(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法、並びに、電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20241029BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241029BHJP
H10K 50/125 20230101ALI20241029BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20241029BHJP
H10K 50/822 20230101ALI20241029BHJP
H10K 50/826 20230101ALI20241029BHJP
H10K 59/30 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
H10K50/844
G09F9/30 339Z
G09F9/30 365
H10K50/125
H10K50/82
H10K50/822
H10K50/826
H10K59/30
(21)【出願番号】P 2022505030
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2021002763
(87)【国際公開番号】W WO2021176894
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2020035663
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝義
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-105068(JP,A)
【文献】特開2009-16298(JP,A)
【文献】特開2016-54046(JP,A)
【文献】特開2016-181332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続されている、
表示装置。
【請求項2】
1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第1のコンタクトホールの側壁部において、互いに電気的に接続されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第2のコンタクトホールの底部において、互いに電気的に接続されている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
2層目以上のカソード電極を、電位供給配線に対して電気的に接続するカソードコンタクト部は、有効画素領域内に設けられている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
カソードコンタクト部は、有効画素領域内の画素毎に設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
カソードコンタクト部は、有効画素領域内の所定の大きさの領域毎に設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
カソードコンタクト部は、有効画素領域内の中央部の画素の近傍に設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
発光部は、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、複数色の単色発光有機材料にて画素単位で形成されている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、白色発光有機材料にて全画素共通に形成されており、
1段、又は、2段以上積層されて設けられている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
発光部の駆動回路部は、半導体基板上に形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
所定の電位が与えられた1層目のカソード電極の上に保護膜を形成し、
次いで、保護膜に、所定の電位が与えられたコンタクト電極に至る第1のコンタクトホールを形成し、
次いで、第1のコンタクトホールの底部でコンタクト電極と電気的に接続され、第1のコンタクトホールの側壁部で1層目のカソード電極と電気的に接続される2層目以上のカソード電極を形成する、
表示装置の製造方法。
【請求項13】
1層目のカソード電極の上に形成した保護膜に、1層目のカソード電極に至る第2のコンタクトホールを形成し、
次いで、第2のコンタクトホールの底部で1層目のカソード電極と電気的に接続される2層目以上のカソード電極を形成する、
請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続されている、
表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置は、フラットパネル型(平面型)の表示装置が主流である。フラットパネル型の表示装置の一つとして、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する、所謂、電流駆動型の電気光学素子を、画素の発光部(発光素子)として用いた表示装置がある。電流駆動型の電気光学素子の一つとして、有機材料のエレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)を利用し、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、『有機EL素子』と略称する場合がある)が知られている。
【0003】
画素の発光部として有機EL素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、『有機EL表示装置』と略称する場合がある)は、一般に、有機EL素子を駆動する回路部を基板上に形成し、当該回路部を覆う状態で絶縁膜(層間膜)を設け、この絶縁膜上に有機EL素子を配列形成した構成となっている。そして、有機EL素子の上には、上部電極として、カソード電極が全画素共通の電極として成膜される。このカソード電極には、所定の電位が与えられる。
【0004】
カソード電極に所定の電位を与えるために、従来は、有効画素領域の外周部に、所定の電位が与えられたコンタクト電極を設け、当該コンタクト電極に対してカソード電極を電気的に接続するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載の従来技術のように、有効画素領域の外周部にコンタクト電極を設け、当該コンタクト電極にてカソード電極と電気的に接続するようにしたのでは、全画素共通に設けられるカソード電極のシート抵抗が種々の要因によって上昇する場合がある。カソード電極のシート抵抗が上昇すると、画角が大きい程、且つ、電流を多く流そうとする程、有効画素領域の中心部で輝度が低下するという不具合が生じる。
【0007】
本開示は、カソード電極のシート抵抗の低抵抗化を可能とした表示装置及び表示装置の製造方法、並びに、当該表示装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の表示装置は、
発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続されている。
【0009】
また、上記の目的を達成するための本開示の表示装置の製造方法は、
所定の電位が与えられた1層目のカソード電極の上に保護膜を形成し、
次いで、保護膜に、所定の電位が与えられたコンタクト電極に至る第1のコンタクトホールを形成し、
次いで、第1のコンタクトホールの底部でコンタクト電極と電気的に接続され、第1のコンタクトホールの側壁部で1層目のカソード電極と電気的に接続される2層目以上のカソード電極を形成する。
【0010】
また、上記の目的を達成するための本開示の電子機器は、
発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールを通して、電位供給配線に対して電気的に接続されている、
表示装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の技術が適用される表示装置の一例である有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【
図2】
図2は、有機EL表示装置における画素(画素回路)の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図3】
図3Aは、従来例に係る表示パネルの平面構造を示す平面図であり、
図3Bは、
図3AのA-A線に沿った矢視断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係る表示装置のパネル構造を示す切断部端面図である。
【
図5】
図5は、赤色、緑色、及び、青色の有機EL素子から成るパネル構造の断面構造を示す断面図である。
【
図6】
図6は、白色有機EL素子とカラーフィルタとの組み合わせから成るパネル構造の要部の断面構造を示す断面構造である。
【
図9】
図9は、実施例3に係る表示装置のパネル構造を示す切断部端面図である。
【
図12】
図12は、実施例5に係る表示装置のパネル構造を示す切断部端面図である。
【
図15】
図15A、
図15B、及び、
図15Cは、実施例7に係るカソードコンタクト部の配置例(その1)、配置例(その2)、及び、配置例(その3)を示す平面図である。
【
図16】
図16Aは、本開示の電子機器の具体例1に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの正面図であり、
図16Bは、その背面図である。
【
図17】
図17は、本開示の電子機器の具体例2に係るヘッドマウントディスプレイの一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示の技術は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器、全般に関する説明
2.本開示の技術が適用される表示装置
2-1.システム構成
2-2.画素回路
2-3.従来例に係るパネル構造
3.本開示の実施形態に係る表示装置
3-1.実施例1(カソード電極が2層の例:2層目のカソード電極を、コンタクトホールの底部で電位供給配線に電気的に接続するとともに、コンタクトホールの側壁部で1層目のカソード電極と2層目のカソード電極とを電気的に接続する例)
3-2.実施例2(実施例1に係る表示装置の製造方法の例)
3-3.実施例3(実施例1の変形例:1層目のカソード電極と2層目のカソード電極とを、専用に形成したコンタクトホールを通して電気的に接続する例)
3-4.実施例4(実施例3に係る表示装置の製造方法の例)
3-5.実施例5(カソード電極が3層の例:3層目のカソード電極を、コンタクトホールの底部で電位供給配線と電気的に接続するとともに、コンタクトホールの側壁部で3層目のカソード電極と、1層目及び2層目のカソード電極とを電気的に接続する例)
3-6.実施例6(実施例5に係る表示装置の製造方法の例)
3-7.実施例7(電位供給配線に対する2層目以上のカソード電極の電気的接続部、及び、各層のカソード電極同士の電気的接続部の配置例)
4.変形例
5.本開示の電子機器
5-1.具体例1(デジタルスチルカメラの例)
5-2.具体例2(ヘッドマウントディスプレイの例)
6.本開示がとることができる構成
【0013】
<本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器、全般に関する説明>
本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器にあっては、1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とが、第1のコンタクトホールの側壁部において、互いに電気的に接続されている構成とすることができる。また、1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とが、第2のコンタクトホールの底部において互いに電気的に接続されている構成とすることができる。
【0014】
上述した好ましい構成を含む本開示の本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器にあっては、2層目以上のカソード電極を、電位供給配線に対して電気的に接続するカソードコンタクト部について、有効画素領域内に設けられている構成とすることができる。このとき、カソードコンタクト部について、有効画素領域内の画素毎に設けられている、あるいは又、有効画素領域内の所定の大きさの領域毎に設けられているあるいは又、有効画素領域内の中央部の画素の近傍に設けられている構成とすることができる。
【0015】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器にあっては、発光部について、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る構成とすることができる。このとき、有機層について、複数色の単色発光有機材料にて画素単位で形成されている、あるいは又、白色発光有機材料にて全画素共通に形成されており、1段、又は、2段以上積層されて設けられている構成とすることができる。
【0016】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の本開示の表示装置、その製造方法及び電子機器にあっては、発光部の駆動回路部について、半導体基板上に形成されている構成とすることができる。
【0017】
<本開示の技術が適用される表示装置>
本開示の技術が適用される表示装置は、透明絶縁性基板上に形成した薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)や、シリコン半導体基板上に形成したMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタで、発光部(発光素子)を駆動して発光させる、所謂、アクティブマトリクス型表示装置である。
【0018】
発光部として、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子がある。電流駆動型の電気光学素子として、有機EL素子を例示することができる。ここでは、一例として、電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子を、画素回路の発光部として用いるアクティブマトリクス型有機EL表示装置を例に挙げて説明するものとする。以下では、「画素回路」を単に「画素」と記述する場合がある。
【0019】
有機EL表示装置の一般的な形態は、ガラス基板等の透明絶縁性基板上に形成した薄膜トランジスタによって有機EL素子に流す電流を制御するというものである。そして、テレビジョンシステムやスマートフォンのディスプレイのような用途には、薄膜トランジスタのチャネル材料として、例えばアモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いるのが一般的である。一方、画素ピッチが例えば10μm以下で、解像度が例えば2500ppi[pixels per inch]を超えるような高精細で、且つ、小型の表示装置の場合には、シリコン基板等の半導体基板上に形成したMOSトランジスタによって有機EL素子に流す電流を制御する場合がある。
【0020】
有機EL表示装置では、全画素共通に設けられた共通電極を例えば0Vに固定とし、有機EL層を挟んで共通電極の反対側に位置し、画素毎に設けられた個別電極に正電圧を印加することで、有機EL素子を発光させることになる。以下では、画素毎に設けられた個別電極をアノード電極と記述し、全画素共通に設けられた共通電極をカソード電極と記述する。
【0021】
上記のように、カソード電極の電位(カソード電位)を0Vに固定する使い方が典型的な例であるが、この使い方に限定されるものではなく、例えばカソード電位を負電位に設定することで、0Vに固定する場合よりも、アノード電極との電位差を大きく設定し、輝度を上げるような使い方も可能である。以下に説明する実施形態では、限定されるものではないが、カソード電位を0Vに固定する使い方を基本とする。
【0022】
[システム構成]
図1は、本開示の技術が適用される表示装置の一例である有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
図1に示すように、本適用例に係る有機EL表示装置10は、有機EL素子を含む複数の画素20が行列状(マトリクス状)に2次元配置されて成る画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置される周辺回路(周辺駆動部)とを有するシステム構成となっている。
【0023】
周辺回路は、例えば、画素アレイ部30と同じ表示パネル70上に搭載された書込み走査部40、駆動走査部50、及び、信号出力部60等から成り、画素アレイ部30の各画素20を駆動する。尚、書込み走査部40、駆動走査部50、及び、信号出力部60のいくつか、あるいは全部を表示パネル70外に設ける構成を採ることも可能である。
【0024】
表示パネル70の基板としては、ガラス基板等の透明絶縁性基板を用いることもできるし、シリコン基板等の半導体基板を用いることもできる。表示パネル70の基板として、半導体基板を用いた有機EL表示装置は、所謂、マイクロディスプレイ(小型ディスプレイ)と呼称され、デジタルスチルカメラの電子ビューファインダや、ヘッドマウントディスプレイの表示部等として用いて好適なものである。
【0025】
有機EL表示装置10については、モノクロ(白黒)表示対応の構成とすることもできるし、カラー表示対応の構成とすることもできる。有機EL表示装置10がカラー表示対応の場合は、カラー画像を形成する単位となる1つの画素(単位画素/ピクセル)は複数の副画素(サブピクセル)から構成される。
【0026】
1つの画素が複数の副画素から構成されるとき、副画素の各々が
図1の画素20に相当することになる。より具体的には、カラー表示対応の表示装置では、1つの画素は、例えば、赤色(Red;R)の光を発光する副画素、緑色(Green;G)の光を発光する副画素、青色(Blue;B)の光を発光する副画素の3つの副画素から構成される。
【0027】
但し、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色(White;W)光を発光する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0028】
画素アレイ部30には、m行n列の画素20の配列に対し、行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って走査線31(311~31m)と駆動線32(321~32m)とが画素行毎に配線されている。更に、m行n列の画素20の配列に対し、列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って信号線33(331~33n)が画素列毎に配線されている。
【0029】
走査線31(311~31m)は、書込み走査部40の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。駆動線32(321~32m)は、駆動走査部50の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。信号線33(331~33n)は、信号出力部60の対応する列の出力端にそれぞれ接続されている。
【0030】
書込み走査部40は、シフトレジスタ回路等によって構成されている。この書込み走査部40は、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の信号電圧の書込みに際し、走査線31(311~31m)に対して書込み走査信号WS(WS1~WSm)を順次供給することによって画素アレイ部30の各画素20を行単位で順番に走査する、所謂、線順次走査を行う。
【0031】
駆動走査部50は、書込み走査部40と同様に、シフトレジスタ回路等によって構成されている。この駆動走査部50は、書込み走査部40による線順次走査に同期して、駆動線32(321~32m)に対して発光制御信号DS(DS1~DSm)を供給することによって画素20の発光/非発光(消光)の制御を行う。
【0032】
信号出力部60は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧(以下、単に「信号電圧」と記述する場合もある)Vsigと基準電圧Vofsとを選択的に出力する。ここで、基準電圧Vofsは、映像信号の信号電圧Vsigの基準となる電圧(例えば、映像信号の黒レベルに相当する電圧)に相当する電圧、あるいは、その近傍の電圧である。基準電圧Vofsは、補正動作を行う際に、初期化電圧として用いられる。
【0033】
信号出力部60から択一的に出力される信号電圧Vsig/基準電圧Vofsは、信号線34(341~34n)を介して画素アレイ部30の各画素20に対して、書込み走査部40による線順次走査によって選択された画素行の単位で書き込まれる。すなわち、信号出力部60は、信号電圧Vsigを画素行(ライン)単位で書き込む線順次書込みの駆動形態を採っている。
【0034】
[画素回路]
図2は、本適用例に係る有機EL表示装置10における画素(画素回路)の回路構成の一例を示す回路図である。画素20の発光部は、有機EL素子21から成る。有機EL素子21は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子の一例である。
【0035】
図2に示すように、画素20は、有機EL素子21と、有機EL素子21に電流を流すことによって当該有機EL素子21を駆動する駆動回路部(画素駆動回路部)とによって構成されている。有機EL素子21は、全ての画素20に対して共通に配線された共通電源線34にカソード電極が接続されている。これにより、有機EL素子21のカソード電極には、共通電源線34を通して所定の電位(例えば、基準電位)がカソード電位V
cathとして与えられる。図中、C
elは、有機EL素子21の等価容量である。
【0036】
有機EL素子21を駆動する駆動回路部は、駆動トランジスタ22、サンプリングトランジスタ23、発光制御トランジスタ24、保持容量25、及び、補助容量26を有する回路構成となっている。ここでは、有機EL素子21及びその駆動回路部を、ガラス基板のような透明絶縁性基板上ではなく、シリコン基板のような半導体基板上に形成することを想定し、駆動トランジスタ22として、Pチャネル型のトランジスタを用いる構成を採っている。
【0037】
また、本例では、サンプリングトランジスタ23及び発光制御トランジスタ24についても、駆動トランジスタ22と同様に、Pチャネル型のトランジスタを用いる構成を採っている。従って、駆動トランジスタ22、サンプリングトランジスタ23、及び、発光制御トランジスタ24は、ソース/ゲート/ドレインの3端子ではなく、ソース/ゲート/ドレイン/バックゲートの4端子となっている。バックゲートには電源電圧Vddが印加される。
【0038】
但し、サンプリングトランジスタ23及び発光制御トランジスタ24については、スイッチ素子として機能するスイッチングトランジスタであることから、Pチャネル型のトランジスタに限られるものではない。すなわち、サンプリングトランジスタ23及び発光制御トランジスタ24は、Nチャネル型のトランジスタでも、Pチャネル型とNチャネル型が混在した構成のものであってもよい。
【0039】
上記の構成の画素20において、サンプリングトランジスタ23は、信号出力部60から信号線33を通して供給される信号電圧Vsigをサンプリングすることによって保持容量25に書き込む。発光制御トランジスタ24は、電源電圧Vddのノードと駆動トランジスタ22のソース電極との間に接続され、発光制御信号DSによる駆動の下に、有機EL素子21の発光/非発光を制御する。
【0040】
保持容量25は、駆動トランジスタ22のゲート電極とソース電極との間に接続されている。この保持容量25は、サンプリングトランジスタ23によるサンプリング動作によって書き込まれた信号電圧Vsigを保持する。駆動トランジスタ22は、保持容量25の保持電圧に応じた駆動電流を有機EL素子21に流すことによって有機EL素子21を駆動する。
【0041】
補助容量26は、駆動トランジスタ22のソース電極と、固定電位のノード、例えば、電源電圧Vddのノードとの間に接続されている。この補助容量26は、信号電圧Vsigを書き込んだときに駆動トランジスタ22のソース電位が変動するのを抑制するとともに、駆動トランジスタ22のゲート-ソース間電圧Vgsを、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthにする作用を為す。
【0042】
[従来例に係るパネル構造]
ここで、従来例に係る表示パネル70の構造(パネル構造)について説明する。
図3Aに、従来例に係る表示パネル70の構造の平面図を示し、
図3Bに、
図3AのA-A線に沿った矢視断面図を示す。
【0043】
表示パネル70は、シリコン基板等の半導体基板71上に、有機EL素子21を駆動する回路部(図示せず)が形成され、当該回路部を覆う状態で絶縁膜である層間膜72が成膜され、当該層間膜72の上に有機EL素子21が配列形成された構成となっている。そして、有機EL素子21の上には、上部電極としてカソード電極73が全画素共通の電極として成膜されている。また、有機EL素子21には、有効画素領域である画素アレイ部30の画素毎に、下部電極としてアノード電極74が設けられている。
図2から明らかなように、アノード電極74は、画素単位で、有機EL素子21を駆動する回路部と電気的に接続されている。
【0044】
カソード電極73には、所定の電位をカソード電位V
cathとして与える必要がある。具体的には、例えば
図2の画素回路の構成を採る場合には、カソード電位V
cathの共通電源線34に対してカソード電極73を電気的に接続する必要がある。そのため、従来例に係る表示パネル70のパネル構造にあっては、画素アレイ部30の領域である有効画素領域の外周部に、所定の電位がカソード電位V
cathとして与えられたコンタクト電極75を矩形環状に設け、当該コンタクト電極75にカソード電極73を電気的に接続するようにしている。
【0045】
上記の構成の従来例に係るパネル構造では、有効画素領域の全面に亘って、全画素共通に設けられるカソード電極73のシート抵抗が種々の要因によって上昇する場合がある。そして、カソード電極73のシート抵抗が上昇すると、画角が大きい程、且つ、電流を多く流そうとする程、有効画素領域の中心部及びその近傍の画素の輝度が低下し、シェーディングの一因となる。また、有効画素領域の外周部にコンタクト電極75を配置する必要があるため、表示パネル70の狭額縁化(チップサイズの縮小化)の妨げとなる。
【0046】
<本開示の実施形態に係る表示装置>
本開示の実施形態として、
図1及び
図2に示した表示装置、即ち、発光部(発光素子)が、電流駆動型の電気光学素子の一例である有機EL素子から成る有機EL表示装置を例に挙げて説明する。
【0047】
有機EL素子において、発光機能層である有機層(有機EL層)は、発光層(例えば、有機発光材料から成る発光層)を備えている。この有機層は、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。また、これらの積層構造等の有機層をタンデムユニットとする場合、有機層は、第1のタンデムユニット、中間層としてのCGL(Charge Generation Layer:電荷発生層)、及び、第2のタンデムユニットが積層された2段のタンデム構造を有していてもよく、更には、3つ以上のタンデムユニットが積層された3段以上のタンデム構造を有していてもよい。
【0048】
有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザ光を照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。有機層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、当該メタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることによって有機層を得ることができるし、有機層を、パターニングすること無く、全面に形成してもよい。
【0049】
本開示の実施形態に係る表示装置は、例えば、発光部として有機EL素子を用いた有機EL表示装置であって、発光部、発光部の上に、互いに層間膜(保護膜)を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、多層のカソード電極に対して所定の電位(例えば、基準電位)を与える電位供給配線、を備えている。そして、多層のカソード電極のうち、2層目以上のカソード電極が、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続された構成となっている。カソード電極について、互いに電気的に接続された多層の電極構造とすることで、カソード電極のシート抵抗の低抵抗化を図ることができる。
【0050】
1層目のカソード電極及び有機層については、マスクスパッタ及び蒸着にて形成するために微細な構造での形成ができなく、その後のフォトレジスト加工にてコンタクトホールを含め形成するときに微細な加工等を実現することになる。2層目以上のカソード電極については、微細な構造での形成が可能であるために、2層目以上のカソード電極を電位供給配線に電気的に接続し、所定の電位に対するカソードコンタクト部とすることで、カソードコンタクト部を有効画素領域内に設けることが可能になる。これにより、有効画素領域内の特に中央部の画素とカソードコンタクト部との間の距離を短くすることができるために、カソード電極のシート抵抗の低抵抗化と相俟って、カソード電極のシート抵抗に起因するシェーディングを抑えることができる。また、カソードコンタクト部を有効画素領域内に設けることにより、表示パネル70の狭額縁化(チップサイズの縮小化)を図ることができる。
【0051】
以下に、多層のカソード電極を有するパネル構造の本開示の実施形態に係る有機EL表示装置の具体的な実施例について説明する。以下では、多層のカソード電極として、例えば、第1のカソード電極と第2のカソード電極とから成る2層のカソード電極を例に挙げて説明することとする。但し、多層のカソード電極としては、2層のカソード電極に限られるものではなく、3層以上のカソード電極であってもよい。
【0052】
[実施例1]
実施例1は、カソード電極が2層の例であり、2層目のカソード電極を、コンタクトホールの底部で電位供給配線に電気的に接続するとともに、コンタクトホールの側壁部で1層目のカソード電極と2層目のカソード電極とを電気的に接続する例である。
図4は、実施例1に係る表示装置のパネル構造を示す切断部端面図である。
【0053】
図4に示すように、有機EL素子21を駆動する画素回路部20Aが形成された半導体基板71上には、当該画素回路部20Aを覆う状態で、絶縁膜である層間膜72が形成されている。そして、層間膜72上には、有機EL素子21を含む画素(副画素)20が配列形成されている。画素20は、例えば、赤色(Red;R)の光を発光する画素20R、緑色の光を発光する画素20G、青色の光を発光する画素20Bの3つの副画素から構成される。
【0054】
ところで、画素20R,20G,20Bの形成手法には大きく分けて二種類ある。その一つは、
図5に示すように、複数色、例えばR,G,Bの単色発光有機材料を蒸着マスクで塗り分けて画素(副画素)単位で有機EL層を形成する手法である。他の一つは、
図6に示すように、複数色の発光スペクトルを持つ白色(W)発光有機材料を、発光画素領域の全面に亘って蒸着して白色有機EL素子(白色有機EL層)21Wを全画素共通に形成し、複数色、例えばR,G,Bの分光スペクトルを持つカラーフィルタ90R,90G,90Bによって分光する手法である。
【0055】
本実施形態に係る有機EL表示装置は、RGB塗分け構造のパネル構造を有する有機EL表示装置であってもよいし、白色(W)1段もしくは2段以上のタンデム構造のパネル構造を有する有機EL表示装置であってもよい。
【0056】
画素20の有機EL素子(有機EL層)21は、有機EL材料を真空蒸着することによって形成される。有機EL素子21には、下部電極としてアノード電極74が、画素毎に独立して層間膜72の上に形成されている。アノード電極74の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)や、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:ITO)と銀(Ag)との積層等による金属材料を用いることができる。
【0057】
層間膜72の上のアノード電極74と同じ層には、コンタクト電極75が形成されている。コンタクト電極75の材料としては、例えば、アノード電極74と同じ材料、即ち、アルミニウムや、酸化インジウム錫と銀との積層等による金属材料を例示することができる。コンタクト電極75には、所定の電位(基準電位)を供給する電位供給配線76が電気的に接続されている。電位供給配線76は、例えば、有機EL素子21を駆動する画素回路部20Aの配線77と同じ層に形成されている。
【0058】
アノード電極74は、有機EL素子21を駆動する画素回路部20Aの配線77に電気的に接続されている。画素回路部20Aの配線77は、画素20が
図2に示す回路例の場合には、有機EL素子21と駆動トランジスタ22とを繋ぐ配線等に相当する。
【0059】
有機EL素子21の上には、上部電極として、1層目のカソード電極である第1のカソード電極731が真空蒸着によって形成されている。第1のカソード電極731の材料としては、例えば、酸化インジウム亜鉛(Indium Zink Oxide:IZO)、酸化インジウム錫(ITO)等の透過性の材料を用いることができる。また、マグネシウム銀(MgAg)等の半透過性の材料を用いることもできる。
【0060】
第1のカソード電極731の上には、画素配列の全面に亘って保護膜78が真空蒸着にて成膜されている。保護膜78の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiNO)、酸化チタン(TiO)、又は、酸化アルミニウム(AlO)等の無機材料を用いることができる。
【0061】
保護膜78の上には、2層目のカソード電極である第2のカソード電極732が真空蒸着によって形成されている。第2のカソード電極732の材料としては、第1のカソード電極731と同じ材料、即ち、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の材料を用いることができる。但し、第2のカソード電極732の材料については、必ずしも、第1のカソード電極731と同じ材料である必要はなく、異なる材料を用いることもできる。
【0062】
第1のカソード電極731と第2のカソード電極732との間の層間膜である保護膜78については、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732との間での光の共振効果を利用した、光取り出しに最適なキャビティ構造を形成するように調整してもよい。
【0063】
図4に示すように、保護膜78には、所定の電位を供給する電位供給配線76と電気的に接続されたコンタクト電極75に、有機EL素子21の層を通して繋がる第1のコンタクトホール79が形成されている。この第1のコンタクトホール79の側壁部には、保護膜78の上面と同様に、第2のカソード電極73
2が真空蒸着にて形成されている。これにより、第2のカソード電極73
2は、コンタクトホール78の底部において、電位供給配線76に対して、コンタクト電極75を介して電気的に接続されている。
【0064】
また、第1のカソード電極731は、第1のコンタクトホール79の側壁部において、第2のカソード電極732と電気的に接続されている。すなわち、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とは、第1のコンタクトホール79の側壁部において、互いに電気的に接続されている。
【0065】
そして、第1のカソード電極731には、第1のコンタクトホール79の底部において、電位供給配線85からコンタクト電極75を介して所定の電位(基準電位)が与えられることになる。また、第2のカソード電極732には、第1のコンタクトホール79の側壁部において、第1のカソード電極731から所定の電位が与えられることになる。
【0066】
[実施例2]
実施例2は、実施例1に係る表示装置のパネル構造の製造方法の例である。実施例2に係る製造方法の工程図(その1)を
図7A、
図7B、及び、
図7Cに示し、工程図(その2)を
図8A、
図8B、及び、
図8Cに示す。ここでは、アノード電極74の形成以降の製造工程について説明することとする。
【0067】
図7Aに示す工程1の状態は、一般的なアノード電極74の形成プロセスで下地を作製した状態を示している。
図7Bに示す工程2では、発光部である有機EL素子21及び第1のカソード電極73
1を蒸着及びスパッタリングによって形成する。次に、
図7Cに示す工程3では、第1のカソード電極73
1の上に、画素配列の全面に亘って保護膜78を、窒化シリコンや酸化チタン等の材料を用いて成膜する。
【0068】
次に、
図8Aに示す工程4では、保護膜78の上に、第1のコンタクトホール79を形成する部位Aを除いてフォトレジスト81を塗布し、次いで、
図8Bに示す工程5では、異方性のエッチングによって、第1のカソード電極73
1と第2のカソード電極73
2とを電気的に接続するための第1のコンタクトホール79を保護膜78に形成する。次に、
図8Cに示す工程6では、フォトレジスト81を除去した後、第1のコンタクトホール79の内壁及び底部を含んで、保護膜78の全面に亘って、第2のカソード電極73
2をスパッタリングもしくは蒸着によって形成する。
【0069】
上述した実施例2に係る製造方法によれば、第1のコンタクトホール79の底部において、第1のカソード電極731をコンタクト電極75に対して電気的に接続することができるとともに、第1のコンタクトホール79の側壁部において、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とを互いに電気的に接続することができる。
【0070】
[実施例3]
実施例3は、実施例1の変形例であり、1層目のカソード電極と2層目のカソード電極とを、専用に形成したコンタクトホール(第2のコンタクトホール)を通して電気的に接続する例である。
図9は、実施例2に係るパネル構造を示す切断部端面図である。
【0071】
実施例1に係る表示装置のパネル構造は、第1のカソード電極73
1と第2のカソード電極73
2とを、第2のカソード電極73
2をコンタクト電極75に接続する第1のコンタクトホール79の側壁部で電気的に接続する構成となっている。これに対し、実施例3に係る表示装置のパネル構造は、
図9に示すように、保護膜78に、第1のカソード電極73
1に繋がる第2のコンタクトホール80を形成するとともに、第2のコンタクトホール80の側壁部及び底部を含んで、保護膜78の全面に亘って、第2のカソード電極73
2を形成し、第2のコンタクトホール80の底部において、第2のカソード電極73
2を第1のカソード電極73
1と電気的に接続する構成となっている。
【0072】
実施例3に係る表示装置のパネル構造によれば、第1のコンタクトホール79の底部において、電位供給配線76からコンタクト電極75を介して第2のカソード電極732に所定の電位が与えられる。そして、この所定の電位が、第1のコンタクトホール79の側壁部において、第1のカソード電極731に与えられるとともに、第2のカソード電極732を通して、第2のコンタクトホール80の底部において、第1のカソード電極731に与えられることになる。
【0073】
尚、実施例3に係る表示装置のパネル構造では、第2のコンタクトホール80の底部の他に、第1のコンタクトホール79の側壁部においても、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とを電気的に接続する構成となっているが、これに限られるものではない。すなわち、第2のコンタクトホール80の底部においてのみ、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とを電気的に接続する構成とすることができる。
【0074】
【0075】
ここでは、アノード電極74の形成以降の製造工程について説明することとする。また、第1のカソード電極731を、電位供給配線85に対して、コンタクト電極75を介して電気的に接続するための第1のコンタクトホール79の形成については、実施例2の製造方法の場合と同じであるため、ここではその説明を省略することとする。
【0076】
図10Aに示す工程1の状態は、一般的なアノード電極74の形成プロセスで下地を作製した状態を示している。
図10Bに示す工程2では、発光部である有機EL素子21及び第1のカソード電極73
1を蒸着及びスパッタリングによって形成する。次に、
図10Cに示す工程3では、第1のカソード電極73
1の上に、画素配列の全面に亘って保護膜78を、窒化シリコンや酸化チタン等の材料を用いて成膜する。
【0077】
次に、
図11Aに示す工程4では、保護膜78の上に、第2のコンタクトホール80を形成する部位Bを除いてフォトレジスト81を塗布し、次いで、
図11Bに示す工程5では、異方性のエッチングによって、第1のカソード電極73
1と第2のカソード電極73
2とを電気的に接続するための第2のコンタクトホール80を保護膜78に形成する。次に、
図11Cに示す工程6では、フォトレジスト81を除去した後、第2のコンタクトホール80の内壁及び底部を含んで、保護膜78の全面に亘って、第2のカソード電極73
2をスパッタリングもしくは蒸着によって形成する。
【0078】
上述した実施例4に係る製造方法によれば、第2のコンタクトホール80の底部において、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とを電気的に接続することができる。
【0079】
[実施例5]
実施例5は、カソード電極が3層の例であり、3層目のカソード電極を、コンタクトホール(第3のコンタクトホール)の底部で電位供給配線と電気的に接続するとともに、コンタクトホールの側壁部で3層目のカソード電極と、1層目及び2層目のカソード電極とを電気的に接続する例である。
図12は、実施例5に係る表示装置のパネル構造を示す切断部端面図である。
【0080】
図12に示すように、第2のカソード電極73
2の上には、画素配列の全面に亘って保護膜82が真空蒸着にて成膜されている。保護膜82の材料としては、保護膜78と同じ材料、即ち、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化チタン、又は、酸化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。
【0081】
保護膜82の上には、3層目のカソード電極である第3のカソード電極733が真空蒸着にて形成されている。第3のカソード電極733の材料としては、第1のカソード電極731及び第2のカソード電極732と同じ材料、即ち、酸化インジウム錫、酸化インジウム亜鉛等の材料を用いることができる。但し、第3のカソード電極733の材料については、必ずしも、第1のカソード電極731及び第2のカソード電極732と同じ材料である必要はなく、異なる材料を用いることもできる。
【0082】
保護膜82及び保護膜78には、所定の電位を供給する電位供給配線76と電気的に接続されたコンタクト電極75に、有機EL素子21の層を通して繋がる第3のコンタクトホール83が形成されている。この第3のコンタクトホール83の側壁部及び底部には、保護膜82の上面と同様に、第3のカソード電極733が真空蒸着にて形成されている。これにより、第3のカソード電極733は、第3のコンタクトホール78の底部において、電位供給配線76に対して、コンタクト電極75を介して電気的に接続されている。
【0083】
また、第1のカソード電極731及び第2のカソード電極732は、第3のコンタクトホール83の側壁部において、第3のカソード電極733と電気的に接続されている。すなわち、第1のカソード電極731及び第2のカソード電極732と第3のカソード電極733とは、第3のコンタクトホール83の側壁部において、互いに電気的に接続されている。
【0084】
第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とは、実施例3に係る表示装置のパネル構造の場合と同様に、第2のコンタクトホール80の底部においても、互いに電気的に接続されている。尚、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とは、第3のコンタクトホール83の側壁部において、第3のカソード電極733を通して互いに電気的に接続されていることから、第2のコンタクトホール80の底部での電気的接続を省略するようにしてもよい。
【0085】
[実施例6]
実施例6は、実施例5に係る表示装置のパネル構造の製造方法の例である。実施例5に係る製造方法の工程図(その1)を
図13A及び
図13Bに示し、工程図(その2)を
図14A及び
図14Bに示す。
【0086】
尚、実施例4に係る製造方法の第2のカソード電極73
2を形成する工程(
図11に示す工程6)以前の工程については、実施例4に係る製造方法の場合と同じであるために、ここではその工程の図示及び説明は省略することとする。
【0087】
第2のカソード電極73
2を形成した後、
図13Aに示す工程1では、第2のカソード電極73
2の上に、画素配列の全面に亘って保護膜82を、窒化シリコンや酸化チタン等の材料を用いて成膜する。次に、
図13Bに示す工程2では、保護膜82の上に、第3のコンタクトホール83を形成する部位Cを除いてフォトレジスト84を塗布する。
【0088】
次に、
図14Aに示す工程3では、異方性のエッチングによって、第3のカソード電極73
3とコンタクト電極75とを電気的に接続するための第3のコンタクトホール83を形成する。次に、
図14Bに示す工程4では、フォトレジスト84を除去した後、第3のコンタクトホール83の内壁及び底部を含んで、保護膜84の全面に亘って、第3のカソード電極73
3をスパッタリングもしくは蒸着によって形成する。
【0089】
上述した実施例4に係る製造方法によれば、第3のコンタクトホール83の底部において、第3のカソード電極733をコンタクト電極75に対して電気的に接続することができる。また、第3のコンタクトホール83の側壁部において、第3のカソード電極733に対して、第1のカソード電極731及び第2のカソード電極732を電気的に接続することができる。
【0090】
[実施例7]
実施例7は、電位供給配線に対する2層目以上のカソード電極の電気的接続部、及び、各層のカソード電極同士の電気的接続部の配置例である。
【0091】
実施例1に係る表示装置のパネル構造では、電位供給配線76に対して第2のカソード電極732が第1のコンタクトホール79の底部で電気的に接続されている。実施例1に係る表示装置のパネル構造では更に、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とが、第1のコンタクトホール79の側壁部で互いに電気的に接続されている。
【0092】
実施例2に係る表示装置のパネル構造では、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とが、第2のコンタクトホール80の底部で互いに電気的に接続されている。
【0093】
実施例3に係る表示装置のパネル構造では、電位供給配線76に対して第3のカソード電極733が第3のコンタクトホール83の底部で電気的に接続されている。実施例3に係る表示装置のパネル構造では更に、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732と第3のカソード電極733とが、第3のコンタクトホール83の側壁部で互いに電気的に接続されている。
【0094】
ここで、便宜上、電位供給配線76に対して、2層目以上のカソード電極(第2のカソード電極732/第3のカソード電極733)が第1のコンタクトホール79/第3のコンタクトホール83の底部で電気的に接続される接続部を第1のカソードコンタクト部とする。また、第1のカソード電極731と第2のカソード電極732とが第2のコンタクトホール80の底部で電気的に接続される接続部を第2のカソードコンタクト部とし、第1のコンタクトホール79/第3のコンタクトホール83の側壁部で各層のカソード電極同士が互いに電気的に接続される接続部を第3のカソードコンタクト部とする。
【0095】
第1のコンタクトホール79/第3のコンタクトホール83の底部を利用する第1のカソードコンタクト部については、白色(W)1段もしくは2段のタンデム構造では、有効画素領域の内側、外側、もしくは、その両側に配置することができ、3段以上のタンデム構造、又は、RGB塗分け構造では、有効画素領域の内側もしくは外側に配置することができる。
【0096】
白色(W)1段もしくは2段のタンデム構造では、第1のカソードコンタクト部の配置位置が有効画素領域の内側及び外側のとき、あるいは、内側のみのときには、コンタクトホール80の底部を利用する第2のカソードコンタクト部、及び、第1のコンタクトホール79/第3のコンタクトホール83の側壁部を利用する第3のカソードコンタクト部を採用することができる。第1のカソードコンタクト部の配置位置が有効画素領域外側のみときには、コンタクトホール79の底部を利用する第2のカソードコンタクト部を採用することができる。RGB塗分け構造では、コンタクトホール80の底部を利用する第2のカソードコンタクト部、及び、第1のコンタクトホール79/第3のコンタクトホール83の側壁部を利用する第3のカソードコンタクト部を採用することができる。
【0097】
特に、第1のカソードコンタクト部については、有効画素領域外に設けることも可能であるが、有効画素領域内の特に中央部の画素20と第1のカソードコンタクト部との間の距離を短くし、カソード電極のシート抵抗の低抵抗化を図る上では、有効画素領域内に設けることが好ましい。また、第1のカソードコンタクト部を有効画素領域内に設けることで、表示パネル70の狭額縁化(チップサイズの縮小化)を図ることができる。
【0098】
図15A、
図15B、及び、
図15Cに、実施例7に係るカソードコンタクト部の配置例(その1)、配置例(その2)、及び、配置例(その3)を示す。
【0099】
例えば、第1のカソードコンタクト部85を、有効画素領域内に設けるに当たっては、最も好ましい形態としては、
図15Aの配置例(その1)に示すように、第1のカソードコンタクト部85を、1つの画素20に1個ずつ配置することである。この配置例(その1)によれば、有効画素領域内における画素20の位置に関係なく、画素20と第1のカソードコンタクト部85との間の距離を短く、しかも、一定にすることができる。
【0100】
また、
図15Bの配置例(その2)に示すように、互いに隣接する複数の画素20を含む所定の大きさの領域Xを単位とし、当該領域Xに第1のカソードコンタクト部85を1個ずつ配置する配置例とすることもできる。ここでは、所定の大きさの領域Xが、互いに隣接する4画素から成る場合を例示しているが、4画素から成る領域に限られるものではなく、その領域Xの大きさは任意である。但し、領域Xを構成する画素数が少ない方が、
図15Aの最も好ましい形態に近付けることができ、画素20と第1のカソードコンタクト部85との間の距離を短く、しかも、一定にすることができる。
【0101】
また、
図15Cの配置例(その3)に示すように、有効画素領域の中央部の画素20oの近傍の複数の画素20に、第1のカソードコンタクト部85を1個ずつ配置する配置例とすることもできる。この配置例(その3)によれば、特に中央部の画素20と第1のカソードコンタクト部85との間の距離を短くし、カソード電極のシート抵抗の低抵抗化を図ることができるため、IRドロップの発生を抑制し、シート抵抗に起因するシェーディングを抑えることができる。
【0102】
<変形例>
以上、本開示の技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示の技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明した表示装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。例えば、上記の実施形態では、有機EL表示装置に適用した場合について説明したが、有機EL表示装置への適用に限られるものではなく、例えば、カソード電極に所定の電位を与える構成をとる表示装置全般に対して適用可能である。
【0103】
また、上記の実施形態では、白色(W)1段のタンデム構造を例に挙げて説明したが、電荷発生層(CGL)を中間層としてタンデムユニットを積層して成る白色(W)2段以上のタンデム構造に対しても、本開示の技術を適用することができる。
【0104】
<本開示の電子機器>
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示する、あらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。電子機器としては、テレビジョンセット、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機等の携帯端末装置、ヘッドマウントディスプレイ等を例示することができる。但し、これらに限られるものではない。
【0105】
このように、あらゆる分野の電子機器において、その表示部として本開示の表示装置を用いることにより、以下のような効果を得ることができる。すなわち、本開示の表示装置によれば、画素解像度の向上、高輝度化、及び、狭額縁化の全てを満たすことができる。従って、本開示の表示装置を用いることにより、電子機器の表示部の高性能化、及び、電子機器本体の小型化に寄与できる。
【0106】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ及びヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これらに限られるものではない。
【0107】
(具体例1)
図16は、本開示の電子機器の具体例1に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、
図16Aにその正面図を示し、
図16Bにその背面図を示す。
【0108】
本具体例1に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)211の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)212を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部213を有している。
【0109】
そして、カメラ本体部211の背面略中央にはモニタ214が設けられている。モニタ214の上部には、電子ビューファインダ(接眼窓)215が設けられている。撮影者は、電子ビューファインダ215を覗くことによって、撮影レンズユニット212から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0110】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、その電子ビューファインダ215として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本具体例1に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、その電子ビューファインダ215として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0111】
[具体例2]
図17は、本開示の電子機器の具体例2に係るヘッドマウントディスプレイの一例を示す外観図である。
【0112】
本具体例2に係るヘッドマウントディスプレイ300は、本体部301、アーム部302及び鏡筒303を有する透過式ヘッドマウントディスプレイ構成となっている。本体部301は、アーム部302及び眼鏡310と接続されている。具体的には、本体部301の長辺方向の端部はアーム部302に取り付けられている。また、本体部301の側面の一方側は、接続部材(図示せず)を介して眼鏡310に連結されている。尚、本体部301は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0113】
本体部301は、ヘッドマウントディスプレイ300の動作を制御するための制御基板や表示部を内蔵している。アーム部302は、本体部301と鏡筒303とを連結させることで、本体部301に対して鏡筒303を支える。具体的には、アーム部302は、本体部301の端部及び鏡筒303の端部と結合されることで、本体部301に対して鏡筒303を固定する。また、アーム部302は、本体部301から鏡筒303に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵している。
【0114】
鏡筒303は、本体部301からアーム部302を経由して提供される画像光を、眼鏡310のレンズ311を透して、ヘッドマウントディスプレイ300を装着するユーザの目に向かって投射する。
【0115】
上記の構成のヘッドマウントディスプレイ300において、本体部301に内蔵される表示部として、本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本具体例2に係るヘッドマウントディスプレイ300は、その表示部として、本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0116】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0117】
≪A.表示装置≫
[A-1]発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続されている、
表示装置。
[A-2]1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第1のコンタクトホールの側壁部において、互いに電気的に接続されている、
上記[A-1]に記載の表示装置。
[A-3]1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第2のコンタクトホールの底部において、互いに電気的に接続されている、
上記[A-2]に記載の表示装置。
[A-4]2層目以上のカソード電極を、電位供給配線に対して電気的に接続するカソードコンタクト部は、有効画素領域内に設けられている、
上記[A-1]乃至上記[A-3]のいずれかに記載の表示装置。
[A-5]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の画素毎に設けられている、
上記[A-4]に記載の表示装置。
[A-6]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の所定の大きさの領域毎に設けられている、
上記[A-4]に記載の表示装置。
[A-7]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の中央部の画素の近傍に設けられている、
上記[A-4]に記載の表示装置。
[A-8]発光部は、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る、
上記[A-1]乃至上記[A-7]のいずれかに記載の表示装置。
[A-9]有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、複数色の単色発光有機材料にて画素単位で形成されている、
上記[A-8]に記載の表示装置。
[A-10]有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、白色発光有機材料にて全画素共通に形成されており、
1段、又は、2段以上積層されて設けられている、
上記[A-8]に記載の表示装置。
[A-11]発光部の駆動回路部は、半導体基板上に形成されている、
上記[A-1]乃至上記[A-10]のいずれかに記載の表示装置。
【0118】
≪B.表示装置の製造方法≫
[B-1]所定の電位が与えられた1層目のカソード電極の上に保護膜を形成し、
次いで、保護膜に、所定の電位が与えられたコンタクト電極に至る第1のコンタクトホールを形成し、
次いで、第1のコンタクトホールの底部でコンタクト電極と電気的に接続され、第1のコンタクトホールの側壁部で1層目のカソード電極と電気的に接続される2層目以上のカソード電極を形成する、
表示装置の製造方法。
[B-2]1層目のカソード電極の上に形成した保護膜に、1層目のカソード電極に至る第2のコンタクトホールを形成し、
次いで、第2のコンタクトホールの底部で1層目のカソード電極と電気的に接続される2層目以上のカソード電極を形成する、
上記[B-1]に記載の表示装置の製造方法。
【0119】
≪C.電子機器≫
[C-1]発光部、
発光部の上に、互いに保護膜を挟んで2層以上積層され、互いに電気的に接続された多層のカソード電極、及び、
多層のカソード電極に対して所定の電位を与える電位供給配線、
を備え、
多層のカソード電極のうち2層目以上のカソード電極は、第1のコンタクトホールの底部において、電位供給配線に対して電気的に接続されている、
表示装置を有する電子機器。
[C-2]1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第1のコンタクトホールの側壁部において、互いに電気的に接続されている、
上記[C-1]に記載の電子機器。
[C-3]1層目のカソード電極と2層目以上のカソード電極とは、第2のコンタクトホールの底部において、互いに電気的に接続されている、
上記[C-2]に記載の電子機器。
[C-4]2層目以上のカソード電極を、電位供給配線に対して電気的に接続するカソードコンタクト部は、有効画素領域内に設けられている、
上記[C-1]乃至上記[C-3]のいずれかに記載の電子機器。
[C-5]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の画素毎に設けられている、
上記[C-4]に記載の電子機器。
[C-6]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の所定の大きさの領域毎に設けられている、
上記[C-4]に記載の電子機器。
[C-7]カソードコンタクト部は、有効画素領域内の中央部の画素の近傍に設けられている、
上記[C-4]に記載の電子機器。
[C-8]発光部は、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る、
上記[C-1]乃至上記[C-7]のいずれかに記載の電子機器。
[C-9]有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、複数色の単色発光有機材料にて画素単位で形成されている、
上記[C-8]に記載の電子機器。
[C-10]有機エレクトロルミネッセンス素子の有機層は、白色発光有機材料にて全画素共通に形成されており、
1段、又は、2段以上積層されて設けられている、
上記[C-8]に記載の電子機器。
[C-11]発光部の駆動回路部は、半導体基板上に形成されている、
上記[C-1]乃至上記[C-10]のいずれかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0120】
10・・・有機EL表示装置、20(20R,20G,20B)・・・画素(副画素)、20A・・・画素回路部、21(21R,21G,21B,21W)・・・有機EL素子(有機EL層)、22・・・駆動トランジスタ、23・・・サンプリングトランジスタ、24・・・発光制御トランジスタ、25・・・保持容量、26・・・補助容量、30・・・画素アレイ部、40・・・書込み走査部、50・・・駆動走査部、60・・・信号出力部、70・・・表示パネル、71・・・半導体基板、72・・・層間膜、73・・・カソード電極(上部電極)、731・・・第1のカソード電極、732・・・第2のカソード電極、733・・・第3のカソード電極、74(74R,74G,74B)、・・・アノード電極(下部電極)、75・・・コンタクト電極、76・・・電源供給配線、77・・・回路部の配線、78,82・・・保護膜、79・・・第1のコンタクトホール、80・・・第2のコンタクトホール、83・・・第3のコンタクトホール、85・・・カソードコンタクト部、90R,90G,90B・・・カラーフィルタ