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特許7578059中間転写ユニット及びそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】中間転写ユニット及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G03G15/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021071549
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166377
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒田 龍朗
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032710(JP,A)
【文献】特開2003-195649(JP,A)
【文献】特開平11-295952(JP,A)
【文献】特開2008-026453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0239695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成部に沿って移動する無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを回動する駆動ローラーと、
前記中間転写ベルトに従動して回転するとともに前記中間転写ベルトに所定の張力を付与するテンションローラーと、
一端に前記テンションローラーおよび前記駆動ローラーの一方のローラーを支持する第1支持フレームと、一端に前記駆動ローラーおよび前記駆動ローラーの他方のローラーを支持する第2支持フレームと、で構成され、前記第1支持フレームの前記一方のローラーが支持されていない端部と前記第2支持フレームの前記他方のローラーが支持されていない端部とを回転可能に連結する連結部が形成されたローラー支持フレームと、
を備え、
前記連結部は、前記第1支持フレームに形成された回転軸と、前記第2支持フレームに形成され、前記回転軸が挿入される軸孔部と、を有し、
前記ローラー支持フレームは、前記第1支持フレームと前記第2支持フレームとが鋭角に折り畳まれた第1の状態で、前記中間転写ベルトの内側に挿入され、前記第1の状態から、前記第1支持フレームと前記第2支持フレームとが直線状に伸長された第2の状態になるよう、前記第1支持フレームを前記第2支持フレームに対し前記回転軸周りの正方向に回転させ、前記中間転写ベルトを前記駆動ローラーと前記テンションローラーとに張架する中間転写ユニットにおいて、
前記回転軸は、外周面から径方向に突出する突出部を有し、
前記軸孔部は、前記回転軸の前記径方向外側であって、前記突出部よりも前記正方向の下流側に形成された規制壁部を有し、
前記第1支持フレームが前記第2の状態から前記正方向に回転すると、前記突出部と前記規制壁部とが接触して、前記第1支持フレームの前記正方向の回転を規制することを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項2】
前記軸孔部は、前記規制壁部と前記径方向に対向する立壁部と、前記立壁部の前記正方向の先端部から前記正方向と逆方向に凹む退避凹部と、を有し、
前記突出部は、前記第2の状態のときに前記退避凹部の外側に位置し、前記第2の状態から前記第1支持フレームが前記逆方向に回転すると、前記退避凹部内に進入することを特徴とする請求項1に記載の中間転写ユニット。
【請求項3】
前記規制壁部、及び立壁部の外周縁に面取り形状が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の中間転写ユニット。
【請求項4】
前記ローラー支持フレームが前記第1の状態にあるときの、前記第1支持フレームと前記第2支持フレームとの内角は、30度以上、かつ45度以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の中間転写ユニット。
【請求項5】
前記連結部の外側面を構成する前記第2支持フレームの端部には、側面視円弧状の摺動面が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の中間転写ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の中間転写ユニットと、
外周面にトナー像を担持し、前記中間転写ベルトの外周面に接触して前記トナー像を転写する像担持体を有する複数の前記画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ユニット及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定方向に回動される無端状の中間転写ベルトと、この中間転写ベルトに沿って設けられた複数の画像形成部とを備え、各画像形成部により中間転写ベルト上に各色のトナー像を順次重ね合わせた後、記録媒体上に一度に転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような中間転写方式の画像形成装置は、特許文献1に開示されているような中間転写ユニットを備えている。中間転写ユニットは、中間転写ベルトと、中間転写ベルトを介して各色の感光体ドラムに対向する複数の一次転写部材とを有する。各一次転写部材に所定の一次転写バイアスを印加することで、感光体ドラム上に形成されたトナー像が中間転写ベルト上に一次転写される。
【0004】
中間転写ユニットは、一端に中間転写ベルトを回動する駆動ローラーが設けられ、他端に中間転写ベルトに所定の張力を付与するテンションローラーが設けられたローラー支持フレームを備えている。ローラー支持フレームは、第1支持フレームと、第2支持フレームと、第1支持フレームの端部と第2支持フレームの端部とを回転可能に連結する連結部と、を備えている。
【0005】
連結部は、第1支持フレーム、及び第2支持フレームの一方に設けられ、第1支持フレーム、及び第2支持フレームの他方に向かって突出する回転軸と、第1支持フレーム、及び第2支持フレームの他方に形成された回転軸が挿入される軸孔部と、を備えて構成されている。
【0006】
このような中間転写ユニットを組み立てる際は、まず第1支持フレームを第2支持フレームに対して回転させて、ローラー支持フレームを屈曲した状態(第1の状態)にする。そして、屈曲した状態のローラー支持フレームを、無端状の中間転写ベルトの内側に挿入する。次に、第1支持フレームを、回転軸周りの正方向に回転させ、ローラー支持フレームを直線状に伸ばした状態(第2の状態)にし、中間転写ベルトをローラー支持フレームに張架する。このように中間転写ユニットを組み立てることが一般的である。
【0007】
ここで、中間転写ベルトをローラー支持フレームに張架する際に、中間転写ベルトの内周面が第1の状態のローラー支持フレームの外面(ローラー支持フレームの中間転写ベルトの内周面と対向する面)に接触し、中間転写ベルトに傷や折れが生じる場合がある。そこで、ローラー支持フレームの外面は、突起物等を削減して中間転写ベルトへの接触を回避したり、エッジ部分に面取り形状を形成して中間転写ベルトが外面に接触しても傷付きや折れが生じないようにしたりしている。このため、上述したような中間転写ユニットは、ローラー支持フレーム31の形状が複雑になり、製造コストが増大するおそれがある。
【0008】
そこで、特許文献1には、ローラー支持フレームを屈曲させる際に、第1支持フレームが、第2支持フレームに対して、一方向にのみ回転するようにした中間転写ユニットが開示されている。特許文献1の中間転写ユニットは、第1支持フレーム、及び第2支持フレームの背面(ローラー支持フレームが屈曲した際に外側に位置する面)側に、面方向に立ち上がる一対の回転規制リブが形成されている。一対の回転規制リブは、連結部を間に挟んで、直線状に並んで配置されている。
【0009】
ローラー支持フレームを屈曲させる際に、第1支持フレームを第2支持フレームに対して、上述した一方向と反対方向に回転させようとすると、上記の一対の回転規制リブが互いに接触する。この接触によって、第1支持フレームは回転を規制される。これにより、第2の状態のローラー支持フレームを屈曲させる際に、第1支持フレームは一方向にのみ回転するものとなる。
【0010】
このように構成することで、ローラー支持フレームの表面(上記の背面と反対側の面)は、ローラー支持フレームが第1の状態のときに、必ず内側に位置するものとなる。このため、中間転写ベルトをローラー支持フレームに張架する際に、中間転写ベルトの内周面が、ローラー支持フレームの表面に接触しにくいものとなる。したがって、特許文献1の中間転写ユニットは、ローラー支持フレームの外面のうちの背面にのみ、上述した突起形状の削減や面取り形状の形成をすればよく、簡易な構造によって傷付きや折れを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2017-32710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年、画像形成装置の小型化が進むにつれて、中間転写ユニットにおいても小型化の要請がある。しかし、特許文献1の中間転写ユニットは、上述したように、第1支持フレーム、及び第2支持フレームの背面から一対の回転規制リブが立ち上がっている。このため、特許文献1の中間転写ユニットは、この回転規制リブの高さの分だけ大型化するおそれがある。
【0013】
そこで、本発明は、ユニット組み立て時における中間転写ベルトの傷付きや折れを抑制しつつ、大型化を抑制可能な中間転写ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、中間転写ベルトと、駆動ローラーと、テンションローラーと、ローラー支持フレームと、を備える中間転写ユニットである。中間転写ベルトは、無端状をなし、複数の画像形成部に沿って移動する。駆動ローラーは、中間転写ベルトを回動する。テンションローラーは、中間転写ベルトに従動して回転するとともに中間転写ベルトに所定の張力を付与する。ローラー支持フレームは、一端にテンションローラーおよび駆動ローラーの一方のローラーを支持する第1支持フレームと、一端に駆動ローラーおよび駆動ローラーの他方のローラーを支持する第2支持フレームと、で構成され、第1支持フレームの一方のローラーが支持されていない端部と第2支持フレームの他方のローラーが支持されていない端部とを回転可能に連結する連結部が形成されている。連結部は、第1支持フレームに形成された回転軸と、第2支持フレームに形成され、回転軸が挿入される軸孔部と、を有する。ローラー支持フレームは、第1支持フレームと第2支持フレームとが鋭角に折り畳まれた第1の状態で、中間転写ベルトの内側に挿入され、第1の状態から、第1支持フレームと第2支持フレームとが直線状に伸長された第2の状態になるよう、第1支持フレームを第2支持フレームに対し回転軸周りの正方向に回転させ、中間転写ベルトを駆動ローラーとテンションローラーとに張架する。この中間転写ユニットにおいて、回転軸は、外周面から径方向に突出する突出部を有する。軸孔部は、回転軸の径方向外側であって、突出部よりも正方向の下流側に形成された規制壁部を有する。第1支持フレームが第2の状態から正方向に回転すると、突出部と規制壁部とが接触して、第1支持フレームの正方向の回転を規制する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、回転軸に形成された突出部と、軸孔部に形成された規制壁部との接触によって、第1支持フレームと第2支持フレームの回転方向を一方向に規制できる。このため、ローラー支持フレームの外面に、回転を規制するための構造等を設ける必要がなく、簡易な構造によって、ユニット組み立て時における中間転写ベルトの傷付きや折れを抑制しつつ、大型化を抑制可能な中間転写ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の中間転写ユニット30を備えた画像形成装置100の構成を示す概略図
図2図1における画像形成部Pd付近の拡大図
図3】第2の状態の中間転写ユニット30の側面を示す側面図
図4】第2の状態の中間転写ユニット30の平面図
図5図4の中間転写ユニット30から中間転写ベルト8を取り外した状態を示す平面図
図6】中間転写ベルト8を取り外し、かつ折り畳まれた状態の中間転写ユニット30を示す斜視図
図7図5に示すローラー支持フレーム31の連結部31cの周辺(図5の一点鎖線で示した枠線Aの内側の部分)を拡大して示した部分拡大図
図8図7に示すローラー支持フレーム31を、B-B断面線で切断した断面を示す断面図
図9】回転軸46が支持凹部58に挿入されている状態を示す断面図
図10図8に示した第1支持フレーム31aが逆方向に回転したときの回転軸46の断面図
図11】第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの間の角度が鋭角になった状態(第1の状態)を示す回転軸46の断面図
図12図8に示した第1支持フレーム31aが正方向に回転したときの回転軸46の断面図
図13】ローラー支持フレーム31の幅方向の右側端部に右側面フレーム33aを装着し、左側端部に左側面フレーム33bを装着した状態を示す中間転写ユニット30の平面図
図14】第2の状態のローラー支持フレーム31の側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の中間転写ユニット30を備えた画像形成装置100の構成を示す概略図であり、図2は、図1における画像形成部Pd付近の拡大図である。
【0018】
図1の画像形成装置100は以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0019】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配置されている。画像形成部Pa~Pdに隣接するように、中間転写ベルト8を有する中間転写ユニット30が配置されている。中間転写ユニット30は、駆動手段(図示せず)により、中間転写ベルト8を、図1図2における反時計回り方向に回転させる(中間転写ユニット30の詳細については、後述する)。感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において記録媒体の一例としての転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0020】
トナー像が転写される転写紙Pは、画像形成装置100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。
【0021】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光ユニット5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像ユニット3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0022】
以下、図2を用いて画像形成部Pdについて詳細に説明するが、画像形成部Pa~Pcについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。図2に示すように、感光体ドラム1dの周囲には、ドラム回転方向(図1の時計回り方向)に沿って帯電器2d、現像ユニット3d、クリーニング装置7dが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6dが配置されている。また、感光体ドラム1dに対し中間転写ベルト8の回転方向下流側には、中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するベルトクリーニングブレード19aを備えたベルトクリーニングユニット19が配置されている。
【0023】
帯電器2dは、感光体ドラム1dに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー22と、帯電ローラー22をクリーニングするための帯電クリーニングローラー23とを有している。現像ユニット3dは、2本の攪拌搬送スクリュー24と、磁気ローラー25と、現像ローラー26とを有しており、現像ローラー26にトナーと同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
【0024】
クリーニング装置7dは、摺擦ローラー27、クリーニングブレード28、及び回収スクリュー29を有している。摺擦ローラー27は感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、図示しない駆動手段により感光体ドラム1dとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その周速は感光体ドラム1dの周速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラー27としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10~90°の範囲のものが好適に使用される。
【0025】
感光体ドラム1d表面の、摺擦ローラー27との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード28が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード28としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード28の材質及び硬度、寸法、感光体ドラム1dへの食い込み量及び圧接力等は、感光体ドラム1dの仕様に応じて適宜設定される。
【0026】
摺擦ローラー27及びクリーニングブレード28によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スクリュー29の回転に伴ってクリーニング装置7dの外部に排出され、トナー回収容器(図示せず)に搬送されて貯留される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面に研磨剤としてシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
【0027】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光ユニット5によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット3a~3dには、それぞれトナーコンテナ4a~4dに貯留されたシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像ユニット3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0028】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0029】
駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、転写紙Pにフルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは用紙搬送路18を通過して定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8表面に残存するトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0030】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー15によって排出トレイ17に排出される。
【0031】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー15から画像形成装置100の外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラー15を逆回転させることにより分岐部14で反転搬送路20に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラー9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0032】
図3は、伸長状態(後述する第2の状態)の中間転写ユニット30の側面を示す側面図である。図4は、伸長状態(後述する第2の状態)の中間転写ユニット30の平面図である。図5は、図4の中間転写ユニット30から中間転写ベルト8を取り外した状態を示す平面図である。図6は、中間転写ベルト8を取り外し、かつ折り畳まれた状態の中間転写ユニット30を示す斜視図である。
【0033】
図3図5に示すように、中間転写ユニット30は、テンションローラー10と駆動ローラー11とに掛け渡された中間転写ベルト8と、中間転写ベルト8を介して感光体ドラム1a~1dに接触する一次転写ローラー6a~6dと、を有する。中間転写ユニット30は、画像形成装置100の側面側(図1の右側)から画像形成装置100本体に対して水平に挿入及び引き出し可能となっている。
【0034】
図3図4図5に示すように、中間転写ユニット30は、ローラー支持フレーム31と、ローラー支持フレーム31に支持されるテンションローラー10、駆動ローラー11、及び一次転写ローラー6a~6dと、テンションローラー10、駆動ローラー11、及び一次転写ローラー6a~6dに巻き掛けられる無端状(環状)の中間転写ベルト8と、を有する。
【0035】
ローラー支持フレーム31は、第1支持フレーム31aと、第2支持フレーム31bと、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとを回転可能に連結する連結部31cと、を備えている。
【0036】
連結部31cは、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの間、すなわち伸長状態のローラー支持フレーム31の中央部分に位置している。ローラー支持フレーム31は、第1支持フレーム31aを第2支持フレーム31bに対して回転させることで、連結部31cを起点として折り畳まれた状態(第1の状態)と(図6参照)、第1支持フレーム31a、及び第2支持フレーム31bを直線状に伸ばした状態(第2の状態)と(図5参照)に変形させることができる。
【0037】
図3に示すように、中間転写ユニット30が第2の状態のときに、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとは、直線状に並んでいる。以下、第2の状態のときに、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとが並ぶ直線状の方向(図3に示す左右方向)を、ローラー支持フレーム31、第1支持フレーム31a、及び第2支持フレーム31bの長手方向と称する。また、長手方向に直交する方向(図3の紙面に対して垂直な方向)を、ローラー支持フレーム31、第1支持フレーム31a、及び第2支持フレーム31bの幅方向と称する。
【0038】
感光体ドラム1a~1dは、画像形成装置100に搭載された中間転写ユニット30と、上下方向に対向している(図1参照)。感光体ドラム1a~1dの外周面は、中間転写ベルト8の表面に接触している。以下、ローラー支持フレーム31の上下方向の両端面のうち、感光体ドラム1a~1dに近い方の面を表面53と称し、感光体ドラム1a~1dから遠い方の面を背面54と称する。図6に示すように、ローラー支持フレーム31が第1の状態のときに、表面53は第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの内側(対向面)に位置し、背面54は第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの外側に位置する。
【0039】
テンションローラー10は、第1支持フレーム31aの長手方向の一方側の端部(ローラー支持フレーム31の一端)に回転可能に支持されている。テンションローラー10は、中間転写ベルト8がローラー支持フレーム31に張架された状態で、中間転写ベルト8に所定の張力を付与する。駆動ローラー11は、第2支持フレーム31bの長手方向の一方側の端部(ローラー支持フレーム31のテンションローラー10の支持される端部と反対側の端部)に、回転可能に支持されている。駆動ローラー11の外径(直径)はテンションローラー10の外径と同一である。駆動ローラー11は、中間転写ベルト8がローラー支持フレーム31に張架された状態で中間転写ベルト8に圧接しており、この状態から駆動手段(図示省略)により回転して中間転写ベルト8を回動させる。
【0040】
ローラー支持フレーム31の、テンションローラー10と連結部31cとの間には、テンションローラー10側から順に一次転写ローラー6a、6bが支持されている。ローラー支持フレーム31の、駆動ローラー11と連結部31cとの間には、連結部31c側から順に一次転写ローラー6c、6dが支持されている。一次転写ローラー6dの斜め上方にはベルトクリーニングユニット19のベルトクリーニングブレード19a(図2参照)に対向する対向ローラー32が支持されている。
【0041】
図7は、図5に示すローラー支持フレーム31の連結部31cの周辺(図5の一点鎖線で示した枠線Aの内側の部分)を拡大して示した部分拡大図である。図8は、図7に示すローラー支持フレーム31を、B-B断面線で切断した断面を示す断面図である。図9は、回転軸46が支持凹部58に挿入されている状態を示す断面図である。
【0042】
図6図7図8に示すように、第1支持フレーム31aの長手方向の他方側の端部(テンションローラー10が支持されている端部と反対側の端部)には、長手方向に沿って突出する連結凸部52が形成されている。第2支持フレーム31bの長手方向の他方側の端部(駆動ローラー11が支持されている端部と反対側の端部)には、第2支持フレーム31bの長手方向に沿って凹んだ連結凹部51が形成されている。連結凹部51の幅方向に対向する面同士の間隔は、連結凸部52の幅方向の寸法よりも広い。連結凸部52は、連結凹部51の内側に差し込まれている。
【0043】
連結凸部52は、背面54側の側端部から長手方向に突出する規制壁部48と、表面53側の側端部から長手方向に突出する立壁部49と、を有する(図8参照)。規制壁部48と立壁部49とは第1支持フレーム31aの厚み方向(第1支持フレーム31aの長手方向、及び幅方向に直交する方向)に対向している。
【0044】
連結部31cは、第1支持フレーム31aの連結凹部51の内側に設けられた回転軸46と、規制壁部48と立壁部49との間に形成された軸孔部47と、を有する。回転軸46は、第1支持フレーム31aの幅方向に沿って延びる筒状の軸体である。回転軸46は、その軸心を間に挟んだ、第2支持フレーム31bの厚み方向(第2支持フレーム31bの長手方向、及び幅方向に直交する方向)の両側に平坦面61が形成されている。平坦面61は、第2支持フレーム31bの表面53,及び背面54に平行な面である。回転軸46は、軸孔部47に挿入されている。
【0045】
軸孔部47は、回転軸46を挟持して第1支持フレーム31aと、第2支持フレーム32bとを連結して固定可能な固定部57と、回転軸46を回転可能に支持する支持凹部58と、を有する。固定部57と支持凹部58とは、第1支持フレーム31aの長手方向に並んで形成されている。固定部57は、固定部57は、規制壁部48に形成された、立壁部49に対向する対向面59と、立壁部49に形成された、規制壁部48に対向する対向面60と、によって構成されている。対向面59と対向面60との間隔は、回転軸46に形成された一方の平坦面61から他方の平坦面61までの寸法と略等しい。支持凹部58は、第1支持フレームの長手方向に沿って固定部57に連接しており、第1支持フレーム31aの厚み方向に、平面視弓形状に凹んでいる。
【0046】
図8に示すように回転軸46は、固定部57に挿入されると、平坦面61と対向面59、60とが接触し、正逆両方向の回転を規制される。回転軸46は、支持凹部58に挿入されると、回転軸46の外周面と支持凹部58の内周面とが摺動可能に接触し、支持凹部58によって回転可能に支持される。軸孔部47に挿入された回転軸46は、第2支持フレーム31bの長手方向(図8の矢印D3の方向、又は図9の矢印D4の方向)にスライドさせることで、固定部57と支持凹部58との間を移動可能になっている。ローラー支持フレーム31を伸長させて第2の状態を維持する場合には、第1支持フレーム31a、及び第2支持フレーム31bが直線状に並んだ状態で、回転軸46を第2支持フレーム31bごと矢印D4の方向にスライドさせて、回転軸46を固定部57内に挿入する。
【0047】
図9に示すように、回転軸46が支持凹部58内に挿入された状態にあるとき、第1支持フレーム31aは、回転軸46を中心に、第2支持フレーム31bに対して正逆両方向に回転可能となっている。第1支持フレーム31aの正逆両方向の回転のうち、第1支持フレーム31aの表面53を第2支持フレーム31bの表面53から遠ざける方向(図示矢印D1方向)の回転を正方向とし、反対方向(図示矢印D2方向)の回転を逆方向とする。
【0048】
図7図8に示すように、回転軸46は、回転軸46の外周面から径方向の外側に向かって突出する突出部55を備えている。突出部55は、規制壁部48よりも正方向の下流側に形成されている。図7に示すように、立壁部49の、第1支持フレーム31aの幅方向に対して突出部55と重なる位置には、退避凹部56が形成されている。退避凹部56は、立壁部49の突出方向の先端部から、突出方向と反対方向に向かって切り欠かれて形成されている。
【0049】
図10は、図9に示した第1支持フレーム31aが逆方向に回転したときの回転軸46の断面図である。図11は、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの間の角度が鋭角になった状態(第1の状態)を示す回転軸46の断面図である。図12は、図9に示した第1支持フレーム31aが正方向に回転したときの回転軸46の断面図である。
【0050】
図8図9に示すように、ローラー支持フレーム31が第2の状態のときに、突出部55は、規制壁部48と立壁部49との間に位置している。ローラー支持フレーム31が第2の状態のときに、上述したように、回転軸46を固定部57から支持凹部58内に移動させ(図9参照)、第1支持フレーム31aが逆方向(図示矢印D2方向)に回転すると、図10に示すように、突出部55は、退避凹部56内に進入する。この状態からさらに第1支持フレーム31aを逆方向(矢印D2方向)に回転させると、図11に示すように、第1支持フレーム31aの表面53が第2支持フレーム31bの一部(連結凹部51と第2支持フレーム31bの表面53との間の縁部)に接触する。この接触により、第1支持フレーム31aの逆方向の回転が規制される。このときの第1支持フレーム31aの表面53と第2支持フレーム31bの表面53とのなす角θ1は、30度以上、かつ45度以下(より好ましくは、35度以上、40度以下)となっている。
【0051】
反対に、ローラー支持フレーム31が第2の状態のときに、上述したように、回転軸46を固定部57から支持凹部58内に移動させ(図9参照)、第1支持フレーム31aが正方向(図示矢印D1方向)に回転すると、図12に示すように、突出部55が規制壁部48に接触する。この接触によって、第1支持フレーム31aの正方向の回転が規制される。このときの、第1支持フレーム31aの背面54と第2支持フレーム31bの背面54との間のなす角θ2は、170度以上、かつ180度未満となっている。
【0052】
図13は、ローラー支持フレーム31の幅方向の右側端部に右側面フレーム33aを装着し、左側端部に左側面フレーム33bを装着した状態を示す中間転写ユニット30の平面図である。
【0053】
図13に示すように、ローラー支持フレーム31の幅方向の右側面には右側面フレーム33aが装着され、ローラー支持フレーム31の幅方向の左側面には、左側面フレーム33bが装着されている。右側面フレーム33aの上面には高圧基板(図示せず)と現像ユニット3a~3d(図1参照)とを電気的に接続するための現像接点端子部35が設けられている。また、左側面フレーム33bの上面には、高圧基板と一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9(図1参照)とを電気的に接続するための転写接点端子部37と、高圧基板と帯電器2a~2d(図1参照)とを電気的に接続するための帯電接点端子部39とが設けられている。中間転写ユニット30を画像形成装置100本体内の所定位置まで挿入したとき、高圧基板側の端子(図示せず)と現像接点端子部35、転写接点端子部37、帯電接点端子部39とが接触し、現像ユニット3a~3d、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9、帯電器2a~2dへのバイアスの印加が可能となる。
【0054】
次に、中間転写ユニット30の組み立て手順について説明する。図14は、第2の状態のローラー支持フレーム31の側面図である。先ず、図6に示すように、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとが互いに接近するよう、連結部31cを中心に第1支持フレーム31aを第2支持フレーム31bに対して逆方向に回転させて、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとの間の角が鋭角になるようにローラー支持フレーム31を折り畳む(第1の状態)。次に、図14に示すように、第1の状態としたローラー支持フレーム31を側面視略円形状に撓ませた中間転写ベルト8の内側に挿入する。
【0055】
図14の状態から、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとが互いに離間するよう、第1支持フレーム31aを第2支持フレーム31bに対して正方向に回転させる。すると、第1支持フレーム31aに支持されたテンションローラー10と第2支持フレーム31bに支持された駆動ローラー11とが中間転写ベルト8の内周面に当接する。さらに第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとを回動させると、テンションローラー10と駆動ローラー11とが中間転写ベルト8の内周面を押し広げていく。
【0056】
そして、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bとが直線状に伸びた状態(第2の状態)になるまで第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bを回動させる。そして、回転軸46を第2支持フレーム31bの長手方向に沿ってスライドさせて、回動軸46を固定部57に移動させる。これにより、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bの正逆両方向の回転が規制され、ローラー支持フレーム31が伸長した状態(第2の状態)で固定される。これにより、図3に示したようにテンションローラー10、駆動ローラー11によって中間転写ベルト8が偏平状に張架され、中間転写ベルト8の内周面に一次転写ローラー6a~6d、対向ローラー32が当接した状態となる。その後、ローラー支持フレーム31に右側面フレーム33a、左側面フレーム33bを装着して中間転写ユニット30の組み立てを完了する。
【0057】
上記実施形態の中間転写ユニット30は、回転軸46に形成された突出部55と、軸孔部47に形成された規制壁部48との接触によって、第1支持フレーム31aと第2支持フレーム31bの回転方向を一方向に規制できる。このため、ローラー支持フレーム31の表面53に、回転を規制するための構造等を設ける必要がなく、簡易な構造によって、ユニット組み立て時における中間転写ベルト8の傷付きや折れを抑制しつつ、大型化を抑制可能な中間転写ユニット30を提供することができる。また、この中間転写ユニット30を搭載することで、画像形成装置100を小型化することができる。
【0058】
また、図14に示すように、中間転写ベルト8の内側に挿入された第1の状態のローラー支持フレーム31を伸長させていくと、屈曲したローラー支持フレーム31の外側面(背面54)と中間転写ベルト8の内周面とが接触して中間転写ベルト8を側面視略三角形に変形させながら中間転写ベルト8の内周面を押し広げる。このとき、三角形状に押し広げられた中間転写ベルト8の3箇所の頂点部分(図14に示したP1、P2、及びP3の箇所)には特に大きな負荷が掛かる。
【0059】
また、規制壁部48、及び立壁部49の突出方向の先端の縁部分は、R面取り形状になっている。この構成により、ローラー支持フレーム31を伸長させたとき中間転写ベルト8の内周面と規制壁部48、及び立壁部49の突出方向の先端部分が接触したとしても、互いに円滑に摺動するとともに、中間転写ベルト8を幅方向に沿って屈曲させる方向の負荷も低減されるため、中間転写ベルト8の内周面の傷付きやベルト幅方向の折れを防止することができる。
【0060】
また、上述の通り、ローラー支持フレーム31を折り畳む際に、第1支持フレーム31aが第2支持フレーム31bに接触して逆方向の回転が規制された際の、第1支持フレーム31aの表面53と第2支持フレーム31bの表面53とのなす角θ1は、30度以上、かつ45度以下(より好ましくは、35度以上、40度以下)である。このようにすると、ローラー支持フレーム31を折り畳んだ状態で、第1支持フレーム31a、及び第2支持フレーム31bを脚とするように、立たせることができる。これにより、中間転写ベルト8の張架性を向上させることが可能となっている。
【0061】
図14に示した中間転写ベルト8の3箇所の頂点P1、P2、P3のうち、頂点P1、P3にはテンションローラー10、駆動ローラー11が当接するため、中間転写ベルト8の内周面が傷付いたり中間転写ベルト8が屈曲したりするおそれはない。一方、頂点P2では連結部31cの外側面と中間転写ベルト8の内周面とが擦れ合う。また、連結部31cの外側面が中間転写ベルト8を内側から押圧するため、中間転写ベルト8を幅方向に沿って屈曲させる方向の負荷が加わる。
【0062】
そこで、上記実施形態では、ローラー支持フレーム31の連結部31cの外側面に側面視円弧状の摺動面40を形成している(図14参照)。具体的には、摺動面40は連結部31cの外側面を構成する第2支持フレーム31bの端部に形成されている。この構成により、ローラー支持フレーム31を伸長させたとき中間転写ベルト8の内周面と摺動面40とが円滑に摺動するとともに、中間転写ベルト8を幅方向に沿って屈曲させる方向の負荷も低減されるため、中間転写ベルト8の内周面の傷付きやベルト幅方向の折れを防止することができる。
【0063】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、回転軸46を第2支持フレーム31bに形成し、軸孔部47を第1支持フレーム31aに形成することもできる。
【0064】
また、テンションローラー10は第1支持フレーム31aに支持され、駆動ローラー11は第2支持フレーム31bに支持されている、としたがこれに限られない。例えば、テンションローラー10が第1支持フレーム31aに支持され、駆動ローラー11が第2支持フレーム31bに支持されている構成を採用することもできる。
【0065】
また、第1支持フレーム31aを逆方向に回転させてローラー支持フレーム31を折り畳む際に、第1支持フレーム31aの表面53が第2支持フレーム31bの一部(連結凹部51と第2支持フレーム31bの表面53との間の縁部)に接触することで、第1支持フレーム31aの逆方向の回転が規制される、としたが、これに限られない。例えば、第1支持フレーム31aの表面53、及び第2支持フレーム31bの表面53に、面方向に突出する突起部を形成し、ローラー支持フレーム31を折り畳んだ際にこの突起部同士が接触することで、第1支持フレーム31aの第2支持フレーム31bに対する逆方向の回転を規制するように構成することができる。この場合、この突起部は、中間転写ベルト8の内周面に接触しない程度の突出高さとし、また突出方向の先端部分に面取り形状を形成すると好ましい。
【0066】
また、本発明は図1に示したようなタンデム型のカラープリンターに限らず、カラー複写機やカラー複合機、ファクシミリ等、中間転写ユニットを用いる種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、無端状の中間転写ベルトを備えた中間転写ユニットに利用可能である。本発明の利用により、ユニット組み立て時における中間転写ベルトの傷付きや折れを抑制しつつ、大型化を抑制可能な中間転写ユニットを提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
7d クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラー
10 テンションローラー
11 駆動ローラー
30 中間転写ユニット
31 ローラー支持フレーム
31a 第1支持フレーム
31b 第2支持フレーム
31c 連結部
33a 右側面フレーム
33b 左側面フレーム
40 摺動面
46 回転軸
47 軸孔部
48 規制壁部
49 立壁部
51 連結凹部
52 連結凸部
55 突出部
56 退避凹部
100 画像形成装置
Pa~Pd 画像形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14