IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィッシャー−ローズマウント システムズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7578261プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体
<>
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図1
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図2
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図3
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図4
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図5
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図6
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図7
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図8
  • 特許-プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】プロセス制御システムアラームを選別する方法、プロセス制御システムアラームを選別する装置、及び有形コンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020143923
(22)【出願日】2020-08-27
(62)【分割の表示】P 2015196874の分割
【原出願日】2015-10-02
(65)【公開番号】P2020201981
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】14/505,755
(32)【優先日】2014-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム オーディーン、 ヴァン キャンプ
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-26064(JP,A)
【文献】特開2003-5830(JP,A)
【文献】特開2003-177818(JP,A)
【文献】特開2007-323396(JP,A)
【文献】特開2006-252145(JP,A)
【文献】特開2013-165491(JP,A)
【文献】特開2009-70331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ役割のそれぞれに関連するアラームの発信源タイプとアラーム目的とに基づいて、プロセス制御アラームを複数のサブセットに選別する方法であって、
プロセス制御システムのネットワークに接続されたネットワーク接続デバイスから、複数のプロセス制御アラームを受信し、
プロセッサを用いて、前記プロセス制御システムにおける前記プロセス制御アラームの第一サブセットを前記プロセス制御アラームの第一アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第二サブセットを前記プロセス制御アラームの第二アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第三サブセットを前記プロセス制御アラームの第一発信源タイプに割当て、
前記プロセス制御アラームに対応付けられたユーザ役割データ構造を、ユーザ役割データベースに記憶する、
ことを含み、
前記第一アラーム目的はユーザ役割の第一サブセットに対応付けられており、前記第二アラーム目的は前記ユーザ役割の第二サブセットに対応付けられており、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、前記ユーザ役割の前記第一サブセットは前記ユーザ役割の前記第二サブセットと異なり、
前記第一発信源タイプは前記ユーザ役割の第三サブセットに対応付けられ、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットと異なり、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、
前記ユーザ役割データ構造は表示されるアラーム情報を含み、前記ユーザ役割データ構造は、前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットの前記第一アラーム目的、前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットの前記第二アラーム目的、および前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプを特定し、
前記ユーザ役割の前記第一サブセットは安全、健康および環境(SHE)技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは、安全リスク、環境リスク、安全問題および環境問題の少なくとも1つを示すアラーム情報を含み、
前記ユーザ役割の前記第二サブセットは、品質管理技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットは、製品品質目的を含み、
前記ユーザ役割の前記第三サブセットは、回転機器信頼性技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは、回転機器の性能に関連するアラームを含む、
方法。
【請求項2】
前記第一アラーム目的及び前記第二アラーム目的は、前記プロセス制御アラームの該当する第一サブセットまたは第二サブセットにユーザが対応することで達成される利益のタイプに該当する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一アラーム目的及び前記第二アラーム目的はそれぞれ、機器保護、環境保護、製品品質、プロセス効率または安全のうち異なる一つに該当する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一アラーム目的にしたがって前記プロセス制御アラームを選別し、
前記選別に応じて、前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットを除外するように、表示される前記アラーム情報を更新することを更に含む、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス制御アラームの第四サブセットを前記第一発信源タイプと異なる第二発信源タイプに割当て、前記第二発信源タイプは前記ユーザ役割の第四サブセットに対応付けられており、前記アラーム情報は、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプと、前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットの前記第二発信源タイプを特定することをさらに含む、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一発信源タイプ及び前記第二発信源タイプは、前記プロセス制御アラームの該当する第サブセットまたは第サブセットが発生するアセットまたは状況の少なくとも一つの異なるカテゴリに該当する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第一発信源タイプ及び前記第二発信源タイプはそれぞれ、前記プロセス制御システムの計装機器、制御システム機器、回転機器、電気機器、プロセスハードウェア、またはプロセス条件のうち異なる一つに該当する、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一発信源タイプにしたがって前記プロセス制御アラームを選別し、
前記選別に応じて前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットを除外して、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットを表示するように、表示される前記アラーム情報を更新することを更に含む、請求項6~請求項7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
複数のユーザ役割のそれぞれに関連するアラームの発信源タイプとアラーム目的とに基づいて、プロセス制御アラームを複数のサブセットに選別する装置であって、
プロセス制御システムのネットワークに接続されたネットワーク接続デバイスから、複数のプロセス制御アラームを受信し、
プロセッサを用いて、前記プロセス制御システムにおける前記プロセス制御アラームの第一サブセットを前記プロセス制御アラームの第一アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第二サブセットを前記プロセス
制御アラームの第二アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第三サブセットを前記プロセス制御アラームの第一発信源タイプに割当て、
前記プロセス制御アラームに対応付けられたユーザ役割データ構造を、ユーザ役割データベースに記憶する、
アラームカテゴライザを備え、
前記第一アラーム目的はユーザ役割の第一サブセットに対応付けられており、前記第二アラーム目的は前記ユーザ役割の第二サブセットに対応付けられており、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、前記ユーザ役割の前記第一サブセットは前記ユーザ役割の前記第二サブセットと異なり、
前記第一発信源タイプは前記ユーザ役割の第三サブセットに対応付けられ、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットと異なり、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、
前記ユーザ役割データ構造は表示されるアラーム情報を含み、前記ユーザ役割データ構造は、前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットの前記第一アラーム目的、前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットの前記第二アラーム目的、および前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプを特定し、
前記ユーザ役割の前記第一サブセットは安全、健康および環境(SHE)技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは、安全リスク、環境リスク、安全問題および環境問題の少なくとも1つを示すアラーム情報を含み、
前記ユーザ役割の前記第二サブセットは、品質管理技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットは、製品品質目的を含み、
前記ユーザ役割の前記第三サブセットは、回転機器信頼性技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは、回転機器の性能に関連するアラームを含む、
装置。
【請求項10】
前記アラームカテゴライザは、
前記プロセス制御アラームの第四サブセットを前記第一発信源タイプと異なる第二発信源タイプに割当て、前記第二発信源タイプは前記ユーザ役割の第四サブセットに対応付けられており、前記アラーム情報は、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプと、前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットの前記第二発信源タイプを特定する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第一発信源タイプ及び前記第二発信源タイプはそれぞれ、前記プロセス制御システムの計装機器、制御システム機器、回転機器、電気機器、プロセスハードウェア、またはプロセス条件のうち異なる一つに該当する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第一発信源タイプにしたがって前記プロセス制御アラームを選別するアラームフィルタと、
前記選別に応じて、前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットを除外して、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットを表示するように、表示される前記アラーム情報を更新するアラーム描画アプリケーションと、
を更に備える、請求項10または請求項11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第一アラーム目的にしたがって前記プロセス制御アラームを選別するアラームフィルタと、
表示される前記アラーム情報を更新するアラーム描画アプリケーションであって、前記アラーム情報は、前記選別に応じて、前記プロセス制御アラームの第二サブセットを除外することを特徴とする前記アラーム描画アプリケーションと、
を更に含む、請求項9~請求項12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
命令を備える有形コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が実行されるとマシンは、
プロセス制御システムのネットワークに接続されたネットワーク接続デバイスから、複数のプロセス制御アラームを受信し、
プロセッサを用いて、前記プロセス制御システムにおける前記プロセス制御アラームの第一サブセットを前記プロセス制御アラームの第一アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第二サブセットを前記プロセス制御アラームの第二アラーム目的に割当て、
前記プロセッサを用いて、前記プロセス制御アラームの第三サブセットを前記プロセス制御アラームの第一発信源タイプに割当て、
前記プロセス制御アラームに対応付けられたユーザ役割データ構造を、ユーザ役割データベースに記憶する、
ことを行い、
前記第一アラーム目的はユーザ役割の第一サブセットに対応付けられており、前記第二アラーム目的は前記ユーザ役割の第二サブセットに対応付けられており、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、前記ユーザ役割の前記第一サブセットは前記ユーザ役割の前記第二サブセットと異なり、
前記第一発信源タイプは前記ユーザ役割の第三サブセットに対応付けられ、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットと異なり、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットと異なり、
前記ユーザ役割データ構造は表示されるアラーム情報を含み、前記ユーザ役割データ構造は、前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットの前記第一アラーム目的、前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットの前記第二アラーム目的、および前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプを特定し、
前記ユーザ役割の前記第一サブセットは安全、健康および環境(SHE)技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第一サブセットは、安全リスク、環境リスク、安全問題および環境問題の少なくとも1つを示すアラーム情報を含み、
前記ユーザ役割の前記第二サブセットは、品質管理技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第二サブセットは、製品品質目的を含み、
前記ユーザ役割の前記第三サブセットは、回転機器信頼性技術者を含み、
前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットは、回転機器の性能に関連するアラームを含む、
有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記命令が、更に前記マシンに、
前記プロセス制御アラームの第四サブセットを前記第一発信源タイプと異なる第二発信源タイプに割当て、前記第二発信源タイプは前記ユーザ役割の第四サブセットに対応付けられており、前記アラーム情報は、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットの前記第一発信源タイプと、前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットの前記第二発信源タイプを特定するようにさせる、請求項14に記載の有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記命令が、更に前記マシンに、
前記第一発信源タイプによって前記プロセス制御アラームを選別し、
前記選別に応じて前記プロセス制御アラームの前記第四サブセットを除外して、前記プロセス制御アラームの前記第三サブセットを表示するように、表示される前記アラーム情報を更新するようにさせる、請求項15に記載の有形コンピュータ可読憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してプロセス制御システム、特にアラーム発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいてプロセス制御システムのアラームを選別する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、石油等に関わる工程で使用されるプロセス制御システムは、一般的に一以上のフィールドデバイスにアナログ、デジタル、またはアナログデジタル合同バスを経由して通信可能に接続された一以上のプロセスコントローラを備える。例えばバルブ、バルブボジショナ、スイッチ及び送信器(例えば、温度、圧力及び流量センサ)といったフィールドデバイスは、バルブの開閉やプロセス制御パラメータの測定といったプロセスにおいてプロセス制御機能を実行する。プロセスコントローラはフィールドデバイスによるプロセス測定の指示信号を受信し、そして受信した情報を処理し、制御ルーチンの実施、他のプロセス制御の決定、プロセス制御システムアラームの発生のための制御信号を生成する。またプロセス制御情報は、その後の分析及び/またはトレーニングのために長期経歴として頻繁に記録されてもよい。
【0003】
フィールドデバイス及び/またはコントローラからの情報は通常、データハイウェイまたは通信網を介して、オペレータワークステーション、パーソナルコンピュータ、データヒストリアン、レポートジェネレータ、中央データベース等の一以上の他のハードウェアデバイスによって利用可能である。一般的にこれらのデバイスは、制御室及び/または厳しい工場環境から離れた場所に設置される。例えばこれらのハードウェアデバイスがアプリケーションを実行することで、プロセスの現在の状態の確認、作動状態の変更、プロセス制御ルーチンの設定変更、プロセスコントローラ及び/またはフィールドデバイスの作動修正、フィールドデバイス及び/またはプロセスコントローラが発したアラームの確認、トレーニング用のプロセス操作シミュレーション、及び/またはプロセス評価など、プロセス制御システムに関わる様々な機能をオペレータは実行可能となる。
【0004】
これらのハードウェアデバイスは一般的に、制御システム及び/または制御システム内のデバイスの作動状態の関連情報を表示する一以上のオペレータインターフェイス表示を含む。例示的表示は、プロセス制御システム内のコントローラまたはデバイスによるアラームを受信及び/または表示するアラーム表示の形をとり、プロセス制御システム内のコントローラ及び他のデバイスの作動状態を示す表示の制御などを行う。
【0005】
プロセス制御システムにおいて、可能性のある問題をプロセス制御システムのオペレータに通知するように数千のアラームをプロセス制御システム内において定義するのが一般的である。例えば人及び/または機器を保護し、周辺事故を防ぎ、及び/または製造中の製品品質を確保するために、アラームが定義される。一般的に各アラームは、問題が起こった時または起こりそうな時を定義し及び/または当該アラームを発する一以上の設定(例えば、アラーム限界)により、そして他のアラームに対する当該アラームの重要性を定義する優先度(例えば、緊急または警告)により、定義される。
【発明の概要】
【0006】
アラーム発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいてプロセス制御システムのアラームを選別する方法、装置、システム、及び製品が開示される。一実施例において、方法はプロセス制御システムのプロセス制御アラームの第一サブセットを、プロセス制御アラームの第一発信源タイプに割当てることを含む。第一発信源タイプはユーザ役割の第一サブセットに対応付けられる。例示的方法はまた、プロセス制御アラームの第二サブセットを、プロセス制御アラームの第二発信源タイプに割当てることを含む。第二発信源タイプはユーザ役割の第二サブセットに対応付けられる。プロセス制御アラームの第一サブセットは、プロセス制御アラームの第二サブセットと異なる。ユーザ役割の第一サブセットは、ユーザ役割の第二サブセットと異なる。例示的方法は更にプロセス制御アラームに対応付けられたアラーム情報を表示することを含む。アラーム情報は、プロセス制御アラームの第一サブセットの第一発信源タイプと、プロセス制御アラームの第二サブセットの第二発信源タイプを特定する。
【0007】
他の実施例において、装置は、プロセス制御システムのプロセス制御アラームの第一サブセットを、プロセス制御アラームの第一発信源タイプに割当てるアラームカテゴライザを備える。第一発信源タイプはユーザ役割の第一サブセットに対応付けられる。アラームカテゴライザはまた、プロセス制御アラームの第二サブセットを、プロセス制御アラームの第二発信源タイプに割当てる。第二発信源タイプはユーザ役割の第二サブセットに対応付けられる。プロセス制御アラームの第一サブセットは、プロセス制御アラームの第二サブセットと異なる。ユーザ役割の第一サブセットは、ユーザ役割の第二サブセットと異なる。例示的装置はまたプロセス制御アラームに対応付けられたアラーム情報を表示するディスプレイを備える。アラーム情報は、プロセス制御アラームの第一サブセットの第一発信源タイプと、プロセス制御アラームの第二サブセットの第二発信源タイプを特定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的プロセス制御システムの概略図を示す。
図2図1の例示的オペレータステーションの例示的実装様式を示す。
図3図2の例示的発信源タイプデータベースに対応付けられた発信源タイプデータ構造を示す。
図4図2の例示的アラーム目的データベースに対応付けられた例示的アラーム目的データ構造を示す。
図5図2の例示的ユーザ役割データベースに対応付けられた例示的ユーザ役割データ構造を示す。
図6図2の例示的アラーム描画アプリケーションによって生成されるアラーム表示を設定する例示的アラーム設定ダイアログを示す。
図7図2の例示的アラーム描画アプリケーションによって生成される例示的アラーム表示を示す。
図8図1及び/または図2の例示的オペレータステーションの例示的実行プロセスの代表的フローチャートを示す。
図9図8の例示的プロセスを実行するために、及び/またより一般的には、図1及び/または図2の例示的オペレータステーションを実行するために使用及び/またはプログラムされる例示的プロセッサプラットフォームの概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
プロセス制御システムのオペレータにプロセス制御システムにおける可能性のある問題及び/または異常を気づかせる主要な手段の一つとして、アラーム表示がある。典型的なアラーム表示は、現行アラームの一覧リストを含む。表形式により各アラームはアラームリストの一行として、制御システムの状態をオペレータに知らせる特定データとともに表示される。アラーム表示で提供される情報には、例えばアラームの説明、アラームを引き起こしたプロセス変数の名前またはタグ、アラームに対応付けられたプロセス変数の測定値、閾値設定またはアラーム限界(例えば、アラームが発せられた時のプロセス変数の値)、アラーム起動時間、アラームの発信源または位置(例えば、アラームに対応付けられたエリア、ユニット、モジュール)、アラーム優先度及び/または緊急度、アラーム状態(例えば、確認済または未確認、現行または非現行)、アラームタイプ(例えば、高、低等)が含まれる。アラーム表示はプロセスコントローラ及び/またはフィールドデバイスから情報を受信すると、実質的にリアルタイムにしばしば更新され、オペレータが全ての現行のアラームに関する現状情報にアクセスできるようになっている。いくつかの状況においてアラームは、オペレータがアラームに対して適切な対応を行いやすいように、そのアラームが示す異常状態の確認及び/または修正の指示を含んでもよい。
【0010】
多種多様な職員が、処理工場または他のプロセス制御システムの操作を伴う様々な異なる役割を持つ。多様な職員の中でも、一般に制御室のオペレータ及び/または保守技術者の役割を果たす個人に対して、アラームは生成及び/または発信される。しかしながら、他にもアラームデータへのアクセスを同様に希望している個人がいる場合が多々ある。このような個人はプロセス制御アラームを監視及び/また対応するオペレータ及び/または技術者と同じ責務及び/または役割を持っていないため、個人に関連するアラームは、全アラームのうち特定サブセットに限られる。例えばある個人は専門スキル及び/または技術を持ち、自分の特殊技術に対応付けられたアラームに対してのみオペレータ及び/または技術者が対応するのを手伝う(例えば、ポンプ動作に対応付けられたアラームに対処する回転機器の専門技術者)。他の個人はプロセス制御システムの日常的な運転に付随する職務を持ち、あるアラームだけが関連する(例えば、安全、健康、環境(SHE)技術者は、安全及び/または環境に関するリスク及び/または問題を示すアラーム情報のみ要望するであろう)。明確化のため、制御システムオペレータ及び/または保守技術者を本明細書において一次アラームユーザと称する。その役割及び/または責務に基づいて特定のアラームサブセットに関わる他の個人を、本明細書において二次アラームユーザと称する。
【0011】
多くの二次アラームユーザはあるアラームサブセットに関わりを持ち及び/または対処する権利を持っているが、業界で使用されている現在のアラーム分類学または分類法ではこれらのアラームサブセットを適切に特定し、二次アラームユーザの特定の役割に関連しない他のアラームを除外することは不可能である。多くの既知のプロセス制御システムにおいてアラーム分類学は特に、何が問題なのか、いつどこで検知され異常が起こったのか、そしてどの程度問題は深刻で緊急なのかを含む、プロセス制御システムにおける問題の状態を定義するのに利用される。このような情報は一次アラームユーザが自分の責務を果たすために必要な情報ではあるが、非常に専門的な二次アラームユーザに関わるアラームサブセットを特定するには不十分である。その結果、二次アラームユーザは一般に全てのアラームを厳密に調べ、自分の特定のニーズ、役割、及び/または責務に関わるアラームを特定しなくてはならず、無駄な時間と費用を費やしている。
【0012】
本明細書にて開示される実施例は、アラームを異なる二次アラームユーザの役割に対応付けられた異なるグループまたはクラスに容易に分ける新しい分類学に基づいてアラームを分類することで、現在のプロセス制御システムのこれらの欠陥を克服する。特にいくつかの実施例において、プロセス制御システムの各アラームは、当該アラームが発生したアセットまたは発信源のタイプまたは概括的なカテゴリに相当する発信源タイプに指定され、または割当てられる。すなわち各アラームは、当該アラームを発生させた機器または状況の性質(例えば、タイプ)によって分類される。いくつかのこのような実施例において、各アラームが割当てられる異なる種類の発信源には、計装機器発信源、制御システム機器発信源、回転機器発信源、電気機器発信源、プロセスハードウェア発信源や、プロセス条件発信源が含まれる。いくつかのアラームは一以上の上記の発信源タイプに対応付けられる可能性もありえるが、いくつかの実施例においての異なる発信源タイプは互いに重複がなく、そして全体として漏れがない状態である(例えば一つ一つのアラームは一つだけの発信源タイプに対応付けられる)。の異なるタイプの発信源は、プロセス制御システムを伴ってアラームデータにアクセスする異なる職員の役割(例えば、一次アラームユーザ及び/または二次アラームユーザ)に対応付けられる。例えば、電気機器発信源タイプに割当てられたアラームは電気技術者に対応付けられるため、電気機器発信源の現行アラームは電気技術者を対象として特定され、一方で電気技術者と関係ない他のアラームは除外される。
【0013】
或いはまたは更にいくつかの実施例において、プロセス制御システムの各アラームは、当該アラームの目的または理由を示す特定の機能部類に指定され、または割当てられる。すなわち各アラームは、当該アラームが存在するまたは作成された包括的な論理的根拠(例えば、目的)によって分類される。例えば、いくつかのアラームは健康及び/または安全上の問題の可能性に対する警告として作成され、一方で他のアラームはプロセス制御システムの効率の改善(例えば、最適化)目的で作成される。言い換えれば、本明細書で記載されるアラームの機能分類は、アラームに対応することによって達成される利益、目標、及び/または成果(または相応の回避すべき結果)の概括的なタイプを示すのに利用される。いくつかのこのような実施例において、各アラームが割当てられる異なるアラーム目的には、機器保護目的、環境保護目的、製品品質目的、プロセス効率目的や、安全目的が含まれる。いくつかのアラームは一以上の上記のアラーム目的に対応付けられる可能性もありうるが、いくつかの実施例においての異なるアラーム目的は互いに重複がなく、そして全体として漏れがない状態である(例えば一つ一つのアラームは一つだけの目的に対応付けられる)。の異なるアラーム目的は、プロセス制御システムを伴ってアラームデータにアクセスする異なる職員の役割(例えば、一次アラームユーザ及び/または二次アラームユーザ)に対応付けられる。例えば、製品品質目的のアラームは品質管理技術者に対応付けられるため、製品品質目的の現行アラームは品質管理技術者を対象として特定され、一方で品質管理技術者と関係ない他のアラームは除外される。
【0014】
前述のアラーム分類学を使うことで、特定の職務及び/または専門スキルや技術を持つ役割の個人(例えば、二次アラームユーザ)は、自分の特定のニーズ、専門技術、及び/または専門分野に無関係な情報を厳密に調べることなく、自身の関連アラーム情報により簡単にアクセスできる。その結果、このような二次アラームユーザが所望の情報を取得するのに費やす時間(従って費用)は大幅に削減される。更に二次アラームユーザはリアルタイムでアラーム情報にアクセスできるのと同時に、しばしばそれらの情報の経歴がアーカイブされた後、その情報を見直せる。本明細書に記載される教示に従ってこのようなアラームデータの選別処理を有効にすることで、関連情報を検索するのに使われるメモリ容量及び/または処理パワーを大幅に削減できる。更に尚、本明細書で開示されるように関連アラームデータを特定し無関係なデータを除外することで、このようなデータを要求する特定の個人に対しデータを送信するための帯域要件はより低くて済む。
【0015】
図1は例示的プロセス制御システム100の概略図を示す。図1の例示的プロセス制御システム100は、一以上のプロセスコントローラ(そのうちの一つが参照番号102で示される)、一以上のオペレータステーション(そのうちの一つが参照番号104で示される)、及び一以上のワークステーション(そのうちの一つが参照番号106で示される)を備える。例示的プロセスコントローラ102、例示的オペレータステーション104、及び例示的ワークステーション106は、バス及び/またはアプリケーションコントロールネットワーク(ACN)と一般的に呼ばれるローカルエリアネットワーク(LAN)108を介して、通信可能に接続されている。
【0016】
図1の例示的オペレータステーション104により、オペレータ、技術者、及び/または他の工場職員は一以上のオペレータ表示画面及び/またはアプリケーションを調べ及び/または操作でき、これによりユーザはプロセス制御システムの変数を調べ、プロセス制御システムの状態を調べ、プロセス制御システムの条件を調べ、プロセス制御システムのアラームを調べ、及び/またはプロセス制御システムの設定(例えば、設定点、作動状態、はっきりとしたアラーム、無音アラーム等)を変更する。図1の例示的オペレータステーション104の例示的実装様式は、図2と関連して後述する。例示的オペレータステーション104を実装するのに使用される例示的データ構造は、図3~5と関連して後述する。
【0017】
例示的オペレータステーション104は、プロセス制御システムにおける現行アラームに対応付けられるアラーム表示(例えば、図7の例示的アラームリスト700)を描画するアラーム描画インターフェイスを備え及び/または実装する。更に図示例においてオペレータステーション104は、アラーム表示に表れるアラーム情報にアクセスするユーザの特定された役割に基づいてプロセス制御アラームの選別を行うアラームフィルタを備え及び/または実装する。いくつかの実施例において、アラームフィルタは、ユーザの特定された役割に対応する各アラームに割当てられた発信源タイプ及び/または機能部類によって、プロセス制御アラームを選別する。例えばユーザ役割が計装技術者に該当すると特定された場合、アラームフィルタは計装機器発信源タイプに対応付けられたアラーム以外の全アラームを除外しうる。すなわちこのような実施例において、アラーム表示は計装機器から発せられるプロセス制御アラームを表示し、その他の全てのプロセス制御アラームは除外するように更新される。このようにユーザ(例えば計装技術者)は自分の役割に関連のある全てのアラームを素早く調べることができる。
【0018】
図1の例示的ワークステーション106は、一以上の情報技術アプリケーション、ユーザ対話型アプリケーション、及び/または通信アプリケーションを実行するアプリケーションステーションとして構成される。例えばアプリケーションステーション106は主にプロセス制御関連アプリケーションを実行するように構成され、一方で他のアプリケーションステーション(図示せず)は、主にプロセス制御システム100が任意の所望の通信媒体(例えば、無線、ハードワイヤード等)及びプロトコル(例えば、HTTP、SOAP等)を使用する他のデバイスまたはシステムと通信可能な通信アプリケーションを実行するように構成される。図1の例示的オペレータステーション104及び例示的ワークステーション106は、一以上のワークステーション及び/または他の好適なコンピュータシステム及び/または処理システムを使って実装される。例えばオペレータステーション104及び/またはワークステーション106は、単一プロセッサのパーソナルコンピュータ、単一または複数プロセッサのワークステーション等を使って実装されうる。
【0019】
図1の例示的LAN108は任意の所望の通信媒体及びプロトコルを使って実装される。例えば例示的LAN108はハードワイヤード及び/または無線イーサネット通信方式に基づいてもよい。しかしながら他の好適な通信媒体及び/またはプロトコルも使用可能である。更に図1において単一のLAN108が例示されているが、図1の例示的システム間の冗長通信経路を提供するために、一以上のLAN及び/または他の代替的通信ハードウェアが使用される。
【0020】
図1の例示的コントローラ102はデジタルデータバス116及び入出力(I/O)ゲートウェイ118を介して、複数のスマートフィールドデバイス110、112、114に接続されている。スマートフィールドデバイス110、112、114はフィールドバス対応バルブ、アクチュエータ、センサ等でありえ、その場合スマートフィールドデバイス110、112、114は周知のファンデーションフィールドバスプロトコルを使用するデジタルデータバス116を介して通信する。勿論他のタイプのスマートフィールドデバイス及び通信プロトコルを代わりに使用することも可能である。例えばスマートフィールドデバイス110、112、114は代わりに、周知のプロフィバス(Profibus)及びハート(HART)通信プロトコルを使用するデータバス116を介して通信するプロフィバス(Profibus)及び/またはハート(HART)対応デバイスでもありえる。追加のI/Oデバイス(I/Oゲートウェイ118と同様及び/または同一)はコントローラ102と接続されることで、ファンデーションフィールドバスデバイス、ハート(HART)デバイス等のスマートフィールドデバイスの追加グループがコントローラ102と通信可能となる。
【0021】
例示的スマートフィールドデバイス110、112、114に加えて、一以上の非スマートフィールドデバイス120、122が例示的コントローラ102と通信可能に接続される。図1の例示的非スマートフィールドデバイス120、122は、例えばそれぞれのハードワイヤードリンクを介してコントローラ102と通信する従来の4~20ミリアンペア(mA)または0~24ボルト直流(VDC)デバイスであってもよい。
【0022】
図1の例示的コントローラ102は例えば、フィッシャ・ロズマウントシステム(Fisher-Rosemount Systems,Inc.)、エマーソンプロセスマネジメントカンパニー(Emerson Process Management company)が販売するデルタV(DeltaV(商標))コントローラであってもよい。しかしながら任意の他のコントローラも代わりに使用可能である。更に、図1において一つのコントローラ102のみが示されているが、追加のコントローラ及び/または任意の所望のタイプ及び/またはタイプの組合せのプロセス制御プラットフォームを、LAN108とつなぐことが可能である。いずれにせよ例示的コントローラ102は、システムエンジニア及び/または他のシステムオペレータがオペレータステーション104を使って生成した、またコントローラ102にダウンロードされ及び/またはインスタンス化された、プロセス制御システム100に対応付けられた一以上のプロセス制御ルーチンを実行する。
【0023】
図1は、以下により詳しく記載されるユーザ役割に基づいてプロセス制御アラームを選別する方法及び装置を有利に用いた例示的プロセス制御システム100を示しているが、本明細書に記載される方法及び装置は、要望があれば図1の図示例より大なり小なり複雑な他のプロセス工場及び/またはプロセス制御システム(例えば一以上のコントローラを一以上の地域にわたって有すること等)において有利に用いてもよい。
【0024】
図2は、図1の例示的オペレータステーション104の例示的実装様式を示す。図2の例示的オペレータステーション104は少なくとも一プログラム可能プロセッサ200を備える。図2の例示的プロセッサ200は、プロセッサ200のメインメモリ202(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/または読出専用メモリ(ROM)内)に記憶されているコード化された命令を実行する。プロセッサ200は、プロセッサコア、プロセッサ、及び/またはマイクロコントローラといった任意のタイプの処理ユニットでありうる。プロセッサ200は、中でも例示的アラーム描画アプリケーション204、例示的アラームカテゴライザ206、例示的発信源タイプデータベース208、例示的アラーム目的データベース210、例示的ユーザ役割識別子212、例示的ユーザ役割データベース214、例示的アラームフィルタ216、及び例示的通信インターフェイス218を実装または実行しうる。図2の例示的メインメモリ202はプロセッサ200によって及び/またはプロセッサ200内において実装され、かつ/または一以上のメモリ及び/またはメモリデバイスがプロセッサ200に操作可能に接続される。
【0025】
ユーザが例示的プロセッサ200とやり取りするために、図2の例示的オペレータステーション104は任意のタイプのディスプレイ220を備える。例示的ディスプレイ220には、これに限らないが、コンピュータモニタ、コンピュータスクリーン、テレビ、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、ブラックベリー(Blackberry(商標))及び/またはアイフォーン(iPhone(商標)))等、プロセッサ200及び/またはより一般的には例示的オペレータステーション104によって実装されたユーザインターフェイス及び/またはアプリケーションを表示できるものが含まれる。
【0026】
図2の例示的アラーム描画アプリケーション204は、例示的ディスプレイ220による、及び/または例示的ディスプレイ220におけるアラーム表示の生成及び/またはアラーム表示の描画の容易化を行う。いくつかの実施例において、アラーム描画アプリケーション204によって生成されたアラーム表示は、プロセス制御システムにおける現行アラームに対応するアラーム情報を含む。いくつかの実施例において、アラーム情報は、例示的通信インターフェイス218を介して一以上のプロセスコントローラ(例えば、図1の例示的コントローラ102)及び/または他のプロセス制御システム要素から収集されたアラームデータに基づく。いくつかの実施例において、アラーム情報は各アラームの概括アセットカテゴリまたは発信源タイプの指示を含む。いくつかの実施例において、アラーム情報は、各アラームの機能部類または目的の指示を含む。いくつかの実施例において、後述でより完全に説明されるように、アラームの発信源タイプ及び/または機能部類によるアラームの選別に基づいて、一以上のアラームがディスプレイで抑制及び/または除外される。例示的アラーム表示は、図7と関連して後述する。
【0027】
図2の図示例において、例示的オペレータステーション104は、プロセス制御アラームをその発信源タイプ及び/またはその目的に基づいて分類する例示的アラームカテゴライザ206を備える。いくつかの実施例において、アラームが割当てられた発信源タイプ及び/または目的は、ベンダー及び/またはメーカーによって予め設定されたデフォルトのカテゴリ(例えば、発信源タイプ及びアラーム目的)に相当する。いくつかの実施例において、発信源タイプ及び/または目的はエンドユーザによって設定可能である。
【0028】
いくつかの実施例において、アラームを分類するのに使用される異なる発信源タイプは、発信源タイプデータベース208に記憶されるデータ構造において指定される。図3に例示的発信源タイプデータ構造300が示される。図3に示されるように、例示的発信源タイプデータ構造300には6つの異なるタイプのアラーム発信源または発信源タイプ302、304、306、308、310、312が含まれる。図示例において、発信源タイプ302、304、306、308、310、312は、互いに重複がなく、全体として漏れがない。すなわち図示例において、プロセス制御システム100の各アラームは発信源タイプのうちの一つにのみ割当てられ、そしてプロセス制御システムの全てのアラームがそれぞれ発信源タイプのうちの一つに割当てられる。
【0029】
本明細書で使用されるアラームの発信源タイプは機器、アセット、及び/または状況の性質に言及する。いくつかの実施例において、アラームの発信源タイプは、特定の役割及び対応付けられた職務及び/または専門技術を持つ個人が関わりを持ち及び/または対処及び/または解消する権利を持つアセットの概括的なタイプまたはカテゴリによって、アラームを分類するのに利用される。例えば計装機器発信源タイプ302は、プロセス測定を行う及び/またはプロセス条件を修正するのに使用される、例えば温度送信器または制御バルブといった機器に該当する。図示例において、この発信源タイプ(例えば、計装機器)から発生するアラームは、当該機器の障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示す。いくつかの実施例において、計器校正及び/またはデバイス通信プロトコル(例えば、ハート(HART)、フィールドバス等)の理解に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、計装機器発信源タイプ302に対応付けられる。
【0030】
図3の図示例において、制御システム機器発信源タイプ304は、計装機器からデータを受信し、及び/または計装機器へ信号を送信するのに使用されるコンピュータ、コントローラ、入出力カード、それらのソフトウェア及びファームウェア、及び/または他のそのような要素に該当する。図示例において、この発信源タイプ(例えば、制御システム機器)から発生するアラームは、当該機器の障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示す。いくつかの実施例において、制御システムのプログラミング、システムソフトウェアの更新、及び/または異常制御動作の診断に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、制御システム機器発信源タイプ304に対応付けられる。
【0031】
図3の図示例において、回転機器発信源タイプ306は、例えばポンプまたはタービンといった回転部を含む物理機器に該当する。図示例において、この発信源タイプ(例えば、回転機器)から発生するアラームは、当該機器の障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示す。いくつかの実施例において、振動解析及び/または潤滑剤分析に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、回転機器発信源タイプ306に対応付けられる。
【0032】
図3の図示例において、電気機器発信源タイプ308は発電及び/または配電機器に該当する。図示例において、この発信源タイプ(例えば、電気機器)から発生するアラームは、当該機器の障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示す。いくつかの実施例において、電気機器解析及び/または整備に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、電気機器発信源タイプ308に対応付けられる。
【0033】
図3の図示例において、プロセスハードウェア発信源タイプ310は、例えば反応槽、反応器や熱交換器といった受動的物理アセットに該当する。図示例において、この発信源タイプ(例えば、プロセスハードウェア機器)から発生するアラームは、当該機器の障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示す。いくつかの実施例において、検査、定期的保守及び/または部品交換に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、プロセスハードウェア発信源タイプ310に対応付けられる。
【0034】
図3の図示例において、プロセス条件発信源タイプ312は、プロセス制御システムのハードウェア、ソフトウェアのどちらからも発生されない、障害、性能低下、及び/または他の異常状態を示すアラームに該当する。すなわちプロセス条件発信源タイプ312は、その他の発信源タイプ302、304、306、308、310のいずれにも該当しないアラームに該当する。例えば原材料の特性の変化による障害を示すアラームは、プロセス条件発信源タイプ312に入る。いくつかの実施例において、プロセス条件の監視及び/または管理、及び/またはプロセス変動の理解に関する専門技術を持つ個人は、このようなアラームによって示される問題を解消するのに最も適任であり、及び/または具体的にそのような役割を持ちうる。従っていくつかの実施例において、このような個人及び/または彼らに対応付けられた役割は、プロセス条件発信源タイプ312に対応付けられる。いくつかの実施例において、一次アラームユーザ(例えば、制御オペレータ及び/または保守技術者)はプロセス条件に関わるそれぞれの役割を遂行するため、他の更に専門的な二次アラームユーザとともにこのようなアラームに割当てられる。
【0035】
図2に戻るといくつかの実施例において、アラームカテゴライザ206はプロセス制御システムの各アラームを、前述の図3のデータ構造300における異なる発信源タイプの定義に基づいて、対応する発信源タイプ302、304、306、308、310、312に割当てる。この様式でアラームカテゴライザ206は、各発信源タイプ302、304、306、308、310、312に該当するプロセス制御アラームのサブセットを特定しうる。いくつかの実施例において、各発信源タイプに対応付けられたアラームのサブセットの特定内容は、発信源タイプデータベース208に記憶される。
【0036】
前述の異なる発信源タイプと同様に、いくつかの実施例において、アラームを分類するのに使用される異なるアラーム目的は、アラーム目的データベース210に記憶されるデータ構造において指定される。図4に例示的アラーム目的データ構造400が示される。図4に示されるように、例示的アラーム目的データ構造400には5つの異なる機能部類またはアラーム目的402、404、406、408、410が含まれる。図示例において、アラーム目的402、404、406、408、410は、互いに重複がなく、全体として漏れがない。すなわち図示例において、プロセス制御システム100の各アラームはアラーム目的のうちの一つにだけ割当てられ、そしてプロセス制御システムの全てのアラームがそれぞれアラーム目的のうちの一つに割当てられる。
【0037】
本明細書で使用されるアラームの目的は、アラームに対応することで達成される利益上の理由またはタイプに言及する。言い換えるとアラーム目的は、アラームのトリガーと対応付けられた結果を避けることで達成される全体成果のタイプに相当する。いくつかの実施例において、アラームの目的は、特定の役割及び対応付けられた職務及び/または専門技術を持つ個人が関わりを持ち及び/または対処及び/または解消する権利を持つアラームの理由によって、アラームを分類するのに利用される。例えば機器保護アラーム目的402は、プロセス制御システムの物理的アセットを保護するためのアラームに該当する。すなわちこのようなアラームは、対処せずに放っておいた場合、例えばポンプ、熱交換器または容器といった物理アセットの損傷、劣化、及び/または破壊を招きうる異常状態をユーザに警告する。いくつかの実施例において、このようなアラームに対処する専門技術及び/または特定の役割を持つ個人は、機器保護アラーム目的402に対応付けられる。
【0038】
図4の図示例において、環境保護アラーム目的404は、環境被害から保護し及び/または環境保護規制を確実に遵守するためのアラームに該当する。すなわちこのようなアラームは、対処せずに放っておいた場合、環境被害を招きうる及び/または救済措置を必要としうる異常状態をユーザに警告する。いくつかの実施例において、このようなアラームに対処する専門技術及び/または特定の役割を持つ個人は、環境保護アラーム目的404に対応付けられる。
【0039】
図4の図示例において、製品品質アラーム目的406は、プロセス制御システムの製品の品質を確保するためのアラームに該当する。すなわちこのようなアラームは、対処せずに放っておいた場合、製造中または処理中の製品の品質に悪影響を与えうる異常状態をユーザに警告する。いくつかの実施例において、このようなアラームに対処する専門技術及び/または特定の役割を持つ個人は、製品品質アラーム目的406に対応付けられる。
【0040】
図4の図示例において、プロセス効率アラーム目的408は、プロセス制御システムの効率を向上(例えば、最適化)するためのアラームに該当する。すなわちこのようなアラームは、対処せずに放っておいた場合、処理時間の増加、エネルギー消費の増大、及び/または生産量の減少といった生産非効率を起こしうる異常状態をユーザに警告する。いくつかの実施例において、このようなアラームに対処する専門技術及び/または特定の役割を持つ個人は、プロセス効率アラーム目的408に対応付けられる。
【0041】
図4の図示例において、安全アラーム目的410は、プロセス制御システム環境における個人の健康と安全を確保するためのアラームに該当する。すなわちこのようなアラームは、対処せずに放っておいた場合、怪我人または死者を出しうる異常状態をユーザに警告する。いくつかの実施例において、このようなアラームに対処する専門技術及び/または特定の役割を持つ個人は、安全アラーム目的410に対応付けられる。
【0042】
図2に戻ると、いくつかの実施例において、アラームカテゴライザ206はプロセス制御システムの各アラームを、前述の図4のデータ構造400における異なる発信源タイプの定義に基づいて、対応するアラーム目的402、404、406、408、410に割当てる。この方法でアラームカテゴライザ206は、各アラーム目的402、404、406、408、410に該当するプロセス制御アラームのサブセットを特定しうる。いくつかの実施例において、各アラーム目的に対応付けられたアラームのサブセットの特定内容は、アラーム目的データベース210に記憶される。
【0043】
図2の図示例において、例示的オペレータステーション104は、オペレータステーション104のユーザの役割を特定するための例示的ユーザ役割識別子212を備える。いくつかの実施例において、ユーザ役割識別子212はユーザID(例えば、ユーザログインの際入力されたID)に基づいてユーザを特定する。いくつかの実施例において、ユーザ役割識別子212はユーザ自己識別特定役割といった他のユーザ入力に基づいてユーザを特定する。いくつかの実施例において、ユーザ役割は可能性のあるユーザ役割のリストからユーザによって選ばれる。いくつかのこのような実施例において、役割のリストはユーザ役割データベース214のデータ構造に記憶される。図5に例示的ユーザ役割データ構造500が示される。
【0044】
図5の図示例において示されるように、ユーザ役割データ構造500の一列目には、多くのプロセス制御システムの典型的役割に相当するユーザ役割502のリストが含まれる。いくつかの実施例において、ユーザ役割502のリストは、ベンダー及び/またはメーカーによって生成される。いくつかの実施例において、ユーザ役割502のリストは、エンドユーザによって生成される。いくつかの実施例において、ユーザ役割502のリストには、ベンダー及び/またはメーカーによって予め設定された標準的な役割に加えて、エンドユーザが追加した独自の職位が含まれる。
【0045】
ユーザ役割502のリストに加えて、例示的ユーザ役割データ構造500にはユーザ役割502毎に対応発信源タイプ504が含まれる。図示例に示されるように、対応発信源タイプ504は、図3のデータ構造300の発信源タイプ302、304、306、308、310、312に該当する。このようにいくつかの実施例において、ユーザ役割データ構造500は、個人の特定の役割とこれらの役割に対応付けられた特定の発信源タイプをつなぐのに利用される。その結果各アラーム発信源タイプ(例えば、発信源タイプデータベース208に記憶されている発信源タイプ)に割当てられたアラームは同様に、該当するユーザ役割に対応付けることが可能である。或いはまたは更に例示的ユーザ役割データ構造500にはユーザ役割502毎に対応アラーム目的506が含まれる。図示例に示されるように、対応アラーム目的506は、図4のデータ構造400のアラーム目的402、404、406、408、410に該当する。このようにいくつかの実施例において、ユーザ役割データ構造500は、個人の特定の役割とこれらの役割に対応付けられた特定のアラーム目的をつなぐのに利用される。その結果各アラーム目的(例えば、アラーム目的データベース210に記憶されているアラーム目的)に割当てられたアラームは同様に、該当するユーザ役割に対応付けることが可能である。
【0046】
いくつかの実施例において、ユーザ役割データ構造500には、一次アラームユーザ(例えば、制御室オペレータ508、510)に該当するユーザ役割502が含まれる。図示例において、制御室オペレータ508、510は、このような個人が一般的に対処する主要アラームである、プロセス条件発信源タイプから発せられるアラームに対応付けられる。しかしながらいくつかの実施例において、他の発信源タイプのアラームもまた一次アラームユーザに指定される。更に他の発信源タイプ及び/またはアラーム目的は、ユーザ役割データ構造500で示される任意のユーザ役割502に対応付けられる。いくつかの実施例において、特定のユーザ役割は、特定の発信源タイプ及び特定のアラーム目的の両方に対応付けられる。
【0047】
図5の図示例に示されるように、いくつかのユーザ役割(例えば、生産管理者512)は一以上のアラーム目的に対応付けられる。同様にいくつかの実施例において、ユーザ役割(例えば、オンライン機械技術者514)は一以上の発信源タイプに対応付けられる。いくつかの実施例において、ユーザ役割は、特定の発信源タイプ及び特定のアラーム目的の両方に対応付けられる。いくつかの実施例において、発信源タイプ及びアラーム目的の異なるユーザ役割への割当ては、ベンダー及び/またはメーカーによって予め設定されている。このようないくつかの実施例において、ベンダー及び/またはメーカーがデフォルトの割当てを提供するが、これらはエンドユーザが自身の特定の目的のために変更及び/またはカスタマイズしてもよい。更にいくつかの実施例において、エンドユーザは、ユーザ役割502のリストの各ユーザ役割を対応付ける発信源タイプ及び/またはアラーム目的を指定してもよい。いくつかの実施例において、エンドユーザは、カスタマイズされたユーザ役割とそれに対応する発信源タイプ及び/または特定のアラーム目的を定義してもよい。このようないくつかの実施例において、カスタマイズされたユーザ役割は、個人の特定の職務や責務に関係なく、特殊な選好に対応付けられた特別な個人に該当しうる。このような実施例において、のカスタマイズされた職位は、個人の一般的な役割に対して指定された発信源タイプ及び/またはアラーム目的に取って代わる。例えば図5に示されるように、安全技術者516のユーザ役割は安全アラーム目的に対応付けられる。しかしながら特定の安全技術者は、安全技術者と安全目的はもちろん環境保護目的のアラームも対応付けるカスタマイズされた職位を設定してもよい。このような実施例において、個人の公式または一般的な役割は安全技術者ではあるが、カスタマイズされた職位はデータ構造500における一般的なユーザ役割に取って代わるため、個人は、その個人の選好に基づいて要望されるアラーム情報を受取れる。
【0048】
図2に戻ると、例示的オペレータステーション104は、プロセス制御アラームをその発信源タイプ及び/または目的に基づいて選別する例示的アラームフィルタ216を備える。いくつかの実施例において、アラームフィルタ216は、ユーザ役割識別子212によって特定されるユーザの役割に基づいて、選別されるアラームを特定する。すなわちアラームフィルタ216は、ユーザの役割を特定することで、ユーザ役割データ構造500において指定されるその対応付けられたアラーム目的及び/または発信源タイプを決定する。いくつかの実施例において、アラームフィルタ216は、ユーザの役割とは別にユーザ入力に基づいて、選別されるアラームを特定する。例えばユーザはマニュアルで、アラーム情報が表示及び/または選別される一以上の特定の発信源タイプ及び/またはアラーム目的を選択する。いくつかの実施例において、ユーザ選択は図6に示されるアラーム設定ダイアログ600を介して行われる。このようないくつかの実施例において、設定ダイアログ600において選択されたアラーム目的(機能分類)及び発信源タイプ(カテゴリ)は、ユーザ役割データベース214において保存される(例えば、新規カスタマイズ職位またはユーザ役割として保存される)。アラームフィルタ216がプロセス制御アラームを選別すると、アラーム描画インターフェイスは、選別によって除外されたアラームに該当するアラーム情報を除くアラーム表示を描画する。例示的アラーム表示は、図7と関連して後述する。
【0049】
図1のオペレータステーション104の例示的実装様式が図2において示されているが、図2で示される一以上の要素、処理、及び/またはデバイスは、その他の方法で結合、分割、再編成、省略、除外、及び/または実装可能である。更に例示的メモリ202、例示的アラーム描画アプリケーション204、例示的アラームカテゴライザ206、例示的発信源タイプデータベース208、例示的アラーム目的データベース210、例示的ユーザ役割識別子212、例示的ユーザ役割データベース214、例示的アラームフィルタ216、例示的通信インターフェイス218、及び/またはより全体的に図2の例示的オペレータステーション104が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/または、ハードウェア、ソフトウェア及び/またはファームウェアのいずれかの組合せによって実装される。このように、例えば例示的メモリ202、例示的アラーム描画アプリケーション204、例示的アラームカテゴライザ206、例示的発信源タイプデータベース208、例示的アラーム目的データベース210、例示的ユーザ役割識別子212、例示的ユーザ役割データベース214、例示的アラームフィルタ216、例示的通信インターフェイス218、及び/またはより全体的に例示的オペレータステーション104のいずれかは、一以上のアナログまたはデジタル回路、論理回路、プログラム可能プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理素子(PLD)、及び/またはフィールドプログラム可能論理素子(FPLD)によって実装可能である。純粋にソフトウェア及び/またはファームウェアの実装を対象とする、本特許の装置またはシステムに関する任意の請求項を読むと、例示的メモリ202、例示的アラーム描画アプリケーション204、例示的アラームカテゴライザ206、例示的発信源タイプデータベース208、例示的アラーム目的データベース210、例示的ユーザ役割識別子212、例示的ユーザ役割データベース214、例示的アラームフィルタ216、及び/または例示的通信インターフェイス218のうちの少なくとも一つは、ソフトウェア及び/またはファームウェアを記憶するメモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスク等といった有形のコンピュータ可読記憶デバイスまたは記憶ディスクを含むことが、本明細書において明確に定義されている。更にまた図1の例示的オペレータステーション104は、図2で示されるものに加えて、またはそれに代わって、一以上の要素、処理、及び/またはデバイスを含みうる、及び/または一以上のいくつかのまたは全ての図示される要素、処理及びデバイスを含みうる。
【0050】
図7は、少なくとも一つの発信源タイプまたはアラーム目的に基づいて選別されるアラーム情報を表示するように描画される例示的アラーム表示700を示す。図7の図示例において、アラーム表示700は多くの既知のアラームリストと同様のアラームリストである。図示例において、アラームリスト700は、各行702、704、706が特定のアラームに該当する表形式によってアラーム情報を表示する。既知のアラームリスト異なり例示的アラームリスト700には、機能分類欄708及びカテゴリ欄710が含まれる。
【0051】
図示例において、機能分類欄708は各アラームの目的を示すために提供される。図7の図示例に示されるように、第一行702のアラームは、該当アラームに対処しないと環境的危険の可能性があることを示す環境保護アラーム目的に対応付けられる。第二行704のアラームは、該当アラームに対処しないと効率の低い運転レベルに陥りうることを示すプロセス効率アラーム目的に対応付けられる。第三行706のアラームは、該当アラームに対処しないと対応付けられた機器の劣化及び/または損傷が起こりうることを示す機器保護アラーム目的に対応付けられる。図示例において、アラーム表示700に示されるアラームがプロセス効率アラーム目的によって選別された場合、第二行704のアラームだけが表示され、その他のアラームは表示から除外または除去される。それと対照して、アラームが機器保護アラーム目的によって選別された場合、第三行706のアラームだけが表示され、その他のアラームは表示から除外または除去される。同様にいくつかの実施例において、アラームが安全アラーム目的によって選別された場合、表示されたアラームはどれも安全アラーム目的に割当てられていないため、全てアラーム表示から除外される。このような方法でアラームの特定サブセットは素早く特定され、特定の目標または目的(例、機器保護、環境保護、製品品質、プロセス効率及び/または安全)に対応付けられたアラームをユーザが査定するのを援助する。いくつかの実施例において、ユーザがこのような目的に対応付けられた特定された役割を持つ場合、アラーム表示700はユーザの役割(例えば、ユーザ役割データ構造500で定義されている役割)に対応付けられたアラーム目的に基づいて自動で選別される。
【0052】
図示例において、カテゴリ欄710は各アラームの発信源タイプ(例えば、各アラームが発生するアセットまたは他の状況の概括的カテゴリ)を示すために提供される。図7の図示例に示されるように、第一及び第二行702、704のアラームはプロセス条件発信源タイプに対応付けられ、よってプロセス制御システムのハードウェアまたはソフトウェアに起因しない可能性のあるプロセス変動の問題を示す。プロセス条件から発せられるアラームは一般的に制御システムオペレータによって対処される。第三行706のアラームは、制御システム発信源タイプに対応付けられ、よって制御システムハードウェア及び/またはソフトウェアに対応付けられた問題を示す(解消するには適切なスキルを持った制御システム技術者が必要となる)。
【0053】
図示例において、アラーム表示700に示されるアラームがプロセス条件発信源タイプによって選別された場合、第一及び第二行702、704のアラームが表示され、その他のアラーム(第三行706のアラーム)は表示から除外または除去される。それと対照して、アラームが制御システム発信源タイプによって選別された場合、第三行706のアラームのみが表示され、その他のアラームは表示から除外または除去される。このような様式でアラームの特定サブセットは素早く特定され、特定の発信源のタイプ(例えば、計装機器、制御システム機器、回転機器、電気機器、プロセスハードウェア、及び/またはプロセス条件)に対応付けられたアラームをユーザが査定するのを援助する。いくつかの実施例において、ユーザが発信源タイプに対応付けられた特定された役割を持つ場合、アラーム表示700はユーザの役割(例、ユーザ役割データ構造500で定義されている役割)に対応付けられた発信源タイプに基づいて自動で選別される。
【0054】
図示例に示されるように、第一及び第二行702、704のアラームは、同一プロセス変数(例えば、タグLIC101)に該当する。しかしながらアラームはアラームタイプによって区別する。第一行702のアラームは高のアラームであり、第二行704のアラームはただ高のアラームである。前述のとおり高のアラーム(第二行704のアラーム)はプロセス効率アラーム目的に対応付けられ、一方で高のアラーム(第一行702のアラーム)は環境保護アラーム目的に対応付けられている。このようにいくつかの実施例において、単一のプロセス測定は、プロセス測定の値によって引き起こされるアラームの性質によって、異なるアラーム目的に対応付けられる。それと対照して、第一及び第二行702、704で表される両アラームは同一のプロセス変数に該当するため、必然的に、図示例においてプロセス条件アラーム発信源に該当する同一の発信源からそれらのアラームは発生している。
【0055】
図8において、図1及び/または図2のオペレータステーション104の例示的実行方法の代表的フローチャート800を示す。いくつかの実施例において、図9に関連して後述される例示的プロセッサプラットフォーム900に示されるプロセッサ912といったプロセッサによって実行されるプログラムを含むマシン可読命令を使って、方法は実行される。プログラムは、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、またはプロセッサ912に対応付けられたメモリといった有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアに取込まれているが、プログラムの全体及び/または一部は代替的にプロセッサ912以外のデバイスにより実行可能であり、及び/またはファームウェアまたは専用ハードウェアに取込み可能である。更に、例示的プログラムは図7に示されるフローチャートに関連して説明されるが、例示的オペレータステーション104の多くの他の実行方法が代替的に使用されてもよい。例えば実行ブロックの順序は変更可能であり、及び/またはいくつかの描かれたブロックは変更、削除または結合可能である。
【0056】
前述のように図8の例示的方法は、情報が任意の期間(例えば、長期間、恒久的に、短いインスタンス用に、一時バッファリング用に、及び/または情報のキャッシュ用に)保存されるハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読出専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/または任意の他の記憶デバイスや記憶ディスクといった有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコード化命令(例、コンピュータ及び/またはマシン可読命令)を使って実行される。本明細書で使用される有形のコンピュータ可読記憶媒体という用語は、いずれのタイプのコンピュータ可読記憶デバイス及び/または記憶ディスクも含み、伝搬信号を除外し、送信媒体を除外するように明確に定義される。本明細書で使用される「有形のコンピュータ可読記憶媒体」および「有形のマシン可読記憶媒体」は交換可能に使用される。或いはまたは更に、図8の例示的方法は、情報が任意の期間(例えば、長期間、恒久的に、短いインスタンス用に、一時バッファリング用に、及び/または情報のキャッシュ用に)保存されるハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読出専用メモリ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、及び/または任意の他の記憶デバイスや記憶ディスクといった非一時的コンピュータ及び/またはマシン可読媒体に記憶されるコード化命令(例えば、コンピュータ及び/またはマシン可読命令)を使って実行される。本明細書で使用される非一時的コンピュータ可読記憶媒体という用語は、いずれのタイプのコンピュータ可読記憶デバイス及び/または記憶ディスクも含み、伝搬信号を除外し、送信媒体を除外するように明確に定義される。本明細書で請求項の前提部において「少なくとも」という表現が転換語として使用されている場合、「備える」という用語に制限的な意味がないのと同様に、「少なくとも」という表現にも制限的な意味はない。
【0057】
図8の例示的方法は、例示的通信インターフェイス218がプロセス制御アラームに該当するアラームデータを受信するブロック802から始まる。ブロック804では、例示的アラームカテゴライザ206がプロセス制御アラームを発信源タイプによって分類する。いくつかの実施例において、アラームカテゴライザ206は各アラームを特定の発信源タイプ(例えば、発信源タイプデータ構造300において指定される発信源タイプ)に割当てることで、プロセス制御アラームを分類する。いくつかの実施例において、発信源タイプで分類されたアラームは、発信源タイプデータベース208に記憶される。ブロック806では、例示的アラームカテゴライザ206がプロセス制御アラームをアラーム目的によって分類する。いくつかの実施例において、アラームカテゴライザ206は各アラームを特定のアラーム目的(例えば、アラーム目的データ構造400において指定されるアラーム目的)に割当てることで、プロセス制御アラームを分類する。いくつかの実施例において、アラーム目的で分類されたアラームは、アラーム目的データベース210に記憶される。ブロック808では、ユーザ役割識別子212がプロセス制御アラームにアクセスするユーザの役割を特定する。
【0058】
ブロック810では、例示的ユーザ役割識別子212が、ユーザの役割は特定の発信源タイプ及び/またはアラームの目的に対応付けられているか否かを判定する。対応付けられている場合、例示的アラームフィルタ216がユーザの役割に対応付けられている発信源タイプ及び/または目的に基づいてプロセス制御アラームを選別するブロック812へ、制御は進む。例えばユーザの役割が計装技術者の場合、ユーザ役割識別子212はユーザが計装機器発信源タイプに該当するアラームに対応付けられていること(例えば図5のユーザ役割データ構造500に示されるように)を判定しうる。このような実施例において、アラームフィルタ216は計装機器発信源タイプによってプロセス制御アラームを選別する。すなわち計装機器が発信源でない全てのアラームはプロセス制御アラームから除外される。
【0059】
いくつかの実施例において、ユーザは更にプロセス制御アラームを、ユーザの役割に対応付けられた発信源タイプ及び/またはアラーム目的を越えて絞込みまたは選別し、アラームディスプレイに表示することを希望してもよい。よってブロック814では、例示的アラームフィルタ216がプロセス制御アラームをユーザが選択した発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいて選別するかどうかを決定する。選別する場合、例示的アラームフィルタ216がユーザによって選択された発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいてプロセス制御アラームを選別するブロック816へ、制御は進む。そして例示的アラーム描画アプリケーション204がアラーム表示(例えば、図7のアラームリスト700)の選別されたプロセス制御アラームを描画するブロック818へ、制御は進む。例示的アラームフィルタ216がプロセス制御アラームをユーザが選択した発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいて選別しないと決定した場合(ブロック814)(例えばユーザはそのような選択をしなかった場合)、制御は直接ブロック818へ進む。選別されたプロセス制御アラームの描画後(ブロック818)、例示的アラーム描画アプリケーション204が続行するかどうかを決定するブロック824へ、制御は進む。続行する場合、ブロック802へ制御は戻る。続行しない場合、図8の例示的方法は終了する。
【0060】
ブロック810に戻ると、例示的ユーザ役割識別子212が、ユーザの役割は特定の発信源タイプ及び/またはアラームの目的に対応付けられていないと判定した場合、制御はブロック820へ進む。いくつかの実施例において、ユーザの役割が特定及び/または指定されていないため、ユーザ役割識別子212によってユーザの役割は特定の発信源タイプ及び/またはアラームの目的に対応付けられていると識別されない。いくつかの実施例において、ユーザの特定の役割は特定されてはいるが任意の特定の発信源タイプ及び/またはアラーム目的に対応付けられていないため(例えば、全アラームを受信する制御室オペレータ)、ユーザ役割識別子212によってユーザの役割は特定の発信源タイプ及び/またはアラームの目的に対応付けられていると識別されない。ブロック820では、例示的アラームフィルタ216がプロセス制御アラームをユーザが選択した発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいて選別するかどうかを決定する。選別する場合、前述のように例示的アラームフィルタ216がプロセス制御アラームを選別するブロック816へ、制御は進む。例示的アラームフィルタ216がプロセス制御アラームをユーザが選択した発信源タイプ及び/またはアラーム目的に基づいて選別しないと決定した場合(ブロック820)、アラーム描画アプリケーション204がアラーム表示(例えば、図7のアラームリスト700)のプロセス制御アラーム(例えば、選別なし)を描画するブロック822へ、制御は進む。そして図8の例示的方法を続行するか終了するかを決定するブロック824へ、制御は進む。
【0061】
図9は、図1及び/または図2のオペレータステーション104を実行する図8の方法を実施するための命令を実行可能な例示的プロセッサプラットフォーム900のブロック図を示す。プロセッサプラットフォーム900は、例えばサーバ、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、アイパッド(iPad(商標))といったタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネット家電、または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスでありうる。
【0062】
図示例のプロセッサプラットフォーム900はプロセッサ912を備える。図示例のプロセッサ912はハードウェアである。例えばプロセッサ912は、任意の所望のブランドまたはメーカーの一以上の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、またはコントローラによって実行される。
【0063】
図示例のプロセッサ912はローカルメモリ913(例えば、キャッシュ)を備える。図示例のプロセッサ912は、バス918を介して揮発性メモリ914及び不揮発性メモリ916を含むメインメモリと通信する。揮発性メモリ914は、同期式ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、及び/または任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実行される。不揮発性メモリ916は、フラッシュメモリ及び/または任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実行される。メインメモリ914、916へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0064】
図示例のプロセッサプラットフォーム900はインターフェイス回路920も備える。インターフェイス回路920は、イーサネットインターフェイス、汎用シリアルバス(USB)、及び/またはPCIエクスプレスインターフェイスといった任意のタイプのインターフェイス規格によって実行される。
【0065】
図示例において、一以上の入力デバイス922はインターフェイス回路920に接続される。入力デバイス922により、ユーザはデータ及び命令をプロセッサ912に入力できる。入力デバイスは、例えば音響センサ、マイク、カメラ(静止画または動画)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、及び/または音声認識システムによって実行可能である。
【0066】
一以上の出力デバイス924もまた図示例のインターフェイス回路920に接続される。出力デバイス924は、例えば表示デバイス(例、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶表示(LCD)、陰極線管ディスプレイ(CRT)、タッチスクリーン、触感出力デバイス、発光ダイオード(LED)、プリンター、及び/またはスピーカーによって実行可能である。図示例のインターフェイス回路920は従って、一般的にグラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、またはグラフィックドライバプロセッサを含む。
【0067】
図示例のインターフェイス回路920はまた、送信器、受信器、送受信器、モデム、及び/またはネットワークインターフェイスカードといった通信デバイスを含み、ネットワーク926(例えば、イーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)、電話回線、同軸ケーブル、携帯電話システム等)を介して外部のマシン(例えば、任意の種類のコンピューティングデバイス)とデータを容易に交換する。
【0068】
図示例のプロセッサプラットフォーム900はまた、ソフトウェア及び/またはデータを記憶するための一以上の大容量記憶デバイス928を含む。このような大容量記憶デバイス928の実施例には、フロッピーディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAIDシステム、及びデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブが含まれる。
【0069】
図8の方法を実施するコード化命令932は、大容量記憶デバイス928、揮発性メモリ914、不揮発性メモリ916、及び/またはCDやDVDといったリムーバブル有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0070】
ある例示的方法、装置、製品が本明細書で開示されたが、本特許の対象範囲はこれに限定されない。それとは逆に、本特許の請求範囲に公正に該当する全ての方法、装置、製品を本特許は対象とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9