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特許7578110路面状態点検装置及び路面状態点検システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】路面状態点検装置及び路面状態点検システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241029BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/09 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022022220
(22)【出願日】2022-02-16
(65)【公開番号】P2023119357
(43)【公開日】2023-08-28
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡元 裕生
(72)【発明者】
【氏名】二神 浩介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 義徳
(72)【発明者】
【氏名】曽根 篤史
(72)【発明者】
【氏名】天海 翔
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 篤史
(72)【発明者】
【氏名】平手 庸介
(72)【発明者】
【氏名】河内 太一
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 展秀
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0072147(US,A1)
【文献】特開2021-110092(JP,A)
【文献】特開2021-026274(JP,A)
【文献】特開2019-159991(JP,A)
【文献】特開2021-068994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面状態の点検を行う路面状態点検装置であって、
車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報と、前記車両の自己位置の情報と、前記車両に搭載されたカメラによって撮像された前記車両の進行方向の周辺環境情報と、を格納する1又は複数の記憶装置と、
1又は複数のプロセッサと、
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記自己位置を基準とする前記車両の進行方向における所定の範囲に前記点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける前記車両の点検実行計画を生成し、
前記点検実行計画の最中に取得される前記車両の走行状態に基づいて、前記点検ポイントにおける路面状態の評価を行い、
前記評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、前記点検ポイントに設定された前記路面状態の詳細情報を更新する、ように構成され、
前記優先順位の設定は、
前記車両の進行方向の前記周辺環境情報に基づいて、前記所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、
前記路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、
を含む
路面状態点検装置。
【請求項2】
路面状態の点検を行う路面状態点検装置であって、
車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報と、前記車両の自己位置の情報と、を格納する1又は複数の記憶装置と、
1又は複数のプロセッサと、
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記自己位置を基準とする前記車両の進行方向における所定の範囲に前記点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔を計算し、
前記間隔が所定の距離未満の場合、相対的に高い優先順位を有する点検ポイントについて前記車両の点検実行計画を生成し、
前記間隔が前記所定の距離以上の場合、前記隣り合う2箇所の点検ポイントの両方について前記点検実行計画を生成し、
前記点検実行計画の最中に取得される前記車両の走行状態に基づいて、前記点検ポイントにおける路面状態の評価を行い、
前記評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、前記点検ポイントに設定された前記路面状態の詳細情報を更新する、ように構成された
路面状態点検装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の路面状態点検装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記点検実行計画の最中に前記車両の異常が検出されたか否かを判定し、
前記車両の異常が検出されたと判定された場合、当該点検実行計画の最中に取得される前記車両の走行状態に基づいて前記路面状態の評価の実行を中止し、又は、前記評価が行われた前記路面状態の最新情報に基づいて前記路面状態の詳細情報の更新を中止する、ように構成された
路面状態点検装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の路面状態点検装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記点検実行計画の生成前に、所定の生成忌避条件が満たされるか否かを判定し、
前記所定の生成忌避条件が満たされると判定された場合、前記点検実行計画の生成を中止する、ように構成された
路面状態点検装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の路面状態点検装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
所定エリアに物体が認識されたか否かを判定し、
前記所定エリアに前記物体が認識されたと判定された場合、前記点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる前記車両の走行計画を変更する、ように構成され、
前記走行計画を変更する処理による変更後の走行計画が、前記物体への接近を抑制する走行計画を含む
路面状態点検装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の路面状態点検装置であって、
前記路面状態の詳細情報は、路面の滑りやすさの情報、路面の凹凸関連の情報、路面の勾配関連の情報、路面の形状関連の情報、速度上限の情報、及び走行安全機能の作動履歴の情報、のうち少なくとも一つを含む
路面状態点検装置。
【請求項7】
路面状態の点検を行う路面状態点検システムであって、
車両と、前記車両と通信可能な管理装置を備え、
前記車両は、第1プロセッサと、第1記憶装置とを含む路面状態点検装置と、車両側通信装置と、を備え、
前記管理装置は、第2プロセッサと、第2記憶装置と、管理側通信装置と、を備え、
前記第1記憶装置は、前記車両の自己位置の情報と、前記車両に搭載されたカメラによって撮像された前記車両の進行方向の周辺環境情報と、を含み、
前記第2記憶装置は、前記車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報を含み、
前記第1プロセッサは、
前記管理装置から前記路面状態の詳細情報を取得し、
前記自己位置を基準とする前記車両の進行方向における所定の範囲に前記点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける前記車両の点検実行計画を生成し、
前記点検実行計画の最中に取得される前記車両の走行状態に基づいて、前記点検ポイントにおける路面状態の評価を行い、
前記評価が行われた路面状態の最新情報を前記管理装置に送信し、
前記第2プロセッサは、
前記路面状態の最新情報に基づいて、前記点検ポイントに設定された前記路面状態の詳細情報を更新する、ように構成され、
前記優先順位の設定は、
前記車両の進行方向の前記周辺環境情報に基づいて、前記所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、
前記路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、
を含む
路面状態点検システム。
【請求項8】
路面状態の点検を行う路面状態点検システムであって、
車両と、前記車両と通信可能な管理装置を備え、
前記車両は、第1プロセッサと、第1記憶装置とを含む路面状態点検装置と、車両側通信装置と、を備え、
前記管理装置は、第2プロセッサと、第2記憶装置と、管理側通信装置と、を備え、
前記第1記憶装置は、前記車両の自己位置の情報と、前記車両に搭載されたカメラによって撮像された前記車両の進行方向の周辺環境情報と、を含み、
前記第2記憶装置は、前記車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報を含み、
前記第2プロセッサは、
前記自己位置を基準とする前記車両の進行方向における所定の範囲に前記点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける前記車両の点検実行計画を生成し、
前記点検実行計画を前記路面状態点検装置に送信し、
前記第1プロセッサは、
前記点検実行計画の最中に取得される前記車両の走行状態を前記管理装置に送信し、
前記第2プロセッサは、
前記車両の走行状態に基づいて、前記点検ポイントにおける路面状態の評価を行い、
前記評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、前記点検ポイントに設定された前記路面状態の詳細情報を更新する、ように構成され、
前記優先順位の設定は、
前記車両の進行方向の前記周辺環境情報に基づいて、前記所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、
前記路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、
を含む
路面状態点検システム。
【請求項9】
請求項又はに記載の路面状態点検システムであって、
前記第2プロセッサは、
前記路面状態の最新情報に基づいて、前記点検ポイントに設定された前記路面状態の詳細情報を更新する前に、
前記路面状態の最新情報と、前記路面状態の最新情報と同じ点検ポイントにおける他車両の走行実績に基づく路面状態の詳細情報とを比較した結果に基づいて、前記路面状態の最新情報が異常であるか否かを判定し、
前記路面状態の最新情報が異常であると判定された場合、前記路面状態の最新情報に基づいた前記路面状態の詳細情報の更新が中止される
路面状態点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面状態の点検を行う装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車の将来の走行軌道(運転計画)を生成する際に、運転計画の生成の対象となる道路の路面μを推定する技術が開示されている。この技術では、路面μの推定の際に、自車または他車による走行実績の情報が用いられる。走行実績の情報としては、前後加速度、横加速度及び道路の位置が例示される。自車の前方の道路の位置に走行実績の情報が存在する場合は、この位置における前後加速度及び横加速度の情報に基づいて路面μが推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-063106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、路面μに代表される路面状態の情報は時々刻々と変化する。そのため、例えば路面μの現在値が走行実績を用いて計算される路面μの推定値よりも小さくなっているときには、路面状態が滑りやすい状態となっている。このため、自車の走行安全性を確保するには、路面状態の情報の鮮度が保たれていることが望ましい。
【0005】
本開示の1つの目的は、路面状態の情報の鮮度を保持することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、路面状態の点検を行う路面状態点検装置に関連する。
路面状態点検装置は、車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報と、車両の自己位置の情報と、車両に搭載されたカメラによって撮像された車両の進行方向の周辺環境情報と、を格納する1又は複数の記憶装置と、1又は複数のプロセッサと、を備える。
1又は複数のプロセッサは、自己位置を基準とする車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける車両の点検実行計画を生成する。
1又は複数のプロセッサは、点検実行計画の最中に取得される車両の走行状態に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。
1又は複数のプロセッサは、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する。
優先順位の設定は、車両の進行方向の周辺環境情報に基づいて、所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、を含む。
【0007】
第2の観点は、路面状態の点検を行う路面状態点検装置に関連する。
路面状態点検装置は、車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報と、車両の自己位置の情報と、を格納する1又は複数の記憶装置と、1又は複数のプロセッサと、を備える。
1又は複数のプロセッサは、自己位置を基準とする車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔を計算する。
1又は複数のプロセッサは、当該間隔が所定の距離未満の場合、相対的に高い優先順位を有する点検ポイントについて車両の点検実行計画を生成する。
1又は複数のプロセッサは、当該間隔が所定の距離以上の場合、隣り合う2箇所の点検ポイントの両方について点検実行計画を生成する。
1又は複数のプロセッサは、点検実行計画の最中に取得される車両の走行状態に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。
1又は複数のプロセッサは、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する。
【0008】
第3の観点は、第1の観点又は第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
1又は複数のプロセッサは、点検実行計画の最中に車両の異常が検出されたか否かを判定する。
1又は複数のプロセッサは、車両の異常が検出されたと判定された場合、当該点検実行計画の最中に取得される車両の走行状態に基づいて路面状態の評価の実行を中止し、又は、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて路面状態の詳細情報の更新を中止する。
【0009】
第4の観点は、第1の観点乃至第3の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。
1又は複数のプロセッサは、点検実行計画の生成前に、所定の生成忌避条件が満たされるか否かを判定する。
1又は複数のプロセッサは、所定の生成忌避条件が満たされると判定された場合、点検実行計画の生成を中止する。
【0010】
第5の観点は、第の観点乃至第4の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。
1又は複数のプロセッサは、更に、所定エリアに物体が認識されたか否かを判定する。
1又は複数のプロセッサは、更に、所定エリアに物体が認識されたと判定された場合、点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる車両の走行計画を変更する。
走行計画を変更する処理による変更後の走行計画が、物体への接近を抑制する走行計画を含む。
【0011】
第6の観点は、第1の観点乃至第5の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。
路面状態の詳細情報は、路面の滑りやすさの情報、路面の凹凸関連の情報、路面の勾配関連の情報、路面の形状関連の情報、速度上限の情報、及び走行安全機能の作動履歴の情報、のうち少なくとも一つを含む。
【0012】
第7の観点は、路面状態の点検を行う路面状態点検システムに関連する。
路面状態点検システムは、車両と、車両と通信可能な管理装置を備える。
車両は、第1プロセッサと、第1記憶装置とを含む路面状態点検装置と、車両側通信装置と、を備える。
管理装置は、第2プロセッサと、第2記憶装置と、管理側通信装置と、を備える。
第1記憶装置は、車両の自己位置の情報と、車両に搭載されたカメラによって撮像された車両の進行方向の周辺環境情報と、を含む。
第2記憶装置は、車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報を含む。
第1プロセッサは、管理装置から路面状態の詳細情報を取得する。
第1プロセッサは、自己位置を基準とする車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける車両の点検実行計画を生成する。
第1プロセッサは、点検実行計画の最中に取得される車両の走行状態に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。
第1プロセッサは、評価が行われた路面状態の最新情報を管理装置に送信する。
第2プロセッサは、路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する。
優先順位の設定は、車両の進行方向の周辺環境情報に基づいて、所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、を含む。
【0013】
第8の観点は、路面状態の点検を行う路面状態点検システムに関連する。
路面状態点検システムは、車両と、車両と通信可能な管理装置を備える。
車両は、第1プロセッサと、第1記憶装置とを含む路面状態点検装置と、車両側通信装置と、を備える。
管理装置は、第2プロセッサと、第2記憶装置と、管理側通信装置と、を備える。
第1記憶装置は、車両の自己位置の情報と、車両に搭載されたカメラによって撮像された車両の進行方向の周辺環境情報と、を含む。
第2記憶装置は、車両の走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細情報を含む。
第2プロセッサは、自己位置を基準とする車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合にこれらの点検ポイントの優先順位を設定して当該点検ポイントにおける車両の点検実行計画を生成する。
第2プロセッサは、点検実行計画を路面状態点検装置に送信する。
第1プロセッサは、点検実行計画の最中に取得される車両の走行状態を管理装置に送信する。
第2プロセッサは、車両の走行状態に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。
第2プロセッサは、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する。
優先順位の設定は、車両の進行方向の周辺環境情報に基づいて、所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する処理と、路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する処理と、を含む。
【0014】
第9の観点は、第の観点又は第8の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
第2プロセッサは、路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する前に、路面状態の最新情報と、路面状態の最新情報と同じ点検ポイントにおける他車両の走行実績に基づく路面状態の詳細情報とを比較した結果に基づいて、路面状態の最新情報が異常であるか否かを判定する。
路面状態の最新情報が異常であると判定された場合、路面状態の最新情報に基づいた路面状態の詳細情報の更新が中止される。
【発明の効果】
【0021】
第1の観点によれば、走行実績に基づく点検ポイントにおいて路面状態の点検を行い、路面状態の最新情報に基づいて路面状態の詳細情報を更新することが可能となる。従って、路面状態の詳細情報の鮮度を保持することが可能となる。また、第1の観点では、車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合に、これらの点検ポイントの優先順位が設定される。これにより、所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合に、高い優先順位を有する点検ポイントでの点検を確実に行うことが可能となる。更に、第1の観点では、所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合に、車両の進行方向のカメラ画像及びインフラカメラ画像の少なくとも一方の情報に基づいて予測される路面状態の変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位が設定される。従って、路面状態の変化が大きい点検ポイントでの点検を確実に行って、その詳細情報を更新することが可能となる。
【0022】
第2の観点によれば、走行実績に基づく点検ポイントにおいて路面状態の点検を行い、路面状態の最新情報に基づいて路面状態の詳細情報を更新することが可能となる。従って、第1の観点と同じ効果が得られる。また、第2の観点では、車両の進行方向における所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合に、これらの点検ポイントの優先順位が設定される。従って、第1の観点と同じ効果が得られる。更に、第2の観点では、2箇所以上の点検ポイントに優先順位が設定された場合、隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔が計算される。そして、この間隔が所定距離未満の場合には相対的に高い優先順位を有する点検ポイントについて点検実行計画が生成される。故に、この場合は、相対的に高い優先順位を有する点検ポイントでの点検を確実に行うことが可能となる。一方、隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔が所定距離以上の場合には、これらの点検ポイントの両方について点検実行計画が生成される。故に、この場合は、優先順位に関係なくこれらの点検ポイントでの点検を行うことが可能となる。
【0023】
第3の観点によれば、車両の異常が検出された場合、路面状態の評価の実行が中止される、又は路面状態の詳細情報の更新が中止される。これにより、適切な路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報が更新されるようにすることができる。
【0024】
第4の観点によれば、所定の生成忌避条件を満たす場合、点検実行計画の生成が中止される。これにより、点検対象外の路面状態に対して点検を行わないようにすることが可能となる。
【0025】
第5の観点によれば、所定エリアに物体が認識された場合、点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる車両の走行計画を物体への接近を抑制する走行計画に変更がなされる。これにより、車両及び物体の走行安全性を担保しつつ路面状態の点検を行うことが可能となる。
【0026】
第6の観点によれば、路面の滑りやすさの情報、路面の凹凸関連の情報、路面の勾配関連の情報、路面の形状関連の情報、速度上限の情報、及び走行安全機能の作動履歴の情報のうち少なくとも一つの情報を管理することが可能となる。
【0027】
第7の観点によれば、車両と、車両と通信可能な管理装置と、を備えることで、路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。
【0028】
第8の観点によれば、車両と、車両と通信可能な管理装置と、を備えることで、路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。更に、点検実行計画以外の処理を管理装置で行うことにより、路面状態点検装置の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0029】
第9の観点によれば、路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報を更新する前に、路面状態の最新情報と、路面状態の最新情報と同じ点検ポイントにおける他車両の走行実績に基づく路面状態の詳細情報との比較が行われる。そして、比較を行った結果、路面状態の最新情報が異常であると判定された場合、路面状態の最新情報に基づいた路面状態の詳細情報の更新が中止される。これにより、適切な路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施の形態1に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る路面状態点検装置の記憶装置に格納されている路面状態の詳細情報の概要を示す図である。
図3】実施の形態1に係る路面状態点検装置の走行点検計画の概要を示す図である。
図4】実施の形態1に係る路面状態点検装置の機能例を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る路面状態点検装置の路面状態点検処理部の処理例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る路面状態点検装置の路面状態点検処理部の処理結果例を示す図である。
図7】実施の形態1の変形例1に係る路面状態点検装置の概要を示す図である。
図8】実施の形態1の変形例1に係る路面状態点検装置の機能例を示すブロック図である。
図9】実施の形態1の変形例1の変形例1-1に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図10】実施の形態1の変形例1の変形例1-1に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態1の変形例1の変形例1-2に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図12】実施の形態1の変形例1の変形例1-2に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図13】実施の形態1の変形例1の変形例1-3に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図14】実施の形態1の変形例2に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図15】実施の形態1の変形例2の変形例2-1に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図16】実施の形態1の変形例2の変形例2-1に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図17】実施の形態1の変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図18】実施の形態1の変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図19】実施の形態1の変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図20】実施の形態1の変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置の処理結果例を示す図である。
図21】実施の形態1の変形例3に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図22】実施の形態1の変形例4に係る路面状態点検装置の構成例を示すブロック図である。
図23】実施の形態1の変形例4に係る路面状態点検装置の処理例を示すフローチャートである。
図24】実施の形態2に係る路面状態点検システムの構成例を示すブロック図である。
図25】実施の形態2に係る路面状態点検システムの処理例を示すフローチャートである。
図26】実施の形態2に係る管理装置の変形例の処理例を示すフローチャートである。
図27】実施の形態3に係る路面状態点検システムの処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係る路面状態点検装置及び路面状態点検システムついて説明する
【0038】
実施の形態1
1.概要
実施の形態1に係る路面状態点検装置は、車両に搭載され、路面状態の点検を行うためのものである。路面状態点検装置は、車両を制御する。典型的に、路面状態点検装置は、車両に搭載されている。路面状態点検装置の少なくとも一部は、車両の外部の外部装置に配置されていてもよいし、リモートで車両を制御してもよい。つまり、路面状態点検装置は、車両と外部装置とに分散的に配置されていてもよい。また、路面状態点検装置により制御される車両は、自動運転車両である。自動運転車両では、従来車両のドライバ(又は遠隔オペレータ)が担っていた路面状態の認知、予測、及び判断は、路面状態点検装置10によって行われる。
【0039】
図1に、実施の形態1に係る路面状態点検装置10の構成例を示す。路面状態点検装置10は、各種情報処理を行う。路面状態点検装置10は、1又は複数のプロセッサ100(以下、単にプロセッサ100と呼ぶ)と、1又は複数の記憶装置110(以下、単に記憶装置110と呼ぶ)と、を含んでいる。プロセッサ100は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ100は、CPU、ECU、等が挙げられる。記憶装置110は、路面状態の詳細情報120のデータ、自己位置の情報130のデータ、及び走行状態の情報140のデータを格納する。記憶装置110としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。プロセッサ100がコンピュータプログラムである路面状態点検プログラムを実行することによって、路面状態点検装置10の機能が実現される。路面状態点検プログラムは、記憶装置110に格納される。路面状態点検プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されてもよい。路面状態点検プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0040】
路面状態の詳細情報120には、図2に示すとおり、走行実績に基づいて点検ポイントごとに設定された路面状態の詳細が含まれる。点検ポイントは、車両1の進行方向における点検範囲を示す。点検範囲としては、走行経路上の位置あるいは走行経路上の位置を含む車両1が走行可能な領域であってもよい。路面状態の詳細情報120としては、路面の滑りやすさの情報、路面の凹凸関連の情報、路面の勾配関連の情報、路面の形状関連の情報、速度上限の情報、走行安全機能の作動履歴の情報、等が例示される。路面の滑りやすさの情報とは、路面が「滑りやすい」又は「滑りにくい」を含む情報のことであり、路面の滑りやすさを示す摩擦係数の情報であってもよい。路面の凹凸関連の情報とは、路面の「凹凸大きい」又は「凹凸小さい」を含む情報のことであり、路面の凹凸量の情報、又は凹凸の度合いをレベルで示す凹凸レベルの情報であってもよい。路面の勾配関連の情報とは、路面の「勾配大きい」又は「勾配小さい」を含む情報のことであり、勾配関連の度合いをレベルで示す勾配レベルの情報であってもよい。路面の形状関連の情報とは、路面の形状が「直進」又は「カーブ」を含む情報のことであり、路面の形状に対応する車両1の舵角を示す車両操作の情報であってもよい。速度上限は、加速の上限値又は減速の上限値を含む情報のことである。走行安全機能の作動履歴とは、ABS(Antilock Brake System)等の安全機能が作動したか否かを記録した情報のことである。履歴情報には、当該機能が作動したときに車両1が走行していた速度の情報を記録してもよい。
【0041】
自己位置の情報130とは、車両1の自己位置を示す情報のことである。走行状態の情報140とは、車両1が点検を実行したときに取得される車両1の走行状態を示す情報のことである。走行状態の情報140には、車両1に搭載される加速度センサから取得される前後方向及び横方向の加速度情報と、車両1に搭載される車輪回転速度センサから取得される車輪回転速度情報と、当該加速度情報及び当該車輪回転速度情報の少なくとも一方に基づいて推定される速度情報と、走行安全機能が作動したことを知らせる検出信号の情報と、ヨーレートセンサから検出されたヨーレート値の情報と、操舵アクチュエータから検出されたタイヤの転舵情報と、駆動アクチュエータから検出されたモータの情報と、制動アクチュエータから検出された油圧ブレーキの情報と、の情報が含まれる。
【0042】
路面状態点検装置10は、上述の路面状態の詳細情報120に基づいて、路面状態の点検を行う。路面状態の点検概要を図3に示す。図3によれば、車両1の進行方向の所定の範囲において、走行実績に基づく点検ポイント(図3に示す例では、点検ポイントP0、及び点検ポイントP1の2箇所)を含む場合、当該点検ポイントに対する路面状態の点検を行う。具体的には、車両1の進行方向の所定の範囲に含まれる点検ポイントP0及び点検ポイントP1の路面状態について点検を行う場合、それぞれの点検ポイントに対して点検実行計画を設定する。点検実行計画とは、通常の車両操作とは異なり、路面状態の点検を行う用途に用いられる車両操作を含む走行計画のことである。車両操作としては、車両1の操舵、減速、加速、等が例示される。このうち少なくとも一つを含む車両操作が設定される。図3では、点検ポイントP0の走行計画には減速の車両操作が設定され、点検ポイントP1の走行計画には加速の車両操作が設定されている例を挙げている。これにより、点検ポイントごとに路面状態の点検を行うことが可能となる。
【0043】
実施の形態1に係る路面状態点検装置10では、プロセッサ100が路面状態点検プログラムを実行することにより、上述のとおり、点検ポイントごとにおける路面状態の点検を行うことが可能となる。さらに、点検実行計画の最中に取得される走行状態の情報140をもとに点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。これにより、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報120を更新することが可能となる。
【0044】
以下、実施の形態1に係る路面状態点検装置10について更に詳しく説明する。
【0045】
2.具体例
路面状態点検装置10は、路面状態の詳細情報120、及び自己位置の情報130に基づいて、点検ポイントにおける車両1の点検実行計画を生成する。さらに、点検実行計画の最中に取得される走行状態の情報140に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。その後、評価が行われた点検ポイントにおける路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報120を更新する。実施の形態1に係る路面状態点検装置10は、以下に説明されるような特徴的な処理を含む。
【0046】
図4は、実施の形態1に係る路面状態点検装置10の機能例を示すブロック図である。路面状態点検装置10は、機能ブロックとして、情報入力部300、及び路面状態点検処理部400を備えている。これらの機能ブロックは、プロセッサ100が路面状態点検プログラムを実行することによって実現される。
【0047】
情報入力部300は、記憶装置110に記録されている、路面状態の詳細情報120、自己位置の情報130、及び走行状態の情報140を入力する処理を行う。その後、入力された路面状態の詳細情報120、自己位置の情報130、及び走行状態の情報140を路面状態点検処理部400に対して出力を行う。
【0048】
路面状態点検処理部400は、さらに、点検要否判定部410、点検実行計画生成部430、点検実行部440、路面状態評価部450、及び路面状態詳細情報更新部460を備えている。路面状態点検処理部400は、入力された路面状態の詳細情報120、及び自己位置の情報130に基づいて、点検ポイントにおける車両1の点検実行計画を生成して路面状態の点検を行う。さらに、点検実行計画の最中に取得される走行状態の情報140に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。その後、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報120を更新する。点検要否判定部410、点検実行計画生成部430、点検実行部440、路面状態評価部450、及び路面状態詳細情報更新部460の各処理の詳細を後述する。
【0049】
点検要否判定部410は、入力された路面状態の詳細情報120、及び自己位置の情報130に基づいて、自己位置を基準とする車両1の進行方向の所定の範囲において、点検ポイントを含むか否かを判定する処理を行う。点検ポイントを含むと判定された場合は路面状態の点検を行う。
【0050】
点検実行計画生成部430は、路面状態を点検する場合において、車両1の進行方向の所定の範囲に含まれる点検ポイントにおける車両1の点検実行計画を生成する。点検実行計画とは、上述のとおり、通常の車両操作とは異なり、路面状態の点検を行う用途に用いられる車両操作を含む走行計画のことである。走行計画の具体例として、点検ポイントで設定された路面状態の詳細情報120に含まれる走行安全機能の作動履歴において、当該機能が作動したことがない履歴となっている場合、当該点検ポイントにおける加速の速度上限を評価するために、走行実績に基づく加速値よりも高い加速値を走行計画として設定してもよい。あるいは、当該機能が作動したことがある履歴となっている場合、当該機能が作動しないように走行実績に基づく加速値よりも低い加速値を走行計画として設定してもよい。
【0051】
点検実行部440は、点検ポイントに自己位置が含まれる場合、当該点検ポイントにおいて生成された点検実行計画を実行する。
【0052】
路面状態評価部450は、点検実行計画の最中に取得された走行状態の情報140を用いて点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。具体的には、走行状態の情報140に基づいて推定された点検ポイントにおける摩擦係数の平均値から路面の滑りやすさを評価してもよい。あるいは、点検ポイントにおいて走行安全機能が作動したか否かの判定に基づいて速度上限を評価してもよい。
【0053】
路面状態詳細情報更新部460は、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報120を更新する処理を行う。
【0054】
図5は、路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400の処理例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS100において、路面状態点検処理部400は、自己位置の情報130に基づいて、自己位置を基準とする車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントを含むか否かを判定する。
【0056】
自己位置を基準とする車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントを含むと判定された場合(ステップS100;Yes)、処理はステップS110に進む。それ以外の場合(ステップS100;No)、処理はステップS100に戻る。
【0057】
ステップS110において、路面状態点検処理部400は、点検実行計画を生成する。その後、処理はステップS120に進む。
【0058】
ステップS120において、路面状態点検処理部400は、自己位置の情報130が点検ポイントに含まれるか否かを判定する。
【0059】
自己位置の情報130が点検ポイントに含まれると判定された場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、処理はステップS120に戻る。
【0060】
ステップS130において、路面状態点検処理部400は、点検実行計画を実行する。その後、処理はステップS140に進む。
【0061】
ステップS140において、路面状態点検処理部400は、点検実行計画の最中に取得される走行状態の情報140に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。その後、処理はステップS150に進む。
【0062】
ステップS150において、路面状態点検処理部400は、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報120を更新する。
【0063】
図6は、実施の形態1に係る路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400の処理結果例を示す図である。図6では、路面状態の最新情報に基づいて、更新された路面状態の詳細情報120の変更箇所の例を示している。
【0064】
以下、実施の形態1に係る路面状態点検装置10の変形例について説明する。
【0065】
3.変形例1
変形例1は、車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合を想定したときの実施の形態1係る路面状態点検装置10の変形例である。なお、上述に示す内容と重複する説明は適宜省略される。
【0066】
図7に変形例1に係る路面状態点検装置10の概要を示す。車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合、点検ポイントごとに点検実行計画を実行する。しかしながら、図7に示すように点検ポイントP0と点検ポイントP1の間隔が短い場合、点検ポイントP0の点検実行計画を実行した後の点検ポイントP1において、所望の点検実行計画を実行することができないことが想定される。具体的には、点検ポイントP0において設定された減速の上限値で路面状態の点検を行う点検実行計画が実行され、続いて、点検ポイントP1において設定された加速の上限値で路面状態の点検を行う点検実行計画が実行される場合を考える。このとき、点検ポイントP0において減速の上限値で路面状態の点検を行った後に、点検ポイントP1において加速の上限値で路面状態の点検を行う場合、車両1の速度が加速の上限値に到達できない可能性がある。このため、変形例1では、車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合、これらの点検ポイントの優先順位を設定する処理が行われる。
【0067】
図8は変形例1の機能例を示すブロック図である。上述の図4で示した機能例との差異は優先順位設定部420の追加である。優先順位設定部420は、上述のとおり、車両1の進行方向の所定の範囲において、点検ポイントが2箇所以上含まれる場合、これらの点検ポイントの優先順位を設定する処理を行う。優先順位の設定における具体例については、以下に示す変形例1-1、及び変形例1-2で説明を行う。また、優先順位が設定された場合の点検実行計画生成部430の変形例を変形例1-3で説明を行う。
【0068】
3-1.変形例1-1
優先順位の設定における具体例の一つ目は、車両1の進行方向の所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントにおいて、天候に基づいて予測される路面状態の変化によって優先順位を設定する例である。図9に変形例1の変形例1-1に係る路面状態点検装置10の構成例を示す。変形例1-1に係る路面状態点検装置10の記憶装置110は、更に、天候の情報150のデータを格納する。
【0069】
図10は、変形例1の変形例1-1に係る路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400における優先順位設定部420の処理例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS200において、優先順位設定部420は、車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれるか否かを判定する。
【0071】
車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれると判定された場合(ステップS200;Yes)、処理はステップS210に進む。それ以外の場合(ステップS200;No)、処理はステップS230に進む。
【0072】
ステップS210において、優先順位設定部420は、天候の情報150に基づいて、2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する。その後、処理はステップS220に進む。予測方法としては、例えば、天候が雨であるとき、路面状態の詳細情報120に含まれる路面の勾配関連の情報において、路面の勾配関連が最も大きい点検ポイントを路面状態の変化が最も大きい点検ポイントとして予測してもよい。
【0073】
ステップS220において、優先順位設定部420は、路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する。その後、処理はステップS240に進む。
【0074】
ステップS230において、優先順位設定部420は、優先順位の設定を行わないとする選択を行う。その後、処理はステップS240に進む。
【0075】
ステップS240において、優先順位設定部420は、処理結果を出力する。
【0076】
3-2.変形例1-2
優先順位の設定における具体例の二つ目は、車両1が走行する周辺環境に基づいて路面状態の変化を予測して優先順位を設定する例である。図11に変形例1の変形例1-2に係る路面状態点検装置10の構成例を示す。変形例1-2に係る路面状態点検装置10の記憶装置110は、更に、周辺環境情報160のデータを格納する。周辺環境情報160には、車両1に搭載されるセンサ(例えば、カメラ、LiDAR、等)から取得されたカメラ画像の情報及び三次元点群の情報の少なくとも一方の情報と、三次元点群の情報に基づいて推定された天候の情報と、路面付近に設置されているインフラ環境センサ(例えば、インフラカメラ、等)から取得されたインフラ情報と、が含まれる。
【0077】
図12は、変形例1の変形例1-1に係る路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400における優先順位設定部420の処理例を示すフローチャートである。
【0078】
ステップS300において、優先順位設定部420は、車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれるか否かを判定する。
【0079】
車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれると判定された場合(ステップS300;Yes)、処理はステップS310に進む。それ以外の場合(ステップS300;No)、処理はステップS330に進む。
【0080】
ステップS310において、優先順位設定部420は、周辺環境情報160を用いて、2箇所以上の点検ポイントにおける路面状態の変化を予測する。その後、処理はステップS320に進む。予測方法としては、例えば、Deep Learning等の機械学習を用いて、路面の凹凸変化が最も大きい点検ポイントを路面状態の変化が最も大きい点検ポイントであると予測してもよい。
【0081】
ステップS320において、優先順位設定部420は、路面状態の予測変化が大きい点検ポイントほど高い優先順位を設定する。その後、処理はステップS340に進む。
【0082】
ステップS330において、優先順位設定部420は、優先順位の設定を行わないとする選択を行う。その後、処理はステップS340に進む。
【0083】
ステップS340において、優先順位設定部420は、処理結果を出力する。
【0084】
3-3.変形例1-3
変形例1-3は、変形例1における点検実行計画生成部430の変形例である。変形例1-3における点検実行計画生成部430では、所定の範囲に含まれる2箇所以上の点検ポイントに優先順位が設定された場合、隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔に基づいて、点検実行計画が生成される。具体例は、図13に示す変形例1の変形例1-3に係る路面状態点検装置10における路面状態点検処理部400の点検実行計画生成部430の処理例を示すフローチャートで説明を行う。
【0085】
ステップS400において、点検実行計画生成部430は、優先順位が設定された隣り合う2箇所の点検ポイントの間隔を計算する。その後、処理はステップS410に進む。
【0086】
ステップS410において、点検実行計画生成部430は、点検ポイントの間隔が所定の距離未満であるか否かの判定を行う。
【0087】
点検ポイントの間隔が所定の距離未満であると判定された場合(ステップS410;Yes)、処理はステップS420に進む。それ以外の場合(ステップS410;No)、処理はステップS430に進む。
【0088】
ステップS420において、点検実行計画生成部430は、相対的に高い優先順位を有する点検ポイントに基づいて点検実行計画を生成する。その後、処理はステップS440に進む。
【0089】
ステップS430において、点検実行計画生成部430は、隣り合う2箇所の点検ポイントの両方に基づいて点実行計画を生成する。その後、処理はステップS440に進む。
【0090】
ステップS440において、点検実行計画生成部430は、処理結果を出力する。
【0091】
4.変形例2
変形例2は、点検を行わないときの実施の形態1係る路面状態点検装置10の例外を示す変形例である。上述に示す実施の形態1と異なる部分は点検要否判定部410である。なお、上述に示す内容と重複する説明は適宜省略される。
【0092】
図14は、実施の形態1の変形例2に係る路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400における点検要否判定部410の処理例を示すフローチャートである。
【0093】
ステップS500において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行前に所定の実行忌避条件を満たすか否かを判定する。
【0094】
所定の実行忌避条件を満たすと判定された場合(ステップS500;Yes)、処理はステップS510に進む。それ以外の場合(ステップS500;No)、処理はステップS520に進む。
【0095】
ステップS510において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止する選択を行う。その後、処理はステップS530に進む。
【0096】
ステップS520において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止しない選択を行う。その後、処理はステップS530に進む。
【0097】
ステップS530において、点検要否判定部410は、処理結果を出力する。
【0098】
所定の実行忌避条件は、車両1の室内に乗員が認識されること、及び、所定エリアに物体(移動物体及び静止物体を含む)が認識されることの少なくとも一方を含む。所定の実行忌避条件である2つの具体例について、以下に示す変形例2-1、及び変形例2-2で説明を行う。
【0099】
4-1.変形例2-1
所定の実行忌避条件を示す具体例の一つ目は、車両1の室内に乗員が認識されていることである。点検実行計画には点検用途の車両操作である走行計画が設定されているため、点検実行計画の最中に乗員に不快感を与える可能性がある。このため、所定の実行忌避条件の一つとして、車両1の室内に乗員が認識されていることを含めることとする。変形例2の変形例2-1に係る路面状態点検装置10の構成例のブロック図を図15に示す。変形例2の変形例2-1に係る路面状態点検装置10の記憶装置110は、更に、車両1に搭載される室内カメラを用いて室内を撮像した室内カメラ画像の情報170のデータを格納する。
【0100】
図16は、変形例2の変形例2-1に係る路面状態点検装置10おける路面状態点検処理部400の点検要否判定部410の処理例を示すフローチャートである。
【0101】
ステップS600において、点検要否判定部410は、室内カメラ画像の情報170に基づいて、乗員が認識されたか否かを判定する。
【0102】
乗員が認識されたと判定された場合(ステップS600;Yes)、処理はステップS610に進む。それ以外の場合(ステップS600;No)、処理はステップS620に進む。
【0103】
ステップS610において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止する選択を実施する。その後、処理はステップS630に進む。
【0104】
ステップS620において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止しない選択を実施する。その後、処理はステップS630に進む。
【0105】
ステップS630において、点検要否判定部410は、処理結果を出力する。
【0106】
4-2.変形例2-2
所定の実行忌避条件を示す具体例の二つ目は、車両1の自己位置を基準とする所定エリアに物体が認識されていることである。例えば、点検ポイントで急減速を行う点検実行計画を実行したとき、後続車との車間距離が短い場合、後続車と衝突してしまうことが想定される。このため、所定の実行忌避条件の一つとして、車両1の自己位置を基準とする所定エリアに物体が認識されていることを含めることとする。変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置10の構成例のブロック図を図17に示す。変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置10の記憶装置110は、更に、周囲カメラ画像の情報180のデータ、及び物体認識位置の情報190のデータを格納する。
【0107】
周囲カメラ画像の情報180には、車両1に搭載されたカメラを用いて車両1の周囲を撮像したカメラ画像の情報が含まれる。物体認識位置の情報190には、周囲カメラ画像の情報180及び車両1に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、物体が認識された位置の情報が含まれる。認識センサとしては、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、RADAR(Radio Detection and Ranging)、等が例示される。周囲カメラ画像の情報180を用いて物体の位置を認識する方法としては、2つの周囲カメラを有するステレオカメラを用いて測距を行う、等が例示される。
【0108】
図18は、変形例2の変形例2-2に係る路面状態点検装置10における路面状態点検処理部400の点検要否判定部410の処理例を示すフローチャートである。
【0109】
ステップS700において、点検要否判定部410は、所定エリアに物体が認識されたか否かを判定する。
【0110】
所定エリアに物体が認識されたと判定された場合(ステップS700;Yes)、処理はステップS710に進む。それ以外(ステップS700;No)、処理はステップS720に進む。
【0111】
ステップS710において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止する選択を行う。その後、処理はステップS730に進む。
【0112】
ステップS720において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行を中止しない選択を行う。その後、処理はステップS730に進む。
【0113】
ステップS730において、点検要否判定部410は、処理結果を出力する。
【0114】
上述では、車両1の自己位置を基準とする所定エリアに物体が認識された場合、点検実行計画の実行を中止する旨を述べた。しかしながら、所定エリアに物体が認識された場合であっても、点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる車両1の走行計画を物体への接近を抑制する走行計画に変更してもよい。この場合における点検要否判定部410の処理例として、図19にフローチャートを示す。
【0115】
ステップS800において、点検要否判定部410は、所定エリアに物体が認識されたか否かを判定する。
【0116】
所定エリアに物体が認識されたと判定された場合(ステップS800;Yes)、処理はステップS810に進む。それ以外(ステップS800;No)、処理はステップS820に進む。
【0117】
ステップS810において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる車両1の走行計画を変更する選択を行う。その後、処理はステップS830に進む。
【0118】
ステップS820において、点検要否判定部410は、点検実行計画の実行前に、当該点検実行計画に含まれる車両1の走行計画を変更しない選択を行う。その後、処理はステップS840に進む。
【0119】
ステップS830において、点検要否判定部410は、物体への接近を抑制する走行計画に変更する。その後、処理はステップS840に進む。
【0120】
ステップS840において、点検要否判定部410は、処理結果を出力する。
【0121】
処理結果例を図20に示す。図20によれば、点検実行計画に含まれる車両1の走行計画には減速を行う設定がなされている。このとき、所定エリアにおいて、車両1の後方に物体が認識された場合、当該走行計画で設定されている減速値よりも低い減速値に設定変更される。その後、変更後の走行計画に基づいて、点検実行計画が実行される。
【0122】
5.変形例3
変形例3は、点検を行わないときの実施の形態1係る路面状態点検装置10の例外を示す変形例2とは別の変形例である。具体的には、変形例2に示す実行忌避条件を満たさない場合、つまり、点検要否判定部410において点検を行う判断がなされた場合において、その後の処理である点検実行計画の生成を行わないときの変形例である。上述に示す実施の形態1と異なる部分は点検実行計画生成部430である。なお、上述に示す内容と重複する説明は適宜省略される。
【0123】
図21は、実施の形態1の変形例3に係る路面状態点検装置10の路面状態点検処理部400における点検実行計画生成部430の処理例を示すフローチャートである。
【0124】
ステップS900において、点検実行計画生成部430は、点検実行計画の生成前に所定の生成忌避条件を満たすか否かを判定する。所定の生成忌避条件には、路面状態の点検を行う用途に用いられる車両操作に含まれる速度が、所定の速度未満且つ一定速度であること、が含まれる。
【0125】
所定の生成忌避条件を満たすと判定された場合(ステップS900;Yes)、処理はステップS910に進む。それ以外の場合(ステップS900;No)、処理はステップS920に進む。
【0126】
ステップS910において、点検実行計画生成部430は、点検実行計画の生成を中止する選択を行う。その後、処理はステップS930に進む。当ステップにおいて、車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントが2箇所以上含まれる場合は、該当する点検ポイントのみ点検実行計画の生成を中止する選択を行い、当該点検ポイントを除く点検ポイントに基づいて点検実行計画の生成を行う。
【0127】
ステップS920において、点検実行計画生成部430は、点検実行計画の生成を中止しない選択を行い、点検実行計画の生成を行う。その後、処理はステップS930に進む。
【0128】
ステップS930において、点検実行計画生成部430は、処理結果を出力する。
【0129】
6.変形例4
点検実行部440において点検実行計画の最中に車両1の異常が検出された場合、取得される車両1の走行状態が適切でないことが想定される。この状態で、路面状態の詳細情報120が更新されてしまうと、車両1が路面状態の詳細情報120に基づいて通常走行する際に、適切でない路面状態の詳細情報120に基づいて走行してしまうおそれがある。このため、変形例4は、実施の形態1に係る路面状態点検装置10の変形例として、車両1の異常が検出された場合、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報120が更新されないようにする。上述に示す実施の形態1と異なる部分は路面状態評価部450である。なお、上述に示す内容と重複する説明は適宜省略される。
【0130】
図22は実施の形態1の変形例4に係る路面状態点検装置10の構成例を示すブロック図である。変形例4に係る路面状態点検装置10の記憶装置110は、更に、異常検出の情報200のデータを格納する。
【0131】
図23は、変形例4に係る路面状態点検装置10における路面状態点検処理部400の路面状態評価部450の処理例を示すフローチャートである。
【0132】
ステップS1000において、路面状態評価部450は、異常検出を含むか否かを判定する。
【0133】
異常検出を含むと判定された場合(ステップS1000;Yes)、処理はステップS1010に進む。それ以外の場合(ステップS1000;No)、処理はステップS1020に進む。
【0134】
ステップS1010において、路面状態評価部450は、路面状態の評価の実行を中止する、又は評価が行われた路面状態の最新情報に基づいた路面状態の詳細情報120の更新を中止する選択を行う。その後、処理はステップS1030に進む。
【0135】
ステップS1020において、路面状態評価部450は、路面状態の評価の実行を行い、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて路面状態の詳細情報120を更新する選択を行う。その後、処理はステップS1030に進む。
【0136】
ステップS1030において、路面状態評価部450は、処理結果を出力する。
【0137】
実施の形態2
実施の形態2に係る路面状態点検システムは、車両1と、車両1と通信可能な管理装置と、を備え、路面状態の点検を行うためのものである。図24に、実施の形態2に係る路面状態点検システム2の構成例を示す。なお、上述に示す実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。路面状態点検システム2は、各種情報処理を行う。路面状態点検システム2は車両1と、車両1と通信可能な管理装置3と、を含んでいる。更に、車両1は、路面状態点検装置10と、車両側通信装置20と、を含んでいる。路面状態点検装置10は、1又は複数の第1プロセッサ(以下、単に第1プロセッサと呼ぶ)と、1又は複数の第1記憶装置(以下、単に第1記憶装置と呼ぶ)と、を含んでいる。第1プロセッサは、各種処理を実行する。第1記憶装置は、自己位置の情報130のデータ、及び走行状態の情報140のデータを格納する。第1プロセッサがコンピュータプログラムである第1路面状態点検プログラムを実行することによって、路面状態点検装置10の機能が実現される。第1路面状態点検プログラムは、第1記憶装置に格納される。第1路面状態点検プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されてもよい。第1路面状態点検プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0138】
管理装置3は、1又は複数の第2プロセッサ(以下、単に第2プロセッサと呼ぶ)と、1又は複数の第2記憶装置(以下、単に第2記憶装置と呼ぶ)と、管理側通信装置30と、を含んでいる。第2記憶装置は、路面状態の詳細情報120のデータを格納する。第2プロセッサがコンピュータプログラムである第2路面状態点検プログラムを実行することによって、管理装置3の機能が実現される。第2路面状態点検プログラムは、第2記憶装置に格納される。第2路面状態点検プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されてもよい。第2路面状態点検プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0139】
車両1に含まれる路面状態点検装置10の第1プロセッサが第1路面状態点検プログラムを実行することにより、路面状態の詳細情報120を管理装置3から取得する。それをもとに、点検ポイントごとに路面状態の点検を行う。さらに、走行点検計画の最中に取得される走行状態の情報140をもとに点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。その後、管理装置3へ送信する。一方、管理装置3に含まれる第2プロセッサが第2路面状態点検プログラムを実行することにより、評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、点検ポイントに設定された路面状態の詳細情報120を更新することが可能となる。これにより、路面状態の詳細情報120を他車両等と共有することが可能となる。
【0140】
図25は、実施の形態2に係る路面状態点検システム2の路面状態点検装置10の処理例を示すフローチャートである。
【0141】
ステップS1100において、路面状態点検装置10は、車両側通信装置20を介して、管理装置3から路面状態の詳細情報120を取得する。その後、処理はステップS1110に進む。
【0142】
ステップS1110において、路面状態点検装置10は、自己位置の情報130に基づいて、自己位置を基準とする車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントを含むか否かを判定する。
【0143】
自己位置を基準とする車両1の進行方向の所定の範囲に点検ポイントを含むと判定された場合(ステップS1110;Yes)、処理はステップS1120に進む。それ以外の場合(ステップS1110;No)、処理はステップS1110に戻る。
【0144】
ステップS1120において、路面状態点検装置10は、点検実行計画を生成する。その後、処理はステップS1130に進む。
【0145】
ステップS1130において、路面状態点検装置10は、自己位置の情報130が点検ポイントに含まれるか否かを判定する。
【0146】
自己位置の情報130が点検ポイントに含まれると判定された場合(ステップS1130;Yes)、処理はステップS1140に進む。それ以外の場合(ステップS1130;No)、処理はステップS1130に戻る。
【0147】
ステップS1140において、路面状態点検装置10は、点検実行計画を実行する。その後、処理はステップS1150に進む。
【0148】
ステップS1150において、路面状態点検装置10は、点検実行計画の最中に取得される車両1の走行状態の情報140に基づいて、点検ポイントにおける路面状態の評価を行う。その後、処理はステップS1160に進む。
【0149】
ステップS1160において、路面状態点検装置10は、評価が行われた路面状態の最新情報を、車両側通信装置20を介して、管理装置3に送信する。
【0150】
実施の形態2の変形例
上述に示す実施の形態2に係る管理装置3は、車両1の路面状態点検装置10で評価が行われた路面状態の最新情報に基づいて、路面状態の詳細情報の更新を行う。これにより、路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。しかしながら、路面状態の最新情報が異常であった場合、その情報に基づいて路面状態の詳細情報の更新が行われることとなり、適切ではない路面状態の詳細情報を他車両等と共有してしまうおそれがある。このため、実施の形態2に係る管理装置3の変形例では、車両1から取得された路面状態の最新情報が異常であるか否かの判定を行い、その結果に基づいて、路面状態の詳細情報の更新を中止する、あるいは路面状態の詳細情報の更新を実行する。これにより、適切な路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。
【0151】
図26は、実施の形態2に係る管理装置3の変形例の処理例を示すフローチャートである。
【0152】
ステップS1200において、管理装置3は、管理側通信装置30を介して、車両1から路面状態の最新情報を取得する。その後、処理はステップS1210に進む。
【0153】
ステップS1210において、管理装置3は、路面状態の最新情報と、路面状態の最新情報と同じ点検ポイントにおける他車両の走行実績に基づく路面状態の詳細情報との比較を行う。その後、処理はステップS1220に進む。
【0154】
ステップS1220において、管理装置3は、ステップS1210で比較した結果に基づいて、路面状態の最新情報が異常であるか否かの判定を行う。
【0155】
路面状態の最新情報が異常であると判定された場合(ステップS1220;Yes)、処理はステップS1230に進む。それ以外の場合(ステップS1220;No)、処理はステップS1240に進む。
【0156】
ステップS1230において、管理装置3は、路面状態の最新情報に基づいた路面状態の詳細情報の更新を中止する。このとき、路面状態の詳細情報の更新を中止するとともに、車両1に対する異常の通知を行ってもよい。
【0157】
ステップS1240において、管理装置3は、路面状態の最新情報に基づいた路面状態の詳細情報の更新を実行する。
【0158】
実施の形態3
実施の形態3に係る路面状態点検システム2は、車両1と、車両1と通信可能な管理装置3と、を備え、路面の状態の点検を行うためのものである。これにより、路面状態の詳細情報120を他車両等と共有することが可能となる。実施の形態2に係る路面状態点検システム2との差異は、処理の分担範囲である。具体的には、実施の形態2に係る路面状態点検システム2では、路面状態の詳細情報120の更新を行う処理が管理装置3で行われ、それ以外の処理は車両1に含まれる路面状態点検装置10で行われる。これに対し、実施の形態3に係る路面状態点検システム2では、点検実行計画の実行は車両1に含まれる路面状態点検装置10で行われ、それ以外の処理は管理装置3で行われる。これにより、車両1に含まれる路面状態点検装置10の処理負荷を軽減することが可能となる。なお、上述に示す実施の形態1又は実施の形態2と重複する説明は適宜省略される。
【0159】
図27は、実施の形態3に係る路面状態点検システム2の路面状態点検装置10の処理例を示すフローチャートである。
【0160】
ステップS1300において、路面状態点検装置10は、管理装置3で生成された点検ポイントにおける車両1の点検実行計画を、車両側通信装置20を介して、管理装置3から取得する。その後、処理はステップS1310に進む。
【0161】
ステップS1310において、路面状態点検装置10は、自己位置の情報130が点検ポイントに含まれるか否かを判定する。
【0162】
自己位置の情報130が点検ポイントに含まれると判定された場合(ステップS1310;Yes)、処理はステップS1320に進む。それ以外の場合(ステップS1310;No)、処理はステップS1310に戻る。
【0163】
ステップS1320において、路面状態点検装置10は、点検実行計画を実行する。その後、処理はステップS1330に進む。
【0164】
ステップS1330において、路面状態点検装置10は、点検実行計画で取得される走行状態の情報140を、車両側通信装置20を介して、管理装置3に送信する。
【0165】
実施の形態3の変形例
上述に示す実施の形態2の変形例と同様に、路面状態の最新情報に基づいて路面状態の詳細情報の更新を中止するか、あるいは路面状態の詳細情報の更新を実行してもよい。従って、実施の形態3に係る管理装置3の変形例では、車両1から取得された路面状態の最新情報が異常であるか否かの判定を行い、その結果に基づいて、路面状態の詳細情報の更新を中止する、あるいは路面状態の詳細情報の更新を実行する。これにより、適切な路面状態の詳細情報を他車両等と共有することが可能となる。なお、路面状態の詳細情報の更新を中止する場合は、車両1に対する異常の通知を行ってもよい。
【符号の説明】
【0166】
1 車両
2 路面状態点検システム
3 管理装置
10 路面状態点検装置
20 車両側通信装置
30 管理側通信装置
100 プロセッサ
110 記憶装置
120 路面状態の詳細情報
130 自己位置の情報
140 走行状態の情報
150 天候の情報
160 周辺環境情報
170 室内カメラ画像の情報
180 周囲カメラ画像の情報
190 物体認識位置の情報
200 異常検出の情報
300 情報入力部
400 路面状態点検処理部
410 点検要否判定部
420 優先順位設定部
430 点検実行計画生成部
440 点検実行部
450 路面状態評価部
460 路面状態詳細情報更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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