(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車両支援サーバ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2021157543
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】宇野 智
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-194761(JP,A)
【文献】特開2018-205971(JP,A)
【文献】特開2012-035795(JP,A)
【文献】特開2007-257421(JP,A)
【文献】特開2007-207083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象車両の走行状態及び前記対象車両の地図上の位置情報を含む対象車両データに基づいて、前記対象車両に対して予め生成された支援コンテンツによる車両支援を行う車両支援サーバであって、
予め設定された複数の設定エリアの前記対象車両データに基づいて、前記設定エリアごとの対象車両普及度を推定する普及度推定部と、
前記設定エリアにおける対象車両普及度と複数種類の前記支援コンテンツごとに予め設定された必要普及度とに基づいて、前記支援コンテンツごとに当該設定エリアの前記対象車両普及度が前記必要普及度以上であるか否かを判定する普及度判定部と、
前記普及度判定部により前記対象車両普及度が前記必要普及度以上であると判定された前記支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の前記支援コンテンツとしてデータベースに登録する登録部と、
前記設定エリアで支援すべき前記対象車両が存在する場合に、前記設定エリアで提供対象として登録された前記支援コンテンツに応じた車両支援を行う車両支援部と、
を備え、
前記支援コンテンツは、地図上の位置と関連付けて生成され、前記支援コンテンツには、少なくとも路面の凹凸の認識が含まれ、
前記普及度推定部は、外部から取得された前記設定エリアの車両交通量に対する当該設定エリア内の前記対象車両の台数の割合として前記対象車両普及度を推定し、
前記車両支援部は、提供対象の前記支援コンテンツに対応する地図上の位置に一定時間以内に到達する前記対象車両を支援すべき前記対象車両として認識し、
前記車両支援には、路面の凹凸の認識に応じた道路内の走行経路変更の提案が含まれる、車両支援サーバ。
【請求項2】
前記対象車両データに基づいて、前記支援コンテンツを生成する支援コンテンツ生成部を更に備え、
前記支援コンテンツ生成部は、前記支援コンテンツとして、一台分の前記対象車両データから生成される単車推定型コンテンツと複数台分の前記対象車両データから生成される複車推定型コンテンツとを生成し、
前記複車推定型コンテンツの前記必要普及度は、前記単車推定型コンテンツの前記必要普及度と比べて大きい値である、請求項1に記載の車両支援サーバ。
【請求項3】
前記支援コンテンツ生成部は、前記複車推定型コンテンツとして、異なる時刻に同じ位置を通過した複数台の前記対象車両の前記対象車両データから生成される別時刻複車推定型コンテンツと同時刻に同じ位置に存在した複数台の前記対象車両の前記対象車両データから生成される同時刻複車推定型コンテンツとを生成し、
前記同時刻複車推定型コンテンツの前記必要普及度は、前記別時刻複車推定型コンテンツの前記必要普及度と比べて大きい値である、請求項2に記載の車両支援サーバ。
【請求項4】
対象車両の走行状態及び前記対象車両の地図上の位置情報を含む対象車両データに基づいて、前記対象車両に対して予め生成された支援コンテンツによる車両支援を行う車両支援サーバを動作させるプログラムであって、
予め設定された複数の設定エリアの前記対象車両データに基づいて、前記設定エリアごとの対象車両普及度を推定する普及度推定部、
前記設定エリアにおける対象車両普及度と複数種類の前記支援コンテンツごとに予め設定された必要普及度とに基づいて、前記支援コンテンツごとに当該設定エリアの前記対象車両普及度が前記必要普及度以上であるか否かを判定する普及度判定部、
前記普及度判定部により前記対象車両普及度が前記必要普及度以上であると判定された前記支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の前記支援コンテンツとしてデータベースに登録する登録部、
及び、前記設定エリアで支援すべき前記対象車両が存在する場合に、前記設定エリアで提供対象として登録された前記支援コンテンツに応じた車両支援を行う車両支援部として前記車両支援サーバを動作させ、
前記支援コンテンツは、地図上の位置と関連付けて生成され、前記支援コンテンツには、少なくとも路面の凹凸の認識が含まれ、
前記普及度推定部は、外部から取得された前記設定エリアの車両交通量に対する当該設定エリア内の前記対象車両の台数の割合として前記対象車両普及度を推定し、
前記車両支援部は、提供対象の前記支援コンテンツに対応する地図上の位置に一定時間以内に到達する前記対象車両を支援すべき前記対象車両として認識し、
前記車両支援には、路面の凹凸の認識に応じた道路内の走行経路変更の提案が含まれる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両支援サーバ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に関する情報の処理に関して、例えば特表2013-544695号公報が知られている。この公報には、自動運転車両の走行において運転者が自動走行は安全ではないと感じたゾーンを近くの他車両に通報する処理が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両が不安定な挙動を行った位置情報を不安定挙動と関連付けて収集し、当該位置の周辺を走行する車両に対して各種の車両支援を行うことが考えられている。しかしながら、全ての情報を一様に車両支援に用いるとサーバの処理負荷が増大してしまう。このため、車両支援に用いるコンテンツを適切に選択することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、対象車両の走行状態及び対象車両の地図上の位置情報を含む対象車両データに基づいて、対象車両に対して予め生成された支援コンテンツによる車両支援を行う車両支援サーバであって、予め設定された複数の設定エリアの対象車両データに基づいて、設定エリアごとの対象車両普及度を推定する普及度推定部と、設定エリアにおける対象車両普及度と複数種類の支援コンテンツごとに予め設定された必要普及度とに基づいて、支援コンテンツごとに当該設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上であるか否かを判定する普及度判定部と、普及度判定部により対象車両普及度が必要普及度以上であると判定された支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録する登録部と、設定エリアで支援すべき対象車両が存在する場合に、設定エリアで提供対象として登録された支援コンテンツに応じた車両支援を行う車両支援部と、を備え、支援コンテンツは、地図上の位置と関連付けて生成され、支援コンテンツには、少なくとも路面の凹凸の認識が含まれ、普及度推定部は、外部から取得された設定エリアの車両交通量に対する当該設定エリア内の対象車両の台数の割合として対象車両普及度を推定し、車両支援部は、提供対象の支援コンテンツに対応する地図上の位置に一定時間以内に到達する対象車両を支援すべき対象車両として認識し、車両支援には、路面の凹凸の認識に応じた道路内の走行経路変更の提案が含まれる。
【0006】
本発明の一態様に係る車両支援サーバによれば、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上である支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録するので、対象車両普及度が十分ではない設定エリアにまで対象車両データに基づく支援コンテンツによる車両支援を行うことを避けることができ、対象車両に対して不要な支援コンテンツを提供することによる処理負荷の増加を抑制することができる。
【0007】
本発明の一態様に係る車両支援サーバにおいて、対象車両データに基づいて、支援コンテンツを生成する支援コンテンツ生成部を更に備え、支援コンテンツ生成部は、支援コンテンツとして、一台分の対象車両データから生成される単車推定型コンテンツと複数台分の対象車両データから生成される複車推定型コンテンツとを生成し、複車推定型コンテンツの必要普及度は、単車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値であってもよい。
この車両支援サーバによれば、一台分の対象車両データから生成される単車推定型コンテンツは複数台分の対象車両データから生成される複車推定型コンテンツと比べて、車両支援の必要性が高い場合が多いことから、複車推定型コンテンツの必要普及度を単車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値とすることで、単車推定型コンテンツを優先的に対象車両に提供することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る車両支援サーバにおいて、支援コンテンツ生成部は、複車推定型コンテンツとして、異なる時刻に同じ位置を通過した複数台の対象車両の対象車両データから生成される別時刻複車推定型コンテンツと同時刻に同じ位置に存在した複数台の対象車両の対象車両データから生成される同時刻複車推定型コンテンツとを生成し、同時刻複車推定型コンテンツの必要普及度は、別時刻複車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値であってもよい。
この車両支援サーバによれば、異なる時刻に同じ位置を通過した複数台の対象車両の対象車両データから生成される別時刻複車推定型コンテンツは同時刻に同じ位置に存在した複数台の対象車両の対象車両データから生成される同時刻複車推定型コンテンツと比べて、車両支援の必要性が高い場合が多いことから、同時刻複車推定型コンテンツの必要普及度を別時刻複車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値とすることで、別時刻複車推定型コンテンツを優先的に対象車両に提供することができる。
【0009】
本発明の他の態様は、対象車両の走行状態及び対象車両の地図上の位置情報を含む対象車両データに基づいて、対象車両に対して予め生成された支援コンテンツによる車両支援を行う車両支援サーバを動作させるプログラムであって、予め設定された複数の設定エリアの対象車両データに基づいて、設定エリアごとの対象車両普及度を推定する普及度推定部、設定エリアにおける対象車両普及度と複数種類の支援コンテンツごとに予め設定された必要普及度とに基づいて、支援コンテンツごとに当該設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上であるか否かを判定する普及度判定部、及び、普及度判定部により対象車両普及度が必要普及度以上であると判定された支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録する登録部及び、設定エリアで支援すべき対象車両が存在する場合に、設定エリアで提供対象として登録された支援コンテンツに応じた車両支援を行う車両支援部として車両支援サーバを動作させ、支援コンテンツは、地図上の位置と関連付けて生成され、支援コンテンツには、少なくとも路面の凹凸の認識が含まれ、普及度推定部は、外部から取得された設定エリアの車両交通量に対する当該設定エリア内の対象車両の台数の割合として対象車両普及度を推定し、車両支援部は、提供対象の支援コンテンツに対応する地図上の位置に一定時間以内に到達する対象車両を支援すべき対象車両として認識し、車両支援には、路面の凹凸の認識に応じた道路内の走行経路変更の提案が含まれる。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムによれば、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上である支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録するので、対象車両普及度が十分ではない設定エリアにまで対象車両データに基づく支援コンテンツによる車両支援を行うことを避けることができ、対象車両に対して不要な支援コンテンツを提供することによる処理負荷の増加を抑制することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る車両支援サーバの処理方法によれば、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上である支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録するので、対象車両普及度が十分ではない設定エリアにまで対象車両データに基づく支援コンテンツによる車両支援を行うことを避けることができ、対象車両に対して不要な支援コンテンツを提供することによる処理負荷の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各態様によれば、対象車両に対して不要な支援コンテンツを提供することによる処理負荷の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】対象車両の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】車両支援サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】(a)別時刻複車推定型コンテンツを説明するための図である。(b)
図5(a)の一定時間後の状況を示す図である。
【
図6】同時刻複車推定型コンテンツを説明するための図である。
【
図7】不安定挙動位置の記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】支援コンテンツ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】支援コンテンツ登録処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、車両支援システムの一例を示す図である。
図1に示すように、車両支援システム1は、車両支援サーバ10と対象車両2を含んで構成されている。車両支援サーバ10はネットワークNを介して対象車両2(2A~2Z)と通信可能に接続されている。ネットワークNは、無線通信ネットワークである。対象車両2は、車両支援サーバ10の情報収集対象の車両を意味する。対象車両2には、車両支援サーバ10から各種支援が行われる支援対象の車両が含まれる。対象車両2を個別に説明する場合、対象車両2A~2Zを用いる。
【0017】
図2は、車両支援の一例を説明するための図である。
図2に示すように、路面凍結などによって対象車両2Aのスリップが生じた場合、対象車両2Aはスリップが生じた位置である不安定挙動位置Dを含む対象車両データを車両支援サーバ10に送信する。車両支援サーバ10は、例えば対象車両2Aの後方を走行する対象車両2Bに不安定挙動位置の情報を通知する。これにより、対象車両2Bでは、不安定挙動位置Dにおける対象車両2Bのスリップの発生を抑制することが可能になる。不安定挙動位置について詳しくは後述する。
【0018】
[対象車両の構成]
まず、対象車両2の構成について説明する。対象車両2には、車両を識別するためのID[identification](車両識別番号)が割り振られている。対象車両2は一台であってもよく、二台以上であってもよく、数十台以上であってもよく、数百台以上であってもよい。対象車両2は、同一の構成を有する車両である必要はなく、車種などが異なっていてもよい。対象車両2は、自動運転機能を有する自動運転車両であってもよく、自動運転機能を有しない車両であってもよい。
【0019】
以下、
図3を参照して対象車両2について説明する。
図3は、対象車両2の構成の一例を示すブロック図である。ここでは、対象車両2を自動運転車両として説明する。
【0020】
図3に示すように、対象車両2は、自動運転ECU30を備えている。自動運転ECU30は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU30では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU30は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0021】
自動運転ECU30は、GPS[Global Positioning System]受信部21、外部センサ22、内部センサ23、運転操作検出部24、地図データベース25、通信部26、HMI[Human Machine Interface]27、及び、アクチュエータ28と接続されている。
【0022】
GPS受信部21は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、対象車両2の位置(例えば対象車両2の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部21は、測定した対象車両2の位置情報を自動運転ECU30へ送信する。
【0023】
外部センサ22は、対象車両2の外部環境を検出する検出機器である。外部センサ22は、カメラ、レーダセンサのうち少なくとも一つを含む。
【0024】
カメラは、対象車両2の外部環境を撮像する撮像機器である。カメラは、対象車両2のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。カメラは、対象車両2の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU30へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0025】
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して対象車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を対象車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU30へ送信する。物体には、ガードレール、建物などの固定物の他、歩行者、自転車、他車両などの移動物が含まれる。外部センサ22は、対象車両2の外気温を検出する外気温センサを含んでもよい。外部センサ22は、外部の明るさを検出するライトセンサを含んでいてもよい。
【0026】
内部センサ23は、対象車両2の状態を検出する検出機器である。内部センサ23は、対象車両2の走行状態を検出するセンサとして車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、対象車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、対象車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU30に送信する。
【0027】
加速度センサは、対象車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、対象車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる。加速度センサは、対象車両2の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、対象車両2の加速度情報を自動運転ECU30に送信する。ヨーレートセンサは、対象車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した対象車両2のヨーレート情報を自動運転ECU30へ送信する。
【0028】
内部センサ23は、対象車両2の車両状態として、タイヤ空気圧、ワイパー作動状態、及び灯火器状態のうち少なくとも一つを検出する。タイヤ空気圧は、対象車両2のタイヤの空気圧である。ワイパー作動状態には、ワイパー作動の有無だけではなく、ワイパーの作動速度を含んでもよい。灯火器状態には、方向指示器の点灯状態が含まれる。灯火器状態には、ヘッドライトの点灯の有無及びフォグランプの点灯の有無が含まれてもよい。
【0029】
また、内部センサ23は、対象車両2の車両状態として、液圧ブレーキシステムのブレーキ圧をブレーキ圧センサから検出してもよく、走行支援(例えば後述する車両安定制御システム)のオン状態/オフ状態を検出してもよい。内部センサ23は、対象車両2の車両状態として、各車輪の荷重状態を車輪荷重センサから検出してもよい。その他、内部センサ23は、対象車両2の各種の故障を検出する故障検出部を有していてもよい。
【0030】
運転操作検出部24は、運転者による対象車両2の操作部の操作を検出する。運転操作検出部24は、例えば、操舵センサ、アクセルセンサ、及びブレーキセンサを含んでいる。対象車両2の操作部とは、運転者が車両の運転のための操作を入力する機器である。対象車両2の操作部には、操舵部、アクセル操作部、及びブレーキ操作部のうち少なくとも一つが含まれる。操舵部とは、例えばステアリングホイールである。操舵部は、ホイール状である場合に限られず、ハンドルとして機能する構成であればよい。アクセル操作部とは、例えばアクセルペダルである。ブレーキ操作部とは、例えばブレーキペダルである。アクセル操作部及びブレーキ操作部は、必ずしもペダルである必要はなく、運転者による加速又減速の入力が可能な構成であればよい。
【0031】
操舵センサは、運転者による操舵部の操作量を検出する。操舵部の操作量には、操舵角が含まれる。操舵部の操作量には、操舵トルクが含まれてもよい。アクセルセンサは、運転者によるアクセル操作部の操作量を検出する。アクセル操作部の操作量には、例えばアクセルペダルの踏込み量が含まれる。ブレーキセンサは、運転者によるブレーキ操作部の操作量を検出する。ブレーキ操作部の操作量には、例えばブレーキペダルの踏込み量が含まれる。ブレーキセンサは、液圧ブレーキシステムのマスターシリンダ圧を検出する態様であってもよい。アクセル操作部及びブレーキ操作部の操作量には踏込み速度が含まれてもよい。運転操作検出部24は、検出した運転者の操作量に関する操作量情報を自動運転ECU30に送信する。
【0032】
地図データベース25は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース25は、例えば、対象車両2に搭載されたHDDなどの記憶装置内に形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えば曲率情報)、交差点及び分岐点の位置情報などが含まれる。地図情報には、位置情報と関連付けられた法定速度などの交通規制情報が含まれていてもよい。地図情報には、対象車両2の地図上の位置認識に利用される物標情報が含まれていてもよい。物標には、車線の区画線、信号機、ガードレール、路面標示などを含むことができる。地図データベース25は、対象車両2と通信可能なサーバ(車両支援サーバ10に限らない)に構成されていてもよい。
【0033】
通信部26は、対象車両2の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。ネットワークNを介して各種情報の送信及び受信を行う。通信部26は、自動運転ECU30からの信号に応じて各種情報を車両支援サーバ10に送信する。
【0034】
HMI27は、自動運転ECU30と運転者又は乗員との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI27は、例えば、車室内に設けられたディスプレイ、スピーカなどを備えている。HMI27は、自動運転ECU30からの制御信号に応じて、ディスプレイの画像出力及びスピーカからの音声出力を行う。
【0035】
アクチュエータ28は、対象車両2の制御に用いられる機器である。アクチュエータ28は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU30からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、対象車両2の駆動力を制御する。なお、対象車両2がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU30からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。対象車両2が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU30からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ28を構成する。
【0036】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU30からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、対象車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、自動運転ECU30からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、対象車両2の操舵トルクを制御する。
【0037】
次に、自動運転ECU30の機能的構成について説明する。
図3に示すように、自動運転ECU30は、対象車両データ取得部31、進路生成部32、及び自動運転制御部33を有している。なお、以下に説明する自動運転ECU30の機能の一部は対象車両2と通信可能なサーバ(車両支援サーバ10に限らない)において実行される態様であってもよい。
【0038】
対象車両データ取得部31は、対象車両2に関するデータである対象車両データを得る。対象車両データには、対象車両2の地図上の位置情報及び対象車両2の走行状態が含まれる。対象車両データには、対象車両2の外部環境が含まれてもよく、対象車両2の走行するルートが含まれてもよい。対象車両データには、対象車両2の運転者による運転操作情報及び対象車両2の車両状態が含まれてもよい。対象車両データ取得部31は、取得した対象車両データを車両支援サーバ10に送信する。
【0039】
対象車両データ取得部31は、車両位置取得部31a、外部環境認識部31b、走行状態認識部31c、運転操作情報取得部31d、及び車両状態認識部31eを有している。
【0040】
車両位置取得部31aは、GPS受信部21の位置情報及び地図データベース25の地図情報に基づいて、対象車両2の地図上の位置情報を取得する。また、車両位置取得部31aは、地図データベース25の地図情報に含まれた物標情報及び外部センサ22の検出結果を利用して、SLAM[Simultaneous Localization and Mapping]技術により対象車両2の位置情報を取得してもよい。車両位置取得部31aは、車線の区画線と対象車両2の位置関係から、車線に対する対象車両2の横位置(車線幅方向における対象車両2の位置)を認識して位置情報に含めてもよい。車両位置取得部31aは、その他、周知の手法により対象車両2の地図上の位置情報を取得してもよい。
【0041】
外部環境認識部31bは、外部センサ22の検出結果に基づいて、対象車両2の外部環境を認識する。外部環境には、対象車両2に対する周囲の物体の相対位置が含まれる。外部環境には、対象車両2に対する周囲の物体の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。外部環境には、他車両、歩行者、自転車などの物体の種類が含まれてもよい。物体の種類は、パターンマッチングなどの周知の手法により識別することができる。外部環境には、対象車両2の周囲の区画線認識(白線認識)の結果が含まれていてもよい。外部環境には、外気温が含まれていてもよく、天候が含まれていてもよい。
【0042】
走行状態認識部31cは、内部センサ23の検出結果に基づいて、対象車両2の走行状態を認識する。走行状態には、対象車両2の車速及び対象車両2のヨーレートが含まれる。走行状態には、対象車両2の加速度が含まれてもよい。具体的に、走行状態認識部31cは、車速センサの車速情報に基づいて、対象車両2の車速を認識する。走行状態認識部31cは、加速度センサの車速情報に基づいて、対象車両2の加速度を認識する。走行状態認識部31cは、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、対象車両2の向きを認識する。
【0043】
運転操作情報取得部31dは、運転操作検出部24の検出結果に基づいて、対象車両2の運転操作情報を取得する。運転操作情報には、例えば運転者のアクセル操作量、ブレーキ操作量、及び操舵量のうち少なくとも一つが含まれる。
【0044】
運転操作情報取得部31dは、対象車両2に個人認証機能がある場合には、個人認証した運転者ごとに運転操作履歴を記憶させる。運転操作履歴には、対象車両2の外部環境及び走行状態が関連付けられていてもよい。自動運転ECU30は、必ずしも運転操作情報取得部31dを有する必要はない。この場合、運転操作検出部24も不要である。
【0045】
車両状態認識部31eは、内部センサ23の検出結果に基づいて、対象車両2の車両状態を認識する。車両状態には、タイヤ空気圧が含まれてもよい。車両状態には、ワイパー作動状態、灯火器状態が含まれてもよく、対象車両2の故障状態が含まれてもよい。自動運転ECU30は、必ずしも車両状態認識部31eを有する必要はない。
【0046】
進路生成部32は、対象車両2の自動運転に利用される進路[trajectory]を生成する。進路生成部32は、予め設定された走行ルート、地図情報、対象車両2の地図上の位置、対象車両2の外部環境、及び対象車両2の走行状態に基づいて、自動運転の進路を生成する。
【0047】
走行ルートとは、自動運転において対象車両2が走行するルートである。進路生成部32は、例えば目的地、地図情報、及び対象車両2の地図上の位置に基づいて、自動運転の走行ルートを求める。走行ルートは、周知のナビゲーションシステムによって設定されてもよい。目的地は対象車両2の乗員によって設定されてもよく、自動運転ECU30又はナビゲーションシステムなどが自動的に提案してもよい。
【0048】
進路には、自動運転で車両が走行する経路[path]と自動運転における車速プロファイルとが含まれる。経路は、走行ルート上において自動運転中の車両が走行する予定の軌跡である。経路は、例えば走行ルート上の位置に応じた対象車両2の操舵角変化のデータ(操舵角プロファイル)とすることができる。走行ルート上の位置とは、例えば走行ルートの進行方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置である。操舵角プロファイルとは、設定縦位置毎に目標操舵角が関連付けられたデータとなる。
【0049】
進路生成部32は、例えば走行ルート、地図情報、対象車両2の外部環境、及び対象車両2の走行状態に基づいて、車両が走行する経路を生成する。進路生成部32は、例えば対象車両2が走行ルートに含まれる車線の中央(車線幅方向における中央)を通るように経路を生成する。
【0050】
なお、操舵角プロファイルに代えて、設定縦位置毎に目標操舵トルクが関連付けられた操舵トルクプロファイルを用いてもよい。また、操舵角プロファイルに代えて、設定縦位置毎に目標横位置が関連付けられた横位置プロファイルを用いてもよい。目標横位置とは、車線の幅方向における目標の位置である。この場合、設定縦位置及び目標横位置は、合わせて一つの位置座標として設定されてもよい。
【0051】
車速プロファイルは、例えば設定縦位置毎に目標車速が関連付けられたデータである。なお、設定縦位置は、距離ではなく車両の走行時間を基準として設定されてもよい。設定縦位置は、車両の1秒後の到達位置、車両の2秒後の到達位置として設定されていてもよい。
【0052】
進路生成部32は、例えば経路と地図情報に含まれる法定速度などの速度関連情報に基づいて車速プロファイルを生成する。法定速度に代えて、地図上の位置又は区間に対して予め設定された設定速度を用いてもよい。進路生成部32は、経路及び車速プロファイルから自動運転の進路を生成する。なお、進路生成部32における進路の生成方法は上述した内容に限定されず、その他の周知の方法を採用することができる。
【0053】
進路生成部32は、車両支援サーバ10から不安定挙動位置を避けるための走行経路変更の通知を受け取った場合、不安定挙動位置を通らないように対象車両2の経路を変更する。進路生成部32は、対象車両2の走行する走行ルート(走行する道路)を変更してもよく、同じ道路内において不安定挙動位置から道路幅方向で一定距離以上に離れるように対象車両2の経路を変更してもよい。
【0054】
進路生成部32は、車両支援サーバ10から不安定挙動位置情報及び安定走行データの通知を受け取った場合、不安定挙動位置情報及び安定走行データに基づいて、対象車両2に不安定挙動が生じないように進路生成を行う。不安定挙動位置情報及び安定走行データについて詳しくは後述する。進路生成部32は、不安定挙動位置の付近において対象車両2の走行状態が安定走行データの走行状態に近づくように進路を生成する。進路生成部32は、車両支援サーバ10から安定走行データの通知に代えて、安定走行指示を受け取った場合には、安定走行指示に沿って進路生成を行う。安定走行指示について詳しくは後述する。
【0055】
自動運転制御部33は、対象車両2の自動運転を実行する。自動運転制御部33は、例えば対象車両2の外部環境、対象車両2の走行状態、及び進路生成部32の生成した進路に基づいて、対象車両2の自動運転を実行する。自動運転制御部33は、アクチュエータ28に制御信号を送信することで、対象車両2の自動運転を行う。
【0056】
自動運転制御部33は、車両支援サーバ10から自動運転解除の指示を受け取った場合、不安定挙動位置における自動運転解除を行う。自動運転制御部33は、運転者に対してHMI27を通じて運転者に手動運転への移行を通知する。自動運転制御部33は、運転者に通知後、自動運転を解除して運転者の手動運転に移行する。また、自動運転制御部33は、HMI27を通じて運転者に車両支援サーバ10から受け取った不安定挙動位置情報を通知する。
【0057】
なお、対象車両2は、必ずしも自動運転車両である必要はない。この場合、対象車両2のECUは、進路生成部32及び自動運転制御部33を有する必要はない。対象車両2のECUは、HMI27を通じて運転者に不安定挙動位置情報などを通知可能な情報提供部を有していればよい。対象車両2のECUは、車両支援サーバ10から安定走行データの通知を受け取った場合に、不安定挙動位置の付近において対象車両2の走行状態が安定走行データの走行状態に近づくように運転支援を行う運転支援部を有していてもよい。運転支援の方法は特に限定されず、運転者に対する情報提供であってもよく、車両の走行制御を行ってもよい。
【0058】
[車両支援サーバの構成]
車両支援サーバ10は、例えば情報管理センターなどの施設に設けられ、対象車両2と通信可能に構成されている。
図4は、車両支援サーバ10の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示す車両支援サーバ10は、プロセッサ11、記憶部12、通信部13及びユーザインターフェース14を備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0059】
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させて車両支援サーバ10を制御する。プロセッサ11は、制御装置、演算装置、レジスタなどを含むCPU[Central Processing Unit]などの演算器である。プロセッサ11は、記憶部12、通信部13及びユーザインターフェース14を統括する。記憶部12は、メモリ及びストレージのうち少なくとも一方を含んで構成されている。メモリは、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などの記録媒体である。ストレージは、HDD[Hard Disk Drive]などの記録媒体である。
【0060】
通信部13は、ネットワークNを介した通信を行うための通信機器である。通信部13には、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどを用いることができる。ユーザインターフェース14は、ディスプレイ、スピーカなどの出力器、及び、タッチパネルなどの入力器を含む機器である。なお、車両支援サーバ10は、必ずしも施設に設けられている必要はなく、車両、船舶などの移動体に搭載されていてもよい。
【0061】
また、車両支援サーバ10は、記憶データベース15と接続されている。記憶データベース15は、不安定挙動位置情報などを記憶するためのデータベースである。記憶データベース15は、HDDの周知のデータベースと同様の構成とすることができる。また、記憶データベース15には、後述する支援コンテンツの設定エリアごとの提供の有無が記録される。なお、記憶データベース15は、車両支援サーバ10から離れた施設などに設けられていてもよい。
【0062】
次に、プロセッサ11の機能的構成について説明する。
図4に示すように、プロセッサ11は、対象車両データ認識部11a、不安定挙動位置認識部11b、記憶処理部11c、支援コンテンツ生成部11d、普及度推定部11e、普及度判定部11f、登録部11g、及び車両支援部11hを有している。
【0063】
対象車両データ認識部11aは、対象車両2から送信された対象車両データを認識(取得)する。対象車両データには、対象車両2の地図上の位置情報及び対象車両2の走行状態が含まれる。対象車両データには、対象車両2の外部環境が含まれてもよく、対象車両2の走行するルートが含まれてもよい。対象車両データ認識部11aは、後述する設定エリアと関連付けて対象車両データを取得してもよい。
【0064】
不安定挙動位置認識部11bは、対象車両データ認識部11aの取得した対象車両データに基づいて、対象車両2が不安定挙動になった地図上の位置である不安定挙動位置を認識する。不安定挙動とは、車両の走行を不安定にするような車両の挙動である。不安定挙動には、例えばスリップが含まれる。不安定挙動には、急減速又は急な舵角変化が含まれてもよい。不安定挙動には、対象車両2の車線逸脱を含んでもよく、対象車両2の物体への過剰接近を含んでもよい。
【0065】
まず、不安定挙動の判定について説明する。不安定挙動位置認識部11bは、対象車両データに基づいて対象車両2が不安定挙動になったか否かを判定する。不安定挙動位置認識部11bは、例えば、加速度センサの検出した加速度(前後加速度及び横加速度)、車輪速センサの検出した各車輪の車輪速、ヨーレートセンサの検出したヨーレート、操舵センサの検出した運転者の操舵角、ブレーキセンサの検出した運転者のブレーキ操作量、及びブレーキ圧センサのブレーキ圧のうち少なくとも一つに基づいて、不安定挙動として対象車両2がスリップになったことを判定する。ブレーキセンサのブレーキ操作量に代えて、液圧ブレーキシステムのマスターシリンダ圧を用いてもよい。
【0066】
不安定挙動位置認識部11bは、スリップの判定として、周知のアンチロックブレーキシステム[ABS:Antilock Brake System]の作動開始条件を用いてもよい。例えばアンチロックブレーキシステムでは、一例として、各車輪の車輪速と推定車体速度とを比較して、ロックしていると考えられる車輪が特定される場合に作動する。推定車体速度は、スリップするまでの各車輪の車輪速から求めてもよく、スリップするまでの加速度の変化から求めてもよい。
【0067】
また、不安定挙動位置認識部11bは、スリップの判定として、周知の車両安定制御システム[VSC: Vehicle Stability Control]の作動開始条件を用いてもよく、周知のトラクションコントロール[TRC: Traction Control System]の作動開始条件を用いてもよい。トラクションコントロールも、各車輪の車輪速と推定車体速度とを比較して、空転している車輪が特定される場合に作動させることができる。不安定挙動位置認識部11bは、その他の周知の手法により対象車両2のスリップを判定してもよい。
【0068】
不安定挙動位置認識部11bは、加速度センサの検出した減速度に基づいて、対象車両2が不安定挙動として急減速になったか否かを判定してもよい。この場合、不安定挙動位置認識部11bは、例えば減速度の絶対値が急減速閾値以上になったとき、対象車両2が急減速になったと判定する。急減速閾値は予め設定された値の閾値である。以下、説明で用いる閾値は予め設定された値の閾値を意味する。
【0069】
不安定挙動位置認識部11bは、ヨーレートセンサの検出したヨーレートに基づいて、不安定挙動として対象車両2に急な舵角変化が生じたか否かを判定してもよい。この場合、不安定挙動位置認識部11bは、例えばヨーレートが舵角変化閾値以上になったとき、対象車両2に急な舵角変化が生じたと判定する。なお、ヨーレートに代えてタイヤ切れ角を用いてもよい。
【0070】
不安定挙動位置認識部11bは、方向指示器が点灯していない場合に、対象車両2の横位置又は対象車両2の外部環境に基づいて、不安定挙動として対象車両2が車線逸脱になったか否かを判定してもよい。この場合、不安定挙動位置認識部11bは、例えば、対象車両2の横位置から車線逸脱を判定する。又は、不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2の外部環境から、対象車両2が車線の区画線を跨いだことを認識した場合に、車線逸脱を判定してもよい。
【0071】
不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2の走行状態と対象車両2の外部環境とに基づいて、不安定挙動として対象車両2が物体への過剰接近になったか否かを判定してもよい。この場合、不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2が低速の場合には物体との間隔が小さくても不安定な挙動ではないことから、対象車両2の車速が車速閾値以上で対象車両2と物体との衝突余裕時間[TTC:Time To Collision]がTTC閾値以下となった場合に、対象車両2が物体への過剰接近になったと判定する。衝突余裕時間に代えて、車間時間[THW:Time Headway]又は距離を用いてもよい。
【0072】
対象車両2が不安定挙動になったか否かの判定は、対象車両データを得る度に行われてもよく、一定時間又は一定期間ごとにまとめて行われてもよい。対象車両2が不安定挙動になったか否かの判定は、対象車両2の停車中に行われる態様であってもよい。
【0073】
続いて、不安定挙動位置の認識について説明する。不安定挙動位置とは、対象車両2が不安定挙動になったときの対象車両2の地図上の位置である。不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2が不安定挙動になったと判定した場合、不安定挙動位置を認識する。
【0074】
不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2が不安定挙動になったと判定したときの対象車両2の地図上の位置情報に基づいて、不安定挙動位置を認識する。不安定挙動位置は、車線ごとに区別して認識される。不安定挙動が車線逸脱である場合には、不安定挙動位置は車線逸脱前の走行車線上の位置としてもよく、区画線上の位置としてもよい。
【0075】
なお、不安定挙動位置は、地図上の点ではなく、区間又はエリアとして認識されてもよい。不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2がスリップしながら滑走したような場合には、スリップの開始位置を不安定挙動位置としてもよく、対象車両2がスリップと判定される状態で移動した区間全てを不安定挙動位置として認識してもよい。エリアは、スリップした対象車両2を中心とした一定距離内の範囲であってもよく、対象車両2が走行している地域や区域であってもよい。他の不安定挙動においても同様である。
【0076】
記憶処理部11cは、不安定挙動位置認識部11bの認識した不安定挙動位置に関する不安定挙動位置情報を記憶データベース15に記憶させる。記憶処理部11cは、不安定挙動位置情報と当該不安定挙動位置を走行した対象車両2の対象車両データとを関連付けて記憶データベース15に記憶させる。なお、記憶処理部11cは、必ずしも当該不安定挙動位置を走行した全ての対象車両2の対象車両データを記憶させる必要はない。
【0077】
支援コンテンツ生成部11dは、対象車両データに基づいて、支援コンテンツを生成する。支援コンテンツとは、車両支援サーバ10による車両支援に関するコンテンツである。支援コンテンツは、例えば地図上の位置と関連付けて生成される。支援コンテンツは、車両や運転者と関連づけて生成されてもよい。支援コンテンツには、単車推定型コンテンツと複車推定型コンテンツとが含まれる。
【0078】
単車推定型コンテンツとは、対象車両2がイベントを起こしたときに一台分の対象車両データだけでも生成されるコンテンツのことである。イベントには、上述した不安定挙動が含まれる。
【0079】
具体的に、単車推定型コンテンツには、スリップ、物体との急接近、車線逸脱、及び路面の凹凸の認識などのうち少なくとも一つが含まれる。物体には、他車両(二輪車や自転車を含む)、歩行者、ガードレールなどの構造物を含む。車線逸脱は、車線逸脱警報の実施の有無から認識されてもよい。路面の凹凸の認識は、実際に不安定挙動が起きていなくても一定以上の深さの凹凸が認識された場合に行われてもよい。路面の凹凸の認識は、不安定挙動には含まれない。路面の凹凸の認識に起因して急な車両姿勢の変更などが生じた場合には不安定挙動となる場合がある。
【0080】
支援コンテンツ生成部11dは、記憶データベース15に記憶された対象車両データに基づいて、例えば
図2に示すように対象車両2のスリップが生じた位置(この場合は不安定挙動位置D)と関連付けてスリップの単車推定型コンテンツを生成する。
【0081】
複車推定型コンテンツとは、イベントを起こした複数台分の対象車両データから生成されるコンテンツのことである。複車推定型コンテンツには、別時刻複車推定型コンテンツと同時刻複車推定型コンテンツとが含まれる。別時刻複車推定型コンテンツとは、時間差で同じ位置において複数台の対象車両2によるイベントが起きたときに複数台分の対象車両データに基づいて生成されるコンテンツのことである。別時刻複車推定型コンテンツは、同一の対象車両2が同じ位置で複数回イベントを起こしても生成される。具体的に、別時刻複車推定型コンテンツには、頻繁な速度低下(速度0km/hの停車状態を繰り返すなど)、速度超過、急な加減速、及び頻繁な車線変更などのうち少なくとも一つが含まれる。
【0082】
速度超過は、予め設定された基準速度(例えば法定速度)を超過した速度で走行している状態、又は、対象車両2のデータの中の異常値として検出された速度で走行している状態である。対象車両2のデータ(ビックデータ)からの異常値の検出方法は周知の手法を採用することができる。急な加減速は、一定以上の急な加速又は減速が生じた状態である。頻繁な車線変更は、同じ位置で複数回以上の車線変更が繰り返された場合、又は、一定以上の操舵角変化による急な車線変更が行われた場合に認識される。頻繁な車線変更には、追い越し車線への頻繁な車線変更も含まれる。
【0083】
ここで、
図5(a)は、別時刻複車推定型コンテンツを説明するための図である。
図5(a)に、不安定挙動位置Dで不安定挙動(例えば急な減速)になった対象車両2Aと、対象車両2Aの後方で同じ車線を走行する対象車両2Bを示す。
図5(b)は、
図5(a)の一定時間後の状況を示す図である。
【0084】
支援コンテンツ生成部11dは、例えば
図5(a)及び
図5(b)に示すように同じ不安定挙動位置Dにおいて時間差で複数回以上の不安定挙動が認識された場合、対象車両2A及び対象車両2Bの対象車両データに基づいて、不安定挙動(例えば急な減速)の別時刻複車推定型コンテンツを不安定挙動位置Dと関連付けて生成する。別時刻複車推定型コンテンツの生成に必要な対象車両データの台数(同じ位置でイベントが起きた回数)は予め定められている。
【0085】
同時刻複車推定型コンテンツとは、同時刻に同じ位置で複数台の対象車両2によるイベントが起きたときに、複数台分の対象車両データに基づいて生成されるコンテンツのことである。同時刻複車推定型コンテンツの生成には、異なる複数台の対象車両2が同時刻に同じ位置に存在する必要がある。
【0086】
具体的に、同時刻複車推定型コンテンツには、合流時の車両接近、渋滞末尾、車両の割り込み、T字路等の車両の飛び出しなどのうち少なくとも一つが含まれる。合流時の車両接近は、複数の道路が合流する合流地点において少なくとも二台の対象車両2が合流時に過剰に接近した状態である。合流時の車両接近は、単車推定型コンテンツにおける物体の急接近と比べて接近したと判定されやすくてもよい。
【0087】
渋滞末尾とは、イベントとして渋滞に遭遇したときに、渋滞の末尾となる位置に関連付けて生成されるコンテンツである。渋滞の判断には同時刻に渋滞している複数台の対象車両2の対象車両データが用いられる。渋滞の末尾となる位置は、実際に末尾に位置する対象車両2から取得されてもよい。車両の割り込みとは、対象車両2の前方に別の対象車両2が割り込んだ状況である。T字路等の車両の飛び出しも対象車両2の前方に別の対象車両2が飛び出した状況である。
【0088】
ここで、
図6は同時刻複車推定型コンテンツを説明するための図である。
図6に、第一の車線R1、第一の車線R1に合流する第二の車線R2、第一の車線R1上を走行する対象車両2C及び対象車両2D、第二の車線R2上を走行する対象車両2Eを示す。対象車両2Cは対象車両2Dの先行車である。対象車両2Dと対象車両2Eとは、第一の車線R1及び第二の車線R2の合流地点で合流時の車両接近のイベントを起こしており、不安定挙動位置Dは第一の車線R1及び第二の車線R2の合流地点に相当する。
【0089】
支援コンテンツ生成部11dは、例えば
図6に示す状況において、対象車両2C~2Eの対象車両データに基づいて、合流時の車両接近の同時刻複車推定型コンテンツを不安定挙動位置Dと関連付けて生成する。なお、対象車両2Cの対象車両データは必須ではない。同時刻複車推定型コンテンツの生成に必要な対象車両データの台数はそれぞれ予め決められている。
【0090】
普及度推定部11eは、予め地図上に設定された設定エリアの対象車両データ(対象車両2の地図上の位置情報を含む)に基づいて、設定エリアごとの対象車両普及度を推定する。対象車両普及度とは、設定エリアにおける対象車両2の普及の度合いである。対象車両普及度の推定に用いられる対象車両データには、車両支援サーバ10に対して情報を送信可能であるが情報を受信不能な対象車両2からのデータが含まれていてもよい。
【0091】
設定エリアは、支援コンテンツの提供を行うエリアである。設定エリアは地図に対して複数設定されている。設定エリアは重複する必要は無い。設定エリアごとに支援コンテンツの提供の有無が判断される。設定エリアの決め方は、特に限定されない。設定エリアは、地域に合わせて設定されてもよく、都道府県、市町村などの自治体の領域に合わせて設定されてもよい。設定エリアは、道路の一定区間として設定されてもよく、交差点を含むエリアとして設定されてもよい。設定エリアは、任意の広さに設定することができる。
【0092】
普及度推定部11eは、例えば、設定エリアにおける対象車両2の通過時間差の平均が通過時間差閾値以上である場合、対象車両2の通過時間差の平均が通過時間差閾値未満である場合と比べて、当該設定エリアにおける対象車両普及度を低い値として推定する。なお、通過時間差の平均ではなく中央値その他の値を用いてもよい。
【0093】
普及度推定部11eは、官公庁のサーバや自動車メーカー等の外部から交通情報として設定エリア内の車両交通量を取得し、設定エリアの車両交通量に対する対象車両2の台数の割合として当該地域における対象車両普及度を推定してもよい。設定エリアにおける対象車両2の台数は、対象車両データの対象車両2の地図上の位置情報から算出できる。対象車両2の台数としては、一定期間(例えば一日)における設定エリアの対象車両2の通過台数を用いてもよい。一定期間は任意の期間とすることができる。普及度推定部11eは、自動車メーカーによる対象車両2の販売台数を用いて対象車両普及度を推定してもよい。
【0094】
普及度判定部11fは、普及度推定部11eの推定した各設定エリアにおける対象車両普及度と複数種類の支援コンテンツごとに予め設定された必要普及度とに基づいて、支援コンテンツごとに当該設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上であるか否かを判定する。言い換えると、普及度判定部11fは、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上となった支援コンテンツが存在するか否かを判定する。
【0095】
必要普及度は、支援コンテンツごとにそれぞれ設定されている。複車推定型コンテンツの必要普及度は、単車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値であってもよい。同時刻複車推定型コンテンツの必要普及度は、別時刻複車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値であってもよい。
【0096】
単車推定型コンテンツにおいて車線逸脱の必要普及度は、スリップの必要普及度と比べて大きい値であってもよい。別時刻複車推定型コンテンツにおいて速度超過の必要普及度は、急な加減速の必要普及度と比べて大きい値であってもよい。同時刻複車推定型コンテンツである渋滞末尾の必要普及度は、合流時の車両接近の必要普及度と比べて大きい値であってもよい。必要普及度は、管理リストに予め登録されていてもよい。
【0097】
登録部11gは、普及度判定部11fにより対象車両普及度が必要普及度以上であると判定された支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとして記憶データベース15に登録する。登録部11gは、普及度判定部11fによる判定時刻と関連付けて提供対象の支援コンテンツを設定エリアごとに登録してもよい。
【0098】
車両支援部11hは、支援すべき対象車両2が存在すると判定した場合に、設定エリアで提供対象として登録された支援コンテンツに応じた車両支援を行う。車両支援部11hは、例えば対象車両データに基づいて、提供対象の支援コンテンツに対応する地図上の位置(例えば不安定挙動位置)に一定時間以内に到達する対象車両2を支援すべき対象車両2として認識する。車両支援部11hは、支援すべき対象車両2に対して提供対象の支援コンテンツに応じた車両支援を実行する。車両支援部11hは、支援コンテンツに関する情報の通知やルート(道路)又は道路内の走行経路変更の提案など車両支援を実行する。
【0099】
[プログラム]
プログラムは、車両支援サーバ10のプロセッサ11を上述した対象車両データ認識部11a、不安定挙動位置認識部11b、記憶処理部11c、支援コンテンツ生成部11d、普及度推定部11e、普及度判定部11f、登録部11g、及び車両支援部11hとして機能(動作)させる。プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリなどの非一時的な記録媒体によって提供される。また、プログラムは、ネットワークなどの通信を介して提供されてもよい。
【0100】
[車両支援サーバの処理方法]
次に、車両支援サーバ10の処理方法について図面を参照して説明する。
図7は、不安定挙動位置の記憶処理の一例を示すフローチャートである。なお、不安定挙動情報の記憶処理は対象車両2から対象車両データが送信される度に実行されてもよく、定期的に複数の対象車両データに基づいて一括処理が行われてもよい。
【0101】
図7に示すように、車両支援サーバ10は、S10として、対象車両データ認識部11aにより対象車両データの認識を行う(対象車両データ認識ステップ)。対象車両データ認識部11aは、対象車両2から送信された対象車両データを認識する。対象車両データには、対象車両2の地図上の位置情報及び対象車両2の走行状態が含まれる。その後、車両支援サーバ10はS12に移行する。
【0102】
S12において、車両支援サーバ10は、不安定挙動位置認識部11bにより対象車両2が不安定挙動になったか否かを判定する(不安定挙動判定ステップ)。不安定挙動位置認識部11bは、対象車両データに基づいて対象車両2が不安定挙動になったか否かを判定する。不安定挙動位置認識部11bは、例えば対象車両2の各車輪の車輪速から対象車両2Aが不安定挙動としてのスリップになったか否かを判定することで、不安定挙動の有無を判定する。車両支援サーバ10は、対象車両2が不安定挙動になったと判定されなかった場合(S12:NO)、今回の不安定挙動位置情報の記憶処理を終了する。車両支援サーバ10は、対象車両2が不安定挙動になったと判定された場合(S12:YES)、S14に移行する。
【0103】
S14において、車両支援サーバ10は、不安定挙動位置認識部11bにより不安定挙動位置を認識する(不安定挙動位置認識ステップ)。不安定挙動位置認識部11bは、対象車両2が不安定挙動になったと判定されたときの対象車両2の地図上の位置情報に基づいて不安定挙動位置を認識する。その後、車両支援サーバ10はS16に移行する。
【0104】
S16において、車両支援サーバ10は、記憶処理部11cにより不安定挙動位置の記憶処理を行う(記憶処理ステップ)。その後、車両支援サーバ10は、今回の不安定挙動位置情報の記憶処理を終了する。
【0105】
図8は、支援コンテンツ生成処理の一例を示すフローチャートである。支援コンテンツ生成処理は、例えば定期的に実行される。
【0106】
図8に示すように、車両支援サーバ10は、S20として、支援コンテンツ生成部11dにより単車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する(単車推定型コンテンツ生成判定ステップ)。支援コンテンツ生成部11dは、対象車両データに基づいて、スリップなどの単車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する。車両支援サーバ10は、単車推定型コンテンツを生成可能であると判定された場合(S20:YES)、S22に移行する。車両支援サーバ10は、単車推定型コンテンツを生成可能であると判定されなかった場合(S20:NO)、S24に移行する。
【0107】
S22において、車両支援サーバ10は、支援コンテンツ生成部11dにより単車推定型コンテンツを生成する(単車推定型コンテンツ生成ステップ)。その後、車両支援サーバ10は、S24に移行する。
【0108】
S24において、車両支援サーバ10は、支援コンテンツ生成部11dにより同時刻複車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する(同時刻複車推定型コンテンツ生成判定ステップ)。支援コンテンツ生成部11dは、対象車両データに基づいて、合流時の車両接近などの同時刻複車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する。車両支援サーバ10は、同時刻複車推定型コンテンツを生成可能であると判定された場合(S24:YES)、S26に移行する。車両支援サーバ10は、同時刻複車推定型コンテンツを生成可能であると判定されなかった場合(S24:NO)、S28に移行する。
【0109】
S26において、車両支援サーバ10は、支援コンテンツ生成部11dにより同時刻複車推定型コンテンツを生成する(同時刻複車推定型コンテンツ生成ステップ)。その後、車両支援サーバ10は、S28に移行する。
【0110】
S28において、車両支援サーバ10は、支援コンテンツ生成部11dにより別時刻複車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する(別時刻複車推定型コンテンツ生成判定ステップ)。支援コンテンツ生成部11dは、対象車両データに基づいて、合流時の車両接近などの別時刻複車推定型コンテンツを生成可能か否か判定する。車両支援サーバ10は、別時刻複車推定型コンテンツを生成可能であると判定された場合(S28:YES)、S26に移行する。車両支援サーバ10は、別時刻複車推定型コンテンツを生成可能であると判定されなかった場合(S28:NO)、今回の処理を終了する。
【0111】
S30において、車両支援サーバ10は、支援コンテンツ生成部11dにより別時刻複車推定型コンテンツを生成する(別時刻複車推定型コンテンツ生成ステップ)。その後、車両支援サーバ10は、今回の処理を終了する。
【0112】
図9は、支援コンテンツ登録処理の一例を示すフローチャートである。支援コンテンツ登録処理は、例えば定期的に実行され、設定エリアごとに行われる。
【0113】
図9に示すように、車両支援サーバ10は、S40として、普及度推定部11eにより対象車両普及度を推定する(普及度推定ステップ)。普及度推定部11eは、予め地図上に設定された設定エリアの対象車両データ(対象車両2の地図上の位置情報を含む)に基づいて、設定エリアごとの対象車両普及度を推定する。
【0114】
S42において、車両支援サーバ10は、普及度判定部11fにより設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上となった支援コンテンツが存在するか否かを判定する(普及度判定ステップ)。車両支援サーバ10は、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上となった支援コンテンツが存在すると判定された場合(S42:YES)、S44に移行する。車両支援サーバ10は、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上となった支援コンテンツが存在すると判定されなかった場合(S42:NO)、今回の処理を終了する。
【0115】
S42において、車両支援サーバ10は、登録部11gにより設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツを記憶データベース15に登録する(登録ステップ)。登録部11gは、普及度判定部11fにより対象車両普及度が必要普及度以上であると判定された支援コンテンツを提供対象の支援コンテンツとして登録する。その後、車両支援サーバ10は、今回の処理を終了する。
【0116】
以上説明した本実施形態に係る車両支援サーバ10(及びプログラム、車両支援サーバ10の処理方法)によれば、設定エリアの対象車両普及度が必要普及度以上である支援コンテンツを当該設定エリアにおける提供対象の支援コンテンツとしてデータベースに登録するので、対象車両普及度が十分ではない設定エリアにまで対象車両データに基づく支援コンテンツによる車両支援を行うことを避けることができ、対象車両2に対して不要な支援コンテンツを提供することによる処理負荷の増加を抑制することができる。
【0117】
また、車両支援サーバ10によれば、一台分の対象車両データから生成される単車推定型コンテンツは複数台分の対象車両データから生成される複車推定型コンテンツと比べて、車両支援の必要性が高い場合が多いことから、複車推定型コンテンツの必要普及度を単車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値とすることで、単車推定型コンテンツを優先的に対象車両に提供することができる。更に、車両支援サーバ10によれば、異なる時刻に同じ位置を通過した複数台の対象車両の対象車両データから生成される別時刻複車推定型コンテンツは同時刻に同じ位置に存在した複数台の対象車両の対象車両データから生成される同時刻複車推定型コンテンツと比べて、車両支援の必要性が高い場合が多いことから、同時刻複車推定型コンテンツの必要普及度を別時刻複車推定型コンテンツの必要普及度と比べて大きい値とすることで、別時刻複車推定型コンテンツを優先的に対象車両に提供することができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0119】
支援コンテンツには、単車推定型コンテンツと同時刻複車推定型コンテンツと別時刻複車推定型コンテンツのうち少なくとも一つが含まれていればよい。単車推定型コンテンツと同時刻複車推定型コンテンツと別時刻複車推定型コンテンツと言う区別が行われていなくてもよい。
【0120】
支援コンテンツは必ずしも地図上の位置と関連づけて生成される必要はなく、車両そのものや運転者と関連付けて支援コンテンツを生成してもよい。単車推定型コンテンツと複車推定型コンテンツの必要普及度は同じであってもよく、複車推定型コンテンツの必要普及度の方が小さい値であってもよい。同時刻複車推定型コンテンツと別時刻複車推定型コンテンツの必要普及度は同じであってもよく、同時刻複車推定型コンテンツの必要普及度の方が小さい値であってもよい。
【0121】
車両支援サーバ10において不安定挙動位置の認識は必須ではない。また、車両支援は異なるサーバ又は対象車両2のECUで実行されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…車両支援システム、2…対象車両、10…車両支援サーバ、11…プロセッサ、11a…対象車両データ認識部、11b…不安定挙動位置認識部、11c…記憶処理部、11d…支援コンテンツ生成部、11e…普及度推定部、11f…普及度判定部、11g…登録部、11h…車両支援部。