(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車両用シート装置の制御システム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20241029BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20241029BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
B60N3/06
(21)【出願番号】P 2021189325
(22)【出願日】2021-11-22
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 壮志
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-165469(JP,A)
【文献】特開2014-141149(JP,A)
【文献】特開2011-228841(JP,A)
【文献】特開2014-059835(JP,A)
【文献】特開2006-025094(JP,A)
【文献】特開2019-202753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0012123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
A47C 7/62
B60N 3/00
B60N 3/06
G08B 21/24
B60R 11/02
H04B 5/20
H04B 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内において移動可能に構成されているシート及び前記シートを駆動するモータを備えるシート装置と、
前記モータの駆動を制御する制御部を有する制御装置と、
前記制御部と無線通信可能に設けられるとともに前記モータを駆動する操作信号を前記制御部に対して出力する操作端末と、を含む車両用シート装置の制御システムであって、
前記制御装置または前記制御部は、前記操作端末が車外に存在しているか否かを推定する推定部を備えており、
前記操作端末または前記制御部は、前記推定部により前記操作端末が車外に存在していると推定された場合には、前記操作端末による前記シート装置の操作の実行を禁止する、
車両用シート装置の制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記操作端末が前記車室内の所定位置に存在しているか否かを検知する操作端末検知部と、
前記シートに乗員が着座しているか否かを検知する着座検知部と、
前記シートに着座する乗員が乗降する乗降口を開閉するドアの開閉状態を検知するドア検知部と、を備えており、
前記操作端末または前記制御部は、前記操作端末検知部により前記操作端末が前記所定位置に存在していないことが検知されており、前記着座検知部により前記シートに乗員が着座していないことが検知されており、前記ドア検知部により前記ドアが開いたことが検知されている場合に、前記操作端末による前記シート装置の操作の実行を禁止する、
請求項1に記載の車両用シート装置の制御システム。
【請求項3】
前記車室内には、前記操作端末を充電する充電装置が設けられており、
前記操作端末検知部は、前記操作端末が前記充電装置によって充電されているときに前記操作端末が前記所定位置に存在していることを検知する、
請求項2に記載の車両用シート装置の制御システム。
【請求項4】
前記シートは、シートクッションと、前記シートクッションに設けられる感圧式の着座センサと、を有しており、
前記シートには、前記シートに着座する乗員を拘束するシートベルトのタングが着脱可能なバックルが設けられており、
前記バックルには、前記バックルに前記タングが連結されているか否かを検知するバックルスイッチが設けられており、
前記着座検知部は、前記着座センサ及び前記バックルスイッチの少なくとも一方により構成されている、
請求項2または請求項3に記載の車両用シート装置の制御システム。
【請求項5】
前記着座検知部は、前記着座センサ及び前記バックルスイッチの双方により構成されている、
請求項4に記載の車両用シート装置の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シートの制御装置が開示されている。
特許文献1に記載の車両は、前から順にフロントシート、セカンドシート、サードシートを備える3列シート車である。
【0003】
セカンドシートは、シートクッションと、シートクッションの前端に連結されたオットマンと、シートクッションの左右の両端に連結された一対のアームレストと、シートクッションの後部に連結されたシートバックと、ヘッドレストとを備えている。セカンドシートには、いずれも電動モータにより構成されるオットマン駆動部と、スライド駆動部と、シートバック駆動部とが設けられている。
【0004】
オットマン駆動部は、シートクッションとオットマンとの連結部分に設けられるとともに、セカンドシートの幅方向に沿って延在する第1軸線を中心にオットマンを傾動させる。
【0005】
スライド駆動部は、シートクッションに設けられるとともに、スライドレールに沿ってセカンドシートを前後方向にスライドさせる。
シートバック駆動部は、シートクッションとシートバックとの連結部分に設けられるとともに、セカンドシートの幅方向に沿って延在する第2軸線を中心にシートバックを傾動させる。
【0006】
また、車両は制御装置を備えている。制御装置は、操作部と、シートECUとを備えている。操作部は、シートを操作するスイッチであり、アームレストに設けられている。操作部は、シートECUに対して操作信号を出力する。シートECUは、オットマン駆動部と、スライド駆動部と、シートバック駆動部とを制御する駆動制御部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、こうした車両用シートの制御装置において、操作部をシートに対して着脱可能な操作端末に設けることが検討されている。操作端末は、シートECUと無線通信可能に設けられるとともにスライド駆動部などを駆動する操作信号をシートECUに対して出力する。この場合、乗員は、アームレストに手が届かない状態であっても操作端末によってシートを操作できる。
【0009】
しかし、この場合、以下のような問題が発生するおそれがある。すなわち、乗員が車両の外部に操作端末を持ち出して車両のシートを操作した場合、車室内の様子が分からない状況下においてシートが操作されるおそれがある。その結果、車両のフロアに置かれている荷物などにシートが干渉するなどの不都合が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための車両用シート装置の制御システムは、車室内において移動可能に構成されているシート及び前記シートを駆動するモータを備えるシート装置と、前記モータの駆動を制御する制御部を有する制御装置と、前記制御部と無線通信可能に設けられるとともに前記モータを駆動する操作信号を前記制御部に対して出力する操作端末と、を含む。前記制御装置または前記制御部は、前記操作端末が車外に存在しているか否かを推定する推定部を備えており、前記操作端末または前記制御部は、前記推定部により前記操作端末が車外に存在していると推定された場合には、前記操作端末による前記シート装置の操作の実行を禁止する。
【0011】
同構成によれば、推定部により操作端末が車外に存在していると推定された場合には、操作端末または制御部を通じて、操作端末によるシートの操作の実行が禁止される。したがって、車室内の様子が分からない状況下においてシートが操作されることを抑制できる。
【0012】
上記車両用シート装置の制御システムにおいて、前記制御装置は、前記操作端末が前記車室内の所定位置に存在しているか否かを検知する操作端末検知部と、前記シートに乗員が着座しているか否かを検知する着座検知部と、前記シートに着座する乗員が乗降する乗降口を開閉するドアの開閉状態を検知するドア検知部と、を備えており、前記操作端末または前記制御部は、前記操作端末検知部により前記操作端末が前記所定位置に存在していないことが検知されており、前記着座検知部により前記シートに乗員が着座していないことが検知されており、前記ドア検知部により前記ドアが開いたことが検知されている場合に、前記操作端末による前記シート装置の操作の実行を禁止することが好ましい。
【0013】
乗員が操作端末を持って車室内から車外に移動したときには、操作端末が車室内の所定位置に存在しておらず、シートに乗員が着座しておらず、ドアが開いたという3つの条件が全て成立する。
【0014】
上記構成によれば、操作端末検知部、着座検知部、及びドア検知部によって上記3つの条件が全て成立したことが検知されると、操作端末または制御部を通じて、操作端末によるシートの操作の実行が禁止される。したがって、操作端末が車外に存在していることを高精度で推定することができる。
【0015】
上記車両用シート装置の制御システムにおいて、前記車室内には、前記操作端末を充電する充電装置が設けられており、前記操作端末検知部は、前記操作端末が前記充電装置によって充電されているときに前記操作端末が前記所定位置に存在していることを検知することが好ましい。
【0016】
操作端末は制御部と無線通信可能であるため、例えば、操作端末検知部を、制御部が受信する操作端末の電波強度に基づいて操作端末が車室内に存在しているか否かを検知する構成とすることもできる。ただし、この場合、以下のような問題が発生するおそれがある。すなわち、操作端末が車室内に存在しているにもかかわらず電波強度が閾値よりも低くなることで操作端末が車外に存在していると検知されること、所謂、誤検知が生じるおそれがある。この場合、操作端末が車室内に存在しているにもかかわらず乗員が操作端末を操作できないといった不都合が生じることになる。
【0017】
この点、上記構成によれば、操作端末が充電装置によって充電されている情報に基づいて操作端末が車室内の所定位置に存在していることが検知される。このため、少なくとも操作端末が充電装置によって充電されているときには、操作端末が車室内に存在しているにもかかわらず操作端末が車外に存在していると誤検知されることがない。したがって、上述した不都合の発生を回避できる。
【0018】
上記車両用シート装置の制御システムにおいて、前記シートは、シートクッションと、前記シートクッションに設けられる感圧式の着座センサと、を有しており、前記シートには、前記シートに着座する乗員を拘束するシートベルトのタングが着脱可能なバックルが設けられており、前記バックルには、前記バックルに前記タングが連結されているか否かを検知するバックルスイッチが設けられており、前記着座検知部は、前記着座センサ及び前記バックルスイッチの少なくとも一方により構成されていることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、着座センサまたはバックルスイッチといったシート装置の既存の構成によって着座検知部が構成される。したがって、着座検知部を容易に具体化することができる。
【0020】
上記車両用シート装置の制御システムにおいて、前記着座検知部は、前記着座センサ及び前記バックルスイッチの双方により構成されていることが好ましい。
シートに乗員が着座している場合であっても、乗員の姿勢などによってシートに乗員が着座していないと着座センサが検知することがある。また、シートに乗員が着座している場合であっても、シートベルトのタングがバックルに連結されていないことがある。この場合、シートに乗員が着座しているにもかかわらず乗員が操作端末を操作できないといった不都合が生じることになる。
【0021】
この点、上記構成によれば、着座検知部が着座センサ及びバックルスイッチの双方により構成されているため、上述した不都合の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車室内の様子が分からない状況下においてシートが操作されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両用シート装置の制御システムが適用される車室内の平面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る操作端末のタッチパネルを示す正面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る車両用シート装置の制御システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る操作端末が充電装置に装着されている状態を示す平面図である。
【
図6】同実施形態に係る車両用シート装置の制御システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1~
図6を参照して、一実施形態について説明する。
なお、以降において、車両10の前後方向を単に前後方向Lとするとともに、前後方向Lの前側及び後側をそれぞれ単に前側及び後側として説明する。また、車幅方向を単に車幅方向Wとする。また、車両10の後側から前側を見たときの左側及び右側を単に左側及び右側として説明する。また、車両10が水平面上にあるときの上下方向を単に上下方向Zとするとともに、上下方向Zの上側及び下側をそれぞれ単に上側及び下側として説明する。
【0025】
図1に示すように、車両10の室内(以下、車室内)には、前側から順に、フロントシート11、セカンドシート12、及びサードシート13が配置されている。
フロントシート11、セカンドシート12、及びサードシート13は、それぞれ互いに独立して配置された左右の2座からなる。
【0026】
車両10の左右には、前側乗降口14及び前側乗降口14を開閉するヒンジドア15が設けられている。
車両10の左右には、後側乗降口16及び後側乗降口16を開閉するスライドドア17が設けられている。後側乗降口16には、カーテシスイッチ41が設けられている。
【0027】
右側のフロントシート11が運転席を構成している。
なお、セカンドシート12が本発明に係るシート装置に相当する。
次に、セカンドシート12の構成について詳細に説明する。
【0028】
<セカンドシート12>
図1に示すように、セカンドシート12は、シート20を備えている。
シート20は、シートクッション21、オットマン22、アームレスト23、シートバック24、及びヘッドレスト25を備えている。
【0029】
(シートクッション21)
シートクッション21は、車両10のフロアに設けられた図示しないシートレールに沿って前後方向Lにスライド可能に構成されている。
図1に破線にて示すように、シートクッション21には、シートクッション21を前後方向Lにスライドさせるスライドモータ31が設けられている。シートクッション21の内部には、感圧式の着座センサ42が設けられている。
【0030】
(オットマン22)
シートクッション21の前端には、オットマン22が回動可能に連結されている。オットマン22は、車幅方向Wに沿って延在する軸線を中心に対して回動可能に構成されている。
図1に破線にて示すように、オットマン22とシートクッション21との連結部分には、オットマン22を回動させる回動モータ32が設けられている。
【0031】
(アームレスト23)
シートクッション21の車幅方向Wの両側には、アームレスト23がそれぞれ連結されている。
【0032】
(シートバック24及びヘッドレスト25)
シートクッション21の後端には、シートバック24がリクライニング可能に連結されている。シートバック24は、車幅方向Wに沿って延在する軸線を中心に対して回動可能に構成されている。
図1に破線にて示すように、シートバック24とシートクッション21との連結部分には、シートバック24をリクライニングさせるリクライニングモータ33が設けられている。
【0033】
シートバック24の上端には、ヘッドレスト25が連結されている。
(シートベルト26及びバックル27)
セカンドシート12には、シート20に着座する乗員を拘束するシートベルト26及びバックル27が設けられている。シートベルト26の先端には、タング26aが設けられている。タング26aは、バックル27に対して着脱可能に構成されている。バックル27には、バックルスイッチ43が設けられている。バックルスイッチ43は、タング26aがバックル27に連結されているか否かを検知する。
【0034】
<制御装置40>
図3に示すように、車両10には、制御装置40が設けられている。
制御装置40は、カーテシスイッチ41、着座センサ42、バックルスイッチ43、送電部44、シートECU45、及びドアECU46を備えている。
【0035】
シートECU45は、スライドモータ31、回動モータ32、及びリクライニングモータ33の駆動を制御するものである。シートECU45には、スライドモータ31、回動モータ32、及びリクライニングモータ33が電気的に接続されている。シートECU45には、着座センサ42、バックルスイッチ43、及び送電部44が電気的に接続されている。
【0036】
着座センサ42は、着座センサ42に対して所定値以上の荷重が作用しているときにはシートECU45に対してオン信号を出力するとともに、着座センサ42に対して所定値未満の荷重が作用しているときにはシートECU45に対してオフ信号を出力する。
【0037】
バックルスイッチ43は、タング26aがバックル27に連結されているときにはシートECU45に対してオン信号を出力するとともに、タング26aがバックル27に連結されていないときにはシートECU45に対してオフ信号を出力する。
【0038】
ドアECU46は、スライドドア17をスライドさせる図示しないモータの駆動を制御するものである。ドアECU46には、スライドドア17が電気的に接続されている。ドアECU46には、カーテシスイッチ41が電気的に接続されている。
【0039】
カーテシスイッチ41は、スライドドア17が閉じているときにはドアECU46に対してオン信号を出力するとともに、スライドドア17が開いているときにはドアECU46に対してオフ信号を出力する。
【0040】
シートECU45とドアECU46とは、電気的に接続されるとともに、相互に通信可能に構成されている。
シートECU45が本発明に係る制御部に相当する。
【0041】
<操作端末70>
図3に示すように、操作端末70は、シートECU45と無線通信可能に設けられるとともに、スライドモータ31、回動モータ32、及びリクライニングモータ33を駆動する操作信号をシートECU45に対して出力する。
【0042】
図2に示すように、操作端末70は、略長方形板状である。
操作端末70の主面には、手指をタッチすることによって操作可能なタッチパネル71が設けられている。タッチパネル71は、スライドモータ31の駆動を操作するスライド操作部72、回動モータ32の駆動を操作する回動操作部73、及びリクライニングモータ33の駆動を操作するリクライニング操作部74の画像が表示可能に構成されている。
【0043】
操作端末70は、タッチパネル71の表示を制御する端末制御部77、タッチパネル71のタッチ操作を検出する検出部78、及び検出部78からの検出信号、すなわち操作信号をシートECU45に対して出力する通信部79などを備えている。
【0044】
図5に示すように、操作端末70は、バッテリ75を備えている。
操作端末70のタッチパネル71とは反対側の面には、バッテリ75を無線給電にて充電する充電装置50からの電力を受ける受電部76が設けられている。
【0045】
<充電装置50>
図1に示すように、アームレスト23には、操作端末70を充電する充電装置50が設けられている。
【0046】
図4及び
図5に示すように、アームレスト23の上面23aには、操作端末70を収容可能な凹部51が設けられている。凹部51の開口部52は、前後方向L及び車幅方向Wに延在する平面視略長方形状である。
【0047】
開口部52には、車幅方向Wの幅が部分的に大きくされた拡幅部53が設けられている。拡幅部53は、前後方向Lにおいて開口部52の中央部に設けられている。
開口部52の前端縁及び後端縁には、後側及び前側にそれぞれ突出する一対の爪部54が設けられている。
【0048】
凹部51の底面には、凹部51内に収容されている操作端末70の受電部76に対して無線給電にて電力を送る送電部44が設けられている。
凹部51内に操作端末70が収容されている状態において、一対の爪部54が操作端末70の上端縁に係合することにより、凹部51内からの操作端末70の抜け出しが規制される。
【0049】
一方、乗員は、凹部51内に操作端末70が収容されている状態において、拡幅部53に手指を挿入して操作端末70を挟持して引き上げることにより、操作端末70を充電装置50から取り外すことができる。
【0050】
なお、凹部51が本発明に係る所定位置に相当する。
ここで、操作端末70は、操作端末70が車外に存在しているか否かを推定する推定部を備えている。操作端末70は、上記推定部により操作端末70が車外に存在していると推定された場合には、操作端末70によるシート20の操作の実行を禁止する。
【0051】
具体的には、操作端末70は、操作端末検知部により操作端末70が車室内の所定位置に存在していないことが検知されており、着座検知部によりシート20に乗員が着座していないことが検知されており、ドア検知部によりスライドドア17が開いたことが検知されている場合に、操作端末70によるシート20の操作の実行を禁止する。
【0052】
本実施形態では、端末制御部77によって推定部が構成されている。また、充電装置50の送電部44によって操作端末検知部が構成されている。また、着座センサ42及びバックルスイッチ43によって着座検知部が構成されている。また、カーテシスイッチ41によってドア検知部が構成されている。
【0053】
次に、
図6のフローチャートを参照して、本発明に係る車両用シート装置の制御処理の手順について説明する。
図6に示す制御処理は、操作端末70のタッチパネル71がタッチ操作された際に、操作端末70の端末制御部77によって実行される。
【0054】
図6に示すように、この一連の処理では、まず、端末制御部77は、シートECU45を通じて、カーテシスイッチ41、充電装置50の送電部44、着座センサ42、及びバックルスイッチ43からの出力信号を取得する(ステップS1)。
【0055】
次に、端末制御部77は、送電部44からの出力信号に基づいて操作端末70が充電装置50によって充電されているか否かを判断する(ステップS2)。
ここで、操作端末70が充電されている場合(ステップS2;NO)には、上記タッチ操作を許可する、すなわち操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を許可する(ステップS7)。そして、端末制御部77は、一連の処理を終了する。
【0056】
一方、操作端末70が充電されていない場合(ステップS2;YES)には、次に、操作端末70が車室内の所定位置に存在しないとして、端末制御部77は、着座センサ42からオン信号が出力されているか否かを判断する(ステップS3)。
【0057】
ここで、着座センサ42からオン信号が出力されている場合(ステップS3;NO)には、上記タッチ操作を許可する、すなわち操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を許可する(ステップS7)。そして、端末制御部77は、一連の処理を終了する。
【0058】
一方、着座センサ42からオン信号が出力されていない場合(ステップS3;YES)には、次に、端末制御部77は、バックルスイッチ43からオン信号が出力されているか否かを判断する(ステップS4)。
【0059】
ここで、バックルスイッチ43からオン信号が出力されている場合(ステップS4;NO)には、上記タッチ操作を許可する、すなわち操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を許可する(ステップS7)。そして、端末制御部77は、一連の処理を終了する。
【0060】
一方、バックルスイッチ43からオン信号が出力されていない場合(ステップS4;YES)には、セカンドシート12に乗員が着座していないとして、次に、端末制御部77は、カーテシスイッチ41から出力される信号が変化したか否かを判断する(ステップS5)。
【0061】
ここで、カーテシスイッチ41から出力される信号が変化していない場合(ステップS5;NO)には、スライドドア17が開閉されていないとして、上記タッチ操作を許可する、すなわち操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を許可する(ステップS7)。そして、一連の処理を終了する。
【0062】
一方、カーテシスイッチ41から出力される信号が変化した場合(ステップS5;YES)には、スライドドア17が開いたとして、次に、端末制御部77は、上記タッチ操作を禁止する、すなわち操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を禁止する(ステップS6)。そして、端末制御部77は、一連の処理を終了する。なお、ステップS5においては、スライドドア17が開いている状態と、スライドドア17が開かれた後に閉じられた状態との双方において、カーテシスイッチ41から出力される信号が変化することに基づいて、これらの状態を把握することができる。
【0063】
本実施形態の作用について説明する。
操作端末70は、端末制御部77により操作端末70が車外に存在していると推定された場合には、操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を禁止する。
【0064】
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御装置40は、操作端末70が車外に存在しているか否かを推定する端末制御部77を備えている。
【0065】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、車室内の様子がわからない状況下において、セカンドシート12が操作されることを抑制できる。
(2)制御装置40は、送電部44と、着座センサ42及びバックルスイッチ43と、カーテシスイッチ41とを備えている。
【0066】
操作端末70が充電されておらず、着座センサ42及びバックルスイッチ43からオン信号が出力されておらず、カーテシスイッチ41から出力される信号が変化した場合に、操作端末70は、操作端末70によるシート20装置の操作の実行を禁止する。
【0067】
乗員が操作端末70を持って車室内から車外に移動したときには、操作端末70が凹部51に存在しておらず、シート20に乗員が着座しておらず、スライドドア17が開いたという3つの条件が全て成立する。
【0068】
この点、上記構成によれば、送電部44と、着座センサ42及びバックルスイッチ43と、カーテシスイッチ41とによって上記3つの条件が全て成立したことが検知されると、操作端末70を通じて、操作端末70によるシート20の操作の実行が禁止される。したがって、操作端末70が車外に存在していることを高精度で推定することができる。
【0069】
(3)送電部44は、操作端末70が充電装置50によって充電されているときに操作端末70が車室内に存在していることを検知する。
操作端末70は制御装置40と無線通信可能であるため、例えば、送電部44を、制御装置40が受信する操作端末70の電波強度に基づいて操作端末70が車室内に存在しているか否かを検知する構成とすることもできる。ただし、この場合、以下のような問題が発生するおそれがある。すなわち、操作端末70が車室内に存在しているにもかかわらず電波強度が閾値よりも低くなることで操作端末70が車外に存在していると検知されること、所謂、誤検知が生じるおそれがある。この場合、操作端末70が車室内に存在しているにもかかわらず乗員が操作端末70を操作できないといった不都合が生じることになる。
【0070】
この点、上記構成によれば、操作端末70が充電装置50によって充電されている情報に基づいて操作端末70が車室内に存在していることが検知される。このため、少なくとも操作端末70が充電装置50によって充電されているときには、操作端末70が車室内に存在しているにもかかわらず操作端末70が車外に存在していると誤検知されることがない。したがって、上述した不都合の発生を回避できる。
【0071】
(4)シートクッション21には、シート20に乗員が着座している検知する着座センサ42が設けられている。また、シート20には、シートベルト26及びバックル27が設けられている。バックル27には、タング26aがバックル27に連結されているか否かを検知するバックルスイッチ43が設けられている。
【0072】
こうした構成によれば、着座センサ42及びバックルスイッチ43といったシート装置の既存の構成によって容易に乗員が車室内にいるか否かを検知することができる。
(5)着座センサ42及びバックルスイッチ43によって着座検知部が構成されていることで、乗員が車室内にいるか否かを、着座センサ42及びバックルスイッチ43の双方によって検出する。
【0073】
セカンドシート12に乗員が着座している場合であっても、乗員の姿勢などによってセカンドシート12に乗員が着座していないと着座センサ42が検知することがある。また、セカンドシート12に乗員が着座している場合であっても、シートベルト26のタング26aがバックル27に連結されていないことがある。この場合、セカンドシート12に乗員が着座しているにもかかわらず乗員が操作端末70を操作できないといった不都合が生じることになる。
【0074】
この点、上記構成によれば、着座センサ42及びバックルスイッチ43の双方により乗員が車室内にいるか否かを検知するため、上述した不都合の発生を抑制できる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
・着座検知部は、着座センサ42及びバックルスイッチ43のいずれか一方のみにより構成されていてもよい。
・着座検知部は、着座センサ42及びバックルスイッチ43の少なくとも一方により構成されるものに限定されない。例えば車内カメラによって車室内を撮影するとともに、撮影画像を画像処理することによってセカンドシート12に乗員が着座しているか否かを検知するようにしてもよい。また、赤外線センサによってセカンドシート12に乗員が着座しているか否かを検知するようにしてもよい。
【0076】
・操作端末検知部は、充電装置50の送電部44に限定されない。例えば車内カメラによって車室内の所定位置を撮影するとともに、撮影画像を画像処理することによって操作端末70が所定位置に存在しているか否かを検知するようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、操作端末70の端末制御部77によって推定部を構成しているが、シートECU45によって推定部を構成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、操作端末70自身によって操作端末70によるセカンドシート12の操作の実行を禁止するようにしているが、シートECU45によって、セカンドシート12の操作端末70による操作の実行を禁止するようにしてもよい。
【0078】
・後側乗降口16を開閉するドアは、ヒンジドアであってもよい。
・本実施形態における車両用シート装置の制御システムを、フロントシート11やサードシート13に適用することもできる。この場合においても、車室内の様子がわからない状況下において、フロントシート11やサードシート13がリクライニングなどの操作をされることを抑制できる。
【0079】
・車両10のシートレイアウトは上記実施形態において例示した3列シートに限定されず、2列シートであってもよいし、4列シートであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…車両
11…フロントシート
12…セカンドシート(シート装置)
13…サードシート
14…前側乗降口
15…ヒンジドア
16…後側乗降口(乗降口)
17…スライドドア(ドア)
20…シート
21…シートクッション
22…オットマン
23…アームレスト
23a…上面
24…シートバック
25…ヘッドレスト
26…シートベルト
26a…タング
27…バックル
31…スライドモータ
32…回動モータ
33…リクライニングモータ
40…制御装置
41…カーテシスイッチ(ドア検知部)
42…着座センサ(着座検知部)
43…バックルスイッチ(着座検知部)
44…送電部(操作端末検知部)
45…シートECU(制御部)
46…ドアECU
50…充電装置
51…凹部
52…開口部
53…拡幅部
54…爪部
70…操作端末
71…タッチパネル
72…スライド操作部
73…回動操作部
74…リクライニング操作部
75…バッテリ
76…受電部
77…端末制御部
78…検出部
79…通信部