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特許7578019標準時刻出力装置、標準時刻出力方法、および標準時刻出力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】標準時刻出力装置、標準時刻出力方法、および標準時刻出力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241029BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20241029BHJP
   G04R 20/08 20130101ALI20241029BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20241029BHJP
【FI】
G06Q50/40
G07B15/00 S
G04R20/08
G04G5/00 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021023821
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126013
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 一樹
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114543(JP,A)
【文献】特開2002-203261(JP,A)
【文献】特開2005-157211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
G04R 20/08
G04G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準電波を受信する標準電波受信部と、
前記標準電波受信部で受信した標準電波から標準時刻を取得する標準時刻取得部と、
駅務機器が上位装置との間で、データ通信を行える通信可能状態であるか、データ通信を行えない通信不良状態であるかを検知する検知部と
前記検知部が前記通信不良状態を検知しているとき、前記標準時刻取得部が取得した標準時刻を出力する出力部と、を備えた標準時刻出力装置。
【請求項2】
前記駅務機器は、
前記上位装置との間で、データ通信を行える前記通信可能状態であれば、自機のタイマで計時している時刻を、前記上位装置との通信で取得した当該上位装置が計時している現在時刻に合わせ、
前記上位装置との間で、データ通信を行えない前記通信不良状態であれば、自機のタイマで計時している時刻を、前記出力部から出力された標準時刻に合わせる、
請求項1に記載の標準時刻出力装置。
【請求項3】
前記出力部は、標準時刻を無線信号で出力する、請求項1、または2に記載の標準時刻出力装置。
【請求項4】
前記検知部において、前記通信不良状態であることが検知されているとき、前記標準電波受信部を起動する起動制御部を備えた、請求項1~3のいずれかに記載の標準時刻出力装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記検知部が前記通信不良状態を検知しているとき、前記標準時刻取得部が取得した標準時刻を一定時間間隔で出力する、請求項1~4のいずれかに記載の標準時刻出力装置。
【請求項6】
標準電波受信部で受信した標準電波から標準時刻を取得する標準時刻取得ステップと、
駅務機器が上位装置との間で、データ通信を行える通信可能状態であるか、データ通信を行えない通信不良状態であるかを検知する検知ステップと
前記検知ステップで前記通信不良状態を検知しているとき、前記標準時刻取得ステップで取得した標準時刻を出力部において出力する出力ステップと、をコンピュータが実行する標準時刻出力方法。
【請求項7】
標準電波受信部で受信した標準電波から標準時刻を取得する標準時刻取得ステップと、
駅務機器が上位装置との間で、データ通信を行える通信可能状態であるか、データ通信を行えない通信不良状態であるかを検知する検知ステップと
前記検知ステップで前記通信不良状態を検知しているとき、前記標準時刻取得ステップで取得した標準時刻を出力部において出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる標準時刻出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動改札機、券売機等の駅務機器にタイマで計時している時刻を整時させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して複数の自動改札機をサーバに接続し、このサーバで接続されている複数の自動改札機を制御するシンクライアント方式の改札システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。このシンクライアント方式の改札システムは、サーバ(シンクライアントサーバ)が、乗車券媒体であるICカードに対する乗車券情報の読み書き(Read/Write)等を自動改札機に指示する。また、このサーバが、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行い、その結果を自動改札機に通知する。すなわち、自動改札機は、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行わず、サーバからの指示にしたがって動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019- 46352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動改札機は、自機のタイマで計時している時刻を、接続されている上位装置から取得した現在時刻に合わせている。したがって、自動改札機は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になると、自機のタイマで計時している時刻を整時することができない。自動改札機は、タイマで計時している時刻がズレていると、駅務処理を適正に行えない事態を生じさせることがある。
【0005】
また、自動改札機に限らず、券売機、精算機等の他の種類の駅務機器も、自機のタイマで計時している時刻を、接続されている上位装置から取得した現在時刻に合わせる構成である。このため、券売機、精算機等の駅務機器も、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になると、駅務処理を適正に行えない事態を生じさせることがある。
【0006】
この発明の目的は、駅務機器がタイマで計時している時刻を上位装置から取得した現在時刻に整時できないとき、タイマで計時している時刻を標準時刻に整時させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の標準時刻出力装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
標準時刻取得部は、標準電波受信部で受信した標準電波から標準時刻を取得する。検知部は、駅務機器が上位装置との間で、データ通信を行える通信可能状態であるか、データ通信を行えない通信不良状態であるかを検知する。出力部は、検知部が通信不良状態を検知しているとき、標準時刻取得部が取得した標準時刻を出力する。
【0009】
これにより、駅務機器は、上位装置との間で、データ通信を行える通信可能状態であれば、自機のタイマで計時している時刻を、上位装置との通信で取得した当該上位装置が計時している現在時刻に合わせることができる。また、駅務機器は、上位装置との間で、データ通信を行えない通信不良状態であれば、自機のタイマで計時している時刻を、出力部から出力された標準時刻に合わせることができる。
【0010】
したがって、駅務機器がタイマで計時している時刻を上位装置から取得した現在時刻に整時できないとき、タイマで計時している時刻を標準時刻に整時させることができる。
【0011】
また、出力部は、例えば、標準時刻を無線信号で出力する構成であってもよい。
【0012】
また、例えば、検知部において、通信不良状態であることが検知されているとき、標準電波受信部を起動する起動制御部を備えてもよい。
【0013】
このように構成すれば、駅務機器がタイマで計時している時刻を上位装置から取得した現在時刻に整時しているときには、標準電波受信部を停止させるので消費電力を抑えることができる。
【0014】
さらに、出力部は、例えば、検知部が通信不良状態を検知しているとき、標準時刻取得部が取得した標準時刻を一定時間間隔で出力する構成にしてもよい。
【0015】
このように構成すれば、駅務機器がタイマで計時している時刻を上位装置から取得した現在時刻に整時できないときであっても、駅務機器に一定時間毎にタイマで計時している時刻を標準時刻に整時させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、駅務機器がタイマで計時している時刻を上位装置から取得した現在時刻に整時できないとき、タイマで計時している時刻を標準時刻に整時させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】標準時刻出力装置を適用した改札システムを示す概略図である。
図2】標準時刻出力装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図3】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
図4】自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。
図5】標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートである。
図6】変形例1の標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートである。
図7】変形例1の自動改札機の動作を示すフローチャートである。
図8】変形例2の標準時刻出力装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図9】変形例2の標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、この例の標準時刻出力装置を適用した改札システムを示す概略図である。この例の改札システムは、標準時刻出力装置1と、自動改札機2と、上位装置3と、を有している。自動改札機2は、駅の改札口に設置されている。駅の改札口には、駅構内に入場する利用者、および駅構内から出場する利用者に対して改札処理が行える自動改札が設置されていれば、その台数は1台であってもよいし、複数台であってもよい。この例では、自動改札機2が、この発明で言う駅務機器に相当する。
【0020】
自動改札機2には、周知のように、入場用、出場用、および入出場用がある。入場用は、改札通路における利用者の通行方向を駅構内に入場する方向にしたものである。出場用は、改札通路における利用者の通行方向を駅構内から出場する方向にしたものである。入出場用は、改札通路における利用者の通行方向を駅構内に入場する方向、および改札通路における利用者の通行方向を駅構内から出場する方向の双方向にしたものである。
【0021】
この例では、自動改札機2は、ネットワーク5を介して上位装置3と通信する。上位装置3は、例えば、自動改札機2からの要求に応じて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかの判定、運賃計算等を行い、その結果を自動改札機2に返信するシンクライアントサーバであってもよいし、駅に設置されている駅サーバであってもよい。
【0022】
この例では、自動改札機2は、予め定められた整時タイミングになる毎に、自機のタイマで計時している時刻を整時する整時処理を行う。具体的には、自動改札機2は、整時タイミングになると、上位装置3に対して現在時刻(上位装置3が計時している時刻)の送信を要求し、自機のタイマで計時している時刻を上位装置3から取得した現在時刻に合わせる。自動改札機2は、この整時処理を行うことによって、自機のタイマで計時している時刻を、上位装置3が計時している現在時刻に同期させている。
【0023】
また、標準時刻出力装置1は、標準電波を受信し、標準時刻を取得する。標準時刻出力装置1は、自動改札機2と上位装置3との間で通信が行える通信可能状態であるか、自動改札機2と上位装置3との間で通信が行えない通信不良状態であるかを検知する。例えば、自動改札機2が、上位装置3との間で通信が行えない通信不良状態であることを標準時刻出力装置1に通知する。また、標準時刻出力装置1は、ネットワーク5を介して上位装置3と通信することによって、自動改札機2が上位装置3と通信できる通信可能状態であるか、上位装置3と通信できない通信不良状態であるかを検知する。標準時刻出力装置1は、通信不良状態を検知しているとき、適当なタイミングで取得した標準時刻を自動改札機2に出力する。
【0024】
自動改札機2は、上位装置3がダウンしたり、上位装置3との通信回線であるネットワーク5に障害が発生したりすると、上位装置3と通信できない通信不良状態になる。自動改札機2は、上位装置3と通信できない通信不良状態であるとき、自機のタイマで計時している時刻を標準時刻出力装置1が出力した標準時刻に合わせる整時処理を行う。
【0025】
上位装置3が計時している現在時刻は、標準時刻に略一致している。
【0026】
したがって、この例の改札システムでは、標準時刻出力装置1によって、自動改札機2は、上位装置3と通信できない通信不良状態になっても、自機のタイマで計時している時刻を標準時刻に合わせることができる。これにより、自動改札機2が、自機のタイマで計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0027】
<2.構成例>
図2は、この例の標準時刻出力装置の主要部の構成を示すブロック図である。標準時刻出力装置1は、制御ユニット11と、標準電波受信部12と、近距離無線通信部13と、を備えている。
【0028】
制御ユニット11は、標準時刻出力装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、検知部11a、および標準時刻取得部11bを有している。制御ユニット11が有する検知部11a、および標準時刻取得部11bについては、後述する。
【0029】
標準電波受信部12は、標準電波を受信する。標準電波は、標準時を送信している電波である。
【0030】
近距離無線通信部13は、無線通信エリアが数十mであるBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信で相手局と通信する。近距離無線通信部13は、無線通信エリア内に位置する自動改札機2と無線通信を行う。近距離無線通信部13が、この発明で言う出力部に相当する。
【0031】
制御ユニット11が有する検知部11a、および標準時刻取得部11bについて説明する。
【0032】
検知部11aは、近距離無線通信部13の無線通信エリア内に位置する自動改札機2が上位装置3と通信できる通信可能状態であるか、通信できない通信不良状態であるかを検知する。
【0033】
標準時刻取得部11bは、標準電波受信部12で受信した標準電波から標準時刻を取得する。
【0034】
標準時刻出力装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる標準時刻出力プログラムを実行したときに、検知部11a、および標準時刻取得部11bとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる標準時刻出力プログラムを展開する領域や、この標準時刻出力プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる整時方法を実行するコンピュータである。
【0035】
図3は、この例の自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。自動改札機2は、制御ユニット21と、近接型無線通信部22と、磁気処理部23と、利用者検知部24と、表示部25と、扉開閉部26と、上位通信部27と、タイマ28と、近距離無線通信部29とを備えている。
【0036】
制御ユニット21は、自動改札機2本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット21は、改札処理部21a、検知部21b、および整時部21cを有している。制御ユニット21が有する、改札処理部21a、検知部21b、および整時部21cの詳細については後述する。
【0037】
近接型無線通信部22は、アンテナから数cmである無線通信エリアに翳された非接触媒体(例えば、ICカード、携帯端末)と無線で通信する。近接型無線通信部22は、非接触媒体との無線通信で、この非接触媒体がメモリに記憶している乗車券情報の読み取り、およびこの非接触媒体のメモリに対する乗車券情報の書き込みにかかる処理を行う。近接型無線通信部22の無線通信エリアは、改札通路における利用者の通行方向の一方の端部側に設けられている。
【0038】
磁気処理部23は、磁気ヘッドを、本体に投入された磁気カードに当接させ、この磁気カードに磁気データで記録されている乗車券情報の読み取り、およびこの磁気カードに対する乗車券情報を書き込み行う。磁気ヘッドは、改札通路における利用者の通行方向の中央よりも、近接型無線通信部22の無線通信エリア側に寄っている。
【0039】
利用者検知部24は、改札通路における利用者の通行方向に並べた複数の光電センサを有する。利用者検知部24は、複数の光電センサで改札通路を通行している利用者の位置を検知することにより、改札通路を通行している利用者の移動を追跡する。
【0040】
表示部25は、改札通路に進入した利用者に対するメッセージを表示する表示器を有する。
【0041】
扉開閉部26は、改札通路における利用者の通行可否の判定結果に基づいて、この利用者の出口側に位置する扉を開閉する。
【0042】
上位通信部27は、駅サーバ、シンクライアントサーバ等の上位装置3とデータ通信を行う。
【0043】
タイマ28は、時刻を計時する内蔵時計である。
【0044】
近距離無線通信部29は、無線通信エリアが数十mであるBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信で相手局と通信する。近距離無線通信部29は、無線通信エリア内に位置する標準時刻出力装置1と無線通信を行う。
【0045】
自動改札機2の制御ユニット21が有する、改札処理部21a、検知部21b、および整時部21cについて説明する。
【0046】
改札処理部21aは、改札通路を通行する利用者に対する改札処理を行う。改札処理については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0047】
検知部21bは、駅サーバ、シンクライアントサーバ等の上位装置3とのデータ通信が上位通信部27で行えない通信不良状態であるかどうかを検知する。例えば、検知部21bは、適当なタイミングで上位通信部27を制御して、上位装置3に応答を要求し、上位装置3からの応答の有無に応じて通信不良状態であるかどうかを検知する。自動改札機2は、例えば、上位装置3がダウンしたり、上位装置3との通信回線であるネットワーク5に障害が発生したりした場合に、上位装置3と通信できない通信不良状態になる。
【0048】
整時部21cは、タイマ28が計時している時刻を、上位装置3から取得した現在時刻、または標準時刻出力装置1から取得した標準時刻に合わせる整時処理を行う。
【0049】
なお、この例の自動改札機2は、乗車券情報を光学的読取コード(例えば、QRコード(登録商標)等の二次元バーコード)で記録した媒体から、乗車券情報を読み取る構成を備えていないが、この構成を備えていてもよい。また、自動改札機2は、近接型無線通信部22、または磁気処理部23の一方を備えていない構成であってもよい。
【0050】
自動改札機2の制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、所定の動作プログラムを実行したときに、改札処理部21a、検知部21b、および整時部21cとして動作する。また、メモリは、この改札プログラムを展開する領域や、この動作プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0051】
<3.動作例>
この例の自動改札機2は、利用者に対して改札処理を行う。この改札処理は、公知であるので、簡単に説明しておく。自動改札機2は、近接型無線通信部22、または磁気処理部23で受け付けた媒体(乗車券媒体)から乗車券情報を読み取る。自動改札機2が乗車券情報を読み取った媒体を所持している利用者は、その媒体から読み取られた乗車券情報に基づいて、改札通路の通行可否が判定される。この判定は、自動改札機2本体内部で行われてもよいし、ネットワーク5を介して接続されているシンクライアントサーバ(上位装置3)で行われてもよい。自動改札機2は、利用者に対する改札通路の通行可否にかかる判定結果に応じて、扉開閉部26に扉を開閉させる。また、自動改札機2は、必要に応じて、乗車券情報を読み取った媒体に対して、乗車券情報の書き込みを行う。
【0052】
図4は、この例の自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。図5は、この例の標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートである。
【0053】
自動改札機2は、整時部21cが、タイマ28で計時している時刻を合わせる整時タイミングになったと判定すると、検知部21bが上位通信部27において上位装置3と通信できる状態であるかどうかを判定する(s1、s2)。整時タイミングは、例えば、予め定めた時間間隔(例えば、10分~30分程度の時間間隔)で設定したタイミングであってもよいし、前回の整時処理の終了から一定時間(例えば、10分~30分程度の時間)経過したタイミングであってもよいし、他の手法で定めたタイミングであってもよい。また、検知部21bは、上位装置3に応答を要求し、上位装置3からの応答があれば上位装置3と通信できる通信可能状態であると判定し、上位装置3からの応答がなければ上位装置と通信できない通信不良状態であると判定する。
【0054】
自動改札機2は、検知部21bが上位装置3と通信できる通信可能状態であると判定すると、上位通信部27における上位装置3との通信で、上位装置3から現在時刻(上位装置3が計時している時刻)を取得する(s3)。自動改札機2は、整時部21cが、タイマ28で計時している時刻を、s3で取得した現在時刻に合わせ(s4)、s1に戻る。
【0055】
また、自動改札機2は、検知部21bが上位装置3と通信できない通信不良状態であると判定すると、通信不良状態であることを近距離無線通信部29において出力する(s5)。自動改札機2は、s5で通信不良状態である旨を出力すると、標準時刻出力装置1が出力した標準時刻を近距離無線通信部29で受信するのを待つ(s6)。自動改札機2は、標準時刻出力装置1が出力した標準時刻を近距離無線通信部29で受信すると、整時部21cが、タイマ28で計時している時刻を、s6で受信した標準時刻に合わせ(s7)、s1に戻る。
【0056】
標準時刻出力装置1は、検知部11aにおいて、図5に示すように、自動改札機2が上位装置3と通信できない通信不良状態であるかどうかの検知を行っている(s11)。この例では、標準時刻出力装置1は、自動改札機2がs5で出力した通信不良状態である旨を受信すると、自動改札機2と上位装置3とが通信できない通信不良状態であると検知する。
【0057】
なお、自動改札機2は、s5で、標準時刻出力装置1に対して、標準時刻の通知を要求する出力を行い、標準時刻出力装置1は、自動改札機2が出力した標準時刻の通知の要求を受信すると、自動改札機2と上位装置3とが通信できない通信不良状態であると検知する構成であってもよい。
【0058】
標準時刻出力装置1は、自動改札機2と上位装置3とが通信できない通信不良状態であると検知すると、標準時刻取得部11bが、標準電波受信部12で受信している標準電波から、標準時刻を取得する(s12)。標準時刻出力装置1は、近距離無線通信部13において、s12で取得した標準時刻を出力し(s13)、s11に戻る。
【0059】
したがって、この例の自動改札機2は、上位装置3がダウンしたり、上位装置3との通信回線に障害が発生したりする等して、上位装置3と通信できない状態になっても、すなわち、上位装置3から現在時刻を取得できない状態になっても、タイマ28で計時している時刻を整時することができる。これにより、自動改札機2が、タイマ28で計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0060】
<4.変形例>
・変形例1
この変形例1では、標準時刻出力装置1が、自動改札機2の整時タイミングであるかどうかを判定する。この変形例1の標準時刻出力装置1は、図2に示した構成であり、自動改札機2は、図3に示した構成である。図6は、この変形例1の標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートであり、図7は、この変形例1の自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【0061】
標準時刻出力装置1は、自動改札機2の整時タイミングになったと判定すると、自動改札機2に対して上位装置3との通信状態を問合せ、その応答を待つ(s21~s23)。
【0062】
自動改札機2は、上位通信部27において上位装置3から現在時刻を受信するか、近距離無線通信部29において標準時刻出力装置1から通信状態の問い合わせを受信するか、近距離無線通信部29において標準時刻出力装置1から標準時刻を受信するのを待つ(s31~s33)。自動改札機2は、上位装置3から現在時刻を受信すると、整時部21cが、タイマ28で計時している時刻を、s31で受信(取得)した現在時刻に合わせ(s34)、s31に戻る。
【0063】
また、自動改札機2は、標準時刻出力装置1から通信状態の問い合わせを受信すると、上位装置3との通信状態を確認する(s35)。s35では、自動改札機2は、上位通信部27において上位装置3に対する応答の要求を出力し、上位装置3からの応答を受信したかどうかによって、通信可能状態であるか、通信不良状態であるかを判断する。自動改札機2は、近距離無線通信部29において、s35で確認した上位装置3との通信状態を標準時刻出力装置1に出力し(s36)、s31に戻る。
【0064】
標準時刻出力装置1は、自動改札機2から受信した応答に基づき、通信不良状態であるかどうかを判定する(s24)。この例では、標準時刻出力装置1は、無線通信エリア内に位置する複数の自動改札機2から通信状態の応答を受信する場合がある。標準時刻出力装置1は、通信不良状態である自動改札機2が1台でもあると、s24で通信不良状態であると判定する。
【0065】
標準時刻出力装置1は、s24で通信不良状態でないと判定すると、s21に戻る。標準時刻出力装置1は、s24で通信不良状態であると判定すると、標準時刻取得部11bが、標準電波受信部12で受信している標準電波から、標準時刻を取得する(s25)。標準時刻出力装置1は、近距離無線通信部13において、s25で取得した標準時刻を出力し(s26)、s21に戻る。
【0066】
また、自動改札機2は、近距離無線通信部29において標準時刻出力装置1から標準時刻を受信すると、整時部21cが、タイマ28で計時している時刻を、s33で受信した標準時刻に合わせ(s37)、s31に戻る。
【0067】
したがって、この変形例1の自動改札機2も、上位装置3がダウンしたり、上位装置3との通信回線に障害が発生したりする等して、上位装置3と通信できない状態になっても、タイマ28で計時している時刻を整時することができる。これにより、自動改札機2が、タイマ28で計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0068】
・変形例2
この変形例2の標準時刻出力装置1Aは、図8に示すように、制御ユニット11が起動制御部11cを有する点で、上記の例と相違する。起動制御部11cは、標準電波受信部12の起動/停止を制御する。
【0069】
この変形例2の標準時刻出力装置1Aは、図6に示した処理ではなく、図9に示す処理を実行する。図9は、この変形例2の標準時刻出力装置の動作を示すフローチャートである。図9では、図6に示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0070】
この変形例2の標準時刻出力装置1Aは、上記の変形例1と同様に、s21~s24の処理を行い、s24で通信不良状態であると判定すると、起動制御部11cが、標準電波受信部12を起動する(s41)。標準時刻取得部11bが、s41で起動された標準電波受信部12で受信している標準電波から、標準時刻を取得する(s25)。標準時刻出力装置1は、近距離無線通信部13において、s25で取得した標準時刻を出力する(s26)。起動制御部11cが、s41で起動した標準電波受信部12を停止し(s42)、s21に戻る。
【0071】
なお、この変形例2では、自動改札機2は、図7に示した整時処理を行う。
【0072】
この構成では、標準時刻出力装置1Aは、標準時刻を取得して自動改札機2に出力するときに、標準電波受信部12を起動するので、消費電力を抑えることができる。
【0073】
・変形例3
また、標準時刻出力装置1、1Aは、ネットワーク5を介して、適当なタイミングで繰り返し上位装置3に応答を要求し、上位装置3からの応答の有無によって、自動改札機2と上位装置3との間における通信状態(通信可能状態、または通信不良状態)の検知を常時行う構成にしてもよい。
【0074】
この場合、標準時刻出力装置1、1Aは、自動改札機2と上位装置3との間における通信状態が通信不良状態であることを検知しているとき、自動改札機2に対して標準時刻を一定時間間隔で出力する構成にしてもよい。
【0075】
なお、標準時刻出力装置1、1Aは、自動改札機2の整時タイミング毎に、上位装置3に応答を要求する構成であってもよい。
【0076】
また、上記の例では、標準時刻出力装置1は、自動改札機2と無線で通信する構成として説明したが、有線で自動改札機2と通信する構成であってもよい。
【0077】
また、標準時刻出力装置1は、券売機、精算機等の他の駅務機器にも標準時刻を出力できる。
【0078】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0079】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
標準電波を受信する標準電波受信部(12)と、
前記標準電波受信部(12)で受信した標準電波から標準時刻を取得する標準時刻取得部(11b)と、
駅務機器(2)が上位装置(3)との間で、データ通信を行える通信可能状態であるか、データ通信を行えない通信不良状態であるかを検知する検知部(11a)と
前記検知部(11a)が前記通信不良状態を検知しているとき、前記標準時刻取得部(11b)が取得した標準時刻を出力する出力部(13)と、を備えた標準時刻出力装置(1)。
【符号の説明】
【0080】
1、1A…標準時刻出力装置
2…自動改札機
3…上位装置
5…ネットワーク
11…制御ユニット
11a…検知部
11b…標準時刻取得部
11c…起動制御部
12…標準電波受信部
13…近距離無線通信部
21…制御ユニット
21a…改札処理部
21b…検知部
21c…整時部
22…近接型無線通信部
23…磁気処理部
24…利用者検知部
25…表示部
26…扉開閉部
27…上位通信部
28…タイマ
29…近距離無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9