(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】認証システム、認証方法、及び認証プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20241029BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20241029BHJP
B60K 28/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G06F21/32
A61B5/1171 200
B60K28/06 B
(21)【出願番号】P 2019148513
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】望月 計
(72)【発明者】
【氏名】佐川 清志
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸治
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-192859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0101721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
A61B 5/1171
B60K 28/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムであって、
前記情報処理装置は、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う顔認証手段を備え、
前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証
が成功した後に引き続いて、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する
認証システム。
【請求項2】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムであって、
前記情報処理装置は、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う顔認証手段を備え、
前記顔認証手段は、前記生体情報測定装置の電源がオンとされる前に前記顔認証を行い、
前記撮像装置は、前記顔認証が成功した後に前記生体情報測定装置の電源がオンとされ
、前記顔認証の成功に引き続いて前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する認証システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の終了後、前記測定の対象である被測定物の取得開始又は前記被測定物の取得終了の何れかのタイミングで、連続した撮像を終了する請求項1又は請求項2記載の認証システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記生体情報測定装置に表示されている前記生体情報の測定値を撮像した画像情報を取得する請求項1から請求項3の何れか1項記載の認証システム。
【請求項5】
前記生体情報測定装置は、識別情報を表示する表示手段を備え、
前記撮像装置は、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像し、
前記情報処理装置は、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を前記顔認証手段で行う
請求項1から請求項4の何れか1項記載の認証システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記識別情報に基づいた認証及び前記被測定者の顔に基づいた認証の成功を条件として、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する請求項5記載の認証システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記生体情報測定装置による測定毎に前記識別情報を生成し、
前記生体情報測定装置は、前記情報処理装置で生成された前記識別情報に基づいて、前記表示手段に前記識別情報を表示させる請求項5又は請求項6記載の認証システム。
【請求項8】
前記識別情報に基づいた認証は、前記生体情報測定装置による測定の開始前、前記生体情報測定装置による測定中、及び前記生体情報測定装置による測定の終了後の少なくとも何れか一つのタイミングで行われる請求項5から請求項7の何れか1項記載の認証システム。
【請求項9】
前記生体情報測定装置は、前記生体情報測定装置による測定の終了後に測定結果の情報を含む前記識別情報を前記表示手段に表示し、
前記撮像装置は、前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像した画像情報を取得する請求項5から請求項8の何れか1項記載の認証システム。
【請求項10】
前記被測定者の生体情報は、前記被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度である請求項1から請求項9の何れか1項記載の認証システム。
【請求項11】
前記顔認証手段は、連続して撮像された複数の前記画像情報に基づいて前記顔認証を行う請求項1から請求項10の何れか1項記載の認証システム。
【請求項12】
前記顔認証手段は、前記画像情報と予め登録されている前記被測定者の顔を示す登録画像情報とで、前記被測定者の顔認証を行う請求項1から請求項11の何れか1項記載の認証システム。
【請求項13】
予め定められた時間帯に前記被測定者の前記生体情報を測定する請求項1から請求項12の何れか1項記載の認証システム。
【請求項14】
前記被測定者は、航空機の乗務員であり、
前記予め定められた時間帯は、前記乗務員が乗務する前記航空機の運航時間帯の前及び後の少なくとも一方の所定時間帯である請求項13記載の認証システム。
【請求項15】
使用するために認証を必要とする被使用装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムであって、
前記被使用装置は、識別情報を表示する表示手段を備え、
前記撮像装置は、前記被使用装置の使用者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像し、
前記情報処理装置は、前記撮像装置により撮像された前記使用者の顔に基づいた認証を行う顔認証手段と前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を行う識別情報認証手段とを備えるものであり、
前記撮像装置は、前記被使用装置の使用の開始前における前記使用者の顔に基づいた認証が成功した後に行われる前記識別情報の認証の成功
に引き続いて、前記使用者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する
認証システム。
【請求項16】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証方法であって、
前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、
前記撮像装置が、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証
が成功した後に引き続いて、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、
を有する認証方法。
【請求項17】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証方法であって、
前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記生体情報測定装置の電源がオンとされる前に前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、
前記撮像装置が、前記顔認証が成功した後に前記生体情報測定装置の電源がオンとされ
、前記顔認証の成功に引き続いて前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、
を有する認証方法。
【請求項18】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証方法であって、
前記生体情報測定装置が、識別情報を表示手段に表示する第1工程と、
前記撮像装置が、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像する第2工程と、
前記情報処理装置が、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を顔認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行う第3工程と、
を有し、
前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記被測定者の顔に基づいた認証が成功した後に行われる前記識別情報の認証の成功
に引き続いて、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する
認証方法。
【請求項19】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証プログラムであって、
コンピュータに、
前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、
前記撮像装置が、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証
が成功した後に引き続いて、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、
を実行させる認証プログラム。
【請求項20】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証プログラムであって、
コンピュータに、
前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記生体情報測定装置の電源がオンとされる前に前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、
前記撮像装置が、前記顔認証が成功した後に前記生体情報測定装置の電源がオンとされ
、前記顔認証の成功に引き続いて前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、
を実行させる認証プログラム。
【請求項21】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証プログラムであって、
コンピュータに、
前記生体情報測定装置が、識別情報を表示手段に表示する第1工程と、
前記撮像装置が、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像する第2工程と、
前記情報処理装置が、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を顔認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行う第3工程と、
を実行させ、
前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記被測定者の顔に基づいた認証が成功した後に行われる前記識別情報の認証の成功
に引き続いて、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する
認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システム、認証方法、及び認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業用自動車、航空機、船舶、鉄道等の乗務員に対して点呼時等にアルコール検知器を使ったアルコールチェックが広く行われている。この際、一般的には被測定者である乗務員と被測定者の顔写真とを確認者(立ち会い者)がその場で確認しつつ、被測定者がアルコール測定を行うことで不正が防止される。しかしながら、乗務員が遠隔地におり確認者がモニタ等を介して確認する遠隔点呼が行われる場合もある。このような場合、タブレット端末等の端末装置を用いて被測定者本人の顔画像を送信するため、他者が被測定者になりすまして測定を行ったり、異なる機器(ダミー機)を用いて測定を行う等の不正が行われる可能性がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ダミー機及び被測定者以外の人物を使った不正な測定を効果的に防止するために、発光部を備えた生体情報測定装置、カメラを備えた第1端末機、及び人物の認証のための顔認識処理等を行う第2端末機で構成される生体情報測定システムが記載されている。
【0004】
この生体情報測定システムは、生体情報測定装置による測定を開始する前に、測定者が第2端末機の入力部を操作することにより、第2端末機に決定させた発光パターンを示す発光指示信号を第2端末機から生体測定装置へ送信させる。そして、カメラは、発光パターンに従って発光する発光部と被測定者の顔とを撮影し続け、第1端末機の記憶部に撮影データを保存する。第2端末機は、カメラによって撮影された撮影データに映っている発光部の発光が発光パターンに従っているか否かを判定し、かつ、撮影データから生成された顔データと登録済みの顔画像とが同一人物の顔であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の生体情報測定システムでは、被測定者による生体情報測定装置への呼気の吹込み前に発光結果判別処理及び顔認識処理を実行し、その後の吹込みの継続中にも発光結果判別処理及び顔認識処理を実行することが開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の生体情報測定システムでは、被測定者が吹込口に息を吹込んだことを検知した場合にカメラによる再撮影を実施するので、最初の顔認識のためのカメラ撮影と吹込み継続中のカメラ撮影との間に、カメラ撮影が行われない期間が生じる。すなわち、このカメラ撮影が行われない期間に被測定者のすり替わりやその他の不正行為が行われてもそれを判断することができない。
【0008】
このように、カメラによる被測定者の顔の撮影タイミングが適切でないと、被測定者による不正行為を防止できない可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、生体情報の測定を行う被測定者による不正行為を防止できる認証システム、認証方法、及び認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の認証システムは、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムであって、前記情報処理装置は、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う顔認証手段を備え、前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証の成功を条件として、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する。
【0011】
本構成によれば、生体情報測定装置による測定の開始前に被測定者の顔認証を行い、被測定者の顔認証の成功を条件として被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する。すなわち、被測定者の顔認証が成功した場合に、被測定者による生体情報の測定が開始され、かつ測定時における被測定者の顔が連続して撮像される。これにより、本構成は、生体情報を測定する被測定者による不正行為を防止できる。
【0012】
上記の認証システムにおいて、前記顔認証手段は、前記生体情報測定装置の電源がオンとされる前に前記顔認証を行い、前記撮像装置は、前記顔認証が成功した後に前記生体情報測定装置の電源がオンとされたことをトリガーとして前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する。
【0013】
本構成によれば、被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を、生体情報の測定を開始する適切なタイミングで取得できる。
【0014】
上記の認証システムにおいて、前記撮像装置は、前記生体情報測定装置による測定の終了後、前記測定の対象である被測定物の取得開始又は前記被測定物の取得終了の何れかのタイミングで、連続した撮像を終了する。
【0015】
本構成によれば、生体情報測定装置による測定の終了までにおける生体情報の測定を行う被測定者による不正行為を防止できる。
【0016】
上記の認証システムにおいて、前記撮像装置は、前記生体情報測定装置に表示されている前記生体情報の測定値を撮像した画像情報を取得する。
【0017】
本構成によれば、生体情報の測定値を画像情報として保存できる。
【0018】
上記の認証システムにおいて、前記生体情報測定装置は、識別情報を表示する表示手段を備え、前記撮像装置は、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像し、前記情報処理装置は、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を前記顔認証手段で行う。
【0019】
本構成によれば、識別情報及び被測定者の顔に基づいた2つの認証を行うので、生体情報の測定を行う被測定者による不正行為を防止できる。なお、識別情報は例えばQRコード(登録商標)のような二次元コードで表示手段に表示される。
【0020】
上記の認証システムにおいて、前記撮像装置は、前記識別情報に基づいた認証及び前記被測定者の顔に基づいた認証の成功を条件として、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する。
【0021】
本構成によれば、識別情報及び被測定者の顔に基づいた2つの認証を行うので、生体情報の測定を行う被測定者による不正行為を防止できる。
【0022】
上記の認証システムにおいて、前記情報処理装置は、前記生体情報測定装置による測定毎に前記識別情報を生成し、前記生体情報測定装置は、前記情報処理装置で生成された前記識別情報に基づいて、前記表示手段に前記識別情報を表示させる。
【0023】
本構成によれば、被測定者は識別情報を測定前に知ることができないため、識別情報に対する不正を防止できる。
【0024】
上記の認証システムにおいて、前記識別情報に基づいた認証は、前記生体情報測定装置による測定の開始前、前記生体情報測定装置による測定中、及び前記生体情報測定装置による測定の終了後の少なくとも何れか一つのタイミングで行われる。
【0025】
本構成によれば、生体情報を測定する被測定者による不正行為をより確実に防止できる。
【0026】
上記の認証システムにおいて、前記生体情報測定装置は、前記生体情報測定装置による測定の終了後に測定結果の情報を含む前記識別情報を前記表示手段に表示し、前記撮像装置は、前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像した画像情報を取得する。
【0027】
本構成によれば、生体情報測定装置を用いた生体情報の測定結果を撮像手段によって取得された画像情報によっても確認できる。
【0028】
上記の認証システムにおいて、前記被測定者の生体情報は、前記被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度である。
【0029】
本構成によれば、アルコール検知を行う被測定者本人による測定であることをより簡易な構成で判定できる。
【0030】
上記の認証システムにおいて、前記顔認証手段は、連続して撮像された複数の前記画像情報に基づいて前記顔認証を行う。
【0031】
本構成によれば、複数の画像情報を用いて顔認証を行うので、生体情報を測定する被測定者による不正行為をより確実に防止できる。
【0032】
上記の認証システムにおいて、前記顔認証手段は、前記画像情報と予め登録されている前記被測定者の顔を示す登録画像情報とで、前記被測定者の顔認証を行う。
【0033】
本構成によれば、予め登録されている登録画像情報を用いて顔認証を行うので、生体情報を測定する被測定者による不正行為をより確実に防止できる。
【0034】
上記の認証システムにおいて、予め定められた時間帯に前記被測定者の前記生体情報を測定する。
【0035】
本構成によれば、被測定者の生体情報を目的の時間帯に合わせて測定できる。
【0036】
上記の認証システムにおいて、前記被測定者は、航空機の乗務員であり、前記予め定められた時間帯は、前記乗務員が乗務する前記航空機の運航時間帯の前及び後の少なくとも一方の所定時間帯である。
【0037】
本構成によれば、航空機の乗務員の生体情報を航空機の運航時間に合わせて測定できる。
【0038】
本発明の一態様の認証システムは、使用するために認証を必要とする被使用装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムであって、前記被使用装置は、識別情報を表示する表示手段を備え、前記撮像装置は、前記被使用装置の使用者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像し、前記情報処理装置は、前記撮像装置により撮像された前記識別情報及び前記使用者の顔に基づいた認証を行う。
【0039】
本構成によれば、識別情報及び使用者の顔に基づいた2つの認証を行うので、被使用装置を使用する使用者による不正行為を防止できる。
【0040】
本発明の一態様の認証方法は、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証方法であって、前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、前記撮像装置が、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証の成功を条件として、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、を有する。
【0041】
本発明の一態様の認証方法は、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証方法であって、前記生体情報測定装置が、識別情報を表示手段に表示する第1工程と、前記撮像装置が、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像する第2工程と、前記情報処理装置が、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を顔認証手段で行う第3工程と、を有する。
【0042】
本発明の一態様の認証プログラムは、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証プログラムであって、コンピュータに、前記情報処理装置が、前記撮像装置によって撮像された前記被測定者の顔を示す画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う第1工程と、前記撮像装置が、前記生体情報測定装置による測定の開始前における前記顔認証の成功を条件として、前記被測定者の顔を連続して撮像した画像情報を取得する第2工程と、を実行させる。
【0043】
本発明の一態様の認証プログラムは、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備するシステムの認証プログラムであって、ンピュータに、前記生体情報測定装置が、識別情報を表示手段に表示する第1工程と、前記撮像装置が、前記被測定者の顔と共に前記表示手段に表示された前記識別情報を撮像する第2工程と、前記情報処理装置が、前記撮像装置により撮像された前記識別情報に基づいた認証を識別情報認証手段で行い、前記撮像装置により撮像された前記被測定者の顔に基づいた認証を顔認証手段で行う第3工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、生体情報の測定を行う被測定者による不正行為を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態のアルコール検知システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態のアルコール検知時間帯を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態のアルコール検知システムの概略構成図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の変形例のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施形態のアルコール検知システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0047】
(第1実施形態)
本実施形態では認証システムを一例として、アルコール検知システムとする。すなわち、本実施形態では、生体情報を被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度とし、生体情報測定装置をアルコール検知装置とする。また、本実施形態では被測定者を一例として、航空機の乗務員である操縦士や客室乗務員とする。航空機は例えば旅客機や貨物機等であるが、これに限らず、ビジネスジェット等、他の航空機であってもよい。
【0048】
図1は、本実施形態のアルコール検知システム10の概略構成図である。アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16を備える。なお、本実施形態では一例として、被測定者は各々がアルコール検知装置12及びタブレット端末14を所有するが、これに限らず、複数の被測定者が一つのアルコール検知装置12を共有してもよいし、複数の被測定者が一つのタブレット端末14を共有してもよい。
【0049】
アルコール検知装置12は、被測定者の呼気からアルコール濃度を測定(以下「アルコール検知」ともいう。)する装置であり、マウスピース20、表示部22及び操作部24を備える。マウスピース20の両端には、吹込口及び排気口がそれぞれ形成され、被測定者が吹込口をくわえて息を吹き込むと、マウスピース20内に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度が測定され、吹き込まれた息は排気口から排出される。
【0050】
表示部22は、被測定者が吹き込んだ息に含まれるアルコール濃度の測定結果(以下「アルコール測定値」という。)等を表示する。操作部24は被測定者によって操作され、アルコール検知装置12の電源のオン又はオフを行うための電源ボタン、アルコール検知を開始するための測定開始ボタン、各種設定の変更等を行うための設定ボタン等が含まれる。
【0051】
タブレット端末14は、可搬型の情報処理装置であり、プログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、インターネットやイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ、画像を表示すると共にタブレット端末14に対する操作を受け付けるタッチパネルディスプレイ30、被写体を撮像するカメラ32、及びタブレット端末14に対する操作を受け付ける操作部34を備える。
【0052】
本実施形態のタブレット端末14は、航空機の乗務員である被測定者が所持するものであり、例えば、当該乗務員が乗務する航空機のフライトスケジュールが記憶され、乗務員の勤務管理にも用いられる。なお、詳細を後述するように、被測定者はフライトスケジュールに基づいてアルコール検知を行う。
【0053】
タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値等を受信する。また、カメラ32は、被測定者がアルコール検知装置12によってアルコール検知を行う際に、被測定者の顔及び表示部22が画角36に含まれるように撮像し、撮像画像をタッチパネルディスプレイ30に表示する。
【0054】
そして、タブレット端末14は、アルコール測定値やカメラ32による撮像で取得した画像情報(以下「カメラ画像情報」という。)を認証サーバ16へ送信する。また、タブレット端末14は、カメラ画像情報に基づいた被測定者の認証結果を受信し、タッチパネルディスプレイ30に表示する。
【0055】
なお、タブレット端末14には、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知処理を行うためのアプリケーションソフト(以下「アルコール検知アプリ」という。)がインストールされている。被測定者は、アルコール検知を行う際に、タブレット端末14でアルコール検知アプリを起動させ、アルコール検知アプリが示す手順に従ってアルコール検知を行い、アルコール検知の結果に基づく乗務の可否を判定する。また、アルコール検知アプリは、アルコール検知の手順だけでなく、認証サーバ16から受信した認証結果等をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0056】
認証サーバ16は、プログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、インターネットやイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ等を備える情報処理装置である。本実施形態の認証サーバ16は、被測定者の本人確認等、各種情報処理を行うものであり、詳細を後述するように本人確認に必要とする各情報を予め記憶し、アルコール検知装置12による測定結果(アルコール測定値)等を被測定者に関連付けて逐次記憶する。
【0057】
また、認証サーバ16は、例えば、乗務員やフライトスケジュール等を管理する上位の情報処理装置(以下「管理サーバ」という。)や、乗務員の管理担当者が用いる情報処理装置(以下「管理端末」という。)等に接続される。これにより、認証サーバ16は、アルコール検知に基づいた情報を管理サーバへ送信したり、詳細を後述するアルコール検知処理の結果、具体的には認証に失敗した場合や不正を検知した場合に、予め定められたメールアドレスに当該内容を送信する。管理担当者は、管理端末でこのメールを確認すると、該当する乗務員への対応を行う。
【0058】
本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12とタブレット端末14とにおける情報の送受信を、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル38を用いた有線通信により行うが、これに限らず、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により情報の送受信を行ってもよい。また、タブレット端末14と認証サーバ16とは、例えばWiFi等による無線通信を介したインターネットやイントラネットにより情報の送受信を行う。
【0059】
ここで、本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知を被測定者本人が行っていることを判定する本人確認を行う。すなわち、本実施形態のアルコール検知システム10は、被測定者本人以外の他者が被測定者になりすましてアルコール検知を不正に行うことを防止するものである。
【0060】
そこで、本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知の開始前にカメラ32によって撮像された被測定者の顔を示すカメラ画像情報に基づいて、認証サーバ16が被測定者の顔認証を行う。そして、アルコール検知の開始前における顔認証の成功を条件として、被測定者の顔を連続して撮像したカメラ画像情報をカメラ32が取得する。
【0061】
このように、本実施形態のアルコール検知システム10は、被測定者の顔認証が成功した場合に、被測定者によるアルコール検知を開始し、かつ測定時における被測定者の顔をカメラ32が連続して撮像する。これにより、最初の顔認証が成功した後に引き続きカメラ32による撮像(カメラ画像情報の取得)が継続して行われることになるので、顔認証成功後における被測定者のすり替わりやその他の不正行為が行い難い。従って、本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知を行う被測定者による不正行為を防止できる。なお、本実施形態では、顔認証の成功をトリガーとしてカメラ32が被測定者の顔の連続した撮像を開始する。
【0062】
また、ここで言うトリガーとは、顔認証の成功を起点としてカメラ32による連続した撮像(以下「連写」という。)を開始するという意味であり、アルコール検知システム10は、顔認証の成功から略時間遅れなく連写を開始するだけでなく、顔認証の成功という条件を満たしていれば、例えば、顔認証が成功した後から所定時間経過後に連写を開始してもよい。なお、アルコール検知システム10は、顔認証の前に予め定められた他の条件を満たしたか否かの判定を行い、当該条件を満たした後に顔認証が成功したことをトリガーとして連写を開始してもよい。
【0063】
また、例えば、顔認証とアルコール検知とが同時に行われるシステムでは、顔認証に失敗すると再度アルコール検知と顔認証とを同時に行う必要があり、時間的な効率が悪く、かつ被測定者も手間を要する。一方、本実施形態のアルコール検知システム10のように、顔認証が成功した後にアルコール検知を行うことにより、顔認証が失敗しても再度顔認証のみ行えばよいため、顔認証の失敗による時間的な効率が悪くなることや、被測定者の手間を低減できる。
【0064】
図2は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理に関する機能ブロック図である。本実施形態において、
図2に示される各機能は一例としてアルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるコンピュータによって実行される。なお、これに限らず、各機能は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0065】
アルコール検知装置12は、操作制御部40、アルコール濃度測定部42、画像表示制御部44、記憶部48、及びデータ送受信部50を備える。
【0066】
操作制御部40は、被測定者による操作部24に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知装置12のオン、オフ等やアルコール検知の開始を指示する。
【0067】
アルコール濃度測定部42は、操作部24に含まれる測定開始ボタンが操作された後に、マウスピース20から吹き込まれた息に含まれるアルコール濃度を測定し、アルコール測定値として出力する。
【0068】
画像表示制御部44は、表示部22にアルコール測定値を表示させる等、表示部22の表示状態を制御する。
【0069】
記憶部48は、アルコール検知装置12の製造時ID、アルコール検知装置12の設定状態等を記憶する。なお、製造時IDは、アルコール検知装置12の製造時に設定されるIDである。
【0070】
データ送受信部50は、タブレット端末14やその他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行う。なお、本実施形態のデータ送受信部50は、アルコール測定値、及び製造時ID等をタブレット端末14へ送信する。
【0071】
タブレット端末14は、操作制御部60、カメラ制御部62、画像表示制御部64、記憶部66、データ送受信部68、及び運航時間帯判定部70を備える。
【0072】
操作制御部60は、被測定者によるタッチパネルディスプレイ30や操作部34に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知アプリの実行等を行う。
【0073】
カメラ制御部62は、被測定者による操作に応じてカメラ32を制御する。
【0074】
画像表示制御部64は、タッチパネルディスプレイ30に対する画像表示を制御する。
【0075】
記憶部66は、アルコール検知アプリやカメラ画像情報、タブレット端末14を所有する被測定者のフライトスケジュール等を記憶する。なお、フライトスケジュールは、他の情報処理装置から送信され、随時自動的に更新される。
【0076】
データ送受信部68は、アルコール検知装置12や認証サーバ16、その他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行う。なお、本実施形態のデータ送受信部68は、アルコール検知装置12からアルコール測定値を受信し、これらの情報をカメラ画像情報と共に認証サーバ16へ送信する。また、データ送受信部68は、認証サーバ16からの認証結果等を受信する。
【0077】
運航時間帯判定部70は、記憶部66に記憶されているフライトスケジュールに基づいて、アルコール検知を行う時間帯を判定する。すなわち、本実施形態のアルコール検知システム10は、予め定められた時間帯に被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。これにより、アルコール検知システム10は、被測定者のアルコール濃度を目的の時間帯、本実施形態では航空機の乗務前後に合わせて測定できる。
【0078】
図3は、本実施形態のアルコール検知時間帯を示す模式図である。
図3に示される運航時間帯は、被測定者が乗務する航空機の運航時間である。本実施形態のアルコール検知では、被測定者はこの運航時間帯の前後の所定時間帯内でアルコール検知を行う。
【0079】
図3の例では、時刻Taから運航開始時刻Tfsの間と、運航終了時刻Tfeから時刻Tbまでの間がアルコール検知時間帯とされる。なお、運航開始時刻Tfsと時刻Taとの間隔、運航終了時刻Tfeと時刻Tbとの間隔は任意に決定されるものであり、例えば
1時間である。また、被測定者は、自身が乗務する航空機の運航時間帯の前及び後の少なくとも一方の時間帯にアルコール検知を行うと定められてもよく、例えば客室乗務員は運航時間帯の前後にアルコール検知を行うと定められる一方、操縦士は運航時間帯の前にのみアルコール検知を行うと定められてもよい。また、国際便等、運航時間が長くなる場合には、運航時間帯内における所定時間帯でアルコール検知を行うと定められてもよい。
【0080】
認証サーバ16は、データ送受信部80、記憶部82、顔認証部84、及び乗務可否判定部86を備える。
【0081】
データ送受信部80は、タブレット端末14から送信されたアルコール測定値及びカメラ画像情報等を受信し、認証結果等をタブレット端末14へ送信する。
【0082】
記憶部82は、被測定者リストと装置リストを記憶する。被測定者リストは、被測定者の氏名や所属先等の各種登録情報が被測定者の顔を示す画像情報(以下「登録顔画像情報」という。)と共に被登録者毎に登録されたものである。製造時IDリストは、アルコール検知システム10で用いられるアルコール検知装置12の製造時IDを登録したものである。なお、被測定者が用いるアルコール検知装置12は、予め決められてもよく、その場合には、被測定者リストに被測定者が使用するアルコール検知装置12の製造時IDも登録される。
【0083】
また、記憶部82は、タブレット端末14から送信されたアルコール測定値、カメラ画像情報等を被測定者毎に記憶に記憶する。
【0084】
本実施形態の顔認証部84は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報に基づいて、被測定者の顔認証を行う。本実施形態の顔認証部84は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報と被測定者リストに予め登録されている登録顔画像情報とで、被測定者の顔認証を行う。なお、顔認証部84は、カメラ画像情報から被測定者の顔を抽出し、顔画像情報を取得する機能も有する。
【0085】
乗務可否判定部86は、アルコール測定値と予め定められた基準値とに基づいて、被測定者のアルコール摂取状態を判定し、これに基づいて被測定者の乗務可否を判定する。すなわち、アルコール測定値が基準値を超えている場合には、当該被測定者は乗務禁止とされる。なお、乗務可否判定部86は、タブレット端末14に備えられてもよい。
【0086】
図4は、本実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
図4に示すアルコール検知処理は、タブレット端末14にインストールされているアルコール検知アプリを起動させることで開始される。
【0087】
まず、タブレット端末14のカメラ制御部62が被測定者の顔の撮像を行うようにカメラ32を制御し、カメラ画像情報を取得する(ステップS101)。なお、このときカメラ32による撮像画像はタブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30に表示され、被測定者は自身の顔がカメラ32の画角36に含まれるように、自身の位置を調整する。また、ここでいうカメラ画像情報の取得とは、カメラ32による撮像画像をタブレット端末14が備える不揮発性の記憶装置(一例として記憶部66)に記憶をさせることをいう。取得されたカメラ画像情報は、認証サーバ16に送信される。
【0088】
そして、認証サーバ16の顔認証部84による顔認証が、認証サーバ16に送信されたカメラ画像情報に基づいて行われる(ステップS102)。本実施形態の顔認証は、一例として、被測定者の顔を示す顔画像情報と被測定者リストに登録されている登録顔画像情報とで、被測定者の顔認証が行われる。アルコール検知処理は、顔認証が成功した場合にログインが行われたとしてステップS103へ移行する一方、顔認証が失敗した場合にはタブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30に認証失敗を示す画像を表示させる。
【0089】
なお、アルコール検知アプリ(タブレット端末14)は、ステップS102における顔認証の成功によって被測定者がアルコール検知を開始することを認識できる。
【0090】
次に、顔認証の成功を条件として、被測定者の顔を連続して撮像(連写)したカメラ画像情報を取得するように、タブレット端末14のカメラ制御部62がカメラ32を制御する(ステップS103)。このときもカメラ32による撮像画像はタブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30に表示され、被測定者は自身の顔がカメラ32の画角36に含まれるように、自身の位置を調整する。
【0091】
本実施形態の連写は、一例として500msec毎に静止画像をカメラ32が取得し、取得した全ての静止画像は不揮発性の記憶装置(記憶部66)に記憶される。
【0092】
また、ステップS102の顔認証が成功すると、タブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30にアルコール検知装置12の電源をオンとすることを促す画像が表示される。この画像を視認した被測定者は、アルコール検知装置12の電源ボタンを押圧することでアルコール検知装置12の電源をオンとする(ステップS104)。
【0093】
アルコール検知装置12は、電源がオンとされると、タブレット端末14に対して接続要求を送信する。タブレット端末14は接続要求を受信すると、その応答として接続許可をアルコール検知装置12へ送信する(ステップS105)。アルコール検知装置12が接続許可を受信することで、アルコール検知装置12とタブレット端末14との接続が確立される。
【0094】
次に、タブレット端末14は、タッチパネルディスプレイ30に吹きかけ待ち画像を表示させる(ステップS106)。吹きかけ待ち画像は、被測定者に対してアルコール検知装置12に対する息の吹きかけを促す画像であり、例えば、アルコール検知装置12のウォーミングの時間と同じ所定時間(例えば5秒)のカウントダウンを伴って表示される。
【0095】
カウントダウンが完了すると、アルコール検知装置12からウォーミングの完了を示すウォーミング完了信号がタブレット端末14に送信され、被測定者による息の吹きかけが開始されると吹きかけを開始したことを示す吹きかけ開始信号がタブレット端末14へ送信される(ステップS107)。
【0096】
タブレット端末14は、吹きかけ開始信号を受信すると、タッチパネルディスプレイ30に吹きかけ中画像を表示させる(ステップS108)。吹きかけ中画像は、被測定者にアルコール検知を実行中であることを認識させる画像である。
【0097】
被測定者による所定時間の息の吹きかけが完了すると、アルコール検知装置12のソレノイドバルブが作動して装置内部へ所定量の呼気がポンプによって引き込まれ、当該呼気をアルコール濃度測定部42が解析することによりアルコール測定値を算出する(ステップS109)。また、アルコール検知装置12は、息の吹きかけの完了を示す吹きかけ完了信号をタブレット端末14に送信する。
【0098】
タブレット端末14は、吹きかけ完了信号を受信すると、タッチパネルディスプレイ30に吹きかけ完了画像を表示させる(ステップS110)。吹きかけ完了画像は、被測定者にアルコール濃度の解析中であることを認識させる画像である。
【0099】
また、タブレット端末14は、吹きかけ完了信号を受信すると、連写を終了するようにカメラ制御部62がカメラ32を制御する。なお、連写により取得した複数のカメラ画像情報は、認証サーバ16へ送信される。連写により取得された複数のカメラ画像情報を認証サーバ16が受信すると、顔認証部84は、連写された複数のカメラ画像情報に基づいて顔認証を行う(ステップS111)。顔認証の判定結果は、タブレット端末14に送信される。なお、連写により取得された複数のカメラ画像情報の全てが顔認証に用いられなくてもよく、少なくとも一つのカメラ画像情報が顔認証の対象として選択されてもよい。
【0100】
このように、本実施形態のアルコール検知処理は、複数のカメラ画像情報を用いて顔認証を行うので、アルコール検知を行う被測定者による不正行為をより確実に防止できる。また、カメラ32は、アルコール検知の終了後に連写を終了するので、アルコール検知の終了までにおける被測定者による不正行為を防止できる。なお、アルコール検知の終了後とは、換言すると、アルコール濃度の解析の終了後である。
【0101】
また、カメラ32による連写の終了は、アルコール検知の終了後だけでなく、測定の対象である被測定物の取得開始又は被測定物の取得終了の何れかのタイミングでもよい。本実施形態の被測定物とは、被測定者の呼気である。すなわち、被測定者がアルコール検知装置12に対する呼気の吹きかけの開始又は呼気の吹きかけの終了のタイミングで、カメラ32による連写が終了してもよい。なお、呼気の吹きかけ開始は、例えば、アルコール検知装置12の圧力センサが圧力変動を検知した場合であり、呼気の吹きかけの終了は、例えば、アルコール検知装置12のソレノイドバルブが作動した場合である。
【0102】
また、ステップS111における顔認証は連写の終了後に行われるのではなく、連写中にカメラ画像情報が認証サーバ16へ逐次送信され、連写の終了前に顔認証が行われてもよい。さらに、顔認証は、顔画像情報と登録顔画像情報との比較によるものではなく、連写により取得された複数のカメラ画像情報同士を比較し、複数のカメラ画像情報に含まれる顔画像情報が同一人物であるか否かを判定することで行われてもよい。
【0103】
本実実施形態のアルコール検知処理は、一例として、ステップS108で表示される吹きかけ中画像とステップS110で表示される吹きかけ完了画像との表示中、すなわち被測定者がアルコール検知装置12の息を吹きかけてから吹きかけが完了するまでに取得されたカメラ画像情報同士を比較することで同一人物であるか否かの顔認証は行わない。この理由は、息の吹きかけ中に被測定者が入れ替わることは想定し難いためである。また、カメラ画像情報同士の比較による顔認証を行わない他の理由は、一旦、被測定者による吹きかけを検知(圧力センサが圧力変動を検知)した後に、吹きかけ完了までに吹きかけが検知されなくなった場合には、エラーとなるためである。すなわち、息の吹きかけ中に被測定者が入れ替わろうとすると、吹きかけが検知されなくなりエラーとなり、これによっても不正を検出できる。なお、これに限らず、被測定者がアルコール検知装置12に息を吹きかけてから吹きかけが完了するまでに取得されたカメラ画像情報同士を比較することで顔認証を行ってもよい。
【0104】
そして、アルコール検知装置12は、呼気に含まれるアルコール濃度の解析が完了すると、解析結果であるアルコール測定値を表示部22に表示すると共に、タブレット端末14へアルコール測定値(測定結果)を送信する(ステップS112)。タブレット端末14がアルコール測定値を受信すると、カメラ32は、アルコール検知装置12の表示部22に表示されているアルコール測定値を撮像したカメラ画像情報を取得する(ステップS113)。
【0105】
このように、本実施形態のカメラ32は、アルコール検知装置12に表示されているアルコール測定値を撮像したカメラ画像情報を取得するので、アルコール測定値を画像情報として保存できる。
【0106】
なお、本実施形態に係るアルコール検知処理は、一例として、ステップS113による撮像で取得したカメラ画像情報に基づいた顔認証は行わずに、アルコール検知結果の証拠として認証サーバ16に記憶させるが、これに限らず、ステップS113で取得したカメラ画像情報に基づいて顔認証が行われてもよい。
【0107】
また、タブレット端末14は、顔認証の結果とアルコール測定値をタッチパネルディスプレイ30に表示させ、アルコール検知の結果として被測定者に認識させる(ステップS114)。このとき、タブレット端末14は、運航時間帯判定部70及び認証サーバ16の乗務可否判定部86による判定結果もタッチパネルディスプレイ30に表示する。そして、タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値、ステップS113で取得したアルコール測定値を含むカメラ画像情報、及びステップS103による連写で取得したカメラ画像情報、その他判定結果等を認証サーバ16へ送信する(ステップS115)。
【0108】
認証サーバ16は、ステップS115でタブレット端末14が送信した各種情報を受信すると、被測定者を示す識別情報に関連付けて、これらを記憶(保存)する(ステップS116)。以上により、本実施形態のアルコール検知処理は終了する。
【0109】
なお、本実施形態に係るアルコール検知処理は、顔認証の成功を条件としてカメラ32が連写を開始するが、これに限らず、連写開始の条件として顔認証の成功と共に他の条件が含まれてもよい。すなわち、カメラ32の連写は、顔認証が成功した後であって、被測定者がアルコール検知装置12によるアルコール測定を開始する前のタイミングで開始されればよい。
【0110】
例えば、アルコール検知処理は、アルコール検知装置12の電源がオンとされる前に顔認証部84が顔認証を行い(ステップS102)、顔認証が成功した後にアルコール検知装置12の電源がオン(ステップS104)とされたことをトリガーとしてカメラ32が連写を行ってもよい。すなわち、この形態の場合、顔認証の成功とアルコール検知装置12の電源オンが連写開始の条件となるので、アルコール検知装置12からタブレット端末14に接続要求(ステップS105)が行われた後に、ステップS103の連写が行われる。
【0111】
この形態によれば、被測定者の顔を連続して撮像したカメラ画像情報を、アルコール測定を開始する適切なタイミングで取得できる。すなわち、アルコール検知装置12の電源がオンとされる前は、被測定者が未だアルコール検知の準備が整っていない状態である。このため、このような状態において連写を行って取得したカメラ画像情報を顔認証に用いたとしても、被測定者の本人確認としては適切とはいえないために、アルコール検知装置12の電源がオンとされた後に連写が行われてもよい。
【0112】
また、他の実施形態としてアルコール検知処理は、ステップS102における顔認証の成功後、アルコール検知装置12の電源がオンとされ、更に所定時間(例えば5秒)のカウントダウンが完了した場合に、カメラ32の連写を開始してもよい。すなわち、この形態の場合、顔認証の成功、アルコール検知装置12の電源オン、及びカウントダウンの終了が連写開始の条件となる。なお、カウントダウンは、被測定者がアルコール検知装置12の吹きかけ開始の準備を整えるために要する時間であり、予め設定されている。
【0113】
また、他の実施形態としてアルコール検知処理は、複数の角度から見たアルコール検知装置12が、連写される写真に収まるようにしてもよい。例えば、連写が開始された後、呼気を吹きかける前に、被測定者に対して、アルコール検知装置12の複数の面をカメラ32に向けるように、音声又は画像を用いて案内してもよい。このようにすることによって、アルコール検知装置12に不正な仕掛けを施してアルコール測定を行うことによる不正を防止できる。なお、複数の角度から見たアルコール検知装置12を連写される写真に収めるタイミングは、これに限らず、呼気吹きかけ中、または呼気吹きかけ後であってもよい。
【0114】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0115】
図5は、本実施形態のアルコール検知システム10の概略構成図である。なお、
図5における
図1と同一の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0116】
本実施形態のアルコール検知装置12は、識別情報(以下「表示ID」という。)を表示部22に表示する。なお、本実施形態のアルコール検知装置12は、表示部22に測定値表示領域22AとID表示領域22Bを有し、測定値表示領域22Aにアルコール測定値を表示し、ID表示領域22Bに表示IDを表示する。
【0117】
本実施形態の表示IDは、詳細を後述するように、タブレット端末14から送信され、一例として、QRコード等の2次元コードとしてID表示領域22Bに表示される。
【0118】
このように、本実施形態のアルコール検知装置12は、表示IDを表示部22に表示する。そして、カメラ32は、被測定者の顔と共に表示部22に表示された表示IDを撮像し、認証サーバ16は、カメラ32により撮像された表示IDに基づいた認証及び被測定者の顔に基づいた認証を行う。このように、本実施形態のアルコール検知システム10は、表示ID及び被測定者の顔に基づいた2つの認証を行うので、アルコール検知を行う被測定者による不正行為をより確実に防止できる。
【0119】
図6は、本実施形態のアルコール検知システム10の機能ブロック図である。なお、
図6における
図3と同一の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0120】
タブレット端末14は、ID生成部72及びID認証部74を備える。
【0121】
ID生成部72は、アルコール検知装置12の表示部22に表示させるIDを生成し、生成したID(以下「生成ID」という。)をQRコードに変換し、データ送受信部68を介してアルコール検知装置12に送信する。
【0122】
なお、ID生成部72によって生成された生成IDは、認証に用いるために記憶部66に記憶される。本実施形態のID生成部72は、一例として、ランダムに生成される情報を生成IDとする。ランダムに生成される情報は、一例とし所定桁数の乱数であるが、乱数には数字や文字、記号等が含まれてもよい。
【0123】
また、タブレット端末14の表示部22に表示される表示IDをQRコードとすることによって、生成IDを数値等のままで表示する場合に比べて、より多くの情報量を表示IDに与えられる。なお、表示IDをQRコードとすることは一例であり、表示IDはQRコード以外の2次元コードとして表示されてもよいし、バーコード等の一次元コードとして表示されてもよい。また、表示IDは、1次元コードや2次元コードに変換されることなく、タブレット端末14から送信される生成IDそのものとされてもよい。
【0124】
なお、本実施形態のID生成部72は、アルコール検知装置12によるアルコール検知毎に新たなIDを生成する。すなわち、本実施形態の表示IDは、いわゆるワンタイムパスワードである。そして、アルコール検知装置12は、タブレット端末14で生成された生成ID(QRコード)に基づいて、表示部22に表示ID(QRコード)を表示させる。これにより、被測定者は生成IDをアルコール検知前に知ることができないため、生成IDに対する不正を防止できる。
【0125】
また、ID生成部72は、IDを生成するだけに限らず、例えば、アルコール検知装置12の記憶部48に予め記憶された複数のIDのうち何れか一つをアルコール検知毎に選択してアルコール検知装置12へ送信してもよい。
【0126】
ID認証部74は、カメラ32から撮像したカメラ画像情報から表示IDを抽出し、表示IDに基づいた認証を行う。なお、本実施形態では、アルコール検知装置12に表示されている表示IDはQRコードであるため、ID認証部74はQRコードを解析することで表示IDを読み取る。そしてID認証部74は、記憶部66に記憶されている生成IDと抽出した表示IDとが一致するか否かを判定し、一致する場合に認証成功とする一方、一致しない場合に認証失敗とする。なお、以下の説明では、ID認証部74における判定をQRコード認証ともいう。
【0127】
図7は、本実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
図7に示すアルコール検知処理は、タブレット端末14にインストールされているアルコール検知アプリを起動させることで開始される。
【0128】
まず、被測定者は、アルコール検知装置12の電源ボタンを押圧することでアルコール検知装置12の電源をオンとする(ステップS201)。
【0129】
アルコール検知装置12は、電源がオンとされると、タブレット端末14に対して接続要求を送信する。タブレット端末14は接続要求を受信すると、ID生成部72がQRコードを生成する(ステップS202)。そして、タブレット端末14は、QRコードと共に接続許可をアルコール検知装置12へ送信する。すなわち、ステップS202で生成されるQRコードは、ログイン用のIDである。なお、QRコードは、タブレット端末14がアルコール検知装置12からの接続要求を受信した場合に生成される形態に限られず、例えば、タブレット端末14でアルコール検知アプリが起動すると共に生成されてもよい。
【0130】
アルコール検知装置12は、QRコードを受信すると、表示部22に表示IDとしてQRコードを表示する(ステップS203)。このように、アルコール検知装置12は、アルコール検知毎にタブレット端末14で生成されたQRコードに基づいて、表示部22に表示IDを表示させる。これにより、被測定者は表示IDをアルコール検知前に知ることができないため、表示IDに対する不正が防止される。
【0131】
次にタブレット端末14は、被測定者の顔及び表示部22に表示されているQRコードの撮像を行うようにカメラ制御部62がカメラ32を制御し、カメラ画像情報を取得する(ステップS204)。なお、このときカメラ32による撮像画像はタブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30に表示され、被測定者は自身の顔及びQRコードがカメラ32の画角36に含まれるように、自身の位置を調整する。
【0132】
次にタブレット端末14は、ID認証部74がカメラ画像情報から表示IDを抽出して、記憶部66に記憶している生成IDと比較することでQRコード認証を行う(ステップS205)。QRコード認証が成功するとタブレット端末14は、カメラ画像情報を認証サーバ16に送信する(ステップS206)。一方、QRコード認証が失敗した場合、タブレット端末14はタッチパネルディスプレイ30に認証失敗を示す画像を表示させる。
【0133】
そして、認証サーバ16の顔認証部84による顔認証が、認証サーバ16に送信されたカメラ画像情報に基づいて行われる(ステップS207)。アルコール検知処理は、顔認証が成功した場合にステップS208へ移行する。一方、顔認証が失敗した場合、タブレット端末14はタッチパネルディスプレイ30に認証失敗を示す画像を表示させる。
【0134】
なお、ステップS204では、一枚のカメラ画像情報に対して顔認証及びQR認証の両方を行わなくてもよい。例えば、ステップS204においてカメラ32が複数のカメラ画像情報を取得し、そのうちの一つのカメラ画像情報を選択してQR認証のみを行い、他のカメラ画像情報を選択して顔認証のみを行ってもよい。この理由は、カメラ画像情報の撮像状態(焦点の適否や撮像範囲)によっては、QR認証又は顔認証の実行が適切でない画像が存在する可能性が生じるためである。すなわち、本実施形態のアルコール検知処理は、連写されるカメラ画像情報群として顔認証及びQR認証ができればよい。
【0135】
次に、顔認証が成功したことをトリガーとして、被測定者の顔を連続して撮像したカメラ画像情報を取得するように、カメラ制御部62がカメラ32を制御する(ステップS208)。
【0136】
また、QRコード認証が成功するとタブレット端末14は、タッチパネルディスプレイ30に吹きかけ待ち画像を表示させる(ステップS209)。被測定者による息の吹きかけが行われ(ステップS210)、息の吹きかけが所定時間行われるとアルコール検知装置12のソレノイドバルブが作動して、アルコール濃度測定部42に呼気が送り込まれる(ステップS211)。また、アルコール検知装置12は、息の吹きかけの完了を示す吹きかけ完了信号をタブレット端末14に送信する。
【0137】
タブレット端末14は、吹きかけ完了信号を受信すると、タッチパネルディスプレイ30に吹きかけ完了画像を表示させる(ステップS212)。また、タブレット端末14は、吹きかけ完了信号を受信すると、連写を終了するようにカメラ制御部62がカメラ32を制御する。なお、連写により取得した複数のカメラ画像情報は、認証サーバ16へ送信される。
【0138】
さらに、タブレット端末14は、吹きかけ完了信号を受信すると、連写により取得した複数のカメラ画像情報からQRコードを抽出し、QRコード認証を行う(ステップS213)。なお、ステップS213で行われるQRコード認証は、連写により取得した複数のカメラ画像情報から一つ又は複数のカメラ画像情報をランダムに選択してQRコード認証を行う。
【0139】
このように、本実施形態のアルコール検知処理は、QRコード認証をアルコール検知の開始前及びアルコール検知の終了後に行うので、アルコール検知を行う被測定者による不正行為をより確実に防止できる。なお、QRコード認証は、アルコール検知の開始前及びアルコール検知の終了後の何れか一方で行われてもよい。
【0140】
ステップS213のQRコード認証が成功すると、タブレット端末14は連写により取得した複数のカメラ画像情報を認証サーバ16に送信する(ステップS214)。
【0141】
連写により取得された複数のカメラ画像情報を認証サーバ16が受信すると、顔認証部84は、連写された複数のカメラ画像情報に基づいて顔認証を行う(ステップS215)。顔認証の判定結果は、タブレット端末14に送信される。
【0142】
一方、ステップS209でソレノイドバルブが作動したことにより、アルコール濃度測定部42が送り込まれた呼気を解析することによりアルコール測定値を算出する(ステップS216)。
【0143】
そして、アルコール検知装置12は、呼気に含まれるアルコール濃度の解析が完了すると、解析結果であるアルコール測定値を表示部22に表示すると共に、タブレット端末14へアルコール測定値を送信する(ステップS217)。タブレット端末14は、アルコール測定値(測定結果)を受信すると、アルコール検知装置12の表示部22に表示されているアルコール測定値を被測定者の顔と共にカメラ32で撮像する(ステップS218)。
【0144】
なお、本実施形態に係るアルコール検知処理は、一例として、ステップS218による撮像で取得したカメラ画像情報に基づいた顔認証は行わずに、アルコール検知結果の証拠として認証サーバ16に記憶させるが、これに限らず、ステップS218で取得したカメラ画像情報に基づいて顔認証を行ってもよい。
【0145】
また、タブレット端末14は、顔認証の結果とアルコール測定値をタッチパネルディスプレイ30に表示させ、アルコール検知の結果として被測定者に認識させる(ステップS219)。このとき、タブレット端末14は、運航時間帯判定部70及び認証サーバ16の乗務可否判定部86による判定結果もタッチパネルディスプレイ30に表示する。そして、タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値、ステップS218で取得したアルコール測定値を含むカメラ画像情報、及びステップS208による連写で取得したカメラ画像情報、その他判定結果等を認証サーバ16へ送信する(ステップS220)。
【0146】
認証サーバ16は、ステップS220でタブレット端末14が送信した各種情報を受信すると、被測定者を示す識別情報に関連付けて、これらを記憶(保存)する(ステップS221)。以上により、本実施形態のアルコール検知処理は終了する。
【0147】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のアルコール検知装置12は、アルコール検知の終了後に測定結果の情報を含むQRコードを表示部22に表示し、カメラ32は、表示部22に表示されたQRコードを撮像したカメラ画像情報を取得する。これにより、アルコール検知の測定結果をカメラ32で取得されたカメラ画像情報によっても確認可能となる。
【0148】
図8は、本実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
図8に示すアルコール検知処理のステップS301からステップS317は、
図7に示すアルコール検知処理のステップS201からステップS217と同じであるため、その説明を省略する。また、
図7に示すアルコール検知処理と同様の処理は一部説明を省略する。
【0149】
ステップS317において、アルコール検知装置12によるアルコール濃度の解析が完了すると、解析結果であるアルコール測定値がアルコール検知装置12の表示部22に表示されると共に、タブレット端末14へアルコール測定値(測定結果)が送信される。
【0150】
アルコール測定値をタブレット端末14が受信すると、タブレット端末14は、ステップS302で生成したログイン用のID(生成ID)と測定結果の情報とを含むQRコードを新たに生成する(ステップS318)。そして、タブレット端末14は、生成したQRコードをアルコール検知装置12へ送信する。
【0151】
ステップS318で生成されるQRコードには、ログイン時のIDと測定結果の他に、アルコール検知を行った被測定者の氏名、アルコール検知を行った日時、アルコール検知を行ったアルコール検知装置12の製造時ID、運航時間帯判定部70及び乗務可否判定部86による判定結果等の他の情報が含まれてもよい。
【0152】
アルコール検知装置12は、QRコードを受信すると、表示部22に当該QRコードを表示する(ステップS319)。そして、タブレット端末14は、アルコール検知装置12の表示部22に表示されているQRコードを被測定者の顔と共にカメラ32で撮像する(ステップS320)。
【0153】
なお、本実施形態に係るアルコール検知処理は、一例として、ステップS320による撮像で取得したカメラ画像情報に基づいた顔認証は行わずに、アルコール検知結果の証拠として認証サーバ16に記憶させるが、これに限らず、ステップS320で取得したカメラ画像情報に基づいて顔認証を行ってもよい。
【0154】
また、タブレット端末14は、顔認証の結果とアルコール測定値をタッチパネルディスプレイ30に表示させ、アルコール検知の結果として被測定者に認識させる(ステップS321)。このとき、タブレット端末14は、運航時間帯判定部70及び認証サーバ16の乗務可否判定部86による判定結果もタッチパネルディスプレイ30に表示する。そして、タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値、ステップS320で取得したQRコードを含むカメラ画像情報、及びステップS308による連写で取得したカメラ画像情報、その他判定結果等を認証サーバ16へ送信する(ステップS322)。
【0155】
認証サーバ16は、ステップS322でタブレット端末14が送信した各種情報を受信すると、被測定者を示す識別情報に関連付けて、これらを記憶(保存)する(ステップS323)。以上により、本実施形態のアルコール検知処理は終了する。
【0156】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態の構成及びフローチャートは、適宜組み合わされて実施されてもよい。
【0157】
例えば、上記実施形態では被測定者の生体情報として呼気に含まれるアルコール濃度を検知する形態について説明したが、本実施形態はこれに限られず、例えば、被測定者の呼気から検知可能な生体情報であれば、他の生体情報であってもよい。また、生体情報は被測定者の呼気から検知されるものに限らず、例えば、血液や唾液、組織の一部等、被験者の検体から検知可能な生体情報であってもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、連写を連続した静止画像の撮像としたが、本実施形態はこれに限られず、連写を動画像の撮像としてもよい。この形態の場合、取得した動画像から任意の時間の画像を抽出して被測定者の顔認証やQRコード認証が行われる。また、カメラ32によるカメラ画像情報の取得の形態は、タブレット端末14の記憶部66に記憶された後に認証サーバ16に送信されるだけに限らず、例えば、カメラ32で撮像された画像がタブレット端末14に記憶されることなく、認証サーバ16に直接送信され、認証サーバ16の記憶部82に記憶されてもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、タブレット端末14がQRコードの生成及び認証を行う形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば、QRコードの生成はアルコール検知装置12又は認証サーバ16が行ってもよく、QRコードの認証は認証サーバ16が行ってもよい。
【0160】
また、上記第2実施形態及び第3実施形態では、QRコード認証が成功した後に顔認証を行い、顔認証が成功したことをトリガーとしてカメラ32による連写が行われる形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。変形例として、例えば、顔認証が成功した後にQRコード認証を行い、QRコード認証が成功したことをトリガーとしてカメラ32による連写が行われてもよい。
【0161】
図9は、本変形例のアルコール検知処理のフローチャートである。
図9に示すアルコール検知処理のステップS410からステップS423は、
図7に示すアルコール検知処理のステップS208からステップS221と同じであるため、その説明を省略する。また、
図7に示すアルコール検知処理と同様の処理は一部説明を省略する。
【0162】
まず、タブレット端末14のカメラ制御部62が被測定者の顔の撮像を行うようにカメラ32を制御してカメラ画像情報を取得し(ステップS401)、タブレット端末14はこのカメラ画像情報を認証サーバ16に送信する(ステップS402)。
【0163】
そして、認証サーバ16の顔認証部84による顔認証が、認証サーバ16に送信されたカメラ画像情報に基づいて行われる(ステップS403)。顔認証が成功した場合、タブレット端末14は顔認証の成功を示す信号(以下「顔認証成功信号」という。)を認証サーバ16から受信する(ステップS404)。
【0164】
次に、被測定者は、アルコール検知装置12の電源ボタンを押圧することでアルコール検知装置12の電源をオンとする(ステップS405)。なお、これに限らず、ステップS404の顔認証が成功した場合に、タブレット端末14からアルコール検知装置12へ起動信号が送信され、アルコール検知装置12がこの起動信号を受信することでアルコール検知装置12が起動してもよい。なお、起動信号を受信する前のアルコール検知装置12の状態は、電源がオンとされているものの、例えば信号の受信機能以外の機能が停止している所謂スリープ状態となっている。
【0165】
アルコール検知装置12は、電源がオンとされると、タブレット端末14に対して接続要求を送信する。タブレット端末14は、認証サーバ16からの顔認証成功信号とアルコール検知装置12からの接続要求を受信すると、ID生成部72がQRコードを生成する(ステップS406)。そして、タブレット端末14は、QRコードと共に接続許可をアルコール検知装置12へ送信する。
【0166】
アルコール検知装置12は、QRコードを受信すると、表示部22に表示IDとしてQRコードを表示する(ステップS407)。次にタブレット端末14は、被測定者の顔及び表示部22に表示されているQRコードの撮像を行うようにカメラ制御部62がカメラ32を制御し、カメラ画像情報を取得する(ステップS408)。
【0167】
次にタブレット端末14は、ID認証部74がカメラ画像情報から表示IDを抽出して、記憶部66に記憶している生成IDと比較することでQRコード認証を行う(ステップS409)。QRコード認証が成功するとタブレット端末14は、ステップS410のカメラ32による連写を開始し、ステップS411の吹きかけ待ち画像の表示を行う。
【0168】
このように、本変形例のアルコール検知システム10は、表示ID及び被測定者の顔に基づいた2つの認証を行うので、アルコール検知を行う被測定者による不正行為をより確実に防止できる。
【0169】
また、上記実施形態では、アルコール検知システム10がアルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16を備える形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば、
図10に示すように、アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12、カメラ装置100、及び情報処理装置102によって構成されてもよい。
【0170】
そして、情報処理装置102は、ディスプレイ104を備え、カメラ装置100が接続される。すなわち、
図10の例では、情報処理装置102が上記実施形態で説明したタブレット端末14と認証サーバ16との機能を備える。なお、
図10の例では、アルコール検知装置12と情報処理装置102とは、無線通信によりデータの送受信を行う。
【0171】
また、上記実施形態では、被測定者を航空機の乗務員とする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。被測定者は、バス、タクシー、トラック、及びバイク等の事業用自動車や船舶、鉄道の乗務員であってもよい。また、被測定者は、航空機や車両の乗務員に限らず、病院、工場、店舗、オフィス等で勤務する就業者や経営者であってもよい。
【0172】
さらに、上記実施形態では、識別情報(QRコード)による認証と顔認証とを必要とする装置をアルコール検知装置12としたが、認証を必要とする装置はこれに限られず、他の使用するために認証を必要とする被使用装置であれば他の装置であってもよい。すなわち、本実施形態の認証方法は、被使用装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する認証システムに適用され得る。
【0173】
より具体的には、被使用装置が識別情報を表示する表示手段を備え、カメラが被使用装置の使用者の顔と共に表示手段に表示された識別情報を撮像し、情報処理装置がカメラにより撮像された識別情報及び使用者の顔に基づいた認証を行う。そして、2つの認証が成功した場合、使用者は被使用装置へのログインが成功したことになり、被使用装置を使用可能となる。この認証システムによれば、識別情報及び被測定者の顔に基づいた2つの認証を行うので、被使用装置を使用する使用者による不正行為を防止できる。
【符号の説明】
【0174】
10 アルコール検知システム(認証システム)
12 アルコール検知装置(生体情報測定装置)
14 タブレット端末(情報処理装置)
16 認証サーバ(情報処理装置)
22 表示部(表示手段)
32 カメラ(撮像装置)
72 ID認証部(識別情報認証手段)
86 顔認証部(顔認証手段)