(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電磁弁制御装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20241029BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20241029BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F16K31/06 310Z
G05B19/042
G05B19/05 S
(21)【出願番号】P 2021179923
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】岡田 唯
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0181522(US,A1)
【文献】特開2008-269013(JP,A)
【文献】特開2014-037873(JP,A)
【文献】特開2006-221544(JP,A)
【文献】特開平06-123374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06 - 31/11
G05B 19/04 - 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電磁弁モジュールが通信モジュールに直列に連接された電磁弁制御装置であって、
送信ラインと受信ラインと切替ラインとを備え、前記送信ライン、前記受信ラインおよび前記切替ラインは、前記通信モジュールおよび複数の前記電磁弁モジュールを横断し、前記電磁弁モジュールは、第1通信回路および第2通信回路を備え、前記第2通信回路の入力端子は、前記送信ラインに接続され、前記第2通信回路の出力端子は、前記受信ラインに接続され、
前記通信モジュールから前記送信ラインに送信された電磁弁制御信号は、前記電磁弁モジュールの前記第1通信回路で受信され、診断情報に関する信号が前記電磁弁制御信号とともに前記第1通信回路から前記送信ラインに送信され、
終端の前記電磁弁モジュールを除く前記電磁弁モジュールの前記第2通信回路には、次段の前記電磁弁モジュールに位置する前記切替ラインから信号が入力され、前記切替ラインから信号が入力されない終端の前記電磁弁モジュールの前記第2通信回路は、前記電磁弁制御信号および複数の前記電磁弁モジュールの前記診断情報に関する信号を前記受信ラインを介して前記通信モジュールに伝達
し、
前記電磁弁モジュールは、電磁弁制御回路を備えるとともに、前記切替ラインから分岐して前記電磁弁制御回路に至る電磁弁制御回路用電力線を備える電磁弁制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電磁弁制御装置において、
前記第2通信回路はアウトプット・イネーブル端子を備え、終端の前記電磁弁モジュールを除く前記電磁弁モジュールの前記第2通信回路の前記アウトプット・イネーブル端子は、前記切替ラインに接続される電磁弁制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の電磁弁制御装置において、
前記電磁弁モジュールは、前記切替ラインから分岐する第1分岐切替線と、前記第2通信回路の前記アウトプット・イネーブル端子から延びる第2分岐切替線とを備え、終端の前記電磁弁モジュールを除く前記電磁弁モジュールの前記第2分岐切替線の端部は、次段の前記電磁弁モジュールの前記第1分岐切替線の端部に接続される電磁弁制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の電磁弁制御装置において、
前記送信ラインは、クロック信号を伝送する第1通信線と、選択信号を伝送する第2通信線と、前記電磁弁制御信号および前記診断情報に関する信号を伝送する第3通信線とから構成される電磁弁制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信モジュール(制御モジュール)に複数の電磁弁モジュールを接続した電磁弁制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばPLCと通信を行う通信モジュール(制御モジュール)に複数の電磁弁モジュールを接続し、一つの通信モジュールで複数の電磁弁モジュールの電磁弁を制御する電磁弁制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、マニホールド化された複数の電磁弁ブロックが電磁弁制御部に直列に連接された電磁弁制御装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の電磁弁制御装置は、電源供給ラインと、シリアル通信ラインと、ブロックセレクトラインとを有する。この電磁弁制御装置の電磁弁制御部は、所定のブロックセレクトラインと電磁弁ブロックの渡し配線とを介して、当該制御対象の電磁弁ブロックの電磁弁駆動回路にブロックセレクト信号を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの通信モジュールで多数の電磁弁モジュールの電磁弁を制御する場合、通信モジュールと電磁弁モジュールとの間で通信を行うために必要な通信線の数が膨大になるおそれがある。通信線の数が増大するほど、装置が大型化して設置スペースが増大するほか、通信線を接続する工程が増大する。また、電磁弁モジュールで電磁弁の動作状況に関する診断を行う場合は、通信モジュールが診断情報を把握できるようにする必要があり、さらに、通信線の数が増大するおそれがある。
【0006】
特許文献1の電磁弁制御装置では、電磁弁ブロックの個数分だけブロックセレクトラインを必要とする。このため、電磁弁制御部に接続する電磁弁ブロックの数には制約が生じる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の電磁弁モジュールが通信モジュールに直列に連接された電磁弁制御装置であって、送信ラインと受信ラインと切替ラインとを備え、前記送信ライン、前記受信ラインおよび前記切替ラインは、前記通信モジュールおよび複数の前記電磁弁モジュールを横断し、前記電磁弁モジュールは、第1通信回路および第2通信回路を備え、前記第2通信回路の入力端子は、前記送信ラインに接続され、前記第2通信回路の出力端子は、前記受信ラインに接続され、前記通信モジュールから前記送信ラインに送信された電磁弁制御信号は、前記電磁弁モジュールの前記第1通信回路で受信され、診断情報に関する信号が前記電磁弁制御信号とともに前記第1通信回路から前記送信ラインに送信され、終端の前記電磁弁モジュールを除く前記電磁弁モジュールの前記第2通信回路には、次段の前記電磁弁モジュールに位置する前記切替ラインから信号が入力され、前記切替ラインから信号が入力されない終端の前記電磁弁モジュールの前記第2通信回路は、前記電磁弁制御信号および複数の前記電磁弁モジュールの前記診断情報に関する信号を前記受信ラインを介して前記通信モジュールに伝達する電磁弁制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電磁弁制御装置は、切替ラインおよび第2通信回路を備えるので、複数の電磁弁モジュールの診断情報に関する信号が自動的に終端の電磁弁モジュールから通信モジュールに向けて伝送される。これにより、通信モジュールは、複数の電磁弁モジュールの診断情報を把握することができる。また、複数の電磁弁モジュールの診断情報を通信モジュールにフィードバックするのに必要な通信線を特に必要としない。しかも、電磁弁モジュールが追加されることによって終端の電磁弁モジュールが変更されても、信号の伝達経路が自動的に切り替わるので、終端の電磁弁モジュールに特別な指示を与える必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電磁弁制御装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る電磁弁制御装置10は、通信モジュール12およびマニホールド化された複数の電磁弁モジュール161~16nから構成される。複数の電磁弁モジュール161~16nは、互いに同一の構造を有し、通信モジュール12に対して直列に連接される。単数または複数の電磁弁18が各電磁弁モジュール161~16nに取り付けられる。各電磁弁モジュール161~16nは、当該電磁弁モジュールに取り付けられた電磁弁18に駆動信号を出力する電磁弁制御回路20を備える。
【0012】
電磁弁制御装置10における電磁弁モジュール161~16nの数はn個であり、例えばn=16である。また、各電磁弁モジュール161~16nに取り付けることができる電磁弁18の数は、例えば最大8個である。この場合、一つの電磁弁制御装置10に最大128個の電磁弁18を搭載することができる。
【0013】
以下において、複数の電磁弁モジュール161~16nのうち、通信モジュール12に最も近い位置にある電磁弁モジュール161を「始端の電磁弁モジュール」という。また、通信モジュール12から最も離れた位置にある電磁弁モジュール16nを「終端の電磁弁モジュール」という。また、隣接する二つの電磁弁モジュールに関し、通信モジュール12に近い電磁弁モジュールから見て、通信モジュール12から離れている電磁弁モジュールを「次段の電磁弁モジュール」という。逆に、通信モジュール12から離れている電磁弁モジュールから見て、通信モジュール12に近い電磁弁モジュールを「前段の電磁弁モジュール」という。
【0014】
通信モジュール12は、バスライン54を介して上位コントローラであるPLC52と双方向に通信を行う制御回路14を備える。通信モジュール12は、複数の電磁弁モジュール161~16nの電磁弁18を制御する信号をPLC52から受け取る。通信モジュール12には、制御系電源62が接続されている。制御回路14の動作に必要な電力が制御系電源62から制御系電力線64を介して制御回路14に供給される。
【0015】
通信モジュール12には、駆動系電源56が接続されている。駆動系電源56から延びる駆動系電力線58が通信モジュール12および複数の電磁弁モジュール161~16nを横断する。駆動系電力線58は、通信モジュール12に配置される分割電力線600と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される分割電力線601~60nとを含む。
【0016】
通信モジュール12に複数の電磁弁モジュール161~16nが接続されることにより、通信モジュール12の分割電力線600および複数の電磁弁モジュール161~16nの分割電力線601~60nが相互に接続される。各電磁弁モジュール161~16nにおいて、電磁弁18を駆動するために必要な電力が電磁弁モジュール161~16nの分割電力線601~60nを介して電磁弁制御回路20に供給される。
【0017】
電磁弁制御装置10は、通信モジュール12の制御回路14から延びる送信ライン32を備える。送信ライン32は、通信モジュール12が複数の電磁弁モジュール161~16nに信号を送るための通信線である。送信ライン32は、第1~第3通信線34、36、38の3本の通信線から構成される。第1~第3通信線34、36、38は、通信モジュール12および複数の電磁弁モジュール161~16nを横断する。
【0018】
第1通信線34は、通信モジュール12に配置される第1分割通信線340と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される第1分割通信線341~34nとを含む。同様に、第2通信線36は、通信モジュール12に配置される第2分割通信線360と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される第2分割通信線361~36nとを含む。また、第3通信線38は、通信モジュール12に配置される第3分割通信線380と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される第3分割通信線381~38nとを含む。
【0019】
通信モジュール12に複数の電磁弁モジュール161~16nが接続されることにより、通信モジュール12の第1分割通信線340および複数の電磁弁モジュール161~16nの第1分割通信線341~34nが相互に接続される。同様に、通信モジュール12の第2分割通信線360および複数の電磁弁モジュール161~16nの第2分割通信線361~36nが相互に接続される。また、通信モジュール12の第3分割通信線380および複数の電磁弁モジュール161~16nの第3分割通信線381~38nが相互に接続される。
【0020】
通信モジュール12の制御回路14は、PLC52から受け取った信号に基づいて、制御対象となる電磁弁モジュールの電磁弁18を制御するための信号を通信モジュール12の第1~第3通信線34、36、38に送信する。制御回路14から第1通信線34に送信される信号は、同期を図るためのクロック信号である。制御回路14から第2通信線36に送信される信号は、制御対象の電磁弁モジュールを選択するための信号(選択信号)である。制御回路14から第3通信線38に送信される信号は、電磁弁18の制御データに関する信号(電磁弁制御信号)である。
【0021】
各電磁弁モジュール161~16nの電磁弁制御回路20は、第1通信回路22を備える。各電磁弁モジュール161~16nの第1分割通信線341~34nは、途中で分岐して第1通信回路22に接続される。これにより、各電磁弁モジュール161~16nの第1通信回路22は、第1通信線34を介してクロック信号を受信することができる。各電磁弁モジュール161~16nの第2分割通信線361~36nは、途中で分岐して第1通信回路22に接続される。これにより、各電磁弁モジュール161~16nの第1通信回路22は、第2通信線36を介して選択信号を受信することができる。
【0022】
第1通信回路22は、各電磁弁モジュール161~16nの第3分割通信線381~38nの途中に挿入される。これにより、各電磁弁モジュール161~16nの第1通信回路22は、第3通信線38を介して電磁弁制御信号を受信し、受信した電磁弁制御信号を第3通信線38を介して次段の電磁弁モジュールに転送することができる。各電磁弁モジュール161~16nの電磁弁制御回路20は、当該電磁弁モジュールが制御対象となっている場合、受信した電磁弁制御信号に基づいて、電磁弁18に駆動信号を出力する。
【0023】
各電磁弁モジュール161~16nの電磁弁制御回路20は、当該電磁弁モジュールの電磁弁18の動作状況に関する診断を行う。具体的には、電磁弁18のコイルが融解してショートが発生していないか、当該電磁弁モジュール内の温度が許容される温度の上限を超えていないか等について診断する。この診断内容(診断情報)に関する信号は、電磁弁制御信号とともに、第1通信回路22から第3通信線38に送信され、次段の電磁弁モジュールに伝達される。
【0024】
各電磁弁モジュール161~16nの第1通信回路22から第3通信線38に送信される信号には、始端の電磁弁モジュール161から前段の電磁弁モジュールまでの電磁弁モジュールで作成された診断情報に関する信号も含まれる。終端の電磁弁モジュール16nにおいて第1通信回路22から第3通信線38に送信される信号には、すべての電磁弁モジュール161~16nで作成された診断情報に関する信号が含まれる。
【0025】
電磁弁制御装置10は、通信モジュール12の制御回路14から延びる受信ライン40を備える。受信ライン40は、通信モジュール12が終端の電磁弁モジュール16nから信号を受けるための通信線である。受信ライン40は、1本の通信線から構成され、通信モジュール12および複数の電磁弁モジュール161~16nを横断する。
【0026】
受信ライン40は、通信モジュール12に配置される第4分割通信線400と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される第4分割通信線401~40nとを含む。通信モジュール12に複数の電磁弁モジュール161~16nが接続されることにより、通信モジュール12の第4分割通信線400および複数の電磁弁モジュール161~16nの第4分割通信線401~40nが相互に接続される。
【0027】
各電磁弁モジュール161~16nの電磁弁制御回路20は、汎用ロジックICから構成される第2通信回路24を備える。第2通信回路24は、入力端子26と出力端子28とアウトプット・イネーブル端子30とを備える。各電磁弁モジュール161~16nにおいて、第2通信回路24の入力端子26は、第1接続線48を介して、第1通信回路22から次段の電磁弁モジュールに向けて延びる第3分割通信線381~38nに接続される。また、各電磁弁モジュール161~16nにおいて、第2通信回路24の出力端子28は、第2接続線50を介して受信ライン40を構成する第4分割通信線401~40nに接続される。
【0028】
電磁弁制御装置10は、通信モジュール12の制御回路14から延びる切替ライン42を備える。切替ライン42には、常に一定の電圧(High信号)が供給されている。切替ライン42は、通信モジュール12および複数の電磁弁モジュール161~16nを横断する。
【0029】
切替ライン42は、通信モジュール12に配置される分割切替線420と、各電磁弁モジュール161~16nに配置される分割切替線421~42nとを含む。通信モジュール12に複数の電磁弁モジュール161~16nが接続されることにより、通信モジュール12の分割切替線420および複数の電磁弁モジュール161~16nの分割切替線421~42nが相互に接続される。
【0030】
各電磁弁モジュール161~16nは、分割切替線421~42nから分岐する第1分岐切替線44と、第2通信回路24のアウトプット・イネーブル端子30から延びる第2分岐切替線46とを備える。通信モジュール12に複数の電磁弁モジュール161~16nが接続されることにより、各電磁弁モジュール161~16nの第2分岐切替線46の端部は、次段の電磁弁モジュールの第1分岐切替線44の端部に接続される。但し、終端の電磁弁モジュール16nについては、次段の電磁弁モジュールが存在しないため、第2分岐切替線46の端部は開いている。
【0031】
したがって、終端の電磁弁モジュール16nを除く電磁弁モジュールの第2通信回路24のアウトプット・イネーブル端子30は、切替ライン42に接続される。詳細には、それらのアウトプット・イネーブル端子30は、当該電磁弁モジュールの第2分岐切替線46と次段の電磁弁モジュールの第1分岐切替線44とを介して、次段の電磁弁モジュールの分割切替線に接続される。
【0032】
一方、終端の電磁弁モジュール16nの第2通信回路24のアウトプット・イネーブル端子30は、切替ライン42から分離されている。切替ライン42に接続されるアウトプット・イネーブル端子30にはHigh信号が入力され、切替ライン42から分離されているアウトプット・イネーブル端子30にはLow信号が入力される。
【0033】
アウトプット・イネーブル端子30にHigh信号が入力されている場合、第2通信回路24は、入力端子26に入力される信号の如何にかかわらず、出力端子28を高インピーダンスにする。一方、アウトプット・イネーブル端子30にLow信号が入力されている場合、第2通信回路24は、入力端子26に入力される信号と同一の信号を出力端子28から出力する。すなわち、第2通信回路24は、入力端子26にLow信号が入力されれば、出力端子28からLow信号を出力し、入力端子26にHigh信号が入力されれば、出力端子28からHigh信号を出力する。
【0034】
したがって、終端の電磁弁モジュール16nを除いて、各電磁弁モジュールでは、第2通信回路24の出力端子28が高インピーダンスとなる。このため、第2通信回路24は、第4分割通信線から遮断された状態となり、受信ライン40に信号は伝送されない。
【0035】
一方、終端の電磁弁モジュール16nでは、第1通信回路22から第3分割通信線38nに送信された信号が、第1接続線48と第2通信回路24と第2接続線50とを経由して、受信ライン40を構成する第4分割通信線40nに伝送される。すなわち、終端の電磁弁モジュール16nは、第3通信線38によって伝送された信号を受信ライン40を介して通信モジュール12に伝達する。
【0036】
これにより、電磁弁制御信号およびすべての電磁弁モジュール161~16nの診断情報に関する信号が通信モジュール12にフィードバックされ、通信モジュール12は、各電磁弁モジュール161~16nの診断情報を把握することができる。なお、
図1において、電磁弁制御信号および診断情報に関する信号の流れが矢印で示されている。
【0037】
各電磁弁モジュール161~16nは、分割切替線421~42nから分岐して電磁弁制御回路20に至る電磁弁制御回路用電力線47を備える。各電磁弁モジュール161~16nの電磁弁制御回路20の動作に必要な電力は、制御系電源62から通信モジュール12の制御回路14と切替ライン42と電磁弁制御回路用電力線47とを介して供給される。
【0038】
送信ライン32および受信ライン40による通信モジュール12と複数の電磁弁モジュール161~16nとの間の信号の伝達方式は、SPI(シリアル・ペリフェラル・インターフェイス)通信をデイジーチェーンモードで行う方式である。各電磁弁モジュール161~16nの第1通信回路22は、SPI通信をデイジーチェーンで接続可能な通信ICから構成されている。
【0039】
本実施形態によれば、切替ライン42および第2通信回路24を備えるので、複数の電磁弁モジュール161~16nの診断情報に関する信号が自動的に終端の電磁弁モジュール16nから通信モジュール12に向けて伝送される。これにより、通信モジュール12は、複数の電磁弁モジュール161~16nの診断情報を把握することができる。また、複数の電磁弁モジュール161~16nの診断情報を通信モジュール12にフィードバックするための通信線を特に必要としない。しかも、電磁弁モジュールが追加されることによって終端の電磁弁モジュールが変更されても、信号の伝達経路が自動的に切り替わるので、終端の電磁弁モジュールに特別な指示を与える必要がない。
【0040】
また、通信モジュール12と複数の電磁弁モジュール161~16nとの間の信号の伝達は、それらを横断する送信ライン32および受信ライン40によって行われる。これにより、通信モジュール12と複数の電磁弁モジュール161~16nとの間で信号の伝達を行うのに必要な通信線の数を可及的に少なくすることができる。本実施形態では、送信ライン32を構成する通信線と受信ライン40を構成する通信線とを合わせて合計4本の通信線で、電磁弁制御信号および診断情報に関する信号の伝送を行うことができる。
【0041】
本発明に係る電磁弁制御装置は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0042】
10…電磁弁制御装置 12…通信モジュール
20…電磁弁制御回路 22…第1通信回路
24…第2通信回路 26…入力端子
28…出力端子 30…アウトプット・イネーブル端子
32…送信ライン 34…第1通信線
36…第2通信線 38…第3通信線
40…受信ライン 42…切替ライン
44…第1分岐切替線 46…第2分岐切替線
47…電磁弁制御回路用電力線 161~16n…電磁弁モジュール