IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-発電装置 図1
  • 特許-発電装置 図2
  • 特許-発電装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20241029BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20241029BHJP
【FI】
H02P9/04
H02P101:15
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021161161
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050837
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田川 洋輔
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-043824(JP,A)
【文献】特開2008-128003(JP,A)
【文献】特開2006-020471(JP,A)
【文献】特開2021-035180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0081937(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0328403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P9/00-9/48
H02P101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の原動機に接続されており、交流電流を出力する複数の発電機と、
前記複数の発電機の各々に対応している複数の第1変換器であって、交流電流を直流電流に変換する前記複数の第1変換器と、
前記複数の第1変換器の各々に対応している複数の第2変換器であって、直流電流を交流電流に変換する前記複数の第2変換器と、
前記複数の第1変換器の各々に対応している複数のDCDCコンバータと、
蓄電池と、
を備え、
前記複数の第1変換器の各々は、前記複数の発電機の対応する一つから出力される交流電流が入力されており、
前記複数の第1変換器の各々の出力端子には、前記複数の第2変換器の対応する一つと前記複数のDCDCコンバータの対応する一つとが、接続経路を介して並列に接続されており、
前記複数の第2変換器の各々は、前記接続経路から入力される直流電流を変換して外部へ交流電力を出力可能に構成されており、
前記複数のDCDCコンバータは、前記蓄電池に共通に接続されている、
発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つの原動機(例:風力発電の風車翼)に複数の発電機が接続されている発電装置が開示されている。この発電装置では、複数の発電機の規格を統一することや、複数の発電機の各々が備える電気回路の導体の長さを統一することが行われている。これにより、複数の電気回路の間における特性ばらつきが抑制できるため、複数の発電機間での相互影響(例:電力の授受)を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-53995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、複数の発電機の規格を統一する必要があるため、容量や調達性を考慮して、異なる規格の発電機を組み合わせて使用することができない。また電気回路にも制約がかかることで、発電装置の全体としての部品配置や部品ケースに制約がかかる。発電装置の設計の難易度が高くなる事態や、製造コストが上昇する事態が発生しうる。本明細書は、このような問題を解決できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する発電装置は、共通の原動機に接続される複数の発電機を備える。発電装置は、複数のDCDCコンバータを備える。複数のDCDCコンバータの各々は、複数の発電機の対応する一つに接続されている。
【0006】
複数の発電機の各々が対応するDCDCコンバータを備えているため、複数の発電機の各々が独立して発電電力を調整することができる。そのため、複数の発電機間での電力の授受などの相互影響を抑制することが可能となる。よって、異なる規格の発電機や異なる導体長を有する電気回路を組み合わせて使用することが可能となる。
【0007】
複数の発電機の各々は、交流電流を出力する交流発電機であってもよい。発電装置は、交流電流を直流電流に変換する第1変換器をさらに複数備えていてもよい。複数のDCDCコンバータの各々は、複数の第1変換器の対応する一つを介して発電機に接続されていてもよい。これにより、交流発電機をDCDCコンバータに適切に接続することができる。
【0008】
発電装置は、複数のDCDCコンバータの動作を制御可能な制御部をさらに備えていてもよい。制御部は、複数のDCDCコンバータの制御を介して、複数の発電機の各々の電圧を調整可能に構成されていてもよい。これにより、複数の発電機の各々を独立制御できるため、発電機間における相互影響を抑制することが可能となる。
【0009】
制御部は、複数の発電機の各々の回転数が目標回転数となるようなトルクを複数の発電機の各々が出力するために、複数のDCDCコンバータと複数の発電機との接続経路上の電圧である経路電圧、および、複数の発電機の各々の電力を制御してもよい。目標回転数は、例えば、発電電力が最大となる回転数であってもよい。経路電圧および発電機の電力によって発電機のトルクを調整することができるため、発電機の各々の回転数が目標回転数となるように制御することが可能となる。
【0010】
発電装置は、直流電流を交流電流に変換する第2変換器をさらに複数備えていてもよい。複数の第2変換器の各々は、複数の発電機の対応する一つと複数のDCDCコンバータの対応する一つとの接続経路に接続されているとともに、接続経路から外部へ交流電力を出力可能に構成されていてもよい。外部は、例えば、電力系統であってもよい。複数の発電機の各々の発電電力を、DCDCコンバータを介さずに、第2変換器によって外部へ出力することができる。第2変換器による外部への電力出力時に、DCDCコンバータでの損失が発生しないため、発電効率を高めることが可能となる。
【0011】
発電装置は蓄電池をさらに備えていてもよい。複数の発電機の各々は、複数のDCDCコンバータの対応する一つを介して蓄電池に共通に接続されていてもよい。これにより、発電時の余剰電力を蓄電池に充電したり、発電量不足時に電力を蓄電池から供給するなど、電力バッファ機能を実現することが可能となる。
【0012】
発電装置は、直流電流を交流電流に変換するとともに外部へ交流電力を出力することが可能に構成されている第3変換器をさらに備えていてもよい。複数の発電機の各々は、複数のDCDCコンバータの対応する一つを介して第3変換器に共通に接続されていてもよい。これにより、複数の発電機に対して1つの第3変換器を備えるだけで、複数の発電機の各々での発電電力を外部へ出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1に係る発電装置1の概略構成図である。
図2】発電装置1の動作を説明するフローチャートである。
図3】実施例2に係る発電装置1aの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
(発電装置1の構成)
図1に、実施例1に係る発電装置1の概略構成図を示す。発電装置1は、風力発電装置である。発電装置1は、風力タービン2、動力分配部3、発電ユニット10~30、蓄電池40、統合ECU51、モータインバータECU52、電池ECU53、を備える。
【0015】
風力タービン2は原動機の一例である。風力タービン2の回転軸RA0は、動力分配部3を介して、回転軸RA1~RA3の各々に機械的に接続されている。動力分配部3は、回転軸RA0の動力を回転軸RA1~RA3に分配するための、周知の機構である。動力分配部3は、機械式増速ギアを備えていてもよい。
【0016】
発電ユニット10は、発電機11、第1変換器12、DCDCコンバータ13、第2変換器14、を備えている。発電機11の回転軸RA1は、動力分配部3を介して風力タービン2に接続されている。発電機11は、交流電流を出力する交流発電機である。第1変換器12は、発電機11から出力される交流電流を直流電流に変換する部位である。第1変換器12からは電流I1が出力される。第1変換器12の出力端子は、接続経路15を介してDCDCコンバータ13に接続されている。換言すると、DCDCコンバータ13は、第1変換器12を介して発電機11に接続されている。
【0017】
第2変換器14は、第1変換器12とDCDCコンバータ13との接続経路15に接続されている。第2変換器14は、接続経路15の直流電流を交流電流に変換する部位である。第2変換器14は、接続経路15から外部である電力系統OSへ、送電量PT1の交流電力を出力可能に構成されている。第2変換器14は、DCDCコンバータ13を介さずに電力系統OSへ電力を出力することができる。よって、電力系統OSへの電力出力時にDCDCコンバータ13での損失が発生しないため、発電効率を高めることが可能となる。
【0018】
蓄電池40はDCDCコンバータ13に接続されている。蓄電池40は、DCDCコンバータ13によって、充放電量CD1で充電または放電が可能とされている。
【0019】
同様にして、発電ユニット20は、発電機21、第1変換器22、DCDCコンバータ23、第2変換器24、を備えている。また同様にして、発電ユニット30は、発電機31、第1変換器32、DCDCコンバータ33、第2変換器34、を備えている。発電ユニット20および30の構成は、発電ユニット10と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
以上により、本実施例の発電装置1では、共通の風力タービン2に複数の発電機11、21、31が接続されている。また、複数のDCDCコンバータ13、23、33の各々が、複数の発電機11、21、31の対応する一つに接続されている。また、発電機11、21、31の各々は、複数のDCDCコンバータ13、23、33の対応する一つを介して蓄電池40に共通に接続されている。
【0021】
モータインバータECU52は、第1変換器12、22、32、DCDCコンバータ13、23、33、第2変換器14、24、34、の動作を制御可能な電子制御回路である。発電機11、21、31からモータインバータECU52には、回転数RS1、RS2、RS3が入力される。第1変換器12、22、32からモータインバータECU52には、第1変換器に流れる電流を示す電流信号CS12、CS22、CS32が入力される。モータインバータECU52から第1変換器12、22、32へは、第1変換器を制御するための制御スイッチング信号SS12、SS22、SS32が出力される。DCDCコンバータ13、23、33からモータインバータECU52には、DCDCコンバータに流れる電流を示す電流信号CS13、CS23、CS33、および、DCDCコンバータ内の電圧を示す電圧信号VS13、VS23、VS33が入力される。モータインバータECU52からDCDCコンバータ13、23、33へは、DCDCコンバータを制御するための制御スイッチング信号SS13、SS23、SS33が出力される。第2変換器14、24、34からモータインバータECU52には、第2変換器に流れる電流を示す電流信号CS14、CS24、CS34が入力される。モータインバータECU52から第2変換器14、24、34へは、第2変換器を制御するための制御スイッチング信号SS14、SS24、SS34が出力される。
【0022】
また統合ECU51からモータインバータECU52には、トルク指令TC1、TC2、TC3、および、電力変換指令PC1、PC2、PC3が入力される。トルク指令TC1、TC2、TC3は、統合ECU51からモータインバータECU52に対して、第1変換器12、22、32およびDCDCコンバータ13、23、33の制御を指令するための情報である。後述するように、トルク指令TC1、TC2、TC3は、モータインバータECU52において制御スイッチング信号SS12、SS22、SS32、および、SS13、SS23、SS33を生成するために用いられる。また電力変換指令PC1、PC2、PC3は、統合ECU51からモータインバータECU52に対して、第2変換器14、24、34の制御を指令するための情報である。後述するように、電力変換指令PC1、PC2、PC3は、モータインバータECU52において制御スイッチング信号SS14、SS24、SS34を生成するために用いられる。
【0023】
またモータインバータECU52から統合ECU51へは、トルク制限TL、電力変換制限PL、コンバータ制限CLが出力される。トルク制限TLは、発電機のトルクに関する制限である。例えば、発電機11、21、31における最大トルクであってもよい。電力変換制限PLは、第1変換器12、22、32および第2変換器14、24、34における、各種の制限である。例えば、最大電流値であってもよい。コンバータ制限CLは、DCDCコンバータ13、23、33における、各種の制限である。例えば、最大電流値であってもよい。
【0024】
電池ECU53は、蓄電池40を制御する電子制御回路である。電池ECU53は、蓄電池40から蓄電池情報を受信する。蓄電池情報は、例えば、充電率SOC、電圧V40、電流C40、充放電量制限値L40、を含んでいる。充電率SOCは、蓄電池40の充電状態を示す情報である。電圧V40は、蓄電池40の電圧を示す情報である。電流C40は、蓄電池40の電流を示す情報である。充放電量制限値L40は、蓄電池40の充放電量を制限する値であり、急激な充放電を抑制するための値である。
【0025】
統合ECU51は、発電装置1の全体を制御する回路であり、モータインバータECU52および電池ECU53の上位のECUである。発電機11、21、31から統合ECU51には、回転数RS1、RS2、RS3が入力される。モータインバータECU52から統合ECU51には、トルク制限TL、電力変換制限PL、コンバータ制限CL、が入力される。電池ECU53から統合ECU51には、蓄電池情報が入力される。統合ECU51からモータインバータECU52へは、トルク指令TC1、TC2、TC3および電力変換指令PC1、PC2、PC3が送信される。
【0026】
(動作)
本明細書の発電装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2のフローチャートは、発電装置1の動作中において常に実行されていてもよい。ステップS10において、統合ECU51は、発電機11、21、31の各々の目標トルクTT1、TT2、TT3を合算した、合算目標トルクTTtを算出する。具体的に説明する。変換効率が最大となるような運転条件の下では、ある風速に対して風力タービン2の出力が最大となる最適回転数OS0が決まる。風力タービン2の最適回転数OS0が決まると、動力分配部3の不図示の増速ギアの比率によって、発電機11、21、31の各々の最適回転数OS1、OS2、OS3が決まる。そしてこの最適回転数OS1、OS2、OS3を実現するための目標トルクTT1、TT2、TT3が算出される。目標トルクTT1、TT2、TT3の算出には、回転数RS1~RS3がさらに用いられてもよい。
【0027】
発電機11、21、31の各々のトルクは、発電機11、21、31の電圧と、第1変換器12、22、32の電流I1、I2、I3と、を調整することで制御することができる。発電機11、21、31の電圧を調整する方法は様々であってよい。本実施例では、接続経路15、25、35の経路電圧を調整することで、発電機11、21、31の電圧を調整する場合を説明する。すなわち本実施例では、目標トルクTT1、TT2、TT3を実現するために、接続経路15、25、35の目標電圧範囲TV1、TV2、TV3、および、電流I1、I2、I3の目標電流範囲TI1、TI2、TI3が定められる。そして接続経路15、25、35の経路電圧の各々が目標電圧範囲TV1、TV2、TV3の範囲内となるように、DCDCコンバータ13、23、33によって、接続経路15、25、35の経路電圧の各々が調整される。また電流I1、I2、I3の各々が目標電流範囲TI1、TI2、TI3の範囲内となるように、第1変換器12、22、32によって調整される。
【0028】
ステップS20において、発電機11、21、31の発電量PG1、PG2、PG3が決定される。発電量PG1、PG2、PG3は、第1変換器12、22、32によって制御される電流I1、I2、I3、および、DCDCコンバータ13、23、33によって制御される発電機11、21、31の電圧で定まる値である。従って、発電量PG1、PG2、PG3は、電流I1、I2、I3によって制御することが可能である。
【0029】
ステップS30において統合ECU51は、第2変換器14、24、34による電力系統OSへの送電量PT1、PT2、PT3、および、蓄電池40への充放電量CD1、CD2、CD3を決定する。具体的には、決定された発電量PG1、PG2、PG3を、送電量PT1、PT2、PT3と充放電量CD1、CD2、CD3との間で分割する。よって、送電量PT1、PT2、PT3と充放電量CD1、CD2、CD3との一方が決定されれば、他方が自動的に決定される。発電量PG1、PG2、PG3の分割割合は、蓄電池40の状態および電力需要の両方に基づき、決定することができる。蓄電池40の状態は、電池ECU53から受信した蓄電池情報(充電率SOC、電圧V40、電流C40、充放電量制限値L40)によって認識することができる。
【0030】
例えば、余剰電力が存在する場合や、蓄電池40の充電率SOCが低い場合には、充放電量CD1、CD2、CD3の割合を大きく決定する。一方、電力が不足する場合や、蓄電池40のSOCが高い場合には、送電量PT1、PT2、PT3の割合を大きく決定する。これにより、発電時の余剰電力を蓄電池40に充電したり、発電量不足時に電力を蓄電池40から供給するなど、電力バッファ機能を実現することが可能となる。
【0031】
ステップS40において、統合ECU51は、制御電圧CV1、CV2、CV3を算出する。制御電圧CV1、CV2、CV3は、DCDCコンバータ13、23、33によって制御される接続経路15、25、35の経路電圧であって、目標電圧範囲TV1、TV2、TV3の範囲内の電圧である。接続経路15、25、35の経路電圧を制御電圧CV1、CV2、CV3に維持することによって、蓄電池40の充放電電流を間接的に制御することができる。よって、充放電量CD1、CD2、CD3の制御が可能となる。
【0032】
ステップS50において、統合ECU51は、トルク指令TC1、TC2、TC3、および、電力変換指令PC1、PC2、PC3を設定し、モータインバータECU52へ送信する。トルク指令TC1、TC2、TC3は、接続経路15、25、35の経路電圧を制御電圧CV1、CV2、CV3に制御すること、接続経路15、25、35の経路電圧をトルク制限TLおよびコンバータ制限CLを超えない電圧にすること、および、第1変換器12、22、32の電流I1、I2、I3を制御することを、モータインバータECU52に指令する情報である。また電力変換指令PC1、PC2、PC3は、ステップS30で決定された送電量PT1、PT2、PT3を実現すること、および、送電量が電力変換制限PLを超えないことを、モータインバータECU52に指令する情報である。
【0033】
ステップS60において、モータインバータECU52は、受信したトルク指令TC1、TC2、TC3に基づき、制御スイッチング信号SS12、SS22、SS32を生成して第1変換器12、22、32へ送信するとともに、制御スイッチング信号SS13、SS23、SS33を生成してDCDCコンバータ13、23、33へ送信する。これにより、電流I1、I2、I3の各々が、目標電流範囲TI1、TI2、TI3の範囲内となるように制御される。また、接続経路15、25、35の経路電圧の各々が、目標電圧範囲TV1、TV2、TV3の範囲内となるように制御される。よって、発電機11、21、31の各々の回転数が最適回転数OS1、OS2、OS3となるように制御することが可能となる。
【0034】
またモータインバータECU52は、受信した電力変換指令PC1、PC2、PC3に基づき、制御スイッチング信号SS14、SS24、SS34を生成して第2変換器14、24、34へ送信する。これにより、ステップS30で決定された送電量PT1、PT2、PT3を、電力系統OSに出力することが可能となる。
【0035】
ステップS60が終了するとステップS10へ戻る。よって、ステップS10~S60のループ処理が、所定周期で繰り返される。これにより、各種のパラメータ(例:風速、電力需要、蓄電池40の状態)の変動に追従するように、制御電圧CV1、CV2、CV3および電流I1、I2、I3をフィードバック制御することが可能となる。
【0036】
(効果)
比較例として、DCDCコンバータ13、23、33を備えずに、複数の第1変換器12、22、32が蓄電池40に接続されている場合を考える。この場合、発電機11、21、31の間で、電力の授受などの相互影響が発生してしまう。この相互影響を抑制するために、発電機11、21、31の発電量PG1、PG2、PG3を同一にする必要があるため、発電機11、21、31の規格を統一する必要が生じる。また電気回路の特性を合わせる必要があるため、発電機11、21、31から蓄電池40までの導体の長さを揃える必要が生じる。すると、発電装置1の全体としての部品配置や部品ケースに制約がかかってしまう。
【0037】
そこで本実施例の発電装置1は、発電機11、21、31の各々が、対応するDCDCコンバータ13、23、33を備えている。DCDCコンバータ13、23、33によって、電力授受などの相互影響を抑制することができるため、発電機11、21、31の規格を異ならせることや、電気回路の特性を異ならせることが可能となる。そして、発電機11、21、31の各々の動作点(例:電圧、電流、トルク)を任意に独立して選択することが可能となる。発電装置1の設計を容易化することや、製造コストを低減することが可能となる。
【実施例2】
【0038】
図3に、実施例2に係る発電装置1aの概略構成図を示す。発電装置1aは、第3変換器60を備えている。第3変換器60は、DCDCコンバータ13、23、33に接続されている。換言すると、複数の発電機11、21、31の各々は、複数のDCDCコンバータ13、23、33の対応する一つを介して第3変換器60に共通に接続されている。第3変換器60は、直流電流を交流電流に変換するとともに、外部である電力系統OSへ交流電力を出力することが可能に構成されている。また、実施例2の発電ユニット10a、20a、30aは、実施例1の発電ユニット10、20、30(図1参照)に比して、第2変換器14、24、34を備えていない。なお、実施例2の発電装置1aのその他の構成は、実施例1の発電装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
(効果)
実施例1の発電装置1では、複数の発電機11、21、31の各々に対応して、3つの第2変換器14、24、34を備えていた。一方、実施例2の発電装置1aでは、複数の発電機11、21、31に対して1つの第3変換器60を備えるだけで、複数の発電機11、21、31の各々での発電電力を電力系統OSへ出力することが可能となる。変換器の数を削減できるため、発電装置1aの回路構成を簡略化することが可能となる。
【実施例3】
【0040】
実施例3では、実施例1の発電装置1(図1)の各構成要素の様々な組み合わせ例について説明する。なお、実施例1の発電装置1と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
第1例の発電装置は、実施例1の発電装置1に比して、第1変換器12、22、32、第2変換器14、24、34、蓄電池40、統合ECU51、モータインバータECU52、電池ECU53、を備えていない。すなわち第1例の発電装置は、発電機11、21、31の各々が、DCDCコンバータ13、23、33に接続されている構成を有する。第1例の発電装置は、必要最低限の構成である。第1例では、発電機11、21、31は、直流発電機であってもよい。またDCDCコンバータ13、23、33には、不図示の電源が接続されていてもよい。また第1例では、ECUに代えて、外部にサーバなどの制御部を備えており、制御部との通信によって発電装置が制御されていてもよい。この構成では、第1変換器12、22、32を備えないため、電流I1、I2、I3の制御ができない。従って発電量PG1、PG2、PG3は、発電機11、21、31の電圧で制御することになる。すなわち発電機11、21、31の各々のトルクは、制御電圧CV1、CV2、CV3によって制御することができる。
【0042】
第2例の発電装置では、第1例の発電装置に対して、第1変換器12、22、32をさらに備えている。第2例では、発電機11、21、31は、交流発電機であってもよい。
【0043】
第3例の発電装置では、第2例の発電装置に対して、蓄電池40をさらに備えている。
【0044】
第4例の発電装置は、実施例1の発電装置1において、蓄電池40を備えていない構成を有する。第5例の発電装置は、実施例2の発電装置1aに比して、蓄電池40を備えていない構成を有する。第4例および第5例では、DCDCコンバータ13、23、33には、不図示の電源が接続されていてもよい。
【0045】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で、技術的な有用性を持つものである。
【0046】
(変形例)
図2の動作フローは一例であり、様々なパターンのフローを形成することが可能である。例えば、ステップS40の制御電圧CV1、CV2、CV3の算出は、合算目標トルクTTtの算出(ステップS10)の後に行ってもよい。
【0047】
発電ユニット10、20、30を一体型のユニットとしてもよい。故障が発生した場合に、ユニットごと交換することができるため、発電装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0048】
発電ユニット10、20、30には、様々な分野で用いられるユニットを適用することが可能である。例えば、ハイブリット車で用いられる電動ユニットを流用することができる。ハイブリット車の電動ユニットは量産効果により比較的安価に調達することができるため、発電装置1の製造コストを削減することが可能となる。
【0049】
発電機11、21、31の電圧を調整するための方法は、接続経路15、25、35の経路電圧を監視して調整する方法に限られず、様々であってよい。例えば発電機11、21、31内の電圧や電流を直接監視し、発電機11、21、31の出力電流を調整してもよい。
【0050】
本実施例では、風力タービン2に3つの発電機11、21、31が接続される場合を説明したが、この形態に限られない。2つまたは4つ以上の発電機が接続される場合においても、本明細書の技術を適用可能である。
【0051】
本実施例では、原動機が風力タービン2である場合を説明したが、この形態に限られない。水力タービン、地熱タービンなど、原動機の種類は様々であって良い。
【符号の説明】
【0052】
1:発電装置 2:風力タービン 3:動力分配部 10、20、30:発電ユニット 11、21、31:発電機 12、22、32:第1変換器 13、23、33:DCDCコンバータ 14、24、34:第2変換器 15、25、35:接続経路 40:蓄電池 51:統合ECU 52:モータインバータECU 53:電池ECU CV1、CV2、CV3:制御電圧
図1
図2
図3