(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】亜鉛系有機金属ナノ粒子及びその製造方法、並びにフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
C01G 9/02 20060101AFI20241029BHJP
C07C 63/06 20060101ALI20241029BHJP
C07D 233/58 20060101ALI20241029BHJP
C07F 3/06 20060101ALI20241029BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C01G9/02 A
C07C63/06
C07D233/58
C07F3/06 CSP
G03F7/004 531
G03F7/004
(21)【出願番号】P 2023538908
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2021140846
(87)【国際公開番号】W WO2022135528
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202011547342.7
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111573387.6
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1 Qinghuayuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(73)【特許権者】
【識別番号】523222275
【氏名又は名称】北京華睿新能動力科技発展有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING VFORTUNE NEW ENERGY POWER TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】CG05-277, Floor 1, Building 8, Courtyard 1, Zhongguancun East Road, Haidian District Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 宏
(72)【発明者】
【氏名】何 向明
(72)【発明者】
【氏名】崔 昊
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157807(JP,A)
【文献】特開2017-173537(JP,A)
【文献】特開2009-046356(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004172(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C01G
C07C
C07D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛系有機金属ナノ粒子であって、
前記亜鉛系有機金属ナノ粒子は、コアシェル構造であり、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子の一般式は、Zn
xO
y[A]
2x[B]
2(ただし、xは2又は3であり、2x≦y≦4xであり、Zn
xO
yは前記コアシェル構造のコアであり、Aは第1有機配位子であり、Bは第2有機配位子である)であり、前記第1有機配位子Aと第2有機配位子Bとは共同で前記コアシェル構造のシェルを構成し、前記第1有機配位子Aは、
安息香酸であり、前記第2有機配位子Bは、
N-ビニルイミダゾール又はN-メチルイミダゾールであることを特徴とする亜鉛系有機金属ナノ粒子。
【請求項2】
x=3であり、2つのZn原子は、前記Zn
xO
yコアの対向する両端に位置し、且つそれぞれ2つの前記第2有機配位子B中のN原子と結合することを特徴とする請求項
1に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子。
【請求項3】
x=2であり、2つのZn原子は、周囲のO原子を介して共同で前記第1有機配位子Aと結合し、2つの前記第2有機配位子B中のN原子は、前記Zn
xO
yコアの両端に位置し、それぞれ前記2つのZn原子と結合することを特徴とする請求項
1に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子。
【請求項4】
前記亜鉛系有機金属ナノ粒子の一般式は、Zn
2O
8[A]
4[B]
2、Zn
3O
12[A]
6[B]
2又はZn
3O
10[A]
6[B]
2であることを特徴とする請求項
1に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子。
【請求項5】
前記亜鉛系有機金属ナノ粒子のサイズは、1nm~3nmであることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法であって、
亜鉛の金属塩を有機溶剤と混合して亜鉛金属塩溶液を得るステップと、
前記亜鉛金属塩溶液を第1有機配位子供給源、第2有機配位子供給源と混合して、加熱撹拌して反応させるステップと、
反応生成物に対して真空回転蒸発を行って、前記有機溶剤を除去するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記亜鉛の金属塩、前記第1有機配位子供給源、前記第2有機配位子供給源のモル比は1:(0.5~6):(0.5~6)であることを特徴とする請求項
6に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記加熱撹拌の温度は50~120℃であり、時間は10~40hであり
、
前記真空回転蒸発の温度は20~80℃であり
、
前記真空回転蒸発の圧力は5~40mbarであることを特徴とする請求項
6に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記加熱撹拌の温度は50~80℃であり、時間は15~28hであり、
前記真空回転蒸発の温度は20~40℃であることを特徴とする請求項8に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
亜鉛系有機金属ナノ粒子結晶であって、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子又は請求項
6~
9のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法における前記真空回転蒸発の生成物を有機溶剤に再溶解し、次いで結晶化させて得たものであることを特徴とする亜鉛系有機金属ナノ粒子結晶。
【請求項11】
フォトレジストであって、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子及び請求項
10に記載の亜鉛系有機金属ナノ粒子結晶のいずれか1つ又は2つを有機分散溶剤に分散させて得たものであることを特徴とするフォトレジスト。
【請求項12】
前記有機分散溶剤は、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-エトキシ-2プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールから選択されるいずれか1つ又は複数であることを特徴とする請求項
11に記載のフォトレジスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2020年12月24日に提出した、出願番号が第202011547342.7号であり、名称が「フォトレジスト、製造方法、パターニング方法及びプリント回路基板の製造方法」である中国特許出願の優先権、並びに、2021年12月21日に提出した、出願番号が第202111573387.6号であり、名称が「亜鉛系有機金属ナノ粒子及びその製造方法、並びにフォトレジスト」である中国特許出願の優先権を主張し、ここに、その全ての内容が援用により本願に取り込まれる。
【0002】
本願は、フォトレジストの技術分野に関し、特に、亜鉛系有機金属ナノ粒子及びその製造方法、並びにフォトレジストに関する。
【背景技術】
【0003】
フォトレジスト(Photoresist)とは、紫外光、電子線、粒子線、極端紫外線(EUV、Extreme Ultra-violet)又はX線などのビームの照射によって溶解度が変化する耐食材料を指す。フォトレジストは半導体集積回路、液晶パネルの加工及びハイエンド光学デバイスの製造プロセスにおけるパターニング転写に広く使用されている。ムーアの法則によれば、単位面積あたりの半導体集積度は18~24ヶ月ごとに2倍に増加する。半導体技術の継続的な進歩に伴い、半導体のサイズは絶えず縮小しており、半導体プロセスにおける特徴サイズの縮小に対してより高い要件が提出されている。より高度な半導体製造プロセスに対応し、より微細な特徴サイズを実現するために、フォトリソグラフィー技術も、I線、G線、深紫外線(DUV、Deep Ultra-violet)、193nm、浸漬型193nmなどのフォトリソグラフィー技術から、極端紫外線フォトリソグラフィー、電子線フォトリソグラフィーなどの微細加工手段まで、絶えず発展している。
【0004】
従来のフォトレジストは、成分が複雑で、フォトレジスト樹脂本体、増感剤、レベリング剤、安定剤、分散剤、増粘剤及び溶剤などを含み、また、製造プロセスが煩雑で、配合比及び純度の制御プロセスへの要件が極めて高かった。従来のフォトレジストは、高分子ポリマー及び様々な添加剤を含有するため、その成分が複雑で、フォトレジスト成分のサイズ分布がより広く、様々なサイズの成分があり、ある成分のサイズ構造は10~20nmに達する可能性があり、フォトレジストパターニングのサイズを制御しにくくするとともに、多くの欠陥が生じる可能性があった。また、従来のフォトレジストの使用は、光源の波長により制限されており、異なる波長の光源に適合するには異なるフォトレジストを必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、亜鉛系有機金属ナノ粒子及びその製造方法、並びにフォトレジストを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
亜鉛系有機金属ナノ粒子であって、コアシェル構造を有し、一般式は、ZnxOy[A]2x[B]2(ただし、xは2又は3であり、2x≦y≦4xであり、ZnxOyは前記コアシェル構造のコアであり、Aは第1有機配位子であり、Bは第2有機配位子である)であり、前記第1有機配位子Aと第2有機配位子Bとは共同で前記コアシェル構造のシェルを構成し、前記第1有機配位子Aは、置換又は未は換の脂肪族基、置換又は未置換の芳香族基から選択される1つ又は複数であり、前記第2有機配位子Bは、有機アミン類及びその誘導体から選択される1つ又は複数である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子は光反応性基を有する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1有機配位子A及び前記第2有機配位子Bのうちの少なくとも一方は光反応性基を有する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記光反応性基は、炭素-炭素二重結合、アシルオキシ基、アシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基から選択される1つ又は複数である。
【0010】
いくつかの実施例では、x=3であり、2つのZn原子は、前記ZnxOyコアの対向する両端に位置し、且つそれぞれ2つの前記第2有機配位子B中のN原子と結合する。
【0011】
いくつかの実施例では、x=2であり、2つのZn原子は、周囲のO原子を介して共同で前記第1有機配位子Aと結合し、2つの前記第2有機配位子B中のN原子は、前記ZnxOyコアの両端に位置し、それぞれ前記2つのZn原子と結合する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子の一般式は、Zn2O8[A]4[B]2、Zn3O12[A]6[B]2又はZn3O10[A]6[B]2である。
【0013】
いくつかの実施例では、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子のサイズは、1nm~3nmである。
【0014】
いくつかの実施例では、前記脂肪族基は、C1-C10鎖式炭化水素基又はC3-C10環状炭化水素基であり、前記芳香族基は、1つ又は複数の芳香環、置換芳香環、複素芳香環又は置換複素芳香環を有し、好ましくは、フェニル基又は置換フェニル基である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1有機配位子Aは、下記構造のうちの1つ又は複数で示され、点線は前記Zn
xO
yコアのOと結合する結合を示す。
【0016】
(ただし、R1は、独立してH、ハロゲン、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、R、OR、NR2、SR、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR2、CN、CF3、NO2、SO2、SOR、SO3Rから選択される1つ又は複数である。Rは置換基であり、いくつかの実施例では、Rは、独立してC1-C10アルキル基、C2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、C3-C10アリール基、C3-C10アラルキル基又はC3-C10ナフテン基であり、いくつかの実施例では、Rは、独立してC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、フェニル基又はアルキルフェニル基である)
【0017】
いくつかの実施例では、前記第2有機配位子Bは、鎖状アミン及びその誘導体、環状アミン及びその誘導体から選択されるいずれか1つ又は複数であり、前記環状アミン及びその誘導体は、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、ピリミジン及びその誘導体、ピリダジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体から選択されるいずれか1つ又は複数であり、前記鎖状アミン及びその誘導体は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンから選択されるいずれか1つ又は複数であるが、それらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施例では、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子の一般式は、ZnxOy[A1,A2]2x[B1]2、ZnxOy[A1]2x[B1,B2]2又はZnxOy[A1,A2]2x[B1,B2]2であり、A1とA2はそれぞれ2種類の異なる前記第1有機配位子Aを示し、B1とB2はそれぞれ2種類の異なる前記第2有機配位子Bを示す。
【0019】
亜鉛系有機金属ナノ粒子の製造方法であって、下記ステップを含む。
【0020】
亜鉛の金属塩を有機溶剤と混合して亜鉛金属塩溶液を得る;
【0021】
前記亜鉛金属塩溶液を第1有機配位子源、第2有機配位子源と混合して、加熱撹拌して反応させる;
【0022】
反応生成物に対して真空回転蒸発を行って、前記有機溶剤を除去する。
【0023】
いくつかの実施例では、前記亜鉛の金属塩、前記第1有機配位子源、前記第2有機配位子源のモル比は1:(0.5~6):(0.5~6)である。
【0024】
亜鉛系有機金属ナノ粒子結晶は、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子又は前記真空回転蒸発の生成物を前記有機溶剤に再溶解して結晶化させて得たものである。
【0025】
フォトレジストは、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子及び前記亜鉛系有機金属ナノ粒子結晶のいずれか1つ又は2つを有機分散溶剤に分散させて得たものである。
【0026】
いくつかの実施例では、前記フォトレジストは、前記亜鉛系有機金属ナノ粒子と有機分散溶剤とからなる。
【発明の効果】
【0027】
本願は、フォトレジスト粒子とも称される新規なZnxOyコア及び有機配位子に基づく自己開始型の亜鉛系有機金属ナノ粒子を提供する。フォトレジスト粒子は、光の照射下で光酸発生剤、光酸触媒、光開始剤などを必要とせずに凝集することができ、現像液中で溶解度が低下するが、未露光領域のフォトレジスト粒子は凝集せずに現像液中で溶解し、これにより現像後に非露光領域を除去することができる。フォトレジスト粒子のみを含有する場合、紫外線、深紫外線、電子線、極端紫外線などの様々な露光条件下でいずれもパターニングの製造が可能であるとともに、更に極めて高い感度及び解像度を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、以下に実施例の記述に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記載する図面は単に本開示のいくつかの実施例であって、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】
図1は本願の一実施例に係るフォトレジスト粒子の構造模式図である。
【
図2】
図2は本願の実施例に係るフォトレジスト粒子及び従来のフォトレジスト粒子の粒度分布図である。
【
図3】
図3は本願の実施例1に係るフォトレジスト粒子の単結晶構造図である。
【
図4】
図4は本願の実施例1に係るフォトレジスト粒子の化学構造図である。
【
図5】
図5は本願の実施例2に係るフォトレジスト粒子の単結晶構造図である。
【
図6】
図6は本願の実施例2に係るフォトレジスト粒子の化学構造図である。
【
図7】
図7は本願の実施例3に係るフォトレジスト粒子の単結晶構造図である。
【
図8】
図8は本願の実施例3に係るフォトレジスト粒子の化学構造図である。
【
図9】
図9は本願の実施例4に係るフォトレジスト粒子の単結晶構造図である。
【
図10】
図10は本願の実施例4に係るフォトレジスト粒子の化学構造図である。
【
図11】
図11は本願の実施例5に係るフォトレジスト粒子を45mJ/cm
2の線量で深紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図12】
図12は本願の実施例5に係る75mJ/cm
2の線量で深紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図13】
図13は本願の実施例5に係る110mJ/cm
2の線量で深紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図14】
図14は本願の実施例5に係るマスクにおける50μCの線量で電子線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図15】
図15は本願の実施例5に係る他のマスクにおける50μCの線量で電子線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図16】
図16は本願の実施例5に係る別のマスクにおける50μCの線量で電子線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図17】
図17は本願の実施例5に係る7mJ/cm
2の線量で極端紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の走査型電子顕微鏡の写真である。
【
図18】
図18は本願の実施例5に係る空気テスト条件下で300mJ/cm
2の線量で254nm波長の紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の光学写真である。
【
図19】
図19は本願の実施例5に係る空気テスト条件下で300mJ/cm
2の線量で254nm波長の紫外線を露光して得たパターニングされたフォトレジスト層の光学顕微鏡の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願を理解しやすくするために、以下、関連する図面を参照しながら本願をより包括的に説明する。図面には本願の好適な実施例が示されている。しかしながら、本願はより多くの異なる形式で実現されてもよく、本明細書で説明される実施例に限定されるものではない。それとは逆に、これらの実施例を提供する目的は、本願の開示内容の理解をより完全且つ包括的にすることである。
【0030】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書における本願の明細書に使用される用語は単に具体的な実施例を説明するためのものであり、本願を制限することを意図するものではない。
【0031】
本願で使用される「光」の範囲は、紫外線、深紫外線及び極端紫外線光を含むが、それらに限定されず、電子線、X線などを更に広義に含む。
【0032】
本願の実施例はフォトレジスト粒子を提供し、前記フォトレジスト粒子の結晶構造はコアシェル構造であり、前記フォトレジスト粒子の一般式は、ZnxOy[A]2x[B]2(ただし、xは2又は3であり、2x≦y≦4xであり、ZnxOyは前記コアシェル構造のコアであり、Aは第1有機配位子であり、Bは第2有機配位子である)であり、前記第1有機配位子Aと第2有機配位子Bとは共同で前記コアシェル構造のシェルを構成する。前記第1有機配位子Aは、置換又は未置換の脂肪族基、置換又は未置換の芳香族基から選択される1つ又は複数であり、前記第2有機配位子Bは、有機アミン類及びその誘導体から選択される1つ又は複数である。前記フォトレジスト粒子は光反応性基を有してもよい。具体的には、前記第1有機配位子A及び前記第2有機配位子Bのうちの少なくとも一方は光反応性基を有してもよく、光の照射下で異なるフォトレジスト粒子の光反応性基の間で反応して、フォトレジスト粒子同士を凝集させ、更に露光領域の現像剤に対する溶解度を低下させることができる。
【0033】
フォトレジスト粒子の結晶状態とは、フォトレジスト粒子が溶剤に溶解してから結晶析出した後の状態を指す。
【0034】
本願は、新規なZnxOyコア及び有機配位子に基づく自己開始型の金属酸化物ナノ粒子(本願では、フォトレジスト粒子又は亜鉛系有機金属ナノ粒子とも称する)を設計・製造し、フォトレジスト粒子は、光の照射作用下で現像液中で凝集し、それにより溶解度が低下するが、未露光領域のフォトレジスト粒子は凝集せずに現像剤中で溶解し、これにより現像後に非露光領域のフォトレジストを除去することができる。特に、フォトレジスト粒子のみを含有する場合、紫外線、深紫外線、電子線、極端紫外線などの様々な露光波長条件下でいずれもパターニングの製造が可能であるとともに、更に極めて高い感度及び解像度を取得することができる。フォトレジスト粒子のコアZnxOy中のZn原子の個数は2~3であり、シェルは2種類の有機配位子で構成されている。亜鉛酸化物ZnxOyコアはより高い電子供与能力を有し、異なる波長の放射線又は粒子の放射に対していずれもより高い感度を有し、照射されたフォトレジスト粒子同士を凝集させることができ、それにより露光領域の現像剤に対する溶解度を低下させる。ZnxOyコアと光反応性基を有する第1有機配位子A及び/又は第2有機配位子Bとの連携作用によって、フォトレジスト粒子自体が感光を行うことができ、それにより直接フォトレジストとしてパターニングの製造に用いられる。フォトレジスト粒子を含有するフォトレジストには光酸発生剤、光酸触媒、光開始剤などを加えずに感光効果を実現することができる。
【0035】
前記フォトレジスト粒子のコアが、赤道と2つの極を有する球体と近似的に見なされる場合、いくつかの実施例では、前記第1有機配位子Aの含有量は前記コアの赤道方向から2つの極方向に向かって減少し、前記第2有機配位子Bの含有量は前記コアの2つの極方向から赤道方向に向かって減少する。任意選択で、第2有機配位子Bは、2つの極から赤道へ10~45°延在する範囲内に分布し、第1有機配位子Aは、赤道から2つの極へ45~80°延在する範囲内に分布する。ここでの角度はいずれも球の中心を通過する任意の断面上の中心角を指す。任意選択で、
図1に示すように、第2有機配位子Bのみが2つの極に含まれ、第1有機配位子Aのみが赤道に含まれる。
【0036】
コアの体積が小さいため、有機配位子は基本的にコアの外側を密着して包み込み、第1有機配位子Aと第2有機配位子Bはコアを完全に包み込み、シェルには基本的にブランクがない。
【0037】
図2に示すように、フォトレジスト粒子のサイズは1nm~3nmである。単結晶構造データの特性評価から分かるように、第1有機配位子Aと第2有機配位子Bとが互いに協力して形成した一般式に該当するフォトレジスト粒子は正確な構造を有し、材料のサイズから分かるように、従来のフォトレジストと比較して、本願のフォトレジストは露光後のパターニングのエッジ粗さを明らかに低減することができる。
【0038】
フォトレジスト粒子では、ZnxOyコア内の各Zn原子は、周囲のO原子及び/又は第2有機配位子B中のN原子と結合してもよい。いくつかの実施例では、同一Zn原子と結合するO原子及びN原子の総数nは4、5又は6であってもよく、それにより四面体(n=4)、六面体(n=5)又は八面体(n=6)ユニットを形成する。Zn原子は四面体、六面体又は八面体の中心に位置し、O原子又はN原子は四面体、六面体又は八面体の頂角に位置する。隣接するZn原子同士は直接O原子を介して結合してもよく、即ち、Zn-O-Zn結合を形成し、このとき、多面体同士は1つの酸素原子を共有してもよい。又は、隣接するZn原子同士はO原子を介して共同で同じ第1有機配位子Aと結合してZn-O-C-O-Zn基を形成することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、x=3であり、3つのZn原子は順次配列されて非環状構造を形成する。両端に位置する2つのZn原子は、それぞれ2つの第2有機配位子B中のN原子に直接結合し、中心に位置するZn原子はO原子のみに直接結合する。N原子は第2有機配位子Bに由来するため、第2有機配位子Bも前記コアの2つの極に位置する。
【0040】
いくつかの実施例では、x=2であり、2つのZn原子同士は直接O原子を介して結合することなく、それぞれの周囲のO原子を介して共同で第1有機配位子Aと結合し、Zn-O-C-O-Zn基を介して結合する。2つの第2有機配位子B中のN原子はZnxOyコアの両端に位置し、それぞれ2つのZn原子と結合する。Nは第2有機配位子Bに由来するため、第2有機配位子Bも前記コアの2つの極に位置する。
【0041】
より具体的には、いくつかの実施例では、前記フォトレジスト粒子の一般式は、ZnxO4x[A]2x[B]2、例えば、Zn2O8[A]4[B]2、Zn3O12[A]6[B]2であってもよく、他のいくつかの実施例では、前記フォトレジスト粒子の一般式はZn3O10[A]6[B]2であってもよい。
【0042】
第1有機配位子Aは、そのC原子を介してZnxOyコア内のO原子に直接結合する。第2有機配位子Bは、そのN原子を介してZnxOyコア内のZn原子に直接結合する。いくつかの実施例では、同一の第1有機配位子Aは、それぞれ2つのO原子と結合し、更に該2つのO原子を介して2つのZn原子と結合する。フォトレジスト粒子の合成において、ZnxOyコア内のO原子は少なくとも部分的に第1有機配位子Aを形成するための反応物(本願では、第1有機配位子供給源とも称する)からのものであり、例えば、第1有機配位子供給源が有する酸素含有不飽和結合、例えば、カルボキシル基又はカルボニル基からのものであり、第1有機配位子Aを前記コアの2つの極の間、例えば、赤道の位置に位置する。
【0043】
第1有機配位子Aは、置換又は未置換の脂肪族基、或いは置換又は未置換の芳香族基から選択されるものである。前記脂肪族基は、C1-C10鎖式炭化水素基又はC3-C10環状炭化水素基であってもよい。前記鎖式炭化水素基は、直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であってもよい。前記置換の脂肪族基において、鎖式炭化水素基又は、環状炭化水素基の水素は1つ又は複数の置換基で置換されてもよい。前記芳香族基は、1つ又は複数の芳香環、置換芳香環、複素芳香環又は置換複素芳香環を有してもよく、いくつかの実施例では、フェニル基又は置換フェニル基であってもよい。前記置換芳香族基において、芳香環、例えば、ベンゼン環上の水素は1つ又は複数の置換基で置換されてもよい。前記置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、R、OR、NR2、SR、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR2、CN、CF3、NO2、SO2、SOR、SO3Rから選択される1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。Rは、独立してC1-C10アルキル基、C2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、C3-C10アリール基、C3-C10アラルキル基又はC3-C10ナフテン基であってもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、Rは、独立してC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、フェニル基又はアルキルフェニル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基などであってもよい。前記アルキルフェニル基は、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基などであってもよい。いくつかの実施例では、各第1有機配位子A中の炭素原子の総数は、1~10個であってもよい。いくつかの実施例では、第1有機配位子Aは、ベンゼン及びその誘導体、アルカン、オレフィン炭化水素、カルボン酸に由来するいずれか1つ又は複数である。誘導体とは、上記置換基でベンゼン中の水素原子を置換したものを指す場合もある。
【0044】
いくつかの実施例では、第1有機配位子Aは、下記構造のうちの1つ又は複数で示され、点線は前記Zn
xO
yコアのOと結合する結合を示す。
【0045】
ただし、R1は、独立してH、ハロゲン、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、R、OR、NR2、SR、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR2、CN、CF3、NO2、SO2、SOR、SO3Rから選択される1つ又は複数であり、R1の数は1~5であり、それぞれベンゼン環中のCと結合する。いくつかの実施例では、R1は、独立してC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基である。
【0046】
いくつかの実施例では、第1有機配位子Aは、下記構造から選択される1つ又は複数である。
【0047】
いくつかの実施例では、前記第2有機配位子Bは、有機アミン類及びその誘導体から選択され、鎖状アミン及びその誘導体、環状アミン及びその誘導体のうちのいずれか1つ又は複数を含むが、それらに限定されない。誘導体は、1つ又は複数の置換基で有機アミン中の水素原子を置換して形成した置換鎖状アミン又は置換環状アミンを指してもよい。前記置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、R、OR、NR2、SR、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR2、CN、CF3、NO2、SO2、SOR、SO3Rから選択される1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。Rは、独立してH、C1-C10アルキル基、C2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、C3-C10アリール基、C3-C10アラルキル基又はC3-C10ナフテン基であってもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、Rは、独立してC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、フェニル基又はアルキルフェニル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基などであってもよい。前記アルキルフェニル基は、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基などであってもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、前記環状アミン及びその誘導体は、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、ピリミジン及びその誘導体、ピリダジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体から選択されるいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。前記鎖状アミン及びその誘導体は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンから選択されるいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。イミダゾール及びその誘導体は、メチルイミダゾール、ビニルイミダゾールのうちのいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。ピリジン及びその誘導体は、メチルピリジン、ビニルピリジン、メチルピロリジン、ぺルヒドロピリミジンのうちのいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。ピロール及びその誘導体は、メチルピロール、ビニルピロールのうちのいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。ピリダジン及びその誘導体は、ビニルピリダジン、ジビニルピリダジンのうちのいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。ピペリジン及びその誘導体は、ビニルピペリジンなどであってもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、第2有機配位子Bは、N含有の不飽和構造であり、それにより電子供与能力を増加させることができ、更に光反応性基が電子をより受け取りやすくし、より高い反応活性を有し、更に光反応性基の間の反応の発生を促進する。
【0049】
いくつかの実施例では、前記第1有機配位子A及び前記第2有機配位子Bのうちの少なくとも一方は光反応性基を有してもよい。光の照射下で異なるフォトレジスト粒子の光反応性基同士が反応してもよく、例えば、連結基を生成し、フォトレジスト粒子同士を連結基を介して連結させる。亜鉛酸化物ZnxOyコアはより高い電子供与能力を有するため、光反応性基が電子をより受け取りやすくし、より高い反応活性を有し、フォトレジスト粒子自体が感光を行うことができるようにし、光酸発生剤、光酸触媒、光開始剤などを加える必要がない。前記光反応性基の間の反応は、例えば、付加反応及び縮合反応のうちの1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。前記付加反応は、例えば、ラジカル付加反応、求核付加反応、求電子的付加反応のうちの1つ又は複数であってもよい。前記光反応性基は、炭素-炭素二重結合、カルボニル基(例えば、アシルオキシ基、アシル基、アルデヒド基、エステル基など)、カルボキシル基、アミノ基のうちの1つ又は複数であってもよい。
【0050】
一実施例では、前記第1有機配位子A及び前記第2有機配位子Bのうちの少なくとも一方は炭素-炭素二重結合を有する。光の照射下で、異なるフォトレジスト粒子の炭素-炭素二重結合間にラジカル付加反応が生じて連結基-C-C-を生成してもよい。
【0051】
他の実施例では、前記第1有機配位子A及び前記第2有機配位子Bは、いずれも光反応性基を有し、前記第1有機配位子Aの光反応性基がアルデヒド基(-CHO)であり、前記第2有機配位子Bは、アミノ基(例えば、-NH-、-NH2-)であり、異なるフォトレジスト粒子の上記2種類の光反応性基同士が光の照射下で反応して連結基-C-N-を生成することができる。
【0052】
いくつかの実施例では、前記第1有機配位子Aは、芳香環構造を有し、且つ前記第2有機配位子Bは、環状アミン及びその誘導体から選択され、特にイミダゾール及びその誘導体から選択されるものである。第1有機配位子Aの芳香環構造(例えば、フェニル基)及び第2有機配位子Bの環状アミン構造(例えば、イミダゾール基)がより高い電子供与能力を有し、光反応性基が電子をより受け取りやすくし、更に光反応性基の間の反応の発生を促進する。
【0053】
前記フォトレジスト粒子では、第1有機配位子A及び第2有機配位子Bは、それぞれ1種類又は複数種類の有機配位子であってもよい。例えば、それらがそれぞれ1種類又は2種類の有機配位子から選択される場合、前記フォトレジスト粒子の一般式は、ZnxOy[A1,A2]2x[B1]2、ZnxOy[A1]2x[B1,B2]2、ZnxOy[A1,A2]2x[B1,B2]2であってもよい。A1とA2はそれぞれ2種類の異なる第1有機配位子A、例えば、2種類の異なる置換又は未置換の脂肪族基又は芳香族基を示す。B1とB2はそれぞれ2種類の異なる第2有機配位子B、例えば、2種類の異なる有機アミンを示す。
【0054】
本願の実施例は、更に、以下のステップを含むフォトレジスト粒子の製造方法を提供する。
亜鉛の金属塩を有機溶剤と混合して亜鉛金属塩溶液を得るステップと、
前記亜鉛金属塩溶液を第1有機配位子供給源、第2有機配位子供給源と混合して、加熱撹拌して反応させるステップと、
反応生成物に対して真空回転蒸発を行って、前記有機溶剤を除去するステップと、を含み、
前記亜鉛の金属塩、前記第1有機配位子供給源、前記第2有機配位子供給源のモル比は1:(0.5~6):(0.5~6)である。
【0055】
前記第1有機配位子供給源は、前記第1有機配位子Aを形成するための反応物であり、前記第1有機配位子Aとしての基、即ち、前記置換又は未置換の脂肪族基、或いは置換又は未置換の芳香族基を含む。亜鉛の金属塩と反応できる酸素含有不飽和結合、例えば、カルボキシル基又はカルボニル基を更に含む。第2有機配位子は、その窒素原子が反応に参加することによりコアのZn原子と結合し、従って、第2有機配位子は第2有機配位子供給源として直接機能してもよい。
【0056】
本願の製造方法では、亜鉛の金属塩、前記第1有機配位子供給源、前記第2有機配位子供給源のモル比は本願の上記の特定構造を有するフォトレジスト粒子を得ることに対して重要な役割を果たしており、亜鉛の金属塩、第1有機配位子供給源、第2有機配位子供給源のモル比は1:(0.5~6):(0.5~6)である。反応後且つ前記有機溶剤を除去する前に得られた溶液は澄んでいて透明であり、生成したフォトレジスト粒子は沈殿形式で析出することなく、有機溶剤に均一に分散している。第1有機配位子供給源又は第2有機配位子供給源の添加量が多すぎても少なすぎても、有機溶剤に溶解できない白色の沈殿物が形成されたり、特定構造のフォトレジスト粒子が得られなかったりする。
【0057】
いくつかの実施例では、前記加熱撹拌の温度は50~120℃であり、時間は10~40hであり、任意選択で、加熱撹拌の温度は50~80℃であり、時間は15~28hである。温度が低すぎると反応速度が遅すぎ、温度が高すぎると反応が安定せず、特定構造のフォトレジスト粒子ではなく有機溶剤に溶解できない白色の沈殿物が形成される。
【0058】
いくつかの実施例では、前記真空回転蒸発の温度は20~80℃である。例えば、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃などから選択されるものであってもよい。任意選択で、前記真空回転蒸発の温度は20~40℃である。温度が低すぎると反応速度が遅すぎ、温度が高すぎるとフォトレジスト粒子の真空における性質が安定せず、基が破壊されやすくなる。前記真空回転蒸発の温度は一般的に前記加熱撹拌の温度よりも低い。
【0059】
いくつかの実施例では、前記真空回転蒸発の圧力は5~40mbarである。例えば、5mbar、10mbar、15mbar、20mbar、25mbar、30mbar、35mbar、40mbarなどであってもよい。
【0060】
前記真空回転蒸発の目的は、前記有機溶剤をより速く除去し、亜鉛系有機金属ナノ粒子の結晶核を成長しにくくし、それにより単結晶、即ち、単分散状態の亜鉛系有機金属ナノ粒子を形成することである。
【0061】
前記有機溶剤は、特に制限されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-エトキシ-2プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールから選択されるいずれか1つ又は複数であってもよいが、それらに限定されない。
【0062】
本願の実施例は、更にフォトレジスト粒子結晶を提供し、フォトレジスト粒子結晶は上記いずれか1つの実施例のフォトレジスト粒子を有機溶剤に再溶解してから結晶化させて得たものである。結晶過程において、溶剤が徐々に除去されて、亜鉛系有機金属ナノ粒子の結晶核を成長させてもよい。一実施例では、前記真空回転蒸発によって得られたフォトレジスト粒子を有機溶剤に再溶解し、次に、静置して有機溶剤を完全に揮発させて、前記フォトレジスト粒子結晶を得てもよい。他の実施例では、真空回転蒸発前の前記反応生成物を直接静置して有機溶剤を完全に揮発させて、前記フォトレジスト粒子結晶を得てもよい。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2で解析して、フォトレジスト粒子の単結晶構造及びサイズ特徴を取得することができる。
【0063】
本願の実施例は、更にフォトレジストを提供し、上記いずれか1つの実施例のフォトレジスト粒子又はフォトレジスト粒子結晶のうちのいずれか1つ又は2つを有機分散溶剤に分散させて得たものである。有機分散溶剤に分散させることは、例えば、前記フォトレジスト粒子を前記有機溶剤に溶解させて澄んでいて透明な溶液を形成することである。
【0064】
いくつかの実施例では、前記有機分散溶剤は、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1-エトキシ-2プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールから選択されるいずれか1つ又は複数であってもよい。
【0065】
本願の実施例は、更に、以下のステップを含むフォトレジストのパターニング方法を提供する。
前記フォトレジストを基板の表面に塗布し、前記フォトレジスト中の前記有機分散溶剤を除去し、前記基板の表面にプレ成膜層を形成するステップと、
マスクを介して前記基板のプレ成膜層上に光源を照射して露光操作を行って、プレ成膜層の露光領域にフォトレジスト粒子凝集体を形成させるステップと、
現像剤を露光後のプレ成膜層上に加えて、プレ成膜層上のマスクで遮断された未露光領域は現像剤に溶解するが、プレ成膜層の露光領域はフォトレジスト粒子凝集体を形成するため基板に残り、それによりパターニングされたフォトレジスト層を形成するステップ。
【0066】
本願のフォトレジストパターニングプロセスは、光酸発生剤、触媒、光開始剤を加えずにパターニングの製造を行うことができる。
【0067】
本願の実施例は、更にフォトレジストの組み合わせ製品を提供し、上記いずれか1つの実施例のフォトレジスト及び現像剤を含む。フォトレジストの組み合わせ製品は、パターニングされたフォトレジスト層を形成するためのものである。
【0068】
いくつかの実施例では、露光に用いる光源は、紫外線、深紫外線、電子線、極端紫外線光源から選択されるいずれか1つである。極端紫外線光の波長は10nm~14nmである。紫外光の波長は、例えば、254nm又は365nmであってもよい。本願のフォトレジストは、既存のフォトリソグラフィー技術で使用されるいずれか1種類の露光光源に用いることができ、且ついずれも光酸発生剤、触媒、開始剤を必要としない。
【0069】
いくつかの実施例では、前記基板は、シリコン基板、又は実際の必要に応じて選択される現像剤に溶解できない他の基板から選択されるものである。
【0070】
いくつかの実施例では、マスクについては、露光に使用するのが深紫外線及びより長い波長の光源である場合、使用されるマスクは透過マスクであり、露光に使用するのが極端紫外線光源である場合、使用されるマスクは反射マスクであり、露光の光源が電子線光源である場合、マスクを設置してもよいし、マスクを設置しなくてもよく、電子線がソフトウェアで設計されたパターニングに基づいてプレ成膜層上に露光を行う。
【0071】
いくつかの実施例では、前記露光操作に使用される光源は、紫外線、深紫外線又は極端紫外線光源であり、前記露光操作の露光線量は4~1000mJ/cm2である。他のいくつかの実施例では、前記露光操作に使用される光源は、電子線源であり、線量は10μC/cm2~10mC/cm2である。露光線量を適切な範囲内に制御すべきであり、露光線量が小さすぎると、エネルギーが低すぎて露光領域のフォトレジスト粒子の重合にとって不利となり、露光領域及び非露光領域の溶解度の相違を形成するのに不利となり、現像効果が低い。露光線量が多すぎると、非露光領域のフォトレジストが反応してパターニングの精度が低下する場合がある。
【0072】
いくつかの実施例では、現像剤は主に、未凝集のフォトレジスト粒子を溶解するために使用される。露光領域のフォトレジスト粒子は、凝集体を形成して、現像剤中で現像剤に溶解せず又は露光領域の凝集体の現像剤中での溶解度が小さく、部分的に溶解しても露光領域が依然として凝集体で覆われる。現像剤は、フォトレジスト中の有機溶剤と同じであってもよく、又はフォトレジスト中の有機溶剤と異なってもよい。任意選択で、フォトレジスト粒子の現像剤中での溶解度がフォトレジスト有機溶剤中での溶解度よりも小さく、露光後の重合度が不十分なためフォトレジスト粒子が現像剤に溶解して、露光領域が溶解し又は部分的に溶解して、露光パターンの精度が低下してしまうことを回避する。いくつかの実施例では、現像剤は、デカヒドロナフタリン、テトラヒドロナフタリン、インデン、インダン、ヒノリン、1-メチルナフタレン、メチルベンゼン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ヘキサン及びシクロヘキサンから選択されるいずれか1つ又は複数であってもよい。いくつかの実施例では、現像の温度は、室温、例えば、20~30℃であってもよい。
【0073】
一実施例では、有機分散溶剤を除去した後のプレ成膜層の厚さは、10~500nmであってもよい。具体的には、プレ成膜層の厚さは、10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nm又は450nm~500nmであってもよい。
【0074】
本願の実施例は、更に、以下のステップを含む、プリント回路基板の製造方法を提供する。
前記フォトレジストのパターニング方法に基づいてシリコン板の基板にパターニングされたフォトレジスト層を有するプレパターニングされた板材を製造するステップと、
前記プレパターニングされた板材をドライ又はウェットエッチングするステップ。
【0075】
実施例1
1)4.88g(20mmol)の安息香酸、1.92g(20.4mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合し、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0076】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0077】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御し、フォトレジスト粒子凝集体を得た。生成物を酢酸エチルに再溶解し、静置して酢酸エチルを完全に揮発させて結晶を得た。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2により得られた結晶を解析し、
図3に示すような単結晶構造図を得た。得られたフォトレジスト粒子の化学式は、Zn
3O
12[C
7H
5]
6[C
5N
2H
6]
2である。
図4に示すように、粒径は2nmよりも小さい。
【0078】
実施例2
1)4.88g(20mmol)の安息香酸、1.67g(20.4mmol)のN-メチルイミダゾールをフラスコに入れて混合し、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0079】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0080】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御し、フォトレジスト粒子凝集体を得た。生成物を酢酸エチルに再溶解し、静置して酢酸エチルを完全に揮発させて結晶を得た。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2により得られた結晶を解析し、
図5に示すような単結晶構造図を得た。得られたフォトレジスト粒子の化学式は、Zn
3O
12[C
7H
5]
6[C
4N
2H
6]
2である。
図6に示すように、粒径は2nmよりも小さい。
【0081】
実施例3
1)2.44g(10mmol)の安息香酸、1.67g(20.4mmol)のN-メチルイミダゾールをフラスコに入れて混合し、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0082】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0083】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御し、フォトレジスト粒子凝集体を得た。生成物を酢酸エチルに再溶解し、静置して酢酸エチルを完全に揮発させて結晶を得た。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2により得られた結晶を解析し、
図7に示すような単結晶構造図を得た。得られたフォトレジスト粒子の化学式は、Zn
3O
10[C
7H
5]
4[C
2H
3O]
2[C
4N
2H
6]
2である。
図8に示すように、粒径は2nmよりも小さい。
【0084】
実施例4
1)5.44g(20mmol)の3-メチル安息香酸、1.92g(20.4mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合し、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0085】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で2h撹拌した。
【0086】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御し、フォトレジスト粒子凝集体を得た。生成物を酢酸エチルに再溶解し、静置して酢酸エチルを完全に揮発させて結晶を得た。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2により得られた結晶を解析し、
図9に示すような単結晶構造図を得た。得られたフォトレジスト粒子の化学式は、Zn
2O
8[C
8H
7]
4[C
4N
2H
6]
2である。
図10に示すように、粒径は2nmよりも小さい。
【0087】
実施例5
1)2.72g(20mmol)の3-メチル安息香酸、2.44g(20mmol)の安息香酸、1.92g(20.4mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合し、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0088】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0089】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御し、フォトレジスト粒子凝集体を得た。生成物を酢酸エチルに再溶解し、静置して酢酸エチルを完全に揮発させて結晶を得た。二重微小焦点単結晶X線回折計を用いてフォトレジスト粒子結晶を観察し、且つ単結晶解析ソフトウェアOlex2により得られた結晶を解析し、得られたものが2種類のフォトレジスト粒子の混合物であることを見出した。その2種類のフォトレジスト粒子の単結晶構造図をそれぞれ
図3及び
図9に示す。
【0090】
パターニングされたフォトレジスト層の製造
実施例5のフォトレジスト粒子を1g取って19gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、均一に分散させてから塗布した。2インチのシリコンウエハに2000rpmの回転速度で1min塗布し、次に、80℃の条件下で1min焼き付け、それによりシリコンウエハにフォトレジスト層、即ち、前記プレ成膜層を形成した。
【0091】
複数の同様のプレ成膜層サンプルを、パターニングマスクを介して異なる露光線量の248nm深紫外線光源の照射下で露光し、次に、現像剤で露光後のプレ成膜層を現像した。使用した現像剤はデカヒドロナフタレンであり、使用した露光線量はそれぞれ45mJ/cm
2、75mJ/cm
2、110mJ/cm
2であった。得られたパターニングされたフォトレジスト層を
図11~13に示す。線状パターニングの線幅はそれぞれ429.9nm、468.9nm、513.6nmである。露光線量の増加につれて、同様のマスクにより形成された線状パターニングの線幅はある程度増加するが、全体的にいずれも0.4~0.5マイクロメートル程度であることが分かる。
【0092】
複数の同様のプレ成膜層サンプルを、異なるパターニングマスクを介して同じ電子線源の下で露光した。露光線量はいずれも50μCであり、次にデカヒドロナフタレンを現像剤として用いて露光後のプレ成膜層を現像した。得られたパターニングされたフォトレジスト層を
図14~16に示す。線状パターニングの線幅は、それぞれ100nm、40nm、25nmの線であり、ブランクとの比が(L/S)=1:1である密集した線である。
【0093】
複数の同様のプレ成膜層サンプルを、異なるパターニングマスクを介して同様の極端紫外線の露光条件下で露光した。露光線量はいずれも7mJ/cm
2であり、次に、デカヒドロナフタレンを現像剤として用いて露光後のプレ成膜層を現像した。得られたパターニングされたフォトレジスト層を
図17に示す。パターンの周期(即ち、1本の線と1本のブランクバーの幅の和)は、それぞれ100nm(P100)、70nm(P70)、50nm(P50)、44nm(P44)である。
【0094】
プレ成膜層サンプルを、異なるパターニングマスクを介して露光線量300mJ/cm
2、波長254nmの紫外光源の照射下で露光し、次に、テトラヒドロナフタリンを現像剤として用いて露光後のプレ成膜層を現像した。得られたパターニングされたフォトレジスト層を
図18~19に示す。
図19における線状パターニングの線幅は8.87μmである。露光は空気テスト条件下で行われ、酸素は反応を阻害する効果があるため、露光線量は高くなる。
【0095】
以上から分かるように、紫外線、深紫外線、極端紫外線、電子線による露光下で、いずれも開始剤、触媒を必要とせずにフォトリソグラフィー画像を形成することができる。
【0096】
比較例1
1)1.22g(5mmol)の安息香酸、1.92g(20.4mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合すると同時に、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0097】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0098】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御した。
【0099】
比較例1の安息香酸の含有量が少なすぎるため、2)ステップの反応後に溶液に白色の沈殿物が生成し、前記フォトレジスト粒子を得ることができなかった。
【0100】
比較例2
1)48.8g(200mmol)の安息香酸、1.92g(20.4mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合すると同時に、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0101】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0102】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御した。
【0103】
比較例2の安息香酸の含有量が多すぎるため、2)ステップの反応後に溶液に白色の沈殿物が生成し、前記フォトレジスト粒子を得ることができなかった。
【0104】
比較例3
1)4.88g(20mmol)の安息香酸、0.48g(5.1mmol)のN-ビニルイミダゾールをフラスコに入れて混合すると同時に、15mLの酢酸エチルを加えて2min混合溶解した。
【0105】
2)4.38g(20mmol)の酢酸亜鉛二水和物をフラスコに入れて、30mLの酢酸エチルを加え、1)で得られた混合溶液をフラスコに滴加し、65℃の条件下で24h撹拌した。
【0106】
3)反応終了後、ロータリーエバポレーターにより30℃で20min回転蒸発し、圧力を30mbarに制御した。
【0107】
比較例3のN-ビニルイミダゾールの含有量が少なすぎるため、2)ステップの反応後に溶液に白色の沈殿物が生成し、前記フォトレジスト粒子を得ることができなかった。
【0108】
上記の実施例の各技術的特徴は任意に組み合わすことができ、説明を簡潔にするために、上記の実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせは矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載された範囲に含まれると見なされるべきである。
【0109】
上記の実施例は単に本願のいくつかの実施例を表現するものであり、その説明はより具体的及び詳細なものであるが、出願特許範囲を制限するものと理解されるべきではない。なお、当業者であれば、本願の構想を逸脱せずに、更に種々の変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。従って、本願特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準ずるべきである。