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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電力供給ユニットおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241029BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241029BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241029BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60R16/02 645D
B60K1/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021101467
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000567
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 大我
(72)【発明者】
【氏名】村里 健次
(72)【発明者】
【氏名】上木原 大介
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107632(JP,A)
【文献】特開2011-006050(JP,A)
【文献】特開2013-209078(JP,A)
【文献】特開2007-066480(JP,A)
【文献】特開2007-068285(JP,A)
【文献】特開2019-073237(JP,A)
【文献】特開2018-122825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
H01M 50/20-50/298
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B60R 16/00-17/02
B60K 1/00-6/12
B60K 7/00-8/00
B60K 16/00
B60K 6/20-6/547
B60W 10/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流経路を含み、外部電源から供給された外部電力を蓄電装置に供給可能に設けられ、かつ、蓄電装置からの電力を車両に搭載された機器に供給可能に設けられた電力供給ユニットであって、
1つ以上の電力変換器と、
前記電流経路を切り替えるリレーと、
前記1つ以上の電力変換器と前記リレーとを内部に収容する筐体と、を備え、
前記1つ以上の電力変換器は、前記リレーよりも重量が重く、前記筐体内において、前記リレーよりも下方に配置されており、
前記1つ以上の電力変換器は、車両外部の交流電源から供給される交流電力を蓄電装置に充電可能な電力に変換する第1電力変換器と、
蓄電装置から供給される電力を車載の補機に供給するための電力に変換する第2電力変換器とを含み、
前記第1電力変換器は、前記第2電力変換器よりも重量が重く、前記筐体内において、前記第2電力変換器よりも下方に配置されており、
前記1つ以上の電力変換器は、前記第1電力変換器からの出力を車載の補機に供給するための電力に変換する第3電力変換器をさらに含み、
前記第1電力変換器は、前記第2電力変換器および前記第3電力変換器よりも重量が重く、前記筐体内において、前記第2電力変換器および前記第3電力変換器よりも下方に配置されている、電力供給ユニット。
【請求項2】
前記リレーは、外部電源が接続されるインレットと蓄電装置との間の電流経路に設けられ、インレットと蓄電装置が電気的に接続された状態と、インレットと蓄電装置とが電気的に遮断された状態とを切り替える、請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項3】
前記筐体内に収容され、前記リレーおよび前記1つ以上の電力変換器の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記1つ以上の電力変換器よりも重量が軽く、前記筐体内において、前記1つ以上の電力変換器よりも上方に配置されている、請求項1または2に記載の電力供給ユニット。
【請求項4】
請求項に記載の電力供給ユニットと、
前記補機と、を備え、
前記第2電力変換器および前記第3電力変換器は、前記補機に電気的に接続されている、車両。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の電力供給ユニットと、
トランスアクスルと、を備え、
前記電力供給ユニットは、前記トランスアクスルの上方に配置されている、車両。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の電力供給ユニットと、
前記蓄電装置と、
前記蓄電装置を搭載するためのフロアパネルと、を備え、
前記蓄電装置は、前記フロアパネルの下方に配置され、かつ、前記電力供給ユニットよりも車両の後方に配置されている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給ユニットおよび当該電力供給ユニットを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される電力装置として、特開2011-20553号公報(特許文献1)には、低電圧ポートから供給された低電圧電力を高電圧に変換する充電器と、複数のリレーおよびDC/DCコンバータが内蔵された回路ボックスとを含むものが開示されている。充電器は、車両の後部に配置されており、回路ボックスは、車両の前部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-20553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の電力装置にあっては、充電器および回路ボックスが車両の後部と前部とで相当程度離れて配置されており、電力装置を構成する部品の搭載効率が低い。
【0005】
搭載効率を向上させるため、充電器、およびDC/DCコンバータ等の複数の電力変換器を近づけて配置することが考えられる。一方で、電力変換装置は、比較的重量が重いため、何ら手立て無く配置した場合には、振動によって入力されるモーメントが大きくなり、耐久性が低下したり、車両の挙動に影響を及ぼしたりする虞がある。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、車両への搭載効率を向上させつつ、振動によって作用するモーメントを低減できる電力供給ユニットおよび車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく電力供給ユニットは、電流経路を含み、外部電源から供給された外部電力を蓄電装置に供給可能に設けられ、かつ、蓄電装置からの電力を車両に搭載された機器に供給可能に設けられたユニットである。当該電力供給ユニットは、1つ以上の電力変換器と、上記電流経路を切り替えるリレーと、上記1つ以上の電力変換器と上記リレーとを内部に収容する筐体と、を備える。上記1つ以上の電力変換器は、上記リレーよりも重量が重く、上記筐体内において、上記リレーよりも下方に配置されている。
【0008】
上記構成によれば、電力供給ユニットの筐体内に1つ以上の電力変換器と、リレーとが収容されることにより、1つ以上の電力変換器とリレーとが近づいた状態で配置されることとなり、車両への搭載効率を向上させることができる。また、重量の重い1つ以上の電力変換器を、重量の軽いリレーよりも下方に配置することにより、電力供給ユニットの重心位置を低くすることができる。これにより、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0009】
上記本開示に基づく電力供給ユニットにあっては、上記リレーは、外部電源が接続されるインレットと蓄電装置との間の電流経路に設けられ、インレットと蓄電装置が電気的に接続された状態と、インレットと蓄電装置とが電気的に遮断された状態とを切り替えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、外部電源が接続されるインレットと蓄電装置との間の電流経路に設けられたリレーと1つ以上の電力変換器とが近づいた状態で、当該リレーと1つ以上の電力変換器とを筐体内に配置することができる。
【0011】
上記本開示に基づく電力供給ユニットにあっては、上記筐体内に収容され、上記リレーおよび上記1つ以上の電力変換器の動作を制御する制御装置をさらに備えていてもよい。この場合には、上記制御装置は、上記1つ以上の電力変換器よりも重量が軽く、上記筐体内において、上記1つ以上の電力変換器よりも上方に配置されていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、筐体内に、さらに制御装置を収容することで、車両への搭載効率を向上させることができる。また、重量の重い1つ以上の電力変換器を下方に配置し、重量の軽い制御装置を上方に配置することで、電力供給ユニットの重心位置を低くすることができる。これにより、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0013】
上記本開示に基づく電力供給ユニットにあっては、上記1つ以上の電力変換器は、複数の電力変換器を含んでいてもよい。この場合には、上記複数の電力変換器のうち最も重量が重い電力変換器は、上記筐体内において、その他の電力変換器と同じ高さ位置か、上記その他の電力変換器よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、筐体内に、複数の電力変換器を収容することで、車両への搭載効率をさらに向上させることができる。また、複数の電力変換器のうち最も重量が重い電力変換器をその他の電力変換器と同じ高さ位置か、上記その他の電力変換器よりも下方に配置することにより、電力供給ユニットの重心位置を低くすることができる。これにより、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0015】
上記本開示に基づく電力供給ユニットにあっては、上記1つ以上の電力変換器は、車両外部の交流電源から供給される交流電力を蓄電装置に充電可能な電力に変換する第1電力変換器と、蓄電装置から供給される電力を車載の補機に供給するための電力に変換する第2電力変換器とを含んでいてもよい。この場合には、上記第1電力変換器は、上記第2電力変換器よりも重量が重く、上記筐体内において、上記第2電力変換器よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、筐体内に、第1電力変換器および第2電力変換器を収容することで、車両への搭載効率を向上させることができる。また、第2電力変換器よりも重量が重い第1電力変換器を、第2電力変換器よりも下方に配置することにより、電力供給ユニットの重心位置を低くすることができる。これにより、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0017】
上記本開示に基づく電力供給ユニットにあっては、上記1つ以上の電力変換器は、上記第1電力変換器の出力を変換して車載の補機に供給するための電力に変換する第3電力変換器をさらに含んでいてもよい。この場合には、上記第1電力変換器は、上記第2電力変換器および上記第3電力変換器よりも重量が重く、上記筐体内において、上記第2電力変換器および上記第3電力変換器よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、筐体内に、第1電力変換器、第2電力変換器、および第3電力変換器を収容することで、車両への搭載効率を向上させることができる。また、第2電力変換器および第3電力変換器よりも重量が重い第1電力変換器を、第2電力変換器および第3電力変換器よりも下方に配置することにより、電力供給ユニットの重心位置を低くすることができる。これにより、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0019】
本開示の第1局面に基づく車両は、上記電力供給ユニットと、上記補機とを備える。この場合には、上記第2電力変換器および上記第3電力変換器は、上記補機に接続されていてもよい。
【0020】
上記構成によれば、補器を備えた車両において、搭載効率を向上させることができるとともに、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを低減することができる。
【0021】
本開示の第2局面に基づく車両は、上記電力供給ユニットと、トランスアクスルと、を備える。上記電力供給ユニットは、上記トランスアクスルの上方に配置されている。
【0022】
上記構成によれば、振動の影響を受けやすいトランスアクスルの上方に電力供給ユニットが配置する構成において、振動によって電力供給ユニットに作用するモーメントを効果的に低減させることができる。
【0023】
本開示の第3局面に基づく車両は、上記電力供給ユニットと、上記蓄電装置と、上記蓄電装置を搭載するためのフロアパネルと、を備える。上記蓄電装置は、上記フロアパネルの下方に配置され、かつ、上記電力供給ユニットよりも車両の後方に配置されている。
【0024】
上記構成によれば、車両の前後方向における重量バランスを安定させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、車両への搭載効率を向上させつつ、振動によって作用するモーメントを低減できる電力供給ユニットおよび車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態1に係る電力装置の構成図である。
図2】実施の形態1に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。
図3】実施の形態1に係る電力供給ユニットの車両への搭載位置を示す概略図である。
図4】実施の形態2に係る電力装置の構成図である。
図5】実施の形態2に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。
図6】実施の形態3に係る電力装置の構成図である。
図7】実施の形態3に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電力装置の構成図である。図1を参照して、実施の形態1に係る電力装置100について説明する。
【0029】
電力装置100は、車両1(図3参照)に搭載される。車両1は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両である。
【0030】
図1に示すように、電力装置100は、蓄電装置10、電力供給ユニット20、第1インレットとしてのAC(交流)インレット31、第2インレットとしてのDC(直流用)インレット32、低電圧補機40、高電圧補機41、フロントパワーコントロールユニット(Fr_PCU(Power Control Unit))61、リアパワーコントロールユニット(Rr_PCU(Power Control Unit))62、およびソーラー充電器70を備える。
【0031】
蓄電装置10は、車両1の動力源として車両1に搭載されている。蓄電装置10は、組電池11、システムメインリレー(SMR1,SMR2)15、および充電用リレー16(CHR1,CHR2)を含む。
【0032】
組電池11は、複数の単電池が積層されて構成されている。単電池は、たとえば、ニッケル水素、またはリチウムイオン電池等の二次電池である。単電池C1は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。また、単電池に代えてキャパシタが用いられてもよい。
【0033】
蓄電装置10は、電力ライン53によって、後述するDCリレー23に接続されている。なお、電力ライン53は、電力ライン53aに分岐しており、当該電力ライン53aは、フロントパワーコントロールユニット61に接続されている。電力ライン53aには、ノイズ対策部材としてのフェライトコア91、92が取り付けられている。同様に、後述する電力ライン53a5においてもノイズ対策部材としてのフェライトコア93が取り付けられている。
【0034】
蓄電装置10は、電力ライン52によって、第1電力変換器としてのAC充電器22に接続されている。なお、電力ライン52には、ソーラー充電器70が接続されていてもよい。
【0035】
システムメインリレー15は、電力ライン53において、組電池11とDCリレー23との間に設けられている。システムメインリレー15は、後述する電子制御ユニットとしての充電統合ECU26によってオン/オフが切り替えられる。
【0036】
充電用リレー16は、電力ライン52において、組電池11とAC充電器22との間に設けられている。充電用リレー16は、充電統合ECU26によってオン/オフが切り替えられる。
【0037】
電力供給ユニット20は、電流経路、筐体21、AC充電器22、DCリレー23、第2電力変換器としてのメインDC/DCコンバータ24、第3電力変換器としてのサブDC/DCコンバータ25、充電統合ECU26、コネクタ82、83、84を含む。
【0038】
電流経路は、上記電力ライン52,53,53a、後述する電力ライン51,53a1,53a2,53a3,53a4,54,55,56,57のうち筐体21内に配索されている部分によって構成されている。
【0039】
充電統合ECU26は、AC充電器22、DCリレー23、メインDC/DCコンバータ24、およびサブDC/DCコンバータ25の動作を制御する。充電統合ECU26は、不図示の上位ECUに接続されており、当該上位ECUと通信可能に設けられている。また、充電統合ECU26は、電力ライン54の温度を検出可能に設けられている。
【0040】
AC充電器22、DCリレー23、メインDC/DCコンバータ24、サブDC/DCコンバータ25、充電統合ECU26は、筐体21の内部に配置されている。コネクタ82、83、84は、筐体の側面に設けられている。コネクタ82、83、84は、ヒューズを有する。当該ヒューズは、自身の定格電流を超える電流が流れた場合に電流経路を遮断するように構成されている。
【0041】
AC充電器22は、上述のように電力ライン52によって組電池11に接続されている。また、AC充電器22は、電力ライン51によってACインレット31に接続されている。
【0042】
ACインレット31は、交流電源である第1外部電源71が接続可能に設けられている。AC充電器22は、第1外部電源71から電力ライン51を介して供給された交流電力を、蓄電装置10に充電可能となるように直流電力に変換する。
【0043】
充電用リレー16がオン状態においては、AC充電器22で直流電力に変換された電力によって、組電池11が充電される。なお、上述のようにソーラー充電器70が設けられている場合には、ソーラー充電器70からの電力によっても組電池11が充電されてもよい。
【0044】
なお、AC充電器22は、ヒューズを有しており、当該ヒューズは、自身の定格電流を超える電流が流れた場合に電流経路を遮断するように構成されている。
【0045】
DCリレー23は、上述のように電力ライン53によって組電池11に接続されている。また、DCリレー23は、電力ライン54によってDCインレット32に接続されている。すなわち、DCリレー23は、DCインレット32と蓄電装置10との間の電流経路に設けられている。DCインレット32は、直流電源である第2外部電源72が接続可能に設けられている。
【0046】
DCリレー23は、充電統合ECU26に接続されており、当該充電統合ECU26によってオン/オフが切り替えられる。すなわち、DCリレー23は、DCインレット32と蓄電装置10とが電気的に接続された状態と、DCインレット32と蓄電装置10とが電気的に遮断された状態を切り替える。
【0047】
DCリレー23およびシステムメインリレー15がオンの状態において、第2外部電源から電力ライン54を介して供給された直流電力は、電力ライン53を通って組電池11に充電される。この場合には、組電池11の急速充電が可能となる。
【0048】
メインDC/DCコンバータ24は、電力ライン53a1を介して上述の電力ライン53aに接続されている。また、メインDC/DCコンバータ24は、電力ライン57を介して低電圧補機40に接続されている。
【0049】
メインDC/DCコンバータ24は、蓄電装置10から供給される電力を車載の補機に供給するための電力に変換する。具体的には、メインDC/DCコンバータ24は、組電池11から供給される電力を降圧して、低電圧補機40に供給する。低電圧補機40は、たとえば、照明装置、オーディオ装置、パワーステアリング装置等である。メインDC/DCコンバータ24も、AC充電器22同様にヒューズを有する。
【0050】
サブDC/DCコンバータ25は、電力ライン55によってAC充電器22に接続されている。また、サブDC/DCコンバータ25は、電力ライン56によって上記低電圧補機40に接続されている。サブDC/DCコンバータ25の電力容量は、メインDC/DCコンバータ24の電力容量よりも小さい。
【0051】
サブDC/DCコンバータ25は、AC充電器22からの出力を車載の補機に供給するための電力に変換する。具体的には、サブDC/DCコンバータ25は、AC充電器22によって直流電流に変換された電力を降圧して、低電圧補機40に供給する。サブDC/DCコンバータ25も、AC充電器22同様にヒューズを有する。
【0052】
コネクタ82は、電力ライン53,53a,53a2によって組電池11に接続されている。コネクタ83は、電力ライン53,53a,53a3によって組電池11に接続されている。コネクタ84は、電力ライン53,53a,53a4によって組電池11に接続されている。
【0053】
コネクタ82,83,84は、外部配線によって高電圧補機41に接続されている。高電圧補機41は、水加熱ヒータ42、空調装置43、およびAC100Vインバータ44を含む。
【0054】
水加熱ヒータ42は、コネクタ82に接続されている。水加熱ヒータ42は、車室内を加温するためのヒータである。水加熱ヒータ42は、たとえば配管を有し、配管内を循環する水を加温して間接的に空気を加温する。
【0055】
空調装置43は、コネクタ83に接続されている。空調装置43は、コンプレッサを含み、ECUからの制御信号に従ってコンプレッサを作動させて車室内の空調を行なう。
【0056】
第4電力変換器としてのAC100Vインバータ44は、コネクタ84に接続されている。AC100Vインバータ44は、メインDC/DCコンバータ24の予備的な機器として車両1に搭載されている。AC100Vインバータ44は、たとえば車内コンセントである。なお、AC100Vインバータ44は、省略することができる。
【0057】
車両1の駆動輪が前輪および後輪の双方である場合には、上述のようにフロントパワーコントロールユニット61、リアパワーコントロールユニット62が設けられている。フロントパワーコントロールユニット61は、電力ライン53、53aによって組電池11に接続されている。リアパワーコントロールユニット62は、電力ライン53、53a、53a5によって組電池11に接続されている。
【0058】
フロントパワーコントロールユニット61、およびリアパワーコントロールユニット62は、蓄電装置10から電力を受けてモータジェネレータを駆動する。フロントパワーコントロールユニット61、およびリアパワーコントロールユニット62は、たとえば、モータジェネレータを駆動するためのインバータや、蓄電装置10から出力される電力を昇圧してインバータへ供給するコンバータ等を含む。
【0059】
なお、車両1の駆動輪が前輪である場合には、リアパワーコントロールユニット62を省略することができる。
【0060】
図2は、実施の形態1に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。図2を参照して、電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係について説明する。
【0061】
図2に示すように、充電統合ECU26およびDCリレー23は、筐体21内において、上部に配置されている。充電統合ECU26およびDCリレー23は、同一の階層に配置されている。
【0062】
メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25は、筐体21内において、中央部に配置されている。メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25は、同一の階層に配置されている。AC充電器22は、筐体21内において、下部に配置されている。
【0063】
より詳細には、充電統合ECU26およびDCリレー23は、筐体21内において、AC充電器22よりも上方に配置されており、かつ、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25よりも上方に配置されている。
【0064】
メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25は、筐体21内において、充電統合ECU26およびDCリレー23より下方、かつ、AC充電器22よりも上方に配置されている。
【0065】
ここで、AC充電器22は、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25よりも重力が重く、AC充電器22、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25の電力変換器の中で、最も重量が重い。
【0066】
また、充電統合ECU26およびDCリレー23は、AC充電器22よりも軽く、さらには、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25よりも重量が軽い。
【0067】
このため、実施の形態1においては、上記のように、筐体21内において、充電統合ECU26、DCリレー23、AC充電器22、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25を配置することにより、電力供給ユニット20の重心位置を低くすることができる。
【0068】
図3は、実施の形態1に係る電力供給ユニットの車両への搭載位置を示す概略図である。図3を用いて、電力供給ユニット20の車両1への搭載位置について説明する。
【0069】
図3に示すように、車両1は、フロアパネル2、ダッシュパネル3、トランスアクスル5、支持部材6、蓄電装置10、および電力供給ユニット20を備える。
【0070】
蓄電装置10は、フロアパネル2の下方に配置され、かつ、電力供給ユニット20よりも後方に配置されている。これにより、車両1の前後方向における重量バランスを安定させることができる。
【0071】
トランスアクスル5、支持部材6、および電力供給ユニット20は、ダッシュパネル3の前方に位置するフロントコンパートメント4内に設置されている。支持部材6は、ダッシュパネル3に固定されていてもよいし、図示しない部材によって、クロスメンバ、あるいはサイドメンバ等の車両の骨格部に固定されていてもよい。
【0072】
電力供給ユニット20は、トランスアクスル5の上方に配置されており、支持部材6によって支持されている。
【0073】
電力供給ユニット20がトランスアクスル5の上方に配置される場合には、トランスアクスル5の振動を含む車両1からの振動の影響を受けやすくなる。上述のように、筐体21内にAC充電器22、メインDC/DCコンバータ24およびサブDC/DCコンバータ25を配置し、電力供給ユニット20の重心位置を低くすることにより、図3中の破線矢印AR1で示すような重心位置が高くなる場合と比較して、図3中の実線矢印AR2で示すように、振動によって電力供給ユニット20に作用するモーメントを低減することができる。
【0074】
なお、実施の形態1においては、AC充電器22、メインDC/DCコンバータ24よびサブDC/DCコンバータ25のうち最も重量が重い電力変換器が、その他の電力変換器よりも下方に配置されている場合を例示して説明したが、これに限定されず、その他の電力変換器と同じ高さ位置にあってもよい。
【0075】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る電力装置の構成図である。図4を参照して、実施の形態2に係る電力装置100Aについて説明する。
【0076】
図4に示すように、実施の形態2に係る電力装置100Aは、実施の形態1に係る電力装置100と比較した場合に、電力供給ユニット20AにおいてサブDC/DCコンバータ25が省略されている点において相違する。その他の構成についてはほぼ同様である。
【0077】
図5は、実施の形態2に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。図5を参照して、電力供給ユニット20Aを構成する構成要素の位置関係について説明する。
【0078】
図5に示すように、電力供給ユニット20Aにおいては、充電統合ECU26およびDCリレー23は、筐体21内において、AC充電器22よりも上方に配置されており、かつ、メインDC/DCコンバータ24よりも上方に配置されている。
【0079】
メインDC/DCコンバータ24は、筐体21内において、充電統合ECU26およびDCリレー23より下方、かつ、AC充電器22よりも上方に配置されている。
【0080】
このように、充電統合ECU26、DCリレー23、AC充電器22、およびメインDC/DCコンバータ24を筐体21内に配置することにより、電力供給ユニット20Aの重心位置を低くすることができる。これにより、実施の形態2に係る電力供給ユニット20Aにあっては、実施の形態1に係る電力供給ユニット20とほぼ同様の効果が得られる。また、サブDC/DCコンバータ25が省略されることにより、電力供給ユニット20Aを軽量化することができる。
【0081】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る電力装置の構成図である。図6を参照して、実施の形態3に係る電力装置100Bについて説明する。
【0082】
図6に示すように、実施の形態3に係る電力装置100Bは、実施の形態1に係る電力装置100と比較して、電力供給ユニット20BにおいてメインDC/DCコンバータ24、およびサブDC/DCコンバータ25が省略されている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0083】
図7は、実施の形態3に係る電力供給ユニットを構成する構成要素の位置関係を示す模式図である。図7を参照して、電力供給ユニット20Bを構成する構成要素の位置関係について説明する。
【0084】
図7に示すように、電力供給ユニット20Bにおいては、充電統合ECU26およびDCリレー23は、筐体21内において、AC充電器22よりも上方に配置されており、これにより、電力供給ユニット20Bの重心位置を低くすることができる。これにより、実施の形態3に係る電力供給ユニット20Bにあっても、実施の形態1に係る電力供給ユニット20とほぼ同様の効果が得られる。また、メインDC/DCコンバータ24、およびサブDC/DCコンバータ25が省略されていることにより、電力供給ユニット20Bを軽量化することができる。
【0085】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 車両、2 フロアパネル、3 ダッシュパネル、5 トランスアクスル、6 支持部材、10 蓄電装置、11 組電池、15 システムメインリレー、16 充電用リレー、20,20A,20B 電力供給ユニット、21 筐体、22 AC充電器、23 DCリレー、24 メインDC/DCコンバータ、25 サブDC/DCコンバータ、26 充電統合ECU、31 ACインレット、32 DCインレット、40 低電圧補機、41 高電圧補機、42 水加熱ヒータ、43 空調装置、44 インバータ、51,52,53,53a5,53a,53a1,53a2,53a3,53a4,54,55,56,57 電力ライン、61 フロントパワーコントロールユニット、62 リアパワーコントロールユニット、70 ソーラー充電器、71 第1外部電源、72 第2外部電源、82,83,84 コネクタ、91,92,93 フェライトコア、100,100A,100B 電力装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7