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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241029BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G03G15/00 680
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021058765
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155325
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山城 準
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸征
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 政士
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】佐野 利幸
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-24344(JP,A)
【文献】特開2003-75491(JP,A)
【文献】特開2002-244407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/06
G03G 13/14-13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/06
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/16-21/18
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
入力される制御信号に応じて前記画像形成部に出力電圧を出力する高圧電源基板であって、前記出力電圧に応じたフィードバック信号を出力する高圧電源基板と、
前記高圧電源基板と電気的に接続されており、前記高圧電源基板のグランドレベルとなる第1接地部材と、
前記フィードバック信号に応じて前記制御信号を前記高圧電源基板に出力するフィードバック制御を実行するメイン基板と、
前記メイン基板及び前記第1接地部材と電気的に接続されており、前記メイン基板のグランドレベルとなる第2接地部材と、
を備えており、
前記メイン基板は、前記第1接地部材のグランドレベルと前記第2接地部材のグランドレベルとの電位差を取得し、取得した前記電位差によって補正された値を用いて前記フィードバック制御を実行する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メイン基板は、
前記画像形成部によるシートへの画像形成時において、前記フィードバック信号の値を前記電位差によって補正し、補正されたフィードバック信号に基づいて前記制御信号を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記高圧電源基板が目標の出力電圧を出力する際の前記フィードバック信号の値の所定範囲が予め定められており、
前記メイン基板は、
前記画像形成部によるシートへの画像形成時において、前記所定範囲を前記電位差によって補正し、前記フィードバック信号の値が補正された所定範囲となるように前記制御信号を前記高圧電源基板へ出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記高圧電源基板は、
前記制御信号に応じて前記画像形成部に第1出力電圧を出力する第1出力電圧出力部と、
前記制御信号に応じて前記画像形成部に第2出力電圧を出力する第2出力電圧出力部と、
前記第1出力電圧出力部が出力した第1出力電圧に応じた第1フィードバック信号を出力する第1フィードバック信号出力部と、
前記第2出力電圧出力部が出力した第2出力電圧に応じた第2フィードバック信号を出力する第2フィードバック信号出力部と、を有しており、
前記メイン基板は、
前記第1出力電圧出力部及び前記第2出力電圧出力部に対して制御信号をそれぞれ出力しない状態において、
前記第1フィードバック信号出力部から、出力前第1フィードバック信号を取得し、
前記第2フィードバック信号出力部から、出力前第2フィードバック信号を取得し、
前記第1出力電圧出力部に対して制御信号を出力し、前記第2出力電圧出力部に対して制御信号を出力しない状態において、
前記第2フィードバック信号出力部から、出力後第2フィードバック信号を取得し、
前記出力後第2フィードバック信号の値と前記出力前第2フィードバック信号の値との差と、前記出力前第1フィードバック信号の値と、を加算した値から、前記電位差を取得する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記高圧電源基板は、前記第1出力電圧出力部及び前記第2出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部を有しており、
前記メイン基板は、
複数の出力電圧出力部に対してそれぞれ制御信号を出力しない状態において、
前記第1フィードバック信号出力部から、出力前第1フィードバック信号を取得し、
前記第2フィードバック信号出力部から、出力前第2フィードバック信号を取得し、
前記第2出力電圧出力部を除く出力電圧出力部に対して制御信号を出力し、前記第2出力電圧出力部に対して制御信号を出力しない状態において、
前記第2フィードバック信号出力部から、出力後第2フィードバック信号を取得し、
前記出力後第2フィードバック信号の値と前記出力前第2フィードバック信号の値との差と、前記出力前第1フィードバック信号の値と、を加算した値から、前記電位差を取得する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、
感光体ドラムと、前記感光体ドラムを帯電させるための帯電器と、前記感光体ドラムに現像剤を供給するための現像ローラと、前記感光体ドラムの表面に形成された現像剤像を前記感光体ドラムとの間を通過するシートに転写する転写ローラと、を備え、
前記高圧電源基板は、
前記制御信号に応じて前記画像形成部に第3出力電圧を出力する第3出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部を有しており、
前記第1出力電圧出力部は、前記帯電器に第1出力電圧を出力し、前記第2出力電圧出力部は、前記転写ローラに第2出力電圧を出力し、前記第3出力電圧出力部は、前記現像ローラに第3出力電圧を出力する、ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記メイン基板は、
前記高圧電源基板に対して制御信号を出力しない状態において、前記高圧電源基板から取得したフィードバック信号の値を、予め用意された係数で補正して、前記電位差を取得する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記メイン基板は、
前記画像形成部のウォーミングアップを実行する場合において、前記電位差を取得する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記メイン基板は、
前記電位差を取得後、所定時間経過した段階で、前記電位差を取得する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記メイン基板は、
取得した前記電位差を平均し、その平均された電位差によって補正された値を用いて、前記フィードバック制御を実行する、ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、メイン基板から高圧電源基板へ制御信号を送り、メイン基板が高圧電源基板からフィードバック信号を受信することにより、高圧電源基板が出力する電圧を制御していた。
【0003】
特許文献1に開示されている画像形成装置には、追加ハーネスが設けられている。追加ハーネスは、高圧電源基板のグランドに電気的に接続されており、メイン基板のグランドに電気的に接続されている。特許文献1に開示されている画像形成装置は、追加ハーネスによって、高圧電源基板のグランドレベルとメイン基板のグランドレベルとの差を小さくしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-24344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている画像形成装置においては、メイン基板におけるグランドレベルと高圧電源基板におけるグランドレベルとの電位差が発生すると、高圧電源基板が出力するフィードバック信号の電位がグランドレベルの電位差分だけズレる。これにより、メイン基板が、高圧電源基板の適切なフィードバック制御を行うことが困難であるという問題が発生する。
【0006】
本発明の一態様は、高圧電源基板の適切なフィードバック制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、入力される制御信号に応じて前記画像形成部に出力電圧を出力する高圧電源基板であって、前記出力電圧に応じたフィードバック信号を出力する高圧電源基板と、前記高圧電源基板と電気的に接続されており、前記高圧電源基板のグランドレベルとなる第1接地部材と、前記フィードバック信号に応じて前記制御信号を前記高圧電源基板に出力するフィードバック制御を実行するメイン基板と、前記メイン基板及び前記第1接地部材と電気的に接続されており、前記メイン基板のグランドレベルとなる第2接地部材と、を備えており、前記メイン基板は、前記第1接地部材のグランドレベルと前記第2接地部材のグランドレベルとの電位差を取得し、取得した前記電位差によって補正された値を用いて前記フィードバック制御を実行する。
【0008】
前記の構成によれば、メイン基板は、第1接地部材のグランドレベルと第2接地部材のグランドレベルとの電位差を取得し、取得した電位差によって補正された値を用いてフィードバック制御を実行する。これにより、当該電位差の影響を受けずに、メイン基板が高圧電源基板に対するフィードバック制御を実行することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記メイン基板は、前記画像形成部によるシートへの画像形成時において、前記フィードバック信号の値を前記電位差によって補正し、補正されたフィードバック信号に基づいて前記制御信号を出力する。
【0010】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、前記高圧電源基板が目標の出力電圧を出力する際の前記フィードバック信号の値の所定範囲が予め定められており、前記メイン基板は、前記画像形成部によるシートへの画像形成時において、前記所定範囲を前記電位差によって補正し、前記フィードバック信号の値が補正された所定範囲となるように前記制御信号を前記高圧電源基板へ出力する。
【0011】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記高圧電源基板は、前記制御信号に応じて前記画像形成部に第1出力電圧を出力する第1出力電圧出力部と、前記制御信号に応じて前記画像形成部に第2出力電圧を出力する第2出力電圧出力部と、前記第1出力電圧出力部が出力した第1出力電圧に応じた第1フィードバック信号を出力する第1フィードバック信号出力部と、前記第2出力電圧出力部が出力した第2出力電圧に応じた第2フィードバック信号を出力する第2フィードバック信号出力部と、を有しており、前記メイン基板は、前記第1出力電圧出力部及び前記第2出力電圧出力部に対して制御信号をそれぞれ出力しない状態において、前記第1フィードバック信号出力部から、出力前第1フィードバック信号を取得し、前記第2フィードバック信号出力部から、出力前第2フィードバック信号を取得し、前記第1出力電圧出力部に対して制御信号を出力し、前記第2出力電圧出力部に対して制御信号を出力しない状態において、前記第2フィードバック信号出力部から、出力後第2フィードバック信号を取得し、前記出力後第2フィードバック信号の値と前記出力前第2フィードバック信号の値との差と、前記出力前第1フィードバック信号の値と、を加算した値から、前記電位差を取得する。
【0012】
前記の構成によれば、第1及び第2出力電圧出力部のいずれもが出力電圧が出力しない状態において、出力前第1フィードバック信号値を取得することで、第1及び第2出力電圧出力部のいずれもが出力電圧を出力しない状態におけるグランドレベルの電位差を取得することができる。
【0013】
そして、第1及び第2出力電圧出力部のうち第2出力電圧出力部が出力電圧を出力しない状態において、出力後第2フィードバック信号値を取得することで、第1出力電圧出力部が出力電圧を出力する状態におけるグランドレベルの電位差を取得することができる。
【0014】
メイン基板が高圧電源基板のフィードバック制御を実行する際、フィードバック信号(又は所定範囲)を、取得したグランドレベルの電位差を用いて適切に補正することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記高圧電源基板は、前記第1出力電圧出力部及び前記第2出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部を有しており、前記メイン基板は、複数の出力電圧出力部に対してそれぞれ制御信号を出力しない状態において、前記第1フィードバック信号出力部から、出力前第1フィードバック信号を取得し、前記第2フィードバック信号出力部から、出力前第2フィードバック信号を取得し、前記第2出力電圧出力部を除く出力電圧出力部に対して制御信号を出力し、前記第2出力電圧出力部に対して制御信号を出力しない状態において、前記第2フィードバック信号出力部から、出力後第2フィードバック信号を取得し、前記出力後第2フィードバック信号の値と前記出力前第2フィードバック信号の値との差と、前記出力前第1フィードバック信号の値と、を加算した値から、前記電位差を取得する。
【0016】
前記の構成によれば、3以上の出力電圧出力部のうち、1つのみ出力電圧を出力しない状態において、電位差を取得するため、より正確に電位差を取得することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記画像形成部は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムを帯電させるための帯電器と、前記感光体ドラムに現像剤を供給するための現像ローラと、前記感光体ドラムの表面に形成された現像剤像を前記感光体ドラムとの間を通過するシートに転写する転写ローラと、を備え、前記高圧電源基板は、前記制御信号に応じて前記画像形成部に第3出力電圧を出力する第3出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部を有しており、前記第1出力電圧出力部は、前記帯電器に第1出力電圧を出力し、前記第2出力電圧出力部は、前記転写ローラに第2出力電圧を出力し、前記第3出力電圧出力部は、前記現像ローラに第3出力電圧を出力する。
【0018】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記メイン基板は、前記高圧電源基板に対して制御信号を出力しない状態において、前記高圧電源基板から取得したフィードバック信号の値を、予め用意された係数で補正して、前記電位差を取得する。
【0019】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記メイン基板は、前記画像形成部のウォーミングアップを実行する場合において、前記電位差を取得する。
【0020】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記メイン基板は、前記電位差を取得後、所定時間経過した段階で、前記電位差を取得する。
【0021】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記メイン基板は、取得した前記電位差を平均し、その平均された電位差によって補正された値を用いて、前記フィードバック制御を実行する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、高圧電源基板の適切なフィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す側断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の高圧電源基板、メイン基板、第1接地部材、及び第2接地部材等の概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の高圧電源基板及びメイン基板等の概略構成を示すブロック図である。
図4】(a)及び(b)は、第1接地部材のグランドレベルと第2接地部材のグランドレベルとの間の電位差と、高圧電源基板の出力電圧との関係を概略的に示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置のCPU及び制御系の一例を示す回路図である。
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置のCPU及び制御系の別の例を示す回路図である。
図7】フィードバック信号のAD値の一例を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図9】オフセット値の取得の流れを示すフローチャートである。
図10】画像形成時におけるフィードバック定電流制御の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態の変形例2に係る画像形成装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す側断面図である。画像形成装置1は、シート3に画像を形成する装置である。図1において、紙面右側を前側、紙面左側を後側とする。図1において、画像形成装置1は、画像形成装置1の本体フレーム2内に、記録媒体の一例であるシート3を給紙するためのフィーダ部4、及び給紙されたシート3に画像を形成する画像形成部5等を備えている。画像形成装置1の一例として、レーザプリンタ、LED(Light Emitting Diode)プリンタ、ファクシミリ装置、並びに、コピー機能及びスキャナ機能等を備えた複合機が挙げられる。
【0026】
フィーダ部4は、本体フレーム2内の底部に設けられている。フィーダ部4は、給紙トレイ6、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられた給紙ローラ8、及び給紙ローラ8に対してシート3の搬送方向の下流側に設けられたレジストローラ12等を含んでいる。
【0027】
給紙トレイ6の最上位にあるシート3は、給紙ローラ8の回転によって1枚毎に給紙される。給紙されたシート3は、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、シート3をレジスト後に、このシート3を画像形成位置に送る。なお、画像形成位置は、感光体ドラム27と転写ローラ30との接触位置とされる。
【0028】
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17、及び定着部18を含んでいる。
【0029】
スキャナ部16は、本体フレーム2内の上部に設けられている。スキャナ部16は、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー19、並びに反射鏡22及び23等を含んでいる。レーザ発光部から発光される、画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、反射鏡22及び23等を介して、感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0030】
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に設けられている。プロセスカートリッジ17は、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に収容された現像カートリッジ28とを含んでいる。現像カートリッジ28は、ドラムユニット51に対して着脱自在に収容されている。現像カートリッジ28は、現像ローラ31、供給ローラ33、及びトナーホッパ34等を含んでいる。
【0031】
トナーホッパ34内には、例えば正帯電性のトナーが充填されている。トナーホッパ34の後方位置には、供給ローラ33が設けられている。また、この供給ローラ33に対向して、金属製のローラ軸31aを有する現像ローラ31が設けられている。現像時に、ローラ軸31aには、所定の現像バイアス電圧が印加される。トナーホッパ34から放出されるトナーは、供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で、正に摩擦帯電される。
【0032】
ドラムユニット51は、感光体ドラム27、帯電器29、及び転写ローラ30等を備えている。感光体ドラム27は、現像ローラ31と対向配置されている。感光体ドラム27は、筒状のドラム本体と、そのドラム本体の軸心に、接地された金属製のドラム軸27aとを含んでいる。ドラム本体の表面には、正帯電性の感光層が形成されている。また、感光体ドラム27の上方には、レーザビームの通路として露光窓が形成されている。
【0033】
帯電器29は、感光体ドラム27の上方に、感光体ドラム27に接触しないように、感光体ドラム27から所定間隔を空けて、感光体ドラム27と対向配置されている。帯電器29は、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとを含んでいる。帯電器29は、帯電ワイヤ29aからの放電によって、グリッド29bを介して感光体ドラム27の表面を一様(例えば、正極性約700V)に帯電させる。帯電ワイヤ29aには例えば、5kV~8kVの帯電電圧が印加される。
【0034】
感光体ドラム27の表面は、感光体ドラム27の回転に伴って、まず、帯電器29により一様に正帯電される。その後、帯電表面は、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光され、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31の表面上に担持されかつ正極性に帯電されているトナーが感光体ドラム27の表面上の静電潜像に供給され、静電潜像が現像される。
【0035】
転写ローラ30は、金属製のローラ軸30aを有している。転写ローラ30は、感光体ドラム27の下方において、感光体ドラム27と対向配置されている。ローラ軸30aには、例えば導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。
【0036】
定着部18は、プロセスカートリッジ17の後方下流側に設けられている。定着部18は、加熱ローラ41と、加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42とを含んでいる。そして、定着部18では、シート3上に転写されたトナーが、シート3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着される。その後、シート3は、排紙ローラ45に送られて、その排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0037】
図2は、画像形成装置1の高圧電源基板101、メイン基板102、第1接地部材104、及び第2接地部材105等の概略図である。図2において、紙面上側を前側、紙面下側を後側とする。画像形成装置1は、高圧電源基板101、メイン基板102、低圧電源基板103、第1接地部材104、第2接地部材105、及び第3接地部材106を備えている。
【0038】
高圧電源基板101は、第1接地部材104と電気的に接続されている。第1接地部材104は、高圧電源基板101のグランドレベルとなる基板(グランドGND1)である。
【0039】
メイン基板102は、第2接地部材105と電気的に接続されている。第2接地部材105は、メイン基板102のグランドレベルとなる基板(グランドGND2)である。
【0040】
低圧電源基板103は、第3接地部材106と電気的に接続されている。第3接地部材106は、低圧電源基板103のグランドレベルとなる基板である。
【0041】
第1接地部材104と第2接地部材105とが電気的に接続されている。第1接地部材104と第3接地部材106とが電気的に接続されている。第3接地部材106は、図示しない商用電源から画像形成装置1に交流電圧を供給するためのプラグ107のグランドと電気的に接続されている。
【0042】
図3は、画像形成装置1の高圧電源基板101及びメイン基板102等の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
高圧電源基板101は、第1接地部材104(グランドGND1)に接続されている。メイン基板102は、第2接地部材105(グランドGND2)に接続されている。高圧電源基板101は、メイン基板102の電源24Vから供給されている電力によって駆動している。
【0044】
高圧電源基板101は、高圧電源基板101に入力される制御信号PWMに応じて画像形成部5に出力電圧Voutを出力するものである。高圧電源基板101は、画像形成部5の感光体ドラム27と、帯電器29と、現像ローラ31と、転写ローラ30のそれぞれに対して、出力電圧Voutを出力するものである。
【0045】
高圧電源基板101は、出力電圧出力部111及びフィードバック信号出力部112を有している。出力電圧出力部111は、出力電圧出力部111に入力される制御信号PWMに応じて画像形成部5に出力電圧Voutを出力するものである。フィードバック信号出力部112は、出力電圧出力部111が出力した出力電圧Voutに応じたフィードバック信号FBを出力するものである。このように、高圧電源基板101は、フィードバック信号出力部112により、出力電圧Voutに応じたフィードバック信号FBを出力するものである。
【0046】
メイン基板102は、画像形成部5及び高圧電源基板101を制御するCPU(Central Processing Unit)61を有している。メイン基板102は、CPU61により、フィードバック信号FBに応じて制御信号PWMを高圧電源基板101に出力するフィードバック制御を実行するものである。メイン基板102は、高圧電源基板101へ制御信号PWMを出力し、高圧電源基板101からフィードバック信号FBが入力されるものである。
【0047】
メイン基板102は、CPU61により、第1接地部材104のグランドレベルと第2接地部材105のグランドレベルとの電位差を取得し、取得した電位差によって補正された値を用いてフィードバック制御を実行する。これにより、メイン基板102は、当該電位差の影響を受けずに、高圧電源基板101に対するフィードバック制御を実行することができる。
【0048】
また、メイン基板102は、CPU61により、画像形成部5によるシート3への画像形成時において、フィードバック信号FBの値を前記の電位差によって補正し、補正されたフィードバック信号FBに基づいて制御信号PWMを出力する。一方、高圧電源基板101の出力電圧出力部111が目標の出力電圧Voutを出力する際のフィードバック信号FBの値の所定範囲が予め定められている場合も考えられる。この場合、メイン基板102は、CPU61により、画像形成部5によるシート3への画像形成時において、この所定範囲を前記の電位差によって補正し、フィードバック信号FBの値が補正された所定範囲となるように制御信号PWMを高圧電源基板101へ出力してもよい。
【0049】
メイン基板102は、CPU61により、画像形成部5のウォーミングアップを実行する場合において、前記の電位差を取得することが好ましい。
【0050】
なお、画像形成装置1は、出力電圧出力部111、フィードバック信号出力部112、出力電圧Vout、制御信号PWM、及びフィードバック信号FBを含む制御系113を備えていると解釈することができる。画像形成装置1は、この制御系113を2つ以上、好ましくは3つ以上備えている。CPU61は、全ての制御系113を統括して制御する。図3には、画像形成装置1が、3つの制御系113を備えている例を示している。
【0051】
第1接地部材104と第2接地部材105とが電気的に接続されているため、これらの間に抵抗Rが生じ、この抵抗Rに電流Iが流れる結果、第1接地部材104のグランドレベルと第2接地部材105のグランドレベルとの間に電位差が生じるおそれがある。
【0052】
図4の(a)及び(b)は、第1接地部材104のグランドレベルと第2接地部材105のグランドレベルとの間の電位差と、出力電圧Voutとの関係を概略的に示すブロック図である。図4の(a)及び(b)においては、図示及び説明を簡潔にするために、1つの制御系113に関して図示及び説明を行う。
【0053】
図4の(a)は、高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力していない場合に相当する。図4の(b)は、高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力している場合に相当する。高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力しているときに抵抗Rに流れる電流Ibの値は、高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力していないときに抵抗Rに流れる電流Iaの値よりも大きい。このため、第1接地部材104のグランドレベルと第2接地部材105のグランドレベルとの間の電位差は、高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力していないときより、高圧電源基板101が出力電圧Voutを出力しているときのほうが大きい。
【0054】
図5は、画像形成装置1のCPU61及び制御系113の一例を示す回路図である。
【0055】
CPU61には、帯電電圧Vchgを生成し出力する第1高圧電源回路62と、接続ライン90、帯電ワイヤ29a及びグリッド29bを介して流れるグリッド電流Igrに応じたグリッドフィードバック信号S3を出力するグリッド信号出力回路84とが接続されている。第1高圧電源回路62は、接続ライン90を介してプロセスカートリッジ17に接続されている。
【0056】
グリッド信号出力回路84は、例えば2つの分圧抵抗84a及び84bによって構成されている。グリッド信号出力回路84は、その分圧比に応じて、グリッドフィードバック信号S3を検出する。
【0057】
第1高圧電源回路62は、CPU61のPWM(Pulse Width Modulation)制御によって、グリッド電流Igrが一定の電流となるように定電流制御される。
【0058】
第1高圧電源回路62は、PWM信号平滑回路70、トランスドライブ回路71、昇圧・平滑整流回路72、及び補助巻線電圧検出回路73を含んでいる。
【0059】
PWM信号平滑回路70は、CPU61のPWMポート61aからのPWM信号である第1制御信号S1を平滑し、平滑された第1制御信号S1をトランスドライブ回路71に提供する。トランスドライブ回路71は、平滑された第1制御信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路72の1次側巻線75bに発振電流を流す。
【0060】
昇圧・平滑整流回路72は、トランス75、ダイオード76、及び平滑コンデンサ77等を備えている。トランス75は、2次側巻線75a、1次側巻線75b、及び補助巻線75cを備えている。2次側巻線75aの一端は、ダイオード76を介して接続ライン90に接続されている。一方、2次側巻線75aの他端は、接地されている。また、平滑コンデンサ77及び抵抗78がそれぞれ2次側巻線75aに並列に接続されている。
【0061】
1次側巻線75bの電圧は、昇圧・平滑整流回路72において昇圧及び整流される。第1高圧電源回路62に接続された帯電器29の帯電ワイヤ29aに1次側巻線75bの電圧が昇圧及び整流された帯電電圧Vchgが印加される。
【0062】
補助巻線電圧検出回路73は、昇圧・平滑整流回路72のトランス75の補助巻線75cと、CPU61とに接続されている。補助巻線電圧検出回路73は、第1高圧電源回路62による帯電動作時において、補助巻線75cに発生する第1フィードバック電圧Vdを整流して、検出信号S2を検出する。そして、補助巻線電圧検出回路73は、検出信号S2をCPU61のA/Dポート61bに出力する。
【0063】
なお、第1高圧電源回路62は、第1電圧出力回路63と、第1フィードバック電圧出力回路64とに分けることができる。
【0064】
第1電圧出力回路63は、PWM信号平滑回路70と、トランスドライブ回路71と、補助巻線75cを除く昇圧・平滑整流回路72と、抵抗78とを有している。第1電圧出力回路63は、帯電電圧Vchgを帯電器29に出力する。
【0065】
第1フィードバック電圧出力回路64は、昇圧・平滑整流回路72の補助巻線75cと、補助巻線電圧検出回路73とを有している。第1フィードバック電圧出力回路64は、帯電電圧Vchgに対応する検出信号S2をCPU61に出力する。
【0066】
図2等に示した高圧電源基板101には、図5に示した第1高圧電源回路62及びグリッド信号出力回路84が設けられている。図2等に示したメイン基板102には、図5に示したCPU61が設けられている。分圧抵抗84bにおける分圧抵抗84aと反対側の端部、及び2次側巻線75aの他端は、第1接地部材104に接続されている。CPU61は、メイン基板102を介して第2接地部材105に接続されている。
【0067】
図5の第1電圧出力回路63が、図3等の出力電圧出力部111に相当する。図5の第1フィードバック電圧出力回路64が、図3等のフィードバック信号出力部112に相当する。図5の帯電電圧Vchgが、図3等の出力電圧Voutに相当する。図5の第1制御信号S1が、図3等の制御信号PWMに相当する。図5の検出信号S2が、図3等のフィードバック信号FBに相当する。
【0068】
図6は、画像形成装置1のCPU61及び制御系113の別の例を示す回路図である。
【0069】
バイアス印加回路360は、転写ローラ30に対して、順転写動作時に順転写バイアス電圧Vtpを印加する。一方、バイアス印加回路360は、残存トナー除去時には逆バイアス電圧Vtnを印加する。また、バイアス印加回路360は、流入電流Iiを引き起こす起因電圧の決定時、又は起因電圧を打ち消した状態において負荷抵抗を算出するために、逆バイアス電圧Vbを印加する。
【0070】
バイアス印加回路360は、CPU61と、順転写バイアス電圧Vtpを生成する順転写バイアス印加回路362と、逆バイアス電圧Vtn及びVbを生成する逆バイアス印加回路363とを備えている。なお、各バイアス印加回路362及び363は、転写ローラ30のローラ軸30aに接続される接続ライン390に、順転写バイアス印加回路362及び逆バイアス印加回路363の順序で直列に接続されている。また、CPU61は、バイアス印加回路360の制御の他に、画像形成に係る画像形成装置1の各部の制御も行う。
【0071】
また、バイアス印加回路360は、接続ライン390に流れる電流値に応じた検出信号S303を出力する電流検出回路384を含んでいる。なお、バイアス印加回路360は、その他の高電圧、例えば帯電電圧等を印加するための回路を含んでいるが、その図示は省略されている。
【0072】
順転写バイアス印加回路362は、CPU61のPWM制御によって定電流制御され、逆バイアス印加回路363は、CPU61のPWM制御によって定電圧制御される。
【0073】
順転写バイアス印加回路362は、高電圧かつ負電圧の発生回路であり、順転写PWM信号平滑回路370、順転写トランスドライブ回路371、順転写昇圧・平滑整流回路372、及び順転写出力電圧検出回路373を含んでいる。
【0074】
順転写PWM信号平滑回路370は、CPU61のPWMポート361aからのPWM信号S301を平滑し、平滑されたPWM信号S301を順転写トランスドライブ回路371に提供する。順転写トランスドライブ回路371は、平滑されたPWM信号S301に基づき、順転写昇圧・平滑整流回路372の1次側巻線375bに発振電流を流す。
【0075】
順転写昇圧・平滑整流回路372は、トランス375、ダイオード376、及び平滑コンデンサ377等を備えている。トランス375は、2次側巻線375a、1次側巻線375b、及び補助巻線375cを備えている。2次側巻線375aの一端は、ダイオード376を介して接続ライン390に接続されている。一方、2次側巻線375aの他端は、逆バイアス印加回路363の出力端に共通接続されている。また、平滑コンデンサ377及び抵抗378がそれぞれ2次側巻線375aに並列に接続されている。
【0076】
1次側巻線375bの電圧は、順転写昇圧・平滑整流回路372において昇圧及び整流される。バイアス印加回路360の出力端Atmに接続された転写ローラ30のローラ軸30aに、1次側巻線375bの電圧を昇圧及び整流した電圧である順転写バイアス電圧Vtpが印加される。
【0077】
順転写出力電圧検出回路373は、順転写昇圧・平滑整流回路372のトランス375の補助巻線375cと、CPU61とに接続されている。順転写出力電圧検出回路373は、順転写バイアス印加回路362による順転写動作時において、補助巻線375cの間で発生する出力電圧Vqを検出して、その検出信号S302をCPU61のA/Dポート361bに供給する。CPU61は、検出信号S302に基づいて、順転写バイアス電圧Vtpを検出する。
【0078】
逆バイアス印加回路363は、順転写バイアス印加回路362と同様に高電圧かつ正電圧の発生回路であり、逆バイアスPWM信号平滑回路380、逆バイアストランスドライブ回路381、及び逆バイアス昇圧・平滑整流回路382を含んでいる。
【0079】
逆バイアスPWM信号平滑回路380は、CPU61のPWMポート361dからのPWM信号S304を平滑し、平滑されたPWM信号S304を逆バイアストランスドライブ回路381に供給する。逆バイアストランスドライブ回路381は、平滑されたPWM信号S304に基づき、逆バイアス昇圧・平滑整流回路382の1次側巻線385bに発振電流を流す。
【0080】
逆バイアス昇圧・平滑整流回路382は、トランス385、ダイオード386、及び平滑コンデンサ387等を備えている。トランス385は、2次側巻線385a及び1次側巻線385bを備えている。2次側巻線385aの一端は、ダイオード386を介して順転写バイアス印加回路362の2次側巻線375aの他端に接続されている。一方、2次側巻線385aの他端は、電流検出回路384の検出抵抗389を介して接地されている。また、この2次側巻線385aに対し、平滑コンデンサ387及び抵抗388がそれぞれ並列に接続されている。また、抵抗388に直列接続された検出抵抗389が電流検出抵抗とされており、この検出抵抗389に流れる電流値に応じた検出信号S303がCPU61のA/Dポート361cにフィードバックされる。
【0081】
1次側巻線385bの電圧は、逆バイアス昇圧・平滑整流回路382において昇圧及び整流される。バイアス印加回路360の出力端Atmに接続された転写ローラ30のローラ軸30aに、1次側巻線385bの電圧を昇圧及び整流した電圧である残存トナー除去用の逆バイアス電圧Vtnが印加される。さらに、逆バイアス印加回路363の出力電圧は、起因電圧の決定用、或いは起因電圧を打ち消すための逆バイアス電圧Vbとして転写ローラ30に印加される。
【0082】
図2等に示した高圧電源基板101には、図6に示した順転写バイアス印加回路362、逆バイアス印加回路363、及び電流検出回路384が設けられている。図2等に示したメイン基板102には、図6に示したCPU61が設けられている。検出抵抗389における抵抗388と反対側の端部は、第1接地部材104に接続されている。CPU61は、メイン基板102を介して第2接地部材105に接続されている。
【0083】
図6の順転写PWM信号平滑回路370、順転写トランスドライブ回路371、補助巻線375cを除く順転写昇圧・平滑整流回路372、及び抵抗378が、図3等の出力電圧出力部111に相当する。図6の順転写昇圧・平滑整流回路372の補助巻線375c及び順転写出力電圧検出回路373が、図3等のフィードバック信号出力部112に相当する。図6の順転写バイアス電圧Vtpが、図3等の出力電圧Voutに相当する。図6のPWM信号S301が、図3等の制御信号PWMに相当する。図6の検出信号S302が、図3等のフィードバック信号FBに相当する。
【0084】
図7は、フィードバック信号FBのAD値の一例を示すタイミングチャートである。図8は、画像形成装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図9は、オフセット値の取得の流れを示すフローチャートである。図10は、画像形成時におけるフィードバック定電流制御の流れを示すフローチャートである。
【0085】
図7には、フィードバック信号FB_GRID及びFB_TRCCVという、2種類のフィードバック信号FBについて、経過時間に対するAD値の変化を示している。フィードバック信号FBのAD値とは、フィードバック信号FBが、CPU61に入力されて得られたデジタル値である。
【0086】
フィードバック信号FB_GRIDは、制御信号PWMに応じて出力電圧出力部111が画像形成部5の帯電器29に対して出力する出力電圧Voutに応じて、フィードバック信号出力部112が出力したフィードバック信号FBである。フィードバック信号FB_GRIDは、第1フィードバック信号の一例である。当該出力電圧出力部111は第1出力電圧出力部に対応し、当該出力電圧Voutは第1出力電圧に対応し、当該フィードバック信号出力部112は第1フィードバック信号出力部に対応する。
【0087】
フィードバック信号FB_TRCCVは、制御信号PWMに応じて出力電圧出力部111が画像形成部5の転写ローラ30に対して出力する出力電圧Voutに応じて、フィードバック信号出力部112が出力したフィードバック信号FBである。フィードバック信号FB_TRCCVは、第2フィードバック信号の一例である。当該出力電圧出力部111は第2出力電圧出力部に対応し、当該出力電圧Voutは第2出力電圧に対応し、当該フィードバック信号出力部112は第2フィードバック信号出力部に対応する。
【0088】
画像形成装置1の電源がオン状態となる(ST0)。なお、ステップST0の前において、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は0であり、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は0である。
【0089】
画像形成装置1は、画像形成部5のウォーミングアップの実行を開始する(ST1)。CPU61は、下記ステップST20~ST2jに示す要領で、オフセット値の取得を行う(ST2)。
【0090】
オフセット値の取得が開始される(ST20)と、CPU61は、高圧電源基板101をオン状態とする(ST21)。ステップST21を実行する時点(図7及び9中、丸数字の「1」参照)において、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は(0+A)に相当するAGであり、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は0より大きいBoffである。
【0091】
ステップST21から所定時間が経過(ST22)した後、CPU61は、フィードバック信号FB_GRID及びFB_TRCCVを取得する(ST23)。ステップST23で取得されたフィードバック信号FB_GRIDは、出力前第1フィードバック信号の一例である。ステップST23で取得されたフィードバック信号FB_TRCCVは、出力前第2フィードバック信号の一例である。このとき、CPU61は、フィードバック信号FB_GRID及びFB_TRCCVを、それぞれ、前述した第1フィードバック信号出力部及び第2フィードバック信号出力部から取得する。
【0092】
CPU61は、数値Aに、ステップST23で取得したフィードバック信号FB_GRIDのAD値であるAGを代入する。CPU61は、数値Boffに、ステップST23で取得したフィードバック信号FB_TRCCVのAD値であるBoffを代入する(ST24)。
【0093】
ステップST21の後、ステップST25までの間は、CPU61は、前述した第1出力電圧出力部及び第2出力電圧出力部に対して制御信号PWMをそれぞれ出力しない状態を維持する。
【0094】
CPU61は、制御信号PWMを、第1出力電圧出力部である出力電圧出力部111に出力する。制御信号PWMが入力された第1出力電圧出力部である出力電圧出力部111は、帯電器29に対して、出力電圧VoutであるVchg(CHG)を出力する(ST25)。ステップST25の開始時点(図7及び9中、丸数字の「2」参照)まで、フィードバック信号FB_GRIDのAD値はAGであり、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値はBoffである。
【0095】
なお、高圧電源基板101は、帯電器29に出力電圧Voutを出力するのと同時に、現像ローラ31に出力電圧Voutを出力してもよい。
【0096】
ステップST25から所定時間経過(ST26)した後、CPU61は、流入電流Ii(図6参照)を検出する(ST27)。
【0097】
CPU61は、流入電流Iiが所定の閾値Ith1以下であるか否かを判定する(ST28)。なお、閾値Ith1は、順転写バイアス印加回路362(図6参照)の起動動作に影響を与えない流入電流Iiの値として、事前に実験等によって決定される。流入電流Iiが閾値Ith1以下でない(ST28においてNOである)場合、CPU61は、現在の逆バイアス電圧Vsに所定の増量電圧ΔVad(例えば100V)を加算して新たな逆バイアス電圧の値Vsを設定する(ST29)。なお、逆バイアス電圧Vsとは、逆バイアス印加回路363(図6参照)が出力し、トナー像の転写時に転写ローラ30のローラ軸30aに印加される電圧である。
【0098】
流入電流Iiが閾値Ith1以下である(ST28においてYESである)場合、CPU61は、予め設定されている転写目標電流値Ioをそのまま転写目標電流値として設定して(ST2a)、転写出力を開始する(ST2b)。
【0099】
ステップST25の開始以後、ステップST2bの開始時点(図7及び9中、丸数字の「3」参照)までの間、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は、AGからAHまで大きくなっている。また、この間、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は、Boffから、Boff+Bに相当するBonまで大きくなっている。
【0100】
CPU61は、逆バイアス電圧Vsの下限値Vsminを維持するように逆バイアス印加回路363を定電圧制御するとともに、順バイアス電圧Va1を印加して転写目標電流Ioが得られるように、順転写バイアス印加回路362を定電流制御する(ST2c)。
【0101】
CPU61は、ステップST2cから所定時間経過するまで、ステップST2cを継続する(ST2d)。CPU61は、ステップST2cから所定時間経過する(ST2dにおいてYESである)と、転写出力を停止する(ST2e)。
【0102】
ステップST2bの開始以後、ステップST2eの開始時点(図7及び9中、丸数字の「4」参照)までの間、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は、AHである。また、この間、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は、Bonより大きいBHである。
【0103】
CPU61は、再び、前述した第2フィードバック信号出力部からフィードバック信号FB_TRCCVを取得する(ST2f)。このとき、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は、BHから下がっており、Bonである。一方、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は、引き続きAHである。これは、前述した第1出力電圧出力部に対して制御信号PWMを出力し、第2出力電圧出力部に対して制御信号PWMを出力しない状態である。この解釈によれば、ステップST2fで取得するフィードバック信号FB_TRCCVのAD値は、出力後第2フィードバック信号の一例である。
【0104】
CPU61は、ステップST2fで取得したフィードバック信号FB_TRCCVのAD値から、ステップST24にて得られた数値Boffを減算して、換言すれば(Bon-Boff)によって、数値Bを求める(ST2g)。
【0105】
CPU61は、制御信号PWMを、第1出力電圧出力部である出力電圧出力部111に出力することを停止する。第1出力電圧出力部である出力電圧出力部111は、帯電器29に対して、出力電圧VoutであるVchgを出力することを停止する(ST2h)。ステップST2h(図7及び9中、丸数字の「5」参照)以降、フィードバック信号FB_GRIDのAD値は、AGまで小さくなり、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値は、Boffまで小さくなる。
【0106】
そして、CPU61は、数値Aと数値Bとを加算して、換言すれば、AG+(Bon-Boff)によって、オフセット値を求める(ST2i)。ステップST2iで行う演算は、(1)AD値がBonである出力後第2フィードバック信号の値と、AD値がBoffである出力前第2フィードバック信号の値との差と、(2)AD値がAGである出力前第1フィードバック信号の値と、を加算することであると解釈することができる。当該オフセット値を求めることで、オフセット値の取得を終了とする(ST2j)。
【0107】
ステップST2で取得したオフセット値が、前述した第1接地部材104のグランドレベルと第2接地部材105のグランドレベルとの電位差に相当する。
【0108】
前記の構成によれば、第1及び第2出力電圧出力部のいずれもが出力電圧Voutが出力しない状態において、出力前第1フィードバック信号値を取得することで、第1及び第2出力電圧出力部のいずれもが出力電圧Voutを出力しない状態におけるグランドレベルの電位差を取得することができる。
【0109】
そして、第1及び第2出力電圧出力部のうち第2出力電圧出力部が出力電圧Voutを出力しない状態において、出力後第2フィードバック信号値を取得することで、第1出力電圧出力部が出力電圧Voutを出力する状態におけるグランドレベルの電位差を取得することができる。
【0110】
CPU61が高圧電源基板101のフィードバック制御を実行する際、フィードバック信号(又は所定範囲)を、取得したグランドレベルの電位差を用いて適切に補正することができる。
【0111】
また、高圧電源基板101が、第1出力電圧出力部及び第2出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部111を有している場合もある。この場合、メイン基板102は、複数の出力電圧出力部111に対してそれぞれ制御信号PWMを出力しない状態において、第1フィードバック信号出力部から、出力前第1フィードバック信号を取得し、第2フィードバック信号出力部から、出力前第2フィードバック信号を取得し、第2出力電圧出力部を除く出力電圧出力部111に対して制御信号PWMを出力し、第2出力電圧出力部に対して制御信号PWMを出力しない状態において、第2フィードバック信号出力部から、出力後第2フィードバック信号を取得し、(1)出力後第2フィードバック信号の値と出力前第2フィードバック信号の値との差と、(2)出力前第1フィードバック信号の値と、を加算した値から、前記電位差を取得してもよい。すなわち、第1出力電圧出力部及び第2出力電圧出力部のいずれもを有していない制御系113については、第1出力電圧出力部を有している制御系113と同じ要領で、制御信号PWMの出力タイミングを決めればよい。
【0112】
前記の構成によれば、3以上の出力電圧出力部111のうち、1つのみ出力電圧Voutを出力しない状態において、電位差を取得するため、より正確に電位差を取得することができる。
【0113】
図1に示すとおり、画像形成部5は、感光体ドラム27と、感光体ドラム27を帯電させるための帯電器29と、感光体ドラム27にトナー(現像剤)を供給するための現像ローラ31と、感光体ドラム27の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を感光体ドラム27との間を通過するシート3に転写する転写ローラ30と、を備えている。高圧電源基板101が、第1出力電圧出力部及び第2出力電圧出力部に加え、制御信号PWMに応じて画像形成部5に第3出力電圧を出力する第3出力電圧出力部を含む3以上の複数の出力電圧出力部111を有している場合、以下のことが言える。第1出力電圧出力部は、帯電器29に第1出力電圧を出力し、第2出力電圧出力部は、転写ローラ30に第2出力電圧を出力する。更に、第3出力電圧出力部は、現像ローラ31に第3出力電圧を出力することが考えられる。
【0114】
ステップST2の終了後、画像形成部5のウォーミングアップが終了する(ST3においてYESである)と、CPU61は、印字命令の有無を判定する(ST4)。ステップST3の後、ステップST4においてYESと判定されるまでの期間は、図7によれば画像形成装置1の待機期間に相当する。当該待機期間において、フィードバック信号FB_GRIDのAD値はAGであり、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値はBoffである。
【0115】
印字命令がある(ST4においてYESである)場合、CPU61は、フィードバック信号FB_GRID、FB_TRCCV、及びFB_TRCC、更には現像ローラ31からのフィードバック信号であるFB_DEVを含むフィードバック信号に対して、ステップST2iにて求められたオフセット値を設定し(ST5)、設定したオフセット値を用いたフィードバック制御を行いつつ画像形成を行う(ST6)。図7によれば、画像形成装置1の印字期間において、フィードバック信号FB_GRIDのAD値及びFB_TRCCVのAD値の各々に対して、オフセット値、すなわち数値Aと数値Bとの和に相当する値が減算されている。
【0116】
具体例を挙げると、ステップST6においてCPU61は、下記ステップST60~ST67に示す要領で、画像形成時におけるフィードバック定電流制御を行う。
【0117】
オフセット値の設定が開始される(ST60)と、CPU61は、制御信号PWM-TRCCを出力する(ST61)。制御信号PWM-TRCCは、PWM信号S301(図6参照)に相当する。CPU61は、フィードバック信号FB_TRCCを取得する(ST62)。フィードバック信号FB_TRCCは、検出信号S303(図6参照)に相当する。
【0118】
CPU61は、フィードバック信号FB_TRCCのAD値から、オフセット値すなわち数値Aと数値Bとの和に相当する値を減算して、補正FB_TRCCを求める(ST63)。
【0119】
CPU61は、補正FB_TRCCが、目標電流範囲内であるか、すなわち「目標電流-α≦補正FB_TRCC≦目標電流+α」であるか否かを判定する(ST64)。補正FB_TRCCが目標電流範囲内でない(ST64においてNOである)場合、CPU61は、目標電流範囲内の補正FB_TRCCを得ることを目的として、制御信号PWM-TRCCを変更する(ST65)。
【0120】
転写出力が終了されていない(ST66においてNOである)場合、ステップST62に移行する。転写出力が終了されている(ST66においてYESである)場合、CPU61は、画像形成時におけるフィードバック定電流制御を終了する(ST67)。
【0121】
画像形成の終了後、CPU61は、印字が終了しているか否かを判定する(ST7)。印字が終了していない(ST7においてNOである)間、ステップST7を繰り返す。印字が終了している(ST7においてYESである)場合、ステップST4に移行する。
【0122】
印字命令がない(ST4においてNOである)場合であって、画像形成装置1の電源がオフでない(ST8においてNOである)場合、CPU61は、直近のステップST2又は後述するステップSTaから所定時間経過しているか否かを判定する(ST9)。
【0123】
直近のステップST2又はSTaから所定時間経過している(ST9においてYESである)場合、CPU61は、オフセット値の補正を行う(STa)。当該オフセット値の補正は、前述したステップST23~ST2jを行うことにより、実現することができる。これは、メイン基板102は、CPU61により、電位差に相当するオフセット値を取得後、所定時間経過した段階で、オフセット値を取得することを意味している。
【0124】
ステップSTaの後、ステップST4に移行する。直近のステップST2又はSTaから所定時間経過していない(ST9においてNOである)場合も、ステップST4に移行する。
【0125】
画像形成装置1の電源がオフである(ST8においてYESである)場合、画像形成装置1の動作は終了とする(STb)。
【0126】
なお、ステップST6の後で、ステップSTaと同様のオフセット値の補正を行ってもよい。
【0127】
(変形例1)
メイン基板102は、CPU61により、高圧電源基板101に対して制御信号PWMを出力しない状態において、高圧電源基板101から取得したフィードバック信号FBの値を、予め用意された係数で補正して、電位差に相当するオフセット値を取得してもよい。具体的には、出力前第1フィードバック信号であるフィードバック信号FB_GRIDのAD値であるAGを、予め用意された係数で補正して、オフセット値を取得してもよい。当該係数は、画像形成装置1に設けられた図示しないメモリ等に予め記憶しておけばよい。
【0128】
これにより、フィードバック信号FB_TRCCVを取得して、Boff及びBonを取得する必要が無くなるため、フィードバック信号FB_TRCCVのAD値が低い場合において好適である。
【0129】
(変形例2)
図11は、本発明の実施形態の変形例2に係る画像形成装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0130】
図11のフローチャートは、図8のフローチャートと比較して、ステップST9が省かれている。一方、図11のフローチャートは、図8のフローチャートと比較して、ステップSTc及びSTdが追加されている。ステップSTc及びSTdは、ステップSTaの直後に、ステップSTc及びステップSTdの順に行われる。
【0131】
ステップSTcにおいては、直前のステップSTaにて取得したオフセット値と、当該ステップSTaから見て直近のステップST2又はSTaにて取得したオフセット値との平均値を求める。ステップSTdにおいては、当該平均値を新たなオフセット値とする。
【0132】
このように、メイン基板102は、CPU61により、取得した、電位差に相当するオフセット値を平均し、その平均されたオフセット値によって補正された値を用いて、フィードバック制御を実行してもよい。なお、実施形態では、高圧電源基板101の出力電圧のフィードバック制御について記載したが、高圧電源基板101の出力電流のフィードバック制御であってもよい。
【0133】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1 画像形成装置
3 シート
5 画像形成部
27 感光体ドラム
29 帯電器
30 転写ローラ
31 現像ローラ
101 高圧電源基板
102 メイン基板
104 第1接地部材
105 第2接地部材
111 出力電圧出力部
112 フィードバック信号出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11