへ供給される。しかし車両が走行状態にある場合、第1バッテリから電力を供給される補機の電力消費量は、停車状態にある場合と比べて大きくなり易い。そのため、この場合は、第1バッテリに要求電力量を超える電力量の電力が供給されても、電力が第1バッテリに過充電されるおそれは小さい。
【0017】
請求項4に記載の発明に係る車載ソーラー充電制御方法は、車両に搭載されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態と、に切り替わることが可能な第1DCDCコンバータと、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられ、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替わることが可能な経路切替部と、を備える車載ソーラー充電制御システムが行う車載ソーラー充電制御方法であって、前記出力電力の電力量が閾値以下か否かを判定するステップ、及び前記出力電力の電力量が前記閾値以下の場合に、前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替えるステップ、を有する。
【0018】
請求項5に記載の発明に係るプログラムは、車両に搭載されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルが発電した電力が入力されるソーラーDCDCコンバータと、前記ソーラーDCDCコンバータが出力した電力である出力電力が入力されたときに電圧を下げながら電力を出力する第1作動状態と、電力を出力しない第1停止状態と、に切り替わることが可能な第1DCDCコンバータと、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータが出力した電力を充電可能な第1バッテリと、前記ソーラーDCDCコンバータと前記第1バッテリとを接続し且つ前記出力電力を有する電気が流れる回路上に、前記第1DCDCコンバータと並列をなすように設けられ、前記出力電力を前記第1DCDCコンバータへ入力させずに前記第1バッテリへ供給する第1状態と、前記第1作動状態にある前記第1DCDCコンバータへ前記出力電力が入力されるのを許容する第2状態と、に切り替わることが可能な経路切替部と、を備える車載ソーラー充電制御システムに、前記出力電力の電力量が閾値以下か否かを判定する処理と、前記出力電力の電力量が前記閾値以下の場合に、前記経路切替部を前記第1状態に切り替え且つ前記第1DCDCコンバータを前記第1停止状態に切り替える処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る車載ソーラー充電制御システム、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムは、ソーラーパネルとバッテリとの間に2つのDCDCコンバータが設けられている構造でありながら、DCDCコンバータに起因する電力損失を小さくできる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る車載ソーラー充電制御システムを搭載した車両の模式図である。
図2図1に示される車載ソーラー充電制御システムの全体図である。
図3図2に示されるソーラーECUの制御ブロック図である。
図4図1に示されるバッテリECUの機能ブロック図である。
図5図2に示されるソーラーECUが実行する処理を示すフローチャートである。
図6】変形例の車載ソーラー充電制御システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る車載ソーラー充電制御システム10(以下、単にシステム10と称する)、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1及び図2に示されるように、システム10は車両12に搭載されている。システム10は、ソーラーパネル14、補機バッテリ(第1バッテリ)16、補機17、高圧バッテリ(第2バッテリ)18、駆動用機器、ソーラーECU(Electronic Control Unit)20及びバッテリECU40を備える。
【0023】
車両12のルーフに搭載されたソーラーパネル14は、太陽光を受けたときに発電する発電装置である。ソーラーパネル14は、多数の太陽光電池セルの集合体である太陽電池モジュールである。ソーラーパネル14が発電した電力の量である発電量(kwh)及び出力電圧は、少なくとも日射量と相関関係を有する。ソーラーパネル14が発電した電力はソーラーECU20(ソーラーDCDCコンバータ22)に出力される。本実施形態のソーラーパネル14の最大出力電圧は約60Vである。
【0024】
補機バッテリ16は放充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池又は鉛蓄電池である。ソーラーパネル14が発電した電力がソーラーECU20を介して補機バッテリ16に供給されると、この電力が補機バッテリ16に充電(蓄電)される。補機バッテリ16は車両12に設けられた少なくとも一つの補機17に接続される。これらの補機17には、例えば、ヘッドランプ、車内ランプ及びエアコンディショナーが含まれる。各補機17は、補機バッテリ16から電力供給を受けることにより動作する。本実施形態の補機バッテリ16の定格電圧は、例えば13Vである。
【0025】
高圧バッテリ18は放充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池である。ソーラーパネル14が発電した電力がソーラーECU20を介して高圧バッテリ18に供給されると、この電力が高圧バッテリ18に充電(蓄電)される。高圧バッテリ18は車両12に設けられた様々な駆動用機器に接続される。これらの駆動用機器には、例えば、スタータモータ及び車両の駆動源としての電動モータが含まれる。これらの機器は、高圧バッテリ18から電力供給を受けることにより動作する。本実施形態の高圧バッテリ18の定格電圧は、ソーラーパネル14の最大出力電圧より高い電圧である(例えば350V)。
【0026】
ソーラーECU20は、ソーラーパネル14と、補機バッテリ16及び高圧バッテリ18と、を接続する。ソーラーECU20は、ソーラーパネル14が発電した電力を補機バッテリ16及び高圧バッテリ18に供給可能である。図3に示されるように、ソーラーECU20は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、ストレージ20D、通信I/F(Inter Face)20E及び入出力I/F20Fを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、ストレージ20D、通信I/F20E及び入出力I/F20Fは、バス20Zを介して相互に通信可能に接続されている。ソーラーECU20は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。
【0027】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20B又はストレージ20Dからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU20Aは、ROM20B又はストレージ20Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0028】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ20Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。通信I/F20Eは、ソーラーECU20が他の機器と通信するためのインタフェースである。入出力I/F20Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。例えば、入出力I/F20Fには、ソーラーパネル14が接続されている。
【0029】
図2には、ソーラーECU20の機能構成の一例がブロック図で示されている。ソーラーECU20は、機能構成として、電力量取得部201、比較部202、ソーラーDCDCコンバータ制御部203、第1コンバータ制御部(コンバータ制御部)204、第2コンバータ制御部(コンバータ制御部)205、スイッチ制御部(切替部制御部)206、車両状態判定部207及びソーラーパネル制御部208を有する。電力量取得部201、比較部202、ソーラーDCDCコンバータ制御部203、第1コンバータ制御部204、第2コンバータ制御部205、スイッチ制御部206、車両状態判定部207及びソーラーパネル制御部208は、CPU20AがROM20Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。ソーラーDCDCコンバータ制御部203はソーラーDCDCコンバータ22を制御し、第1コンバータ制御部204は補機DCDCコンバータ(第1DCDCコンバータ)26を制御し、第2コンバータ制御部205は高圧DCDCコンバータ(第2DCDCコンバータ)28を制御し、スイッチ制御部206は迂回回路(経路切替部)30を制御する。
【0030】
図2に示されるように、ソーラーECU20は、ソーラーDCDCコンバータ22、キャパシタ24、補機DCDCコンバータ26、高圧DCDCコンバータ28及び迂回回路30を含んで構成される。ソーラーECU20は電気回路20Xを有する。電気回路20Xは、ソーラーDCDCコンバータ22に接続された第1配線20X1、並びに、第1配線20X1から分岐する第2配線20X2及び第3配線20X3を有する。以下の説明では、ソーラーDCDCコンバータ22から出力され第1配線20X1を流れる電気の電力を「出力電力Em」と称する。
【0031】
ソーラーDCDCコンバータ22は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を実行しながら、ソーラーパネル14で発電された電力をキャパシタ24、補機DCDCコンバータ26、高圧DCDCコンバータ28及び迂回回路30に供給する。ソーラーDCDCコンバータ22は、ソーラーパネル14から入力された電力の電圧を、ソーラーDCDCコンバータ制御部203からの指示に基づいて、所定の電圧に調整(昇圧又は降圧)しながら出力する。ソーラーDCDCコンバータ22は、1次側と2次側が絶縁されていない非絶縁型のDCDCコンバータである。ソーラーパネル14が発電動作を実行している間、ソーラーDCDCコンバータ22は常に動作し続ける。なお、ソーラーDCDCコンバータ22において僅かな電力損失が発生する。そのため、ソーラーパネル14からソーラーDCDCコンバータ22へ入力された電力の電力量より、出力電力Emの電力量Emeは僅かに小さい。なお、補機DCDCコンバータ26及び高圧DCDCコンバータ28においても、同様に電力損失が発生する。
【0032】
キャパシタ24は、ソーラーパネル14が発電し且つソーラーDCDCコンバータ22によって電圧変換された電力を蓄電可能である。キャパシタ24は、第2配線20X2とグランド電位と、の間に設けられている。キャパシタ24の蓄電量がゼロの状態で第2配線20X2を流れる電力がキャパシタ24に供給されると、キャパシタ24の蓄電量及び電圧が徐々に上昇する。さらにキャパシタ24の蓄電量が所定量に達すると、第1配線20X1、第2配線20X2及び第3配線20X3の電圧である中間電圧Vmが所定の大きさ(本実施形態では約25V)に維持される。
【0033】
補機DCDCコンバータ26は第2配線20X2上に設けられている。ソーラーパネル14が発電動作を実行している間に、補機DCDCコンバータ26は第1コンバータ制御部204からの指示に基づいて、第2配線20X2から入力された電力を電圧を下げながら補機バッテリ16へ出力する第1作動状態と、電力を補機バッテリ16へ出力しない第1停止状態と、に切り替わる。補機DCDCコンバータ26は、1次側と2次側が絶縁されていない非絶縁型のDCDCコンバータである。
【0034】
高圧DCDCコンバータ28は第3配線20X3に設けられている。ソーラーパネル14が発電動作を実行している間に、高圧DCDCコンバータ28は第2コンバータ制御部205からの指示に基づいて、第3配線20X3から入力された電力を電圧を上げながら出力する第2作動状態と、電力を出力しない第2停止状態と、に切り替わる。高圧DCDCコンバータ28は、トランスによって1次側と2次側とが絶縁されている絶縁型のDCDCコンバータである。トランスを用いた絶縁型の高圧DCDCコンバータ28は、トランスの巻き数比(1次側コイルの巻き数と2次側コイルの巻き数との比率)によって効率が最大となる昇圧比(1次側電圧と2次側電圧との比率)が定まる。具体的には、昇圧比をトランスの巻き数と一致させると、絶縁型の高圧DCDCコンバータ28の効率が最大となる。
【0035】
迂回回路30は、補機DCDCコンバータ26と並列をなすように第2配線20X2に設けられている。迂回回路30は、オフ位置(図2の実線参照)と、オン位置(図2の仮想線参照)と、の間を移動可能なスイッチ31を有する。スイッチ31は、例えば半導体リレーである。スイッチ31の位置は、スイッチ制御部206によって制御される。スイッチ31がオフ位置に位置するとき、電気回路20Xを流れる電力は迂回回路30を流れない。一方、スイッチ31がオン位置に位置するとき、電気回路20Xを流れる電力は迂回回路30を介して補機バッテリ16へ供給される。スイッチ31がオン位置に位置するときの迂回回路30の状態を「第1状態」と称し、スイッチ31がオフ位置に位置するときの迂回回路30の状態を「第2状態」と称する。迂回回路30の初期状態は第1状態である。
【0036】
図1に示されるバッテリECU40は補機バッテリ16及び高圧バッテリ18に接続されている。バッテリECU40は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。バッテリECU40は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。
【0037】
図4には、バッテリECU40の機能構成の一例がブロック図で示されている。バッテリECU40は、機能構成として電力情報取得部(要求電力量取得部)401を有する。電力情報取得部401は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。バッテリECU40の電力情報取得部401は、補機バッテリ16及び高圧バッテリ18の現在の蓄電量(SOC:State Of Charge)、容量、蓄電量の上限値、電圧及び温度を取得可能である。電力情報取得部401は、SOC、容量、蓄電量の上限値、電圧及び温度に関する情報に基づいて、補機バッテリ16の要求電力量Er(閾値)を演算する。補機バッテリ16に要求電力量Er以下の電力量の電力が供給されるときは、補機バッテリ16は過充電にならない。さらにソーラーECU20とバッテリECU40は、車内ネットワーク(図示省略)を介して、互いにデータ交換可能(通信可能)に接続されている。即ち、電力情報取得部401が取得した補機バッテリ16及び高圧バッテリ18のSOC、容量、蓄電量の上限値、電圧及び温度に関する情報並びに補機バッテリ16の要求電力量Erに関する情報は、バッテリECU40からソーラーECU20へ送信される。
【0038】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0039】
本実施形態のソーラーECU20が行う処理の流れについて図5のフローチャートを用いて説明する。ソーラーECU20は、所定時間が経過する毎に、図5のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0040】
まずステップS10においてソーラーECU20の電力量取得部201は、第1配線20X1を流れる出力電力Emの電力量Emeを取得する。さらに比較部202は、電力量取得部201が取得した電力量Emeが、電力情報取得部401が取得し且つソーラーECU20へ送信された補機バッテリ16の要求電力量Er以下か否かを判定する。
【0041】
ステップS10においてYesと判定したとき、ソーラーECU20はステップS11へ進み、第1コンバータ制御部204が補機DCDCコンバータ26を第1停止状態に切り替え、且つ、第2コンバータ制御部205が高圧DCDCコンバータ28を第2停止状態に切り替える。
【0042】
ステップS11の処理を終えたソーラーECU20はステップS12へ進み、スイッチ制御部206が迂回回路30を第1状態にする。これにより、第1配線20X1及び第2配線20X2の電圧並びにキャパシタ24の電圧が、補機バッテリ16の電圧(例えば13V)と等しくなる。さらに出力電力Emが第1配線20X1、第2配線20X2及び迂回回路30(スイッチ31)を通って補機バッテリ16へ供給され、補機バッテリ16に電力が蓄電される。
【0043】
一方、ステップS10においてNoと判定したとき、ソーラーECU20はステップS13へ進む。この場合、出力電力Emの電力量Emeから補機バッテリ16の要求電力量Erを減じた電力量である余剰電力量Esrはゼロより大きい。
【0044】
ステップS13へ進んだソーラーECU20の車両状態判定部207は、車両12が停車状態にあるか否かを判定する。例えば車両状態判定部207は、シフトポジションセンサ(図示省略)から受信したシフトレバー(図示省略)の位置に関する情報及び車速センサ(図示省略)から受信した車速に関する情報の少なくとも一方に基づいて、車両12が停車状態にあるか否かを判定する。
【0045】
ステップS13においてYesと判定したとき、ソーラーECU20はステップS14へ進む。ステップS14へ進んだソーラーECU20の第1コンバータ制御部204が補機DCDCコンバータ26を第1作動状態に切り替え、且つ、第2コンバータ制御部205が高圧DCDCコンバータ28を第2作動状態に切り替える。
【0046】
ステップS14の処理を終えたソーラーECU20はステップS15へ進み、スイッチ制御部206が迂回回路30を第2状態に切り替える。これにより、キャパシタ24によって約25Vに維持された中間電圧Vmを有する電力が、第2配線20X2から補機DCDCコンバータ26へ入力され且つ第3配線20X3から高圧DCDCコンバータ28へ入力される。
【0047】
第2配線20X2から補機DCDCコンバータ26へ供給された電力の電圧は、補機DCDCコンバータ26によって約13Vに降圧させられ且つ補機バッテリ16へ供給される。第2配線20X2から補機DCDCコンバータ26(補機バッテリ16)へ供給される電力の電力量は、要求電力量Erと実質的に同一である。さらに第3配線20X3から高圧DCDCコンバータ28へ余剰電力量Esrの電力が供給される。
【0048】
ステップS13においてNoと判定したとき、ソーラーECU20はステップS11へ進む。
【0049】
ステップS12又はS15の処理を終えたとき、ソーラーECU20は図5のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0050】
以上説明したように本実施形態のシステム10においては、電力量取得部201が取得した電力量Emeが補機バッテリ16の要求電力量Er以下のとき(ステップS10:Yes)、第1コンバータ制御部204が補機DCDCコンバータ26を第1停止状態に切り替え、第2コンバータ制御部205が高圧DCDCコンバータ28を第2停止状態に切り替え(ステップS11)、且つスイッチ制御部206が迂回回路30(スイッチ31)を第1状態に切り替える(ステップS12)。システム10がこの状態になると、ソーラーパネル14が発電した電力(出力電力Em)は、ソーラーDCDCコンバータ22から出力された後に、迂回回路30を経由して補機バッテリ16に供給される。換言すると、ソーラーパネル14が発電した電力(出力電力Em)は、ソーラーDCDCコンバータ22から出力された後に、補機DCDCコンバータ26を経由せずに補機バッテリ16に供給される。そのためシステム10は、ソーラーパネル14と補機バッテリ16との間に2つのDCDCコンバータ(ソーラーDCDCコンバータ22、補機DCDCコンバータ26)が設けられている構造でありながら、DCDCコンバータに起因する電力損失を小さくできる。
【0051】
さらに、システム10がこの状態にあるとき、補機バッテリ16には要求電力量Er以下の電力量の電力が供給される。補機バッテリ16に要求電力量Er以下の電力量の電力が供給されるときは、補機バッテリ16が過充電にならない。従って、システム10がこの状態にあるとき補機バッテリ16が劣化し難い。
【0052】
さらに、システム10がこの状態にあるとき、ソーラーパネル14が出力する出力電力Emの電圧は、日照量の変化に応じて変動する。一方、第1配線20X1及び第2配線20X2の電圧並びにキャパシタ24の電圧は、補機バッテリ16の電圧(例えば13V)と等しい値に保持される。そのため、第1配線20X1の電圧(並びに第2配線20X2及びキャパシタ24の電圧)が変動する場合と比べて、ソーラーDCDCコンバータ22はMPPT制御を容易に実行可能である。
【0053】
さらにシステム10においては、電力量Emeが補機バッテリ16の要求電力量Erより大きく且つ車両12が停車状態にあるとき(ステップS10:No、ステップS13:Yes)、所定条件が成立する。そしてこの所定条件が成立したときに、第1コンバータ制御部204が補機DCDCコンバータ26を第1作動状態に切り替え、第2コンバータ制御部205が高圧DCDCコンバータ28を第2作動状態に切り替え(ステップS14)、且つスイッチ制御部206が迂回回路30(スイッチ31)を第2状態に切り替える(ステップS15)。これにより第2作動状態に切り替えられた高圧DCDCコンバータ28が、出力電力Emの電力量Emeから要求電力量Erを減じた余剰電力量Esrの電力を高圧バッテリ18へ入力する。そのため、ソーラーパネル14が発電した電力の一部を高圧バッテリ18に蓄電できる。さらにこの場合は、補機バッテリ16に要求電力量Er以下の電力量の電力が供給されるので、補機バッテリ16が劣化し難い。
【0054】
さらに上記所定条件が成立しない場合は(ステップS10:Yes又はステップS13:No)、第1コンバータ制御部204が補機DCDCコンバータ26を第1停止状態に切り替え、第2コンバータ制御部205が高圧DCDCコンバータ28を第2停止状態に切り替え(ステップS11)、且つスイッチ制御部206が迂回回路30(スイッチ31)を第1状態に切り替える(ステップS12)。例えば、車両12が走行状態にある場合(ステップS13:No)、補機バッテリ16から電力を供給される各補機17の電力消費量は、車両12が停車状態にある場合と比べて大きくなり易い。そのため、この場合は、補機バッテリ16に要求電力量Erを超える電力量の電力が供給されても、電力が補機バッテリ16に過充電されるおそれは小さい。
【0055】
以上、実施形態に係るシステム10、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムについて説明したが、システム10、車載ソーラー充電制御方法及びプログラムは本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0056】
例えば、ステップS10を「出力電力Emの電力量Emeが所定値(閾値)以下か」否かを判定するステップに変更してもよい。例えば、日射量が少ない場合に、電力量Emeは当該所定値以下になる。そのため、例えば、日射量が少ないため出力電力Emの電力量Emeが小さい場合に、発電された電力の全てが一つのバッテリ(補機バッテリ16)にのみ供給される。従って、ソーラーパネル14が発電した電力を補機バッテリ16へ効率よく充電できる。
【0057】
図6に示される変形例の態様で本発明を実施してもよい。この変形例のシステム10は、2つのソーラーパネル14及び2つのソーラーDCDCコンバータ22を備える。一方のソーラーパネル14が発電した電力は一方のソーラーDCDCコンバータ22に入力され、他方のソーラーパネル14が発電した電力は他方のソーラーDCDCコンバータ22に入力される。
【符号の説明】
【0058】
10 車載ソーラー充電制御システム(システム)
12 車両
14 ソーラーパネル
16 補機バッテリ(第1バッテリ)
17 補機
18 高圧バッテリ(第2バッテリ)
20 ソーラーECU
20X 電気回路
201 電力量取得部
202 比較部
204 第1コンバータ制御部(コンバータ制御部)
205 第2コンバータ制御部(コンバータ制御部)
206 スイッチ制御部(切替部制御部)
22 ソーラーDCDCコンバータ
26 補機DCDCコンバータ(第1DCDCコンバータ)
28 高圧DCDCコンバータ(第2DCDCコンバータ)
30 迂回回路(経路切替部)
401 電力情報取得部(要求電力量取得部)
Em 出力電力
Er 要求電力量
Eme 電力量
Esr 余剰電力量
図1
図2
図3
図4
図5
図6