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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ヒートインシュレータ
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/04 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B60R16/04 J
B60R16/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021208576
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023093139
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平井 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】中島 慎介
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-262986(JP,A)
【文献】特開2014-213678(JP,A)
【文献】特開2021-118166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0265586(US,A1)
【文献】特開2010-070089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される対象物を周囲の熱から保護するヒートインシュレータであって、
前記対象物を収容するとともに開口部を有した有底箱状をなす本体部を備え、
前記本体部の前記開口部を囲む側壁における互いに対向する位置には、切欠部がそれぞれ設けられ、
前記切欠部を閉塞可能な閉塞部材を備えていることを特徴とするヒートインシュレータ。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記本体部の前記側壁に対して一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒートインシュレータ。
【請求項3】
前記閉塞部材には、断熱性を有したエラストマが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヒートインシュレータ。
【請求項4】
前記閉塞部材は、ヒンジ部を回動中心として前記切欠部を開放する開放位置と前記切欠部を閉塞する閉塞位置との間で回動可能に構成され、
前記エラストマは、前記ヒンジ部を跨いで延びていることを特徴とする請求項3に記載のヒートインシュレータ。
【請求項5】
前記閉塞部材は、上底となる上縁部の長さが下底となる下縁部の長さよりも短い台形状をなすとともに、前記下縁部が前記ヒンジ部を構成していることを特徴とする請求項4に記載のヒートインシュレータ。
【請求項6】
前記エラストマは、前記閉塞部材の外面に設けられ、
前記閉塞部材における前記下縁部が前記上縁部よりも前記下縁部が延びる方向の外側に突出する側の端部と同じ側の前記エラストマの端部の外面には、当該方向における外側に向かうほど前記閉塞部材の外面との距離が短くなるテーパ面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のヒートインシュレータ。
【請求項7】
前記本体部に収容された状態の前記対象物を前記本体部と共に固定位置に固定する固定部材を備え、
前記固定部材は、前記本体部に収容された状態の前記対象物を前記本体部と共に固定位置に固定した際に、前記閉塞部材の前記閉塞位置から前記開放位置への変位を阻害する変位阻害部を有していることを特徴とする請求項4~請求項6のうちいずれか一項に記載のヒートインシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のバッテリなどの対象物を収容して周囲の熱から保護するヒートインシュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートインシュレータとして、例えば特許文献1に示すバッテリトレイ装置が知られている。こうしたバッテリトレイ装置は、車両のエンジンルーム内に固定されるとともに、直方体状のバッテリを載置するべく上方が開口した前後方向に長い有底矩形箱状をなしている。バッテリトレイ装置は、本体部材と回動部材とを備えている。
【0003】
本体部材は、バッテリが載置される前後方向に長い矩形状の載置面部と、載置面部の左右の辺部から上方に立ち上がる一対の側面部と、載置面部の後辺部から上方に立ち上がる後面部とを有している。回動部材は、載置面部の前辺部にヒンジ部材を介して起立状態と水平状態との間で回動可能に支持されている。
【0004】
バッテリトレイ装置へのバッテリの載置には、パレタイザが用いられる。パレタイザは、組み立て工場の天井に設けられたレールと、レールに移動可能に支持されたベース部材と、上端がベース部材に回動可能に支持されるとともに下端にバッテリを挟むように把持可能な把持部を有したアームとを備えている。アームは、数段階に屈曲可能に構成されている。
【0005】
そして、バッテリトレイ装置にバッテリを載置する場合には、まず、バッテリトレイ装置の回動部材を水平状態にする。続いて、作業台上に準備されたバッテリを把持部で把持する。続いて、アームを屈曲させながら回動させることにより、バッテリをバッテリトレイ装置の上方に移動させる。続いて、バッテリを下方に移動させることにより、バッテリが載置面部と回動部材とに跨がるように、バッテリをバッテリトレイ装置上に載置する。
【0006】
すなわち、バッテリをバッテリトレイ装置上における前寄りの位置に載置する。続いて、把持部によるバッテリの把持状態を解除した後、バッテリをバッテリトレイ装置上における後端側へスライド移動させることにより、バッテリを回動部材上から退避させる。その後、回動部材を起立状態にしてから固定金具によりバッテリをバッテリトレイ装置に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-70089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のバッテリトレイ装置では、当該バッテリトレイ装置上にバッテリを載置する際にパレタイザの把持部が一対の側面部にぶつからないように、一対の側面部の高さがバッテリの高さの半分以下に設定されている。このため、パレタイザによってバッテリトレイ装置上にバッテリを容易に載置できるが、バッテリトレイ装置からのバッテリの露出面積が大きくなってしまう。したがって、バッテリトレイ装置によるバッテリに対する断熱性が確保できなくなるので、バッテリがその周囲にあるエンジンなどの熱源から熱害を受けるおそれがあるという問題がある。
【0009】
なお、こうした問題は、バッテリが載置されるバッテリトレイ装置に限らず、バッテリ以外の車両に搭載される対象物が載置されるトレイ装置においても概ね共通したものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するヒートインシュレータは、車両に搭載される対象物を周囲の熱から保護するヒートインシュレータであって、前記対象物を収容するとともに開口部を有した有底箱状をなす本体部を備え、前記本体部の前記開口部を囲む側壁における互いに対向する位置には、切欠部がそれぞれ設けられ、前記切欠部を閉塞可能な閉塞部材を備えていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、閉塞部材によって切欠部を閉塞しない状態において、対象物を機械式のアームの挟持部で挟んで持ち上げて開口部から本体部内に収容する際に、アームの挟持部の位置を切欠部の位置に合わせる。これにより、アームの挟持部が本体部の側壁にぶつかることを回避できるので、本体部に対して対象物を円滑に収容できる。そして、対象物をアームによって本体部内に収容してアームを対象物から退避させた後に、切欠部を閉塞部材で閉塞することで、対象物に対する断熱性を確保できる。したがって、本体部に対して対象物を円滑に収容できるとともに、本体部に収容された状態の対象物に対する断熱性を確保できる。
【0012】
上記ヒートインシュレータにおいて、前記閉塞部材は、前記本体部の前記側壁に対して一体に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、閉塞部材を本体部の側壁に対して別部材として構成する場合に比べて部品点数を低減できる。
【0013】
上記ヒートインシュレータにおいて、前記閉塞部材には、断熱性を有したエラストマが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、本体部に収容された状態の対象物に対する断熱性をより一層向上できる。
【0014】
上記ヒートインシュレータにおいて、前記閉塞部材は、ヒンジ部を回動中心として前記切欠部を開放する開放位置と前記切欠部を閉塞する閉塞位置との間で回動可能に構成され、前記エラストマは、前記ヒンジ部を跨いで延びていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、閉塞部材を閉塞位置から開放位置に回動させた際には、エラストマが弾性変形する。このため、閉塞部材を開放位置から閉塞位置に回動させる際には、エラストマの弾性復元力を利用できる。したがって、閉塞部材を開放位置から閉塞位置に容易に回動させることができる。
【0016】
上記ヒートインシュレータにおいて、前記閉塞部材は、上底となる上縁部の長さが下底となる下縁部の長さよりも短い台形状をなすとともに、前記下縁部が前記ヒンジ部を構成していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、閉塞部材をその外面側から見た場合、台形の脚となる閉塞部材の左右の辺が斜めに延びるようになる。この場合、左右の辺のうち少なくとも一方は、左右の辺が対向する方向である左右方向において下端の方が上端よりも外側に突出するように傾斜する。そして、例えば、次のような場合を考える。すなわち、閉塞部材の左右の辺のうち下端の方が上端よりも左右方向において外側に突出するように傾斜した方の辺である特定辺側を移動方向の前側として対象物を収容した状態の本体部をスライド移動させて一対の立設部材間に挿入する作業を行う場合を考える。つまり、本体部をスライド面に沿ってスライド移動させてスライド面に立設された一対の立設部材間に挿入する作業を行う場合を考える。このような作業を行う場合、閉塞部材が半開きの状態になることがある。そして、閉塞部材が半開きの状態で、対象物を収容した状態の本体部をスライド移動させて一対の立設部材間に挿入すると、まず、閉塞部材の特定辺の下端が立設部材に接触する。引き続き、本体部をスライド移動させると、立設部材に閉塞部材の特定辺の下端が押し付けられるので、立設部材が特定辺に沿って特定辺の上端に向かって摺動する。このとき、閉塞部材の特定辺が立設部材に押し付けられる力の一部が、閉塞部材を閉塞位置へ回動させる力として作用するため、本体部のスライド移動に伴って閉塞部材が閉塞位置へ向かって回動する。このため、対象物を収容した状態の本体部の一対の立設部材間への挿入性を向上できる。すなわち、対象物を収容した状態の本体部を一対の立設部材間へ挿入する作業の作業性を向上できる。
【0018】
上記ヒートインシュレータにおいて、前記エラストマは、前記閉塞部材の外面に設けられ、前記閉塞部材における前記下縁部が前記上縁部よりも前記下縁部が延びる方向の外側に突出する側の端部と同じ側の前記エラストマの端部の外面には、当該方向における外側に向かうほど前記閉塞部材の外面との距離が短くなるテーパ面が設けられていることが好ましい。
【0019】
通常、エラストマのテーパ面側を移動方向の前側として対象物を収容した状態の本体部をスライド移動させて一対の立設部材間に挿入する作業を行う場合、閉塞部材が半開きの状態になることがある。この状態で、対象物を収容した状態の本体部をスライド移動させて一対の立設部材間に挿入すると、エラストマにおける移動方向の前側の面が立設部材に引っ掛かり易い。この点、この構成によれば、エラストマにおける移動方向の前側の面がテーパ面になっているため、エラストマが立設部材に引っ掛かり難くなる。したがって、対象物を収容した状態の本体部の一対の立設部材間への挿入性をより一層向上できる。
【0020】
上記ヒートインシュレータは、前記本体部に収容された状態の前記対象物を前記本体部と共に固定位置に固定する固定部材を備え、前記固定部材は、前記本体部に収容された状態の前記対象物を前記本体部と共に固定位置に固定した際に、前記閉塞部材の前記閉塞位置から前記開放位置への変位を阻害する変位阻害部を有していることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、固定部材によって本体部に収容された状態の対象物を本体部と共に固定位置に固定した状態では、変位阻害部によって閉塞部材の閉塞位置から開放位置への変位が阻害される。このため、固定部材によって本体部に収容された状態の対象物を本体部と共に固定位置に安定して固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、本体部に対して対象物を円滑に収容できるとともに、本体部に収容された状態の対象物に対する断熱性を確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態におけるヒートインシュレータの斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3】第1実施形態において、閉塞部材を閉塞位置から開放位置に回動した後に本体部にバッテリを収容するときの状態を示す斜視図である。
図4】第1実施形態において、本体部にバッテリを収容した後に閉塞部材を開放位置から閉塞位置に回動したときの状態を示す斜視図である。
図5】第2実施形態におけるヒートインシュレータの斜視図である。
図6】第2実施形態において、本体部にバッテリを収容した後に閉塞部材を開放位置から閉塞位置に回動したときの状態を示す斜視図である。
図7】第2実施形態において、固定板上において一対の側板部間にバッテリを収容した本体部をスライド移動させるときの状態を示す斜視図である。
図8】第2実施形態において、固定板上において一対の側板部間にバッテリを収容した本体部をスライド移動させる際に、半開きの閉塞部材が側板部に接触したときの状態を示す斜視図である。
図9】第2実施形態において、固定板上において一対の側板部間にバッテリを収容した本体部をスライド移動させたときの状態を示す斜視図である。
図10】変更例の固定部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、ヒートインシュレータを車両のバッテリを収容するバッテリインシュレータに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0025】
<バッテリインシュレータ11の構成>
図1及び図2に示すように、ヒートインシュレータの一例としてのバッテリインシュレータ11は、車両に搭載される対象物の一例としてのバッテリ12を例えばエンジンなどから発生する周囲の熱から保護するものである。バッテリインシュレータ11は、バッテリ12を収容する本体部13と、本体部13に収容された状態のバッテリ12を車両のエンジンルーム内の所定の固定位置にある固定板14上に本体部13と共に固定する固定部材15とを備えている。
【0026】
<本体部13の構成>
図1及び図2に示すように、本体部13は、上端に開口部16を有した有底矩形箱状(有底箱状)をなしている。本体部13は、一例としてプラスチックダンボールによって構成されている。本体部13の上端の開口部16の大きさは、直方体状のバッテリ12が嵌合した状態で本体部13内に収容される程度に設定されている。本体部13内の深さは、バッテリ12の高さよりも若干浅くなる程度に設定されている。したがって、本体部13内にバッテリ12を収容した状態では、バッテリ12の上端部が本体部13の開口部16よりも上側に突出する。
【0027】
本体部13は、矩形板状の底壁17と、底壁17上の周縁に沿って立設された矩形環状の側壁18とを備えている。したがって、本体部13において、側壁18は、開口部16を囲んでいる。側壁18は、本体部13の短辺方向で対向する一対の第1側壁19と、本体部13の長辺方向で対向する一対の第2側壁20とを備えている。
【0028】
<閉塞部材22の構成>
側壁18における本体部13の短辺方向で互いに対向する位置、すなわち一対の第1側壁19における本体部13の長辺方向の中央部には、互いに間隔を置いて鉛直方向に延びる一対の切れ目21がそれぞれ形成されている。各切れ目21は、第1側壁19の上端から第1側壁19の高さの半分程度の位置まで延びている。各第1側壁19における一対の切れ目21同士の間の部分は、矩形板状の閉塞部材22とされている。
【0029】
この場合、各第1側壁19における一対の切れ目21同士の間の部分には閉塞部材22と対応する矩形状の切欠部23が設けられるとともに、切欠部23が閉塞部材22によって閉塞された状態になっている。切欠部23は、側壁18における本体部13の短辺方向で互いに対向する位置、すなわち一対の第1側壁19における互いに対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0030】
閉塞部材22は、下端部において第1側壁19に対して一体に設けられている。閉塞部材22は、その下端部をヒンジ部24として、回動可能に構成されている。すなわち、閉塞部材22は、ヒンジ部24を回動中心として、切欠部23を開放して出現させる開放位置(図3に示す位置)と、切欠部23を閉塞して消失させる閉塞位置(図4に示す位置)との間で回動可能に構成されている。この場合、閉塞部材22は、水平方向に延びる軸線を中心に開放位置と閉塞位置との間で回動する。つまり、閉塞部材22は、切欠部23を閉塞可能に構成されている。閉塞部材22の開放位置は、本体部13の切欠部23よりも外側にある。
【0031】
<エラストマ25の構成>
閉塞部材22の外面には、断熱性を有した矩形板状のエラストマ25が設けられている。エラストマ25は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。エラストマ25は、閉塞部材22のヒンジ部24を跨いで延びている。すなわち、エラストマ25は、閉塞部材22の外面から閉塞部材22よりも下部に位置する第1側壁19の外面にかけて延びている。エラストマ25は、閉塞部材22の外面及び第1側壁19の外面に対して、例えば接着剤や両面粘着テープなどによって貼り付けられている。
【0032】
<固定部材15の構成>
図1及び図2に示すように、固定部材15は、例えば帯状の金属板によって構成される。固定部材15は、水平に延びる帯状の上板部26と、上板部26の両端から鉛直下方に向かって延びる一対の帯状の側板部27と、一対の側板部27の下端から外側に向かってそれぞれ水平に突出する一対の突出部28とを備えている。一対の突出部28は、上板部26と平行に延びている。
【0033】
一対の帯状の側板部27は、上板部26及び一対の突出部28に対して直角に延びている。一対の突出部28には、ボルト29が挿通可能な挿通孔30がそれぞれ形成されている。固定部材15の使用状態では、固定板14上の所定位置に配置された本体部13に収容された状態のバッテリ12の上面に上板部26が押し当てられるとともに、一対の側板部27が外側から内側に向かって一対のエラストマ25にそれぞれ押し当てられる。
【0034】
したがって、一対の側板部27は、固定部材15によって本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定位置に位置する固定板14上に固定した際に、閉塞部材22の閉塞位置から開放位置への変位を阻害する変位阻害部を構成する。この場合、一対のエラストマ25における一対の側板部27が押し当てられた部分は、窪むように弾性変形する。なお、固定板14における固定部材15の一対の突出部28の挿通孔30と対応する位置には、ボルト29が螺入可能なねじ孔31がそれぞれ形成されている。
【0035】
<バッテリインシュレータ11の作用>
次に、バッテリインシュレータ11によってバッテリ12を固定板14上に固定するときの作用について説明する。
【0036】
バッテリインシュレータ11によってバッテリ12を固定板14上に固定する場合には、まず、作業台(図示略)上に本体部13を載置する。続いて、バッテリ12を持ち上げてバッテリ12を本体部13の開口部16から本体部13内に挿入する。このとき、バッテリ12は、かなりの重量(20kg以上)がある。このため、先端部にバッテリ12を挟持可能な挟持部32を有するとともに例えば電力などによって駆動される機械式のアーム33によってバッテリ12を運ぶ。
【0037】
すなわち、バッテリ12を、アーム33の挟持部32によって中央部を短辺方向において挟持した状態で持ち上げて作業台(図示略)上に載置された本体部13の真上まで運んだ後、図3に示すように開口部16から本体部13内に挿入して収容する。このとき、一対のエラストマ25を弾性変形させながら一対の閉塞部材22を予め開放位置に回動させておくとともに挟持部32の位置を一対の切欠部23に合わせることで、挟持部32と本体部13との接触を避けることができる。このため、バッテリ12が本体部13内に円滑に収容される。
【0038】
バッテリ12を本体部13内に収容すると、バッテリ12と本体部13とが嵌合する。このため、本体部13内に収容された状態のバッテリ12をアーム33によって持ち上げると、バッテリ12と共に本体部13が持ち上げられる。引き続き、本体部13内に収容された状態のバッテリ12を、アーム33によって本体部13と共に固定板14上の所定位置に載置する。続いて、挟持部32によるバッテリ12の挟持状態を解除した後、アーム33をバッテリ12から退避させる。
【0039】
続いて、図4に示すように、本体部13の一対の閉塞部材22を開放位置から閉塞位置に回動させて一対の切欠部23を一対の閉塞部材22によってそれぞれ閉塞する。このとき、弾性変形していた一対のエラストマ25の弾性復元力を利用できるので、一対の閉塞部材22を開放位置から閉塞位置に容易に回動することができる。これにより、本体部13によるバッテリ12に対する断熱性が確保される。続いて、本体部13内に収容された状態のバッテリ12に対して上方から長辺方向の中央部に本体部13ごと固定部材15を係合する。
【0040】
これにより、図1及び図2に示すように、固定部材15は、上板部26がバッテリ12の上面に押し当てられるとともに、一対の側板部27が外側から内側に向かって一対のエラストマ25にそれぞれ押し当てられる。続いて、固定部材15の一対の突出部28の挿通孔30の位置を固定板14の一対のねじ孔31の位置に合わせる。続いて、一対のボルト29を一対の突出部28の挿通孔30に挿通した状態で一対のねじ孔31にそれぞれ螺入して締める。
【0041】
これにより、本体部13内に収容された状態のバッテリ12が固定部材15によって固定板14に固定される。このとき、固定部材15の一対の側板部27が外側から内側に向かって一対のエラストマ25にそれぞれ押し当てられた状態が維持される。すなわち、固定部材15の一対の側板部27によって一対の閉塞部材22が一対のエラストマ25を介してそれぞれ内側に向かって押される。
【0042】
このため、固定部材15の一対の側板部27により、一対の閉塞部材22の閉塞位置から開放位置への変位が阻害される。したがって、固定部材15によって本体部13内に収容された状態のバッテリ12が本体部13と共に固定板14上に安定して固定される。
【0043】
<第1実施形態の効果>
以上詳述した第1実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1-1)バッテリインシュレータ11は、本体部13の開口部16を囲む側壁18における互いに対向する位置に切欠部23がそれぞれ設けられるとともに、切欠部23を閉塞可能な閉塞部材22を備えている。
【0044】
この構成によれば、閉塞部材22によって切欠部23を閉塞しない状態において、バッテリ12を機械式のアーム33の挟持部32で挟んで持ち上げて開口部16から本体部13内に収容する際に、アーム33の挟持部32の位置を切欠部23の位置に合わせる。これにより、アーム33の挟持部32が本体部13の側壁18にぶつかることを回避できるので、本体部13に対してバッテリ12を円滑に収容できる。そして、バッテリ12をアーム33によって本体部13内に収容してアーム33をバッテリ12から退避させた後に、切欠部23を閉塞部材22で閉塞することで、バッテリ12に対する断熱性を確保できる。したがって、本体部13に対してバッテリ12を円滑に収容できるとともに、本体部13に収容された状態のバッテリ12に対する断熱性を確保できる。
【0045】
(1-2)バッテリインシュレータ11において、閉塞部材22は、本体部13の側壁18に対して一体に設けられている。
この構成によれば、閉塞部材22を本体部13の側壁18に対して別部材として構成する場合に比べて部品点数を低減できる。
【0046】
(1-3)バッテリインシュレータ11において、閉塞部材22には、断熱性を有したエラストマ25が設けられている。
この構成によれば、本体部13に収容された状態のバッテリ12に対する断熱性をより一層向上できる。
【0047】
(1-4)バッテリインシュレータ11において、閉塞部材22は、ヒンジ部24を回動中心として切欠部23を開放する開放位置と切欠部23を閉塞する閉塞位置との間で回動可能に構成されている。エラストマ25は、ヒンジ部24を跨いで延びている。
【0048】
この構成によれば、閉塞部材22を閉塞位置から開放位置に回動させた際には、エラストマ25が弾性変形する。このため、閉塞部材22を開放位置から閉塞位置に回動させる際には、エラストマ25の弾性復元力を利用できる。したがって、閉塞部材22を開放位置から閉塞位置に容易に回動させることができる。
【0049】
(1-5)バッテリインシュレータ11は、本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定板14に固定する固定部材15を備えている。固定部材15は、本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定板14に固定した際に、閉塞部材22の閉塞位置から開放位置への変位を阻害する側板部27を有している。
【0050】
この構成によれば、固定部材15によって本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定板14に固定した状態では、側板部27によって閉塞部材22の閉塞位置から開放位置への変位が阻害される。このため、固定部材15によって本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定板14に安定して固定することができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、ヒートインシュレータを車両のバッテリを収容するバッテリインシュレータに具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。図5に示すように、この第2実施形態のバッテリインシュレータ41は、上記第1実施形態のバッテリインシュレータ11において、閉塞部材22を閉塞部材42に変更し、固定部材15を固定部材43に変更し、エラストマ25をエラストマ44に変更したものである。したがって、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。また、この第2実施形態では、第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付すものとする。また、この第2実施形態では、図5図8に示すように、本体部13の長辺方向の一方側を前側として説明する。
【0052】
<閉塞部材42の構成>
図5及び図6に示すように、側壁18における本体部13の短辺方向で互いに対向する位置、すなわち一対の第1側壁19における本体部13の長辺方向の中央部には、互いに前後方向に間隔を置いて一対の切れ目21がそれぞれ形成されている。一対の切れ目21のうち、前側に位置する一方は前側切れ目45とされるとともに、後側に位置する他方は後側切れ目46とされている。前側切れ目45は、鉛直方向に対して斜めに延びている。すなわち、前側切れ目45は、上端よりも下端の方が前側に位置するように鉛直方向に対して傾斜して直線状に延びている。後側切れ目46は、鉛直方向に延びている。
【0053】
各切れ目21は、第1側壁19の上端から第1側壁19の高さの半分程度の位置まで延びている。各第1側壁19における一対の切れ目21同士の間の部分は、台形状の閉塞部材42とされている。すなわち、閉塞部材42は、上底となる上縁部47の長さが下底となる下縁部48の長さよりも短い台形板状をなすとともに、下縁部48がヒンジ部24を構成している。この場合、台形板状をなす閉塞部材42における前側の辺は、上端よりも下端の方が前側に位置するように鉛直方向に対して傾斜して直線状に延びる斜辺49とされている。
【0054】
閉塞部材42は、下縁部48をヒンジ部24として、回動可能に構成されている。すなわち、閉塞部材42は、ヒンジ部24を回動中心として、切欠部23を開放して出現させる開放位置(図6に実線で示す位置)と、切欠部23を閉塞して消失させる閉塞位置(図6に二点鎖線で示す位置)との間で回動可能に構成されている。この場合、閉塞部材42は、前後方向に延びる軸線を中心に開放位置と閉塞位置との間で回動する。つまり、閉塞部材42は、切欠部23を閉塞可能に構成されている。閉塞部材42の開放位置は、本体部13の切欠部23よりも外側にある。
【0055】
<エラストマ44の構成>
図5及び図6に示すように、閉塞部材42の外面を含む第1側壁19の外面の大半には、一対の切れ目21を避けるように、断熱性を有した板状のエラストマ44が設けられている。エラストマ44は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。エラストマ44は、第1側壁19の外面に対して、例えば接着剤や両面粘着テープなどによって貼り付けられる。エラストマ44は、閉塞部材42のヒンジ部24を跨いで延びている。すなわち、エラストマ44は、閉塞部材42の外面から閉塞部材42よりも下部に位置する第1側壁19の外面にかけても延びている。
【0056】
エラストマ44は、全体として略矩形板状をなすとともに、一対の切れ目21と対応する位置に一対の切れ目21を露出させる切欠凹部50をそれぞれ有している。エラストマ44の前端部には、前方に向かうほど第1側壁19の外面との距離が短くなる第1テーパ面51が設けられている。エラストマ44における閉塞部材42の外面と対応する部分は、閉塞部材42と同じ台形状をなす台形部52とされている。
【0057】
すなわち、台形部52は、エラストマ44における前後一対の切欠凹部50同士の間の部分によって構成されている。閉塞部材42における下縁部48が上縁部47よりも下縁部48が延びる方向(前後方向)の外側(前側)に突出する側の端部(前端部)と同じ側のエラストマ44の台形部52の端部(前端部)の外面には、第2テーパ面53が設けられている。
【0058】
閉塞部材42が閉塞位置にあるときの台形部52の第2テーパ面53は、前側切れ目45に沿って延びている。第2テーパ面53は、閉塞部材42における下縁部48が上縁部47よりも下縁部48が延びる方向(前後方向)の外側(前側)に向かうほど閉塞部材42の外面との距離が短くなるテーパ面を構成している。なお、本実施形態における本体部13の一対の第2側壁20の外面には、それぞれエラストマ25が当該外面の大半を覆うように設けられている。
【0059】
<固定部材43の構成>
図5及び図7に示すように、固定部材43は、例えば金属板によって構成される。固定部材43は、一対の帯状の側板部54と、一対の矩形板状の突出部55と、帯状の上板部56とを備えている。一対の側板部54は、固定板14上に所定間隔を置いて互いに対向するように立設されている。一対の突出部55は、一対の側板部54の上端から外側に向かって水平に突出している。一対の突出部55は、一対の側板部54とそれぞれ一体に形成されている。
【0060】
一対の突出部55の中央部には、ボルト29が螺入可能なねじ孔57がそれぞれ形成されている。上板部56は、水平に延びるとともに、一対の突出部55同士を連結する。上板部56の両端部には、ボルト29が挿通可能な挿通孔(図示略)がそれぞれ形成されている。上板部56は、一対の突出部55間に橋を架けるように両端部を一対の突出部55上に載置した際に、挿通孔(図示略)とねじ孔57とが対向するように構成されている。上板部56は、一対の突出部55と平行に延びている。
【0061】
固定部材43の使用状態では、固定板14上の所定位置に配置された本体部13に収容された状態のバッテリ12の上面に上板部56が押し当てられ、且つ一対の側板部54が外側から内側に向かって一対のエラストマ44の台形部52にそれぞれ押し当てられる。
【0062】
したがって、一対の側板部54は、固定部材43によって本体部13に収容された状態のバッテリ12を本体部13と共に固定板14上の固定位置に固定した際に、閉塞部材42の閉塞位置から開放位置への変位を阻害する変位阻害部を構成する。なお、一対のエラストマ44における一対の側板部54が押し当てられた部分は、窪むように弾性変形する。
【0063】
<バッテリインシュレータ41の作用>
次に、バッテリインシュレータ41によってバッテリ12を固定板14上に固定するときの作用について説明する。
【0064】
バッテリインシュレータ41によってバッテリ12を固定板14上に固定する場合には、上記第1実施形態と同様にして、本体部13内に収容された状態のバッテリ12を、アーム33によって本体部13と共に固定板14上の所定位置に載置する。このとき、図7に示すように、バッテリ12を収容した状態の本体部13は、前側に一対の側板部54同士の間の部分が隣り合う位置に配置される。
【0065】
アーム33を退避させた後、本体部13の一対の閉塞部材42を開放位置から閉塞位置に回動させて一対の切欠部23を一対の閉塞部材42によってそれぞれ閉塞する。このとき、弾性変形していた一対のエラストマ44の弾性復元力を利用できるので、一対の閉塞部材42を開放位置から閉塞位置に容易に回動することができる。これにより、本体部13によるバッテリ12に対する断熱性が確保される。しかし、図7に示すように、一対の閉塞部材42は、閉塞位置に回動させても、自重とエラストマ44の重量とにより、半開きの状態になる。
【0066】
続いて、図7及び図8に示すように、バッテリ12を収容した状態の本体部13を前方にスライドさせて一対の側板部54間へ移動させる。このとき、エラストマ44の前端部が側板部54に接触する。しかし、エラストマ44の前端部には、第1テーパ面51が形成されている。このため、図8に示すように、側板部54が第1テーパ面51上を滑るので、エラストマ44の前端部が側板部54に引っ掛かることなく、本体部13の前端部が一対の側板部54間に挿入される。
【0067】
このとき、半開きの状態の閉塞部材42の斜辺49の下端が側板部54に接触する。引き続き、本体部13を前方にスライドさせると、側板部54は、斜辺49を押圧しながら斜辺49の下端から上端に向かって相対的に摺動する。このとき、側板部54が斜辺49を押圧する力の一部が半開きの状態の閉塞部材42を閉塞位置に回動させる力として作用する。このため、作業者が本体部13を前方へ押して一対の側板部54間に挿入する際に、閉塞部材42を手で押さえて閉塞位置に維持する必要がなくなる。
【0068】
さらにこのとき、エラストマ44の台形部52の前端部が側板部54に接触する。しかし、エラストマ44の台形部52の前端部には、第2テーパ面53が形成されている。このため、側板部54が第2テーパ面53上を滑るので、エラストマ44の台形部52の前端部が側板部54に引っ掛からない。したがって、閉塞部材42の斜辺49及びエラストマ44の台形部52の第2テーパ面53の作用により、本体部13は一対の側板部54間に容易且つ円滑に挿入される。
【0069】
そして、本体部13は、図9に示すように、閉塞部材42における前後方向の中央部が側板部54と対向するまで前方へスライドされる。その後、一対の側板部54の上端に形成された一対の突出部55間に橋を架けるように、上板部56の両端部を一対の突出部55上に載置する。これにより、上板部56の両端部の挿通孔(図示略)と一対の突出部55のねじ孔57とが対向する。
【0070】
引き続き、一対のボルト29を上板部56の両端部の挿通孔(図示略)に挿通した状態で一対の突出部55のねじ孔57にそれぞれ螺入して締める。これにより、図5に示すように、本体部13内に収容された状態のバッテリ12が固定部材43によって固定板14上に固定される。このとき、上板部56はバッテリ12の上面に押し当てられるとともに、一対の側板部54は外側から内側に向かって一対のエラストマ44の台形部52にそれぞれ押し当てられる。
【0071】
この場合、一対の側板部54により、一対の閉塞部材42の閉塞位置から開放位置への変位が阻害される。したがって、固定部材43によって本体部13内に収容された状態のバッテリ12が本体部13と共に固定板14上に安定して固定される。
【0072】
<第2実施形態の効果>
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1-1)~(1-5)に記載の効果に加えて次のような効果が発揮される。
【0073】
(2-1)バッテリインシュレータ41において、閉塞部材42は、上底となる上縁部47の長さが下底となる下縁部48の長さよりも短い台形状をなすとともに、下縁部48がヒンジ部24を構成している。すなわち、台形板状をなす閉塞部材42における前側の辺は、上端よりも下端の方が前側に位置するように鉛直方向に対して傾斜して直線状に延びる斜辺49になっている。
【0074】
この構成によれば、閉塞部材42が半開きの状態で、バッテリ12を収容した状態の本体部13を前方にスライド移動させて一対の側板部54間に挿入すると、閉塞部材42の斜辺49の下端が側板部54に接触する。引き続き、本体部13を前方にスライド移動させると、側板部54に閉塞部材42の斜辺49の下端が押し付けられるので、側板部54が斜辺49に沿って斜辺49の上端に向かって相対的に摺動する。このとき、閉塞部材42の斜辺49が側板部54に押し付けられる力の一部が、閉塞部材42を閉塞位置へ回動させる力として作用するため、本体部13の前方へのスライド移動に伴って閉塞部材42が閉塞位置へ向かって回動する。このため、作業者が本体部13を前方へ押して一対の側板部54間に挿入する際に、閉塞部材42を手で押さえて閉塞位置に維持する必要がなくなる。したがって、バッテリ12を収容した状態の本体部13の一対の側板部54間への挿入性を向上できる。すなわち、バッテリ12を収容した状態の本体部13を一対の側板部54間へ挿入する作業の作業性を向上できる。
【0075】
(2-2)バッテリインシュレータ41において、エラストマ44の台形部52は閉塞部材42の外面に設けられるとともに、台形部52の前端部の外面には前側に向かうほど閉塞部材42の外面との距離が短くなる第2テーパ面53が設けられている。
【0076】
通常、閉塞部材42が半開きの状態で、バッテリ12を収容した状態の本体部13を前方にスライド移動させて一対の側板部54間に挿入すると、エラストマ44の台形部52の前端部が側板部54に引っ掛かり易い。この点、この構成によれば、エラストマ44の台形部52の前端部に第2テーパ面53が設けられているため、エラストマ44の台形部52の前端部が側板部54に引っ掛かり難くなる。したがって、バッテリ12を収容した状態の本体部13の一対の側板部54間への挿入性をより一層向上できる。
【0077】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
図10に示すように、閉塞部材22を第1側壁19(側壁18)に対して別部材として構成するとともに、閉塞部材22及びエラストマ25を固定部材15の側板部27の内側に設けるようにしてもよい。このようにすれば、本体部13に収容された状態のバッテリ12に固定部材15を係合した際に、閉塞部材22によって切欠部23を閉塞することができる。
【0079】
・固定部材15,43は、省略してもよい。
・閉塞部材22は、必ずしもヒンジ部24を回動中心として切欠部23を開放する開放位置と切欠部23を閉塞する閉塞位置との間で回動可能に構成されている必要はない。
【0080】
・エラストマ25,44は、必ずしもヒンジ部24を跨いで延びている必要はない。
・エラストマ25,44は、省略してもよい。
・エラストマ25,44は、必ずしも断熱性を有する必要はない。
【0081】
・エラストマ25,44は、閉塞部材22の内面に設けるようにしてもよい。
・エラストマ44における第1テーパ面51及び第2テーパ面53のうちの少なくとも一方を省略してもよい。
【0082】
・閉塞部材22は、必ずしも第1側壁19(側壁18)に対して一体に設ける必要はない。すなわち、閉塞部材22は、第1側壁19(側壁18)に対して別部材として構成してもよい。
【0083】
・閉塞部材22,42は、必ずしも切欠部23を完全に閉塞する必要はない。すなわち、閉塞部材22,42で切欠部23を閉塞した際に、閉塞部材22,42と切欠部23との間に隙間が形成されてもよい。
【0084】
・閉塞部材22は、本体部13の長辺方向における一端部または他端部をヒンジ部24として回動可能に構成してもよい。この場合、閉塞部材22は、鉛直方向に延びる軸線を中心として回動する。
【0085】
・一対の切欠部23のうちのいずれか一方を閉塞部材22,42によって閉塞可能に構成してもよい。
・閉塞部材42の形状は、等脚台形であってもよい。
【0086】
・閉塞部材42の形状は、必ずしも台形状である必要はない。
・本体部13は、不織布によって構成してもよい。
・本体部13を先に固定板14上に載置してからバッテリ12をアーム33によって本体部13内に収容するようにしてもよい。
【0087】
・本体部13の形状は、収容する対象物の形状に応じて変化させてもよい。すなわち、例えば対象物が円柱状である場合には、本体部13を対象物の形状と対応する有底円形箱状に形成してもよい。
【0088】
・対象物は、バッテリ12以外の車両に搭載される断熱が必要な重い部品であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
11,41…ヒートインシュレータの一例としてのバッテリインシュレータ
12…対象物の一例としてのバッテリ
13…本体部
14…固定板
15,43…固定部材
16…開口部
17…底壁
18…側壁
19…第1側壁
20…第2側壁
21…切れ目
22,42…閉塞部材
23…切欠部
24…ヒンジ部
25,44…エラストマ
26,56…上板部
27,54…変位阻害部を構成する側板部
28,55…突出部
29…ボルト
30…挿通孔
31,57…ねじ孔
32…挟持部
33…アーム
45…前側切れ目
46…後側切れ目
47…上縁部
48…下縁部
49…斜辺
50…切欠凹部
51…第1テーパ面
52…台形部
53…テーパ面を構成する第2テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10