(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電動ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 20/04 20060101AFI20241029BHJP
A61G 7/015 20060101ALI20241029BHJP
A61G 7/018 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A47C20/04 Z
A61G7/015
A61G7/018
(21)【出願番号】P 2020101951
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390007870
【氏名又は名称】シーホネンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】竹田 寛士
(72)【発明者】
【氏名】馬場崎 智宏
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-275084(JP,A)
【文献】特開2006-346311(JP,A)
【文献】特開2015-202139(JP,A)
【文献】特開2006-346045(JP,A)
【文献】特開2013-144045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/04,20/04,20/08-12
A61G 7/015,7/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のボトムと、
前記第一のボトムに対して回動可能に連結される第二のボトムと、
前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの角度を変更するアクチュエータと、を備える電動ベッドであって、
前記第一のボトムは、支持フレームを備え、
前記第二のボトムは、前記支持フレームに連結される被支持フレームと、前記アクチュエータに接続されるブラケットと、を備え、
前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点を変更することにより、前記アクチュエータによる前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの回動範囲が変更可能とされ
、
使用者の操作指示を受け付ける操作部と、
前記操作部によって受け付けられた操作指示に応じて前記アクチュエータの動作を制御する制御部と、を備え、
前記操作部は、前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの相対角度を表示する角度表示部を備え、
前記角度表示部は、前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点の変更に伴って表示角度を変更可能とされる、電動ベッド。
【請求項2】
前記支持フレームには、第一支持孔と第二支持孔とが開口され、
前記被支持フレームには、第一被支持孔と第二被支持孔とが開口され、
前記第一のボトムと前記第二のボトムとの相対角度が180度の際は、前記第一支持孔と前記第一被支持孔とが一致し、前記第二支持孔と前記第二被支持孔とが一致するように、配置され、
支点ピンを前記第一支持孔と前記第一被支持孔とに挿入して前記回動支点とするか、前記支点ピンを前記第二支持孔と前記第二被支持孔とに挿入して前記回動支点とするかを変更することにより、前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点を変更する、請求項1に記載の電動ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータによりボトムの角度を可変とする電動ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータの駆動力により、使用者の体を支えるボトム(頭ボトム、背ボトム、脚ボトム等)の角度を変えて背上げや脚上げしたりすることができる電動ベッドが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2937261号公報
【文献】特開2020-36990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載の電動ベッドにおいて、ボトム同士の連結構成は複雑かつ大がかりになっていた。このため、使用者の身長や体格に応じて、ボトムの回動範囲や回動角度を変更しようとした場合、ボトムの付け替え等の作業が煩雑になっていた。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成でボトムの回動範囲や回動角度を変更することが可能となる、電動ベッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動ベッドは、第一のボトムと、前記第一のボトムに対して回動可能に連結される第二のボトムと、前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの角度を変更するアクチュエータと、を備える電動ベッドであって、前記第一のボトムは、支持フレームを備え、前記第二のボトムは、前記支持フレームに連結される被支持フレームと、前記アクチュエータに接続されるブラケットと、を備え、前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点を変更することにより、前記アクチュエータによる前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの回動範囲が変更可能とされ、使用者の操作指示を受け付ける操作部と、前記操作部によって受け付けられた操作指示に応じて前記アクチュエータの動作を制御する制御部と、を備え、前記操作部は、前記第一のボトムに対する前記第二のボトムの相対角度を表示する角度表示部を備え、前記角度表示部は、前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点の変更に伴って表示角度を変更可能とされる。
【0007】
この構成によれば、支持フレームにおける被支持フレームの回動支点を変更するだけで、第二のボトムの回動範囲を変更できるため、簡易な構成で第二のボトムの回動範囲や回動角度を変更することが可能となる。また、第二のボトムの回動角度の変更に応じて、操作部における角度表示を変更することができる。
【0008】
また、前記支持フレームには、第一支持孔と第二支持孔とが開口され、前記被支持フレームには、第一被支持孔と第二被支持孔とが開口され、前記第一のボトムと前記第二のボトムとの相対角度が180度の際は、前記第一支持孔と前記第一被支持孔とが一致し、前記第二支持孔と前記第二被支持孔とが一致するように、配置され、支点ピンを前記第一支持孔と前記第一被支持孔とに挿入して前記回動支点とするか、前記支点ピンを前記第二支持孔と前記第二被支持孔とに挿入して前記回動支点とするかを変更することにより、前記支持フレームにおける前記被支持フレームの回動支点を変更することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、支点ピンの挿入位置を変更するだけで、支持フレームにおける被支持フレームの回動支点が変更され、第二のボトムの回動範囲を変更できるため、簡易な構成で第二のボトムの回動範囲や回動角度を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成の電動ベッドは、簡易な構成でボトムの回動範囲や回動角度を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動ベッドの構成を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す電動ベッドの昇降フレームを下降させ、ボトム、ヘッドボード、及びフットボードを取り外した状態を示す斜視図。
【
図4】頭ボトムと背ボトムとの連結構成を示した斜視図。
【
図5】頭ボトムと背ボトムとの連結構成を示した分解斜視図。
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ、頭ボトムと背ボトムとを通常連結した際の下降状態及び上昇状態を示した側面図。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ、頭ボトムと背ボトムとを高連結した際の下降状態及び上昇状態を示した側面図。
【
図8】
図1に示す電動ベッドの電気的構成の一例を示すブロック図。
【
図10】(a)及び(b)はそれぞれ、手元スイッチにおける表示部における表示設定画面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。本明細書においては、各図中に示す矢印で電動ベッド1の方向を示している。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動ベッド1の構成を示す斜視図である。
【0013】
図1に示す如く、電動ベッド1は平面視で前後方向に長手方向を有する略矩形状に形成される。電動ベッド1は、大略的に、床面に載置されるベースユニット2、ベースユニット2に対して昇降可能に連結される昇降フレーム3、昇降フレーム3の上面に取り付けられるボトム4、昇降フレーム3の前端部に組付けられるヘッドボード51、及び昇降フレーム3の後端部に組付けられるフットボード52を主な構成部品として備える。
【0014】
ボトム4は、頭ボトム41、背ボトム42、座ボトム43、膝ボトム44、及び脚ボトム45を含む。頭ボトム41は使用者の頭を支える位置に配置され、背ボトム42は使用者の背中を支える位置に配置され、座ボトム43は使用者の腰を支える位置に配置され、膝ボトム44は使用者の膝を支える位置に配置され、脚ボトム45は使用者の脚を支える位置に配置されている。
【0015】
本実施形態において、背ボトム42は本発明に係る第一のボトムの一実施態様であり、頭ボトム41は本発明に係る第二のボトムの一実施態様である。なお、本発明に係る第一及び第二のボトムは上記の如く背ボトム42及び頭ボトム41に限定されず、第一及び第二のボトムとして他のボトムを適用することも可能である。
【0016】
電動ベッド1の使用者は、ボトム4の上面に図示しないマットレスを敷き、頭を前側に、足を後側にしてマットレスの上に横たわることにより電動ベッド1を使用する。
【0017】
図2は、
図1に示す電動ベッド1の昇降フレーム3が下降した際に、ボトム4、ヘッドボード51、及びフットボード52を取り外した状態を示す斜視図である。電動ベッド1は、アクチュエータA1,A2,A3,A4、及びこれらの駆動を制御する制御ボックスCを備える。アクチュエータA1,A2,A3,A4は、伸縮ロッドR(
図6(b)及び
図7(b)を参照)と、伸縮ロッドRを伸縮させるためのモータやギア機構を含む駆動部を備えている。アクチュエータA3は、本発明に係るアクチュエータの一実施態様である。
【0018】
ベースユニット2は電動ベッド1の全ての構成部品を直接的又は間接的に支持する基台部であり、平面視で前後方向に長手方向を有する矩形状に形成される。
図2に示す如く、ベースユニット2は前後方向に軸方向を有する支持フレーム21,21を左右に備える。
【0019】
支持フレーム21,21におけるそれぞれの前後両端部には、床面に載置される脚座22が組付けられる。支持フレーム21,21の間における、前部には支持柱23が、後部には支持柱24が左右方向に架け渡される。これにより、支持フレーム21,21が連結され、支持フレーム21,21、及び、支持柱23,24により、ベースユニット2は強固な枠体として構成される。
【0020】
また、支持フレーム21,21の間には、支持柱23と支持柱24との間の領域で、前後方向にスライド可能な支持柱25が左右方向に架け渡される。支持柱25の両端部には図略のローラが取り付けられている。支持フレーム21,21の内側に設けられたガイド部材によって、支持柱25両端のローラがガイドされることにより、支持柱25が前後方向にスライド可能とされている。
【0021】
昇降フレーム3は、大略的に、平面視で前後方向に長手方向を有する矩形状の枠体である。昇降フレーム3は、左右一対のX形リンク機構6によって、ベースユニット2に対して昇降可能に連結されている。X形リンク機構6は、同じ長さのリンク61とリンク62とが、略中央位置で左右方向に延びる軸63まわりに互いに回動可能に連結されて構成されている。
【0022】
一対のリンク61の下端は、支持柱23に対して左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。一対のリンク61の上端には、図略のローラが取り付けられている。一対のリンク61のローラが、昇降フレーム3に取り付けられたガイド部材31,31によってガイドされることにより、一対のリンク61の上端が、昇降フレーム3に対して前後方向にスライド可能に連結されている。
【0023】
一対のリンク62の下端は、支持柱25に連結されている。一対のリンク62の上端は、昇降フレーム3に対して左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。一対のリンク61の間には、軸63よりも上方位置で、連結棒64が架け渡されている。
【0024】
支持フレーム21,21の間には、連結棒27が架け渡されている。連結棒27の略中央部に、アクチュエータA1が揺動可能に連結されている。連結棒64の略中央部には、径方向に延出するブラケット65が取り付けられている。アクチュエータA1の伸縮ロッドRの先端は、ブラケット65の先端に、左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。
【0025】
これにより、アクチュエータA1の伸縮ロッドRが伸びると、X形リンク機構6が上下方向に延びて昇降フレーム3が上昇し、アクチュエータA1の伸縮ロッドRが縮むと、X形リンク機構6が上下方向に縮んで昇降フレーム3が下降するようになっている。
【0026】
昇降フレーム3には、頭ボトム41を構成する頭フレーム411と、背ボトム42を構成する背フレーム421と、膝ボトム44を構成する膝フレーム441と、脚ボトム45を支持する脚フレーム451とが連結されている。背ボトム42と膝ボトム44との間において、昇降フレーム3に座ボトム43が固定的に取り付けられる。
【0027】
背フレーム421は、その後方端部を支点にして左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に、昇降フレーム3に対して連結されている。アクチュエータA2の駆動部が、昇降フレーム3に対して左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。アクチュエータA2の伸縮ロッドRの先端が、図示しないリンク機構を介して背フレーム421に連結されている。
【0028】
これにより、アクチュエータA2の伸縮ロッドRが伸びると、背フレーム421が立ち上がるように回動して上方へ姿勢変更し、背フレーム421の姿勢変更と連動して頭フレーム411とアクチュエータA3とが上方へ移動する。アクチュエータA2の伸縮ロッドRが縮むと、背フレーム421が倒れるように回動して下方へ姿勢変更し、背フレーム421の姿勢変更と連動して頭フレーム411とアクチュエータA3とが下方へ移動する。
【0029】
図4及び
図5に示す如く、背フレーム421の前方端部と、頭フレーム411の後方端部とは、左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。具体的には、背フレーム421の前端部には、前方に延出される支持フレーム422・422が設けられ、頭フレーム411の後端部には、後方に延出される被支持フレーム412・412とブラケット413とが設けられる。ブラケット413の後端部はアクチュエータA3の伸縮ロッドRの先端に接続される。支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412とは支点ピンPにより回動可能に連結される。
【0030】
背フレーム421には背ボトム42が取り付けられ、頭フレーム411には頭ボトム41が取り付けられるので、アクチュエータA2の伸縮ロッドRが伸びると、頭ボトム41と背ボトム42とが連動して上方へ起き上がり、アクチュエータA2の伸縮ロッドRが縮むと、頭ボトム41と背ボトム42とが連動して下方へ倒れるようになっている。
【0031】
背ボトム42が下方へ姿勢変更して水平になると、背フレーム421の前方端又はリンク機構等と、昇降フレーム3とが干渉し、背ボトム42がこれ以上下方へ姿勢変更できなくなる。このときの背ボトム42の位置が、背ボトム42の姿勢の可動範囲の下限位置となる。このとき、背ボトム42及び頭ボトム41の荷重は昇降フレーム3によって受け止められている。昇降フレーム3は、背ボトム42に対する受止部材の一例に相当する。
【0032】
アクチュエータA3の伸縮ロッドRが伸びると、頭フレーム411が上方へ姿勢変更し、頭ボトム41が起き上がる。アクチュエータA3の伸縮ロッドRが縮むと、頭フレーム411が下方へ姿勢変更し、頭ボトム41が背ボトム42に対して平坦に近づく。即ち、アクチュエータA3は、その駆動により背ボトム42に対する頭ボトム41の角度を変更する。
【0033】
支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412の可動範囲は、頭フレーム411と背フレーム421とが平坦になった姿勢、すなわち頭ボトム41と背ボトム42とが平坦になった平坦姿勢を限度とし、頭ボトム41と背ボトム42とが上方側で成すボトム角度が平坦姿勢よりも小さくなる方向には支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412は曲がるが、平坦姿勢よりもボトム角度が大きくなる方向には曲がらないように支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412とがロックするようになっている。
【0034】
頭ボトム41と背ボトム42とが平坦姿勢になって支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412がロックしたとき、このときの頭ボトム41の位置が、頭ボトム41の姿勢の可動範囲の下限位置となる。このとき、頭ボトム41の荷重は支持フレーム422・422と被支持フレーム412・412によって受け止められている。
【0035】
膝フレーム441は、その前方端部を支点にして左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に、昇降フレーム3に対して連結されている。膝フレーム441の後方端部は、脚フレーム451の前方端部に対して、蝶番によって、左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。アクチュエータA4の駆動部は、昇降フレーム3に対して左右方向に延びる軸まわりに揺動可能に連結されている。アクチュエータA4の伸縮ロッドRの先端が、図示しないリンク機構を介して膝フレーム441に連結されている。
【0036】
これにより、アクチュエータA4の伸縮ロッドRが伸びると、膝フレーム441が立ち上がるように回動して上方へ姿勢変更し、膝フレーム441の姿勢変更と連動して脚フレーム451の前方端が持ち上がる。一方、アクチュエータA4の伸縮ロッドRが縮むと、膝フレーム441が水平に近づくように回動して下方へ姿勢変更し、膝フレーム441の姿勢変更と連動して脚フレーム451の前方端が下降する。
【0037】
膝フレーム441には膝ボトム44が取り付けられ、脚フレーム451には脚ボトム45が取り付けられるので、アクチュエータA4の伸縮ロッドRが伸びると、膝ボトム44と脚ボトム45とが、蝶番を頂上とする山形に隆起し、アクチュエータA4の伸縮ロッドRが縮むと、蝶番が下降し、膝ボトム44と脚ボトム45とが水平に近づく。
【0038】
蝶番が下降して膝ボトム44と脚ボトム45とが下方へ姿勢変更して水平になると、膝フレーム441の後端、脚フレーム451の前端、又は蝶番と、昇降フレーム3とが干渉し、膝ボトム44及び脚ボトム45がこれ以上下方へ姿勢変更できなくなる。このときの膝ボトム44及び脚ボトム45の位置が、膝ボトム44及び脚ボトム45の姿勢の可動範囲の下限位置となる。このとき、膝ボトム44及び脚ボトム45の荷重は昇降フレーム3によって受け止められている。昇降フレーム3は、膝ボトム44及び脚ボトム45に対する受止部材の一例に相当する。
【0039】
以下、アクチュエータA1によってボトム4を上昇させる動作、及びアクチュエータA2,A3,A4によって頭ボトム41、背ボトム42、膝ボトム44、及び脚ボトム45を上方へ姿勢変更させる動作を総称して、上向き動作と称し、アクチュエータA1によってボトム4を下降させる動作、及びアクチュエータA2,A3,A4によって頭ボトム41、背ボトム42、膝ボトム44、及び脚ボトム45を下方へ姿勢変更させる動作を総称して、下向き動作と称する。
【0040】
図8は、
図1に示す電動ベッド1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図8に示す如く、電動ベッド1は、アクチュエータA1,A2,A3,A4と、制御モジュールA1C,A2C,A3C,A4Cと、手元スイッチ8と、制御部7とを備えている。以下、アクチュエータA1,A2,A3,A4を総称してアクチュエータAと称し、制御モジュールA1C,A2C,A3C,A4Cを総称して制御モジュールACと称する。
【0041】
アクチュエータA1,A2,A3,A4は、制御モジュールA1C,A2C,A3C,A4Cを介して制御部7と接続されている。制御モジュールACは、制御部7からの制御信号に応じて、アクチュエータAを伸縮させる。
【0042】
アクチュエータAの伸縮ロッドRは、例えばスプライン軸とされている。アクチュエータAの図略のギア機構は、モータの回転駆動力により伸縮ロッドRを軸心回りに回転させることによって、伸縮ロッドRを伸縮させる。
【0043】
図9は、手元スイッチ8の一例を示す外観図である。手元スイッチ8は、頭下げボタン81D、頭上げボタン81U、背下げボタン82D、背上げボタン82U、足下げボタン83D、足上げボタン83U、高さ下げボタン84D、高さ上げボタン84U、電源スイッチ86、及び表示部87を備える。
【0044】
表示部87は、例えば液晶表示器等により構成され、各ボトム4の高さや姿勢等を表示する。
図9に示す如く、表示部87は、背ボトム42に対する頭ボトム41の相対角度を表示する頭角度表示部87a、座ボトム43に対する背ボトム42の相対角度を表示する背角度表示部87b、座ボトム43に対する膝ボトム44の相対角度を表示する足角度表示部87c、及び、昇降フレーム3の昇降による各ボトム4の高さを表示する高さ表示部87dを備える。頭角度表示部87aは、本発明に係る角度表示部の一実施態様である。手元スイッチ8は、使用者の操作指示を受け付ける操作部である。手元スイッチ8は、受け付けられた指示を示す信号を、制御部7へ出力する。
【0045】
頭下げボタン81D、及び、頭上げボタン81Uは、頭ボトム41について、それぞれ下向き動作及び上向き動作(アクチュエータA3の駆動)の操作指示を受け付ける。背下げボタン82D、及び、背上げボタン82Uは、背ボトム42について、それぞれ下向き動作及び上向き動作(アクチュエータA2の駆動)の操作指示を受け付ける。足下げボタン83D、及び、足上げボタン83Uは、膝ボトム44について、それぞれ下向き動作及び上向き動作(アクチュエータA4の駆動)の操作指示を受け付ける。高さ下げボタン84D、及び、高さ上げボタン84Uは、ボトム4全体の下向き動作及び上向き動作(アクチュエータA1の駆動)の操作指示を受け付ける。
【0046】
制御部7は、制御ボックスCに収容されている。制御部7は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、所定の制御プログラム等を記憶する不揮発性の記憶部、及びこれらの周辺回路等を備えて構成されている。制御部7は、手元スイッチ8によって受け付けられた操作指示に応じてアクチュエータAの動作を制御する。また、制御部7は、手元スイッチ8の表示部87における表示動作を制御する。
【0047】
本実施形態に係る電動ベッド1においては、第一のボトムである背ボトム42に対して、第二のボトムである頭ボトム41の回動範囲が変更可能とされる。具体的には、背ボトム42の支持フレーム422・422における頭ボトム41の被支持フレーム412・412の回動支点を変更することにより、背ボトム42に対する頭ボトム41の回動範囲が変更可能となる。
【0048】
詳細には
図5から
図7に示す如く、支持フレーム422には先端部(前端部)に第一支持孔422a、基端部に第二支持孔422bが開口され、被支持フレーム412には基端部に第一被支持孔412a、先端部(後端部)に第二被支持孔412bが開口される。そして、背ボトム42と頭ボトム41との相対角度が180度の際、即ち、頭ボトム41と背ボトム42とが平坦になった平坦姿勢においては、第一支持孔422aと第一被支持孔412aとが一致し、第二支持孔422bと第二被支持孔412bとが一致するように配置される。
【0049】
そして、電動ベッド1は、支点ピンPを第一支持孔422aと第一被支持孔412aとに挿入して回動支点とするか、支点ピンPを第二支持孔422bと第二被支持孔412bとに挿入して回動支点とするかを変更することが可能とされる。これにより、支持フレーム422・422における被支持フレーム412・412の回動支点を変更して、背ボトム42に対する頭ボトム41の回動範囲が変更可能となる。
【0050】
具体的には
図5及び
図6(a)に示す如く、支点ピンPを第一支持孔422aと第一被支持孔412aとに挿入して回動支点とした場合、回動支点は頭ボトム41の近傍に位置することになる。この際、アクチュエータA3の駆動により伸縮ロッドRが伸びると、頭ボトム41は、
図6(b)に示す如く頭ボトム41に近い回動支点よりも前側で起き上がる。
【0051】
一方、
図7(a)に示す如く、支点ピンPを第二支持孔422bと第二被支持孔412bとに挿入して回動支点とした場合、回動支点は背ボトム42の近傍に位置することになる。この際、アクチュエータA3の駆動により伸縮ロッドRが伸びると、頭ボトム41は、
図7(b)に示す如く背ボトム42に近い回動支点よりも前側で起き上がる。
【0052】
上記の如く、本実施形態に係る電動ベッド1によれば、支点ピンPの挿入位置を変更するだけで、支持フレーム422における被支持フレーム412の回動支点が変更される。即ち、使用者の身長や体格に応じて、頭ボトム41の回動範囲(回動支点からの長さ)を簡易な構成で変更することが可能となる。
【0053】
例えば、使用者の体格が比較的小柄な場合は、支点ピンPを第一支持孔422aと第一被支持孔412aとに挿入して回動支点とすることで、頭ボトム41の回動範囲を小さくすることができる。逆に、使用者の体格が比較的大柄な場合は、支点ピンPを第二支持孔422bと第二被支持孔412bとに挿入して回動支点とすることで、頭ボトム41の回動範囲を大きくすることができる。
【0054】
また、
図6(b)及び
図7(b)に示す如く、頭ボトム41の回動範囲が異なると、アクチュエータA3からの伸縮ロッドRの延出長さが同じ場合に、頭ボトム41の回動角度が変更される。即ち、
図6(a)に示す如く、支点ピンPを第一支持孔422aと第一被支持孔412aとに挿入して回動支点とした場合、力点である伸縮ロッドRと回動支点との距離が遠くなるため、頭ボトム41の回動角度は小さくなる。一方、
図7(a)に示す如く、支点ピンPを第二支持孔422bと第二被支持孔412bとに挿入して回動支点とした場合、力点である伸縮ロッドRと回動支点との距離が近くなるため、頭ボトム41の回動角度は大きくなる。
【0055】
このように、本実施形態に係る電動ベッド1によれば、支点ピンPの挿入位置を変更するだけで、支持フレーム422における被支持フレーム412の回動支点が変更され、アクチュエータA3からの伸縮ロッドRの延出長さが同じ場合の頭ボトム41の回動角度を簡易な構成で変更することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係る電動ベッド1において、手元スイッチ8における表示部87は、背ボトム42に対する頭ボトム41の相対角度を表示する角度表示部として、頭角度表示部87aを備える。そして、頭角度表示部87aは、支持フレーム422における被支持フレーム412の回動支点の変更に伴って、表示角度を変更可能とされる。
【0057】
具体的には
図10(a)及び(b)に示す如く、電動ベッド1の使用者が手元スイッチ8を操作することにより、表示部87に「ヘッドレスト角度の表示設定画面」を表示させる。ここで、「ヘッドレスト角度」とは、背ボトム42に対する頭ボトム41の相対角度を意味する。
【0058】
支点ピンPを第一支持孔422aと第一被支持孔412aとに挿入して回動支点とした場合、電動ベッド1の使用者は、
図10(a)中の網掛け部に示す如くヘッドレスト角度の表示設定画面において通常表示設定部87eを選択する。これにより、頭角度表示部87aに表示される角度は、制御部7に制御されて、アクチュエータA3からの伸縮ロッドRの延出長さに伴う0度から30度の範囲で表示がなされる。
【0059】
一方、支点ピンPを第二支持孔422bと第二被支持孔412bとに挿入して回動支点とした場合、電動ベッド1の使用者は、
図10(b)中の網掛け部に示す如くヘッドレスト角度の表示設定画面において高角度表示設定部87fを選択する。これにより、頭角度表示部87aに表示される角度は、制御部7に制御されて、アクチュエータA3からの伸縮ロッドRの延出長さに伴う0度から50度の範囲で表示がなされる。
【0060】
上記の如く、本実施形態に係る電動ベッド1によれば、背ボトム42に対する頭ボトム41の相対角度の変更に応じて、操作部である手元スイッチ8における角度表示を変更することができる。即ち、背ボトム42に対する頭ボトム41の回動角度が変更された場合でも、実際の回動角度を手元スイッチ8に表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 電動ベッド 2 ベースユニット
3 昇降フレーム 4 ボトム
6 X形リンク機構 7 制御部
8 手元スイッチ(操作部)
21 支持フレーム 22 脚座
23 支持柱 24 支持柱
25 支持柱 27 連結棒
31,31 ガイド部材
41 頭ボトム(第二のボトム)
42 背ボトム(第一のボトム)
43 座ボトム 44 膝ボトム
45 脚ボトム
51 ヘッドボード 52 フットボード
61,62 リンク 63 軸
64 連結棒 65 ブラケット
81D 頭下げボタン 81U 頭上げボタン
82D 背下げボタン 82U 背上げボタン
83D 足下げボタン 83U 足上げボタン
84D 高さ下げボタン 84U 高さ上げボタン
86 電源スイッチ 87 表示部
87a 頭角度表示部 87b 背角度表示部
87c 足角度表示部 87d 高さ表示部
87e 通常表示設定部 87f 高角度表示設定部
411 頭フレーム 412 被支持フレーム
412a 第一被支持孔 412b 第二被支持孔
413 ブラケット 421 背フレーム
422 支持フレーム 422a 第一支持孔
422b 第二支持孔 441 膝フレーム
451 脚フレーム
A1,A2,A3,A4 アクチュエータ
AC,A1C,A2C,A3C,A4C 制御モジュール
C 制御ボックス R 伸縮ロッド
P 支点ピン