IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特許7578172計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム
<>
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図1
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図2
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図3A
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図3B
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図4
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図5
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図6
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図7A
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図7B
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図8
  • 特許-計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/391 20150101AFI20241029BHJP
   H04W 16/20 20090101ALI20241029BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20241029BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H04B17/391
H04W16/20
H04W24/10
G01R29/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023179081
(22)【出願日】2023-10-17
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】正田 亮
(72)【発明者】
【氏名】礎 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】淡野 彰太
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-014643(JP,A)
【文献】特開2004-301567(JP,A)
【文献】特開2019-216377(JP,A)
【文献】特開2012-173051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/391
H04W 16/20
H04W 24/10
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内を自走するための移動機構と、
前記移動機構による自走中に1GHz-400GHzの間で設定された周波数の電波を送信する電波送信部と、
前記電波の反射電波を受信する電波受信部と、
前記移動機構による自走中の移動の軌跡に基づいて前記屋内の地図を作成する地図作成部と、
前記電波受信部で受信された前記反射電波に基づき、前記電波を送信した箇所の形状情報を取得する制御部と、
を具備する計測装置。
【請求項2】
前記電波送信部は、1GHz-400GHzの中で、前記屋内で使用される無線機器の使用周波数帯の周波数の電波を送信する、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記電波送信部は、1GHz-400GHzの中で、前記屋内で使用される無線機器の使用周波数帯の周波数よりも高い第1の周波数の電波を送信する、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記電波送信部は、さらに、1GHz-400GHzの中で、前記屋内で使用される無線機器の使用周波数帯の周波数よりも低い第2の周波数の電波を送信する、
請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
記制御部は、前記地図と前記形状情報とを対応付ける、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項6】
前記屋内における被写界を撮像して前記被写界の画像を生成する撮像部をさらに具備する請求項1に記載の計測装置。
【請求項7】
前記撮像部は、赤外光の投受光によって前記被写界における形状情報をさらに取得する請求項6に記載の計測装置。
【請求項8】
前記屋内の電波伝搬を計測する電波伝搬計測部をさらに具備する請求項1に記載の計測装置。
【請求項9】
屋内を自走する計測装置から1GHz-400GHzの間で設定された周波数の電波を送信することと、
前記計測装置において、前記電波の反射電波を受信することと、
前記計測装置において、前記自走中の移動の軌跡に基づいて前記屋内の地図を作成することと、
前記計測装置において、受信された前記反射電波に基づき、前記電波を送信した箇所の形状情報を取得することと、
を具備する計測方法。
【請求項10】
屋内を自走する移動機構と、
前記移動機構による自走中に1GHz-400GHzの間で設定された周波数の電波を送信する電波送信部と、
前記電波の反射電波を受信する電波受信部と、
前記電波受信部で受信された前記反射電波に基づき、前記電波を送信した箇所の第1の形状情報を取得する制御部と、
を具備する計測装置と、
前記第1の形状情報に基づいて前記屋内における電波伝搬シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
を有する電波伝搬シミュレーションシステム。
【請求項11】
前記計測装置は、赤外光の投受光によって第2の形状情報を取得する撮像部をさらに具備し、
前記シミュレーション実行部は、さらに、前記第2の形状情報に基づいて前記屋内における電波伝搬シミュレーションを実行する、
請求項10に記載の電波伝搬シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測装置、計測方法及び電波伝搬シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内にアクセスポイントを設置して屋内で無線ネットワークを構築することが広く行われている。屋内の電波干渉は屋外に比べて大きい傾向にある。このため、適切な場所にアクセスポイントを設置できないと安定した無線通信を行うことが困難になる場合がある。
【0003】
近年、電波発信源から放射される電波伝搬の状態をシミュレートする電波伝搬シミュレータも提案されてきている。このような電波伝搬シミュレータを用いて電波の干渉源が特定されることにより、最適なアクセスポイントの設置場所等が決定され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3263191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波伝搬シミュレータによって精度の良い結果を得るためには、シミュレーションの対象の空間の情報が十分に計測されていることが求められる。特に屋内では目で見える箇所だけでなく、目で見えない箇所からの電波干渉も多いため、このような目で見えない箇所の空間の情報も十分に計測できることが精度のよいシミュレーション結果を得るために重要である。一方で、目では見えていても電波が透過する物体もある。このような物体の情報は必ずしもシミュレーションに反映される必要もない。
【0006】
本開示は、特に屋内の電波伝搬シミュレータにおいて精度の良い結果を得るために必要十分な情報を計測できる計測装置、計測方法及びそれを用いた電波伝搬シミュレーションシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様の計測装置は、移動機構と、電波送信部と、電波受信部と、地図作成部と、制御部とを備える。移動機構は、屋内を自走するためのものである。電波送信部は、移動機構による自走中に1GHz-400GHzの間で設定された周波数の電波を送信する。電波受信部は、電波の反射電波を受信する。地図作成部は、移動機構による自走中の移動の軌跡に基づいて屋内の地図を作成する。制御部は、電波受信部で受信された反射電波に基づき、電波を送信した箇所の形状情報を取得する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、特に屋内の電波伝搬シミュレータにおいて精度の良い結果を得るために必要十分な情報を計測できる計測装置、計測方法及びそれを用いた電波伝搬シミュレーションシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電波伝搬シミュレーションシステムの一例の構成を示す図である。
図2図2は、計測装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3A図3Aは、一例の計測装置のハードウェア構成を示す図である。
図3B図3Bは、アンテナ及び計測機器の向きが変更された状態の計測装置を示す図である。
図4図4は、一例の制御回路のハードウェア構成を示す図である。
図5図5は、サーバの一例の構成を示す図である。
図6図6は、計測装置の動作を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、障害物の種類による電波の振る舞いの違いについて示す概念図である。
図7B図7Bは、障害物の種類による電波の振る舞いの違いについて示す概念図である。
図8図8は、ストレージに記憶されるファイルのフォーマットの一例を示す図である。
図9図9は、サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。図1は、実施形態に係る電波伝搬シミュレーションシステムの一例の構成を示す図である。電波伝搬シミュレーションシステム1は、計測装置10と、サーバ20と、端末30とを有している。計測装置10と、サーバ20と、端末30とは、ネットワークNWを介して通信し得る。ネットワークNWは、例えばインターネットであってもよいし、イントラネットであってもよい。
【0011】
計測装置10は、屋内を自走しながら、電波伝搬シミュレーションのための情報を自動的に計測する装置である。計測装置10は、電波伝搬シミュレーションのための情報として、屋内の3Dモデリングに関わる情報を計測する。屋内の3Dモデリングに関わる情報は、屋内の各地点の形状情報を含む。各地点の形状情報は、例えば各地点の3次元構造を表す点群の情報である。各地点の点群の情報は、例えば、計測地点からの距離の情報であり得る。
【0012】
ここで、実施形態における計測装置10は、電波を送信し、その反射電波を受信することによって、電波に対して障害物となる物体についての電波形状情報を取得し得る。電波に対して障害物となる物体は、金属物等の電波を反射する性質を持った物体である。つまり、電波形状情報は、電波に対して障害物とならない物体、すなわち木材等の電波を透過する性質を持った物体の形状情報を含まない。
【0013】
また、実施形態における計測装置10は、赤外光の投受光によって、人の目で見える物体についての可視光形状情報も併せて取得し得る。
【0014】
さらに、計測装置10は、屋内の電波伝搬に関わる情報を計測する。電波伝搬に関わる情報は、例えばKPI(Ker Performance Indicator)に関わる情報及びQoE(Quality of Experience)に関わる情報を含む。KPIに関わる情報は、受信電力(RSRP)、受信強度(RSSI)等を含む。QoEに関わる情報は、通信速度、遅延等を含む。
【0015】
サーバ20は、計測装置10で取得された電波伝搬シミュレーションのための情報に基づいて電波伝搬シミュレーションを実行する。そして、サーバ20は、電波伝搬シミュレーションの結果を端末30に送信する。電波伝搬シミュレーションは、任意の手法で行われてよい。電波伝搬シミュレーションとしては、例えばレイトレース法を用いた電波伝搬シミュレーションが用いられてよい。レイトレース法では、3Dモデリングされた空間における反射、透過、回折を考慮して電波の伝搬経路を探索することにより、受信電力、遅延等の各種の電波伝搬の情報が算出される。例えば、レイトレース法における3Dモデリングに、計測装置10で計測される形状情報が利用され得る。サーバ20は、単一のコンピュータによって構成されていてもよく、クラウドによって構成されていてもよい。
【0016】
端末30は、サーバ20から受け取った電波伝搬シミュレーションの結果を表示する。端末30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末といった各種の端末であり得る。端末30の構成は、特定の構成に限定されない。
【0017】
図2は、計測装置10の構成を示す機能ブロック図である。計測装置10は、電波送信部11と、電波受信部12と、電波伝搬計測部13と、撮像部14と、地図作成部15と、追突検知部16と、移動機構17と、通信部18と、制御部19とを有している。
【0018】
電波送信部11は、送信回路を備え、アンテナから電波を放射する。送信回路は、例えば発振機と変調回路とを含む。実施形態に係る電波送信部11は、複数の周波数帯の電波を送信できるように、複数の周波数帯のそれぞれに対応した複数の送信回路を備える。例えば、電波送信部11は、1GHz-400GHzの中で制御部19によって設定された周波数の電波を送信し得るように複数の送信回路を備える。
【0019】
電波受信部12は、受信回路を備え、アンテナを介して電波を受信する。受信回路は、例えば復調回路を含む。実施形態に係る電波受信部12は、複数の周波数帯の電波を受信できるように、複数の周波数帯のそれぞれに対応した複数の受信回路を備える。例えば、電波受信部12は、1GHz-400GHzの周波数の電波を受信し得るように複数の受信回路を備える。
【0020】
電波伝搬計測部13は、屋内の電波伝搬の情報としてのKPIに関わる情報及びQoEに関わる情報を計測する。電波伝搬計測部13は、例えばエリアテスタ、スペクトラムアナライザといった計測機器を用いてKPIとしての伝搬損失(受信電力)等を計測する。また、電波伝搬計測部13は、例えばネットワークテスタ、無線ルータといった機器を用いてQoEとしての通信速度及び遅延等を計測する。電波伝搬計測部13は、KPI及びQoEとして求められる指標に応じた各種の計測機器を有していてよい。
【0021】
撮像部14は、被写界を撮像し、被写界の画像を生成する。撮像部14は、例えばRGBのカラー画像を撮像するカメラである。撮像部14は、赤外光等の投受光部を備え、赤外光の投受光によって対象物の点群の情報も取得し得る、RGB-Dカメラであってもよい。
【0022】
地図作成部15は、屋内の地図を作成する。地図作成部15は、例えば計測装置10の移動の開始位置を初期位置とし、初期位置からの移動の軌跡に従って地図を作成する。
【0023】
追突検知部16は、計測装置10の障害物への追突を検知する。追突検知部16は、例えば赤外光の投受光部を備え、赤外光の投受光によって障害物との距離を検知する。そして、追突検知部16は、障害物との距離が所定距離以下となったか否かを判定することによって追突を検知する。追突検知部16は、追突を検知したときには、その旨を制御部19に通知する。
【0024】
移動機構17は、計測装置10を自走させるための機構及びアンテナ等の向きの調整機構を含む。計測装置10を自走させるための機構は、2輪駆動機構、4輪駆動機構、無限軌道機構等であり得る。また、アンテナ等の向きの調整機構は、昇降機構、ロボットアーム等であり得る。
【0025】
通信部18は、通信装置を備え、ネットワークNWを介してサーバ20と通信する。通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0026】
制御部19は、計測装置10の全体的な動作を制御する。制御部19は、電波受信部12で受信された電波に基づいて、電波送信部11によって電波が送信された箇所の電波形状情報を取得する。また、制御部19は、撮像部14の赤外光の受光部で検出された赤外光に基づいて、赤外光が投光された箇所の可視光形状情報を取得する。例えば、形状情報としての距離は、電波の送受信時刻差及び赤外光の投受光時刻差から計算され得る。この他、制御部19は、電波送信部11による送信電波の周波数の設定をする。また、制御部19は、電波伝搬計測部13で計測された情報及び撮像部14で得られた画像を計測装置10の位置と対応付けて記憶装置に記憶する。また、制御部19は、追突検知部16の検知結果に基づいて障害物との追突の有無を判定する。そして、制御部19は、障害物との追突がある場合に、計測装置10の移動方向を変更するように移動機構17を制御することを行う。
【0027】
図3Aは、一例の計測装置10のハードウェア構成を示す図である。計測装置10は、筐体101を有する。筐体101は、アルミ等の金属の箱であり、筐体101の内部から外部及び外部から内部への電波の放射を防止し得るように構成されている。また、筐体101には赤外線の投受光部101aが設けられている。この赤外線の投受光部101aは、追突検知部16として動作し得る。
【0028】
筐体101の下面には、例えば4つの車輪102が取り付けられている。車輪102は、移動機構17として機能し、図示しないモータによって駆動される。また、車輪102には、エンコーダ等の車輪102の回転速度及び向きを検出するセンサが取り付けられている。車輪102の回転速度及び向きにより、計測装置10の移動距離及び移動方向が計測され得る。
【0029】
筐体101の内部には、制御回路103が収納されている。制御回路103には、例えば、制御部19としてのプロセッサ及びメモリ、通信部18としての通信装置等が搭載されている。
【0030】
筐体101の上面には例えば2本の低誘電支柱104が設けられており、低誘電支柱104の間には蛇腹部材105が設けられている。2本の低誘電支柱104及び蛇腹部材105は、低誘電レール106に取り付けられている。低誘電レール106の上にはアンテナ107と計測機器108とが設置されている。
【0031】
低誘電支柱104は、低誘電材料によって構成された支柱である。低誘電支柱104は、図示しないモータによって図3のAで示す上下方向に移動することで高さを調整できるように構成されている。蛇腹部材105は、低誘電材料によって構成された内部が中空の蛇腹である。蛇腹部材105は、低誘電支柱104の上下移動に伴って伸び縮みできるように構成されている。低誘電レール106は、低誘電材料によって構成されたレールである。低誘電レール106の蛇腹部材105との取り付け部には、開口が形成されている。低誘電レール106は、図1のB方向で示す低誘電レール106の上の任意の位置にアンテナ107と計測機器108とを移動できるようにアンテナ107と計測機器108とを支持する。アンテナ107及び計測機器108は、モータ等によって移動が制御されてもよい。
【0032】
アンテナ107は、例えばホーンアンテナ等の指向性アンテナであって、電波の送受信に用いられる。アンテナ107は、図示しない送信回路及び受信回路に接続されている。計測機器108は、電波伝搬計測部13としてのエリアテスタ及びネットワークテスタ、撮像部14としてのカメラといった計測機器である。送信回路、受信回路及び計測機器108は、蛇腹部材105に設けられたケーブル109を介して制御回路103に接続されている。ここで、アンテナ107として、オムニアンテナ等の全方位アンテナが用いられてもよい。全方位アンテナであれば、対象空間内の広い範囲の電力分布測定を行うことができ、短時間で電波伝搬シミュレーションのデータの測定が行われ得る。一方、指向性アンテナであれば、電波の到来方向をも測定できるので、高精度の電波伝搬シミュレーションのデータの測定が行われ得る。さらに、この測定結果が電波伝搬シミュレーションに用いられることにより、反射板の効果、不要電波を特定して吸収体で対策する際の原因調査等も行われ得る。
【0033】
実施形態における計測装置10では、低誘電支柱104の高さ及び低誘電レール106上のアンテナ107及び計測機器108の位置が調整されることにより、図3Bに示すように、アンテナ107及び計測機器108の向きが変更され得る。これにより、計測装置10は、空間内の種々の方向に電波を送受信したり、種々の方向に対する計測を行ったりし得る。
【0034】
図4は、一例の制御回路103のハードウェア構成を示す図である。制御回路103は、プロセッサ1031と、メモリ1032と、ストレージ1033と、インターフェイス1034と、入力装置1035と、表示装置1036と、通信装置1037とをハードウェアとして有するコンピュータであり得る。プロセッサ1031と、メモリ1032と、ストレージ1033と、インターフェイス1034と、入力装置1035と、表示装置1036と、通信装置1037とは、バス1038に接続されている。
【0035】
プロセッサ1031は、計測装置10の全体的な動作を制御するプロセッサである。プロセッサ1031は、例えばストレージ1033に記憶されている計測制御プログラム1033aを実行することによって、地図作成部15及び制御部19として動作する。プロセッサ1031は、例えばCPUである。プロセッサ1031は、MPU、GPU、ASIC、FPGA等であってもよい。プロセッサ1031は、単一のCPU等であってもよいし、複数のCPU等であってもよい。
【0036】
メモリ1032は、ROM及びRAMを含む。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMは、計測装置10のオペレーティングシステム(OS)、設定値等を記憶している。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、例えばプロセッサ1031における処理の際の作業メモリとして用いられる。
【0037】
ストレージ1033は、例えばフラッシュメモリといったストレージである。ストレージ1033は、計測制御プログラム1033a等のプロセッサ1031によって実行される各種のプログラムを記憶している。また、ストレージ1033は、計測結果を記憶し得る。
【0038】
インターフェイス1034は、投受光部101a、車輪102、アンテナ107及び計測機器108との間の信号の授受のためのインターフェイスである。
【0039】
入力装置1035は、タッチパネル、ボタン等の入力装置である。入力装置1035の操作がされた場合、操作内容に応じた信号がバス1038を介してプロセッサ1031に入力される。プロセッサ1031は、この信号に応じて各種の処理を行う。入力装置1035は、周波数の設定等に用いられ得る。
【0040】
表示装置1036は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置、LED等の表示装置である。表示装置1036は、各種の表示をする。
【0041】
通信装置1037は、計測装置10がサーバ20と通信するための通信装置である。通信装置1037は、例えば無線通信のための通信装置であるが、有線通信のための通信装置であってもよい。
【0042】
図5は、サーバ20の一例の構成を示す図である。サーバ20は、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、入力装置204と、表示装置205と、通信装置206とをハードウェアとして有するコンピュータであり得る。プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、入力装置204と、表示装置205と、通信装置206とは、バス207に接続されている。図5のサーバ20は、単一のコンピュータとして示されている。前述したように、サーバ20は、クラウドサーバとして構成されていてもよい。
【0043】
プロセッサ201は、サーバ20の全体的な動作を制御するプロセッサである。プロセッサ201は、例えばストレージ203に記憶されている電波伝搬シミュレータ2031を実行することにより、シミュレーション実行部として動作し得る。
【0044】
メモリ202は、ROM及びRAMを含む。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMは、サーバ20のオペレーティングシステム(OS)等を記憶している。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、例えばプロセッサ201における処理の際の作業メモリとして用いられる。
【0045】
ストレージ203は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブといったストレージである。ストレージ203は、電波伝搬シミュレータ2031等のプロセッサ201によって実行される各種のプログラムを記憶している。電波伝搬シミュレータ2031は、例えばレイトレース法による電波伝搬シミュレータである。
【0046】
入力装置204は、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置である。入力装置204の操作がされた場合、操作内容に応じた信号がバス207を介してプロセッサ1031に入力される。プロセッサ201は、この信号に応じて各種の処理を行う。
【0047】
表示装置205は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示装置205は、各種の画像を表示する。
【0048】
通信装置206は、サーバ20が計測装置10及び端末30と通信するための通信装置である。通信装置206は、有線通信のための通信装置であってもよいし、無線通信のための通信装置であってもよい。
【0049】
次に、電波伝搬シミュレーションシステム1の動作を説明する。図6は、計測装置10の動作を示すフローチャートである。図6の動作は、計測装置10のプロセッサ1031によって制御され得る。
【0050】
ステップS1において、プロセッサ1031は、送信電波の周波数を設定する。送信電波の周波数は、例えば、1GHz-400GHzといった範囲の中から、電波伝搬シミュレーションの対象となる屋内において使用されている又は使用が想定される無線機器の使用周波数に応じて決められる。
【0051】
図7A及び図7Bは、障害物の種類による電波の振る舞いの違いについて示す概念図である。一般に、木材は、電波を透過し易いことが知られている。一方、金属は、電波を反射又は吸収することが知られている。つまり、図7Aに示すように、電波Eを障害物O1に向けて送信したとしても、障害物O1が木材製等であれば、電波Eは、障害物O1を透過し得る。また、図7Bに示すように、電波Eを壁Wに向けて送信したとき、壁Wが木材製等であれば、電波Eは、壁Wを透過し得る。ここで、屋内の場合、壁の中にダクトが配置されたり、天井にライトが配置されたりすることがあり、これらのダクト、ライトは金属を含み得る。仮に、壁Wの奥に金属製の障害物O2としてのダクトがあった場合、図7Bに示すように、壁Wを透過した電波Eは障害物O2で反射される。
【0052】
レイトレース法等の電波伝搬シミュレーションの精度を高めるためには、電波を反射、透過、回折する物体が正しくモデリングされることが重要である。つまり、電波伝搬シミュレーションにおいては、電波Eを透過する障害物O1及び壁Wの情報は不要であり、むしろ壁Wの奥の障害物O2の情報が重要である。このような電波にとっての障害物を正しくモデリングできるよう、計測装置10は、実際に屋内において電波を送信し、その反射電波を受信することによって電波にとっての形状情報である電波形状情報を取得する。
【0053】
ここで、送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器と同じ周波数とされた場合には、実際に使用されている無線信号にとっての形状情報が取得されるので、電波伝搬シミュレーションの精度はより向上することが期待される。一方で、送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器と同じ周波数とされた場合には、実際に使用されている各無線機器の電波と計測装置10から送信される電波との間で干渉が起こり得るため、計測に先立って屋内の各無線機器の電源がオフされている必要がある。
【0054】
また、送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器と異なる周波数、例えば送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器の周波数よりも高い周波数とされた場合には、実際に使用されている各無線機器の電波と計測装置10から送信される電波との間で干渉が起こらないため、計測に先立って屋内の各無線機器の電源がオフされている必要はない。一方で、例えば障害物に対する電波の振る舞いが変わってしまう等の理由で、送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器と同じ周波数とされた場合に比べて電波伝搬シミュレーションの精度が低下する可能性がある。干渉を防ぎつつ、電波伝搬シミュレーションの精度を向上させるために、送信電波の周波数が屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器の周波数よりも高い周波数と低い周波数の2つの周波数とされてもよい。この場合には、高い周波数の電波を用いた測定結果と低い周波数の電波を用いた測定結果とを用いた補間処理によって、屋内において使用されている又は使用が想定されている無線機器と同じ周波数の形状情報が取得され得る。
【0055】
前述した何れの周波数を設定するかは、例えば計測装置10を測定場所に持ってきた担当者が入力装置1035を操作することによって設定されてもよいし、サーバ20から又は端末30からの指示によって設定されてもよい。勿論、送信電波の周波数は、固定値であってもよい。送信電波の周波数の設定の完了後、処理はステップS2に移行する。
【0056】
ステップS2において、プロセッサ1031は、移動を開始するように車輪102の駆動を制御する。また、プロセッサ1031は、地図の作成を開始する。地図は、移動を開始した地点を初期位置として、初期位置からの移動の軌跡に従って作成される。
【0057】
ステップS3において、プロセッサ1031は、例えば1mといった所定距離の移動が完了したか否かを判定する。移動距離は、例えば車輪102の回転速度により、計測され得る。ステップS3において、所定距離の移動が完了したと判定されたときには、処理はステップS4に移行する。ステップS3において、所定距離の移動が完了していないと判定されたときには、処理はステップS7に移行する。
【0058】
ステップS4において、プロセッサ1031は、計測を開始する。具体的には、プロセッサ1031は、低誘電支柱104の高さ及び低誘電レール106の上のアンテナ107と計測機器108の位置を制御して、アンテナ107及び計測機器108を予め定められた方向に向ける。そして、プロセッサ1031は、送信回路を制御してアンテナ107からステップS1で設定された周波数の電波を送信し、その反射電波を受信回路から受信する。そして、プロセッサ1031は、電波の送受信結果から電波形状情報を計算する。例えば、形状情報が距離であれば電波の送受信時刻差から距離が計算され得る。また、プロセッサ1031は、計測機器108としてのカメラによる被写界の撮像を実施するとともに、赤外光の受光結果から可視光形状情報を計算する。さらに、プロセッサ1031は、計測機器108としてのエリアテスタを用いて伝搬損失等を計測するともに、ネットワークテスタを用いて遅延等を計測する。少なくとも1つの方向での計測の完了後、処理はステップS5に移行する。1つの計測地点で天井及び床といった複数の方向の計測が行われてもよい。この場合には、すべての方向での計測の完了後、処理はステップS5に移行する。
【0059】
ステップS5において、プロセッサ1031は、計測した電波形状情報、可視光形状情報、電波伝搬情報を地図上の座標と対応付けた情報を含むファイルをストレージ1033に記憶する。図8は、ストレージ1033に記憶されるファイルのフォーマットの一例を示す図である。図8に示すように、記憶されるファイルは、ヘッダと、地図データと、計測データとを含む。ヘッダは、計測日時、計測方向、送信電波の周波数といった計測条件の情報である。地図データは、作成された地図のデータである。計測データは、電波形状情報、画像、可視光形状情報及び電波伝搬情報といった計測結果を、地図上の座標と対応付けて格納したデータである。ファイルは、図8で示した以外のデータを含んでいてもよい。
【0060】
ステップS6において、プロセッサ1031は、計測が完了したか否かを判定する。例えば、地図の作成が完了し、かつ、地図上の必要な計測地点での計測が完了した場合には、計測が完了したと判定される。ステップS6において、計測が完了していないと判定されたときには、処理はステップS3に戻る。この場合において、プロセッサ1031は、まだ地図が作成されていない地点に優先的に移動するように移動方向を変更してよい。ステップS6において、計測が完了したと判定されたときには、処理はステップS9に移行する。
【0061】
ステップS7において、プロセッサ1031は、赤外線の投受光部101aの受光結果に基づいて、追突が検知されたか否かを判定する。ステップS7において、追突が検知されたと判定されたときには、処理はステップS8に移行する。ステップS7において、追突が検知されていないと判定されたときには、処理はステップS3に戻る。
【0062】
ステップS8において、プロセッサ1031は、移動方向を変更するように車輪102の駆動を制御する。その後、処理はステップS3に戻る。プロセッサ1031は、移動方向を、例えば追突が起こる現在の移動方向を除くランダムな方向に決定してよい。または、プロセッサ1031は、まだ地図が作成されていない地点に優先的に移動するように移動方向を変更してもよい。
【0063】
ステップS9において、プロセッサ1031は、ストレージ1033に記憶されているファイルのデータを通信装置1037を用いてサーバ20に送信する。その後、図6の処理は終了する。
【0064】
図9は、サーバ20の動作を示すフローチャートである。図9の動作は、プロセッサ201によって制御され得る。
【0065】
ステップS101において、プロセッサ201は、計測装置10からファイルのデータを受信したか否かを判定する。ステップS101において、ファイルのデータを受信したと判定されたときには、処理はステップS102に移行する。ステップS101において、ファイルのデータを受信していないと判定されたときには、処理はステップS104に移行する。
【0066】
ステップS102において、プロセッサ201は、受信したファイルのデータに含まれる形状情報に基づき、電波伝搬シミュレーションを実行する。実施形態においては、プロセッサ201は、電波形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションと可視光形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションを実行し得る。電波形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションにおいては、プロセッサ201は、電波形状情報としての点群の情報から3次元モデルを生成し、生成した3次元モデルを電波伝搬シミュレータ2031に入力することで例えばレイトレース法による電波伝搬シミュレーションを実行する。また、可視光形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションにおいては、プロセッサ201は、可視光形状情報としての点群の情報から3次元モデルを生成し、生成した3次元モデルを電波伝搬シミュレータ2031に入力することで例えばレイトレース法による電波伝搬シミュレーションを実行する。電波伝搬シミュレーションの後、処理はステップS103に移行する。ここで、電波伝搬シミュレーションの実行は、ファイルが受信されたときに必ず行われるのに限らず、サーバ20のオペレータの操作を受けた上で行われてもよい。この場合において、オペレータは、電波伝搬シミュレーションの条件を変更してもよい。電波伝搬シミュレーションの条件は、無線信号の周波数、電波の干渉源となる無線機器の有無、壁等に貼られる電磁波反射シート、電磁波吸収シートの有無といった条件を含む。これらの条件の変更により、無線機器、電磁波反射シート、電磁波吸収シートの最適な配置等もシミュレーションから得られる。
【0067】
ステップS103において、プロセッサ201は、電波伝搬シミュレーションの結果を計測装置10から受信したファイルのデータとともに例えばストレージ203に記憶する。また、ステップS103において、プロセッサ201は、電波伝搬シミュレーションの結果を表示装置205に表示してもよい。
【0068】
ステップS104において、プロセッサ201は、例えば端末30から電波伝搬シミュレーションの結果の送信が要求されたか否かを判定する。ステップS104において、電波伝搬シミュレーションの結果の送信が要求されていないと判定されたときには、処理はステップS101に戻る。ステップS104において、電波伝搬シミュレーションの結果の送信が要求されたと判定されたときには、処理はステップS105に移行する。
【0069】
ステップS105において、プロセッサ201は、要求された電波伝搬シミュレーションの結果を通信装置206を用いて要求元の例えば端末30に送信する。このとき、プロセッサ201は、計測装置10から受信したファイルのデータも併せて例えば端末30に送信してよい。要求された電波伝搬シミュレーションの結果の送信後、処理はステップS101に戻る。
【0070】
電波伝搬シミュレーションの結果を受信した端末30は、電波伝搬シミュレーションの結果を表示装置に表示し得る。電波伝搬シミュレーションの結果の表示は、任意の手法で行われてよい。例えば、端末30は、電波伝搬シミュレーションの結果としての伝搬損失、遅延等の値を地図上に表示してよい。または、端末30は、カメラを起動し、カメラによって逐次に得られる屋内の画像を表示装置に表示しつつ、屋内の画像とファイルに格納された画像とを比較することにより、電波伝搬シミュレーションの結果としての伝搬損失、遅延等の値をAR(Augmented Reality)表示してもよい。さらに、端末30は、ファイルに格納されている電波伝搬情報に基づき、伝搬損失、遅延等の値の実測値を併せて表示してもよい。
【0071】
以上説明したように実施形態によれば、計測装置は、屋内を自走しながら電波の送受信を行って屋内の形状情報を取得する。これにより、電波にとって障害物となる物体の形状情報である電波形状情報が取得され得る。電波形状情報を用いて電波伝搬シミュレーションが実行されることにより、電波伝搬シミュレーションの精度の向上が期待される。つまり、実施形態によれば、計測装置は、電波伝搬シミュレーションの精度の向上に有益な必要十分な情報を取得し得る。ここで、ミリ波帯及びテラヘルツ帯といった高周波帯の無線信号は、直進性が強く、障害物の影響を受けやすい。したがって、実施形態の技術は、特に高周波帯の無線信号についての電波伝搬シミュレーションの精度の向上に好適である。
【0072】
また、計測装置は、屋内を自走しながら赤外光の投受光を行うことでも屋内の形状情報を取得する。これにより、人の目で見て障害物となる物体の形状情報である可視光形状情報が取得され得る。可視光形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションの結果は、例えば電波形状情報に基づく電波伝搬シミュレーションの結果との比較に用いられ得る。このような比較により、電波伝搬シミュレータの精度の検証等が行われ得る。
【0073】
また、計測装置は、屋内を自走しながら電波伝搬情報の計測も行い得る。実測結果と電波伝搬シミュレーション結果との比較により、実測結果とシミュレーション結果の相互の検証が行われ得る。例えば、実測結果と電波伝搬シミュレーション結果との間に乖離があるときには、計測装置10は、計測地点を増やして再度の計測を実施するように構成されていてもよい。この場合、例えば実測結果と電波伝搬シミュレーション結果との間の乖離の大きな地点の周辺で多くの計測が行われるよう、例えば、乖離の大きな地点の周辺でのステップS3の判定に用いられる所定距離を短くするといった処理が行われてもよい。
【0074】
(変形例)
以下、実施形態の変形例を説明する。実施形態では、電波伝搬シミュレーションは、サーバ20において行われるとされている。しかしながら、電波伝搬シミュレーションは、端末30において行われてもよい。
【0075】
また、実施形態では、電波伝搬シミュレーションの結果及び実測結果の活用例として、端末30の表示装置に表示される例が示されている。これに対し、電波伝搬シミュレーションの結果及び/又は実測結果は、例えば機械学習、深層学習といった人工知能を利用した電波伝搬推論モデルの教示データ等に用いられてもよい。この他、電波伝搬シミュレーションの結果及び実測結果は、種々の用途に用いられてよい。計測装置10は1回の計測で多種多様な情報を計測し得るため、それによって得られる情報についても種々の活用が期待される。
【0076】
また、計測装置10は、屋内を自走するものである。屋内には人が存在する場合もあるので、計測は屋内に存在する人の邪魔にならない状況で行われることが望ましい。そこで、計測装置10は、夜間等の決められた時刻に計測を開始するタイマ機能を有していてもよい。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0078】
1 電波伝搬シミュレーションシステム、10 計測装置、11 電波送信部、12 電波受信部、13 電波伝搬計測部、14 撮像部、15 地図作成部、16 追突検知部、17 移動機構、18 通信部、19 制御部、20 サーバ、30 端末、101 筐体、101a 投受光部、102 車輪、103 制御回路、104 低誘電支柱、105 蛇腹部材、106 低誘電レール、107 アンテナ、108 計測機器、109 ケーブル、1031,201 プロセッサ、1032,202 メモリ、1033,203 ストレージ、1034 インターフェイス、1035,204 入力装置、1036,205 表示装置、1037,206 通信装置、1038,207 207 バス。
【要約】
【課題】特に屋内の電波伝搬シミュレータにおいて精度の良い結果を得るために必要十分な情報を計測できる計測装置、計測方法及びそれを用いた電波伝搬シミュレーションシステムを提供すること。
【解決手段】計測装置は、移動機構と、電波送信部と、電波受信部と、制御部とを備える。移動機構は、屋内を自走するためのものである。電波送信部は、移動機構による自走中に1GHz-400GHzの間で設定された周波数の電波を送信する。電波受信部は、電波を受信する。制御部は、電波受信部で受信された電波に基づき、電波を送信した箇所の形状情報を取得する。
【選択図】図2
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9