(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】バンドおよび時計
(51)【国際特許分類】
A44C 5/14 20060101AFI20241029BHJP
G04B 37/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A44C5/14 J
A44C5/14 B
G04B37/16 Q
(21)【出願番号】P 2021073867
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山下 有紀
(72)【発明者】
【氏名】大塩 匠
(72)【発明者】
【氏名】滝内 享
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-168218(JP,A)
【文献】実開昭59-013114(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0350319(US,A1)
【文献】実開昭63-013013(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111588147(CN,A)
【文献】特開2022-81906(JP,A)
【文献】国際公開第2020/104938(WO,A1)
【文献】実開昭61-172527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/14
G04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スライド部と連結する第1操作レバー及び第2スライド部と連結する第2操作レバーを有するばね棒と、
第1部分、第2部分及び前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部を有し、前記第1部分及び前記第2部分に第1凹部を有する第1駒と、
前記第1部分と前記第2部分との間に配置され、第2凹部を有する第2駒と、を備え、
前記ばね棒の軸線方向から見た側面視において、前記第1凹部と前記第2凹部、または前記第2凹部と前記連結部、とが重なってできる閉曲線内に前記ばね棒が配置され、前記第1操作レバーと前記第2操作レバーとの間に前記第2駒が配置されていることを特徴とするバンド。
【請求項2】
請求項1に記載のバンドであって、
前記第1凹部と前記ばね棒とが接触する第1接触部の範囲に対応する前記ばね棒の軸を中心にした角度である第1角度範囲は180度以下であり、
前記第2凹部と前記ばね棒とが接触する第2接触部の範囲に対応する前記ばね棒の軸を中心にした角度である第2角度範囲は180度以下であり、
前記第1凹部及び前記第2凹部のいずれかと前記ばね棒とが接触する第3接触部の範囲に対応する前記ばね棒の軸を中心にした角度である第3角度範囲は180度よりも大きな角度範囲であることを特徴とするバンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバンドであって、
前記連結部は前記第2凹部の開口部に配置されることを特徴とするバンド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のバンドであって、
前記第1部分の前記第1凹部を第3凹部とし、前記第2部分の前記第1凹部を第4凹部とするとき、前記第1操作レバーは前記第1部分の前記第3凹部に配置され、前記第3凹部は前記第1操作レバーの回転方向の移動を規制し、前記第2操作レバーは前記第2部分の前記第4凹部に配置され、前記第4凹部は前記第2操作レバーの回転方向の移動を規制することを特徴とするバンド。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のバンドであって、
前記第1駒が備える第1穴と前記第2駒が備える第2穴とが同一線上に配置され、
前記第1穴と前記第2穴とにピンが挿入されて前記第1駒と前記第2駒とが固定されることを特徴とするバンド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のバンドであって、
前記第2駒は前記ばね棒の軸線方向に並ぶ複数の駒にて構成されることを特徴とするバンド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のバンドであって、
前記第1駒の前記第1部分には前記第1操作レバーを嵌脱可能に保持する第1保持溝が設けられ、
前記第1駒の前記第2部分には前記第2操作レバーを嵌脱可能に保持する第2保持溝が設けられることを特徴とするバンド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバンドを備えることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドおよび時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ばね棒にて連結するバンド及び腕時計が特許文献1に開示されている。それによると、ばね棒は両端にスライド部を備える。ばねが両端のスライド部を外側に付勢する。スライド部には操作レバーとしてのレバー部が設置される。作業者はレバー部を挟んでばねを縮めることができる。バンドの駒には貫通穴が形成される。貫通穴にはばね棒が挿入される。
【0003】
時計のケースにはスライド部を挿入する一対の穴が形成される。一対の穴は対向配置される。作業者はレバー部を挟んでばねを縮めることによりばね棒の全長を縮める。そして、作業者は一対のスライド部をケースの一対の穴にそれぞれ挿入してレバー部を離す。ばね棒によりバンドの駒がケースに連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のばね棒はレバー部の1つに雄ねじが形成される。スライド部の1つには雌ねじが形成される。レバー部の1つはスライド部と着脱可能になっている。このばね棒をバンドに組み込むとき、作業者はスライド部の1つからレバー部を外して、バンドの駒の貫通穴にばね棒を挿入する。次に、作業者はスライド部にレバー部をねじ固定する必要があった。つまり、ばね棒を組立てる際、2つの操作レバーのうち一方の操作レバーはねじで固定する構造となっていた。この構造は、レバー部が小さな部品であることからレバー部をばね棒に取付ける作業が困難であり、製造工数の増大や歩留まりの悪化等の問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
バンドは、第1スライド部と連結する第1操作レバー及び第2スライド部と連結する第2操作レバーを有するばね棒と、第1部分、第2部分及び前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部を有し、前記第1部分及び前記第2部分に第1凹部を有する第1駒と、前記第1部分と前記第2部分との間に配置され、第2凹部を有する第2駒と、を備え、前記ばね棒の軸線方向から見た側面視において、前記第1凹部と前記第2凹部、または前記第2凹部と前記連結部、とが重なってできる閉曲線内に前記ばね棒が配置され、前記第1操作レバーと前記第2操作レバーとの間に前記第2駒が配置されている。
【0007】
時計は上記に記載のバンドを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかわるバンド及び時計の構成を示す概略斜視図。
【
図2】バンド及び時計の構成を示す概略分解斜視図。
【
図4】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図5】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図6】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図7】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図11】第2実施形態にかかわるバンド及び時計の構成を示す概略斜視図。
【
図12】バンド及び時計の構成を示す概略分解斜視図。
【
図13】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図14】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図15】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図16】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図17】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図18】バンドの組立て方法を説明するための模式図。
【
図22】第3実施形態にかかわるバンド及び時計の構成及び組み立て方法を説明するための模式図。
【
図23】第4実施形態にかかわる保持溝を説明するための模式図。
【
図26】第5実施形態にかかわる閉曲線の形状を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態
本実施形態では、バンド及びバンドと接続される腕時計の特徴的な例について、図に従って説明する。第1実施形態にかかわるバンド及び時計について図に従って説明する。
図1に示すように、時計1ではケース2にバンド3が接続される。時計1は腕時計である。
図1では時計1のケース2に設置されるムーブメント、文字板、風防及び裏蓋等が省略されている。風防から裏蓋を向く方向を裏方向10cとする。裏蓋から風防を向く方向を表方向10dとする。
図1は時計1を裏方向10c側から見た図である。
【0010】
バンド3はバンド駒4、連結駒5及びばね棒6を備える。ケース2からバンド3を向く方向の内文字板の6時側の方向を6時方向10aとする。6時方向10aの逆の方向を12時方向10bとする。装着する腕の周長に合わせてバンド3ではバンド駒4が複数連結される。
図1にはバンド駒4が1つだけ図示される。連結駒5は複数連結されるバンド駒4の端に配置される。連結駒5はバンド駒4とケース2との間に配置される。ばね棒6は連結駒5とケース2とを接続する部品である。
【0011】
ケース2は一対のバンド取り付け部2aを備える。一対のバンド取り付け部2aの間に連結駒5が配置される。ばね棒6は一対のバンド取り付け部2aと連結駒5とを接続する。
【0012】
図2は時計1を裏方向10c側から見た斜視図である。
図2に示すように、連結駒5は第1駒7及び第2駒8を備える。ばね棒6は第1駒7及び第2駒8に挟まれる。ばね棒6の一方の端には第1スライド部9が配置され、ばね棒6の他方の端には第2スライド部11が配置される。一対のバンド取り付け部2aにはそれぞれ取付穴2bが設けられる。
【0013】
第1スライド部9及び第2スライド部11はそれぞれ取付穴2bに挿入される。ばね棒6はバンド取り付け部2aに着脱可能に設置される。従って、連結駒5はケース2に着脱可能になっている。
【0014】
図3に示すように、ばね棒6は筒状のパイプ部12を備える。パイプ部12内にはばね13が配置される。ばね13はコイルばねである。パイプ部12内には第1スライド部9及び第2スライド部11がばね棒6の軸6aに沿ってスライド可能に配置される。ばね棒6の軸6aに沿う双方向をばね棒6の軸線方向6bとする。ばね13は第1スライド部9と第2スライド部11との間に配置される。ばね13が第1スライド部9及び第2スライド部11を付勢する。ばね13により第1スライド部9及び第2スライド部11はパイプ部12の両側から外部に向かって押圧される。
【0015】
第1スライド部9は大径の第1スライド本体9aと小径の第1突出部9bとを備える。第1スライド本体9aの外形はパイプ部12の内径よりも少し小さいので、第1スライド本体9aはパイプ部12の内部でスライドする。第2スライド部11は大径の第2スライド本体11aと小径の第2突出部11bとを備える。第2スライド本体11aの外形はパイプ部12の内径よりも少し小さいので、第2スライド本体11aはパイプ部12の内部でスライドする。
【0016】
第1スライド本体9aには第1操作レバー14が設置される。第2スライド本体11aには第2操作レバー15が設置される。作業者は第1操作レバー14を操作して第1スライド部9をスライドさせる。作業者は第2操作レバー15を操作して第2スライド部11をスライドさせる。作業者は第1操作レバー14及び第2操作レバー15を操作して第1突出部9b及び第2突出部11bをパイプ部12から出し入れする。
【0017】
パイプ部12の両側の端にはそれぞれ抜止め部12aが配置される。抜止め部12aにより第1スライド部9及び第2スライド部11はパイプ部12の外部に抜け出さない。抜止め部12aから第1突出部9b及び第2突出部11bが突出する。
【0018】
パイプ部12は第1スライド部9側に第1スライド穴16を備える。第1スライド穴16はばね棒6の軸方向に長い。第1操作レバー14は第1スライド穴16から突出する。パイプ部12は第2スライド部11側に第2スライド穴17を備える。第2スライド穴17はばね棒6の軸方向に長い。第2操作レバー15は第2スライド穴17から突出する。第1操作レバー14及び第2操作レバー15はばね棒6の軸方向に移動可能である。このように、ばね棒6は第1スライド部9と連結する第1操作レバー14及び第2スライド部11と連結する第2操作レバー15を有する。
【0019】
次に、連結駒5とばね棒6との組み立て手順を説明する。
図4に示すように、第1駒7は第1部分18、第2部分19及び第1部分18と第2部分19とを連結する連結部21を有する。第1駒7は第1部分18に第1凹部及び第3凹部としての左側第1凹部18aを備える。第1駒7は第2部分19に第1凹部及び第4凹部としての右側第1凹部19aを備える。第1駒7は第1部分18に第1穴としての左側第1固定穴18bを備える。第1駒7は第2部分19に第1穴としての右側第1固定穴19bを備える。左側第1固定穴18b及び右側第1固定穴19bは同軸であり、軸線方向6bに延在する。
【0020】
ばね棒6は連結部21の表方向10d側の第1面21a上に設置される。さらに、ばね棒6は左側第1凹部18a及び右側第1凹部19a内に設置される。その結果、
図5に示すように、第1駒7とばね棒6とが組み立てられる。
【0021】
図5に示すように、第2駒8は裏方向10c側に第2凹部8aを有する。第2駒8は第2穴としての第2固定穴8b及び第2連結穴8cを備える。第2固定穴8b及び第2連結穴8cは軸線方向6bに延在する。第2連結穴8cはバンド駒4と連結駒5とを連結するときに用いられる。
【0022】
第2駒8は第1部分18と第2部分19との間に配置される。ばね棒6は第2凹部8aの内部に配置される。連結部21が第2凹部8aに蓋をする。その結果、
図6及び
図7に示すように、連結駒5が組み立てられる。
図6は連結駒5を表方向10dから見た図である。
図7は連結駒5を裏方向10c側から見た図である。第1操作レバー14と第2操作レバー15との間に第2駒8が配置される。
【0023】
第1駒7が備える左側第1固定穴18b、右側第1固定穴19bと第2駒8が備える第2固定穴8bとが同一線上に配置される。左側第1固定穴18b、第2固定穴8b及び右側第1固定穴19bに図示しないピンが挿入され第1駒7と第2駒8とが固定される。ピンが連結駒5から抜けないようにCリングがピンに設置される。
【0024】
この構成によれば、左側第1固定穴18b、第2固定穴8b及び右側第1固定穴19bにピンが挿入されて第1駒7と第2駒8とが固定される為、容易に第1駒7と第2駒8とを固定することができる。他にも、第2駒8が連結部21と接続する接続部8dにレーザー光を照射して、第2駒8と連結部21とが溶接されても良い。
【0025】
次に、左側第1凹部18a、右側第1凹部19a及び第2凹部8aの形状について説明する。
図8は第2駒8を軸線方向6bから見た図である。第2凹部8aとばね棒6とが接触する第2接触部22の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第2角度範囲23は20度以上180度以下である。第2角度範囲23を20度よりも小さくした場合には、第2凹部8aに対してばね棒6の軸と交差する方向のばね棒6の位置ずれが大きくなる虞がある。この位置ずれにより、ばね棒6の外周が第2凹部8aと擦れて摩耗してしまい、連結駒に対するばね棒6のガタツキが発生してしまう。また、第2角度範囲23を180度よりも大きくした場合には、第2凹部8aに対してばね棒6の軸と交差する方向からばね棒6を組込むことができなくなってしまう。
【0026】
図9は第1駒7を軸線方向6bから見た図である。左側第1凹部18a、右側第1凹部19a及び連結部21とばね棒6とが接触する第1接触部24の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第1角度範囲25は20度以上180度以下である。第1角度範囲25を20度よりも小さくした場合には、左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aに対してばね棒6の軸と交差する方向のばね棒6の位置ずれが大きくなる虞がある。この位置ずれにより、ばね棒6の外周が左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aと擦れて摩耗してしまい、連結駒に対するばね棒6のガタツキが発生してしまう。また、第1角度範囲25を180度よりも大きくした場合には、左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aに対してばね棒6の軸と交差する方向からばね棒6を組込むことができなくなってしまう。
【0027】
図10は連結駒5を軸線方向6bから見た図である。ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aと第2凹部8aと連結部21の第1面21aとが重なってできる閉曲線26内にばね棒6が配置される。なお、ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、ばね棒6は、第2凹部8aと、連結部21の第1面21aと、で構成される閉曲線内に配置される構成であってもよい。
【0028】
この構成によれば、ばね棒6を第1駒7と第2駒8とが挟んでいる。このとき、ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aと第2凹部8aとが閉曲線26を形成する。つまり、左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aと第2凹部8aとにより穴が形成される。この穴にばね棒6が配置される。従って、ばね棒6に第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるときにも、ばね棒6を第1駒7と第2駒8とが挟むことにより容易にばね棒6及び連結駒5を備えるバンド3を組み立てることができる。その結果、特許文献1のようにスライド部に操作レバーをねじ固定する作業をなくすことができる。
【0029】
左側第1凹部18a、右側第1凹部19a及び第2凹部8aのいずれかとばね棒6とが接触する第3接触部27の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第3角度範囲28は180度よりも大きく360度以下の角度範囲である。第3角度範囲28を180度よりも大きくすることにより、閉曲線26内に対してばね棒6の軸と交差する方向のばね棒6の位置ずれを小さくすることができる。
【0030】
この構成によれば、第1角度範囲25が180度以下であるので、開口側から左側第1凹部18a及び右側第1凹部19aにばね棒6を挿入できる。第2角度範囲23が180度以下であるので、開口側から第2凹部8aにばね棒6を挿入できる。第3角度範囲28が180度よりも大きいので、左側第1凹部18a、右側第1凹部19a及び第2凹部8aは容易に閉曲線26を形成できる。
【0031】
時計1は上記に記載のバンド3を備える。この構成によれば、バンド3はばね棒6に第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるときにも、容易にばね棒6を組み立てることができるバンドである。従って、時計1は第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるばね棒6を容易に組み立てることができるバンド3を備えた時計とすることができる。
【0032】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、連結駒5の構成が異なる点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0033】
図11に示すように、時計31ではケース2にバンド32が接続される。時計31は腕時計である。
図11では時計31のケース2に設置されるムーブメント、文字板、風防及び裏蓋等が省略されている。
図11は時計31を裏方向10c側から見た図である。
【0034】
バンド32はバンド駒4、連結駒33及びばね棒6を備える。
図11にはバンド駒4が1つだけ図示されている。連結駒33は複数連結されるバンド駒4の端に配置される。連結駒33はバンド駒4とケース2との間に配置される。ばね棒6は一対のバンド取り付け部2aと連結駒33とを接続する。
【0035】
図12は時計31を裏方向10c側から見た斜視図である。
図12に示すように、連結駒33は第1駒34及び第2駒35を備える。ばね棒6は第1駒34及び第2駒35に挟まれる。ばね棒6はバンド取り付け部2aに着脱可能に設置される。従って、連結駒33はケース2に着脱可能になっている。
【0036】
次に、連結駒33とばね棒6との組み立て手順を説明する。
図13に示すように、第1駒34は第1部分36、第2部分37及び第1部分36と第2部分37とを連結する連結部38を有する。第1駒34は第1部分36に第1凹部及び第3凹部としての左側第1凹部36aを備える。第1駒34は第2部分37に第1凹部及び第4凹部としての右側第1凹部37aを備える。第1駒34は第1部分36に第1穴としての左側第1固定穴36bを備える。第1駒34は第2部分37に第1穴としての右側第1固定穴37bを備える。左側第1固定穴36b及び右側第1固定穴37bは同軸であり、軸線方向6bに延在する。
【0037】
ばね棒6は連結部38の6時方向10a側の第2面38a上に設置される。さらに、ばね棒6は左側第1凹部36a及び右側第1凹部37a内に設置される。その結果、
図14に示すように、第1駒34とばね棒6とが組み立てられる。
【0038】
図14に示すように、第2駒35は12時方向10b側に第2凹部35aを備える。第2駒35は第2穴としての第2固定穴35b及び第2連結穴35cを備える。第2固定穴35b及び第2連結穴35cは軸線方向6bに延在する。第2連結穴35cはバンド駒4と連結駒33とを連結するときに用いられる。
【0039】
第2駒35は第1部分36と第2部分37との間に配置される。ばね棒6は第2凹部35aの内部に配置される。
【0040】
図15に示すように、ばね棒6及び連結部38が第2凹部35aに挿入される。その結果、
図16、
図17及び
図18に示すように、連結駒33が組み立てられる。
図16は連結駒33を表方向10d側から見た斜視図である。
図17は連結駒33を裏方向10c側から見た斜視図である。
図18は連結駒33を軸線方向6bから見た図である。
【0041】
第1駒34が備える左側第1固定穴36b、右側第1固定穴37bと第2駒35が備える第2固定穴35bとが同一線上に配置される。左側第1固定穴36b、第2固定穴35b及び右側第1固定穴37bに図示しないピンが挿入され第1駒34と第2駒35とが固定される。ピンが連結駒33から抜けないようにCリングがピンに設置される。
【0042】
この構成によれば、左側第1固定穴36b、第2固定穴35b及び右側第1固定穴37bにピンが挿入されて第1駒34と第2駒35とが固定される為、容易に第1駒34と第2駒35とを固定することができる。他にも、第2駒35が連結部38と接続する接続部35dにレーザー光を照射して、第2駒35と連結部38とが溶接されても良い。
【0043】
連結部38は第2凹部35aの開口部35eに配置される。この構成によれば、連結部38と第2凹部35aとの相対位置が決まるため、第1駒34と第2駒35との相対位置が決まる。従って、第1駒34と第2駒35とを容易に組み立てることができる。
【0044】
図17及び
図18に示すように、第1操作レバー14は第1部分36の左側第1凹部36aに配置される。左側第1凹部36aは第1操作レバー14の回転方向の移動を規制する。第2操作レバー15は第2部分37の右側第1凹部37aに配置される。右側第1凹部37aは第2操作レバー15の回転方向の移動を規制する。
【0045】
この構成によれば、第1部分36が備える左側第1凹部36a及び第2部分37が備える右側第1凹部37aにばね棒6が配置される。左側第1凹部36aにより第1操作レバー14の回転方向の移動が規制される。第1操作レバー14が回転して倒れ込んでしまうことを防止できる。右側第1凹部37aにより第2操作レバー15の回転方向の移動が規制される。第2操作レバー15が回転して倒れ込んでしまうことを防止できる。このとき、第1操作レバー14及び第2操作レバー15はばね棒6の軸線方向6bに移動し易く、軸線方向6bと交差する方向には移動し難い。従って、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aは第1操作レバー14及び第2操作レバー15を操作し易くすることができる。
【0046】
次に、左側第1凹部36a、右側第1凹部37a及び第2凹部35aの形状について説明する。
図19は第2駒35を軸線方向6bから見た図である。第2凹部35aとばね棒6とが接触する第2接触部39の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第2角度範囲41は20度以上180度以下である。第2角度範囲41を20度よりも小さくした場合には、第2凹部35aに対してばね棒6の軸と交差する方向のばね棒6の位置ずれが大きくなる虞がある。この位置ずれにより、ばね棒6の外周が第2凹部35aと擦れて摩耗してしまい、連結駒に対するばね棒6のガタツキが発生してしまう。また、第2角度範囲41を180度よりも大きくした場合には、第2凹部35aに対してばね棒6の軸と交差する方向からばね棒6を組込むことができなくなってしまう。
【0047】
図20は第1駒34を軸線方向6bから見た図である。左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aとばね棒6とが接触する第1接触部42の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第1角度範囲43は20度以上180度以下である。第1角度範囲43を20度よりも小さくした場合には、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aに対してばね棒6の軸と交差する方向のばね棒6の位置ずれが大きくなる虞がある。この位置ずれにより、ばね棒6の外周が左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aと擦れて摩耗してしまい、連結駒に対するばね棒6のガタツキが発生してしまう。また、第1角度範囲43を180度よりも大きくした場合には、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aに対してばね棒6の軸と交差する方向からばね棒6を組込むことができなくなってしまう。
【0048】
図21は連結駒33を軸線方向6bから見た図である。ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aと第2凹部35aが重なってできる閉曲線44内にばね棒6が配置される。
【0049】
この構成によれば、ばね棒6を第1駒34と第2駒35とが挟んでいる。このとき、ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aと第2凹部35aとが閉曲線44を形成する。つまり、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aと第2凹部35aとにより穴が形成される。穴にばね棒6が配置される。従って、ばね棒6に第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるときにも、ばね棒6を第1駒34と第2駒35とが挟むことにより容易にばね棒6を備えるバンド32を組み立てることができる。その結果、特許文献1のようにスライド部に操作レバーをねじ固定する作業をなくすことができる。
【0050】
左側第1凹部36a、右側第1凹部37a及び第2凹部35aのいずれかとばね棒6とが接触する第3接触部45の範囲に対応するばね棒6の軸6aを中心にした角度である第3角度範囲46は180度よりも大きく360度以下の角度範囲である。
【0051】
この構成によれば、第1角度範囲43が180度以下であるので、開口側から左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aにばね棒6を挿入できる。第2角度範囲41が180度以下であるので、開口部35e側から第2凹部35aにばね棒6を挿入できる。第3角度範囲46が180度よりも大きいので、左側第1凹部36a、右側第1凹部37a及び第2凹部35aは容易に閉曲線44を形成できる。
【0052】
時計31は上記に記載のバンド32を備える。この構成によれば、バンド32はばね棒6に第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるときにも、容易にばね棒6を組み立てることができるバンドである。従って、時計31は第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるばね棒6を容易に組み立てることができるバンド32を備えた時計とすることができる。
【0053】
第3実施形態
本実施形態が第2実施形態と異なるところは、第2駒35が3つの部品で構成される点にある。尚、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0054】
図22に示すように、時計49のバンド51は連結駒52を備える。連結駒52は第1駒34、ばね棒6及び第2駒53を備える。第2駒53の形状は第2実施形態の第2駒35と同じである。第2駒53は駒としての中央駒54、駒としての左端駒55、駒としての右端駒56を備える。
【0055】
中央駒54、左端駒55、右端駒56は軸線方向6bから見た形状が同じである。厚みは特に限定されないが、左端駒55及び右端駒56は軸線方向6bの厚みが同じであり、中央駒54より薄い。
【0056】
第2駒53はばね棒6の軸線方向6bに並ぶ複数の駒にて構成される。この構成によれば、第2駒53はばね棒6の軸線方向6bに並ぶ複数の駒にて構成される為、装飾性のある外観を容易に形成できる。
【0057】
第4実施形態
本実施形態が第2実施形態と異なるところは、操作レバーを保持する溝を備える点にある。尚、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0058】
図23に示すように、時計59のバンド61は連結駒62を備える。連結駒62は第1駒63、ばね棒6及び第2駒64を備える。第1駒63は第1部分65及び第2部分66を備える。第1部分65は第1凹部及び第3凹部としての左側第1凹部65aを備える。左側第1凹部65aは第2実施形態の左側第1凹部36aに相当する。第2部分66は第1凹部及び第4凹部としての右側第1凹部66aを備える。右側第1凹部66aは第2実施形態の右側第1凹部37aに相当する。左側第1凹部65a及び右側第1凹部66aにはばね棒6が設置される。
【0059】
第1駒63の第1部分65には第1保持溝65cが設けられる。第1保持溝65cは左側第1凹部65aと接続し、第1保持溝65cは左側第1凹部65aの12時方向10b側に配置される。第1保持溝65cは第1操作レバー14を嵌脱可能に保持する。
【0060】
第1駒63の第2部分66には第2保持溝66cが設けられる。第2保持溝66cは右側第1凹部66aと接続し、第2保持溝66cは右側第1凹部66aの12時方向10b側に配置される。第2保持溝66cは第2操作レバー15を嵌脱可能に保持する。
【0061】
第2駒64には第3保持溝64f及び第4保持溝64gを備える。第2駒64は第2実施形態の第2凹部35aに相当する第2凹部64aを備える。第3保持溝64f及び第4保持溝64gは第2凹部64aと接続し、第2凹部64aの12時方向10b側に配置される。第3保持溝64fは第1部分65側に配置される。第4保持溝64gは第2部分66側に配置される。第3保持溝64fは第1操作レバー14を嵌脱可能に保持する。第4保持溝64gは第2操作レバー15を嵌脱可能に保持する。
【0062】
図24に示すように、作業者が第1操作レバー14を操作して第1操作レバー14を第1保持溝65cに設置するとき、第1スライド部9の第1突出部9bは左側第1凹部65aの外に突出する。作業者が第2操作レバー15を操作して第2操作レバー15を第2保持溝66cに設置するとき、第2スライド部11の第2突出部11bは右側第1凹部66aの外に突出する。
【0063】
図25に示すように、作業者が第1操作レバー14を操作して第1操作レバー14を第3保持溝64fに設置するとき、第1スライド部9の第1突出部9bは左側第1凹部65a内に格納される。作業者が第2操作レバー15を操作して第2操作レバー15を第4保持溝64gに設置するとき、第2スライド部11の第2突出部11bは右側第1凹部66a内に格納される。
【0064】
連結駒62をケース2にセットするとき、作業者は第1操作レバー14を第3保持溝64fに嵌める。作業者は第2操作レバー15を第4保持溝64gに嵌める。次に、作業者は連結駒62を一対のバンド取り付け部2aの間に配置する。そして、作業者は第1操作レバー14を第1保持溝65cに嵌める。作業者は第2操作レバー15を第2保持溝66cに嵌める。第1突出部9b及び第2突出部11bは突出し、取付穴2bに挿入された状態を保持する。従って、連結駒62はケース2と連結した状態を維持する。
【0065】
この構成によれば、第1操作レバー14を第1保持溝65cに嵌めることにより、第1操作レバー14の位置を固定することができる。第1操作レバー14を第1保持溝65cからはずすことにより、第1操作レバー14の位置を変更することができる。従って、第1操作レバー14の位置を容易に調整することができる。同様に、第2操作レバー15を第2保持溝66cに嵌めてはずすことができる為、第2操作レバー15の位置を容易に調整することができる。
【0066】
第5実施形態
本実施形態が第2実施形態と異なるところは、左側第1凹部36a及び右側第1凹部37aを備えない点にある。尚、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0067】
図26に示すように、時計69のバンド71は連結駒72を備える。連結駒72は第1駒73、ばね棒6及び第2駒35を備える。第1駒73は第1部分74及び第2部分75を備える。第1部分74及び第2部分75は連結部38により連結される。
【0068】
第1部分74は第2実施形態における左側第1凹部36aに相当する部分を備えない。第1部分74は左側第1凹部36aの6時方向10a側の部分が除去される。従って、左側第1凹部36aに相当する部分は第1部分74に含まれない。第2部分75は第2実施形態における右側第1凹部37aを備えない。第2部分75は右側第1凹部37aの6時方向10a側の部分が除去される。従って、右側第1凹部37aに相当する部分は第2部分75に含まれない。ばね棒6及び連結部38が第2凹部35aに挿入される。連結部38の第2面38a及び第2凹部35aが閉曲線76を形状する。
【0069】
ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、第2凹部35aと連結部38とが重なってできる閉曲線76内にばね棒6が配置される。この構成によれば、ばね棒6の軸線方向6bから見た側面視において、第2凹部35aと連結部38とが閉曲線76を形成する。つまり、第2凹部35aと連結部38とにより穴が形成される。穴にはばね棒6が配置される。従って、ばね棒6に第1操作レバー14及び第2操作レバー15があるときにも、ばね棒6を第1駒73と第2駒35とが挟むことにより容易にばね棒6を備えるバンド71を組み立てることができる。その結果、特許文献1のようにスライド部に操作レバーをねじ固定する作業をなくすことができる。
【0070】
第6実施形態
前記第1実施形態~前記第5実施形態では駒を側面視したとき、駒の凹部は円弧を含んで構成していたが円弧を含まずに直線のみで構成される凹部であってもよい。例えば、断面視で駒の凹部はV形状であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,31,49,59,69…時計、3,32,51,61,71…バンド、6…ばね棒、6b…軸線方向、7,34,63,73…第1駒、8a,35a,64a…第2凹部、8b,35b…第2穴としての第2固定穴、8,35,53,64…第2駒、9…第1スライド部、11…第2スライド部、14…第1操作レバー、15…第2操作レバー、18a,36a,65a…第1凹部及び第3凹部としての左側第1凹部、18b,36b…第1穴としての左側第1固定穴、18,36,65,74…第1部分、19a,37a,66a…第1凹部及び第4凹部としての右側第1凹部、19b,37b…第1穴としての右側第1固定穴、19,37,66,75…第2部分、22,39…第2接触部、23,41…第2角度範囲、24,42…第1接触部、25,43…第1角度範囲、26,44,76…閉曲線、27,45…第3接触部、28,46…第3角度範囲、35e…開口部、38…連結部、54…駒としての中央駒、55…駒としての左端駒、56…駒としての右端駒、65c…第1保持溝、66c…第2保持溝、72…連結駒。