(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】足漕ぎ運動装置
(51)【国際特許分類】
A63B 22/06 20060101AFI20241029BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20241029BHJP
A63B 23/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A63B22/06 Z
A63B23/04 C
A63B23/00 F
(21)【出願番号】P 2021068525
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】竹田 貴博
(72)【発明者】
【氏名】青木 英祐
(72)【発明者】
【氏名】小田島 正
(72)【発明者】
【氏名】阿納 祐介
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/067258(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0039661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0171641(US,A1)
【文献】米国特許第05108092(US,A)
【文献】特開2011-024660(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024790(JP,U)
【文献】登録実用新案第3077668(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を回転可能に軸支する回転機構と、
前記回転機構の回転軸の両端に一端が夫々連結され、該回転軸の径方向に延び、該回転軸を中心にして回転する一対のクランクと、
前記各クランクの他端に一端が回転可能に夫々連結され、他端に車輪が夫々設けられた一対のリンクと、
前記リンクの長手方向に沿って前記各リンクに夫々接続され、ユーザの足部が踏み込むことで前記回転軸を中心にして楕円軌道で夫々回転する一対のペダル部と、
前記回転機構のユーザ側の一端に接続され、前記ペダル部が回転し前記リンクの他端が往復動することで前記車輪が上面を転動する転動面と、
前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げた際に、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制する規制部と、
を備
え、
前記規制部は、前記回転機構に設けられ、該回転機構の長手方向に対して垂直方向へ伸縮する伸縮部を有し、
前記伸縮部は、前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げる際に、前記回転機構から外側に伸長して、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項2】
請求項1記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、
前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に設けられる
と共に前記車輪が転動面の上面から離間した際に前記車輪の中心軸の延長軸に係合する係合部を有する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項3】
請求項1記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、
前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に形成された溝部と、一端が前記延長軸に連結され、他端が前記溝部に引っ掛かり該溝部内を前記往復動の方向にスライドするピン部材と、を有する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項4】
請求項1記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、
前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に設けられ前記車輪の中心軸の延長軸を磁力により引き付ける磁石部材を有する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項5】
請求項1記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記規制部は、前記回転軸及びクランクの回転と、前記クランクに対するリンクの回転と、を止めるブレーキ部を有し、
前記ブレーキ部は、前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げる際に、前記クランク及びリンクの回転を止めて、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項6】
請求項1記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記規制部は、前記リンクの他端と前記転動面とを接続状態及び非接続状態する接続部材を有する、
足漕ぎ運動装置。
【請求項7】
請求項1乃至
4のうちいずれか1項記載の足漕ぎ運動装置であって、
前記転動面には、前記回転機構の一端を持ち上げるための取手部が設けられており、
前記取手部は上下方向に伸縮する伸縮機構を有する、
足漕ぎ運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足漕ぎ運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの足部がペダル部を踏み込むことで、ペダル部を楕円軌道で回転させる回転機構を備える足漕ぎ運動装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、持ち運びし易い利便性の高い足漕ぎ運動装置が要望されている。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、持ち運びし易い利便性の高い足漕ぎ運動装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
回転軸を回転可能に軸支する回転機構と、
前記回転機構の回転軸の両端に一端が夫々連結され、該回転軸の径方向に延び、該回転軸を中心にして回転する一対のクランクと、
前記各クランクの他端に一端が回転可能に夫々連結され、他端に車輪が夫々設けられた一対のリンクと、
前記リンクの長手方向に沿って前記各リンクに夫々接続され、ユーザの足部が踏み込むことで前記回転軸を中心にして楕円軌道で夫々回転する一対のペダル部と、
前記回転機構のユーザ側の一端に接続され、前記ペダル部が回転し前記リンクの他端が往復動することで前記車輪が上面を転動する転動面と、
前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げた際に、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制する規制部と、
を備える足漕ぎ運動装置
である。
この一態様において、前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に設けられる共に前記車輪が転動面の上面から離間した際に前記車輪の中心軸の延長軸に係合する係合部を有していてもよい。
この一態様において、前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に形成された溝部と、一端が前記延長軸に連結され、他端が前記溝部に引っ掛かり該溝部内を前記往復動の方向にスライドするピン部材と、を有していてもよい。
この一態様において、前記規制部は、前記回転機構に設けられ、該回転機構の長手方向に対して垂直方向へ伸縮する伸縮部を有し、前記伸縮部は、前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げる際に、前記回転機構から外側に伸長して、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制してもよい。
この一態様において、前記車輪の中心軸には、軸方向に延在する延長軸が接続されており、前記規制部は、前記転動面の上面に前記往復動の方向に設けられ前記車輪の中心軸の延長軸を磁力により引き付ける磁石部材を有していてもよい。
この一態様において、前記規制部は、前記回転軸及びクランクの回転と、前記クランクに対するリンクの回転と、を止めるブレーキ部を有し、前記ブレーキ部は、前記回転機構の他端を接地させた状態で該回転機構を立てるように一端を持ち上げる際に、前記クランク及びリンクの回転を止めて、前記車輪が転動面の上面から離間するのを規制してもよい。
この一態様において、前記規制部は、前記リンクの他端と前記転動面とを接続状態及び非接続状態する接続部材を有していてもよい。
この一態様において、前記転動面には、前記回転機構の一端を持ち上げるための取手部が設けられており、前記取手部は上下方向に伸縮する伸縮機構を有していてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、持ち運びし易い利便性の高い足漕ぎ運動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る足漕ぎ運動装置を側方から見た図である。
【
図3】転動面上に傾斜台を設けた構成を示す図である。
【
図9】転動面の傾斜台に形成された溝部を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る規制部を示す上面図である。
【
図11】本実施形態に係る足漕ぎ運動装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【
図13】クランクの位置に応じて雌側面ファスナーの固定位置を変更した図である。
【
図16】リンクの他端を回転軸を中心に略180°回転させた状態を示す図である。
【
図17】リンクを挟んで反対側に地面上を転動する別の車輪を設けた構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置を側方から見た図である。
【0010】
本実施形態にかかる足漕ぎ運動装置100は、ユーザUが足漕ぎ運動を行うことで、ユーザUの脚部、腹部、臀部、などの様々な部位を鍛えることができる運動機器である。本実施形態にかかる足漕ぎ運動装置100について、
図1を用いて説明する。なお、以下の説明では、前後方向、左右方向、上下方向は、ユーザUの方向を基準とする方向である。
【0011】
図1に示すように、足漕ぎ運動装置100は、着座部10と、回転機構20と、一対のリンク30と、一対のクランク40と、一対のペダル部50と、転動面60と、を備えている。回転機構20の一端側(後端)には、着座部10が配置される。着座部10は、例えば、ユーザUが着座する椅子として構成されていてもよい。ユーザUは、着座部10に着座した状態で足漕ぎ運動を行う。
【0012】
なお、着座部10は、回転機構20と一体的に設けられていてもよく、別体として設けられていても良い。着座部10は、回転機構20に着脱可能に設けられていてもよい。例えば、着座部10は、ユーザUがいる施設や自宅などにある椅子であってもよい。つまり、ユーザUや補助者が着座部10を回転機構20の後方に設置しても良い。
【0013】
足漕ぎ運動装置100において、回転機構20を中心にして、左右側に夫々、リンク30、クランク40、及びペダル部50が取り付けられている。回転機構20の他端(前端)には、略T字状の支持部21が設けられている。支持部21の左右両端及び前方には、例えば、足漕ぎ運動装置100を移動させるための一対の車輪が回転可能に夫々取り付けられていてもよい。支持部21は床面などに接地して、回転機構20の前端を支持する。
【0014】
回転機構20は、回転軸23を回転可能に軸支する。回転機構20の回転軸23の左右端に、クランク40の一端が夫々連結されている。クランク40は、略棒状に形成され、回転軸23の径方向に延び、回転軸23を中心にして回転する。
【0015】
回転機構20は、回転軸23及びクランク40の回転運動に対して負荷を与える負荷抵抗体を有していてもよい。なお。回転機構20は、負荷を可変とするためのギアなどを有していてもよい。この回転機構20の負荷を変化させることで、足漕ぎ運動装置100の運動負荷を変化させることができる。
【0016】
リンク30は略棒状に形成されている。リンク30の一端にクランク40の他端が回転可能に連結されている。例えば、リンク30の一端は、軸受けなどを介して、クランク40の他端に連結されている。リンク30の他端に車輪31が回転可能に設けられている。車輪31は、中心軸32を介して、リンク30の他端に取り付けられている。
【0017】
ペダル部50は、リンク30の長手方向に沿ってリンク30の上面に接続されている。ペダル部50及びリンク30は一体的に構成されていても良い。ペダル部50は、ユーザUが足部FTを載せるステップとなる。着座中のユーザUは、ペダル部50の上に足部FTを載せる。ペダル部50には、足部を固定するストラップなどの固定部が設けられていても良い。
【0018】
ユーザUは足部FTをペダル部50に載せて、足漕ぎ運動を行う。つまり、ユーザUは、膝関節や股関節を動かしつつ、足部FTによってペダル部50を踏み込む。これにより、クランク40が回転軸23周りに回転する。さらに、クランク40の回転に応じて、リンク30とクランク40との間の角度が変化する。
【0019】
つまり、クランク40の回転角度(クランク角度ともいう)に応じて、クランク40に対するリンク30の相対角度が変化する。また、リンク30の車輪31は転動面60の上面を転動して、前後方向に往復動する。これにより、足漕ぎ運動に応じて、ペダル部50が楕円軌道を描くように、クランク40及びリンク30が回転動作する。
【0020】
なお、ペダル部50、リンク30、及びクランク40は、ユーザUの左右の足部FTに対してそれぞれ設けられている。つまり、回転機構20の左右側それぞれに、ペダル部50、リンク30、及びクランク40が設けられている。回転機構20の右側に設けられたペダル部50、リンク30、及びクランク40がユーザUの右足FTに対応している。回転機構20の左側に設けられたペダル部50、リンク30、及びクランク40がユーザUの左足FTに対応している。
【0021】
クランク40は、左右の足部FTに対して逆位相となるように、回転機構20の回転軸23に取り付けられている。つまり、左足用のクランク40と右足用のクランク40は回転角度が180°ずれている。ユーザUが左脚及び右脚を交互に伸縮させて、足漕ぎ運動を行う。なお、クランク40は、左右の足FTに対して同位相となるように、回転機構20の回転軸23に取り付けられていてもよい。
【0022】
ユーザUが右脚を伸ばして、かつ左脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、右側のリンク30の車輪31が前方に移動し、左側のリンク30の車輪31が後方に移動する。ユーザUが左脚を伸ばして、かつ右脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、左側のリンク30の車輪31が前方に移動し、右側のリンク30の車輪31が後方に移動する。
【0023】
転動面60は、回転機構20の後端に接続されている。転動面60は、例えば、板状部材であり、地面に接地し、回転機構20の後端を支持する。すなわち、回転機構20の前後端は、転動面60及び支持部21により支持されている。
【0024】
転動面60は、回転機構20に対して略平行となるように回転機構20に固定されている。ペダル部50が回転しリンク30の他端が前後方向に往復動することで、リンク30の車輪31が転動面60の上面を転動する。転動面60の上面端部には、ユーザが足漕ぎ運動装置100を移動させる際に把持する取手部61が設けられている。
【0025】
ユーザが足漕ぎ運動装置100を移動させる場合、回転機構20の支持部21の車輪22を接地させ、そこを支点にして、回転機構20を立てるように後端側の取手部61を上方に持ち上げ、足漕ぎ運動装置100を移動させる。
【0026】
しかしながら、従来、上記のように回転機構の支持部を接地させた状態で、回転機構を立てるように後端側の取手部を上方に持ち上げる場合、回転軸を中心にクランク及びリンクが前端側に回転し、車輪が転動面の上面から離間することがあり、足漕ぎ運動装置が不安定となり持ち運びし難いという問題が生じていた。
【0027】
これに対し、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置100は、回転機構20の前端を接地させた状態で後端の取手部61を持ち上げた際に、リンク30の車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制する規制部70を備えている。これにより、回転軸23を中心にクランク40及びリンク30が前端側に回転しないため、リンク30の車輪31が転動面60の上面から離間しない。したがって、足漕ぎ運動装置100を安定させ、持ち運びし易くすることができる。
【0028】
規制部70は、
図1に示す如く、転動面60の上面にリンク30の車輪31の往復動方向(前後方向)に設けられた係合部71を有する。
図2は、規制部を後方から見た図である。なお、
図2において、分かり易くするために、規制部70を模式的に示している。また、
図2において、左側の規制部70のみが示されているが、転動面の右側にも、左側の規制部70と同様の規制部70が設けられている。
【0029】
リンク30の車輪31の中心軸32には、軸方向に延在する延長軸33が接続されている。延長軸33は、回転機構側(内側)へ延在している。中心軸32と延長軸33は1本の軸として一体的に形成されていてもよい。
【0030】
リンク30の車輪31が転動面60の上面から離間した場合、車輪31の中心軸32の延長軸33が、係合部71に当たり係合する。係合部71は、断面が略逆L字状に形成されたレールとして構成されている。
【0031】
リンク30の車輪31が転動面60の上面から離間した場合、車輪31の中心軸32の延長軸33の上部が、逆L字状の係合部71の下面に当たり、係合する。これにより、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0032】
図3に示す如く、転動面60上に傾斜台80を設けても良い。傾斜台80は、ユーザ側に行くほど傾斜面81の高さが高くなっている。傾斜台80の傾斜面81に沿って、リンク30の車輪31の高さが変化する。車輪31の高さに応じて、リンク30の角度が変化し、足部の関節角度が変化する。したがって、傾斜台80の傾斜角度を調整することで、各ユーザUに適した足関節角度で、ユーザUが足漕ぎ運動を行うことができる。
【0033】
上記のように転動面60上に傾斜台80を設けた場合、この傾斜台80の傾斜面81に、車輪31の中心軸32の延長軸33が係合する係合部71を設けてもよい。係合部71は、傾斜台80の傾斜面81において、リンク30の車輪31の往復動方向に設けられる。
【0034】
これにより、傾斜台80を設けた場合でも、回転機構20の前端を接地させた状態で、回転機構20を立てるように後端の取手部61を持ち上げた場合に、車輪31が傾斜台80の傾斜面81から離間するのを規制できる。
【0035】
なお、係合部71は、
図4に示す如く、リニアガイド機構として構成されてもよい。
図4において、分かり易くするためにリニアガイド機構は模式的に示されている。リニアガイド機構は、転動面60上に前後方向にレール状に構成されたリニアガイド部711と、リニアガイド部711上をその長手方向に沿ってスライドするブロック部712と、を有する。
【0036】
リンク30の車輪31の中心軸32の延長軸33には、ピンなどが設けられていてもよい。その延長軸33のピンがリニアガイド機構のブロック部712に嵌ってもよい。これにより、リンク30の車輪31が前後方向に往復動すると、ブロック部712がリニアガイド部711上をスライドする。
【0037】
リンク30の車輪31の延長軸33のピンがリニアガイド機構のブロック部712に嵌り、係合している。これにより、リンク30の車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0038】
なお、延長軸33のピンがリニアガイド機構のブロック部712から抜けないだけの十分な摩擦力が、延長軸33のピンとリニアガイド機構のブロック部712との間に作用している。例えば、延長軸33のピンがリニアガイド機構のブロック部712に深く差し込まれていてもよい。
【0039】
リンク30の車輪31の延長軸33のピンが、リニアガイド機構のブロック部712に磁着することで係合していてもよく、あるいは、別の手段で係合していてもよい。
【0040】
さらに、上記のように転動面60上に傾斜台80を設ける場合も、この傾斜台80の傾斜面81に、リニアガイド機構を設けてもよい。この場合、リンク30の車輪31の中心軸32には、外側(回転機構20とは反対側)に延在する延長軸が更に接続されていてもよい。中心軸32と延長軸は1本の軸として一体的に形成されていてもよい。
【0041】
転動面60上に傾斜台80を設けた場合、車輪31が傾斜面81上を前後方向に往復動すると、ブロック部712がリニアガイド部711上をスライドする。さらに、リンク30の車輪31の延長軸33のピンがリニアガイド機構のブロック部712に嵌り、係合している。これにより、リンク30の車輪31が傾斜台80の傾斜面81から離間するのを規制することができる。
【0042】
係合部71は、磁石として構成されてもよい。磁石は、転動面60の上面にリンク30の車輪31の往復動方向(前後方向)に設けられていてもよい。この転動面60の磁石によって、リンク30の車輪31の延長軸33は、転動面60側に引き寄せられる。これにより、回転機構20を立てるように後端の取手部61を持ち上げた場合に、車輪31が傾斜台80の傾斜面81から離間するのを規制できる。
【0043】
図5に示す如く、取手部61は、上下方向に伸縮する伸縮機構62を有していても良い。なお、
図5において、分かり易くするために、取手部61及び伸縮機構62を模式的に示している。ユーザは、取手部61の伸縮機構62を上方を伸長させることで、回転機構20の一端側を低く持ち上げた状態で、楽な姿勢で移動させることができる。
【0044】
実施形態2
図6は、本実施形態に係る規制部を示す図である。本実施形態において、規制部70は、転動面60に形成された溝部63と、リンク30の車輪31の中心軸32の延長軸33に連結されるピン部材34と、を有する構成であってもよい。
【0045】
溝部63は、
図7に示す如く、転動面60に車輪31の往復動方向に形成されている。ピン部材34の一端がリンク30の車輪31の中心軸32の延長軸33に連結されている。ピン部材34の他端が溝部63内に挿入され、溝部63に引っ掛かっている。これにより、回転機構20を立てるように後端の取手部61を持ち上げた場合に、車輪31が転動面60から離間するのを規制できる。そして、リンク30の車輪31の往復動に連動して、ピン部材34も溝部63内をその往復動方向にスライドする。
【0046】
図8は、ピン部材の一例を示す図である。ピン部材34の他端は、例えば、
図8に示す如く、T字状に形成されていても良い。ピン部材34の他端が溝部63に引っ掛かる状態(a)から、ピン部材34を点線の軸周りに回転させ、ピン部材34の他端が溝部63に引っ掛からない状態(b)にする。これにより、ピン部材34の他端を溝部63から引き抜くことができる(c)。
【0047】
例えば、
図9に示す如く、転動面60に傾斜台80が設けられ、その傾斜面81に沿って溝部82が形成されていてもよい。この場合、
図8に示す如く、転動面60の溝部63からピン部材34の他端を引き抜く。そして、
図9に示す如く、転動面60上に傾斜台80を設置後、その引き抜いたピン部材34の他端を、傾斜台80の溝部82内に挿入し、回転させる。これにより、ピン部材34の他端が溝部82に引っ掛かる状態にすることができる。このように、転動面60上に傾斜台80を設置した場合でも、車輪31が傾斜台80の傾斜面81から離間するのを容易に規制できる。
【0048】
実施形態3
図10は、本実施形態に係る規制部を示す上面図である。本実施形態において、規制部70は、回転機構20に設けられ、回転機構20の長手方向に対して垂直方向へ伸縮する伸縮部72を有している。伸縮部72は、複数の棒状部材が回転機構20を中心にして、左右方向へ伸縮する伸縮機構を有している。伸縮機構は、例えば、モータなどのアクチュエータの駆動により伸縮してもよい。アクチュエータは、回転機構20や取手部61などに設けられたスイッチの操作に応じて駆動してもよい。
【0049】
ユーザが足漕ぎ運動装置100を使用して足漕ぎ運動している場合、伸縮部72は、収縮している。一方で、ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶために、回転機構20の前端を接地させた状態で、回転機構20を立てるように後端を持ち上げる場合、
図10に示す如く、伸縮部72は、回転機構20から外側に伸長する。これにより、ペダル部50は、伸縮部72により上側から押えられるため、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0050】
なお、回転機構20には、上記回転機構20を立てるように回転機構20の後端を持ち上げた状態を検出するセンサが設けられてもよい。センサは、例えば、転動面60の裏面などに設けられ、地面との接触を検出する接触センサなどである。伸縮部72は、このセンサにより上記状態が検出されると、自動的に、伸長してもよい。さらに、上記状態になる場合に、ユーザがスイッチ操作を行って伸縮部72を伸長させる、あるいは、ユーザが伸縮部72を手動で伸長させてもよい。
【0051】
実施形態4
図11は、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態において、規制部70は、回転軸23及びクランク40の回転と、クランク40に対するリンク30の回転と、を止めるブレーキ部73を有していてもよい。
【0052】
ブレーキ部73は、回転機構20の前端を接地させた状態で回転機構20を立てるように後端を持ち上げた場合に、クランク40及びリンク30の回転を止めて、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制する。
【0053】
例えば、回転機構20や取手部61に、ブレーキ部73を作動するスイッチ74が設けられていてもよい。ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶために、回転機構20の前端を接地させた状態で回転機構20を立てるように後端を持ち上げる場合、スイッチ74の操作を行って、ブレーキ部73を作動させ、回転軸23及びクランク40の回転と、クランク40に対するリンク30の回転と、を止める。これにより、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0054】
なお、例えば、回転機構20の負荷抵抗体などにより回転軸23の回転に負荷が掛かり、回転し難い状態にある場合、ブレーキ部73は、クランク40に対するリンク30の回転のみを止めてもよい。
【0055】
ペダル部50に荷重センサ75を設けてもよい。荷重センサ75が荷重を検出している場合、ユーザがペダル部50を踏み込み足漕ぎ運動を行っている状態と推定できる。一方で、荷重センサ75が荷重を検出していない場合、ユーザが足漕ぎ運動を行っていない状態であり、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶ可能性がある。
【0056】
したがって、荷重センサ75が荷重を検出していない場合に、ブレーキ部73が作動し、回転軸23及びクランク40の回転と、クランク40に対するリンク30の回転と、を止めてもよい。これにより、足漕ぎ運動装置100の持ち運びを自動的に検知し、車輪31が転動面60の上面から離間するのを確実に規制することができる。
【0057】
実施形態5
図12は、本実施形態に係る規制部を示す図である。本実施形態において、規制部70は、リンク30の他端と転動面60とを接続状態及び非接続状態する接続部材76を有する。接続部材76は、ベルト状の面ファスナーとして構成されていてもよい。
【0058】
例えば、リンク30の他端及び転動面60に、夫々、雌側面ファスナーが設けられている。接続部材76の両端に、夫々、雄側面ファスナーが設けられている。そして、リンク30の他端の雌側面ファスナーと、接続部材76の一端の雄側面ファスナーと、が接続される。転動面60の雌側面ファスナーと、接続部材76の一端の雄側面ファスナーと、が接続される。なお、雌側面ファスナー及び雄側面ファスナーは、相互に、逆側に設けられていてもよい。
【0059】
ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶために、回転機構20の前端を接地させた状態で回転機構20を立てるように後端を持ち上げる場合、リンク30の他端及び転動面60の雌側面ファスナーに、夫々、接続部材76の両端の雄側面ファスナーに取り付ける。これにより、リンク30の他端と転動面60とは、接続部材76を介して接続状態となるため、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0060】
一方で、ユーザが足漕ぎ運動装置100を使用して足漕ぎ運動する場合、リンク30の他端及び転動面60の雌側面ファスナーから、夫々、接続部材76の両端の雄側面ファスナーを取り外す。このように、接続部材76の取付及び取外しにより、簡易かつ迅速に、足漕ぎ運動する場合と持ち運びする場合とに切り替えることができる。
【0061】
なお、例えば、
図13に示す如く、クランク40の位置に応じて、転動面60の雌側面ファスナーの固定位置を変更してもよい。これにより、転動面60の雌側面ファスナーの固定面積を、転動面60上の空いたスペースに自由に確保することができる。
【0062】
図14は、接続部材の一例を示す図である。接続部材76に断面L字状の金属プレート761が埋設されていてもよい。この金属プレート761の先端を倒すことで、テコの原理を利用して、小さい荷重で面ファスナーを剥がすことができる。
【0063】
図15は、接続部材の他の一例を示す図である。なお、
図15において、分かり易くするために、接続部材77を模式的に示している。また、
図15において、左側の接続部材77のみが示されているが、転動面の右側にも、左側の接続部材77と同様の接続部材77が設けられている。接続部材77は断面L字状に形成され、その両端に、夫々、磁石771が設けられてもよい。リンク30及び転動面60は磁性体材料(鉄など)で構成されている。
【0064】
ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶために、回転機構20の前端を接地させた状態で回転機構20を立てるように後端を持ち上げる場合、リンク30の他端及び転動面60に、夫々、接続部材77の両端の磁石を磁着させる。これにより、リンク30の他端と転動面60とは、接続部材77を介して接続状態となるため、車輪31が転動面60の上面から離間するのを規制することができる。
【0065】
実施形態5
本実施形態5において、ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶ場合に、
図16に示す如く、リンク30の他端を回転軸23を中心にして略180°回転させた後、転動面60の取手部61を上方に持ち上げてもよい。このとき、リンク30の他端が地面と接触する場合、その他端の接触する部分に摺動性の良い部品を設けてもよい。摺動性の良い部品は、例えば、硬質の樹脂材料などである。
【0066】
また、
図17に示す如く、転動面60上を転動するリンク30の車輪31とはリンク30を挟んで反対側に、上記地面上を転動する別の車輪35を設けても良い。あるいは、転動面60上を転動するリンク30の車輪31の径を大きくし、リンク30の他端を回転軸23を中心にして略180°回転させたときに、その車輪31が路面上を転動するようにしてもよい。
【0067】
上述の如く、ユーザが、足漕ぎ運動装置100を持ち運ぶために、回転機構20の前端を接地させた状態で回転機構20を立てるように後端を持ち上げる前に、予め、リンク30の他端を回転軸23を中心にして略180°回転させた状態にする。これにより、足漕ぎ運動装置100を安定させ、持ち運びし易くすることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 着座部、20 回転機構、21 支持部、23 回転軸、30 リンク、31 車輪、32 中心軸、33 延長軸、34 ピン部材、35 車輪、40 クランク、50 ペダル部、60 転動面、61 取手部、62 伸縮機構、63 溝部、70 規制部、71 係合部、72 伸縮部、73 ブレーキ部、74 スイッチ、75 荷重センサ、76 接続部材、77 接続部材、80 傾斜台、81 傾斜面、82 溝部、100 足漕ぎ運動装置、711 リニアガイド部、712 ブロック部、761 金属プレート、771 磁石