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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241029BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241029BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241029BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 203
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
H04N1/00 838
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023201457
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022075578の分割
【原出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2024037757
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】浦川 豊
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-065135(JP,A)
【文献】特開2014-159123(JP,A)
【文献】特開2013-156834(JP,A)
【文献】特開2013-018209(JP,A)
【文献】特開2014-144619(JP,A)
【文献】特開2015-009432(JP,A)
【文献】特開2009-053792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
H04N 1/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 - 21/18
G06F 3/09 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
憶部と、
通信部と、
作部と、
表示部と、
備え、
前記通信部を介して受信した、ユーザ識別情報と関連付けられた印刷ジョブを、印刷するために前記記憶部に蓄積させることが可能であり、前記通信部を介して受信した、認証情報と関連付けられた印刷ジョブを、印刷するために前記記憶部に蓄積させることが可能であり、
ログイン操作を受け付けることで、ログイン状態となることが可能であり、
前記ログイン状態において、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく印刷する、第1印刷を実行することが可能であり、
前記ログイン状態ではない状態であっても、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、印刷する、第2印刷を実行する、ことが可能であり、
前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させることが可能であり、
前記第2印刷を示すアイコンへの操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、前記認証情報を入力する操作を受け付け可能になり、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、印刷する、前記第2印刷を実行することが可能であり、
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させることが可能であり、
前記第1印刷を有効化する設定値が前記記憶部に記憶されている場合に、前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させない、ように構成されている印刷装置。
【請求項2】
前記第1印刷を有効化する設定値が前記記憶部に記憶されている場合であっても、前記ログイン状態ではない状態であれば、前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させ、当該アイコンへの操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、前記認証情報を入力する操作を受け付け可能になり、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、印刷する、前記第2印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1印刷を有効化する設定値が前記記憶部に記憶されており、かつ、前記ログイン状態である場合に、前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させない、ように構成されている請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1印刷を有効化する設定値が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させ、当該アイコンへの操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、前記認証情報を入力する操作を受け付け可能になり、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、印刷する、前記第2印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ログイン状態において、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブを個別に選択する選択肢を前記表示部に表示することなく、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく、前記第1印刷を実行することが可能であり、
前記ログイン状態ではない状態であっても、前記認証情報を入力する操作と、前記表示部に表示された、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブを個別に選択する選択肢を選択する操作と、を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を印刷する、前記第2印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ログイン操作を受け付けたときに、ログイン状態となること、および、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブを個別に選択する選択肢を前記表示部に表示することなく、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく、前記第1印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記ログイン操作を受け付けたときに、ログイン状態となり、前記ログイン状態となってから、前記操作部を介して所定の操作を受け付けたことに応じて、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく、前記第1印刷を実行することが可能であり、
前記ログイン状態ではない状態であっても、前記認証情報を入力する操作と、前記表示部に表示された、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブを個別に選択する選択肢を選択する操作と、を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を印刷する、前記第2印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記ログイン状態ではない状態で、前記第2印刷を示すアイコンを前記表示部に表示させ、当該アイコンへの操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、前記認証情報を入力する操作を受け付け可能になり、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付けたことに応じて、入力された前記認証情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、印刷する、前記第2印刷を実行することが可能である、ように構成されている請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶されている場合に、前記ログイン状態において、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく印刷する、第1印刷を実行することが可能であり、
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させたときに、前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブが、前記第1印刷によって印刷可能に、前記記憶部に蓄積される、ように構成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶されている場合に、前記ログイン状態において、前記ログイン操作によって特定された前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブであって、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブに係る画像を、前記認証情報を入力する操作を、前記操作部を介して受け付ける必要なく印刷する、第1印刷を実行することが可能であり、
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させたときに、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブのうち、少なくともいずれかを破棄する、ように構成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させたときに、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブのうち、ユーザ識別情報と関連付けられていない印刷ジョブを破棄する、ように構成されている請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させたときに、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブのうち、印刷装置に登録されていないユーザを示すユーザ識別情報と関連付けられた印刷ジョブを破棄する、ように構成されている請求項10に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記第1印刷を有効化する設定値を前記記憶部に記憶させたときに、前記記憶部に蓄積されている前記印刷ジョブのうち、印刷権限がないユーザを示すユーザ識別情報と関連付けられた印刷ジョブを破棄する、ように構成されている請求項10に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、印刷ジョブをメモリに保存し、ユーザからの認証情報の入力により印刷を開始する機能を有する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷実行者が、画像形成装置にログインした後、印刷ジョブの印刷操作を行う画像形成装置がある(例えば、特許文献1など)。特許文献1において、印刷実行者は、ユーザ識別情報と、認証情報とを、画像形成装置のログイン画面を用いて入力する。画像形成装置は、認証に成功したログインユーザに関連付けられた文書一覧を表示する。印刷実行者は、表示された文書一覧の中から印刷したい文書データを選択し、画像形成装置に印刷を実行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-320166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、印刷ジョブを印刷装置に送信する際にパスワードを設定し、印刷装置において印刷ジョブに関連付けられたパスワード認証をおこなうことで印刷を実行する機能もある。いずれも受信した印刷ジョブを一旦メモリに保存し、ユーザからの認証情報の入力により印刷を開始する。しかしながら、2つの機能が共存する装置についてどちらの機能を優先するか考慮されていなかった。
【0005】
本明細書は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、パスワードに関連付けられた印刷ジョブを実行するセキュリティ印刷機能とユーザ識別情報に関連付けられた印刷ジョブを実行する蓄積印刷機能とにおける印刷処理を適切に実行できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される印刷装置は、印刷ジョブを保存する記憶部と、通信部と、表示部と、操作を受け付ける操作部と、画像を印刷する印刷部と、制御部と、を備える。前記制御部により、前記通信部を介して前記印刷ジョブを受信する受信処理と、前記受信処理により受信した前記印刷ジョブにパスワードが含まれているか否かを判断する判断処理と、前記判断処理により、前記印刷ジョブにパスワードが含まれていると判断した場合に、前記印刷ジョブを前記記憶部に保存する保存処理と、前記判断処理により、前記印刷ジョブにパスワードが含まれていないと判断した場合に、前記印刷ジョブに係る画像を前記印刷部により印刷する第1印刷処理と、前記記憶部に保存された前記印刷ジョブに関する情報を示すジョブ一覧を前記表示部に表示する第1表示処理と、表示した前記ジョブ一覧から前記印刷ジョブの選択を、前記操作部により受け付ける第1受付処理と、前記操作部を介してパスワードを受け付ける第2受付処理と、前記第1受付処理で選択された前記印刷ジョブに関連付けられたパスワードと、前記第2受付処理で受け付けたパスワードとが一致するか否かを判断するパスワード判断処理と、前記パスワード判断処理の結果、前記印刷ジョブに関連付けられたパスワードと前記第2受付処理で受け付けたパスワードとが一致すると判断したことに応じて、前記第1受付処理で選択された前記印刷ジョブを前記印刷部により印刷する第2印刷処理と、を含むセキュリティ印刷機能を実行する印刷装置において、前記制御部は、蓄積印刷機能を含む前記印刷装置が備える機能の実行を行うか否かの設定を受け付ける第3受付処理を実行し、前記蓄積印刷機能は、ユーザ識別情報を前記操作部を介して受け付ける第4受付処理と、前記ユーザ識別情報の認証に係わる認証データに基づいて、前記第4受付処理で受け付けた前記ユーザ識別情報の認証を実行し、認証の成功に応じて、前記記憶部に保存された前記印刷ジョブのうち、認証に成功した前記ユーザ識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブに係る画像を前記印刷部により印刷する第3印刷処理と、を含み、前記制御部は、前記第3受付処理において前記蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けたことに応じて、前記パスワード判断処理を実行することなく前記記憶部に前記印刷ジョブを保存し、前記記憶部に保存した前記印刷ジョブのパスワードを前記操作部を介して受け付けることなく第3印刷処理、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に開示される印刷装置によれば、セキュリティ印刷機能を有する印刷装置において、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が可能である。そして、印刷装置は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けたことに応じて、セキュリティ印刷機能における処理を実行しない。すなわち、セキュリティ印刷機能を制限する。蓄積印刷機能の有効化に応じてセキュリティ印刷機能を制限することで、2つの機能を有する印刷装置における印刷処理を適切に実行できる。なお、ここでいう、「セキュリティ印刷機能を制限する」とは、セキュリティ印刷機能を完全に停止しセキュリティ印刷用ジョブを破棄する場合だけでなく、セキュリティ印刷用ジョブの少なくとも一部を蓄積印刷用ジョブとして印刷等する場合を含む概念である。
【0008】
なお、本明細書に開示される技術は、印刷装置に限らず、種々の形態で実現することが可能であり、印刷装置を制御するための印刷制御方法や、上記装置の機能または上記方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のMFPの電気的構成を示すブロック図である。
図2】認証DBに保存されるデータを示す図である。
図3】PJLで記述された印刷ジョブの内容を示す図である。
図4】MFPのタッチパネルで表示される画面の状態遷移を示すシーケンス図である。
図5】メイン処理の内容を示すフローチャートである。
図6】機能設定処理の内容を示すフローチャートである。
図7】印刷/蓄積処理の内容を示すフローチャートである。
図8】印刷/蓄積処理の内容を示すフローチャートである。
図9】待機画面表示処理の内容を示すフローチャートである。
図10】アイコン押下後処理の内容を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態の機能設定処理の内容を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態の印刷/蓄積処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本明細書に開示される印刷装置を具体化した一実施形態である第1実施形態のMFP1について図1を参照しつつ説明する。図1は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。
【0011】
(1.MFPの構成)
MFP1は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能を備える複合機である。図1に示すように、MFP1は、CPU12、RAM13、メモリ15、印刷部16、画像読取部17、FAX通信部18、ユーザインタフェース20、およびネットワークインタフェース24などを備えている。これらのCPU12等は、バス11で互いに接続されている。また、MFP1は、商用電源から電力を供給する電源25を備えている。電源25は、電源コードや電源回路(ブリッジダイオード、平滑化回路など)を備え、商用電源から直流電源を生成し、電源線にてMFP1が備える各部へ電力を供給する。
【0012】
メモリ15(本明細書の記憶部の一例)は、例えば、NVRAMなどの不揮発性メモリである。なお、本明細書に開示される記憶部は、NVRAMに限らず、揮発性のRAM、ROM、HDD、MFP1に接続される外部記憶装置(USBメモリなど)、あるいはそれらを組み合わせた記憶部でも良い。また、本明細書に開示される記憶部は、ネットワークインタフェース24を介して接続されるファイルサーバ等でも良い。また、記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0013】
メモリ15は、制御プログラム71などの各種プログラムを保存している。制御プログラム71は、例えば、MFP1の各部を統括的に制御するプログラムである。CPU12は、制御プログラム71を実行し、実行した処理結果をRAM13に一時的に記憶させながら、バス11で接続された各部を制御する。また、制御プログラム71には、Webサーバとして機能するプログラムであるEWS(Embedded Web Server)プログラムが含まれている。CPU12は、EWSプログラムを実行することで、MFP1をWebサーバとして機能させる。また、本実施形態のメモリ15内には、認証DB(データベースの略)73が構築されている。認証DB73は、後述するように、例えば、MFP1にログインできるログインユーザのユーザ名、各ユーザの権限、各ユーザのメールアドレスを関連付けたデータである(図2参照)。なお、以下の説明では、CPU12で制御プログラム71等を実行するMFP1のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「MFP1がタッチパネル21に対する操作入力を受け付ける」という記載は、「MFP1がCPU12で制御プログラム71を実行しタッチパネル21を制御することで、タッチパネル21に対する操作入力を受け付ける」ということを意味する場合がある。
【0014】
印刷部16は、ヘッド161およびインクカートリッジ162を有する。インクカートリッジ162は、インクを収容する。ヘッド161は、インクカートリッジ162から供給されるインクをシート(紙やOHPなど)に吐出する。これにより、印刷部16は、CPU12の制御に基づいて、インクジェット方式によりシートに画像を印刷する。なお、本明細書に開示される印刷部16は、インクジェット方式で印刷を行う構成に限らず、他の方式、例えば、電子写真方式で印刷を行う構成でも良い。
【0015】
画像読取部17は、不図示の原稿台およびCIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge-Coupled Device)等のイメージセンサを備える。画像読取部17は、原稿台に載置された原稿に対してCIS等を移動させ、原稿を読み取り、画像データを生成する。FAX通信部18は、電話回線を介して、他のファクシミリ装置との間でFAXデータの送受信を行う。
【0016】
ユーザインタフェース20は、タッチパネル21、およびテンキー22などの操作ボタンを有する。タッチパネル21は、例えば、液晶パネル、液晶パネルの背面側から光を照射するLED等の光源、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備えている。ユーザインタフェース20は、CPU12の制御に基づいて、例えば各種の設定画面や装置の動作状態等をタッチパネル21に表示する。また、ユーザインタフェース20は、タッチパネル21やテンキー22に対する操作入力に応じた信号をCPU12へ送信する。
【0017】
ネットワークインタフェース24は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースであり、LANケーブル(図示略)を介してルータ29に接続されている。本実施形態のルータ29には、例えば、複数のPC41と、メールサーバ43が接続されている。ユーザは、PC41を操作することで、PC41からMFP1へ印刷ジョブ75を送信する。MFP1は、PC41から受信した印刷ジョブ75に基づいて印刷処理を実行する。また、MFP1は、メールサーバ43から受信したメールを印刷ジョブ75として処理し、メールに添付されたファイルの印刷等を実行するメール受信機能を有している。なお、MFP1へ印刷ジョブ75を送信する装置は、PC41やメールサーバ43に限らず、例えば、MFP1と無線通信が可能な携帯端末でも良い。また、MFP1、PC41、メールサーバ43を接続するネットワークは、有線LANに限らず、例えば、無線LANあるいはWAN(インターネットを含む)でも良い。
【0018】
次に、メモリ15に記憶する認証DB73について説明する。
図2は、認証DB73に保存されるデータの一例を示している。図2に示すように、認証DB73には、例えば、ユーザ名111、PIN番号113、印刷権限フラグ114、スキャン権限フラグ115、コピー権限フラグ116、メールアドレス117が関連付けられて1つのレコードとして登録されている。本実施形態の認証DB73には、パブリックユーザ(PUBLIC)、「inoue」、「kato」、「hayashi」、「minami」の5つがユーザとして登録されている。ユーザ名111およびPIN番号113は、例えば、MFP1を管理するシステム管理者によって各ユーザに付与される。各ユーザは、このユーザ名111やPIN番号113を用いてMFP1のログイン操作を行う。
【0019】
また、印刷権限フラグ114、スキャン権限フラグ115、コピー権限フラグ116は、MFP1に対する印刷機能、スキャン機能、コピー機能の実行権限を、各ユーザに付与するか設定するフラグ値である。例えば、図2に示す例では、パブリックユーザやユーザ名「inoue」は、印刷権限、およびスキャン権限を有するが、コピー権限を有していない。
【0020】
また、各レコードには、ユーザ名111やPIN番号113等と関連付けてメールアドレス117が設定されている。本実施形態のMFP1は、上記したようにメールサーバ43から受信したメールの添付ファイルの印刷等が可能となっている。
【0021】
システム管理者は、図2に示すユーザの追加や削除、権限の変更、メールアドレス117の登録などを認証DB73に対して行う。例えば、本実施形態のMFP1は、認証DB73の設定をEWSで受付け可能となっている。例えば、システム管理者は、PC41でWebブラウザを操作し、MFP1のEWSにアクセスする。MFP1は、EWSのWebページで受付けた情報に基づいて、認証DB73の設定を実行する。なお、認証DB73の編集方法は、上記したWEBサーバを利用した方法に限らない。例えば、MFP1は、タッチパネル21に対する操作入力に応じて、認証DB73を編集しても良い。また、図2に示す認証DB73のデータ項目は、一例であり、例えば、認証DB73は、FAX機能の実行権限を付与するフラグ値や、各ユーザの印刷枚数を制限する値を有しても良い。
【0022】
(2.セキュリティ印刷機能と、蓄積印刷機能)
本実施形態のMFP1は、セキュリティ印刷機能と、蓄積印刷機能を備えている。以下の説明では、図1に示すように、セキュリティ印刷機能を実行するための印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aと称し、蓄積印刷機能を実行するための印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75Bと称して説明する。
【0023】
蓄積印刷機能は、ユーザ名85が設定された印刷ジョブ75をPC41などから受信すると、受信した印刷ジョブ75を蓄積印刷用ジョブ75BとしてMFP1のメモリ15に記憶する。MFP1のタッチパネル21を介してユーザ名およびPIN番号が入力されると、認証DB73に登録されたユーザ名111およびPIN番号113(図2参照)と照合する。照合の結果、認証DB73に登録されたユーザ名111およびPIN番号113と一致すると、入力操作を行ったユーザがMFP1にログインする。ユーザがMFP1にログインすることにより、そのログインしたユーザのユーザ名85が関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bをメモリ15から取得し印刷を開始する。
【0024】
蓄積印刷機能の設定は、システム管理者が、PC41でWebブラウザを操作し、MFP1のEWSにアクセスすることにより行われる。蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われる場合、MFP1は、PC41等の外部から受信する印刷ジョブ75に対し、本実施形態により説明する蓄積印刷のための各処理を実行する。蓄積印刷機能を実行しない旨の設定が行われる場合、MFP1は、PC41等の外部から印刷ジョブ75を受信すると、メモリ15に記憶させることなく印刷処理を開始する。なお、この場合のメモリ15に記憶させないとは、印刷開始のためのトリガーを別に設けないということであり、印刷処理のために一時的にメモリ15に記憶させる処理は含まない。また、PC41で実行されるプリンタドライバは、PC41にログインするためのユーザのユーザアカウントを印刷ジョブ75に設定し、MFP1へ送信する。また、PC41にログインするためのユーザアカウントと認証DB73に登録されるユーザ名111は同じ文字列が使用されている。
【0025】
セキュリティ印刷機能とは、パスワードが関連付けられた印刷ジョブ75を一旦MFP1のメモリ15に記憶し、MFP1のタッチパネル21をユーザが操作し、印刷ジョブ75に関連付けられたパスワードを入力することにより印刷ジョブ75の印刷を実行する機能である。PC41は、セキュリティ印刷機能を実行する場合、ジョブ名81とパスワード83を設定したセキュリティ印刷用ジョブ75AをMFP1へ送信する。ジョブ名81は、例えば、PC41で実行されるプリンタドライバによって付与される印刷ジョブ75の名前である。パスワード83は、例えば、PC41で実行されるプリンタドライバの設定画面でユーザにより設定され、セキュリティ印刷用ジョブ75Aと関連付けられた情報(数字や文字など)である。
【0026】
蓄積印刷機能およびセキュリティ印刷機能は、外部から受信した印刷ジョブ75をメモリ15に蓄積し、MFP1においてユーザが認証情報の入力操作をおこなうことにより印刷を開始する点で共通する。一方、入力する認証情報が、セキュリティ印刷機能では印刷ジョブ75に関連付けられたパスワード83であるが、蓄積印刷機能は認証DB73に登録されたユーザ名111に対応するPIN番号113である点で異なる。また、印刷を開始する印刷ジョブ75が、セキュリティ印刷機能ではユーザにより選択された印刷ジョブ75であるが、蓄積印刷機能では印刷対象となるすべての印刷ジョブ75である点で異なる。
【0027】
図3は、一例として、PJL(Printer Job Language)で記述された印刷ジョブ75を示している。なお、図3のデータの内容は一例である。図3に示すように、例えば、印刷ジョブ75のヘッダには、ジョブ名81、ユーザ名85、パスワード83、送信時間、記述言語の種類の順に変数(JOB_NAMEなど)を設定するコマンドが記載されている。MFP1は、例えば、受信した印刷ジョブ75のヘッダに設定されたデータに基づいて、その印刷ジョブ75の処理内容を変更する。MFP1は、例えば、パスワード83を示す「JOB_PASSWORD」の変数に有効な値が設定されている場合、受信した印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていると判断し、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして扱う。また、MFP1は、例えば、ユーザ名85を示す「PRINT_USER」に有効な値が設定されている場合、受信した印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていると判断する。なお、PJL以外のプリンタ言語についても、同様に、各言語で定義された内容を判断することで、ユーザ名85等の設定状態を検出できる。
【0028】
図4は、MFP1のタッチパネル21で表示される画面の状態遷移を示している。図4におけるS19~S29は、MFP1のログイン操作に係わる処理である。MFP1は、例えば、電源を投入され制御プログラム71を実行しシステムを起動した後、図4の左上に示す待機画面91をタッチパネル21(図1参照)に表示する。MFP1は、FAX機能、コピー機能、スキャン機能などを選択する機能アイコン93を、待機画面91の中央部に表示する。また、MFP1は、現在選択されているユーザ名を表示するユーザ表示欄95を、待機画面91の左上に表示する。電源投入時は、まだ誰もログインしていない状態のため、MFP1は、待機画面91において、ログアウト状態であることを示すパブリックユーザが選択されている状態であることをユーザ表示欄95に表示する。待機画面91が表示された状態では、パブリックユーザに許可された権限(図2参照)に応じた機能(スキャン機能など)を実行できる。なお、MFP1は、現在の時間や日付を示す日時欄97を待機画面91の右下に表示する。また、MFP1は、左右方向へのスクロールが可能であることを示す三角アイコン98を待機画面91の左右両側に表示する。
【0029】
図4のS19において、パブリックユーザを表示したユーザ表示欄95をユーザがタッチすると、MFP1は、ユーザ選択ウインドウ109をタッチパネル21に表示する。ユーザ選択ウインドウ109には、認証DB73に登録されたユーザ名111が表示される。
【0030】
認証DB73に登録されたユーザ名111をユーザ選択ウインドウ109に表示した後、ユーザ選択ウインドウ109のいずれかのユーザ名111、例えば「inoue」のユーザ名111をユーザによってタッチされると(S21)、MFP1は、PIN番号113を入力するPIN番号入力ウインドウ121を表示する。MFP1は、PIN番号113を入力するためのテンキー123と、PIN番号入力欄124を、PIN番号入力ウインドウ121に表示する。テンキー123を用いてPIN番号入力欄124にPIN番号113を入力されると、MFP1は、入力されたPIN番号113と、ユーザ選択ウインドウ109で選択されたユーザ名111に関連付けられたPIN番号113(この場合、図2の「inoue」の「1111」)とが一致するか判断する(S23)。MFP1は、PIN番号113が一致すると、ログインを許可する。なお詳細は後述するが、MFP1は、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがメモリ15に蓄積されており、かつログインしたユーザに印刷権限が付与されている場合、蓄積した蓄積印刷用ジョブ75Bをすべて印刷する(S23)。
【0031】
MFP1は、ログイン後の第2待機画面91Bを表示する。MFP1は、ログインしたユーザ名(例えば、「inoue」)を、第2待機画面91Bのユーザ表示欄95に表示する。この状態では、ログインしたユーザは、認証DB73で許可されている機能のみを実行できる。従って、MFP1は、認証DB73に設定された権限に基づいてログイン後の機能を制限することで、各ユーザの実行権限を制限する。例えば、コピー権限のないユーザが、コピーの機能アイコン93をタッチしても機能が実行されない。なお、MFP1は、ログインしたユーザが権限を有しない、すなわち、実行できない機能の機能アイコン93を第2待機画面91Bに表示しなくとも良い。
【0032】
第2待機画面91Bを表示した状態で、ユーザ表示欄95をタッチされると(S25)、MFP1は、ログアウトウインドウ126を表示する。MFP1は、ログアウトを実行するか選択する選択キー125をログアウトウインドウ126に表示する。ログアウトの実行を指示する「YES」の選択キー125をタッチされると(S27)、MFP1は、待機画面91をタッチパネル21に表示する。これにより、ログアウトが完了する。また、MFP1は、第2待機画面91Bを表示する状態のまま一定時間が経過した場合、タッチパネル21の表示を第2待機画面91Bから待機画面91に戻す(S29)。この一定時間は、例えば、30秒~1分である。
【0033】
(3.MFP1の作動)
次に、本実施形態のMFP1の作動について、図5図10を参照しつつ、説明する。図5は、印刷ジョブ75を処理するメイン処理の流れを示している。MFP1は、例えば、電源を投入され制御プログラム71をCPU12で実行しシステムを起動した後、図5に示すメイン処理を実行する。なお、本明細書のシーケンス図やフローチャートは、基本的に、プログラム(制御プログラム71など)に記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「受信」、「取得」、「受け付け」、「判断」、「制御」、「設定」等の処理は、CPU12の処理を表している。CPU12による処理は、ハードウェア制御も含む。
【0034】
(3-1.機能設定処理)
まず、図6を用いて、MFP1の機能設定処理を説明する。本実施形態のMFP1は、例えば、初期値として、セキュリティ印刷機能を実行するON設定、蓄積印刷機能を実行しないOFF設定となっている。そして、例えば、CPU12は、起動後に制御プログラム71を実行すると、管理用のWEBサーバ(EWS)を起動する。システム管理は、PC41からMFP1のEWSにログインし、MFP1の各種の設定を変更する。システム管理者は、例えば、EWSのWEBページに表示された各項目を選択等し、確定ボタンをクリックすることで、セキュリティ印刷機能のON/OFF設定、蓄積印刷機能のON/OFF設定、上記した認証DB73の登録等を実行できる。なお、MFP1は、タッチパネル21やテンキー22(図1参照)の操作入力に応じて、セキュリティ印刷機能のON/OFF設定、蓄積印刷機能のON/OFF設定等を実行できる構成でも良い。
【0035】
そして、CPU12は、図6に示す機能設定処理を開始すると、上記したEWSによって設定の変更を受け付けた否かを判断する(S51)。例えば、EWSは、機能の設定変更の指示を受け付けた場合、機能設定処理を実行するプログラムに変更内容を通知する。CPU12は、S51において、EWSから機能設定の変更指示の通知がなかった場合、すなわち、機能の設定変更がない場合(S51:NO)、図6に示す機能設定処理を終了する。
【0036】
一方、CPU12は、S51において、EWSから機能設定の変更内容が通知された場合、すなわち、機能の設定変更があった場合(S51:YES)、取得した機能設定の変更内容をメモリ15に保存し(S53)、S55を実行する。これにより、MFP1は、EWSで受付けた変更内容を反映させ、次回以降の起動時にもその設定内容を保持する。S55において、CPU12は、蓄積印刷機能がON設定であるか否かを判断する。CPU12は、蓄積印刷機能がOFF設定であると判断すると(S55:NO)、図6に示す機能設定処理を終了する。また、CPU12は、蓄積印刷機能がON設定であると判断すると(S55:YES)、S56を実行する。上記したように、本実施形態のMFP1は、初期値として蓄積印刷機能をOFF設定されている。このため、CPU12は、システム管理者等によって蓄積印刷機能をON設定されるまで、S56以降の処理を実行しない。なお、MFP1は、初期値として蓄積印刷機能をON設定される構成でも良い。
【0037】
S56において、CPU12は、セキュリティ印刷機能がON設定であるか否かを判断する。CPU12は、セキュリティ印刷機能がOFF設定であると判断すると(S56:NO)、S58を実行する。また、CPU12は、セキュリティ印刷機能がON設定であると判断すると(S56:YES)、セキュリティ印刷機能がOFF設定であることを示す設定値をメモリ15に保存する(S57)。これにより、MFP1は、次回以降の起動時にもセキュリティ印刷機能をOFF設定とする。従って、本実施形態のCPU12は、蓄積印刷機能のON設定に応じて、セキュリティ印刷機能を自動的にOFF設定する。CPU12は、S57を実行した後、S58を実行する。
【0038】
次に、S58以降の処理において、CPU12は、メモリ15に保存された印刷ジョブ75の判断を行う。ここで、CPU12は、システムを起動した後、PC41等から受信した印刷ジョブ75をメモリ15に保存する。例えば、CPU12は、後述する図8のS91において、セキュリティ印刷機能のON設定時に受信したパスワード83が設定された印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存する。そこで、図6のS58において、CPU12は、蓄積印刷機能をON設定されると(S55:YES)、メモリ15に保存している印刷ジョブ75(セキュリティ印刷用ジョブ75Aなど)について判断を行い、蓄積印刷として処理が可能な印刷ジョブ75を検出する。
【0039】
S58において、CPU12は、メモリ15に保存された印刷ジョブ75の中に、セキュリティ印刷用ジョブ75Aがあるか否かを判断する。CPU12は、例えば、メモリ15に保存された印刷ジョブ75のうち、パスワード83を示す「JOB_PASSWORD」の変数に有効な値が設定されている印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aであると判断する(S58:YES)。あるいは、CPU12は、メモリ15の記憶領域に、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを保存するための専用領域を設け、その領域内に保存された印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして判断してもよい(S58:YES)。CPU12は、メモリ15に保存された印刷ジョブ75の中に、セキュリティ印刷用ジョブ75Aがないと判断すると(S58:NO)、図6に示す機能設定処理を終了する。
【0040】
また、CPU12は、メモリ15に保存された印刷ジョブ75の中に、セキュリティ印刷用ジョブ75Aがある場合(S58:YES)、そのセキュリティ印刷用ジョブ75Aにユーザ名85が設定されているか否かを判断する(S59)。CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aにユーザ名85が設定されていないと判断すると(S59:NO)、そのセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から消去する(S67)。
【0041】
ここで、ユーザ名85が設定されていないセキュリティ印刷用ジョブ75Aは、ユーザと関連付けることが難しく、ログインユーザと関連付けた蓄積印刷の対象とすることが難しい。このため、蓄積印刷機能がON設定されると、蓄積印刷の対象とならないユーザ名85が設定されていないセキュリティ印刷用ジョブ75Aが、メモリ15に保存されたままとなる虞がある。また、本実施形態のCPU12は、上記したように、蓄積印刷機能のON設定に合わせてセキュリティ印刷機能をOFF設定する。このため、仮にパスワード83が設定されている印刷ジョブ75であっても、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75は、再度、セキュリティ印刷機能がON設定されるまでメモリ15に保存された状態となる。そこで、本実施形態のCPU12は、ユーザ名85の設定されていないセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から消去することで、メモリ15の記憶領域を解放する(S67)。
【0042】
なお、CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から削除してもよいかをユーザに確認しても良い。例えば、CPU12は、削除すると判断したセキュリティ印刷用ジョブ75Aの情報をシステム管理者のPC41に通知しても良い。そして、CPU12は、システム管理者から削除の許可を承認する通知を受信すると、S67を実行する設定でも良い。
【0043】
CPU12は、S67を実行した後、S58からの処理を再度実行する。この場合、CPU12は、メモリ15内に、他のセキュリティ印刷用ジョブ75Aがあるか否かを判断し、ある場合には(S58:YES)、そのセキュリティ印刷用ジョブ75Aを対象としてS59以降の処理を実行する。
【0044】
また、CPU12は、S59において、セキュリティ印刷用ジョブ75Aにユーザ名85が設定されていると判断すると(S59:YES)、設定されているユーザ名85が認証DB73に登録されているか否かを判断する(S61)。本実施形態の認証DB73には、図2に示すように、「PUBLIC」を除き、「inoue」等の4つのユーザ名111が登録されている。従って、CPU12は、S61において認証DB73にアクセスし、印刷ジョブ75に設定されたユーザ名85が4つのユーザ名111のいずれかに該当する場合、認証DB73に登録されたユーザ名111であると判断する(S61:YES)。CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aのユーザ名85が認証DB73に登録されていないと判断すると(S61:NO)、そのセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から消去し(S67)、S58からの処理を再度実行する。これにより、ユーザ名85が設定されていないセキュリティ印刷用ジョブ75A(S59:NO)と同様に、蓄積印刷の対象とならない未登録ユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から消去することで、メモリ15の記憶領域を解放する。
【0045】
また、CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aのユーザ名85が認証DB73に登録されていると判断すると(S61:YES)、そのユーザに印刷権限が付与されているか否かを判断する(S63)。図2に示すように、本実施形態の認証DB73では、ユーザ名111の「inoue」および「hayashi」のユーザに印刷権限が付与されている(印刷権限フラグ114参照)。従って、CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aに設定されたユーザ名85が「inoue」又は「hayashi」である場合、ユーザに印刷権限があると判断し(S63:YES)、S65を実行する。また、CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aのユーザに印刷権限がないと判断すると(S63:NO)、そのセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から消去してメモリ15の記憶領域を解放する(S67)。
【0046】
S65において、CPU12は、S58~S63までの条件に合致したパスワード付き印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75Bとしてメモリ15に蓄積する。この条件に合致した印刷ジョブ75は、上記したように、印刷権限を有する登録ユーザのユーザ名85が設定されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aである(S58:YES、S59:YES、S61:YES、S63:YES)。従って、本実施形態のCPU12は、蓄積印刷機能をON設定された場合、その時点でメモリ15に保存された印刷ジョブ75のうち、印刷権限を有する登録ユーザのユーザ名85が設定されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aを、蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存する。CPU12は、S65を実行した後、S58からの処理を再度実行する。
【0047】
なお、CPU12は、蓄積印刷機能のON設定に応じてセキュリティ印刷機能を自動でOFF設定した時点で(S57)、メモリ15に保存されている印刷ジョブ75を全て消去しても良い。この場合、CPU12は、例えば、S58~S67の処理を実行せず、S57の実行後、メモリ15の印刷ジョブ75を全て消去する。また、CPU12は、例えば、ユーザの操作によって意図的にセキュリティ印刷機能をOFF設定された場合、その時点にメモリ15に保存されている印刷ジョブ75を全て消去しても良い。
【0048】
また、CPU12は、蓄積印刷機能をON設定された後、ユーザにより再度、蓄積印刷機能をOFF設定された場合、自動でセキュリティ印刷機能をON設定しても良い。例えば、CPU12は、蓄積印刷機能をOFF設定する通知をEWSから受けた場合、蓄積印刷機能をOFF設定するとともに、セキュリティ印刷機能を自動でON設定しても良い。この場合、CPU12は、図6に示す機能設定処理と同様に、例えば、メモリ15に保存されたユーザ名85が設定された印刷ジョブ75のうち、パスワード83が設定された印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存しても良い。また、CPU12は、例えば、メモリ15に保存されたユーザ名85が設定された印刷ジョブ75のうち、パスワード83が設定されていない印刷ジョブ75を消去しても良いし、メモリ15に保存し続けても良い。また、パスワード83が設定されているか否かにかかわらずメモリ15に保存された印刷ジョブ75をすべて印刷してもよい。
【0049】
また、S65において条件に合致した印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存する方法は、特に限定されない。例えば、CPU12は、メモリ15の記憶領域のうち、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを保存する記憶領域と、蓄積印刷用ジョブ75Bを保存する記憶領域を異なる領域としても良い。この場合、CPU12は、例えば、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを保存する記憶領域に保存された印刷ジョブ75を対象に、S58~S67の処理を実行する。そして、CPU12は、S65において、条件に合致する印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75B用の記憶領域に保存する。これにより、保存先を移動した印刷ジョブ75は、蓄積印刷用ジョブ75Bとして処理される。
【0050】
(3-2.メイン処理)
図5のメイン処理について説明する。CPU12は、電源ON時に、図5の処理を実行する。CPU12は、S30の機能設定処理(図6)を実行した後、S31を実行する。S31において、CPU12は、印刷ジョブ75の受信を確認する。後述するように、CPU12は、S41等を実行した後、再度S31を実行する。従って、CPU12は、システムを起動した後、定期的に印刷ジョブ75を受信したか確認する。CPU12は、S31の確認結果に基づいて、印刷ジョブ75の受信を判断する(S33)。CPU12は、印刷ジョブ75を受信したと判断すると(S33:YES)、S35の印刷/蓄積処理を実行する。一方、CPU12は、印刷ジョブ75を受信していないと判断すると(S33:NO)、S37を実行する。なお、例えば、CPU12は、複数の印刷ジョブ75を受信した場合、複数の印刷ジョブ75に対し受信した順番にS31以降の処理を実行する。
【0051】
S37において、CPU12は、ユーザによってログインされたか判断する。CPU12は、図4のS19~S23の処理がおこなわれた場合にログインされたと判断する。S37以降において、CPU12は、上記した図4のS19以降の蓄積印刷に係わる処理を実行する。CPU12は、ユーザによってログインされたと判断すると(S37:YES)、メモリ15に蓄積された蓄積印刷用ジョブ75Bのうち、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがあるか判断する(S39)。CPU12は、ログインしたユーザの蓄積印刷用ジョブ75Bがあると判断すると(S39:YES)、その蓄積印刷用ジョブ75Bの印刷を印刷部16により実行する(S41)。この場合、セキュリティ印刷とは異なり、印刷の実行に際して図4のS17のようにパスワード83を要求しない。また、CPU12は、S41の印刷処理において、上記した図6のS65で蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存した印刷ジョブ75のうち、ログインユーザに関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bを印刷する。これにより、蓄積印刷機能のON設定時にメモリ15に保存された印刷ジョブ75のうち、印刷権限を有する登録ユーザの印刷ジョブ75を印刷できる。また、ユーザからジョブの選択やパスワードの入力操作を要求することなく、蓄積印刷用ジョブ75Bが自動で印刷が開始される。これにより、ユーザによる操作の煩雑さを解消できる。
【0052】
CPU12は、S41を実行した後、S30からの処理を再度実行する。また、CPU12は、S37においてユーザによってログインされていない場合(S37:NO)、又はS39においてログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがない場合(S39:NO)、S30からの処理を実行する。そして、CPU12は、S30で機能設定処理を実行した後、S31において新たな印刷ジョブ75の受信を確認しS33以降の処理を実行する。なお、CPU12は、蓄積印刷機能をOFF設定されている場合、上記したS37~S41の処理、すなわち、ログイン操作に合わせてログインユーザの蓄積印刷用ジョブ75Bを印刷する処理を実行しなくとも良い。
【0053】
(3-3.印刷/蓄積処理)
次に、図7および図8を用いて図5のS35の印刷/蓄積処理の内容について説明する。なお、以下の説明では、上記した機能設定処理と同様の内容については、その説明を適宜省略する。印刷/蓄積処理が実行される場合、図5のS33において、新規に受信した印刷ジョブ75が存在することとなる(S33:YES)。CPU12は、この新規に受信した印刷ジョブ75を処理対象の印刷ジョブ75としてS71以降の処理を実行する。まず、CPU12は、S71において、処理対象の印刷ジョブ75がメールのデータであるか否かを判断する。メールのデータであるかの判断は、例えば、処理対象の印刷ジョブ75のデータ形式に基づいて判断することができる。
【0054】
CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75がメールのデータであると判断すると(S71:YES)、そのメールの送信元のメールアドレスへパスワード(本明細書のメール用パスワードの一例)を発行する(S73)。このパスワードは、セキュリティ印刷の実行に必要となるパスワード83である。CPU12は、メールの印刷データ(添付ファイルなど)と、発行したパスワード83とを関連付けて、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存する(S75)。CPU12は、例えば、添付ファイル等のデータ(本明細書のメールに係わるメール情報の一例)を、メモリ15の記憶領域のうち、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを保存するための記憶領域に保存する(S75)。CPU12は、S75を実行した後、図7および図8に示す印刷/蓄積処理を終了する。
【0055】
また、CPU12は、S71において、処理対象の印刷ジョブ75がメールのデータでない、すなわち、PJLなどで記述された通常の印刷ジョブ75であると判断すると(S71:NO)、蓄積印刷機能がON設定されているか否かを判断する(S77)。CPU12は、蓄積印刷機能がON設定であると判断すると(S77:YES)、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されているか否かを判断する(S79)。CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていると判断すると(S79:YES)、S81を実行する。
【0056】
また、CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていないと判断すると(S79:NO)、処理対象の印刷ジョブ75をメモリ15に保存せずに破棄する(S83)。従って、蓄積印刷機能がON設定された場合、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75を受信すると、その印刷ジョブ75を破棄する。これにより、メモリ15の記憶領域が圧迫されるのを未然に防ぐことが可能となる。例えば、MFP1側で蓄積印刷機能をON設定し、セキュリティ印刷機能をOFF設定したにも係わらず、PC41からユーザ名85を有しないセキュリティ印刷用ジョブ75Aを受信した場合、CPU12は、受信したセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15に保存せずに消去することができる。その結果、セキュリティ印刷機能がOFF設定の間、セキュリティ印刷用ジョブ75Aが印刷されずにメモリ15に蓄積されるような事態の発生を抑制できる。CPU12は、S83を実行した後、印刷/蓄積処理を終了する。
【0057】
また、CPU12は、S81において、処理対象の印刷ジョブ75に設定されたユーザ名85が認証DB73に登録されているか否かを判断する。CPU12は、ユーザ名85が認証DB73に登録されていないと判断すると(S81:NO)、S83を実行する。これにより、未登録ユーザの印刷ジョブ75を破棄することで、セキュリティを向上しつつ、メモリ15の記憶領域を確保できる。
【0058】
また、CPU12は、S81において、ユーザ名85が認証DB73に登録されていると判断すると(S81:YES)、そのユーザ名85のユーザに印刷権限が付与されているか否かを判断する(S85)。CPU12は、そのユーザに印刷権限が付与されていないと判断すると(S85:NO)、S83を実行する。これにより、印刷権限のない登録ユーザの印刷ジョブ75を破棄することで、セキュリティを向上しつつ、メモリ15の記憶領域を確保できる。
【0059】
また、CPU12は、S85において、ユーザに印刷権限が付与されていると判断すると(S85:YES)、S87を実行する。S87において、CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75を、メモリ15の記憶領域のうち、蓄積印刷用ジョブ75Bを保存するための記憶領域に保存する。S87でメモリ15へ蓄積される印刷ジョブ75は、蓄積印刷用ジョブ75Bとして図5のS41において印刷処理を実行される。CPU12は、S87を実行すると、印刷/蓄積処理を終了する。本実施形態のCPU12は、S77~S87の間において、印刷ジョブ75にパスワード83が設定されているか否かを判断していない。このため、CPU12は、蓄積印刷機能がON設定の際、受信した印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていたとしても、S77~S87の条件を満たす場合、蓄積印刷用ジョブ75Bとして蓄積する。
【0060】
また、上記したS77において、CPU12は、蓄積印刷機能がOFF設定であると判断すると(S77:NO)、処理対象の印刷ジョブ75にパスワード83が設定されているか否かを判断する(図8のS89)。図8に示すように、CPU12は、印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていると判断すると(S89:YES)、S91を実行し、パスワード83が設定されていないと判断すると(S89:NO)、S93を実行する。
【0061】
また、CPU12は、S91において、処理対象の印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存し、印刷/蓄積処理を終了する。また、CPU12は、S93において、1)処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていないという条件、および2)処理対象の印刷ジョブ75に設定されているユーザ名85のユーザに印刷権限があるという条件のうち、少なくとも一方の条件を満たす場合(S93:YES)、S95を実行する。また、CPU12は、上記した2つの条件の両方を満たさない場合(S93:NO)、S97を実行する。
【0062】
CPU12は、S95において、処理対象の印刷ジョブ75の印刷を実行する。これにより、CPU12は、パスワード83およびユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75(S89:NO、S93:YES)、すなわち、セキュリティ印刷用ジョブ75Aおよび蓄積印刷用ジョブ75Bに該当しない印刷ジョブ75を印刷する。また、CPU12は、S95において、パスワード83が設定されていないものの、印刷権限を有する登録ユーザのユーザ名85が設定された印刷ジョブ75を印刷する(S89:NO、S93:YES)。また、CPU12は、S97において、処理対象の印刷ジョブ75をメモリ15に保存せずに破棄する。これにより、未登録のユーザ名85が設定された印刷ジョブ75や、印刷権限のない登録ユーザのユーザ名85が設定された印刷ジョブ75を破棄し、メモリ15の記憶領域を確保する。CPU12は、S95又はS97を実行すると、印刷/蓄積処理を終了する。
【0063】
(3-4.アイコン押下後処理)
次に、図4図10を用いて、セキュリティ印刷におけるCPU12の処理について説明する。図10は、図4の第1待機画面91Aに示すセキュリティ印刷機能の機能アイコン93Aを押下した後のアイコン押下後処理の内容を示している。例えば、図4のS11において、タッチパネル21に表示された待機画面91を左へスクロールする操作をユーザが行うと、CPU12は、第1待機画面91Aをタッチパネル21に表示する。CPU12は、セキュリティ印刷用の機能アイコン93Aを第1待機画面91Aに表示する。CPU12は、第1待機画面91Aの機能アイコン93Aをタッチされるとジョブ選択ウインドウ101を表示し(図4のS13)、図10に示す処理を開始する。
【0064】
まず、CPU12は、図10のS101において、図8のS91で蓄積したセキュリティ印刷用ジョブ75Aのジョブ名81の一覧を、タッチパネル21のジョブ選択ウインドウ101に表示する(図4参照)。本実施形態では、CPU12は、図7のS75において、パスワード83を発行したメールの添付ファイル等をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして保存する。従って、例えば、パスワード83が発行されたメールの添付ファイル名も、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてジョブ選択ウインドウ101に表示される。
【0065】
次に、CPU12は、S103において、ジョブ選択ウインドウ101に表示したジョブ名81のいずれかをタッチされたか否かを判断する。CPU12は、ジョブ名81をタッチされるまで(S103:NO)、S103の処理を繰り返し実行する。なお、CPU12は、一定時間(例えば、30秒)だけ経過してもジョブ名81を選択されない場合、ジョブ選択ウインドウ101を消して、タッチパネル21の表示を第1待機画面91Aや待機画面91に戻しても良い。
【0066】
CPU12は、ジョブ選択ウインドウ101のいずれかのジョブ名81をタッチされと(S103:YES、図4のS15)、図4のパスワード入力ウインドウ103をタッチパネル21に表示させる(S105)。CPU12は、パスワード入力ウインドウ103を表示した後、パスワード入力ウインドウ103に対するパスワード83の入力を確定したか否かを判断する(S107)。例えば、CPU12は、図4のパスワード入力ウインドウ103を表示した状態で、テンキー22(図1参照)の確定キーを押下されと、パスワード83の入力が確定したと判断する(S107:YES)。CPU12は、パスワード83の入力が確定されるまで(S107:NO)、S107の処理を繰り返し実行する。なお、CPU12は、一定時間(例えば、30秒)だけ経過してもパスワード83の入力を確定されない場合、パスワード入力ウインドウ103を消してジョブ選択ウインドウ101を表示しても良い。
【0067】
CPU12は、パスワード83の入力が確定されたと判断すると(S107:YES)、パスワード入力ウインドウ103に入力されたパスワード83と、選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aのパスワード83とが一致するか判断する(S109、図4のS17)。CPU12は、パスワード83が一致する場合(S109:YES)、セキュリティ印刷用ジョブ75Aの印刷を実行する(S111、図4のS107)。CPU12は、図10の処理を終了し、例えば、印刷中は図4の印刷実行画面107をタッチパネル21に表示し、印刷が終了すると待機画面91をタッチパネル21に表示する。
【0068】
一方、CPU12は、パスワード83が一致しない場合、エラーメッセージをタッチパネル21に表示する(S113)。CPU12は、例えば、エラーメッセージを一定時間だけ表示した後、図10の処理を終了し、パスワード入力ウインドウ103を再度表示する。CPU12は、例えば、S105からの処理を再度実行する。このようにして、本実施形態のCPU12は、セキュリティ印刷機能を実行する。
【0069】
(3-5.待機画面表示処理)
次に、図4に示す待機画面91、第1待機画面91A、第2待機画面91Bにおいて、セキュリティ印刷用の機能アイコン93Aの表示、非表示を制御する待機画面表示処理について、図9を参照しつつ説明する。CPU12は、例えば、待機画面91の表示を開始する際や、待機画面91の表示を切り替える際に、図9に示す処理を実行する。より具体的には、CPU12は、MFP1の電源を投入され最初に待機画面91を表示する際、印刷を終了して待機画面91を表示する際、ログイン後に第2待機画面91Bを表示する際などに、図9の処理を実行する。
【0070】
図9に示すように、CPU12は、待機画面表示処理を開始すると、蓄積印刷機能がON設定となっているか否かを判断する(S121)。CPU12は、蓄積印刷機能がON設定の場合(S121:YES)、S123を実行し、OFF設定の場合(S121:NO)、S125を実行する。
【0071】
S125において、CPU12は、図4に示す待機画面91等に機能アイコン93Aを表示する処理を実行する。これにより、蓄積印刷機能がOFF設定されている場合、待機画面91には、スクロール操作に応じた第1待機画面91Aに機能アイコン93Aが表示される。ユーザは、機能アイコン93Aを操作してセキュリティ印刷を実行できる。
【0072】
また、S123において、CPU12は、ログイン中であるか否かを判断する。CPU12は、ログイン中でないと判断すると(S123:NO)、S125を実行する。従って、蓄積印刷機能がON設定の場合、CPU12は、ログアウト状態の待機画面91をスクロール操作した第1待機画面91Aに機能アイコン93Aを表示する。
【0073】
また、CPU12は、S123において、ログイン中であると判断すると(S123:YES)、機能アイコン93Aを含まない第2待機画面91Bを表示する(S127)。これにより、蓄積印刷機能がON設定されている場合、ログイン後の第2待機画面91Bには、セキュリティ印刷用の機能アイコン93Aが表示されない。上記したように蓄積印刷機能がON設定の場合、メール以外にはセキュリティ印刷用ジョブ75Aが蓄積されない。このため、第2待機画面91Bに機能アイコン93Aを非表示とすることで、誤操作の発生を抑制できる。なお、CPU12は、ログイン操作に合わせて、ログインユーザに関係する印刷ジョブ75、より具体的にはログインユーザのメールアドレスとして認証DB73に登録されている送信アドレスからのメールの印刷ジョブ75を印刷しても良い。このようにして、CPU12は、待機画面91等の表示処理を実行する。
【0074】
因みに、MFP1は、印刷装置の一例である。CPU12は、制御部の一例である。メモリ15は、記憶部の一例である。タッチパネル21は、表示部および操作部の一例である。ネットワークインタフェース24は、通信部の一例である。認証DB73は、認証データの一例である。ユーザ名85,111は、ユーザ識別情報の一例である。
【0075】
(4.効果)
以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のCPU12は、セキュリティ印刷機能において、ネットワークインタフェース24を介して印刷ジョブ75を受信する受信処理(S31)と、受信処理により受信した印刷ジョブ75にパスワード83が含まれているか否かを判断する判断処理(S89)と、判断処理により、印刷ジョブ75にパスワード83が含まれていると判断した場合に(S89:YES)、印刷ジョブ75をメモリ15に保存する保存処理(S91)と、判断処理により、印刷ジョブ75にパスワード83が含まれていないと判断した場合に(S89:NO)、印刷ジョブ75に係る画像を印刷部16により印刷する第1印刷処理(S95)と、メモリ15に保存された印刷ジョブ75に関する情報を示すジョブ一覧をタッチパネル21に表示する第1表示処理(S13)と、表示したジョブ一覧から印刷ジョブ75の選択を、タッチパネル21により受け付ける第1受付処理(S15)と、タッチパネル21を介してパスワード83を受け付ける第2受付処理(S17)と、第1受付処理で選択された印刷ジョブ75に関連付けられたパスワード83と、第2受付処理で受け付けたパスワード83とが一致するか否かを判断するパスワード判断処理(S17)と、パスワード判断処理の結果、印刷ジョブ75に関連付けられたパスワード83と第2受付処理で受け付けたパスワード83とが一致すると判断したことに応じて、第1受付処理で選択された印刷ジョブ75を印刷部16により印刷する第2印刷処理(S17)と、を実行する。また、CPU12は、蓄積印刷機能を含むMFP1が備える機能の実行を行うか否かの設定を受け付ける第3受付処理(S77)を実行する。蓄積印刷機能は、ユーザ名85をタッチパネル21を介して受け付ける第4受付処理(S21)と、ユーザ名85の認証に係わる認証DB73に基づいて、第4受付処理で受け付けたユーザ名85の認証を実行し、認証の成功に応じて、メモリ15に保存された印刷ジョブ75のうち、認証に成功したユーザ名85と関連付けられた印刷ジョブ75に係る画像を印刷部16により印刷する第3印刷処理(S23)と、を含む。CPU12は、第3受付処理において蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けたことに応じて(S77:YES)、パスワード判断処理(S89)を実行することなくメモリ15に印刷ジョブ75を保存し(S87)、メモリ15に保存した印刷ジョブ75のパスワード83をタッチパネル21を介して受け付けることなく第3印刷処理(S23)、を実行する。
【0076】
これによれば、印刷ジョブ75に関連付けられたパスワード83と、タッチパネル21を介して受け付けたパスワード83とが一致することに応じて、ジョブ一覧から選択された印刷ジョブ75を印刷する、セキュリティ印刷機能を有するMFP1において、ユーザ名85による認証に成功した場合、認証に成功したユーザ名85と関連付けられた印刷ジョブ75を印刷する、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が可能である。そして、MFP1は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けたことに応じて、セキュリティ印刷機能を制限する。蓄積印刷機能の有効化に応じてセキュリティ印刷機能を制限することで、2つの機能を有するMFP1における印刷処理を適切に実行できる。
【0077】
また、例えば、プリンタドライバなどによって、PC41のログインユーザIDが自動的に印刷ジョブ75にユーザ名85として関連付けられる場合がある。一方、セキュリティ印刷機能におけるパスワード83は、プリンタドライバで印刷指示する際に、ユーザが設定する必要がある。蓄積印刷機能をMFP1に追加することにより、印刷ジョブ75ごとにパスワード83を設定することなくセキュリティ印刷機能と同等の効果が得られる。そして、同等の効果が得られる2つの機能のうち、一方の機能を制限することで、ユーザにおける操作性向上も図れる。
【0078】
(2)また、CPU12は、第3受付処理(S55)において蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けたことに応じて(S55:YES)、第3受付処理においてセキュリティ印刷機能を実行しない旨の設定を受け付けなくても、セキュリティ印刷機能を実行しない旨の設定を行う(S57)。
【0079】
これによれば、蓄積印刷機能のON設定に応じて、セキュリティ印刷機能を自動でOFF設定する。これにより、蓄積印刷機能とセキュリティ印刷機能とを排他的に実行することで、2つの機能における印刷処理を適切に実行できる。
【0080】
(3)また、CPU12は、受信処理により受信した印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が、認証DB73に登録されているか否かを判断する第2判断処理(S81)を実行する。CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われた状態でかつ印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が認証DB73に登録されていると判断した場合に(S81:YES)、印刷ジョブ75を蓄積印刷機能の第3印刷処理で印刷する印刷ジョブ75である蓄積印刷用ジョブ75Bとしてメモリ15に保存する(S87)。CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われた状態でかつ印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が認証DB73に登録されていないと判断した場合に(S81:NO)、印刷ジョブ75をメモリ15に記憶しない(S83)。
【0081】
これによれば、パスワード83が関連付けられた印刷ジョブ75を受信した場合であっても、その印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85にしたがい蓄積印刷機能を実行できる。さらに、認証DB73に登録されていないユーザ名85の印刷ジョブ75を受信した場合、その印刷ジョブ75をメモリ15に記憶せず、破棄する。これにより、認証DB73に登録されていないユーザ名85が関連付けられた印刷ジョブ75が、印刷されずにメモリ15に保存され続け、メモリ15の記憶領域を圧迫するのを未然に防ぐことが可能となる。
【0082】
(4)また、CPU12は、セキュリティ印刷機能により印刷処理の実行操作を行うための機能アイコン93Aをタッチパネル21に表示させる(図4の第1待機画面91A参照)。CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨が設定されている場合かつ第4受付処理により受け付けたユーザ名85の認証が成功している場合に、機能アイコン93Aを選択可能な状態でタッチパネル21に表示せず(S127)、蓄積印刷機能を実行する旨が設定されている場合かつ第4受付処理により受け付けたユーザ名85の認証が成功していない場合に、機能アイコン93Aを操作可能な状態でタッチパネル21に表示する(S125)。
【0083】
これによれば、ログイン操作により蓄積印刷機能などを実行している場合には、セキュリティ印刷機能を実行するための機能アイコン93Aを選択可能な状態で表示しないことで、誤操作の発生を抑制できる。また、ログアウト状態では機能アイコン93Aを表示することで、印刷ジョブ75を選択するセキュリティ印刷を実行することが可能となる。これにより、2つの機能の共存を適切に実行できる。
【0084】
(5)また、CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けた際に、既にメモリ15にセキュリティ印刷機能によるセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして保存された印刷ジョブ75がある場合、メモリ15に保存された印刷ジョブ75のうちユーザ名85が設定された印刷ジョブ75を、蓄積印刷機能の蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存する(S65)。
【0085】
これによれば、蓄積印刷機能を実行する旨が設定される際に、既に取得していた印刷ジョブ75で、ユーザ名85が設定された印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75Bとして処理することができる。これにより、蓄積印刷機能を実行する旨の設定に応じてセキュリティ印刷機能を制限したとしても、既にメモリ15に保存された印刷ジョブ75を、蓄積印刷機能で印刷することができる。
【0086】
(6)また、MFP1は、メールを受信し印刷するメール受信機能を備える。CPU12は、メールを受信することに応じて、メールの送信元のメールアドレスへメール用パスワードを送信するパスワード送信処理(S73)と、受信したメールに係わるメール情報を、送信するメール用パスワードと関連付けてメモリ15に保存するメール情報保存処理(S75)と、メール情報をタッチパネル21に表示する第2表示処理と(図4のジョブ選択ウインドウ101)、表示したメール情報の選択を、タッチパネル21により受け付ける第5受付処理(S15)と、タッチパネル21を介してメール用パスワードを受け付ける第6受付処理(S17)と、第5受付処理で選択されたメール情報に関連付けられたメール用パスワードと、第6受付処理で受け付けたメール用パスワードとが一致するか否かを判断するメール用パスワード判断処理(S17)と、メール用パスワード判断処理の結果、第5受付処理で選択されたメール情報に関連付けられたメール用パスワードと、第6受付処理で受け付けたメール用パスワードとが一致すると判断したことに応じて、メール情報に係わる印刷を印刷部16により実行する第4印刷処理(S17)と、を実行する。CPU12は、第3受付処理において蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けた後も、メールに関する印刷機能を維持する。
【0087】
これによれば、蓄積印刷機能を実行する設定に応じてセキュリティ印刷機能を制限した場合であっても、メールの印刷機能を維持する。メールにより印刷を依頼するユーザは、プリンタドライバ等から印刷ジョブ75を送信するユーザとは異なる可能性がある。このため、セキュリティ印刷機能を制限してもメールによる印刷機能を維持することで、ユーザの利便性の低下を抑制できる。
【0088】
(第2実施形態)
次に、本明細書に開示される第2実施形態について図11および図12を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、上記した第1実施形態と同様の内容については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。図11は、第2実施形態の機能設定処理の内容を示している。上記した第1実施形態では、CPU12は、蓄積印刷機能がON設定されるのに応じて、セキュリティ印刷機能を自動でOFF設定した。これに対し、第2実施形態のCPU12は、セキュリティ印刷機能を自動でOFF設定しない。図11に示すように、CPU12は、S55を実行した後、S58を実行する。
【0089】
また、上記した第1実施形態では、蓄積印刷機能をON設定された際に、既にメモリ15に保存されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aのうち、蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存できない印刷ジョブ75を破棄した(図6のS67)。これに対し。蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存できない印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして保存し続けても良い。図11に示すように、例えば、CPU12は、S59において、セキュリティ印刷用ジョブ75Aにユーザ名85が設定されていないと判断すると(S59:NO)、その印刷ジョブ75を消去せずに、S58からの処理を再度実行する。CPU12は、再度のS58において、メモリ15に保存された印刷ジョブ75の中に、他にセキュリティ印刷用ジョブ75Aが存在するか否かを判断する。また、CPU12は、未登録のユーザの場合(S61:NO)、および印刷権限を有しないユーザの場合(S63:NO)も、同様に、S58からの処理を再度実行する。これにより、蓄積印刷機能がON設定された後も、パスワード83が設定されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15に残しておき、セキュリティ印刷により印刷することが可能となる。
【0090】
図12は、第2実施形態の印刷/蓄積処理の内容を示しており、第1実施形態における図7の処理の別実施例である。なお、図8に示す印刷/蓄積処理については、第2実施形態においても同様であるため、図8を用いて説明する。第1実施形態のCPU12は、蓄積印刷機能がON設定された後(S77:YES)、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75(S79:NO)や、未登録ユーザの印刷ジョブ75(S81:NO)を、破棄した(図7のS83)。
【0091】
これに対し、第2実施形態のCPU12は、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75(S79:NO)や、未登録ユーザの印刷ジョブ75(S81:NO)について、パスワード83が設定されているか否かを判断する(図8のS89)。これにより、CPU12は、蓄積印刷機能がON設定された後に受信したパスワード83が設定された印刷ジョブ75を(図8のS89:YES)、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして保存できる(S91)。また、CPU12は、印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていない場合でも(S89:NO)、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75(S93:YES、図12のS79:NO)を、メモリ15に保存することなく印刷する(図8のS95)。これにより、蓄積印刷機能がON設定されても、ユーザ名85を設定しないプリンタドライバ等から受信した印刷ジョブ75を印刷できる。
【0092】
また、CPU12は、印刷ジョブ75に未登録ユーザのユーザ名85が設定され(図12の81:NO)、かつその印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていない場合(S89:NO)、印刷ジョブ75を破棄する(S97)。これにより、未登録ユーザの印刷ジョブ75を実行せずにセキュリティを高めることができるとともに、メモリ15の記憶領域を確保できる。このようにして、第2実施形態のCPU12は、セキュリティ印刷機能を自動でOFFせずに、セキュリティ印刷用ジョブ75Aの印刷を実行できる。
【0093】
(5.効果)
以上、上記した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)CPU12は、受信処理により受信した印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が、認証DB73に登録されているか否かを判断する第2判断処理(S81)を実行する。CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われた状態でかつ印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が認証DB73に登録されていると判断した場合に(S81:YES)、印刷ジョブ75を蓄積印刷機能の第3印刷処理で印刷する印刷ジョブ75である蓄積印刷用ジョブ75Bとしてメモリ15に保存する(S87)。CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われた状態でかつ印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が認証DB73に登録されていないと判断した場合に(S81:NO)、印刷ジョブ75をセキュリティ印刷機能の第2印刷処理で印刷する印刷ジョブ75であるセキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存する(図8のS91)。
【0094】
これによれば、パスワード83が関連付けられた印刷ジョブ75を受信した場合であっても、その印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85にしたがい蓄積印刷機能を実行できる。さらに、認証DB73に登録されていないユーザ名85の印刷ジョブ75を受信した場合、その印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に保存する。すなわち、認証DB73に登録されていないユーザ名85の印刷ジョブ75については、例外的にセキュリティ印刷機能を実行する。これにより、未登録のユーザ名85が設定された印刷ジョブ75であっても、パスワード付きの印刷ジョブ75であれば、セキュリティ印刷機能により印刷することができる。例えば、MFP1側でセキュリティ印刷機能を制限したとしても、印刷ジョブ75の送信側へ通知しない限り、機能が制限されたことを送信側で認識できない虞がある。その結果、送信側からパスワード付きの印刷ジョブ75を送信される虞がある。この場合でも、パスワード83及びユーザ名85が設定された印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aや蓄積印刷用ジョブ75Bとして保存することで、セキュリティを維持しつつ印刷できる。
【0095】
(2)また、CPU12は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定を受け付けた際に、既にメモリ15に保存された印刷ジョブ75がある場合、メモリ15に保存された印刷ジョブ75のうち、パスワード83が設定された印刷ジョブ75(セキュリティ印刷用ジョブ75A)を、セキュリティ印刷機能の第1印刷処理で印刷する印刷ジョブ75であるセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして処理する(図11のS59:NO、S61:NO、S63:NO)。
【0096】
これによれば、蓄積印刷機能を実行する旨が設定される際に、既に取得していた印刷ジョブ75で、パスワード83が設定された印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして例外的に処理できる。これにより、蓄積印刷機能を実行する旨の設定に応じてセキュリティ印刷機能を制限したとしても、既にメモリ15に保存された印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷機能で印刷することができる。
【0097】
(6.変形例)
尚、本明細書に開示される内容は上記各実施形態に限定されるものではなく、本明細書の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本明細書に開示される認証情報は、PIN番号のような数字に限らず、文字などでも良い。また、本明細書に開示される認証情報による認証は、認証用のカードの情報を用いた認証、指紋などの生体認証でも良い。
また、CPU12は、図9に示す待機画面表示処理を実行しなくとも良い。この場合、CPU12は、蓄積印刷機能のON、OFFに係わらず、ログイン後の第2待機画面91Bに機能アイコン93Aを表示しても良い。
また、MFP1は、メールを受信する機能や、メールの情報を印刷する機能を有しなくとも良い。
上記実施形態では、MFP1は、蓄積印刷用ジョブ75Bを、ユーザのログイン後に印刷を開始したが、MFP1は、ユーザがログイン後、さらにタッチパネル21に対する所定操作に応じて、蓄積した蓄積印刷用ジョブ75Bの印刷を実行しても良い。
また、第2実施形態におけるS79でNOと判断した場合やS81でNOと判断した場合には、受信した印刷ジョブ75を破棄してもよい。
また、MFP1は、ログイン操作を受け付ける操作部としてタッチパネル21を備えたが、他の方法によりログイン操作できる構成でも良い。例えば、MFP1は、携帯端末から受信したデータに基づいてログインを許可するか判断しても良い。ユーザは、携帯端末でユーザ名85やPIN番号113を入力してMFP1に送信しログイン操作を行っても良い。この場合、携帯端末と通信する通信部は、本明細書に開示される操作部の一例となる。
【0098】
また、上記実施形態では、本明細書に開示される制御部として、所定のプログラムを実行するCPU12を採用したが、これに限らない。例えば、制御部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで構成してもよい。また、制御部は、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。
また、上記実施形態では、本明細書に開示される印刷装置として複合機であるMFP1を採用したが、これに限らない。本明細書に開示される印刷装置は、プリント機能のみを有するプリンタ装置でもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 MFP(印刷装置)、12 CPU(制御部)、15 メモリ(記憶部)、21 タッチパネル(表示部、操作部)、16 印刷部、24 ネットワークインタフェース(通信部)、73 認証DB(認証データ)、75 印刷ジョブ、75A セキュリティ印刷用ジョブ、75B 蓄積印刷用ジョブ、83 パスワード、85,111 ユーザ名(ユーザ識別情報)、93A 機能アイコン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12