(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】静電容量型MEMSセンサー、電子機器および移動体
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20241029BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01P15/08 102A
G01P15/125 Z
G01P15/08 101A
(21)【出願番号】P 2023142773
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2022077997の分割
【原出願日】2016-01-13
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】上阪 直
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特許第6648530(JP,B2)
【文献】特許第7074147(JP,B2)
【文献】特開2007-165495(JP,A)
【文献】特開2001-185635(JP,A)
【文献】特開2002-005950(JP,A)
【文献】特開2015-046666(JP,A)
【文献】特開2013-101031(JP,A)
【文献】特開2009-278016(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2172755(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00 ~ 7/04
B81C 1/00 ~ 99/00
G01C 19/00 ~ 19/72
G01P 15/00 ~ 15/18
H01L 21/54
23/00 ~ 23/04
23/06 ~ 23/10
23/16 ~ 23/26
H03H 3/007~ 3/06
9/00 ~ 9/135
9/15 ~ 9/24
9/30 ~ 9/40
9/46 ~ 9/62
9/66
9/70
9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸としたとき、
前記Z軸に直交し、互いに表裏の関係にある第1面及び第2面を含み、前記第1面の側に静電容量の変化に基づき物理量を検出する機能素子が一体化されている基体と、
前記Z軸に直交し、互いに表裏の関係にある第3面及び第4面を含み、前記第4面の側に凹部が設けられている蓋体と、
前記Z軸に沿ったZ軸方向からの平面視で、前記凹部が前記機能素子と重なるように、前記基体の前記第1面と、前記蓋体の前記第4面と、を接合している接合材と、
前記第1面と前記第4面との間に配置されている間隙部材と、
を
含み、
前記機能素子は、
不純物がドープされることにより導電性が付与されているシリコンからなり、
前記間隙部材は、
前記接合材から離間して配置され、
前記第1面と前記第4面とに当接していることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項2】
請求項1において、
前記平面視で、前記間隙部材は、前記機能素子を囲んでいることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記蓋体は、前記第1面の側から前記第4面の側に向って突出している突起部を含み、
前記接合材は、前記突起部と前記前記第4面との間に設けられていることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項4】
請求項3において、
前記突起部は、前記間隙部材と離間していることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記接合材の前記Z軸方向に沿った厚みは、
前記間隙部材の前記Z軸方向に沿った長さと、
前記突起部の前記Z軸方向に沿った長さと、
により規定されていることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記間隙部材の前記Z軸方向に沿った長さは、前記第1面と前記第4面との間隔を規定していることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記間隙部材は、前記蓋体と一体化
されていることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記基体は、前記第1面上に前記機能素子と接続されている配線が設けられていることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項9】
請求項8において、
前記平面視で、前記配線は、前記接合材と交差していることを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、
前記間隙部材の材質は、ガラスまたはシリコンを含むことを特徴とする
静電容量型MEMSセンサー。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記蓋体は、封止部材により塞がれている貫通孔が設けられていることを特徴とする静電容量型MEMSセンサー。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項において、
前記機能素子は、真空状態に密封されていることを特徴とする静電容量型MEMSセンサー。
【請求項13】
請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の
静電容量型MEMSセンサーを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の
静電容量型MEMSセンサーを含むことを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、電子デバイスの製造方法、電子機器および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、シリコンMEMS(Micro Electro MechanicalSystems)技術を用いて物理量を検出する機能素子を備えた電子デバイスとして、半導体基板あるいはガラス基板などのパッケージ基板(基体)上に、シリコン基板などから形成された機能素子を設けて、封止材によって気密封止された加速度センサーやジャイロセンサーなどが知られている。
【0003】
このような電子デバイスとして、例えば、特許文献1では、封止材としての低融点ガラスを減圧雰囲気下で流動点以上に加熱して、ベース基板とリッドとを接合してパッケージを製造することが開示されている。特許文献1に記載の低融点ガラスには、ギャップ材が含まれており、このギャップ材によって、ベース基板とリッドとの間隔を一定にして、低融点ガラスを確実に存在させて接合する電子デバイスの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている電子デバイスの製造方法では、低融点ガラスに接合機能を有していないギャップ材を入れることにより、低融点ガラスに含まれる接合機能を有する成分の含有量が減少し、ベース基板とリッドとの接合強度が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る電子デバイスは、基体と、前記基体上に接合された機能素子と、接合材を介して前記基体上の接合部に接合され、前記機能素子を覆って前記基体との間に内部空間を形成している蓋体と、を備え、前記基体の前記蓋体側の面と前記蓋体の前記基体側の面とに当接された間隙部材を含んでおり、前記間隙部材の高さは、前記接合材の厚さより大きいことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、接合材を介して、基体と蓋体とを接合する際に、間隙部材の高さにより、基体と蓋体との間隔が規定される。その結果、接合部に付与される接合材の量によらず、基体と蓋体との間に接合材を一定の高さ(量)で確実に挿入することができる。
【0009】
従って、接合部に付与される接合材の量が規定量より多い場合であっても、基体と蓋体との間隔が大きくなることを抑制することができる。また、接合部に付与される接合材の量が規定量より少ない場合であっても、基体と蓋体との間隔が小さくなることを抑制することができる。その結果、基体と蓋体との間隔を一定にして確実に接合することができることから、接合強度の劣化を低減させて、信頼性の高い電子デバイスを得ることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る電子デバイスにおいて、前記間隙部材の高さは、前記機能素子の厚さと略同じであることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、間隙部材と機能素子とを同一基板から容易に一括形成することができ、低コスト化を図ることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る電子デバイスは、前記間隙部材は、前記機能素子と同じ材料で形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、間隙部材を形成するためだけの製造工程を必要としないことで、コストアップさせずに間隙部材を得ることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る電子デバイスは、前記間隙部材は、前記機能素子を囲んで配置されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、接合材を介して、基体と蓋体とを接合する際に、機能素子の周囲に亘って、間隙部材の高さにより、基体と蓋体との間隔が規定される。その結果、接合部に付与される接合材の量によらず、機能素子の周囲に亘って、基体と蓋体との間に接合材を一定の高さ(量)で確実に挿入することができる。その結果、基体と蓋体とを確実に接合することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る電子デバイスにおいて、前記間隙部材は、シリコンを含んで形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、間隙部材を形成する際に、シリコン半導体デバイスの作製に用いられる加工技術の適用が可能となる。その結果、微細かつ高い精度で間隙部材を形成することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係る電子デバイスにおいて、前記蓋体は、シリコンを含んで形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、蓋体を形成する際に、シリコン半導体デバイスの作製に用いられる加工技術の適用が可能となる。その結果、微細かつ高い精度で蓋体を形成することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に係る電子デバイスにおいて、前記間隙部材は、前記蓋体と一体になっていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、間隙部材と蓋体とを同一基板から容易に一括形成することができ、低コスト化を図ることができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例に係る電子デバイスにおいて、前記基体は、ガラスを含んで形成されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、基体と機能素子との間に絶縁性を保つ際に、基体に絶縁膜を介在させる必要が無く、容易に絶縁分離をすることができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に係る電子デバイスは、前記接合材は、低融点ガラスを含んで形成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、基体と蓋体とを接合する際に、樹脂や金属やソーダガラスなどで接合する場合と比較して低温度で接合することができる。その結果、基体と蓋体とが高温にさらされることを低減し、破損を抑制することができる。
【0026】
[適用例10]本適用例に係る電子デバイスの製造方法は、基体上に、機能素子を接合する第1接合工程と、間隙部材を形成するエッチング工程と、可撓性を有する接合材を介して、前記機能素子を覆って前記基体との間に内部空間を形成するように、前記基体の接合部に蓋体を接合する第2接合工程と、を備え、前記第2接合工程では、前記間隙部材を、前記基体の前記蓋体側の面と前記蓋体の前記基体側の面とに当接させるステップを含み、前記間隙部材の高さは、前記接合材の厚さより大きいことを特徴とする。
【0027】
この方法によれば、接合材を介して、基体と蓋体とを接合する際に、間隙部材の高さにより、基体と蓋体との間隔が規定される。その結果、接合部に付与される接合材の量によらず、基体と蓋体との間に一定の高さで接合材を確実に挿入することができる。
【0028】
従って、接合部に付与される接合材の量が規定量より多い場合であっても、基体と蓋体との間隔が大きくなることを抑制することができる。また、接合部に付与される接合材の量が規定量より少ない場合でも、基体と蓋体との間隔が小さくなることを抑制することができる。その結果、基体と蓋体とを確実に接合することができることから、接合強度が劣化することを低減させて、信頼性の高い電子デバイスの製造方法を提供できる。
【0029】
[適用例11]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の電子デバイスを備えたことを特徴とする。
【0030】
このような電子機器によれば、上述した電子デバイスが搭載されていることによって、信頼性の高い電子機器を得ることができる。
【0031】
[適用例12]本適用例に係る移動体は、上記に記載の電子デバイスを備えたことを特徴とする。
【0032】
このような移動体によれば、上述した電子デバイスが搭載されていることによって、信頼性の高い移動体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】電子デバイスの一例としての加速度センサーの概略構成を模式的に示す平面図。
【
図2】加速度センサーの概略構成を模式的に示し、
図1のA-A線における正断面図。
【
図3】
図2の間隙部材および突起部を拡大した正断面図。
【
図4】本実施形態に係る加速度センサーの製造方法の概略を示すフローチャート。
【
図5】加速度センサーの製造方法の工程フロー1を示す正断面図。
【
図6】加速度センサーの製造方法の工程フロー2,4を示す正断面図。
【
図7】加速度センサーの製造方法の工程フロー3を示す正断面図。
【
図8】加速度センサーの製造方法の工程フロー5を示す正断面図。
【
図9】加速度センサーの製造方法の工程フロー6を示す正断面図。
【
図10】加速度センサーの製造方法の工程フロー7を示す正断面図。
【
図11】変形例1に係る加速度センサーを模式的に示し、間隙部材および突起部を拡大した正断面図。
【
図12】変形例2に係る間隙部材の配置を示す概略平面図。
【
図13】変形例3に係る間隙部材の配置を示す概略平面図。
【
図14】変形例4に係る間隙部材の配置を示す概略平面図。
【
図15】変形例5に係る間隙部材の配置を示す概略平面図。
【
図16】変形例6に係る間隙部材の配置を示す概略平面図。
【
図17】電子デバイスを備えている電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を模式的に示す斜視図。
【
図18】電子デバイスを備えている電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を模式的に示す斜視図。
【
図19】電子デバイスを備えている電子機器としてのデジタルスチールカメラの構成を模式的に示す斜視図。
【
図20】電子デバイスを備えている移動体の一例としての自動車を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下で説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。また、以下では、説明の便宜上、各図において、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、+Z軸方向側を「上」、-Z軸方向側を「下」という。
【0035】
<実施形態>
[加速度センサー]
図1~
図3を用いて、本発明の実施形態に係る電子デバイスとしての加速度センサーの構造について説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る電子デバイスの一例としての加速度センサーの概略構成を模式的に示しており、
図1は、平面図、
図2は、
図1のA-A線における正断面図である。
【0036】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る加速度センサー100は、基体10と、溝部15と、配線20と、外部接続端子30と、蓋体50と、接合材60と、機能素子80と、間隙部材90と、を含んで構成されている。
【0037】
また、加速度センサー100は、溝部16,17と、配線22,24と、外部接続端子32,34と、貫通孔58と、封止部材70とを含んでいる。なお、便宜上、
図1では、蓋体50、貫通孔58、および封止部材70を透視して図示している。
【0038】
(基体)
基体10は、ガラス(ホウ珪酸ガラス)で形成されている。基体10の材質は、ガラスに限定されることなく、例えば、シリコンであってもよい。
図2に示すように、基体10は、基体10の上面(以下、第1面11と呼ぶ)と、第1面11と反対側の下面(第2面12と呼ぶ)と、を有している。第1面11には、凹部14が設けられている。
【0039】
凹部14の+Z軸方向には、機能素子80の可動部86および可動電極部87が配置され、可動部86および可動電極部87は、凹部14によって基体10に妨害されることなく、所望の方向に可動することができる。Z軸方向から見た平面視において、凹部14の形状は特に限定されないが、本実施形態では長方形である。
【0040】
溝部15は、基体10の第1面11に設けられており、基体10および蓋体50によって囲まれる内部空間56の内側から外側に向かって延在している。溝部15は、例えば、配線20および外部接続端子30の平面形状に対応した平面形状を有している。
【0041】
同様に、溝部16,17は、基体10の第1面11に凹部14の外周に沿うように設けられている。具体的に説明すると、溝部16は、外部接続端子32から-X軸方向に延在し、凹部14の外周に沿って、凹部14の+Y軸方向側、-X軸方向側を経て、-Y軸方向側の最も+X軸方向側に配置されている固定電極部88まで設けられている。
【0042】
溝部17は、外部接続端子34から-X軸方向に延在し、溝部16の外側に沿って、凹部14の+Y軸方向側、-X軸方向側を経て、-Y軸方向側の最も+X軸方向側に配置されている固定電極部89まで設けられている。
【0043】
溝部15,16,17の深さ(Z軸方向の大きさ)は、配線20,22,24および外部接続端子30,32,34の厚み(Z軸方向の大きさ)よりも大きい。これにより、配線20,22,24および外部接続端子30,32,34が、第1面11よりも+Z軸方向に突出することを抑制することができる。
【0044】
(配線)
配線20は、溝部15内に設けられている。具体的には、配線20は、溝部15の底面を規定する基体10の面に設けられている。配線20は、機能素子80と外部接続端子30とを電気的に接続している。配線20は、溝部15内に設けられたコンタクト部40を介して、機能素子80の固定部81に接続されている。
【0045】
配線22は、溝部16内に設けられている。具体的には、配線22は、溝部16の底面を規定する基体10の面に設けられている。配線22は、機能素子80と外部接続端子32とを電気的に接続している。配線22は、コンタクト部42を介して、機能素子80の固定電極部88に接続されている。
【0046】
配線24は、溝部17内に設けられている。具体的には、配線24は、溝部17の底面を規定する基体10の面に設けられている。配線24は、機能素子80と外部接続端子34とを電気的に接続している。配線24は、コンタクト部44を介して、機能素子80の固定電極部89に接続されている。
【0047】
外部接続端子30は、溝部15内の配線20上に設けられている。外部接続端子30は、内部空間56の外側に配置されており、Z軸方向から見た平面視において、蓋体50の端子孔55と重なる位置に設けられている。端子孔55は、外部装置(図示せず)と外部接続端子30とを接続するために、蓋体50をZ軸方向に貫通させた孔である。
【0048】
同様に、外部接続端子32は、溝部16内の配線22上に設けられており、外部接続端子34は、溝部17内の配線24上に設けられている。外部接続端子32,34は、内部空間56の外側に配置されている。外部接続端子30,32,34は、Y軸方向に沿って並んで配置されている。
【0049】
配線20,22,24、および外部接続端子30,32,34の材質は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、アルミニウム、金、白金、チタン、タングステン、クロムなどである。コンタクト部40,42,44の材質は、例えば、金、銅、アルミニウム、白金、チタン、タングステン、クロムなどである。
【0050】
配線20,22,24、および外部接続端子30,32,34の材質が、ITOなどの透明電極材料であると、基体10が透明である場合に、例えば、配線20,22,24上や外部接続端子30,32,34上に存在する異物を、基体10の第2面12側から容易に確認することができる。
【0051】
なお、上記では、一例として、3つの配線20,22,24および3つの外部接続端子30,32,34を備える加速度センサー100について説明したが、配線および外部接続端子の数は、機能素子80の形状や数によって適宜変更することができる。
【0052】
(蓋体)
蓋体50は、接合材60を介して、基体10の第1面11上に接合され、機能素子80を覆って基体10との間に内部空間56を形成している。蓋体50は、シリコンで形成されている。
【0053】
蓋体50は、蓋体50の上面(以下、第3面51と呼ぶ)と、第3面51と反対側の下面(第4面52と呼ぶ)と、を有している。第4面52には、凹部57が設けられている。また、蓋体50の凹部57は、機能素子80を収容する内部空間56を規定する第5面54を有している。内部空間56は、例えば、窒素ガスのような不活性ガス雰囲気や減圧状態で密閉されている。
【0054】
突起部53は、蓋体50のうち-Z軸方向に突出している部分であり、蓋体50の外周部に設けられている。
【0055】
(接合材)
基体10と蓋体50とは、接合部61において、接合材60によって接合されている。
接合材60としては、例えば、低融点ガラスが挙げられる。なお、接合材60は、特に限定されず、例えば、鉛珪酸(PbO-SiO2)塩、ホウ酸(B2O3)塩、リン酸(P2O5)塩、ゲルマン酸(GeO2)塩、タリウム酸(Tl2O)塩、モリブデン酸(MoO3)塩、テルル酸(TeO2)塩、バナジウム酸(V2O5)塩などが挙げられる。
【0056】
これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて、つまり、混合または積層して用いることができる。接合材60の構成材料は、基体10や蓋体50の材料に応じて適宜決定すればよい。
【0057】
(貫通孔)
貫通孔58は、蓋体50の第3面51から第5面54まで、蓋体50をZ軸方向に貫通しており、内部空間56と連通している。貫通孔58は、第3面51から第5面54に向かうにつれて、開口径が小さくなるテーパー形状になっている。
【0058】
こうすることによって、後述する半田ボールを溶融する時に、半田ボールの落下を防止することができる。また、第3面51から第5面54に向かうにつれて、開口面積が狭くなっていく構造のため、より確実に封止することができる。
【0059】
封止部材70は、貫通孔58内に設けられ貫通孔58を塞いでいる。封止部材70によって、内部空間56は、密閉されている。封止部材70の材質は、例えば、AuGe、AuSi、AuSn、SnPb、PbAg、SnAgCu、SnZnBiなどの合金である。
【0060】
貫通孔58および封止部材70が設けられていることにより、貫通孔58を通して、内部空間56を、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気とすることができる。また、貫通孔58を通して、内部空間56の真空度を調整することができる。
【0061】
(機能素子)
機能素子80は、内部空間56に収容されており、基体10の第1面11に接合されている。以下では、機能素子80が、水平方向(X軸方向)の加速度を検出する加速度センサー素子(静電容量型MEMS加速度センサー素子)である場合について説明する。
【0062】
機能素子80は、固定部81,82と、連結部84,85と、可動部86と、可動電極部87と、固定電極部88,89と、を含んでいる。機能素子80の材質は、例えば、リン、ボロンなどの不純物がドープされることにより導電性が付与されたシリコンである。
【0063】
固定部81,82は、基体10の第1面11に接合されている。固定部81,82は、Z軸方向から見た平面視において、凹部14の外周縁を跨ぐように設けられている。
【0064】
連結部84,85は、可動部86を固定部81,82に連結している。連結部84,85は、所望のばね定数を持ち、可動部86がX軸方向に変位するように構成されている。
【0065】
連結部84は、Y軸方向に蛇行しながら、X軸方向に延びる形状をなす2つの梁84a,84bによって構成されている。同様に、連結部85は、Y軸方向に蛇行しながら、X軸方向に延びる形状をなす2つの梁85a,85bによって構成されている。
【0066】
可動部86は、固定部81と固定部82との間に設けられている。Z軸方向から見た平面視において、可動部86は、X軸方向に沿った長辺を有する長方形である。
【0067】
可動部86は、X軸方向の加速度の変化に応じて、連結部84,85を弾性変形させながら、+X軸方向または-X軸方向に変位する。このような変位に伴って、可動電極部87と固定電極部88との間の隙間の大きさ、および可動電極部87と固定電極部89との間の隙間の大きさが変化する。
【0068】
すなわち、このような変位に伴って、可動電極部87と固定電極部88との間の静電容量の大きさ、および可動電極部87と固定電極部89との間の静電容量の大きさが変化する。これらの静電容量の変化に基づいて、機能素子80は、X軸方向の加速度を検出することができる。
【0069】
可動電極部87は、可動部86に接続されており、複数設けられている。可動電極部87は、可動部86から+Y軸方向および-Y軸方向に突出し、櫛歯状をなすようにX軸方向に沿って並んでいる。
【0070】
固定電極部88,89は、一方の端部が固定端として、基体10の第1面11に接合され、他方の端部が自由端として、可動部86側へ延出している。固定電極部88は、配線22と電気的に接続され、固定電極部89は、配線24と電気的に接続されている。
【0071】
固定電極部88,89は、櫛歯状をなすようにX軸方向に交互にそれぞれ複数並んでいる。固定電極部88,89は、可動電極部87に対して間隔を隔てて対向して設けられ、可動電極部87の-X軸方向側に固定電極部88が配置され、+X軸方向側に固定電極部89が配置されている。
【0072】
固定部81,82、連結部84,85、可動部86、および可動電極部87は、一体で形成されている。
【0073】
基体10と機能素子80(固定部81,82および固定電極部88,89)との接合方法は、例えば、基体10の材質がアルカリ金属イオンを有するガラスであり、機能素子80の材質がシリコンである場合は、陽極接合法を適用することができる。本実施形態においては、陽極接合によって基体10と機能素子80とが接合されている。
【0074】
加速度センサー100では、外部接続端子30,32を用いることにより、可動電極部87と固定電極部88との間の静電容量を測定することができる。さらに、加速度センサー100では、外部接続端子30,34を用いることにより、可動電極部87と固定電極部89との間の静電容量を測定することができる。
【0075】
このように加速度センサー100では、可動電極部87と固定電極部88との間の静電容量、および可動電極部87と固定電極部89との間の静電容量を別々に測定し、それらの測定結果に基づいて、高精度に加速度を検出することができる。
【0076】
なお、上記では、機能素子80が、X軸方向の加速度を検出する加速度センサー素子である場合について説明したが、機能素子80は、Y軸方向の加速度を検出する加速度センサー素子であってもよいし、鉛直方向(Z軸方向)の加速度を検出する加速度センサー素子であってもよい。
【0077】
また、機能素子80は、加速度センサー素子に限定されず、例えば、角速度を検出するジャイロセンサー素子や、圧力を検出する圧力センサー素子であってもよい。また、加速度センサー100には、このような機能素子80が複数搭載されていてもよいし、異なる機能を有する素子が組み合わされていてもよい。
【0078】
(間隙部材)
次に、間隙部材90について、
図2、
図3を用いて説明する。
図3は、
図2の間隙部材および突起部を拡大した正断面図である。
図2および
図3に示すように、本実施形態の間隙部材90は、Z軸方向から見た平面視において、基体10の第1面11の機能素子80の外側に、機能素子80を挟んで対向する位置に配置されており、基体10の第1面11と蓋体50の第4面52とに当接して設けられている。
【0079】
間隙部材90のZ軸方向の長さ(以下、高さという)h1は、接合材60の高さ、つまり、基体10と蓋体50との間隔h2より高くなっている(h1>h2)。突起部53の高さh3は、間隙部材90の高さh1より低くなっている(h1>h3)。接合材60の高さh2と突起部53の高さh3とを合わせると、間隙部材90の高さh1に一致している(h1=h2+h3)。
【0080】
接合材60の高さ(基体10と蓋体50との間隔)h2は、基体10と蓋体50との接合強度の観点から決定される。本実施形態では、接合材60の高さ(基体10と蓋体50との間隔)h2は、10μm程度である。
【0081】
同様に、突起部53の高さh3は、機能素子80の厚みを考慮して決定される。間隙部材90の高さh1は、接合材60の高さ(基体10と蓋体50との間隔)h2と、突起部53の高さh3とによって、決定される。
【0082】
このとき、間隙部材90の高さh1は、機能素子80の厚さと同じであってもよい。一例として、接合材60の高さ(基体10と蓋体50との間隔)h2が10μm、突起部53の高さh3が20μmの場合には、間隙部材90の高さh1は30μmとなる。
【0083】
また、間隙部材90のY軸方向の長さ(以下、幅という)W1は、50μm程度であり、接合材60の幅W2は200μm程度であり、突起部53の幅W3は200μm程度であることが望ましい。
【0084】
間隙部材90の幅W1、接合材60の幅W2、および突起部53の幅W3が大きすぎると機能素子80に接触してしまい、検出精度が低下するおそれがある。一方、間隙部材90の幅W1、接合材60の幅W2、および突起部53の幅W3が小さすぎると、接合材60の高さ(基体10と蓋体50との間隔)h2を規定することが難しい。
【0085】
間隙部材90の材質は、例えば、ガラス(ホウ珪酸ガラス)、シリコンなどを挙げることができる。間隙部材90は、機能素子80と同じ材料で形成されていてもよく、例えば、リン、ボロンなどの不純物をドープされることにより導電性が付与されたシリコンで構成されていてもよい。
【0086】
[加速度センサーの製造方法]
次に、本実施形態に係る電子デバイスとしての加速度センサー100の製造方法について、
図4~
図10を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る加速度センサーの製造方法の概略を示すフローチャートである。
図5~
図10は、加速度センサーの製造方法を示す工程フロー図(各工程における加速度センサーを模式的に示す正断面図)であり、
図5は、工程フロー1を示し、
図6は、工程フロー2,4を示し、
図7は、工程フロー3を示し、
図8は、工程フロー5を示し、
図9は、工程フロー6を示し、
図10は、工程フロー7を示している。なお、
図5~
図10の各図における断面位置は、
図2と同様である。
【0087】
図4に示すように、加速度センサー100の製造方法は、準備工程として、基体準備工程(ステップS101)と、シリコン基板準備工程(ステップS102)と、蓋体準備工程(ステップS103)とを含んでいる。
【0088】
また、加速度センサー100の製造方法は、第1接合工程(ステップS104)と、エッチング工程(ステップS105)と、第2接合工程(ステップS106)と、を含んでいる。さらに、加速度センサー100の製造方法は、封止工程(ステップS107)を含んでいてもよい。
【0089】
(1)基体準備工程(ステップS101)
図5に示すように、基体10を準備する。基体10の第1面11に、凹部14および溝部15,16,17を形成する(
図1参照)。凹部14および溝部15,16,17は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により形成される。基体10は、例えば、アルカリ金属イオンを有する、例えば、ホウ珪酸ガラス製で形成されている。
【0090】
溝部15,16,17内に、それぞれ配線20,22,24を形成する。次に、基体10の第1面11側の配線20上に、配線20と電気的に接続されるように、外部接続端子30およびコンタクト部40を形成する。
【0091】
同様に、配線22上に、配線22と電気的に接続されるように、外部接続端子32およびコンタクト部42を形成する(
図1参照)。また、配線24上に、配線24と電気的に接続されるように、外部接続端子34およびコンタクト部44を形成する(
図1参照)。
【0092】
配線20,22,24は、例えば、導電層(図示せず)を、スパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって成膜した後、該導電層を、パターニングすることにより形成される。パターニングは、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって行われる。
【0093】
別の方法としては、フォトレジストでパターニング後に導電膜を成膜し、フォトレジストと同時に不要な膜を剥離することで配線を形成するリフトオフ法で行うこともできる。
外部接続端子30,32,34およびコンタクト部40,42,44は、例えば、配線20,22,24と同じ方法で形成される。
【0094】
以上の工程により、凹部14、配線20,22,24、外部接続端子30,32,34、およびコンタクト部40,42,44などが設けられた基体10を準備する。
【0095】
(2)シリコン基板準備工程(ステップS102)
図6に示すように、機能素子80を形成する元基板としてのシリコン基板8を基体10上に載置して準備する。
【0096】
(3)蓋体準備工程(ステップS103)
図7に示すように、蓋体50を準備する。蓋体50の材質は、例えば、シリコン、ガラスなどを適用することができる。基体10と蓋体50との間に内部空間56を形成する凹部57や、第3面51から第5面54に貫通する貫通孔58を形成する。凹部57や貫通孔58の形成には、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を適用することができる。
【0097】
(4)第1接合工程(ステップS104)
また、
図6に示すように、シリコン基板準備工程(ステップS102)で準備したシリコン基板8を陽極接合によって基体10に接合する。陽極接合の条件としては、例えば、300℃程度の加熱を行いながら、800Vから1kV程度の直流電圧を印加することが好ましい。
なお、陽極接合における加熱温度は、250℃から500℃程度の範囲を適用することができる。よって、基体10とシリコン基板8の接する部分の領域とが接合される。
【0098】
基体10とシリコン基板8(機能素子80)とを陽極接合することにより、接合強度を高め、安定した接合を行うことができる。これにより、シリコン基板8に対してエッチングなどを行うことが可能となる。
【0099】
(5)エッチング工程(ステップS105)
図8に示すように、第1接合工程(ステップS104)において基体10に陽極接合されたシリコン基板8にパターニングして、機能素子80(
図1および
図2参照)、間隙部材90(
図1および
図2参照)を形成する。
【0100】
パターニングは、フォトリソグラフィー技術およびドライエッチングもしくはウエットエッチングを用いることができる。好適には、誘電結合プラズマ(ICP(Inductively Coupled Plasma))技術を使ったドライエッチング法を用いる。なお、パターニング前にシリコン基板8を所望の厚さに薄くしてもよい。
【0101】
(6)第2接合工程(ステップS106)
図9に示すように、蓋体準備工程(ステップS103)で準備した蓋体50の突起部53の下面に接合材60としての低融点ガラスをスクリーン印刷法を用いて塗布し、蓋体50を基体10に接合する。
【0102】
具体的には、蓋体50は、エッチング工程(ステップS105)で形成された機能素子80を内部空間56内に収納し、間隙部材90の一方の端を、基体10の蓋体50側の面に当接させ、間隙部材90の他方の端を、蓋体50の基体10側の面とに当接させる。このとき、間隙部材90の高さは、接合材60の厚さより大きいことが好ましい。
【0103】
その後、低融点ガラスを介して基体10と蓋体50とを重ねて熱処理を行う。これにより、低融点ガラスを介して、基体10と蓋体50とを接合強度を高め、安定した接合を行うことができる。これにより、蓋体50による気密封止を確実に行うことができる。
【0104】
(7)封止工程(ステップS107)
図10に示すように、貫通孔58によって、内部空間56の雰囲気を調整し、貫通孔58を封止部材70で塞ぐことによって内部空間56を密封する。このとき、例えば、貫通孔58を通して、内部空間56を不活性ガス(窒素ガス)雰囲気にしてもよいし、減圧状態にしてもよい。
【0105】
例えば、機能素子80が加速度センサー素子である場合、内部空間56は、減圧状態であることが望ましい。これにより、加速度センサー素子の振動現象が空気粘性によって減衰することを抑制できる。
【0106】
具体的には、貫通孔58内に球状の半田ボール(図示せず)を配置し、半田ボールをレーザー光の照射によって溶融させることによって、封止部材70が形成される。
【0107】
なお、貫通孔58を設けなくても、第2接合工程(ステップS106)を減圧した雰囲気で実施することにより、内部空間56は減圧状態にできる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
以上の工程により、加速度センサー100を製造することができる。
【0108】
なお、前述の実施形態では、第1接合工程(ステップS104)の陽極接合を用いる方法で説明したが、本発明に係る電子デバイスの製造方法は、複数回の陽極接合を行う製造方法に適用可能であり、2回を超える(3回以上)の陽極接合を行う場合についても適用することができる。
【0109】
また、上述では第1接合工程で陽極接合を用いる方法で説明したが、他の接着物質を用いない接合方法で実施する場合でも、本発明は適用できる。具体的には、低温プラズマ活性化接合などの接合面の平坦度や清浄度が必要な直接接合技術に対しても適用することができる。
【0110】
以上のことから、本実施形態に係る加速度センサー100によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)基体10の蓋体50側の面11と蓋体50の基体10側の第4面52とに当接された間隙部材90を含んでいるので、接合材60(低融点ガラス)を介して、基体10と蓋体50とを接合する際に、間隙部材90の高さにより、基体10と蓋体50との間隔h2が規定される。
その結果、接合部61に付与される接合材60の量によらず、基体10と蓋体50との間に接合材60を一定の高さ(量)で確実に挿入することができる。つまり、接合部61に付与される接合材60の量が規定量より多い場合であっても、基体10と蓋体50との間隔h2が大きくなることを抑制することができる。
また、接合部61に付与される接合材60の量が規定量より少ない場合でも、基体10と蓋体50との間隔h2が小さくなることを抑制することができる。その結果、基体10と蓋体50との間隔h2を一定にして確実に接合することができることから、接合強度が劣化することを低減させて信頼性の高い加速度センサー100を得ることができる。
【0111】
(2)間隙部材90と機能素子80とが同じ材料で形成されているので、間隙部材90を形成するためだけの製造工程を必要としないことで、コストアップさせずに間隙部材90を得ることができる。
【0112】
(3)間隙部材90と機能素子80とがシリコンで形成されているので、間隙部材90と機能素子80とを同一基板から容易に一括形成することができ、低コスト化を図ることができる。
【0113】
(4)間隙部材90が機能素子80を囲んで配置されているので、低融点ガラスを介して、基体10と蓋体50とを接合する際に、間隙部材90の高さh1により、機能素子80の周囲に亘って、基体10と蓋体50との間隔h2が規定される。
その結果、接合部61に付与される接合材60の量によらず、機能素子80の周囲に亘って、基体10と蓋体50との間に接合材60を一定の高さ(量)で確実に挿入することができる。その結果、基体10と蓋体50とを確実に接合することができる。
【0114】
(5)間隙部材90はシリコンを含んで形成されているので、間隙部材90を形成する際に、シリコン半導体デバイスの作製に用いられる加工技術の適用が可能となる。その結果、微細かつ高い精度で間隙部材90を形成することができる。
【0115】
(6)蓋体50はシリコンを含んで形成されているので、蓋体50を形成する際に、シリコン半導体デバイスの作製に用いられる加工技術の適用が可能となる。その結果、微細かつ高い精度で蓋体50を形成することができる。
【0116】
(7)基体10はガラスを含んで形成されているので、基体10と機能素子80との間に絶縁性を保つ際に、基体10に絶縁膜を介在させる必要が無く、容易に絶縁分離をすることができる。
【0117】
(8)基体10と蓋体50とを接合する際に、低融点ガラスで接合するので、低温度で接合することができる。その結果、基体10と蓋体50とが高温にさらされることを低減し、破損を抑制することができる。
【0118】
(変形例1)
図11は、変形例1に係る加速度センサーを模式的に示し、間隙部材および突起部を拡大した正断面図である。上記実施形態では、
図2のように、加速度センサー100は、基体10の蓋体50側の面と蓋体50の基体10側の面とに当接された間隙部材90を含んでいる構成であるものとして説明したが、この構成に限定するものではない。
以下、変形例1に係る加速度センサー200について説明する。なお、実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0119】
間隙部材290は、蓋体250と一体に形成されており、材質は、例えば、ガラス(ホウ珪酸ガラス)、シリコンである。
【0120】
本変形例に係る加速度センサー200の製造方法では、実施形態で説明したエッチング工程(ステップS105)では、間隙部材90を形成せず、蓋体準備工程(ステップS103)において、間隙部材290を形成する。形成には、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を適用することができる。
【0121】
以上述べたように、本変形例に係る加速度センサー200によれば、実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0122】
間隙部材290は、蓋体250と一体になっていることによって、間隙部材290と蓋体250とを同一基板から容易に一括形成することができ、低コスト化を図ることができる。
【0123】
また、上記の実施形態において、機能素子80を挟んで対向するように間隙部材90が2辺に配置されることに限定されない。
図12~
図16は、変形例に係る間隙部材90の配置を示す概略平面図である。
【0124】
(変形例2)
図12に示すように、上記の加速度センサーにおいて、間隙部材90は、機能素子80の少なくとも1つの角部に沿って、設けられていてもよい。
図12では、間隙部材90は、機能素子80の4つの角部の各部に配置されている。
【0125】
(変形例3)
図13に示すように、上記の加速度センサーにおいて、間隙部材90は、機能素子80の対角線上の対向する位置に設けられていてもよい。
図13においては、間隙部材90が、機能素子80の+X軸方向、かつ+Y軸方向の角部と、機能素子の-X軸方向、かつ-Y軸方向の角部に設けられている例を示している。
【0126】
(変形例4)
図14に示すように、上記の加速度センサーにおいて、間隙部材90は、機能素子80の周囲に沿って設けられていてもよい。
【0127】
(変形例5)
図15に示すように、上記の加速度センサーにおいて、間隙部材90は、X軸方向およびY軸方向に沿って、機能素子80の外側に設けられていてもよい。
【0128】
(変形例6)
図16に示すように、上記の加速度センサーおいて、間隙部材90は、X軸方向に沿って、機能素子80を挟み込む位置に設けられていてもよい。
【0129】
[電子機器]
次に、上記の電子デバイスを備えている電子機器について説明する。
図17は、電子デバイスを備えている電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を模式的に示す斜視図である。
【0130】
図17に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1101を有する表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、上記で説明した電子デバイス(例えば、加速度センサー100)が内蔵されている。
【0131】
図18は、上記の電子デバイスを備えている電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を模式的に示す斜視図である。
図18に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。このような携帯電話機1200には、電子デバイス(例えば、加速度センサー100)が内蔵されている。
【0132】
図19は、上記の電子デバイス(例えば、加速度センサー100)を備えている電子機器としてのデジタルスチールカメラの構成を模式的に示す斜視図である。なお、
図19には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
【0133】
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチールカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0134】
デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面(図中手前側)には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
【0135】
また、ケース1302の正面側(図中奥側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
【0136】
また、このデジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。
【0137】
さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなデジタルスチールカメラ1300には、電子デバイスが内蔵されている。
【0138】
このような電子機器は、上述した電子デバイスを備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、小型化が図られ信頼性に優れている。
【0139】
なお、上記の電子デバイスを備えている電子機器としては、これら以外に、例えば、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類、フライトシミュレーターなどが挙げられる。
【0140】
いずれの場合にも、これらの電子機器は、上記の電子デバイスを備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、信頼性に優れている。
【0141】
[移動体]
次に、上記の電子デバイスを備えている移動体について説明する。
図20は移動体の一例としての自動車を模式的に示す斜視図である。自動車1500には、上記の電子デバイスが搭載されている。
【0142】
例えば、
図20に示すように、移動体としての自動車1500には、電子デバイス(例えば、加速度センサー100)を内蔵して、タイヤ1503などを制御する電子制御ユニット1502が車体1501に搭載されている。これによれば、自動車1500は、上記の電子デバイスを備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、信頼性に優れている。
【0143】
なお、上記の電子デバイスは、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システムなどの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)に広く適用できる。
【0144】
上記の電子デバイスは、上記自動車1500に限らず、自走式ロボット、自走式搬送機器、列車、船舶、飛行機、人工衛星などを含む移動体の姿勢検出センサーなどとして好適に用いることができ、いずれの場合にも、上記実施形態で説明した効果が反映され、信頼性に優れた移動体を提供することができる。
【0145】
なお、上述した電子デバイスは、加速度センサー100に限定されるものではなく、機能素子が角速度検出機能を備えている角速度センサー、機能素子が圧力検出機能を備えている圧力センサー、機能素子が重量検出機能を備えている重量センサーや、これらのセンサー(加速度センサーを含む)が複合した複合センサーなどであってもよい。
また、電子デバイスは、機能素子が振動片である振動子、発振器、周波数フィルターなどであってもよい。
【符号の説明】
【0146】
8…シリコン基板、10…基体、11…第1面、12…第2面、14…凹部、15,16,17…溝部、20,22,24…配線、30,32,34…外部接続端子、40,42,44…コンタクト部、50…蓋体、51…第3面、52…第4面、53…突起部、54…第5面、55…端子孔、56…内部空間、57…凹部、58…貫通孔、60…接合材、61…接合部、70…封止部材、80…機能素子、81…固定部、82…固定部、84…連結部、84a…梁、85…連結部、85a…梁、86…可動部、87…可動電極部、88…固定電極部、89…固定電極部、90…間隙部材、100…電子デバイスとしての加速度センサー、200…加速度センサー、250…蓋体、290…間隙部材、1100…電子機器としてのパーソナルコンピューター、1101…表示部、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…電子機器としての携帯電話機、1201…表示部、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…電子機器としてのデジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1430…テレビモニター、1440…パーソナルコンピューター、1500…移動体としての自動車、1501…車体、1502…電子制御ユニット、1503…タイヤ。