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特許7578242導電膜転写シートとその製造方法、導電性物体とその製造方法、および導電膜
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  • 特許-導電膜転写シートとその製造方法、導電性物体とその製造方法、および導電膜 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】導電膜転写シートとその製造方法、導電性物体とその製造方法、および導電膜
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/06 20190101AFI20241029BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20241029BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B32B7/06
H01B5/14 A
H01B13/00 503B
B32B5/02 A
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022112012
(22)【出願日】2022-07-12
(62)【分割の表示】P 2020166964の分割
【原出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022159276
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520383234
【氏名又は名称】栗原 正人
(73)【特許権者】
【識別番号】520383245
【氏名又は名称】石崎 学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】河本 憲治
(72)【発明者】
【氏名】石川 宏典
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正人
(72)【発明者】
【氏名】石崎 学
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0056854(US,A1)
【文献】特開2010-269569(JP,A)
【文献】特許第3903159(JP,B2)
【文献】特開2006-035771(JP,A)
【文献】特開2008-126469(JP,A)
【文献】国際公開第2009/072478(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C09J
H01B5/14;13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性シートからなる第1剥離シートと、前記第1剥離シートの第1主面に支持された導電性繊維を含む導電膜とを具備し、前記第1剥離シートと前記導電膜が第1液体を含み、前記導電膜は、PEDOT/PSS、ポリピロール、ポリアニリン、金微粒子、銀微粒子及び銅微粒子から選択される導電性助剤を更に含んでいる導電膜転写シート。
【請求項2】
前記第1剥離シートに含まれる前記第1液体と前記導電膜に含まれる前記第1液体との合計質量が、前記第1剥離シートの質量に対して50質量%~200質量%である、請求項1に記載の導電膜転写シート。
【請求項3】
前記第1剥離シートと前記導電膜に含有される前記第1液体は、前記導電膜の形成に用いられた前記導電性繊維の分散液の分散溶媒である、請求項1又は2に記載の導電膜転写シート。
【請求項4】
前記第1液体が水である、もしくは水を含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項5】
前記導電性繊維として少なくともカーボンナノチューブを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項6】
前記導電性繊維として前記カーボンナノチューブ以外の導電性繊維を更に含む、請求項5に記載の導電膜転写シート。
【請求項7】
前記第1剥離シートの孔径が0.05μm~5μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項8】
前記第1剥離シートが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド及びセルロースから選択される1種又は2種以上の材料を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項9】
第2剥離シートを更に具備し、前記導電膜が前記第1剥離シートと前記第2剥離シートの間に挟持され、前記第2剥離シートは前記第1液体と同じ液体を含有している、請求項1~8のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項10】
包装容器内に密封されている請求項1乃至9の何れか1項に記載の導電膜転写シート。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が前記第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、及び
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が前記第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、及び
前記導電膜上に前記第1液体と同じ液体を含有する前記第2剥離シートを積層することにより前記第1剥離シートと前記第2剥離シートの間に前記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含有される前記第1液体が、前記第1液体と相溶する第2液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が前記第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、
前記第2液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第1液体の残部を前記第2液体に置換すること、及び
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第2液体の一部を除去すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項14】
請求項9に記載の導電膜転写シートに含有される前記第1液体が、前記第1液体と相溶する第2液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が前記第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、
前記第2液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第1液体の残部を前記第2液体に置換すること、
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第2液体の一部を除去すること、及び 前記導電膜上に前記第2液体と同じ液体を含有する前記第2剥離シートを積層することにより前記第1剥離シートと前記第2剥離シートの間に前記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含有される前記第1液体が、前記第1液体と相溶しない第3液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が前記第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、
前記第1液体及び前記第3液体の双方に相溶する第2液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第1液体の残部を前記第2液体に置換すること、
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第2液体の一部を除去すること、
前記第3液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第2液体の残部を前記第3液体に置換すること、及び
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第3液体の一部を除去すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項16】
請求項9に記載の導電膜転写シートに含有される前記第1液体が、前記第1液体と相溶しない第3液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
前記第1剥離シートの前記第1主面上に、前記導電性繊維が第1液体に分散された分散液を塗布することにより前記導電膜の前駆体膜を形成すること、
前記第1剥離シートの前記第1主面の裏面である第2主面側から前記第1液体の一部を除去することにより前記導電膜を形成すること、
前記第1液体及び前記第3液体の双方に相溶する第2液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第1液体の残部を前記第2液体に置換すること、
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第2液体の一部を除去すること、
前記第3液体を前記導電膜上に塗布することにより、前記第2液体の残部を前記第3液体に置換すること、
前記第1剥離シートの前記第2主面側から前記第3液体の一部を除去すること、及び 前記導電膜上に前記第3液体と同じ液体を含有する前記第2剥離シートを積層することにより前記第1剥離シートと前記第2剥離シートの間に前記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【請求項17】
前記第1剥離シートの前記第2主面側からの前記第1液体の除去が、前記第2主面側を吸引することにより行われる、請求項11~16のいずれか1項に記載の導電膜転写シートの製造方法。
【請求項18】
前記第1剥離シートの前記第2主面側からの前記第2液体の除去が、前記第2主面側を吸引することにより行われる、請求項13~16のいずれか1項に記載の導電膜転写シートの製造方法。
【請求項19】
前記第1剥離シートの前記第2主面側からの前記第3液体の除去が、前記第2主面側を吸引することにより行われる、請求項15又は16に記載の導電膜転写シートの製造方法。
【請求項20】
被転写体としての基材と、前記基材上に請求項1~10のいずれか1項に記載の導電膜転写シートからの転写膜である前記導電膜とを具備し、前記導電膜は、前記導電性助剤としてPEDOT/PSS、ポリピロール、又はポリアニリンを含んでいる導電性物体。
【請求項21】
前記被転写体としての前記基材が貫通孔を有する基材であり、前記導電膜が前記貫通孔において前記基材に接触していない部分を含んでいる請求項20に記載の導電性物体。
【請求項22】
基材と、前記基材上に導電膜とを具備する導電性物体の製造方法であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含まれる前記導電膜を、前記基材に接触させること、
加熱により前記第1剥離シートと前記導電膜に含有される前記第1液体を除去すること、及び
前記第1剥離シートを剥離すること
を含む導電性物体の製造方法。
【請求項23】
基材と、前記基材上に導電膜とを具備する導電性物体の製造方法であって、
請求項9に記載の導電膜転写シートから前記第2剥離シートを剥離すること、
前記導電膜を前記基材に接触させること、
加熱により前記第1剥離シートと前記導電膜に含有される前記第1液体を除去すること、及び
前記第1剥離シートを剥離すること
を含む導電性物体の製造方法。
【請求項24】
請求項1~10のいずれか1項に記載の導電膜転写シートからの転写膜である導電膜であり、前記導電性助剤としてPEDOT/PSS、ポリピロール、又はポリアニリンを含んでいる導電膜
【請求項25】
表面抵抗値が1~10kΩ/cmである、請求項24に記載の導電膜。
【請求項26】
波長550nmの光線透過率が50%以上である、請求項24又は25に記載の導電膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜転写シートとその製造方法、導電性物体とその製造方法、および導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電性層は、静電防止層、透明面状発熱体、プラズマディスプレイパネル電極、液晶電極、有機エレクトロルミネッセンス(EL)電極、タッチパネル、電磁波遮蔽膜などとして用いることができる。
【0003】
現在、透明導電膜は主にスパッタリング法によって製造されている。スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面抵抗値の低い導電膜を形成できる点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点がある。加えて真空装置中で導電材料を加熱して成膜するため、このような環境下に耐えうる材料に限られるという。
【0004】
また、塗布法による透明導電膜の製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー溶液中に分散された導電性塗料を基板上に塗布して、乾燥し、硬化させて導電膜を形成する。塗布法は、大面積の導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電膜を製造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導電膜ではバインダーの存在のために導電性微粒子同士の接触が不十分で、得られる導電膜の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしまう。
【0005】
塗布法において、導電性微粒子と比べて比較的接点の形成が容易なカーボンナノチューブのような導電性繊維を用いることも出来るが、一般的には導電膜を形成する際の塗膜の厚さや、形成後の膜強度の問題から少量のバインダーを混合して塗布するため、導電性が低下する。カーボンナノチューブのみの単独膜を形成する方法としては、被着体である基材にカーボンナノチューブとバインダーを含有する塗液を用いて導電膜を形成後、前記バインダーの分解温度まで加熱して熱分解除去する方法があるが、基材に高耐熱性の材料を使用する必要がある。他の方法として、カーボンナノチューブの導電層が形成された基材を高加圧下で被着体に密着後、基材を強力な有機溶剤などを用いて溶解除去する方法などもあるが、同様に被着体に耐溶剤性の基材を用いる必要があり使用が限定される。また多量の溶剤を使用するため環境への問題も懸念される。
【0006】
特許文献1には、透明導電膜を具備する透明導電性基板を、転写により製造する方法が開示されている。
【0007】
特許文献2には、被転写体としての物体表面上に透明導電層を転写するための転写用導電性フィルムが開示されている。転写用導電性フィルムが具備する透明導電層は、導電性微粒子を圧縮することにより形成されたものである。
【0008】
特許文献3には、基材表面に導電層を有する導電性成形体の製造方法として、極細導電繊維を用いた複数種の方法が開示されている。その中の一つに剥離フィルム上に極細導電繊維の分散液を塗布し乾燥した層を、接着層を介して基材表面に圧着し、剥離フィルムを剥がして転写する方法が含まれているが、接着層に関する具体的な説明がないなど、当該転写方法に関する詳細な説明は記載されていない。
【0009】
特許文献4には、剥離フィルム上に、揮発性溶剤に樹脂バインダーを混ぜて増粘した極細導電繊維を含有する塗液を塗布し乾燥した導電層と、この導電層上に紫外線硬化型樹脂組成物からなる粘着層が積層されてなる転写用導電フィルムの製造方法が記載されている。
【0010】
非特許文献1には、カーボンナノチューブの導電フィルム製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平6-103839号公報
【文献】特開2002-347150号公報
【文献】特許第3903159号公報
【文献】特開2010-269569号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】表面化学、P587、Vol.64、No.11、2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来、低い表面抵抗値が得られる導電膜を形成するためには蒸着装置やスパッタリング装置のような特殊大型設備を使う必要があり、高コストで煩雑作業が必要であった。一方、簡便な塗布法で作製された導電膜を具備する転写用導電フィルムは、基材に導電性材料を塗布するための増粘剤や、塗膜の強度向上を目的として樹脂バインダーを使うため、得られる導電膜の表面抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があった。表面抵抗値を下げるために樹脂バインダーを分解温度以上の高温で加熱除去する場合は、被転写体としての基材が制限されるという問題があった。
【0014】
本発明は、被転写体である基材の材質や形状などによる制限を受けることなく、導電性の高い導電膜を簡便に転写することができる導電膜転写シートとその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記導電膜転写シートからの転写膜である導電膜を具備する導電性物体とその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記導電膜転写シートからの転写膜である導電膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、導電性繊維を溶媒に分散させた分散液を、増粘剤を添加することなく低粘度の分散体のまま液体透過性の剥離シート上に塗布し、溶媒の一部を除去することによって導電膜を形成し、一方、溶媒の一部を含んだ状態の導電膜転写シートを作製することで、被転写体である基材の材質や形状(曲面、平面など)を問わず、効率的かつ簡便に導電性の高い導電膜を転写できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明の実施形態(以下において、「本実施形態」という。)は、例えば、以下の通りである。
(1) 液体透過性シートからなる第1剥離シートと、上記第1剥離シートの第1主面に支持された導電性繊維を含む導電膜とを具備し、上記第1剥離シートと上記導電膜が第1液体を含んでいる導電膜転写シート。
(2) 上記第1剥離シートと上記導電膜に含まれる上記第1液体の合計質量が、上記第1剥離シートの質量に対して50質量%~200質量%である、(1)に記載の導電膜転写シート。
【0017】
(3) 上記第1剥離シートと上記導電膜に含有される上記第1液体は、上記導電膜の形成に用いられた上記導電性繊維の分散液の分散溶媒である、(1)又は(2)に記載の導電膜転写シート。
(4) 上記第1液体が水である、もしくは水を含んでいる、(1)~(3)のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
(5) 上記導電性繊維として少なくともカーボンナノチューブを含む、(1)~(4)のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【0018】
(6) 上記導電性繊維として上記カーボンナノチューブ以外の導電性繊維を更に含む、(5)に記載の導電膜転写シート。
(7) 上記第1剥離シートの孔径が0.05μm~5μmである、(1)~(6)のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
(8) 上記第1剥離シートが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド及びセルロースから選択される1種又は2種以上の材料を含む、(1)~(7)のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
(9) 第2剥離シートを更に具備し、上記導電膜が上記第1剥離シートと上記第2剥離シートの間に挟持され、上記第2剥離シートは上記第1液体と同じ液体を含有している、(1)~(8)のいずれか1項に記載の導電膜転写シート。
【0019】
(10) (1)~(8)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記第1主面上に、上記導電性繊維が上記第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、及び
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0020】
(11) (9)に記載の導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記第1主面上に、上記導電性繊維が上記第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、及び
上記導電膜上に上記第1液体と同じ液体を含有する上記第2剥離シートを積層することにより上記第1剥離シートと上記第2剥離シートの間に上記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0021】
(12) (1)~(8)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含有される上記第1液体が、上記第1液体と相溶する第2液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記第1主面上に、上記導電性繊維が上記第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、
上記第2液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第1液体の残部を上記第2液体に置換すること、及び
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第2液体の一部を除去すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0022】
(13) (9)に記載の導電膜転写シートに含有される上記第1液体が、上記第1液体と相溶する第2液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記第1主面上に、上記導電性繊維が上記第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、
上記第2液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第1液体の残部を上記第2液体に置換すること、
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第2液体の一部を除去すること、及び 上記導電膜上に上記第2液体と同じ液体を含有する上記第2剥離シートを積層することにより上記第1剥離シートと上記第2剥離シートの間に上記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0023】
(14) (1)~(8)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含有される上記第1液体が、上記第1液体と相溶しない第3液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記第1主面上に、上記導電性繊維が上記第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、
上記第1液体及び上記第3液体の双方に相溶する第2液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第1液体の残部を上記第2液体に置換すること、
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第2液体の一部を除去すること、
上記第3液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第2液体の残部を上記第3液体に置換すること、及び
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第3液体の一部を除去すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0024】
(15) (9)に記載の導電膜転写シートに含有される上記第1液体が、上記第1液体と相溶しない第3液体に置換された導電膜転写シートの製造方法であって、
上記第1剥離シートの上記主面上に、上記導電性繊維が第1液体に分散された分散液を塗布することにより上記導電膜の前駆体膜を形成すること、
上記第1剥離シートの上記第1主面の裏面である第2主面側から上記第1液体の一部を除去することにより上記導電膜を形成すること、
上記第1液体及び上記第3液体の双方に相溶する第2液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第1液体の残部を上記第2液体に置換すること、
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第2液体の一部を除去すること、
上記第3液体を上記導電膜上に塗布することにより、上記第2液体の残部を上記第3液体に置換すること、
上記第1剥離シートの上記第2主面側から上記第3液体の一部を除去すること、及び 上記導電膜上に上記第3液体と同じ液体を含有する上記第2剥離シートを積層することにより上記第1剥離シートと上記第2剥離シートの間に上記導電膜を挟持すること
を含む導電膜転写シートの製造方法。
【0025】
(16) 上記第1剥離シートの上記第2主面側からの上記第1液体、上記第2液体又は上記第3液体の除去が、上記第2主面側を吸引することにより行われる、(10)~(15)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートの製造方法。
【0026】
(17) 被転写体としての基材と、上記基材上に(1)~(9)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートからの転写膜である上記導電膜とを具備した導電性物体。
(18) 上記基材と上記導電膜とが、上記導電膜転写シートから上記導電膜を上記基材に転写する際の上記第1液体の除去により生じたファンデルワールス力により結合している、(17)に記載の導電性物体。
【0027】
(19) 基材と、上記基材上に導電膜とを具備する導電性物体の製造方法であって、 (1)~(8)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートに含まれる上記導電膜を、上記基材に接触させること、
加熱により上記第1剥離シートと上記導電膜に含有される上記第1液体を除去すること、及び
上記第1剥離シートを剥離すること
を含む導電性物体の製造方法。
【0028】
(20) 基材と、上記基材上に導電膜とを具備する導電性物体の製造方法であって、 (9)に記載の導電膜転写シートから上記第2剥離シートを剥離すること、
上記導電膜を上記基材に接触させること、
加熱により上記第1剥離シートと上記導電膜に含有される上記第1液体を除去すること、及び
上記第1剥離シートを剥離すること
を含む導電性物体の製造方法。
【0029】
(21) (1)~(9)のいずれか1項に記載の導電膜転写シートからの転写膜である導電膜。
(22) 表面抵抗値が1~10kΩ/cmである、(21)に記載の導電膜。
(23) 波長550nmの光線透過率が50%以上である、(21)又は(22)に記載の導電膜。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、被転写体である基材の材質や形状などを制限することなく、導電性の高い導電膜を簡便に転写することができる導電膜転写シートとその製造方法を提供することが可能となった。また、本発明により、上記導電膜転写シートからの転写膜である導電膜を具備する導電性物体とその製造方法を提供することが可能となった。また、本発明により、上記導電膜転写シートからの転写膜である導電膜を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る導電膜転写シートの一例を概略的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係る導電膜転写シートの一例を概略的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3実施形態に係る導電性物体の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る導電膜転写シートの一例を概略的に示す断面図である。図1に示す導電膜転写シート10は、液体透過性シートからなる第1剥離シート1と、第1剥離シート1の一方の主面(以下において、「第1主面」という。)1aに支持された導電性繊維2を含む導電膜3とを具備し、第1剥離シート1と導電膜3は液体(以下において、「第1液体」という。)(図示せず)を含有している。
【0034】
第1剥離シート1と導電膜3に含有される第1液体は、導電膜3の形成に用いられた導電性繊維2の分散液の分散溶媒であり、第1剥離シート1と導電膜3は第1液体により湿潤している。この第1剥離シート1と導電膜3に含有される第1液体は、被転写体に対する導電膜3の転写性に重要な役割を果たす。詳細は後述するが、転写時の加熱により第1液体が導電膜剥離シート10から除去されることにより生じるファンデルワールス力により、被転写体と導電膜3とが強固に貼合される。
【0035】
第1剥離シート1と導電膜3に含有される第1液体の量は、導電膜3の製膜性、並びに、被転写体に対する導電膜3の転写性などの観点から適宜設定される。一形態において、第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第1液体の合計質量は、第1剥離シートの質量に対して50質量%~200質量%であることが好ましく、100質量%~180質量%であることがより好ましく、120質量%~170質量%であることが更に好ましい。
【0036】
(導電膜)
導電膜3は、導電性繊維2と第1液体を含んでいる。導電膜3は、導電性繊維2が第1液体に分散された分散液からなる前駆体膜から第1液体の一部を除去することにより形成される。第1液体の除去は、第1剥離シート1の第1主面1aの裏面(以下において、「第2主面」という。)1b側から第1液体を吸引することにより行われる。導電膜3の膜厚は、特に制限はなく、導電膜3の用途などに応じて適宜調整される。なお、導電膜3の膜厚は、導電性繊維2の分散液の塗布量や、分散液中の導電性繊維2の濃度などにより調整することができる。
【0037】
(導電性繊維)
本実施形態において使用することができる導電性繊維2としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルの炭素繊維、白金、金、銀、ニッケル、シリコンの金属ナノチューブやナノワイヤの金属繊維、酸化亜鉛の金属酸化物ナノチューブや金属酸化ナノワイヤの金属酸化物繊維等を挙げることができる。導電性繊維の直径は、例えば0.3~100nmであることが好ましく、長さは、例えば0.1~20μmであることが好ましく、0.1~10μmであることがより好ましい。これらの導電性繊維のなかでも、カーボンナノチューブは、直径が0.3~80nmと極めて細く、アスペクト比も大きい。そのため、光透過を阻害することが極めて少ないため、透明な導電膜を得る観点から好ましい。さらに、カーボンナノチューブは導電性に優れるため、導電膜の表面抵抗値も小さくすることができる。本実施形態において、導電性繊維として1種を使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0038】
上記のカーボンナノチューブには、多層カーボンナノチューブ(Multi-walled carbon nanotube;MWNT)と単層カーボンナノチューブ(Single-walled carbon nanotube;SWNT)がある。多層カーボンナノチューブ(MWNT)は、中心軸の周りで閉じた直径が異なる多数の円筒状のカーボン壁からなるチューブを同心的に備えている。カーボン壁は六角網目構造に形成されている。ある多層カーボンナノチューブは、カーボン壁が渦巻き状になって多層となっている。好ましい多層カーボンナノチューブは、カーボン壁が2~30層重なったものであり、より好ましくはカーボン壁が2~15層重なったものである。上記の多層カーボンナノチューブを使用することにより、優れた光線透過率を持つ導電膜を形成することができる。通常、多層カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの1本ずつがお互いに分離して分散している。また、2~3層のカーボンナノチューブが、束を形成して上記のように分散している場合もある。
【0039】
単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、中心軸の周りに円筒状に閉じた単層のカーボン壁を備えている。多層カーボンナノチューブと比較して抵抗値が低くより好ましい。このカーボン壁は六角網目構造に形成されている。この単層カーボンナノチューブは、1本ずつで分散することは困難である。2本以上のチューブが束を形成し、その束がお互いに絡み合っている。しかしながら、これらの束は凝集することがなく、あるいはお互いが複雑に絡み合ってもいない。束は、お互いが単純に交差し、その交点で接触し、表面にて均一に分散している。好ましい単層カーボンナノチューブの束は、10~50本集まったものである。しかし、単層カーボンナノチューブが互いに分離して1本ずつ分散しているものも本実施形態において好適に使用することができる。
【0040】
(第1液体)
第1液体としては、導電性繊維2を分散できる溶媒であれば特に制限はなく、いずれも使用することができる。本実施形態において、導電性繊維としてカーボンナノチューブを使用する場合、第1液体としては、水、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられ、これらから選択される2種以上の混合溶媒であってもよい。中でも水、アルコールが好ましく、特に水はカーボンナノチューブを比較的均一に分散できることからより好ましい。一形態において、第1液体は水であるか、もしくは水を含んでいることが好ましい。
【0041】
(導電性助剤)
本実施形態において、導電膜3は、導電性の向上や、膜強度の向上を目的として、導電性助剤を含有してよい。このような導電助剤としては、PEDOT/PSS、ポリピロール、ポリアニリンのような導電性ポリマーや、金、銀、銅の微粒子もしくはファイバーのような導電性金属などが挙げられる。
【0042】
(第1剥離シート)
第1剥離シート1は、液体透過性シートである。本実施形態において使用できる液体透過性シートとしては、導電性繊維2の分散液から導電性繊維2を含む導電性物質をシート上に残したまま第1液体を除去できる透過性を有するものであればよく、具体例としては、各種多孔質メンブレンフィルターや不織布フィルターなどが挙げられる。第1剥離シート1の孔径は、上記観点から適宜設定され、例えば、導電性繊維2の長さなどに応じて好適な孔径を有する液体透過性シートを選択すればよい。本実施形態において、第1剥離シートの孔径は、例えば、0.05μm~5.0μmであることが好ましく、0.1μm~2.0μmであることがより好ましい。ここで孔径は、JIS K3832に規定されているバブルポイント試験法に準じた方法で測定される値である。
【0043】
第1剥離シート1の材質としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVDC(ポリビニリデンクロライド)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート等が挙げられ、中でもPTFE、PVDF、セルロースが好ましい。第1剥離シート1は、これらから選択される1種単独の素材からなるシートであってもよいし、2種以上の混合物からなるシートであってもよい。
第1剥離シート1の厚さとしては、特に制限はなく、例えば、10~200μmのものを使用することができる。
【0044】
(製造方法)
本実施形態において、図1に示す導電膜転写シート10は、例えば、以下のようにして得られる。
まず、第1剥離シート1の第1主面1a上に、導電性繊維2が第1液体に分散された分散液を塗布することにより、導電膜3の前駆体膜を得る。分散液の調製は、例えば、市販のカーボンナノチューブ分散液に、均一な分散状態を保ちながら第1液体を加えることにより行うことができる。分散液におけるカーボンナノチューブの濃度は、例えば、0.001~0.5質量%であってよい。分散液の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、分散液を第1主面1a上に直接注いでもよいし、スプレー噴霧など公知の塗布方法を使用することができる。
【0045】
次いで、導電膜3の前駆体膜が形成された第1剥離シート1の第1主面1aの裏面である第2主面1b側から、第1液体の一部を除去することにより、任意の厚さの導電膜3を形成する。第1剥離シート1の第2主面1b側から第1液体の一部を除去することにより、導電性繊維2間が密着性を得、第1剥離シート1上に転写層としての導電膜3を得ることができる。このとき、第1剥離シート1及び導電膜3は、除去されずに残された第1液体により湿潤状態にある。これら部材が湿潤状態になく乾燥している場合や、含まれる第1液体の量が少なすぎる場合は、導電膜3の転写ができない、または一部転写不良が起こるなどの不具合が生じ得る。第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第1液体の合計質量の好ましい範囲は、上述した通りである。
【0046】
第1剥離シート1の第2主面1b側からの第1液体の除去は、第1液体を吸引することにより一気に行うことが適当である。吸引の手段としては、例えば、アスピレーター等を用いた減圧吸引や、第2主面1b面に吸水性もしくは吸油性の材料を接触させて第1液体を吸収する方法などが挙げられる。
【0047】
導電膜転写シート10を用いた転写では、被転写体によっては導電膜3に含有される第1液体との親和性が悪く、転写ができない、または一部転写不良が起こるなどの不具合が生じる可能性がある。この場合は、導電膜転写シート10の第1剥離シート1及び導電膜3に含まれる第1液体を、被転写体との親和性が良好な液体に置換することで対処することができる。導電膜転写シート10に含まれる第1液体の他の液体への置換は、例えば、以下のように行うことができる。
【0048】
ここでは、被転写体との親和性が良好な「他の液体」が、第1液体と相溶する液体(以下において、「第2液体」という。)である場合と、第1液体と相溶しない液体(以下において、「第3液体」という。)である場合とに分けて説明する。ここで、「相溶する」とは、第1液体と第2液体を混合した場合に、双方が分離せず、界面が形成されないことを意味し、例えば、第1液体としての水に対し、第2液体としてのエタノールの関係が該当する。また、「相溶しない」とは、第1液体と第3液体を混合した場合に、双方が分離し、界面が形成されることを意味し、例えば、第1液体としての水に対し、第3液体としてのトルエンの関係が該当する。
【0049】
導電膜転写シート10に含まれる第1液体を、第1液体と相溶する第2液体に置換する方法としては、まず、上述した方法で得られた第1液体を含む導電膜転写シート10に対し、第2液体を導電膜3上に塗布する。第2液体の導電膜3上への塗布は、第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第1液体を第2液体で洗い流し、第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第1液体を第2液体で置換できるような形態で行われる。次いで、第1剥離シート1の第2主面1b側から第2液体の一部を除去する。これにより、導電膜転写シート10に含まれる第1液体が第2液体に置換され、第1剥離シート1と導電膜3が第2液体で湿潤している導電膜転写シートを得ることができる。ここで、第2液体の塗布は、上述した分散液の塗布方法と同様の方法で行うことができ、第1剥離シート1の第2主面1b側からの液体の除去は、上述した第1液体の除去と同様の方法で行うことができる。
【0050】
導電膜転写シート10に含まれる第1液体を、第1液体と相溶しない第3液体に置換する方法としては、相溶する液体で順次置換していくことにより実施することができる。すなわち、第1液体と第3液体の双方に相溶する第2液体を使用し、まず第1液体を第2液体で置換し、次いで第2液体を第3液体で置換する。
【0051】
具体的には、上述した方法で第1液体が第2液体に置換された導電膜転写シートに対し、第3液体を導電膜3上に塗布する。第3液体の導電膜3上への塗布は、第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第2液体を第3液体で洗い流し、第1剥離シート1と導電膜3に含まれる第2液体を第3液体で置換できるような形態で行われる。次いで、第1剥離シート1の第2主面1b側から第3液体の一部を除去する。これにより、導電膜転写シート10に含まれる第2液体が第3液体に置換され、第1剥離シート1と導電膜3が第3液体で湿潤している導電膜転写シートを得ることができる。ここで、第3液体の塗布は、上述した分散液の塗布方法と同様の方法で行うことができ、第1剥離シート1の第2主面1b側からの液体の除去は、上述した第1液体の除去と同様の方法で行うことができる。
【0052】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る導電膜転写シートの一例を概略的に示す断面図である。図2に示す導電膜転写シート20は、図1に示す導電膜転写シート10が更に第2剥離シート4を具備するものであり、導電膜3が第1剥離シート1と第2剥離シート4の間に挟持されている。
【0053】
第2剥離シート4は、第1剥離シート1と導電膜3が含有する第1液体と同じ液体を含有している。導電膜転写シート20において、第2剥離シート4は、長時間の安定した転写性を維持するため、導電性膜転写シートの乾燥を防ぐことを目的として、導電膜3を第1剥離シート1と共に挟持するよう配置されたものである。これにより導電性膜転写シート20の保存安定性を確保し利便性が向上する。
【0054】
第2剥離シート4の材質としては、導電膜3と張り合わせたときに、第1液体を含有する導電膜3を乾燥させないよう第1液体と同じ液体を十分吸収保持できるものであれば、特に制限はない。例えば、導電性繊維2を分散させるための分散溶媒(第1液体)として水を用いる場合、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、寒天、カラギーナンなどの吸水性ゲルシートや、吸水紙などを用いることができる。分散溶媒(第1液体)として有機溶剤を用いる場合は、その溶剤を吸収保持する各種吸油性ポリマーシート等を用いることができる。
【0055】
なお、導電膜転写用シート20において、第1剥離層1及び導電膜3に含有される第1液体が上述した方法により第2液体又は第3液体に置換される場合は、第2剥離シート4に含有させる液体としても、置換後の液体と同じ液体が用いられる。
【0056】
図2に示す導電膜転写シート20は、上述した方法により得られた図1に示す導電膜転写シート10に対し、予め第1液体を十分に含ませた第2剥離シート4を、導電膜3の第1剥離シート1が接触していない側の面上に積層することにより得られる。第2剥離シート4は、上述の通り、導電膜転写シートの転写層としての導電膜3を被転写体に転写するまでの間に、乾燥、固着させないことを目的として用いられるものであるから、第2剥離シート4の導電膜3上への積層においては、導電膜3が湿潤状態を保ったまま貼り合わせることが肝要である。
【0057】
なお、導電膜転写シート20においては、第2剥離シート4を剥離したときの第1剥離シート1及び導電膜3に含まれる第1液体の合計質量が、第1実施形態に係る導電膜転写シート10において説明した第1液体の含有量の合計質量と同程度であることが好ましい。すなわち、第1剥離シート1の質量に対して50質量%~200質量%であってよく、100質量%~180質量%であってよく、120質量%~170質量%であってよい。
【0058】
また、本実施形態に係る導電膜転写シートは、実施形態1及び実施形態2のいずれにおいても、第1剥離シート1及び導電膜3の湿潤状態を維持するために、使用時まで完全に密封できるアルミラミネートパウチなどの保存袋や密封ケースなどに入れて保管することが望ましい。
【0059】
[第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態に係る導電性物体の一例を概略的に示す断面図である。図3に示す導電性物体30は、被転写体としての基材5と、基材5上に本実施形態に係る導電膜転写シートからの転写膜である導電膜3とを具備している。
【0060】
図3に示す導電性物体30は、例えば、以下のようにして得られる。
本実施形態に係る導電膜転写シートが第2剥離シートを具備する場合には、まず、導電膜転写シート20から第2剥離シート4を剥離する。次に導電膜3の第2剥離シート4が剥離された側の面を基材5に接触させる。このとき、基材5と導電膜3の間に気泡が入らないよう圧着させることが好ましい。次に加熱により第1剥離シート1と導電膜3に含有される第1液体を除去する。第1液体の除去により生じたファンデルワールス力により基材5と導電膜3とが強固に貼合される。加熱手段としては、例えば、第1剥離シート1の第2主面1b側にドライヤーなどにより熱風をあてて加熱してもよいし、下部よりヒーターなどで加熱してもよい。第1液体を除去した後、第1剥離シートを剥離することにより基材5への導電膜3の転写が完了し、導電性物体30を得ることができる。
【0061】
このように、本実施形態に係る導電膜転写シートは、特殊な装置を用いることなく、シートに含有される液体をドライヤーなどの熱風で蒸発させることで簡便に導電膜を転写できるため、耐熱性の低い基材にも導電膜を容易に形成できる。
【0062】
本実施形態に係る導電膜転写シートは、被転写体に簡便な方法で導電膜を転写することにより、導電性の高い導電性物体が得られ、この導電性物体は、静電防止体、透明面発熱体、プラズマディスプレイパネル電極、液晶電極、有機EL電極、タッチパネル、電磁波遮蔽膜などとして用いることができる。
【0063】
本実施形態に係る導電膜は、従来の導電性材料のように導電性繊維中に樹脂バインダー等の非導電物質が混入していないため、表面抵抗値が非常に小さく、転写により導電性に優れた導電性物体が得られる。一形態において、本実施形態に係る導電膜転写シートにより、表面抵抗値が1~10kΩ/cmの導電膜が得られる。
【0064】
更に、本実施形態に係る導電膜を透明フィルム、透明ガラスなどに転写すれば、透明導電フィルム、透明導電ガラスとして各種ディスプレイ等に利用が可能である。一形態において、本実施形態に係る導電膜転写シートにより、波長550nmの光線透過率が50%以上の導電膜が得られる。
【0065】
また、本実施形態に係る導電膜は、導電性繊維からなるため、ITOや酸化スズのような無機導電膜と比べ繰り返しの曲げなどの変形にも強く、フレキシブルな導電体としての利用が可能である。
【0066】
このように、本実施形態に係る導電膜転写シートによれば、被転写体としての基材の材質や種類を問わず、曲面、凹凸などの基材の形状に合わせて転写シートを密着させることにより、多種多様な形状の基材に導電性の高い導電膜を形成することができる。また、本実施形態に係る導電膜転写シートは、被転写体が、中央部が空洞の基材や額縁状の基材である場合にも適用することができる。そのような基材に導電膜を転写することにより、一部、もしくは大部分が基材に接触していない導電膜を得ることが出来、単体の導電膜としての利用が可能である。例えば、本実施形態に係る導電膜転写シートにより保護膜等を製造することも可能である。更に、本実施形態に係る導電膜の用途は、導電性が必要とされる用途に限定されるものではない。このように、本実施形態に係る導電膜転写シートは様々な分野での利用が可能である。
【実施例
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<導電膜転写シートの作製>
導電性繊維として、市販の直径1~3nmの単層カーボンナノチューブ(SWNT)の水分散液を使用した。この分散液の均一な分散状態を保ちながら純水を加え、SWNT濃度が0.02質量%の分散液を調製した。
次いで、この分散液をノズル径0.3mmのエアブラシを用いて、PTFE製シート(第1剥離シート;直径47mmφ、膜厚65μm、シートの孔径0.2μm)上に噴霧し、裏面をアスピレーターで吸引して水を除去することにより、導電膜をシート上に設けた。得られた導電膜転写シートの式(1)で表される液体含有率は、163質量%であった。
【0068】
[(第1剥離シート及び導電膜に含有される液体の合計質量)/第1剥離シートの質量]×100(%)・・・・式(1)
【0069】
<導電性物体の作製(転写試験)>
導電膜の面を、厚さ約100μmのPETフィルムに、気泡を噛まないよう適度な圧力で貼り合わせた。次に得られた積層体のPETフィルム側を約90℃のホットプレートに接触させ充分に水分を乾燥させた。次いで、第1剥離シートを端からゆっくり剥離することにより、PETフィルム上に転写物である導電膜を得た。得られた転写物について、表面抵抗値と透過率を下記方法で測定し、転写性を下記基準に基づき評価した。結果を表1に示す。
【0070】
(表面抵抗値の測定方法)
表面抵抗の測定は抵抗率計 ロレスターGP MCP-T610(三菱化学アナリテック社)を用いて4端子法にて測定した。
【0071】
(透過率の測定方法)
透過率は分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社)を用いて導電膜とPET基材を含めた550nm波長の光線透過率を測定した。
【0072】
(転写性)
A:完全に転写できた。(転写可能領域の100%)
B:ほぼ完全に転写できた。(転写可能領域の90%以上100%未満)
C:半分以上が転写できた。(転写可能領域の50%以上90%未満)
D:一部分が転写できた。(転写可能領域の0%超50%未満)
E:全く転写されなかった。(転写可能領域の0%)
【0073】
[実施例2~6]
<導電膜転写シートの作製>
実施例1と同じ材料を用い、第1剥離シート上に導電膜を設けた。なお、導電膜の膜厚は、エアブラシによる分散液の噴霧時間で調整した。次に市販のセルロース製の定性濾紙(直径50mmφ、膜厚0.5mm)を純水中に浸漬させ充分に水分を含んだ状態で取り出し、第2剥離シートとして導電膜の上から貼り合わせて導電膜転写シートを作製した。なお、この導電膜転写シートは、シートの乾燥を防ぐためチャック付きのアルミラミネート袋で保存した。表1の「転写までの時間」に記載の一定時間後に取り出し、以下の転写試験において転写シートとして使用した。
【0074】
<導電性物体の作製(転写試験)>
所定時間後、アルミラミネート袋から導電膜転写シートを取り出した。次に第2剥離シートを剥がし、導電膜の面を、厚さ100μmのPETフィルムに気泡を噛まないよう適度な圧力で貼り合わせた。次に得られた積層体のPETフィルム側を約90℃のホットプレートに接触させ充分に水分を乾燥させた。次いで、第1剥離シートを端からゆっくり剥離してPETフィルム上に転写物である導電膜を得た。
【0075】
[実施例7]
第1剥離シートを、孔径0.5μmのPTFE製シートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0076】
[実施例8]
第1剥離シートを、孔径1μmのPTFE製シートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0077】
[実施例9]
第1剥離シートを、PVDF製シートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0078】
[実施例10]
第1剥離シートを、セルロース製シートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0079】
[実施例11]
実施例1と同じ材料を用い、第1剥離シート上に導電膜を設けた。次に導電膜上にエタノールをエアブラシで噴霧し、第1剥離シートの裏面をアスピレーターで吸引しながら余分なエタノールを除去することで、導電膜と第1剥離シートに含まれる水分をエタノールで完全に置換した。
次に市販のセルロース製の定性濾紙をエタノール中に浸漬させ充分にエタノールを含んだ状態で取り出し、第2剥離シートとして導電膜の上から貼り合わせて導電膜転写シートを作製した。なお、この導電膜転写シートは、シートの乾燥を防ぐためチャック付きのアルミラミネート袋で保存した。
所定時間後、アルミラミネート袋から導電膜転写シートを取り出し、これまでの実施例と同様にこの転写シートを用いてPETフィルムに導電膜を転写し、導電性物体を得た。
【0080】
[実施例12]
実施例11と同様の条件で、第1剥離シートと導電膜に含まれる水分を完全にエタノールで置換した。次に導電膜上にエアブラシを用いてトルエンを噴霧し、第1剥離シートの裏面をアスピレーターで吸引しながら余分なトルエンを除去することで、導電膜と第1剥離シートに含まれるエタノールをトルエンで完全に置換した。
次に市販のセルロース製の定性濾紙をトルエン中に浸漬させ充分にトルエンを含んだ状態で取り出し、第2剥離シートとして導電膜の上から貼り合わせて導電膜転写シートを作製した。なお、この導電膜転写シートは、シートの乾燥を防ぐためチャック付きのアルミラミネート袋で保存した。
所定時間後、アルミラミネート袋から導電膜転写シートを取り出し、これまでの実施例と同様にこの転写シートを用いてPETフィルムに導電膜を転写し、導電性物体を得た。
【0081】
[実施例13]
実施例2と同様に第1剥離シート上に導電膜を設けた。さらにこの導電膜上に銀ナノ粒子の水分散液(平均粒子径:30nm、濃度:0.02質量%に調整)の分散液をノズル径0.3mmのエアブラシを用いて噴霧し、第1剥離シートの裏面をアスピレーターで吸引して水を除去し、SWNTと銀ナノ粒子を含有する導電膜を設けた。次いで、実施例2と同様に第2剥離シートを貼り合わせて導電膜転写シートを作製し、所定時間保存した後、実施例2と同様にPETフィルムに導電膜を転写し、導電性物体を得た。
【0082】
[実施例14]
実施例2と同様に第1剥離シート上に導電膜を設けた。さらにこの導電膜上にPEDOT/PSSの水分散液(メーカー:Aldrich社、PEDOT:PSS=5:8、濃度:0.02質量%に調整)の分散液をノズル径0.3mmのエアブラシを用いて噴霧し、第1剥離シートの裏面をアスピレーターで吸引して水を除去し、SWNTとPEDOT/PSSを含有する導電膜を設けた。次いで、実施例2と同様に第2剥離シートを貼り合わせて導電膜転写シートを作製し、所定時間保存した後、実施例2と同様にPETフィルムに導電膜を転写し、導電性物体を得た。
【0083】
[実施例15]
第1剥離シートを、孔径0.2μm、厚さ30μm、大きさ10cm×10cmのPTFE製シートに変更し、分散液の塗布量を変更し、更に第2剥離シートを大きさ11cm×11cmのセルロース製定性濾紙に変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0084】
[実施例16]
第1剥離シートを、孔径0.2μm、厚さ30μm、大きさ10cm×10cmのPTFE製シートに変更し、第2剥離シートを大きさ11cm×11cmのセルロース製定性濾紙に変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0085】
[実施例17]
導電性物体の作製(転写試験)において、被転写体として、厚さ約0.7mmのガラス板を用い、水分除去のための加熱において、第1剥離シートの上部(第2主面側)から市販のヘアードライヤーによる熱風をあてたこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0086】
[実施例18]
導電性物体の作製(転写試験)において、被転写体として、直径約30mm、高さ約6cmのガラス製サンプル瓶を用い、水分除去のための加熱において、第1剥離シートの上部(第2主面側)から市販のヘアードライヤーによる熱風をあてたこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0087】
[実施例19]
第2剥離シートを、寒天ゲルシートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。ここで使用した寒天ゲルシートは、80℃のお湯に寒天粉末を溶かした溶液を濾紙上に展開し、冷蔵庫で2時間冷却して得たものである。
【0088】
[実施例20]
第2剥離シートを、ゼラチンゲルシートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。ここで使用したゼラチンゲルシートは、80℃のお湯にゼラチンを溶かした溶液を濾紙上に展開し、冷蔵庫で約2時間冷却して得たものである。
【0089】
[実施例21]
第2剥離シートを、水分を充分に含ませたポリアクリル酸ナトリウムのゲルのシートに変更したこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0090】
[実施例22]
第1剥離シートを大きさ3cm×3cmのPTFE製シートに変更し、第2剥離シートを大きさ5cm×5cmのセルロース製定性濾紙に変更した以外は実施例3と同様に作製した導電膜転写フィルムを、導電性物体の作製(転写試験)に使用した。
導電性物体の作製(転写試験)においては、被転写体として中央部に約10mmφの穴のあるガラス板(4cm×4cm)を使用し、実施例17と同様の方法で導電膜を転写することにより、中央部に導電性繊維からなる単体膜が形成された導電性物体を得た。
【0091】
[比較例1]
実施例1と同様に作製した導電膜転写シートを室温で3時間放置した。目視で転写シートを確認したところ乾燥していた。この導電膜転写シートを実施例1と同様に転写試験を行ったところ、PETフィルムに導電膜はまったく転写されなかった。
【0092】
【表1-1】
【表1-2】
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0094】
1 第1剥離シート
1a 第1主面
1b 第2主面
2 導電性繊維
3 導電膜
4 第2剥離シート
5 基材(被転写体)
10 導電膜転写シート
20 導電膜転写シート
30 導電性物体
図1
図2
図3