(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】駐車支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241029BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20241029BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20241029BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60R99/00 351
B60R99/00 330
B60W30/06
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2021150871
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 美帆
(72)【発明者】
【氏名】日栄 悠
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-064104(JP,A)
【文献】特開2014-172411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 99/00
B60W 30/06
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲画像及び、前記車両を駐車場に自動的に駐車するために用いる前記駐車場の駐車場画像を撮像するように前記車両に取り付けられた撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像した前記駐車場画像を、該駐車場の駐車場情報として登録し、運転者からの駐車支援要求を受け付けると、前記駐車場情報に基づいて前記車両を前記駐車場に自動的に駐車する駐車支援制御を実施する制御装置と、
前記撮像装置により撮像される画像を表示可能な表示装置と、を備える
駐車支援システムにおいて、
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像される前記周囲画像と、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像とを照合処理し、該照合処理により前記駐車場を検出できた場合に前記駐車支援制御を開始するように構成されており、
前記照合処理により前記駐車場を検出できない場合には、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像と、前記撮像装置によって撮像される現在の前記周囲画像とを前記表示装置に表示する
駐車支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援システムにおいて、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像した前記駐車場画像を、該画像を撮像したときに前記位置情報取得装置によって取得される位置情報と関連付けて前記駐車場の前記駐車場情報として登録し、
前記照合処理により前記駐車場を検出できない場合には、前記位置情報取得装置により取得される前記車両の現在の位置情報と、前記駐車場情報として登録した前記駐車場の位置情報とに基づき、前記車両の現在位置が前記駐車場から所定の距離範囲内にあるかを判定し、
前記車両の現在位置が前記駐車場から所定の距離範囲内にあると判定した場合には、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像と、前記撮像装置によって撮像される現在の前記周囲画像とを前記表示装置に表示する一方、前記車両の現在位置が前記駐車場から所定の距離範囲内にないと判定した場合には、前記駐車支援制御を実行できない旨のメッセージを前記表示装置に表示する
駐車支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車支援システムにおいて、
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像される複数の駐車場の駐車場画像を、該画像を撮像したときに前記位置情報取得装置によって取得される位置情報と関連付けて各駐車場の駐車場情報として登録可能に構成されており、
前記照合処理により前記複数の駐車場を何れも検出できない場合には、前記位置情報取得装置により取得される前記車両の現在の位置情報と、前記駐車場情報として登録した前記複数の駐車場の位置情報とに基づき、前記複数の駐車場のうち前記車両の現在位置から最も近い駐車場を特定するとともに、前記車両の現在位置が前記特定した駐車場から所定の距離範囲内にあると判定した場合に、該特定した駐車場の駐車場画像と、前記撮像装置によって撮像される現在の前記周囲画像とを前記表示装置に表示する
駐車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたカメラによって撮像した駐車場の画像を予め登録しておき、該駐車場に次に車両を駐車するときには、そのときにカメラによって撮像される車両の周囲の画像の特徴点と、登録済みの駐車場画像の特徴点とに基づいて、車両と駐車場との相対位置を把握することにより、車両を登録済みの駐車場に自動的に駐車するようにした駐車支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
上記システムは、運転者からの駐車支援要求を受け付けると、そのときにカメラによって撮像される車両の周囲の画像と、登録済みの駐車場画像とを照合処理(マッチング処理)し、登録済みの駐車場の駐車区画を検出できた場合に駐車支援制御を開始する。このため、駐車支援要求を受け付けたときの車両の現在位置が、駐車場をシステムに登録した時の車両の停車位置、具体的には、車両を駐車場の入口付近に停車させて登録操作を行った時の位置(以下、登録時車両位置)から大きく離れている場合には、駐車場の駐車区画を検出することができず、駐車支援制御を開始することができない。
【0005】
このような状況において、駐車支援システムが駐車支援制御を開始できるようにするには、運転者により車両の現在位置を登録時車両位置と合わせてもらう必要がある。しかしながら、システムは、登録済みの駐車場の駐車区画を検出できていない状態にあり、運転者に対して車両をどこに移動させれば登録時車両位置に合わせられるかを適切に提示することができず、利便性に改善の余地があるといえる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、登録済みの駐車場を検出できない場合に、利便性の向上を図ることができる駐車支援システムを提供することである。
【0007】
本発明の駐車支援システム(10)は、
車両(100)の周囲画像(51P)及び、前記車両(100)を駐車場に自動的に駐車するために用いる前記駐車場(62)の駐車場画像(60)を撮像するように前記車両(100)に取り付けられた撮像装置(45)と、
前記撮像装置(45)によって撮像した前記駐車場画像(62)を、該駐車場の駐車場情報として登録し、運転者からの駐車支援要求を受け付けると、前記駐車場情報に基づいて前記車両(100)を前記駐車場(62)に自動的に駐車する駐車支援制御を実施する制御装置(90)と、
前記撮像装置(45)により撮像される画像を表示可能な表示装置(50)と、を備える。
【0008】
前記制御装置(90)は、
前記撮像装置(45)によって撮像される前記周囲画像(51P)と、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像(60)とを照合処理し、該照合処理により前記駐車場(62)を検出できた場合に前記駐車支援制御を開始するように構成されており、
前記照合処理により前記駐車場(62)を検出できない場合には、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像(60)と、前記撮像装置(45)によって撮像される現在の前記周囲画像(51P)とを前記表示装置(50)に表示する。
【0009】
以上の構成によれば、登録済みの駐車場(62)を検出できない場合に、登録済みの駐車場画像(60)と、車両(100)の周囲画像(51P)とを表示装置(50)に表示する。これにより、駐車支援制御を開始できない状況において、運転者に対して車両(100)の現在位置が登録時車両位置(P)から離れていることを提示できるようになり、利便性を効果的に向上することが可能になる。
【0010】
本発明の他の態様において、
前記車両(100)の位置情報を取得する位置情報取得装置(30)をさらに備え、
前記制御装置(90)は、
前記撮像装置(45)によって撮像した前記駐車場画像(60)を、該画像を撮像したときに前記位置情報取得装置(30)によって取得される位置情報と関連付けて前記駐車場(62)の前記駐車場情報として登録し、
前記照合処理により前記駐車場(62)を検出できない場合には、前記位置情報取得装置(30)により取得される前記車両(100)の現在の位置情報と、前記駐車場情報として登録した前記駐車場(62)の位置情報とに基づき、前記車両(100)の現在位置が前記駐車場(62)から所定の距離範囲内にあるかを判定し、
前記車両(100)の現在位置が前記駐車場(62)から所定の距離範囲内にあると判定した場合には、前記駐車場情報として登録した前記駐車場画像(60)と、前記撮像装置(45)によって撮像される現在の前記周囲画像(51P)とを前記表示装置(50)に表示する一方、前記車両(100)の現在位置が前記駐車場(62)から所定の距離範囲内にないと判定した場合には、前記駐車支援制御を実行できない旨のメッセージ画像を前記表示装置(50)に表示する。
【0011】
本態様によれば、車両(100)が登録済みの駐車場(62)から所定の距離範囲内にいる場合と、車両(100)が登録済みの駐車場(62)から所定の距離範囲よりも遠くにいる場合とで、表示装置(50)に異なる画像を表示する。これにより、運転者に対して、車両(100)の現在位置と登録済みの駐車場(62)との距離に応じた適切な情報を提示できるようになり、利便性をより確実に向上することが可能になる。
【0012】
本発明の他の態様において、
前記制御装置(90)は、
前記撮像装置(45)によって撮像される複数の駐車場(62)の駐車場画像(60)を、該画像を撮像したときに前記位置情報取得装置(30)によって取得される位置情報と関連付けて各駐車場の駐車場情報として登録可能に構成されており、
前記照合処理により前記複数の駐車場(62)を何れも検出できない場合には、前記位置情報取得装置(30)により取得される前記車両(100)の現在の位置情報と、前記駐車場情報として登録した前記複数の駐車場(62)の位置情報とに基づき、前記複数の駐車場(62)のうち前記車両(100)の現在位置から最も近い駐車場(62)を特定するとともに、前記車両(100)の現在位置が前記特定した駐車場(62)から所定の距離範囲内にあると判定した場合に、該特定した駐車場(62)の駐車場画像(60)と、前記撮像装置(45)によって撮像される現在の前記周囲画像(51P)とを前記表示装置(50)に表示する。
【0013】
本態様によれば、複数の駐車場(62)のうち、車両(100)の現在位置から最も近くに位置する駐車場(62)の駐車場画像(60)を表示装置(50)に表示する。これにより、複数の駐車場(62)を登録した場合においても、運転者に対して、車両(100)の現在位置に最も適した駐車場(62)を効果的に提示することが可能となる。
【0014】
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る駐車支援システム及びその駐車支援システムが適用される車両を示した図である。
【
図2】ソナーセンサの配置及び検出範囲を示した図である。
【
図3】カメラセンサの配置及び撮像範囲を示した図である。
【
図10】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図11】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図12】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図14】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図15】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図16】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図17】
図1に示した駐車支援システムの作動を説明するための図である。
【
図19】
図1に示したECUが実行する表示制御のルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本実施形態に係る駐車支援システムを説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下では、駐車支援システを「本実施装置」とも称する場合がある。
【0017】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る駐車支援システム10及びその駐車支援システム10が適用される車両100を示している。
【0018】
図1に示すように、駐車支援システム10は、ECU90(制御装置)を備えている。ECUは、Electronic Control Unitの略である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0019】
車両100には、駆動装置11、操舵装置12及び、制動装置13が搭載されている。駆動装置11は、車両100の駆動輪に伝達する駆動力を発生させる。駆動装置11としては、例えば、電動機、エンジンが挙げられる。車両100は、エンジン車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)、電気自動車(BEV)の何れであってもよい。操舵装置12は、例えば、電動パワーステアリング装置であって、車両100の車輪に転舵力を付与する。制動装置13は、例えば、ディスク式ブレーキ装置であって、車両100の車輪に制動力を付与する。
【0020】
駆動装置11、操舵装置12及び、制動装置13は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置11の作動を制御することにより、車両100の駆動輪に与えられる駆動力を制御する。また、ECU90は、操舵装置12の作動を制御することにより、車両100の操舵輪に与えられるステアリングトルクを制御する。また、ECU90は、制動装置13の作動を制御することにより、車両100の車輪に与えられる制動力を制御する。
【0021】
ECU90には、駐車支援スイッチ15、車両状態取得装置20、位置情報取得装置30、周囲認識装置40及び、ディスプレイ50(表示装置)等が接続されている。
【0022】
駐車支援スイッチ15は、運転者によりON・OFF操作されるスイッチである。運転者により駐車支援スイッチ15がON操作されると、ECU90は駐車支援要求を受け付ける。
【0023】
車両状態取得装置20は、車両100の状態を取得するセンサ類である。具体的には、車両状態取得装置20は、アクセルセンサ21、ブレーキセンサ22、操舵角センサ23、操舵トルクセンサ24、車速センサ25等を備えている。
【0024】
アクセルセンサ21は、車両100の不図示のアクセルペダルの操作量を検出する。ブレーキセンサ22は、車両100の不図示のブレーキペダルの操作量を検出する。操舵角センサ23は、車両100の不図示のステアリングホイール(又は、ステアリングシャフト)の操舵角θstを検出する。操舵トルクセンサ24は、ステアリングホイールの操作により車両100のステアリングシャフト(不図示)に作用する操舵トルクTQstを検出する。車速センサ25は、車両100の走行速度(車速)SPDを検出する。車両状態取得装置20によって取得される車両100の各種状態情報はECU90に送信される。
【0025】
位置情報取得装置30は、車両100の現在の位置情報を取得する。位置情報取得装置30としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、GNSS(Global Navigation Satellite System)等を用いることができる。位置情報取得装置30によって取得される車両100の現在の位置情報はECU90に送信される。
【0026】
周囲認識装置40は、車両100の周囲の物標を認識するセンサ類である。具体的には、周囲認識装置40は、ソナーセンサ41及び、カメラセンサ44(撮像装置)を備えている。周囲認識装置40によって取得される車両100の周囲の物標情報はECU90に送信される。
【0027】
図2は、ソナーセンサ41の配置及び検出範囲を示した図である。ソナーセンサ41は、第1クリアランスソナー411~第12クリアランスソナー422を備えている。
図2において、符号Dxで示した方向は、車両100の前後方向であり、符号Dwで示した方向は、車両100の幅方向である。
【0028】
図2に示すように、第1クリアランスソナー411は、車両100の前方左端部から左前方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第2クリアランスソナー412は、車両100の左側前端から前方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第3クリアランスソナー413は、車両100の前方右端部から右前方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第4クリアランスソナー414は、車両100の右側前端から前方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。
【0029】
第5クリアランスソナー415は、車両100の後方左端部から左後方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第6クリアランスソナー416は、車両100の左側後端から後方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第7クリアランスソナー417は、車両100の後方右端部から右後方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第8クリアランスソナー418は、車両100の右側後端から後方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。
【0030】
第9クリアランスソナー419は、車両100の前方左側部から左方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第10クリアランスソナー420は、車両100の後方左側部から左方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第11クリアランスソナー421は、車両100の前方右側部から右方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。第12クリアランスソナー422は、車両100の後方右側部から右方に音波を放射するように車両100に取り付けられている。
【0031】
第1クリアランスソナー411~第12クリアランスソナー422は、物体にて反射した音波を受信する。ソナーセンサ41は、ECU90に電気的に接続されている。ソナーセンサ41は、第1クリアランスソナー411~第12クリアランスソナー422が放出した音波及び、第1クリアランスソナー411~第12クリアランスソナー422が受信した音波等に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、ソナーセンサ41から受信した情報(以下「ソナー情報SON」)に基づいて車両100周囲に存在する物体に関する情報を物体情報OBJとして取得する。
【0032】
図3は、カメラセンサ44の配置及び撮像範囲を示した図である。カメラセンサ44は、車両100の周囲を撮像し、撮像した画像データを処理することにより車両100の周囲の画像を取得する。カメラセンサ44は、例えば、ステレオカメラや単眼カメラであり、CMOSやCCD等の撮像素子を有するデジタルカメラを用いることができる。
【0033】
カメラセンサ44は、フロントカメラ44a、バックカメラ44b、左サイドカメラ44c及び、右サイドカメラ44dを備えている。複数のカメラ44a~44dは、これらを区別する必要がない場合、単に「カメラ45」と称呼される。
【0034】
フロントカメラ44aは、車両100の前部の車幅方向の略中央部に設けられる。フロントカメラ44aの光軸は、車両100の前方に向いている。バックカメラ44bは、車両100の後部に設けられる。バックカメラ44bの光軸は、車両100の後方に向いている。左サイドカメラ44cは、車両100の左側部に設けられる。左サイドカメラ44cの光軸は、車両100の左側方に向いている。右サイドカメラ44dは、車両100の右側部に設けられる。右サイドカメラ44dの光軸は、車両100の右側方に向いている。
【0035】
カメラ45の画角は広角である。従って、カメラ45の撮像範囲は、光軸を基準とした「右方、左方、下方及び上方の範囲」を含む。車両100の全周囲は、4つのカメラ44a~44dの撮像範囲に含まれている。カメラ45は、所定時間が経過する毎に、撮像範囲に対応する車両100の周辺の領域を撮像することにより、画像情報(画像データ)を取得する。カメラ45は、取得した画像データをECU90に送信する。
【0036】
具体的には、フロントカメラ44aは、車両100の前方の周辺領域を撮像するとともに、生成した画像データ(以下、「前方画像データIMG1」という)をECU90に送信する。バックカメラ44bは、車両100の後方の周辺領域を撮像するとともに、生成した画像データ(以下、「後方画像データIMG2」という)をECU90に送信する。左サイドカメラ44cは、車両100の左側方の周辺領域を撮像するとともに、生成した画像データ(以下、「左側方画像データIMG3」という)をECU90に送信する。右サイドカメラ44dは、車両100の右側方の周辺領域を撮像するとともに、生成した画像データ(以下、「右側方画像データIMG4」という)をECU90に送信する。なお、以下では、必要に応じて、前方画像データIMG1、後方画像データIMG2、左側方画像データIMG3及び、右側方画像データIMG4をまとめて「画像データIMG」と称呼する。
【0037】
駐車支援システム10は、所定条件が成立したとき、画像データIMGに基づいて特徴点Fを取得する。特徴点Fは、カメラ45によって撮像された画像において輝度が大きく変化する所定範囲の画像である。
【0038】
例えば、カメラ45が
図4に示した駐車場62を撮像した場合、コンクリート製の蓋部材63Bの角の部分、芝生63Lからなる地面63の角の部分及び蓋部材63Bからなる地面63と芝生63Lからなる地面63との境界部分等が特徴点Fとして取得される。
【0039】
図4に示した駐車場62の地面63は、コンクリート63Cからなる地面63と芝生63Lからなる地面63とからなる。又、駐車場62の入口62entには、側溝を塞ぐコンクリート製の蓋部材63Bが複数個、並んで設置されている。従って、駐車場62の入口62entの地面63は、蓋部材63Bの表面からなる。
【0040】
駐車支援システム10は、前方画像データIMG1に基づいて車両100の前方の所定範囲71(
図5参照)の地面63における特徴点F(以下「前方特徴点F1」)を取得する。又、駐車支援システム10は、後方画像データIMG2に基づいて車両100の後方の所定範囲72(
図5参照)の地面63における特徴点F(以下「後方特徴点F2」)を取得する。又、駐車支援システム10は、左側方画像データIMG3に基づいて車両100の左側方の所定範囲73(
図6参照)の地面63における特徴点F(以下「左側方特徴点F3」)を取得する。駐車支援システム10は、右側方画像データIMG4に基づいて車両100の右側の所定範囲74(
図6参照)の地面63における特徴点F(以下「右側方特徴点F4」)を取得する。
【0041】
図5に示すように、所定範囲71は、ラインL711、ラインL712、ラインL713及びラインL714によって画定される範囲である。ラインL711は、フロントカメラ44aから車両100の前方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインL711である。ラインL712は、フロントカメラ44aを通って車両幅方向Dyに延びるラインL712である。ラインL713は、フロントカメラ44aから車両100の左方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。ラインL714はフロントカメラ44aから車両100の右方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。以下、所定範囲71を「前方範囲71」と称呼する。
【0042】
前方範囲71は、例えば、車両幅方向Dyに4等分され且つ車両前後方向Dxに2等分された8個の範囲71Dに分割されている。即ち、前方範囲71は、面積の等しい複数の範囲71Dに分割されている。以下、これら範囲71Dを「前方分割範囲71D」と称呼する。又、前方分割範囲71Dのうち、車両幅方向Dyにおいて左端に設定された2つの前方分割範囲71Dを「左端分割範囲71D3」と称呼し、車両幅方向Dyにおいて右端に設定された2つの前方分割範囲71Dを「右端分割範囲71D4」と称呼し、車両幅方向Dyにおいて中間に設定された4つの前方分割範囲71Dを「中間分割範囲71D5」と称呼する。
【0043】
また、
図5に示すように、所定範囲72は、ラインL721、ラインL722、ラインL723及びラインL724によって画定される範囲である。ラインL721は、バックカメラ44bを通って車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL722は、バックカメラ44bから車両100の後方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL723は、バックカメラ44bから車両100の左方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。ラインL724は、バックカメラ44bから車両100の右方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。以下、所定範囲72を「後方範囲72」と称呼する。
【0044】
後方範囲72は、車両幅方向Dyに4等分され且つ車両前後方向に2等分された8個の範囲72Dに分割されている。即ち、後方範囲72は、面積の等しい複数の範囲72Dに分割されている。以下、これら範囲72Dを「後方分割範囲72D」と称呼する。又、後方分割範囲72Dのうち、車両幅方向Dyにおいて左端に設定された2つの後方分割範囲72Dを「左端分割範囲72D3」と称呼し、車両幅方向Dyにおいて右端に設定された2つの後方分割範囲72Dを「右端分割範囲72D4」と称呼し、車両幅方向Dyにおいて中間に設定された4つの後方分割範囲72Dを「中間分割範囲72D5」と称呼する。
【0045】
また、
図6に示すように、所定範囲73は、ラインL731、ラインL732、ラインL734及びラインL733によって画定される範囲である。ラインL731は、左サイドカメラ44cから車両100の前方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL732は、左サイドカメラ44cから車両100の後方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL733は、左サイドカメラ44cから車両100の左方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。ラインL734は、左サイドカメラ44cを通って車両前後方向Dxに延びるラインである。以下、所定範囲73を「左側範囲73」と称呼する。
【0046】
左側範囲73は、車両前後方向Dxに4等分され且つ車両幅方向Dyに2等分された8個の範囲73Dに分割されている。即ち、左側範囲73は、面積の等しい複数の範囲73Dに分割されている。以下、これら範囲73Dを「左側分割範囲73D」と称呼する。又、左側分割範囲73Dのうち、車両前後方向Dxにおいて前端に設定された2つの左側分割範囲73Dを「前端分割範囲73D1」と称呼し、車両前後方向Dxにおいて後端に設定された2つの左側分割範囲73Dを「後端分割範囲73D2」と称呼し、車両前後方向Dxにおいて中間に設定された4つの左側分割範囲73Dを「中間分割範囲73D5」と称呼する。
【0047】
また、
図6に示すように、所定範囲74は、ラインL741、ラインL742、ラインL743及びラインL744によって画定される範囲である。ラインL741は、右サイドカメラ44dから車両100の前方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL742は、右サイドカメラ44dから車両100の後方に所定距離Dsetだけ離れて車両幅方向Dyに延びるラインである。ラインL743は、右サイドカメラ44dを通って車両前後方向Dxに延びるラインである。ラインL744は、右サイドカメラ44dから車両100の右方に所定距離Dsetだけ離れて車両前後方向Dxに延びるラインである。以下、所定範囲74を「右側範囲74」と称呼する。
【0048】
右側範囲74は、車両前後方向Dxに4等分され且つ車両幅方向Dyに2等分された8個の範囲74Dに分割されている。即ち、右側範囲74は、面積の等しい複数の範囲74Dに分割されている。以下、これら範囲74Dを「右側分割範囲74D」と称呼する。又、右側分割範囲74Dのうち、車両前後方向Dxにおいて前端に設定された2つの右側分割範囲74Dを「前端分割範囲74D1」と称呼し、車両前後方向Dxにおいて後端に設定された2つの右側分割範囲74Dを「後端分割範囲74D2」と称呼し、車両前後方向Dxにおいて中間に設定された4つの右側分割範囲74Dを「中間分割範囲74D5」と称呼する。
【0049】
カメラ45によって撮像された特徴点Fに対応する範囲の画像を平面視の画像に変換した場合、特徴点Fに対応する範囲の変換後の画像は、
図7に示すように、一辺が所定長Lsetの正方形の範囲75の画像である。駐車支援システム10は、所定の条件が成立した場合、特徴点Fを25個の同じ正方形の範囲75Dに分割し、各範囲75Dの輝度LUMを取得する。そして、駐車支援システム10は、これら取得した輝度LUMの平均値LUMaveを各輝度LUMから減じた値ΔLUM(=LUM-LUMave)をそれぞれ求め、それら値ΔLUMに基づいて特徴点Fにおける輝度LUMの高低の傾向を濃淡情報CTとして取得する。すなわち、駐車支援システム10は、所定の条件が成立した場合、カメラ45によって撮像された特徴点Fの画像中の濃淡のパターンを濃淡情報CTとして取得する。
【0050】
再び
図1を参照し、ディスプレイ50は、ECU90に電気的に接続されている。ディスプレイ50は、運転者が視認可能な車両100の箇所に配設されている。本実施装置において、ディスプレイ50は、例えば、ナビゲーション装置のディスプレイである。
【0051】
ECU90は、各種の画像をディスプレイ50に表示させることができる。本実施装置において、ECU90は、少なくとも、平面視画像51P、駐車区画ライン画像52、設定ボタン画像53、登録開始ボタン画像54、登録ボタン画像55、駐車開始ボタン画像56、移動ボタン画像57及び、駐車場画像60をディスプレイ50に表示することができる。
【0052】
平面視画像51Pは、車両平面視画像及び車両周囲画像を含む画像である。車両平面視画像は、車両100を鉛直方向上方から見たときの車両100を表示する画像である。車両周囲画像は、車両100の周囲を鉛直方向上方から見たときの車両100の周囲を表示する画像である。これら車両平面視画像及び車両周囲画像は、画像データIMGに基づいてECU90によって生成される。
【0053】
駐車区画ライン画像52は、駐車区画を表示する画像である。駐車区画は、後述する駐車支援制御によって車両100を駐車させる区画(又は範囲又は領域)である。
図8に示すように、駐車区画61は、駐車場62内に設定される。
【0054】
設定ボタン画像53は、後述する駐車支援制御において車両100を駐車させる駐車区画61を設定(確定)するために運転者によりタッチ操作される設定ボタンに相当する画像である。
【0055】
登録開始ボタン画像54は、後述する駐車支援制御の登録時駐車走行処理を開始させるために運転者によりタッチ操作される登録開始ボタンに相当する画像である。
【0056】
駐車開始ボタン画像56は、駐車支援システム10に登録された駐車区画61に車両100を駐車させる際に、後述する自動駐車走行処理を開始するために運転者によりタッチ操作される駐車開始ボタンに相当する画像である。
【0057】
登録ボタン画像55は、第1登録ボタン画像551、第2登録ボタン画像552及び、第3登録ボタン画像553を含んでいる。
【0058】
駐車支援システム10は、後述する駐車支援制御によって異なる複数の駐車場情報Iparkを登録(即ち、記憶)することができる。駐車場情報Iparkは、駐車支援システム10が車両100を駐車場に自動的に駐車するために用いられる駐車場に関する情報である。本実施装置において、駐車支援システム10は、最大で3つの駐車場情報Iparkを登録することができる。以下、これら駐車場情報Iparkをそれぞれ「第1駐車場情報Ipark_1」、「第2駐車場情報Ipark_2」及び「第3駐車場情報Ipark_3」と称呼する。なお、登録可能な駐車場情報Iparkは、3つに限定されず、2つ、或は、4つ以上であってもよい。
【0059】
第1登録ボタン画像551~第3登録ボタン画像553は、それぞれ、後述する駐車支援制御によって取得される駐車場情報Iparkを駐車支援システム10に登録するために運転者によりタッチ操作される画像である。第1登録ボタン画像551が運転者によりタッチ操作された場合、駐車場情報Iparkは、第1駐車場情報Ipark_1として駐車支援システム10に登録される。第2登録ボタン画像552が運転者によりタッチ操作された場合、駐車場情報Iparkは、第2駐車場情報Ipark_2として駐車支援システム10に登録される。第3登録ボタン画像553が運転者によりタッチ操作された場合、駐車場情報Iparkは、第3駐車場情報Ipark_3として駐車支援システム10に登録される。
【0060】
駐車場画像60は、第1駐車場画像、第2駐車場画像及び、第3駐車場画像を含んでいる。第1駐車場画像は、カメラ45によって撮像して登録した駐車場の画像であって、第1駐車場情報Ipark_1に対応する駐車場画像である。第2駐車場画像は、カメラ45によって撮像して登録した駐車場の画像であって、第2駐車場情報Ipark_2に対応する駐車場画像である。第3駐車場画像は、カメラ45によって撮像して登録した駐車場の画像であって、第3駐車場情報Ipark_3に対応する駐車場画像である。
【0061】
[駐車支援システムの作動の概要]
次に、駐車支援システム10の作動の概要について説明する。駐車支援システム10は、駐車支援制御を実行可能に構成されている。駐車支援制御は、運転者によるアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作及び、ステアリングの操作を要することなく車両100を駐車区画に駐車する制御である。
【0062】
駐車区画が白線等の線(以下「区画線」)によって区画されている駐車場がある。こうした駐車場に車両100を自動駐車する場合、カメラ45によって撮像される区画線を目印にして車両を自動走行させて駐車区画に駐車させることができる。
【0063】
一方、個人宅の駐車場等、駐車区画を画定する区画線がない駐車場もある。こうした駐車場に車両100を自動駐車する場合、目印にする区画線がない。駐車支援システム10が行う駐車支援制御は、その駐車場に車両100を自動的に駐車させると共にその駐車場に関する駐車場情報を登録する制御と、駐車場情報が登録されている駐車場に車両100を自動的に駐車させる制御と、を含む制御である。
【0064】
[未登録の駐車場への車両の駐車及び登録]
駐車支援システム10は、車両100を未登録の駐車場62に自動駐車させるとともに、該未登録の駐車場を登録する処理を行う。なお、未登録の駐車場62が、車両100の右側に存在する場合と、車両100の左側に存在する場合とでは、処理の内容が左右反転するのみである。このため、以下では、未登録の駐車場62が車両100の左側に存在する場合を説明し、未登録の駐車場62が車両100の右側に存在する場合については説明を省略する。
【0065】
駐車支援システム10は、
図10に示すように、車両100が未登録の駐車場62の入口62entの近くで停止し、駐車支援スイッチ15(
図1参照)がON操作された場合、
図9(A)に示すように、平面視画像51P、設定ボタン画像53及び、移動ボタン画像57(571~574)をディスプレイ50に表示する。また、駐車支援システム10は、画像データIMGに基づいて駐車場62内において車両100を駐車させることができる範囲を駐車区画61(
図8参照)として設定し、その設定した駐車区画61を表す駐車区画ライン画像52を平面視画像51Pに重畳して表示する。
【0066】
ここで、移動ボタン画像57は、上方移動ボタン画像571、下方移動ボタン画像572、左方移動ボタン画像573及び右方移動ボタン画像574を含んでいる。上方移動ボタン画像571は、駐車区画ライン画像52をディスプレイ50上で上方に移動させるために運転者によって操作される画像である。下方移動ボタン画像572は、駐車区画ライン画像52をディスプレイ50上で下方に移動させるために運転者によって操作される画像である。左方移動ボタン画像573は、駐車区画ライン画像52をディスプレイ50上で左方に移動させるために運転者によって操作される画像である。右方移動ボタン画像574は、駐車区画ライン画像52をディスプレイ50上で右方に移動させるために運転者によって操作される画像である。
【0067】
運転者は、設定ボタン画像53をタッチ操作するまでは、移動ボタン画像57をタッチ操作することにより駐車区画ライン画像52をディスプレイ50上で任意に移動させることができる。運転者は、駐車区画ライン画像52をディスプレイ50にて移動させることにより、車両100を駐車させる駐車区画61の位置を変更することができる。
【0068】
設定ボタン画像53が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、車両100が駐車場62の入口62entの近くで停止されたときにカメラ45によって撮像された駐車場62の画像(特に、駐車場62の入口62entの画像)を駐車場画像60として取得して記憶する。駐車支援システム10は、駐車場画像60を位置情報取得装置30によって取得される車両100の位置情報と関連付けて記憶する。
【0069】
また、設定ボタン画像53が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、設定ボタン画像53及び、移動ボタン画像57をディスプレイ50から消去し、
図9(B)に示すように、登録開始ボタン画像54を表示する。さらに、設定ボタン画像53が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、ディスプレイ50に表示されている駐車区画ライン画像52に対応する位置の駐車区画61を登録対象駐車区画61setとして設定する。
【0070】
さらに、設定ボタン画像53が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、車両100を登録対象駐車区画61setに駐車するために車両100を走行させる目標走行ルートRtgtを設定する。例えば、
図10に示すように、車両100が、車両100の左側方に未登録の駐車場62が位置するように停止した場合、駐車支援システム10は、
図11に示す目標走行ルートRtgtを設定する。
【0071】
さらに、車両100が
図10に示す状態で停止しているときに、設定ボタン画像53が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、
図12及び
図13に示すように、左側範囲73の4つの中間分割範囲73D5について、それぞれ2つの左側特徴点F3を取得し、2つの前端分割範囲73D1について、それぞれ1つの左側特徴点F3を取得し、2つの後端分割範囲73D2について、それぞれ1つの左側特徴点F3を取得し、これら特徴点F3を当該未登録の駐車場62の入口特徴点Fentとして記憶する。入口特徴点Fentは、駐車場62の入口62entの特徴点Fである。
【0072】
駐車支援システム10は、入口特徴点Fentの取得後、
図12に示すように、取得した入口特徴点Fentの座標系Cpreにおける座標XYを入口座標XYentとして記憶するとともに、取得した入口特徴点Fentの濃淡情報CTを入口濃淡情報CTentとして記憶する。ここで、座標系Cpreは、登録対象駐車区画61set内の所定位置Ppreを原点とした座標系をいう。
【0073】
登録開始ボタン画像54が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、目標走行ルートRtgtに沿って車両100を登録対象駐車区画61setまで走行させる登録時駐車走行処理を行う。登録時駐車走行処理は、画像データIMG、物体情報OBJ、操舵角θst、操舵トルクTQst、車速SPD等に基づいて車両100が目標走行ルートRtgtに沿って走行するように駆動装置11の作動、操舵装置12の作動及び、制動装置13の作動を制御する処理である。
【0074】
例えば、
図10に示すように、車両100が、車両100の左側方に未登録の駐車場62が位置するように停止した場合、駐車支援システム10は、登録駐車走行処理を開始すると、まず、
図14に示すように、車両100を右旋回させつつ前進させて停止させる。次いで、駐車支援システム10は、
図15に示すように、車両100を左旋回させつつ後退させる。
【0075】
駐車支援システム10は、駐車場62への車両100の駐車が完了するまでの間に少なくとも1回、特徴点Fを取得し、その特徴点Fの座標系Cpreにおける座標XY及び、その特徴点Fの濃淡情報CTを取得する。特に、駐車支援システム10は、駐車場62に車両100を駐車させるために車両100の走行を開始した後、車両100がそれ以降、旋回せずに真っ直ぐに走行すると予測されているときに少なくとも1回、特徴点Fを取得し、その特徴点Fの座標系Cpreにおける座標XY及びその特徴点Fの濃淡情報CTを取得する。
【0076】
本実施装置において、駐車支援システム10は、車両100を後退させている間に車両100がそれ以降、旋回せずに真っ直ぐに走行すると予測された時点(
図16参照)で後方特徴点F2を取得する。具体的には、駐車支援システム10は、後方分割範囲72Dそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の後方特徴点F2を場内中間特徴点Fmidとして取得する。また、駐車支援システム10は、取得した場内中間特徴点Fmidの座標系Cpreにおける座標XYを場内中間座標XYmidとして記憶するとともに、取得した場内中間特徴点Fmidの濃淡情報を場内中間濃淡情報CTmidとして記憶する。
【0077】
駐車支援システム10は、
図17に示すように、車両100全体が登録対象駐車区画61set内に収まったとき、車両100を停止させて登録時駐車走行処理を終了する。これにより、駐車場62への車両100の駐車が完了する。
【0078】
車両100の駐車場61への駐車が完了すると、駐車支援システム10は、前方分割範囲71Dそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の前方特徴点F1を取得し、左側分割範囲73Dそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の左側特徴点F3を取得し、右側分割範囲74Dそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の右側特徴点F4取得し、これら特徴点F1,F3,F4を場内最終特徴点Ffinとして記憶する。また、駐車支援システム10は、取得した場内最終特徴点Ffinの座標系Cregにおける座標XYを場内最終座標XYfinとして記憶するとともに、取得した場内最終特徴点Ffinの濃淡情報CTを場内最終濃淡情報CTfinとして記憶する。さらに、駐車支援システム10は、座標系Cregにおける登録対象駐車区画61setの座標XYを登録区画座標XYareaとして記憶する。
【0079】
駐車支援システム10は、駐車場62への車両100の駐車が完了した場合、
図9(C)に示すように、第1登録ボタン画像551~第3登録ボタン画像553をディスプレイ50に表示する。
【0080】
そして、駐車支援システム10は、第1登録ボタン画像551が運転者によりタッチ操作された場合、取得した入口特徴点Fent、場内中間特徴点Fmid、場内最終特徴点Ffin、登録区画座標XYarea及び、駐車場画像60を第1駐車場情報Ipark_1として登録する。また、駐車支援システム10は、第2登録ボタン画像552が運転者によりタッチ操作された場合、取得した入口特徴点Fent、場内中間特徴点Fmid、場内最終特徴点Ffin、登録区画座標XYarea及び、駐車場画像60を第2駐車場情報Ipark_2として登録する。また、駐車支援システム10は、第3登録ボタン画像553が運転者によりタッチ操作された場合、取得した入口特徴点Fent、場内中間特徴点Fmid、場内最終特徴点Ffin、登録区画座標XYarea及び、駐車場画像60を第3駐車場情報Ipark_3として登録する。
【0081】
[登録済みの駐車場への車両の駐車]
駐車支援システム10は、車両100の車速SPDが所定車速SPDth以下(例えば、15km/h以下)になると、登録済み入口特徴点Fentの濃淡パターンとそれぞれ一致する濃淡パターンを持つ画像部分をカメラ画像CMRにて探索する探索処理を行う。駐車支援システム10は、この探索処理を左側方画像データIMG3及び、右側方画像データIMG4を用いて行う。ここで、登録済み入口特徴点Fentは、上述の登録処理によって濃淡情報が駐車支援システム10に記憶されている入口特徴点Fentである。また、カメラ画像CMRは、カメラ45によって撮像されている車両100の現在の周囲の画像である。
【0082】
駐車支援システム10は、複数の入口特徴点Fentの濃淡パターンとそれぞれ一致する濃淡パターンを持つ画像部分がカメラ画像CMRから抽出された場合、それら抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の入口特徴点Fent同士の位置関係と、を照合処理(マッチング処理)する。
【0083】
駐車支援システム10は、抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の入口特徴点Fent同士の位置関係と、が一致した場合、登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出することができたと判定する。登録済みの駐車場62は、上述の登録処理によって駐車場情報Iparkが駐車支援システム10に記憶されている駐車場である。
【0084】
より具体的には、左側方画像データIMG3に基づいて抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の入口特徴点Fent同士の位置関係と、が一致した場合、駐車支援システム10は、車両100の左側に登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できたと判定する。
【0085】
一方、右側方画像データIMG4に基づいて抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の入口特徴点Fent同士の位置関係と、が一致した場合、駐車支援システム10は、車両100の右側に登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できた判定する。
【0086】
さらに、駐車支援システム10は、複数の入口特徴点Fentの濃淡パターンと一致する濃淡パターンを持つ画像部分がカメラ画像CMRから抽出されない場合、登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できなかった判定する。或いは、駐車支援システム10は、抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の入口特徴点Fent同士の位置関係と、が一致しない場合も、登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できなかった判定する。
【0087】
駐車支援システム10は、駐車支援スイッチ15(
図1参照)がON操作され、且つ、登録済みの駐車場62を検出できたと判定した場合、
図18(A)に示すように、平面視画像51P及び、駐車開始ボタン画像56をディスプレイ50に表示する。このとき、平面視画像51Pには、登録済みのの駐車区画61に対応する駐車区画ライン画像52が重畳して表示される。
【0088】
駐車開始ボタン画像56が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、
図18(B)に示すように、駐車開始ボタン画像56をディスプレイ50から消去する。また、駐車開始ボタン画像56が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、ディスプレイ50に表示されている平面視画像51P内の駐車区画ライン52に対応する位置の駐車区画61を目標駐車区画61tgtとして設定する。
【0089】
さらに、駐車開始ボタン画像56が運転者によりタッチ操作された場合、駐車支援システム10は、車両100を目標駐車区画61tgtに駐車するために車両100を走行させる目標走行ルートRtgtを設定する。
【0090】
そして、駐車支援システム10は、目標走行ルートRtgtに沿って車両100を目標駐車区画61tgtまで走行させる自動駐車走行処理を行う。自動駐車走行処理は、画像データIMG、物体情報OBJ、操舵角θst、操舵トルクTQst、車速SPD等に基づいて車両100が目標走行ルートRtgtに沿って走行するように駆動装置11の作動、操舵装置12の作動及び、制動装置13の作動を制御する処理である。
【0091】
なお、駐車支援システム10は、自動駐車走行処理の実行中、車両100を目標走行ルートRtgtに沿って走行させたときに車両100が駐車場62に存在する立体物に接触させることなく車両100を安全に目標駐車区画61tgtまで走行させることができるか否かを判断する安全判断処理を行っている。駐車支援システム10は、車両100を安全に目標駐車区画61tgtまで走行させることができないと判断した場合、車両100を安全に目標駐車区画61tgtまで走行させることができるように目標走行ルートRtgtを修正する。車両駐車支援装置10は、自動駐車走行処理の実行中に取得される画像データIMG及び物体情報OBJを用いて上記安全判断処理を行う。
【0092】
駐車支援システム10は、自動駐車走行処理の実行中、複数の登録済み特徴点Fregの濃淡パターンとそれぞれ一致する濃淡パターンを持つ画像部分をカメラ画像CMRにて探索する探索処理を行う。駐車支援システム10は、この探索処理を後方画像データIMG2、左側方画像データIMG3及び、右側方画像データIMG4を用いて行う。ここで、登録済み特徴点Fregは、前述の駐車支援制御によって場内中間特徴点Fmid及び、場内最終特徴点Ffinが登録されている特徴点Fである。
【0093】
駐車支援システム10は、複数の登録済み特徴点Fregの濃淡パターンとそれぞれ一致する濃淡パターンを持つ画像部分がカメラ画像CMRから抽出された場合、それら抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の登録済み特徴点Freg同士の位置関係と、をマッチング処理する。
【0094】
駐車支援システム10は、抽出された複数の画像部分同士の位置関係と、それら複数の画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ複数の登録済み特徴点Freg同士の位置関係と、が一致した場合、抽出された画像部分の濃淡パターンと一致した濃淡パターンを持つ登録済み特徴点Fregの座標XYと登録区画座標XYareaとの位置関係に基づいて駐車場62内における目標駐車区画61tgtの位置が登録区画座標XYareaの示す位置に一致するか否かを判断する駐車位置判断処理を行っている。駐車支援システム10は、駐車場62内における目標駐車区画61tgtの位置が登録区画座標XYareaの示す位置に一致しないと判断した場合、駐車場62内における目標駐車区画61tgtの位置が登録区画座標XYareaの示す位置に一致するように目標駐車区画61tgtの位置を修正し、位置の修正された目標駐車区画61tgtに車両100を駐車させることができるように目標走行ルートRtgtを修正する。
【0095】
駐車支援システム10は、車両100全体が目標駐車区画61tgt内に収まったとき、車両100を停止させて自動駐車走行処理を終了する。これにより、駐車場62への車両100の駐車が完了する。
【0096】
[ディスプレイ50の表示制御]
上述した登録済みの駐車場62への駐車支援制御は、カメラ45によって撮像されるカメラ画像CMR(左側方画像データIMG3、右側方画像データIMG4)の特徴点と、登録済みの駐車場62の入口特徴点Fentとをマッチング処理し、駐車支援システム10が駐車場62の駐車区画61を検出できた場合に開始できるようになる。
【0097】
このため、車両100の現在位置が、駐車場62を登録した時の車両100の停車位置、具体的には、車両100を駐車場62の入口62ent付近に停車させて登録操作を行ったときの位置(以下、登録時車両位置という)から大きく離れている場合には、駐車支援システム10は、マッチング処理に失敗し、駐車支援制御を開始することができない。
【0098】
このような状況において、駐車支援システム10が駐車支援制御を開始できるようにするには、運転者により車両100の現在位置を登録時車両位置に合わせてもらう必要がある。しかしながら、駐車支援システム10は駐車場62の駐車区画61を検出できていない状態にあり、運転者に対して車両100をどこに移動させれば登録時車両位置に合わせられるかを適切に提示することができないといった課題がある。
【0099】
一方、運転者側としては、登録時車両位置を忘れてしまう場合や、登録操作を運転者以外の他の者(例えば、車両100を共有する家族)が行ったことで運転者自身が登録済みの駐車場62を知らない場合もある。このような場合、運転者は、車両100の現在位置が登録時車両位置から離れていたとしても、そのことに気付くことができず、駐車支援システム10が駐車支援制御を開始できない理由を把握できないといった課題がある。
【0100】
本実施装置の駐車支援システム10は、このような課題を解決すべく、車両100の現在位置が登録済みの駐車場62から所定の距離範囲内にある状態で、駐車場62の駐車区画61を検出できない場合には、ディスプレイ50に登録済みの駐車場画像60と、車両100の現在の周囲の画像(平面視画像)とを並べて表示する表示制御を実施する。これら画像を並べて表示することにより、運転者に対して車両100の現在位置が登録時車両位置から離れていることを適切に提示できるようなる。以下、表示制御の詳細について説明する。
【0101】
図19は、表示制御のルーチンを示すフローチャートである。駐車支援システム10のECU90(CPU)は、
図19に示すルーチンを、車両100の走行と同時に開始する。
【0102】
ステップS100では、ECU90は、車速センサ25の検出に基づき、車両100の車速SPDが所定車速SPDth以下であるか否かを判定する。車速SPDが所定車速SPDth以下の場合(Yes)、ECU90は、その処理をステップS110に進める。一方、車速SPDが所定車速SPDth以下でない場合(No)、ECU90は、ステップS100の判定処理を繰り返す。
【0103】
ステップS110では、ECU90は、カメラ45によって撮像される車両100の周囲のカメラ画像CMRを取得する。次いで、ステップS120では、ECU90は、ステップS110で取得したカメラ画像CMR(左側方画像データIMG3、右側方画像データIMG4)の特徴点と、登録済みの入口特徴点Fentとをマッチング処理する。
【0104】
ステップS130では、ECU90は、駐車支援スイッチ15がON操作されたか否かを判定する。駐車支援スイッチ15がON操作された場合(Yes)、ECU90は、運転者からの駐車支援要求を受け付けて、その処理をステップS140に進める。一方、駐車支援スイッチ15がON操作されていない場合(No)、言い替えれば、駐車支援スイッチ15がOFFの場合、ECU90は、その処理をステップS100に戻す。
【0105】
ステップS140では、ECU90は、ステップS120のマッチング処理により登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できたか否かを判定する。駐車場62の駐車区画61を検出できた場合(Yes)、ECU90は、その処理をステップS150に進める。ステップS150では、ECU90は、ディスプレイ50に平面視画像51P、登録済みの駐車区画ライン画像52及び、駐車開始ボタン画像56を表示する(
図18(A)参照)。
【0106】
次いで、ステップS152では、ECU90は、所定の終了条件が成立するか否かを判定する。ここで、終了条件としては、(1)駐車支援スイッチ15がOFF操作された場合、(2)車両100の車速SPDが所定車速SPDthよりも高くなった場合、(3)ステップS150の画像表示から所定の上限時間が経過した場合等が該当する。ECU90は、これら終了条件(1)~(3)の何れかが成立する場合、終了条件が成立したと判定し、その処理をステップS190に進める。ステップS190では、ECU90は画像表示を終了し、その後、本ルーチンを終了(リターン)する。
【0107】
一方、ステップS152にて、終了条件が成立しないと判定した場合、ECU90は、その処理をステップS154に進める。ステップS154では、ECU90は、運転者によって駐車開始ボタン画像56がタッチ操作されたか否かを判定する。駐車開始ボタン画像56がタッチ操作されていない場合(No)、ECU90は、その処理をステップS150に戻す。すなわち、画像表示を継続する。一方、駐車開始ボタン画像56がタッチ操作された場合(Yes)、ECU90は、その処理をステップS156に進める。
【0108】
ステップS156では、ECU90は、車両100を登録済みの駐車場62に自動駐車する自動駐車走行処理を行い、その後、本ルーチンを終了する。
【0109】
一方、ステップS140にて、登録済みの駐車場62の駐車区画61を検知できないと判定した場合(No)、ECU90は、その処理をステップS145に進める。ステップS145では、ECU90は、車両100の現在位置が登録済みの駐車場62から所定の距離範囲内にあるか否かを判定する。車両100の現在位置は、位置情報取得装置30により取得される位置情報を用いる。また、登録済みの駐車場62の位置情報は、登録時に駐車場画像60と関連付けて記憶した位置情報を用いる。ECU90は、これらの位置情報を比較することにより、車両100の現在位置から所定の距離範囲内に登録済みの駐車場62が存在するか否かを判定する。登録済みの駐車場62が複数ある場合、ECU90は、車両100の現在位置から最も近い駐車場62を特定し、特定した駐車場62の位置情報を車両100の現在位置と比較する。
【0110】
ステップS145にて、車両100の現在位置が登録済みの駐車場62から所定の距離範囲内にあると判定した場合(Yes)、ECU90は、その処理をステップS160に進める。ここで、ステップS145の判定に用いる所定の距離は、特に制限されないが、運転者が、ステップS160でディスプレイ50に表示される画像60,51Pを参照しながら、車両100を登録時車両位置まで容易に移動させることができる程度の距離(例えば、数m~数十m)を基準に設定することが好ましい。
【0111】
ステップS160では、ECU90は、登録済みの駐車場62の駐車場画像60と、カメラ45によって撮像される車両100の現在の周囲の画像(平面視画像51P)とをディスプレイ50に並べて表示する。また、ECU90は、登録済みの駐車場62が複数ある場合、ステップS145の処理にて、車両100の現在位置から最も近くにあると特定した駐車場62の駐車場画像60を、車両100の現在の周囲の画像(平面視画像51P)と並べて表示する。すなわち、複数の駐車場(62)を登録した場合においても、車両(100)の現在位置に最も適した駐車場62の駐車場画像60がディスプレイ50に表示されるようになる。
【0112】
図20は、ステップS160の処理にて、ディスプレイ50に表示される画像の一例である。ECU90は、ディスプレイ50の左側に登録済みの駐車場62の駐車場画像60を表示し、ディスプレイ50の右側にカメラ45によって撮像される車両100の現在の周囲の画像(平面視画像51P)を表示する。なお、これらの画像の配置関係は図示例に限定されず、左右の位置関係を入れ替えてもよく、或いは、これらの画像を上下に配置してもよい。
【0113】
駐車場画像60は、上述の登録処理によって登録された駐車場62を鉛直方向上方から見た画像である。駐車場画像60には、登録時車両位置Pに停車する車両100を示す画像及び、駐車区画(61)を示す駐車区画ライン画像52が重畳して表示されている。車両100の現在の周囲の画像は、カメラ45によって撮像される画像データIMGに基づいて生成される平面視画像51Pであって、車両平面視画像及び車両周囲画像を含む。車両平面視画像は、車両100を鉛直方向上方から見たときの車両100を表示する画像である。車両周囲画像は、車両100の周囲を鉛直方向上方から見たときの車両100の周囲を表示する画像である。
図20に示す例では、平面視画像51Pにおいて、車両100の前方に駐車場62の一部が撮像されている。
【0114】
運転者は、ディスプレイ50に並べて表示される駐車場画像60及び、車両100の現在の周囲の画像(平面視画像51P)を参照することにより、車両100の現在位置が登録時車両位置Pからどの程度離れているか、さらには、車両100をどの方向に移動させれば登録時車両位置Pに合わせることができるかを容易に把握することができる。図示例では、車両100の前方に登録時車両位置Pがあり、車両100を前進させれば登録時車両位置Pに合わせられることを把握できる。すなわち、運転者に対して、車両100をどの方向にどの程度移動させれば登録時車両位置Pに合わせられるかを画像により適切に提示することで、利便性の向上が図られるようになる。
【0115】
ステップS162では、ECU90は、マッチング処理により登録済みの駐車場62の駐車区画61を検出できたか否かを再度判定する。駐車場62の駐車区画61を検出できた場合(Yes)、ECU90は、その処理をステップS150に進める。すなわち、ECU90は、駐車支援制御を開始することができる。一方、駐車場62の駐車区画61を検出できない場合(No)、ECU90は、その処理をステップS164に進める。
【0116】
ステップS164では、ECU90は、所定の終了条件が成立するか否かを判定する。ここで、終了条件としては、(1)駐車支援スイッチ15がOFF操作された場合、(2)車両100の車速SPDが所定車速SPDthよりも高くなった場合、(3)ステップS160の画像表示から所定の上限時間が経過した場合等が該当する。ECU90は、これら終了条件(1)~(3)の何れかが成立する場合、終了条件が成立したと判定し、その処理をステップS190に進める。ステップS190では、ECU90は画像表示を終了し、その後、本ルーチンを終了する。
【0117】
一方、ステップS145にて、車両100の現在位置が登録済みの駐車場62から所定の距離範囲内にないと判定した場合(No)、すなわち、車両100が登録済みの駐車場62から大きく離れている場合、ECU90は、その処理をステップS170に進め、ディスプレイ50に「駐車支援が不可能」な旨のメッセージ画像を表示する。車両100が登録済みの駐車場62から大きく離れているような状況で、ステップS160のように、登録済みの駐車場画像60と車両100の周囲の画像51Pとをディスプレイ50に表示しても、運転者は車両100を登録時車両位置Pに合わせることは難しく実効性がない。このような場合、ECU90は、システムが駐車支援制御を実行できないことを運転者に提示する。
【0118】
次いで、ステップS175では、ECU90は、所定の終了条件が成立するか否かを判定する。ここで、終了条件としては、(1)駐車支援スイッチ15がOFF操作された場合、(2)車両100の車速SPDが所定車速SPDthよりも高くなった場合、(3)ステップS170の画像表示から所定の上限時間が経過した場合等が該当する。ECU90は、これら終了条件(1)~(3)の何れかが成立する場合、終了条件が成立したと判定し、その処理をステップS190に進める。ステップS190では、ECU90は画像表示を終了し、その後、本ルーチンを終了する。
【0119】
以上が駐車支援システム10の具体的な作動である。駐車支援システム10によれば、運転者からの駐車支援要求を受け付けた際に、車両100の現在位置が登録時車両位置Pから離れており、登録済みの駐車場62の駐車区画61をマッチング処理によって検出できない場合には、登録済みの駐車場画像60と、車両100の現在の周囲の画像51Pとをディスプレイ50に並べて表示する。すなわち、運転者に対して、車両100の現在位置が登録時車両位置Pから離れていることを適切に提示できるようになる。これにより、運転者は、車両100をどの方向に移動させれば登録時車両位置Pに合わせることができるかを容易に把握できるようになり、利便性を確実に向上することが可能になる。
【0120】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0121】
10…駐車支援スステム、11…駆動装置、12…操舵装置、13…制動装置、15…駐車支援スイッチ、30…位置情報取得装置、40…周囲認識装置、41…ソナーセンサ、44…カメラセンサ、51P…平面視画像、52…駐車区画ライン画像、60…駐車場画像、62…駐車場、90…ECU、100…車両